JP4521649B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents

車両用空気調和装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4521649B2
JP4521649B2 JP2000350391A JP2000350391A JP4521649B2 JP 4521649 B2 JP4521649 B2 JP 4521649B2 JP 2000350391 A JP2000350391 A JP 2000350391A JP 2000350391 A JP2000350391 A JP 2000350391A JP 4521649 B2 JP4521649 B2 JP 4521649B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
temporary
signal
temperature
conditioning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000350391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002144840A (ja
Inventor
義彦 桜井
聡 折茂
真弓 梅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Valeo Thermal Systems Japan Corp
Original Assignee
Valeo Thermal Systems Japan Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Valeo Thermal Systems Japan Corp filed Critical Valeo Thermal Systems Japan Corp
Priority to JP2000350391A priority Critical patent/JP4521649B2/ja
Publication of JP2002144840A publication Critical patent/JP2002144840A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4521649B2 publication Critical patent/JP4521649B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両などに用いられる空気調和装置に関し、特に、1つの空調ユニットをもって2つの空調ゾーンを個別に空調制御するための空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の空気調和装置として、特開平7−32854号公報に示されるものが公知となっている。これは、運転席側の空調ゾーン(第1の空調ゾーン)と助手席側の空調ゾーン(第2の空調ゾーン)とを独立に温調制御する場合に、空調ゾーン間で温度干渉や気流干渉が生じることから、空調ゾーン毎に設定される設定温度の差、車室内温度、及び外気温などに基づいて空調ゾーン毎の目標吹出温度を演算し、この演算された目標吹出温度となるように温度調節手段を制御するようにしたものであり、特に、設定温度差に対応した演算項を外気温に応じて補正するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の構成のように、運転席側で設定される設定温度と助手席側で設定される設定温度との差を用いて目標吹出温度を補正する場合には、安定時においては希望とする温度が得られる利点はあるものの、設定温度自体は頻繁に変更するものではないので、一旦、設定温度が設定された後に車室内外の熱負荷が変動するような場合には、設定温度差に対応した演算項の補正だけでは車室内外の熱負荷の経時的な変化を十分に捉えきれず、このような車室内外の熱負荷が変動する過渡時において、吹出温度のオーバーシュートが生じたり、逆に吹出温度変化が小さくなるまでに時間がかかってしまう等の不都合がある。
【0004】
また、特開平10−272915号公報等に示されるように、左右独立空調ユニットの構成でヒータコアの上流側に配風ドアを設け、この配風ドアによって左右の配風比を調節するようにするような構成にあっては、左右の風量比が変化すると、空調ゾーン相互間での温度干渉や気流干渉にも変化が生じ、このような配風比が変動する過渡時において適切な制御が確保されにくくなる不都合もある。
【0005】
さらには、空調制御の過渡時において温度干渉や気流干渉が考慮されるとしても、制御が安定している状態で片側の空調ゾーンに対して設定温度の変更や車室内外の熱負荷の変化によって制御状態に変化が生じた場合に、これに伴って設定温度等に変更がない側の制御状態が即座に変化してしまうと、違和感のない適切な制御を保障するができなくなり、フィーリングが悪化することが懸念されている。
【0006】
そこで、この発明においては、空調制御の過渡時における補正を適切に行い、それぞれの空調ゾーンの快適な空調を過渡時においても維持することができる車両用空気調和装置を提供することを主たる課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明にかかる車両用空気調和装置は、車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するものに関し、前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、前記補正量の遅延は、吹き出し温度が変化しやすい制御領域であれば遅延を大きくし、吹き出し温度が変化しにくい制御領域であれば遅延を小さくすることを特徴としている。
【0008】
したがって、第1の空調ゾーンを空調するための総合信号と第2の空調ゾーンを空調するための総合信号は、それぞれの仮総合信号に第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して演算されることとなるので、第1の空調ゾーンは第2の空調ゾーンの影響を、第2の空調ゾーンは第1の空調ゾーンの影響がそれぞれ適切に反映されることとなる。即ち、それぞれの仮総合信号は、設定温度だけでなく車室内温度や外気温などの車室内外の熱負荷の変動をも考慮して演算されており、それ自体は時間と共に変化する因子であることから、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味することで過渡時での変化を適切に捉えることができ、一方の空調ゾーンの空調制御の変動を他方の空調ゾーンの空調制御に適切に反映させることが可能となり、このため、上記課題を達成することができるものである。
また、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設けることにより、一方の空調ゾーンの空調状態の変動に伴って他方の空調ゾーンの空調状態が即座に変更されてフィーリングを害することを避けることができるようになり、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量の遅延を、吹き出し温度が変化しやすい制御領域であれば遅延を大きくし、吹き出し温度が変化しにくい制御領域であれば遅延を小さくするようにしたので、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。
【0009】
また、上記課題を達成するために、この発明にかかる車両用空気調和装置は、車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するものに関し、前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、 前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、前記補正量の遅延は、前記総合信号の変化量が大きいほど遅延を大きくするようにしてもよい。
したがって、このような構成においても、第1の空調ゾーンを空調するための総合信号と第2の空調ゾーンを空調するための総合信号が、それぞれの仮総合信号に第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して演算されることとなるので、第1の空調ゾーンは第2の空調ゾーンの影響を、第2の空調ゾーンは第1の空調ゾーンの影響をそれぞれ適切に反映させることが可能となり、また、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設けることにより、一方の空調ゾーンの空調状態の変動に伴って他方の空調ゾーンの空調状態が即座に変更されてフィーリングを害することを避けることができるようになり、さらに、前記総合信号の変化量が大きいほど補正量の遅延を大きくするようにしたので、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。
【0010】
さらに、上記課題を達成するために、この発明にかかる車両用空気調和装置は、車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するものに関し、前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、前記温度設定手段によって設定された温度が最大値又は最小値である場合に、前記補正量の遅延を行わないようにしてもよい。
