JP4521975B2 - 列車案内表示システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車の運行状態を外部に案内表示する列車案内表示システムに関し、特に、各種の情報をアナログ式の時計に対応させて案内表示することで運行状態を容易に認識できるようにした複数の列車案内表示装置を異なる場所に設置した列車案内表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道システムでは、利用者にダイヤ等の運行情報を報知するための1つの手段として列車案内表示装置が用いられている。一般的な列車案内表示装置としては、例えば、駅構内の改札口近くに設けられ、これから発車する複数本分の列車(例えば5列車分)が発車時刻順に発車番線と行先とを明示して表示されるようにしたものが知られている。
【0003】
ところで、上記のような一般的な列車案内表示装置は、乗車しようとする列車の出発までに現時刻からどの程度の余裕があるかを容易に知ることができないという欠点があった。例えば、列車案内表示装置に「○番線・9:18・○○線○○行」と表示されていて、現在、利用者(旅客)の所持している時計が「8:52」を示している場合、または、列車案内表示装置に時計が設けられていて、その時計の表示が「8:52」を示しているとき、乗車しようとする列車の出発までにどの程度の余裕があるかを計算して求めなければならないという不便があった。また、列車の運行状態に遅れが生じた場合には、さらに面倒な計算を行わなければならず不便であった。加えて、上記のような列車案内表示装置については、特に、大型の駅で複数のプラットホームと複数の路線がある場合、路線ごとに運行案内が行われないので、自分の利用しようとする路線を捜さなければならないという面倒もあった。
【0004】
そこで、本出願人は、乗車しようとする列車等の出発までにどの程度の余裕があるかを、即、認識することができ、また、発車する列車等を路線別に容易に認識することのできる運行案内表示装置を提案している(特願2000−285122号参照)。この先願による運行案内表示装置は、アナログ式の時計に対応させて帯状の指標を移動表示するとともに、帯状の指標に関連付けて出発運行情報を表示するようにしたことで、列車等の出発予定時刻の直感的な表示を可能にしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような列車案内表示装置は、例えば図9に示すように、1つの駅において駅舎入口P1、改札口P2、ホームP3などの複数の場所に設置されることが想定される。このような場合、ホームP3に設置された列車案内表示装置D3を確認した利用者は、到着する列車にすぐに乗ることができる。しかし、改札口P2に設置された列車案内表示装置D2を確認した利用者は、ホームP3までの移動に約1分の時間を要するため、実際に乗車できる列車は少なくとも1分後に到着する列車となり、また、駅舎入口P1に設置された列車案内表示装置D1を確認した利用者は、改札口P2までの移動に約3分の時間を要し、かつ、ホームP3までの移動に約1分の時間を要するため、実際に乗車できる列車は少なくとも4分後に到着する列車となる。列車案内表示装置の設置場所から乗車場所までの移動にかかる所要時間を予測することは一般の利用者にとって容易ではなく、列車案内表示装置で確認して乗ることができると思った列車に実際は乗車できないといったこともある。このような状況は、駆け込み乗車等の要因にもなるため回避されることが望ましい。
【0006】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、複数の列車案内表示装置について各々の設置場所を考慮した案内表示が行われるようにした列車案内表示システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明による列車案内表示システムは、アナログ式の時計に対応させて移動する帯状の指標を基に列車の運行状態を外部に案内表示する複数の列車案内表示装置を備え、該各列車案内表示装置が異なる場所に設置される列車案内表示システムであって、前記各列車案内表示装置は、それぞれ、所定の配列に従って時刻目盛りを表示する目盛り表示手段と、前記時刻目盛りに対応する位置に現在時刻を示す指標を表示する現在時刻表示手段と、前記時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する帯状の指標を前記時刻目盛りに沿って表示する帯状指標表示手段と、前記現在時刻を示す指標に対する前記帯状の指標の一方の端部の表示位置を、各々の列車案内表示装置の設置場所、時間帯および曜日に応じて設定したオフセット量に従って決定するオフセット手段と、前記帯状の指標の一方の端部と前記現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて列車の現在の運行状態が案内されるように、前記帯状の指標の表示位置を移動させる移動手段と、前記帯状の指標で示される時間帯に出発する列車の運行情報を、前記時刻目盛りおよび前記帯状の指標に関連付けて表示する出発運行情報表示手段と、を備えるようにしたものである。
【0008】
かかる構成では、複数の列車案内表示装置において、目盛り表示手段および現在時刻表示手段によりアナログ式の時計が表示されるとともに、帯状指標表示手段により上記アナログ式時計に対応させて帯状の指標が表示される。この帯状の指標は、時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有しており、現在時刻を示す指標に対して、列車案内表示装置の設置場所、時間帯および曜日に応じて設定されたオフセット量を保ちながら移動手段によって移動表示される。さらに、出発運行情報表示手段により帯状の指標に関連付けて出発運行情報が表示される。これにより、利用者は乗車可能な列車を直感的に確認することができるようになる。
【0011】
さらに、上記各列車案内表示装置の移動手段は、前記オフセット量を確保しながら前記現在時刻を示す指標の移動に追従させて前記帯状の指標の表示位置を移動させ、列車の運行状態に遅れが生じたときには、前記現在時刻を示す指標の移動に対する前記帯状の指標の一方の端部側の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせるようにしてもよい。これにより、帯状の指標の一方の端部と現在時刻を示す指標との相対的な位置関係により運行状態の遅れが表されるようになる。
【0012】
加えて、前記各列車案内表示装置の帯状指標表示手段は、前記帯状の指標を列車の路線ごとに複数表示するようにしてもよい。これにより、複数の路線の案内が効率よく行われるようになる。
また、上記各列車案内表示装置の具体的な構成として、列車の運行に関連する付帯情報を表示するコンテンツ表示手段を有するようにしてもよい。かかる構成により、列車の運行に関連する付帯情報が利用者に案内されるようになる。
【0013】
さらに、上述した列車案内表示システムについては、前記各列車案内表示装置に接続する通信手段を介して、各々の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御する中央制御装置を備えるようにしてもよい。かかる構成では、複数の列車案内表示装置の各動作設定が中央制御装置によって一括制御されるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる列車案内表示システムに用いられる列車案内表示装置の構成例を示す図である。なお、本実施形態の列車案内表示システムでは、例えば上述の図9に示した場合と同様に、1つの駅について駅舎入口P1、改札口P2およびホームP3の3箇所に列車案内表示装置D1,D2,D3がそれぞれ設置される場合を考える。また、駅舎入口P1から改札口P2までの移動にかかる所要時間を約3分とし、改札口P2からホームP3までの移動にかかる所要時間を約1分とする。
【0015】
図1において、各列車案内表示装置D1〜D3は、列車案内を表示する表示器1と、それを制御する制御器10とをそれぞれ有する。
表示器1は、所定の広さの表示面1aを有する例えばプラズマディスプレイ等を備えていて、その表示面1a上には、ここでは、時計2、帯状の指標3a,3b、出発運行情報4a,4bおよびコンテンツ部8が表示される。
【0016】
時計2は、現在時刻を示す指標としての短針2aおよび長針2bを備えるとともに、時刻目盛りとしての文字盤2cを周囲に備えたアナログ式の時計からなり、短針2aおよび長針2bの表示位置の移動は、ここでは制御器10によって制御されるものとする。なお、2針式のアナログ時計(長針2bの1回転で1時間を計時し、短針2aの1回転で12時間を計時する)を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、1針式のアナログ時計(指針の1回転で12時間または24時間を計時する)とすることも可能である。また、ここでは時刻目盛りを円周に沿って配列するようにしたが、これ以外にも例えば、時刻目盛りを一直線上に配列してもよい。この場合、現在時刻を示す指標は上記時刻目盛り沿って直線的に移動するものとする。さらに、この時計2は、制御器10によって駆動されることなく単独で時刻を表示することのできる機械式または電気式の周知の時計とすることも可能である。