したがって、このような構成においても、第1の空調ゾーンを空調するための総合信号と第2の空調ゾーンを空調するための総合信号が、それぞれの仮総合信号に第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して演算されることとなるので、第1の空調ゾーンは第2の空調ゾーンの影響を、第2の空調ゾーンは第1の空調ゾーンの影響をそれぞれ適切に反映させることが可能となり、また、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設けることにより、一方の空調ゾーンの空調状態の変動に伴って他方の空調ゾーンの空調状態が即座に変更されてフィーリングを害することを避けることができるようになり、さらに、温度設定手段によって設定された温度が最大値又は最小値である場合に、前記補正量の遅延を行わないようにしたので、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。
【0011】
ここで、空調風の吹出モードを変更する手段を備えた通常の空気システムであれば、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を外気温度および吹出モードの少なくとも一方に応じて補正した量としてもよい。
【0012】
このように、第1の総合信号と第2の総合信号を演算するにあたり、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を外気温度と吹出モードの少なくとも一方に応じて補正した補正量を加味することにより、外気温度や吹出モードの変化に伴う空調ゾーン相互間の干渉度合いの変化をきめ細かく考慮することができ、より適切に空調制御の過渡時における補正を行うことが可能となる。
【0013】
また、第1の空調ゾーンと第2の空調ゾーンとの配風比を調節する手段を備えた車両用空気調和装置であれば、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を配風比に応じて補正した量としてもよい。
【0014】
このように、第1の総合信号と第2の総合信号の演算時に、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を配風比に応じて補正した補正量を加味することにより、配風比の変化に伴う空調ゾーン相互間の干渉度合いの変化を考慮することができ、より適切に空調制御の過渡時における補正を行うことが可能となる。
【0015】
以上のような車両用空気調和装置は、車室内の任意の異なる空調ゾーン、例えば、第1の空調ゾーンを運転席側の空調ゾーンとし、第2の空調ゾーンを助手席側の空調ゾーンとする場合などに有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の構成例を図面により説明する。図1において、車両に搭載されて車室の運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとを独立に空調制御する空気調和装置1が示されている。
【0017】
この空調調和装置は、空調ダクト1の最上流側に内気導入口2と外気導入口3とを備えたインテーク切替装置4を有し、内気と外気との導入割合がインテークドア5によって調節されるようになっている。空調ケース1には、モータ6によって回転する送風機7が前記導入口に臨むように設けられ、送風機7の回転によって導入口から空気を吸引し、下流側へ圧送するようになっている。
【0018】
送風機7の下流側には、エバポレータ8が配され、このエバポレータ8は、エンジン9からの動力が電磁クラッチ10を介して伝達されるコンプレッサ11と図示しないコンデンサ、エクスパンションバルブなどと共に配管結合されて冷凍サイクルを構成しており、コンプレッサ11の稼動によりエバポレータ8へ冷媒を供給してこのエバポレータ8を通過する空気を冷却するようになっている。
【0019】
空調ケース内部のエバポレータ8の下流側は、運転席側分路12と助手席側分路13とに分岐され、各分路には、ヒータコア14と、ヒータコア14を通過する空気量を調節するミックスドア15,16とが配置されている。
【0020】
この構成例では、運転席側分路12と助手席側分路13とが仕切壁17によって画成され、エバポレータ8とヒータコア14とは両分路で共通のものが用いられている。エバポレータ8は、空調ケース1の通路断面全体を遮るように設けられ、ヒータコア14は、各分路の通路断面の略半分を遮るように設けられている。また、ミックスドア15,16は、エバポレータ8を通過した全空気をヒータコア14へ導くフルホット位置(開度100%)から全空気をヒータコア14をバイパスさせるフルクール位置(開度0%)の範囲にわたって回動するようになっている。
【0021】
運転席側分路12のヒータコア14よりも下流側に位置する部分には、車室の運転席側空調ゾーンにおいて、フロントガラスに沿って温調空気を吹出すデフロスト吹出口18aと、上部へ温調空気を吹出すベント吹出口18bと、下部へ温調空気を吹出すフット吹出口18cとが設けられ、また、助手席側分路13のヒータコア14よりも下流側に位置する部分には、車両の助手席側空調ゾーンにおいて、フロントガラスに沿って温調空気を吹出すデフロスト吹出口19aと、上部へ温調空気を吹出すベント吹出口19bと、下部へ温調空気を吹出すフット吹出口19cとが設けられ、それぞれの吹出口は、格別のモードドア(デフドア20a,21a、ベントドア20b,21b、フットドア20c,21c)によって開口量が調節されるようになっている。また、エバポレータ8の上流側には、送風機7から圧送された空気をエバポレータ8を介して各分路に配分する配風ドア22が設けられている。
【0022】
尚、運転席側と助手席側のミックスドア15,16は、別々のアクチュエータ23,24によって駆動され(RMIX ACT、LMIX ACT)、インテークドア5は、アクチュエータ25によって駆動され、運転席側のモードドアと助手席側のモードドアは、例えば、共通するアクチュエータ26によって連動するようになっている。また、配風ドア22は、アクチュエータ27によって駆動されるようになっている。
【0023】
そして、上述した各種ドアを駆動するアクチュエータ、コンプレッサ11の電磁クラッチ10、送風機7のモ−タ6は、コントロールユニット30からの出力信号に基づいて制御されるようになっている。
【0024】
コントロールユニット30は、図示しない中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等を備えると共に、各種ドア(インテークドア5、エアミックスドア15,16、モードドア20a,21a,20b,21b,20c,21c、配風ドア22)を駆動するアクチュエータ23〜27、コンプレッサ11の電磁クラッチ10、送風機7のモータ6を駆動制御する駆動回路等を有して構成され、車室内温度を検出する室内温度センサ31からの信号や、車室外温度を検出する外気温センサ32からの信号、車両の右側の日射量を検出する右日射センサ33aと左側の日射量を検出する左日射センサ33bとを備えた日射センサ33からの信号、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ34からの信号、エバポレータ8の下流側に設けられ、エバポレータ8の温度またはエバポレータ8を通過した空気の温度を検出するエバ後センサ35からの信号等が入力されるようになっている。
【0025】
また、コントロールユニット30には、車室側からの操作によって制御指令を出力する操作パネル36からの信号等が入力されるようになっている。この操作パネル36は、各種ドア、コンプレッサ、送風機等の各空調機器を自動制御する指令を出力するAUTOスイッチ37、吸入モードを内気循環モード(REC)又は外気導入モード(FRESH)にマニュアル設定するRECスイッチ38、吹出モードを強制的にデフロストモードに設定するDEFスイッチ39、車室内の運転席側と助手席側とを独立に温調制御するDUALスイッチ40、各空調機器をOFFモードに設定する指令を出力するOFFスイッチ41、送風能力を切り換えるFANスイッチ42、冷却サイクルのオンオフ、即ち、コンプレッサ11のオンオフを個別に指令するA/Cスイッチ43、吹出モードをマニュアル設定するMODEスイッチ44を有している。また、運転席側空調ゾーンの目標温度を設定する運転席側温度設定器45のアップ、ダウンスイッチ45a,45bと、助手席側空調ゾーンの目標温度を設定する助手席側温度設定器46のアップ、ダウンスイッチ46a,46bとを有し、それぞれのアップ、ダウンスイッチによって設定されたそれぞれの空調ゾーンの目標温度、FANスイッチ42によって設定された送風能力、MODEスイッチ44によって設定された吹出モードなどは、それぞれパネル中央に設けられた表示部47に表示されるようになっている。
【0026】
そして、コントロールユニット30は、ROM又はRAMに与えられた所定のプログラムにしたがって各種入力信号を処理し、送風能力の切り替え、吸入モードの切り替え、コンプレッサ11のオンオフ、吹出モードの切り換え、エアミックスドア15,16の開度、配風ドア22の位置等を制御するようになっている。
【0027】
図2において、前記コントロールユニット30による空調制御例がフローチャートとして示されており、以下において、このフローチャートに基づいて空調制御の動作例を説明する。
【0028】
コントロールユニット30は、イグニッションスイッチを入れてエンジンが起動した後に、前述した各種センサや操作パネル36からの信号を入力し(ステップ50)、イグニッションスイッチを投入してからこのフローによる処理が初回であるか否かが判定される(ステップ52)。ステップ52において、初回であると判定された場合には、初期設定を行い(ステップ54)、その後に所定のチェック操作がなされて自己診断の要請があるか否かを判定し(ステップ56)、自己診断の要請がある場合には、自己診断を解除する操作がなされたか否かを判定し(ステップ58)、解除操作があるまで、表示機能をチェックしたり、各種センサの故障をチェックしたり、出力機器の作動を点検したり、出力系(送風機、アクチュエータ、コンプレッサなど)を予め設定された所定のパターンで強制駆動させたり、各種センサの検出結果を表示させたりする等の自己診断を行う(ステップ60)。