【0017】
各帯状の指標3a,3bは、それぞれ、時計2の文字盤2cの外方を囲むように表示され、時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する。ここでは例えば、列車の運行状態に遅れが生じていないとした場合に、後述するオフセット量δを0としたとき、40分間に対応した長さ(中心角で表すと240°に相当する)を保つように表示される。これら各帯状の指標3a,3bは、列車の各路線にそれぞれ対応していて、各々の指標3a,3bごとに異なる色彩で表示される。これら各帯状の指標3a,3bの表示位置は、基本的に長針2bの移動に追従してそれぞれ移動(回転)し、各々の指標3a,3bの一方の端部と長針2bとの相対的な位置関係に応じて、列車の現在の運行状態が表される。図1の表示例では、帯状の指標3a,3bに対応する各路線で列車がダイヤ通りに運行されている場合を示している。なお、列車の運行に遅れが生じたときの表示位置の移動方法については後述する。
【0018】
出発運行情報4a,4bは、帯状の指標3a,3bで示される時間帯に出発する列車の運行情報をそれぞれ表すものであり、円形マークが重ねて表示された帯状の指標に対応して路線が示され、円形マークの表示位置に対応する時刻目盛りによって発車時刻が示され、円形マーク内に示された数字に対応して発車番線(列車の出発するプラットホームの番号)が示され、円形マーク近傍の文字情報によって行先が示される。具体的には、例えば、帯状の指標3a上の左上端部付近に位置する出発運行情報4aは、「2時53分に2番線から大宮行きが発車する」ことを表示している。このように、両帯状の指標3a,3b上に示されている各出発運行情報4a,4bは、時計2の長針2bからの時間がアナログ式に認識することができ、したがって、利用者が乗車しようとする列車が出発するまでの時間が、即、認識できる。なお、出発運行情報4a,4bの表示方法およびそれによって示される情報の種類は、上記の一例に限定されるものではない。
【0019】
コンテンツ部8は、列車の運行に関する付帯情報を表示する。具体的には、例えば、各帯状の指標3a,3bに対応した路線の種類、各路線の運行状況などの情報が表示される。なお、このコンテンツ部8には、列車の運行情報に関する案内のみならず、所定の広告等を案内表示することも可能である。
図2は、制御器10の具体的な構成例を示したブロック図である。
【0020】
図2において、制御器10は、上記表示器1の表示内容を駆動制御するもので、全体を統括的に制御するCPUを中心に形成された制御部11を有している。制御部11には、表示部1の時計2の時刻を計数する時計部12と、電波時計、あるいはラジオの時報を受信して時刻を正規の時刻に修正する周知の時刻修正部13が接続されている。したがって、表示器1の時計2は、常時、正確な時刻を表示することができる。制御部11に接続されている画面作成部14は、表示器1の表示面1aの表示配列を決定できるように構成され、また、その制御部11に接続されているニュース作成部15は、表示器1のコンテンツ部8に表示する内容を駆動制御できるように構成されている。
【0021】
制御部11に接続されているダイヤ16には、表示器1に表示する出発運行情報4a,4bに対応したダイヤ情報が予め記憶されている。なお、このダイヤ情報は、各列車案内表示装置D1〜D3の設置されている駅に設けられている上位の列車運行管理装置から通信回線等を介して得るようにしてもよい。また、ダイヤテーブル17は、ダイヤ16に記憶されているダイヤ情報に基づいて、表示器1の帯状の指標3a,3b上に表示する出発運行情報4a,4bを抽出するものである。
【0022】
制御部11に接続されているオフセット処理部18は、設置場所に対応したオフセット量δが設定されていて、時計2の長針2bに対する各帯状の指標3a,3bの一方の端部の表示位置を、上記オフセット量δに従って決定する。各列車案内表示装置D1〜D3の設置場所に対応したオフセット量δの設定については後述する。上記のように制御部11によって統括的に制御された各部で生成される情報は、入出力処理部19で表示器1を駆動制御する制御信号に変換された後に表示器1へ出力される。
【0023】
ここで、各列車案内表示装置D1〜D3における制御器10の制御動作について具体的に説明する。
制御器10では、基本的に、上述の図1に示したような表示器1の表示面1aの表示配列が画面作成部14により決定されるとともに、時計部12で現在時刻が計時されて時計2の短針2aおよび長針2bが駆動表示される。また、外部から与えられる運行状態に関する情報に応じて、ダイヤ16に記憶された情報が参照され、帯状の指標3a,3bの表示位置の移動制御および出発運行情報4a,4bの表示制御が行われる。
【0024】
各帯状の指標の移動制御は、具体的には、まず、時計2の長針2bに対する各帯状の指標3a,3bの一方の端部の表示位置が、各装置の設置場所に対応したオフセット量δに従って決定される。
図3〜図5は、列車案内表示装置D1〜D3の表示例をそれぞれ示す図である。
【0025】
図3の表示例は、上述の図9に示した駅舎入口P1に設置される列車案内表示装置D1の場合である。この列車案内表示装置D1の設置場所から、利用者が実際に列車に乗車できる場所(ホームP3)までの移動にかかる標準的な所要時間は約4分であるので、列車案内表示装置D1に表示された列車案内を確認した利用者が実際に乗車できる列車は、現在時刻から少なくとも4分後に発車する列車となる。そこで、この駅舎入口P1に設置される列車案内表示装置D1については、オフセット量δ1が4分に設定され、現在時刻2時50分を示す時計2の長針2bに対して、各帯状の指標3a,3bの一方の端部の表示位置が4分後の2時54分となるように決定される。したがって、例えば、大宮方面の列車に乗車しようとしている利用者は、列車案内表示装置D1の案内表示を見ることで、3時2分に2番線から発車する大宮行きに乗車可能であることを確認できる。
【0026】
図4の表示例は、改札口P2に設置される列車案内表示装置D2の場合である。改札口P2からホームP3までの移動にかかる標準的な所要時間は約1分であるので、オフセット量δ2が1分に設定され、時計2の長針2b(2時50分)に対する各帯状の指標3a,3bの一方の端部が1分後の2時51分の位置に表示される。したがって、例えば、大宮方面の列車に乗車しようとしている利用者は、列車案内表示装置D2の案内表示を見ることで、2時53分に2番線から発車する大宮行きに乗車可能であることを確認できる。
【0027】
図5の表示例は、ホームP3に設置される列車案内表示装置D3の場合である。ホームP3では到着する列車にすぐ乗車できるので、オフセット量δ3が0分に設定され、各帯状の指標3a,3bの一方の端部が時計2の長針2b(2時50分)の示す位置に揃えて表示される。したがって、例えば、大宮方面の列車に乗車しようとしている利用者は、列車案内表示装置D3の案内表示を見ることで、2時53分に2番線から発車する大宮行きに乗車可能であることを確認できる。
【0028】
次に、列車の運行状態に応じた各帯状の指標の移動制御について説明する。
各列車案内表示装置D1〜D3の制御器10では、外部からの運行状態に関する情報とダイヤ16に記憶したダイヤ情報とを比較することで、各路線の運行状態がダイヤ通りであると判断された場合、各々の路線に対応する帯状の指標3a,3bの表示位置を、長針2bの移動に追従して回転移動させる。ここでは、前述したように長針2bに対して各帯状の指標3a,3bの一方の端部がオフセットされた状態を維持しながら、各帯状の指標3a,3b全体を右回りに回転移動させる。
【0029】
一方、ある路線の運行状態に遅れが生じていると判断された場合には、長針2bの移動に対する帯状の指標の一方の端部側の表示位置の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせる制御が行われる。例えば図6に示した帯状の指標3aは、上記のような遅れの生じた場合に該当する、列車案内表示装置D1の表示例を示していて、帯状の指標3aに対応する路線では約2分の遅れが生じていることを表している。すなわち、長針2bの指す2時50分の位置から設置場所(駅舎入口P1)に対応したオフセット量δ1(=4分)だけシフトした2時54分の位置に対して、帯状の指標3aの一方の端部は2時52分の位置にあることで、その相対的な位置の差Δaにより約2分の遅れが表現されている。なお、遅れていた列車が駅に到着し出発すると、該当する出発運行情報4aの表示が消され、帯状の指標3aの一方の端部がダイヤ通りの運行が行われている状態に戻される。
【0030】
このように第1実施形態の列車案内表示システムによれば、列車案内表示装置D1〜D3の設置場所P1〜P3から利用者が実際に列車に乗車できる場所までの移動にかかる所要時間を考慮し、アナログ式の時計に対応させて移動する帯状の指標の表示位置をオフセットさせたことで、利用者に対して乗車可能な列車を直感的により分かり易く案内表示することが可能になり、駆け込み乗車等を抑制する効果も期待できる。また、オフセットされた帯状の指標と時計2の長針との相対的な位置関係に応じて、列車の遅れを表すようにしたことで、運行状態の直感的な把握が可能になる。さらに、帯状の指標を路線ごとに設けたことで、発車する列車を路線別に容易に認識することができる。