【0029】
そして、ステップ52において、イグニッションスイッチを投入してからこのフローによる処理が初回でない場合、初回ではあるがチェック操作がなされていない場合、チェック操作が行われた後に解除操作がなされた場合には、ステップ62〜80の各サブルーチン処理(ステップ62の外気温遅延処理、ステップ64の日射補正演算処理、ステップ66の日射補正遅延処理、ステップ68の総合信号演算処理、ステップ70のミックスドア制御処理、ステップ72の送風機制御処理、ステップ74のモードドア制御処理、ステップ76のインテークドア制御処理、ステップ78のコンプレッサ制御処理、ステップ80の配風ドア制御処理)が行われ、しかる後にステップ50へ戻り、上述した処理が繰り返し行われるようになっている。
【0030】
ステップ62の外気温遅延処理は、外気温センサ32が渋滞時やアイドル運転時などにおいてエンジン廃熱などの影響で本来の外気温よりも高い温度を検出しないようにする必要から、温度上昇が検出された場合に外気温センサ32からの出力信号に遅延処理を施すものであり、図3に示されるような処理がなされる。即ち、イグニッションスイッチを投入してからこのサブルーチンによる処理が初回であるか否かが判定され(ステップ82)、初回であると判定されれば、水温センサ34によって検出された冷却水の温度Twが40℃よりも高いか否かを(ステップ84)、また、メモリに記憶させておいた前回の制御用外気温度である制御用外気温メモリ値TaDM が外気温センサ32によって検出された最新の外気温Taよりも小さいか否かを判定する(ステップ86)。冷却水の温度Twが40℃以下であると判定され、又は、制御用外気温メモリ値TaDM がTa以上であると判定されれば、エンジン廃熱による熱影響は殆どないものとして演算のために用いるパラメータTaBと制御用の信号として用いる制御用外気温度TaDのそれぞれに外気温センサ32によって検出された最新の外気温Taを割り当て(ステップ88)、冷却水の温度Twが40℃よりも高くなっており、制御用外気温度メモリ値TaDM が検出された外気温Taよりも低くなっている場合には、エンジン廃熱の熱影響が考えられるので、演算のために用いるパラメータTaBと制御用の信号として用いる制御用外気温度TaDのそれぞれに制御用外気温メモリ値TaDM を割り当てる(ステップ90)。
【0031】
また、ステップ82において、イグニッションスイッチを投入してからこのサブルーチンによる処理が初回でないと判定されれば、外気温センサ32によって検出された温度Taが上昇しているか否かを判定し(ステップ92)、上昇していなければ、エンジン廃熱による熱影響を考慮しなくてもよいことから、ステップ88へ進み、演算のために用いるパラメータTaBと制御用の信号として用いる制御用外気温度TaDのそれぞれに外気温センサ32によって検出された最新の外気温Taを割り当てる。
【0032】
ステップ92において、外気温センサ32によって検出された温度Taが上昇していると判定された場合には、外気温Taと演算のために用いるパラメータTaBとの差が所定温度以上であるか否かを判定し(ステップ94)、所定温度以上であると判定された場合には、外気温が大幅に増加してエンジン廃熱による影響であることが確実視できるので、この場合には、制御用の信号として用いる制御用外気温度TaDを固定してエンジン廃熱による外気温センサ32の出力変動を防止し(ステップ96)、外気温TaとパラメータTaBとの差が所定温度以下である場合には、検出されたTaの上昇が実際の外気温の変動による可能性もあるので、この場合には、エンジン廃熱による影響をできるだけ抑えるために60秒ごとに1bit の割り合いで制御用外気温度TaDをゆっくり上昇させていく(ステップ98)。
【0033】
このようにして制御用外気温度TaDが決定された後は、パラメータTaBもTaの変動に合わせて修正しておく必要があるので、パラメータTaBが外気温センサによって検出された実際の温度Taよりも低くくなっているか否かを判定し(ステップ100)、TaがパラメータTaBよりも高いと判定された場合には、演算パラメータも60秒ごとに1bit の割り合いでパラメータTaBをゆっくり上昇させていき(ステップ102)、TaがパラメータTaB以下であれば、検出された温度TaをパラメータTaBに割り当てる(ステップ104)。そして、ステップ88、90、96、又は98によって設定された制御用外気温度TaDを新たな制御用外気温メモリ値TaDM として割り当てる(ステップ106)。したがって、以上の処理により、エンジン廃熱などの影響を受けて空調機器が誤動作するのを防ぐことができる。
【0034】
ステップ64の日射補正演算処理は、図4に示されるように、日射センサ33からの出力信号によって日射方位を演算し(ステップ110)、平均日射量を演算した上で(ステップ112)、この平均日射量を日射方位によって左右(運転席側と助手席側)に配分する処理を行うサブルーチンである(ステップ114)。
【0035】
即ち、ステップ110の日射方位演算処理は、図5に示されるように、右日射センサ33aと左日射センサ33bのそれぞれの出力値(QSUNR, QSUNL)からそれぞれのセンサが故障しているか否かを判定し(ステップ116、118)、いずれか一方の日射センサが故障していると判定された場合には、日射方位を中央、即ち、右側日射方位DR と左側日射方位DL とを0とする(ステップ120)。これに対し、いずれの日射センサ33a、33bも故障でないと判定された場合には、右日射センサ33aによって検出された日射量の一次遅延値(右日射一次遅延値QSR)と左日射センサ33bによって検出された日射量の一次遅延値(左日射一次遅延値QSL)とを比較し(ステップ122)、右日射一次遅延値QSRが左日射一次遅延値QSL以上であれば、日射方位が車体の右側にあることから、ステップ124へ進み、右側日射方位DR を同ステップに示す演算式によって演算する。また、右日射一次遅延値QSRが左日射一次遅延値QSLよりも小さければ、日射方位が車体の左側にあることから、ステップ126へ進み、左側日射方位DL を同ステップに示す演算式によって演算する。尚、図中、K1は演算定数である。
【0036】
以上によって演算された日射方位は、それぞれの日射センサ33a,33bで検出された日射量(QSUNR, QSUNL)が小さい場合には、いずれの側から日射が差し込んでも日射による影響は殆どない。このため、ステップ124又は126の後にステップ128及び130において右日射センサ33aによって検出された日射量QSUNRと左日射センサ33bによって検出された日射量QSUNLとが所定値(α)以下であると判定された場合には、ステップ120へ進み、日射方位を中央(DR =DL =0)とし、いずれか一方の日射センサによって検出された日射量が所定値αよりも大きければ、ステップ124又は126で演算された日射方位を用いる。
【0037】
ステップ112の平均日射量演算処理は、図6に示されるように、右日射センサ33aと左日射センサ33bのそれぞれの出力値(QSUNR, QSUNL)からそれぞれのセンサが故障しているか否かを判定し(ステップ132、134、136)、いずれの日射センサも故障していると判定された場合には、平均日射量Qs を0とする(ステップ138)。また、一方の側の日射センサが故障していると判定された場合には、故障していない日射センサの一次遅延値を平均日射量とする。即ち、右日射センサ33aは故障しているが、左日射センサ33bは故障していないと判定された場合であれば、左日射一次遅延値QSLを平均日射量QS とし(ステップ140)、左日射センサ33bは故障しているが、右日射センサ33aは故障していないと判定された場合であれば、右日射一次遅延値QSRを平均日射量QS とする(ステップ142)。
【0038】
これに対し、いずれの日射センサ33a,33bも正常であると判定された場合には、右日射一次遅延値QSRと左日射一次遅延値QSLとを比較し(ステップ144)、右日射一次遅延値QSRが左日射一次遅延値QSL以上であると判定されれば、ステップ146へ進んでQSRとQSLとの和を所定値K2 で除した値がQSR以上であるか否かを判定し、右日射一次遅延値QSRが左日射一次遅延値QSLよりも小さいと判定されれば、ステップ148へ進んでQSRとQSLとの和を所定値K2 で除した値がQSL以上であるか否かを判定する。
【0039】
右日射センサ33aからの出力値の依存度が非常に大きければ、左日射センサ33bからの出力値を殆ど考慮する必要がないので、ステップ146において、(QSR+QSL)/K2 がQSRよりも小さいと判定された場合には、ステップ142へ進み、右日射一次遅延値QSRを平均日射量QS とする。また、左日射センサからの出力値の依存度が非常に大きければ、右日射センサからの出力値を殆ど考慮する必要がないので、ステップ148において(QSR+QSL)/K2 がQSLよりも小さいと判定された場合には、ステップ140へ進み、左日射一次遅延値QSLを平均日射量QS とする。
【0040】
それ以外の場合、即ち、ステップ146において、(QSR+QSL)/K2 がQSR以上であると判定された場合や、ステップ148において(QSR+QSL)/K2 がQSL以上であると判定された場合には、両日射センサからの出力を無視できないので、ステップ150へ進み、(QSR+QSL)/K2 を平均日射量QS とする。つまり、図7の破線で示す右日射一次遅延値QSRと左日射一次遅延値QSLとから、ステップ140〜150の処理によって平均日射量QS を図7の実線で示されるように演算する。
【0041】
また、ステップ114の左右日射量演算処理においては、前記ステップ110で演算された日射方位によってステップ112で演算された平均日射量QS を分配する処理を行う。即ち、図8に示されるように、車両に対していずれの側から差し込む日射であるのかを判定し(ステップ152)、右側から差し込む日射であると判定された場合には、前記ステップ112で演算された平均日射量Qsをそのまま運転席側日射量QSDDr' とし(ステップ154)、平均日射量QsにCOS(DR)を乗じた値を助手席側日射量QSDAs' とする(ステップ156)。また、左側から差し込む日射であると判定された場合には、前記ステップ112で演算された平均日射量QsにCOS(DL)を乗じた値を運転席側日射量QSDDr' とし(ステップ158)、平均日射量Qsをそのまま助手席側日射量QSDAs' とする(ステップ156)。
【0042】
以上のようにして運転席側日射量QSDDr' と助手席側日射量QSDAs' とが演算された後には、ステップ66の日射補正遅延処理がなされる。この日射補正遅延処理は、日射の変化に対して体感温度の変化が遅れることから、実際の体感温度の変化に合わせた制御を行うためにステップ64で得られた日射量に図9で示す処理を施して遅延をかけるものである。
【0043】
即ち、イグニッションスイッチを投入してからこのフローによる処理が初回であるか否かを判定し(ステップ162)、初回であると判定された場合には、ステップ114で得られた日射量QSDi'(運転席側日射量QSDDr' と助手席側日射量QSDAs' )を日射補正量QSDi (制御用運転席側日射補正量QSDDr、制御用助手席側日射補正量QSDAs)とし(ステップ164)、日射補正量QSDi が所定の上限値β以上であるか否かを判定し(ステップ166)、日射補正量QSDi が所定の上限値βよりも小さければ、ステップ164で得られた値をそのまま用い、日射補正量QSDi が所定の上限値β以上であると判定された場合には、日射補正量QSDi を所定の上限値βに設定する(ステップ168)。尚、日射量、日射補正量において添え字iは、Dr又はAsのことである。
【0044】
これに対して、ステップ162において、イグニッションスイッチを投入してからこのフローによる処理が初回でないと判定された場合には、それぞれの日射センサの日射量QSDi'が日射補正量QSDi と一致しているか否かを判定し(ステップ170)、一致していれば遅延をかける必要がないので、前記ステップ166へ進み、一致していなければ、ステップ172へ進んで日射補正量QSDi が所定の上限値β以上であるか否かを判定し、所定の上限値β以上であると判定された場合には、ステップ168へ進んで日射補正量QSDi を所定の上限値βに設定し、日射量QSDi'が所定の上限値βよりも小さいと判定された場合には、ステップ174へ進み、日射量QSDi'が日射補正量QSDi よりも大きいか否か、即ち、日射量が増大している状態か減少している状態かを判定する。日射量が増大している場合であれば、30秒に所定量の割り合いで変動させる遅延をかけてQSDi を増加させ(ステップ176)、また、日射量が減少している場合であれば、30秒待ってから30秒に所定量の割り合いで変動させる遅延をかけてQSDi を減少させる(ステップ178 、180)。よって、図10に示されるように、日射量QSDi'が変動した場合であれば、日射量の上昇時においては、その変動に即応して30秒に所定量の割り合いで日射補正量QSDi がQSDi'と一致するまで増大し、日射量の減少時においては、日射量が変動してから30秒経過した後に30秒に所定量の割り合いで日射補正量QSDi がQSDi'と一致するまで減少することとなり、日射の変動と体感の遅れとを一致させるようにしている。
【0045】
ステップ68で行われる総合信号演算処理は、図11に示されるように、運転席設定温度TsetDr 、制御用運転席側日射補正量QSDDr、車室内温度Tr、及び制御用外気温度TaDに基づいて運転席側仮総合信号TDr' を演算し、助手席側設定温度TsetAs 、制御用助手席側日射補正量QSDAs,室内温度Tr、及び制御用外気温度TaDに基づいて助手席側仮総合信号TAs' を演算する。そして、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差を演算し、この仮総合信号の差に対して外気温度と吹出モードとによって決定される演算定数E1を乗じた値と運転席側仮総合信号TDr' とに基づいて運転席側総合信号TDrを演算し、仮総合信号の差に対して外気温度と吹出モードとによって決定される演算定数E2を乗じた値と助手席側仮総合信号TAs' とに基づいて助手席側総合信号TAsを演算する処理が行われる。
【0046】
より具体的には、図12に示されるように、ステップ182において、仮総合信号の演算を行い、ステップ184において、総合信号の演算を行い、ステップ186において、モードドアを制御するためのモード制御用総合信号を演算する。
【0047】
即ち、ステップ182の仮総合信号演算処理においては、車室内温度Tr、制御用外気温度TaD、制御用運転席側日射補正量QSDDr、外気補正された運転席側設定温度T'setDrをパラメータとして運転席側仮総合信号TDr' を下記の数1式に基づいて演算し、車室内温度Tr、制御用外気温度TaD、制御用助手席側日射補正量QSDAs、外気補正された助手席側設定温度T'setAsをパラメータとして助手席側仮総合信号TAs' を下記の数2式に基づいて演算する。
【0048】
【数1】
Figure 0004521649
【0049】
【数2】
Figure 0004521649
【0050】
ここで、KAは外気ゲイン、Ksは日射ゲイン、KDr は運転席側設定ゲイン、KAs は助手席側設定ゲインであり、外気補正された運転席側設定温度T'setDrは、図13に示される制御用外気温度TaDとの関係で決定された補正項α1を運転席側設定温度TsetDr に加味してT'setDr=TsetDr +α1によって演算されたものであり、外気補正された助手席側設定温度T'setAsは、図13に示される制御用外気温度TaDとの関係で決定された補正項α2を助手席側設定温度TsetAs に加味してT'setAs=TsetAs +α2によって演算されたものである。
【0051】
また、ステップ184の総合信号の演算においては、ステップ182で演算されたTDr' に対し、TDr' とTAs' との差に補正ゲインE1を乗じて形成された補正項を付加して運転席側総合信号TDrを下記の数3式に基づいて演算し、ステップ182で演算されたTAs' に対し、TDr' とTAs' との差に補正ゲインE2を乗じた補正項を付加して助手席側総合信号TAsを下記の数4式に基づいて演算する。
【0052】
【数3】
Figure 0004521649
【0053】
【数4】
Figure 0004521649
【0054】
ここで、補正ゲインE1,E2は、図14に示されるように、ステップ190において、制御用外気温度TaDに対して、同ステップに示されるような特性が得られるように外気温に応じた運転席側外気温補正定数E1ambと、助手席側外気温補正定数E2ambとを演算し、ステップ192において、吹出モードごとに予め決められた同ステップに示される補正定数の中から、吹出モードに対応した運転席側モード補正定数E1mode と、助手席側モード補正定数E2mode とを演算し、ステップ194において、E1をE1amb+E1mode として算出し、E2をE2amb+E2mode として算出したものである。
【0055】
さらに、ステップ186のモード制御用総合信号の演算においては、ステップ184で演算された運転席側総合信号TDrと、制御用運転席側日射補正量QSDDrから運転席側モード制御用総合信号TMDr を下記の数5式に基づいて演算し、助手席側総合信号TAsと、制御用助手席側日射補正量QSDAsから助手席側モード制御用総合信号TMAs を下記の数6式に基づいて演算する。ここで、K'sは、モード制御用のために特に設定された日射ゲインである。
【0056】
【数5】
Figure 0004521649
【0057】
【数6】
Figure 0004521649
【0058】
ステップ70のミックスドア制御処理では、ステップ68で演算された総合信号に基づいて、図15に示されるように運転席側ミックスドア15を制御し、図16に示されるように助手席側のミックスドア16を制御する。
【0059】
図15で示される運転席側のミックスドア15の制御においては、運転席側の設定温度を判定し(ステップ200)、設定温度が最大設定温度(32℃)に設定されていると判定された場合には、ステップ202へ進み、運転席側のミックスドア15を開度100%(フルホット位置)に設定し、設定温度が最小設定温度(18℃)に設定されていると判定された場合には、ステップ204へ進み、運転席側のミックスドア15を開度0%(フルクール位置)に設定する。これに対して、設定温度が中間設定温度(18.5℃〜31.5℃)である場合には、ステップ206において、ステップ68において演算された運転席側総合信号TDrから目標吹出温度ToDr を演算し、また、ステップ208において推定吹出温度T'oDrを演算する。そして、目標吹出温度ToDr と推定吹出温度T'oDrとの差S1を演算し(ステップ210)、この差S1の大きさに応じて運転席側のミックスドア15を駆動制御する。即ち、ステップ212において、S1の大きさを判定し、S1が−2℃よりも低いと判定された場合には、推定吹出温度が目標吹出温度よりも2℃以上高いことから、運転席側のミックスドア15をよりクール側へ駆動させて吹出温度を低くなるようにし(ステップ214)、S1が2℃よりも高いと判定された場合には、推定吹出温度が目標吹出温度よりも2℃以上低いことから、運転席側のミックスドア15をよりホット側へ駆動させて吹出温度を高くなるようにする(ステップ216)。そして、S1が−2〜2℃の範囲内であれば、目標吹出温度と推定吹出温度とがほぼ一致しているとみなして運転席側のミックスドア15を現在の位置で停止させ(ステップ218)、以上の処理によって、図15(b)に示すような特性が得られるように、ミックスドア15の位置を制御するようにしている。