【0031】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態にかかる列車案内表示システムの全体構成を示す図である。
図7において、本列車案内表示システムは、上述の図1に示したものと同様の構成を有するn台の列車案内表示装置D1,D2,…,Dnと、該各列車案内表示装置D1〜Dnに通信手段としての通信部20を介して接続される、中央制御装置としての中央制御コンピュータ30と、を備えて構成される。また、通信部20は、ハブ(HUB)21に繋がれた各通信ケーブル22が各列車案内表示装置D1〜Dnおよび中央制御コンピュータ30にそれぞれ接続されている。
【0032】
なお、ここでは、各列車案内表示装置D1〜Dnおよび中央制御コンピュータ30の間をハブ21および通信ケーブル22を用いて接続するようにしたが、本発明の通信手段はこれに限らず、例えば無線信号を用いて各々の間を接続するようにしてもよい。また、n台の列車案内表示装置D1〜Dnは、1つの駅構内で異なる場所に設置された装置であっても、複数の駅の各構内で異なる場所に設置された装置であっても構わない。
【0033】
図8は、中央制御コンピュータ30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8において、中央制御コンピュータ30は、例えば、入力操作部31、制御情報作成部32、ダイヤ記憶部33、ダイヤ編集部34、コンテンツ記憶部35、コンテンツ編集部36および通信処理部37から構成される。入力操作部31では、遅延の発生などの運行状態に関する情報が入力され、該入力された情報に基づいて、制御情報作成部32では各列車案内表示装置D1〜Dnにそれぞれ対応した制御情報が作成される。ダイヤ記憶部33には、各列車案内表示装置D1〜Dnに伝達して記憶させる現行ダイヤが記憶される。このダイヤ記憶部33に記憶されたデータは、ダイヤ改正等が生じるとダイヤ編集部34における編集作業によって新しいデータに更新される。コンテンツ記憶部35には、各列車案内表示装置D1〜Dnのコンテンツ部8に表示させる各種の情報が記憶され、その記憶情報は、コンテンツ編集部36における編集作業によって新しい情報に更新される。各列車案内表示装置D1〜Dnに対してダイヤデータやコンテンツ情報の更新を行わせるときには、制御情報作成部32が、ダイヤ記憶部33やコンテンツ記憶部35の記憶データを読み込み、各列車案内表示装置D1〜Dnに対応した制御情報を作成する。制御情報作成部32で作成された各列車案内表示装置D1〜Dnに対する制御情報は、通信処理部37で所要のプロトコルに変換されて通信部20に出力され、通信部20を伝搬して各々の列車案内表示装置D1〜Dnに伝達される。
【0034】
上記のような列車案内表示システムでは、中央制御コンピュータ30から通信部20を介して各列車案内表示装置D1〜Dnに、運行状態に関する情報やダイヤの更新データがそれぞれ送られるようになる。これにより、各列車案内表示装置D1〜Dnに対する設定作業を、中央制御コンピュータ30を用いて一括して容易に行うことができる。
【0035】
なお、上述した第1、2実施形態では、オフセット量として、設置場所からホームまでの移動にかかる標準的な所要時間を1つ設定したが、本発明におけるオフセット量の設定方法はこれに限られるものではない。例えば、駅構内の移動に要する時間は、1日のうちの時間帯や1週間のうちの曜日などといった違いによって変動する場合も考えられるため、それぞれの状況に応じた複数のオフセット量を設定してもよい。また、帯状の指標を2路線分の2本としたが、本発明における帯状の指標は1路線用の1本とすることもでき、あるいは、3路線以上の3本以上とすることもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の列車案内表示システムは、複数の列車案内表示装置の各設置場所、時間帯および曜日に応じて、アナログ式の時計に対応させて移動する一定の時間帯に対応した長さを有する帯状の指標の表示位置をオフセットさせたことで、利用者に対して乗車可能な列車を直感的により分かり易く案内表示することが可能になり、駆け込み乗車等を抑制する効果も期待できる。
【0037】
また、オフセットされた帯状の指標と現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて列車の遅れを表すようにしたことで、運行状態の直感的な把握が可能になる。さらに、帯状の指標を路線ごとに設けたことで、発車する列車を路線別に容易に認識することができる。加えて、列車の遅延等の所定の情報を表示するコンテンツ表示手段を設ければ、列車に関する情報等を報知することができる。