【0060】
同様に、図16で示される助手席側のミックスドア16の制御においては、助手席側の設定温度を判定し(ステップ220)、設定温度が最大設定温度(32℃)に設定されていると判定された場合には、ステップ222へ進み、助手席側のミックスドア16を開度100%(フルホット位置)に設定し、設定温度が最小設定温度(18℃)に設定されていると判定された場合には、ステップ224へ進み、助手席側のミックスドア16を開度0%(フルクール位置)に設定する。これに対して、設定温度が中間設定温度(18.5℃〜31.5℃)である場合には、ステップ226において、ステップ68において演算された助手席側総合信号TDrから目標吹出温度ToAs を演算し、また、ステップ228において推定吹出温度T'oDrを演算する。そして、目標吹出温度ToAs と推定吹出温度T'oAsとの差S1を演算し(ステップ230)、この差S1の大きさに応じて助手席側のミックスドア16を駆動制御する。即ち、ステップ232において、S1の大きさを判定し、S1が−2℃よりも低いと判定された場合には、目標吹出温度が推定吹出温度よりも2℃以上低いことから、助手席側のミックスドア16をよりクール側へ駆動させて吹出温度が低くなるようにし(ステップ234)、S1が2℃よりも高いと判定された場合には、目標吹出温度が推定吹出温度よりも2℃以上高いことから、助手席側のミックスドア16をよりホット側へ駆動させて吹出温度が高くなるようにする(ステップ236)。そして、S1が−2〜2℃の範囲内であれば、目標吹出温度と推定吹出温度とがほぼ一致しているとみなして助手席側のミックスドア16を現在の位置で停止させ(ステップ238)、以上の処理によって、図16(b)に示すような特性が得られるように、ミックスドア15の位置を制御するようにしている。
【0061】
ステップ72の送風機制御は、運転席側総合信号TDrと助手席側総合信号TAsとの平均値に基づいて、図17に示されるような特性が得られるように送風機の回転速度を制御する。即ち、(TDr+TAs)/2が非常に大きい場合、又は、非常に小さい場合には、冷房負荷または暖房負荷が大きい場合であることから送風機の回転速度を最大(100%)とし、冷房負荷または暖房負荷の小さい中間域にある場合には、送風機7の回転速度を最小(30%)とし、この中間域から負荷が大きくなる領域にかけては、連続的に回転速度を大きくするように制御する。
【0062】
ステップ74のモードドア制御は、運転席側総合信号TDrと助手席側総合信号TAsとの平均値に基づいて、図18に示されるような特性が得られるように吹出モードを制御する。即ち、(TDr+TAs)/2が大きい場合には吹出モードをベントモードに設定し、小さくなるにつれてバイレベルモード、フットモードに設定する。
【0063】
ステップ76のインテークドア制御は、運転席側総合信号TDrと助手席側総合信号TAsとの平均値に基づいて、図19に示されるような特性が得られるように吸入モードを制御する。即ち、(TDr+TAs)/2が大きい場合には吸入モードを内気循環とするRECモードに設定し、小さくなるにつれて内外気を混合して導入とするMIXモード、外気導入とするFRESHモードに設定する。
【0064】
ステップ78のコンプレッサ制御は、図20に示されるように、コントロールユニット30によって送風機7が停止状態にあるか否か、AUTOスイッチ37が押されて空調装置の自動運転を行う要請があるか否か、デフロフトスイッチ39が押されて吹出モードをデフロストモードに強制的に設定する要請があるか否か、エアコン(冷凍サイクル)が稼動状態(ONモード)にあるか否かを判定する(ステップ240〜246)。
【0065】
送風機7が停止状態にあれば、エアコンをOFFモードとし(ステップ250)、表示部47のA/C表示を消灯させ(ステップ252)、コンプレッサ11を停止させる(ステップ254)。
【0066】
また、送風機7の稼動中にAUTOスイッチ37が押されるか、デフロストスイッチ39が押されるか、エアコンがONモードであると判定された場合には、ステップ256において、A/Cスイッチ43が押されたか否かを判定し、A/Cスイッチが押された場合には、ステップ250へ進み、エアコンをOFFモードとして表示部47のA/C表示を消灯させ(ステップ252)、コンプレッサ11を停止させる(ステップ254)。これに対して、ステップ256において、A/Cスイッチ43が押されていないと判定された場合には、オートで稼動している状態、吹出モードをデフロストモードに設定している状態、エアコンをオンモードにしている状態を形成又は維持するためにエアコンをONモードとし(ステップ258)、表示部47のA/C表示を点灯させる(ステップ260)。そして、エバ後センサ35が故障しているか否かを判定し(ステップ262)、故障していると判定されれば、コンプレッサ11を停止させ(ステップ254)、故障していないと判定されれば、エバ後センサ35で検出された温度Te によってエバポレータ8が凍結しない所定温度であるか否かを判定し(ステップ264)、エバ後温度が所定温度以下であると判定された場合にコンプレッサ11を停止させ(ステップ266)、所定温度以上であると判定された場合にコンプレッサ11を稼動させる(ステップ254)オンオフ制御を行う。
【0067】
また、ステップ246において、エアコンがONモードでない(OFFモードである)と判定された場合には、その状態でA/Cスイッチ43が押されたか否かを判定し(ステップ268)、エアコンがOFFモードである場合にA/Cスイッチ43が押された場合であれば、ステップ258へ進み、エアコンをオンモードにして表示部のA/C表示を点灯させ(ステップ258、260)、エバ後センサ35が故障していなければ、エバポレータ8の凍結を防止するためにコンプレッサ11のオンオフ制御を行う(ステップ262〜266、254)。これに対し、ステップ268において、エアコンがOFFモードである場合にA/Cスイッチ43が押されていない場合であれば、ステップ250へ進み、エアコンをOFFモードとして表示部のA/C表示を消灯させ(ステップ250、252)、コンプレッサを停止させる(ステップ254)。
【0068】
ステップ80の配風ドア制御は、図21に示されるように、吹出モードがベントモード又は、バイレベルモードであるか否かを判定し(ステップ260)、ベントモード又は、バイレベルモードでないと判定された場合には、ステップ262へ進み、配風ドア22を配風比が1:1となる位置、即ち、中央に固定する。これに対して、吹出モードがベントモード又は、バイレベルモードである場合には、ステップ264へ進み、同ステップに示されるような特性が得られるように、ステップ110で得られた日射方位に基づいて配風ドアの位置を決定する。ここで、配風ドアの位置は、左側(助手席側)にのみ送風する状態を0%の位置、右側(運転席側)にのみ送風する状態を100%の位置とした場合に、日射方位が左30度から右30度の範囲においては、配風ドア22を中央(50%)に設定して左右の配風量を等しくし、日射方位が左30度よりも左方へ傾けば、左方へ傾くほど配風ドア22のドア開度を20%となるまで小さくし、左側への送風量を増大させる。また、日射方位が右30度よりも右方へ傾けば、右方へ傾くほど配風ドア22のドア開度を80%となるまで大きくし、右側への送風量を増大させる。
【0069】
したがって、上述の構成によれば、運転席側のミックスドア15が運転席側総合信号TDrに基づいて、助手席側のミックスドア16が助手席側総合信号TAsに基づいて、送風機7やインテークドア5、モードドア20a〜20c、21a〜21cが運転席側総合信号TDrと助手席側総合信号TAsとに基づいてそれぞれ制御されることとなるが、運転席側総合信号TDrは、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を運転席側仮総合信号TDr' に加えて形成され、助手席側総合信号TAsは、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を助手側仮総合信号TAs' に加えて形成されており、しかも、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応したそれぞれの演算項を外気温度と吹出モードとによって補正するようにしているので、一方の空調ゾーンを空調制御するにあたり、他方の空調制御の影響を適切に反映させることができるようになる。
【0070】
つまり、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' は、設定温度のみならず外気温や車室内温度、日射量などをパラメータとする時間と共に変化する因子であり、このような運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を加味することで、設定温度のみならず、設定温度以外の変化要因を適切に捉えて制御に反映させることができ、過渡時の適切な補正が可能となる。また、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を外気温度と吹出モードとによって補正するようにしているので、設定温度が設定された後に外部負荷が変動するような場合においても、吹出温度のオーバーシュートが生じたり、逆に吹出温度変化が小さくなるまでに時間がかかってしまう等の不具合が生じることを抑えることが可能となる。逆に、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を外気温度と吹出モードとによって補正することで、変化を望んでいる側の空調ゾーンに対しては吹出温度を積極的にオーバシュートさせ、変化を望んでいない側の空調ゾーンに対しては吹出温度の変化量を規制することも可能となり、それぞれの空調ゾーンの過渡フィーリングの向上を図ることが可能となる。
【0071】