【0038】
また、中央制御装置から通信手段を介して制御情報を伝達して複数の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御するようにしたことで、各列車案内表示装置に対する設定作業を中央制御装置により一括して容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる列車案内表示システムに用いられる列車案内表示装置の構成例を示す図である。
【図2】同上第1実施形態について制御器の具体的な構成例を示したブロック図である。
【図3】同上第1実施形態において駅舎入口に設置された列車案内表示装置の表示例を示す図である。
【図4】同上第1実施形態において改札口に設置された列車案内表示装置の表示例を示す図である。
【図5】同上第1実施形態においてホームに設置された列車案内表示装置の表示例を示す図である。
【図6】同上第1実施形態において列車に遅れが生じたときの列車案内表示装置の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる列車案内表示システムの全体構成を示す図である。
【図8】同上第2実施形態について中央制御コンピュータの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図9】列車案内表示システムに用いられる列車案内表示装置について設置場所の一例を説明する図である。
【符号の説明】
D1〜Dn 列車案内表示装置
1 表示器
1a 表示面
2 時計
2a 短針
2b 長針
3a,3b 帯状の指標
4a,4b 出発運行情報
8 コンテンツ部
10 制御器
11 制御部(CPU)
18 オフセット処理部
20 通信部
30 中央制御コンピュータ
Claims (5)
- アナログ式の時計に対応して移動する帯状の指標を基に列車の運行状態を外部に案内表示する複数の列車案内表示装置を備え、該各列車案内表示装置が異なる場所に設置される列車案内表示システムであって、
前記各列車案内表示装置は、それぞれ、
所定の配列に従って時刻目盛りを表示する目盛り表示手段と、
前記時刻目盛りに対応する位置に現在時刻を示す指標を表示する現在時刻表示手段と、
前記時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する帯状の指標を前記時刻目盛りに沿って表示する帯状指標表示手段と、
前記現在時刻を示す指標に対する前記帯状の指標の一方の端部の表示位置を、各々の列車案内表示装置の設置場所、時間帯および曜日に応じて設定したオフセット量に従って決定するオフセット手段と、
前記帯状の指標の一方の端部と前記現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて列車の現在の運行状態が案内されるように、前記帯状の指標の表示位置を移動させる移動手段と、
前記帯状の指標で示される時間帯に出発する列車の運行情報を、前記時刻目盛りおよび前記帯状の指標に関連付けて表示する出発運行情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする列車案内表示システム。 - 前記各列車案内表示装置の移動手段は、前記オフセット量を確保しながら前記現在時刻を示す指標の移動に追従させて前記帯状の指標の表示位置を移動させ、列車の運行状態に遅れが生じたときには、前記現在時刻を示す指標の移動に対する前記帯状の指標の一方の端部側の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせることを特徴とする請求項1に記載の列車案内表示システム。
- 前記各列車案内表示装置の帯状指標表示手段は、前記帯状の指標を列車の路線ごとに複数表示することを特徴とする請求項1または2に記載の列車案内表示システム。
- 前記各列車案内表示装置は、列車の運行に関連する付帯情報を表示するコンテンツ表示手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の列車案内表示システム。
- 前記各列車案内表示装置に接続する通信手段を介して、各々の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御する中央制御装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の列車案内表示システム。
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