特に、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を外気温度で補正することで、外気温変化に伴うそれぞれの空調ゾーンの干渉度合いの変化を補正することが可能となり、また、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を吹出モードで補正することで、例えばベントモード時の左右空調ゾーンの干渉度合いとフットモード時の左右空調ゾーンの干渉度合いの違いを補正することも可能となる。
【0072】
尚、上述の構成においては、運転席側仮総合信号TDrと助手席側仮総合信号TAsとの差に対応した演算項を外気温度と吹出モードとの両方によって補正する例を示したが、外気温度と吹出モードのいずれか一方によって補正するようにしてもよい。また、上述の構成のように、配風ドア22を備えた構成においては、配風ドア22による配風比の変化によってそれぞれの空調ゾーンの干渉度合い(温度干渉や気流干渉など)が変化することから、図22に示されるように、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を配風ドア22による配風比(運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとに振り分けられる風量の割り合いであり、運転席側空調ゾーンに供給される風量の総風量に対する割り合いを運転席側配風比F1とし、助手席側空調ゾーンに供給される風量の総風量に対する割り合いを助手席側配風比(1−F1)とする)に応じて補正するようにしてもよい。
【0073】
即ち、運転席設定温度TsetDr 、制御用運転席日射補正量QSDDr、室内温度Tr、及び外気温Taに基づいて運転席側仮総合信号TDr' を演算し、助手席設定温度TsetAs 、制御用助手席日射補正量QSDAs,室内温度Tr、及び制御用外気温度TaDに基づいて助手席側仮総合信号TAs' を演算する。そして、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差を演算し、この仮総合信号の差に対して配風比を考慮した値と運転席側仮総合信号TDr' とから運転席側総合信号TDrを演算し、仮総合信号の差に対して配風比を考慮した値と助手席側仮総合信号TAs' とから助手席側総合信号TAsを演算する処理が行われる。
【0074】
より具体的には、前記ステップ68で行われる総合信号演算処理を、図23に示されるように、ステップ270において、仮総合信号の演算を行い、ステップ272において、総合信号の演算を行い、ステップ274において、モードドアを制御するためのモード制御用総合信号を演算する。
【0075】
つまり、ステップ270の仮総合信号演算処理においては、室内温度Tr、制御用外気温度TaD、制御用運転席側日射補正量QSDDr、外気補正された運転席側設定温度T'setDrをパラメータとして運転席側仮総合信号TDr' を前記数1式に基づいて演算し、室内温度Tr、制御用外気温度TaD、制御用助手席側日射補正量QSDAs、外気補正された助手席側設定温度T'setAsをパラメータとして助手席側仮総合信号TAs' を前記数2式に基づいて演算する。その後、ステップ272の総合信号の演算においては、ステップ270で演算されたTDr' に対し、TDr' とTAs' との差に補正ゲインE1と助手席側配風比(1−F1)とを乗じた補正項を付加して運転席側総合信号TDrを下記の数7式に基づいて演算し、ステップ270で演算されたTAs' に対し、TDr' とTAs' との差に補正ゲインE2と運転席側配風比F1とを乗じた補正項を付加して助手席側総合信号TAsを下記の数8式に基づいて演算する。
【0076】
【数7】
Figure 0004521649
【0077】
【数8】
Figure 0004521649
【0078】
ここで、補正ゲインE1,E2は、所定の固定値であっても、前記数3式、数4式の演算と同様に、図14に示されるように、制御用外気温度TaDに応じた運転席側外気温補正定数E1ambと、助手席側外気温補正定数E2ambを演算し(ステップ190)、吹出モードに応じた運転席側モード補正定数E1mode と、助手席側モード補正定数E2mode を演算し(ステップ192)、E1をE1amb+E1mode として算出し、E2をE2amb+E2mode として算出するようにしてもよい(ステップ194)。
【0079】
そして、ステップ274のモード制御用総合信号の演算においては、ステップ272で演算された運転席側総合信号TDrと制御用運転席側日射補正量QSDDrとから運転席側モード制御用総合信号TMDr を前記数5式に基づいて演算し、助手席側総合信号TAsと制御用助手席側日射補正量QSDAsとから助手席側モード制御用総合信号TMAs を前記数6式に基づいて演算する。尚、他の構成については、前述した構成と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
したがって、このような構成においては、運転席側のミックスドア15を運転席側総合信号TDrに基づいて、助手席側のミックスドア16を助手席側総合信号TAsに基づいて、送風機7やインテークドア5、モードドア20a〜20c、21a〜21cを運転席側総合信号TDrと助手席側総合信号TAsとに基づいてそれぞれ制御するにあたり、運転席側総合信号TDrを、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を運転席側仮総合信号TDr' に加えて形成し、助手席側総合信号TAsを、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応した演算項を助手側仮総合信号TAs' に加えて形成し、しかも、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に対応したそれぞれの演算項を配風比によって補正するようにしたので、一方の空調ゾーンを空調制御するにあたり、他方の空調制御の影響を適切に反映させることができるようになる。
【0081】
つまり、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' は、設定温度のみならず外気温や車室内温度、日射量などをパラメータとする時間と共に変化する因子であり、このような運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を加味することで、設定温度のみならず、設定温度以外の変化要因を適切に捉えて制御に反映させることができ、過渡時の適切な補正が可能となる。しかも、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項を配風比によって補正するようにしているので、風量比の変化がもたらすそれぞれの空調ゾーンの温度干渉や気流干渉の度合いの変化も適切に補正することが可能となる。
【0082】
ところで、一方の空調ゾーンの環境が変化した場合に、他方の空調ゾーンの環境を即座に追従して変化するものとすれば、他方の空調ゾーンの空調をかえって阻害しかねない場合もある。このため、上述した総合信号を演算するにあたり、運転席側仮総合信号TDr' と助手席側仮総合信号TAs' との差に基づく補正量を遅延して加味することが望ましい。
【0083】
これを実現する具体的な構成としては、上述したステップ184、272の総合信号演算を行うにあたり、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE1(TAs' −TDr' )とE2(TDr' −TAs' )の変化を実際の変化よりも遅延させる処理を行うようにするとよい。
【0084】
運転席側の演算項であるE1(TAs' −TDr' )の遅延については、図24に示されるように、助手席側の設定温度を判定し(ステップ280)、助手席側の設定温度が最小値(18℃)に設定されている場合、及び、最大値(32℃)に設定されている場合には、助手席側の急速冷房または急速暖房によって運転席側の空調ゾーンが大きく影響を受けることから遅延を行わず(ステップ282、284)、設定温度が最大値又は最小値に設定されていない場合、即ち、助手席側のミックスドア16がフルホット位置又はフルクール位置にない場合には、運転席側総合信号TDrの大きさを判定し(ステップ286)、この大きさに応じて遅延の状態を変化させる。即ち、運転席側のミックスドア15が、図26に示されるように、目標吹出温度の変化によって変化しやすくなる制御領域、即ち、運転席側総合信号TDrの絶対値が所定値Aよりも小さくなる制御領域(|TDr|<A)であれば、遅延を大きくし(ステップ288)、運転席側のミックスドア15が目標吹出温度の変化によって変化しにくくなる制御領域、即ち、|TDr|≧Aとなる制御領域であれば、遅延を小さくする制御を行う(ステップ290、292)。
【0085】
同様に、助手席側の演算項であるE2(TDr' −TAs' )の遅延については、図25に示されるように、運転席側の設定温度を判定し(ステップ294)、運転席側が設定温度が最小値(18℃)に設定されている場合、及び、最大値(32℃)に設定されている場合には、運転席側の急速冷房または急速暖房によって助手席側の空調ゾーンが大きく影響を受けることから遅延を行わず(ステップ296、298)、設定温度が最大値又は最小値に設定されていない場合、即ち、運転席側のミックスドア15がフルホット位置又はフルクール位置にない場合には、助手席側総合信号TAsの大きさを判定し(ステップ300)、この大きさに応じて遅延の状態を変化させる。即ち、助手席側のミックスドア16が、図26に示されるように、目標吹出温度の変化によって変化しやすくなる制御領域、即ち、運転席側総合信号TDrの絶対値が所定値Aよりも小さくなる制御領域(|TAs|<A)であれば、遅延を大きくし(ステップ302)、助手席側のミックスドア16が目標吹出温度の変化によって変化しにくくなる制御領域、即ち、|TAs|≧Aとなる制御領域であれば、遅延を小さくする制御を行う(ステップ304、306)。
【0086】
よって、このような遅延制御を行えば、車室内の温調状態が安定している場合に片側の空調ゾーンだけ設定温度の変更などによって温調状態が変更する場合であっても、他方の空調ゾーンの温調がこれに伴って即座に変化されてフィーリングが悪化することを避けることができるようになる。
【0087】
しかも、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に基づく補正量の遅延を吹き出し温度が変化しやすい制御領域で大きくし、吹き出し温度が変化しにくい制御領域で小さくするようにしたので、他方の空調ゾーンへの影響度合いに応じて過渡時における空調制御のよりきめ細かい補正が可能となり、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。また、補正量の遅延をフルクール時、又は、フルホット時には行わないようにしたので、一方の空調ゾーンの急激な空調変化による他方の空調ゾーンへの熱影響を速やかに防ぐことが可能となる。
【0088】
図27、28において、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE1(TAs' −TDr' )とE2(TDr' −TAs' )を遅延させる他の処理例が示されている。この例において運転席側の演算項であるE1(TAs' −TDr' )に対しては、図27に示されるように、助手席側の設定温度を判定し(ステップ310)、助手席側の設定温度が最小値(18℃)に設定されている場合、及び、最大値(32℃)に設定されている場合には、助手席側の急速冷房または急速暖房によって運転席側の空調ゾーンが大きく影響を受けることから遅延を行わず(ステップ312、314)、助手席側の設定温度が最大値又は最小値に設定されていない場合、即ち、助手席側のミックスドア16がフルホット位置又はフルクール位置にない場合には、所定時間当たりの助手席側総合信号の変化量ΔTAsを演算し(ステップ316)、この変化量が大きくなるほど遅延量を大きくするようにしている(ステップ318)。
【0089】
同様に、助手席側の演算項であるE2(TDr' −TAs' )に対しては、図28に示されるように、運転席側の設定温度を判定し(ステップ320)、運転席側が設定温度が最小値(18℃)に設定されている場合、及び、最大値(32℃)に設定されている場合には、運転席側の急速冷房または急速暖房によって助手席側の空調ゾーンが大きく影響を受けることから遅延を行わず(ステップ322、324)、運転席側の設定温度が最大値又は最小値に設定されていない場合、即ち、運転席側のミックスドア15がフルホット位置又はフルクール位置にない場合には、所定時間当たりの運転席側総合信号の変化量ΔTDrを演算し(ステップ326)、この変化量の大きくなるほど遅延量を大きくするようにしている(ステップ328)。
【0090】
よって、このような遅延制御を行えば、前記構成例と同様に、車室内の温調状態が安定している場合に片側の空調ゾーンだけ設定温度の変更などによって温調状態が変更する場合であっても、他方の空調ゾーンの温調がこれに伴って即座に変化されてフィーリングが悪化することを避けることができるようになる。
【0091】
しかも、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量の遅延を総合信号の変化量が大きいほど大きくしたので、他方の空調ゾーンへの影響度合いに応じて過渡時のおける空調制御のよりきめ細かい補正が可能となり、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。また、補正項の遅延をフルクール時、又は、フルホット時には行わないようにしたので、一方の空調ゾーンの急激な空調変化による他方の空調ゾーンへの熱影響を速やかに防ぐことが可能となる。
【0092】
尚、上述の構成においては、車両の左右を独立温調する車両用空気調和装置について説明したが、車両の前後を独立温調する場合など、隣接する空調ゾーンを独立温調する場合に適した構成である。また、モードドアを左右で連動させる構成例を示したが、ミックスドアのように左右で独立に制御するようにしても、インテーク切替装置4、送風機7、エバポレータ8、ヒータコア14などを左右で別々に設けて同様の制御を行うようにしてもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、第1の温度設定手段によって設定された温度と車室内外の熱負荷情報とを加味して第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算し、第2の温度設定手段によって設定された温度と車室内外の熱負荷情報とを加味して第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算し、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を第1の仮総合信号に加味して第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算し、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を第2の仮総合信号に加味して第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算し、第1の総合信号に基づいて第1の空調ゾーンを空調し、第2の総合信号に基づいて第2の空調ゾーンを空調するようにしたので、車室内外の熱負荷変動をも含む空調制御の過渡時における空調ゾーン相互間の影響を適切に補正することができ、それぞれの空調ゾーンを過渡時においても快適に空調制御することができるようになる。
【0094】
特に、空調風の吹出モードを変更する手段を有する通常の車両用空気調和装置において、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を外気温度および吹出モードの少なくとも一方に応じて補正した量とすれば、外気温度や吹出モードの変化に伴う空調ゾーン相互間の干渉度合いの変化を的確に考慮してより適切に空調制御の過渡時における補正を行うことが可能となり、過渡時における吹出温度のオーバーシュートを防止することができ、また吹出温度変化が小さくなるまでの時間を短くすることも可能となる。さらに、補正量を外気温度および吹出モードの少なくとも一方に応じて補正するようにしていることから、変化を望んでいる側の空調ゾーンへの吹出温度はオーバーシュートさせ、変化を望んでいない側の空調ゾーンへの吹出温度は変化量を規制するような制御も可能となり、それぞれの空調ゾーンの過渡時おけるフィーリングを向上させることが可能となる。
【0095】
また、第1の空調ゾーンと第2の空調ゾーンへの配風比を調節する手段を有する車両用空気調和装置において、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差を配風比に応じて補正した量とすれば、配風比の変化に伴う空調ゾーン相互間の干渉度合いの変化を考慮してより適切に過渡時の補正を行うことが可能となる。
【0096】
さらにまた、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設けるようにすれば、一方の空調ゾーンの空調状態の変動に伴って他方の空調ゾーンの空調状態が即座に変更されてフィーリングが悪化することを避けることができるようになる。
【0097】
この際、第1の仮総合信号と第2の仮総合信号との差に基づく補正量の遅延は、吹き出し温度が変化しやすい制御領域であれば遅延を大きくし、吹き出し温度が変化しにくい制御領域であれば遅延を小さくするようにしても、総合信号の変化量が大きいほど遅延を大きくするようにしてもよく、これにより、過渡時におけるよりきめ細かい空調制御の補正が可能となり、温度変化を体感することによるフィーリングの悪化を低減することが可能となる。
【0098】
また、温度設定手段によって設定された温度が最大値又は最小値である場合に、補正量の遅延を行わないようにすれば、急激に変化する一方の空調ゾーンの空調変化によって他方の空調ゾーンへの熱影響を適切に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる車両用空気調和装置を示す図である。
【図2】図2は、コントロールユニットによる空調制御の動作例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図2に示すステップ62の外気温遅延処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図4は、図2に示すステップ64の日射補正演算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4に示すステップ110の日射方位演算処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図4に示すステップ112の平均日射量演算処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、平均日射量の演算を説明するための説明図である。
【図8】図8は、図4に示すステップ114の左右日射量演算処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図2に示すステップ66の日射補正遅延処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図10は、日射補正遅延処理を説明するための説明図である。
【図11】図11は、各種総合信号を演算する過程を説明するブロック図である。
【図12】図12は、図2に示すステップ68の総合信号演算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】図13は、制御用外気温度と補正項α1、α2との関係を示す特性線図である。
【図14】図14は、総合信号演算に用いる定数E1、E2を演算するフローチャートである。
【図15】図15は、図2に示すステップ70のミックスドア制御のうち、運転席側のミックスドア制御を示すフローチャートである。
【図16】図16は、図2に示すステップ70のミックスドア制御のうち、助手席側のミックスドア制御を示すフローチャートである。
【図17】図17は、図2に示すステップ72の送風機制御の内容を説明する特性線図である。
【図18】図18は、図2に示すステップ74のモードドア制御の内容を説明する特性線図である。
【図19】図19は、図2に示すステップ76のインテークドア制御の内容を説明する特性線図である。
【図20】図20は、図2に示すステップ78のコンプレッサ制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】図21は、図2に示すステップ80の配風ドア制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】図22は、各種総合信号を演算する過程を説明する他のブロック図である。
【図23】図23は、図2に示すステップ68の総合信号演算処理のサブルーチンの他の例を示すフローチャートである。
【図24】図24は、図12又は図23に示す総合信号の演算処理において、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE1(TAs' −TDr' )の遅延処理の例を示すフローチャートである。
【図25】図25は、図12又は図23に示す総合信号の演算処理において、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE2(TDr' −TAs' )の遅延処理の例を示すフローチャートである。
【図26】図26は、ミックスドア開度と遅延量との関係を説明する特性線図である。
【図27】図27は、図12又は図23に示す総合信号の演算処理において、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE1(TAs' −TDr' )の遅延処理の他の例を示すフローチャートである。
【図28】図28は、図12又は図23に示す総合信号の演算処理において、運転席側仮総合信号と助手席側仮総合信号との差に対応した演算項であるE2(TDr' −TAs' )の遅延処理の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12 運転席側分路
13 助手席側分路
18a,19a デフロスト吹出口
18b,19b ベント吹出口
18c,19c フット吹出口
20a,21a デフドア
20b,21b ベントドア
20c,21c フットドア
22 配風ドア
31 室内温度センサ
32 外気温センサ
33 日射センサ
33a 右日射センサ
33b 左日射センサ
45 運転席側温度設定器
46 助手席側温度設定器

Claims (6)

  1. 車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するようにした車両用空気調和装置において、
    前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、
    前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、
    車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、
    前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、
    前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、
    前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、
    前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、
    前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、
    前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、
    前記補正量の遅延は、吹き出し温度が変化しやすい制御領域であれば遅延を大きくし、吹き出し温度が変化しにくい制御領域であれば遅延を小さくすることを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するようにした車両用空気調和装置において、
    前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、
    前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、
    車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、
    前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、
    前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、
    前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、
    前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、
    前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、
    前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、
    前記補正量の遅延は、前記総合信号の変化量が大きいほど遅延を大きくすることを特徴とする車両用空気調和装置。
  3. 車室内の第1の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口と第2の空調ゾーンに対応して設けられた吹出口とを有し、それぞれの空調ゾーンを対応する前記吹出口からの空調風によって個別に空調制御するようにした車両用空気調和装置において、
    前記第1の空調ゾーンの温度を設定する第1の温度設定手段と、
    前記第2の空調ゾーンの温度を設定する第2の温度設定手段と、
    車室内温度、外気温度を含む車室内外の熱負荷情報を検出する熱負荷情報検出手段と、
    前記第1の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための暫定的な第1の仮総合信号を演算する第1の仮総合信号演算手段と、
    前記第2の温度設定手段によって設定された温度と前記熱負荷情報検出手段によって検出された熱負荷情報とを加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための暫定的な第2の仮総合信号を演算する第2の仮総合信号演算手段と、
    前記第1の仮総合信号演算手段で演算された第1の仮総合信号に対し、この第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第1の空調ゾーンを空調するための第1の総合信号を演算する第1の総合信号演算手段と、
    前記第2の仮総合信号演算手段で演算された第2の仮総合信号に対し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を加味して前記第2の空調ゾーンを空調するための第2の総合信号を演算する第2の総合信号演算手段とを備え、
    前記第1の総合信号演算手段によって演算された第1の総合信号に基づいて前記第1の空調ゾーンを空調し、前記第2の総合信号演算手段によって演算された第2の総合信号に基づいて前記第2の空調ゾーンを空調するようにし、
    前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量を遅延して加味する手段を設け、
    前記温度設定手段によって設定された温度が最大値又は最小値である場合には、前記補正量の遅延を行わないことを特徴とする車両用空気調和装置。
  4. 前記空調風の吹出モードを変更する手段を有し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量は、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差を前記外気温度および前記吹出モードの少なくとも一方に応じて補正した量である請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記第1の空調ゾーンと前記第2の空調ゾーンとの配風比を調節する手段を有し、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差に基づく補正量は、前記第1の仮総合信号と前記第2の仮総合信号との差を前記配風比に応じて補正した量である請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
  6. 前記第1の空調ゾーンは運転席側の空調ゾーンであり、前記第2の空調ゾーンは助手席側の空調ゾーンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
JP2000350391A 2000-11-17 2000-11-17 車両用空気調和装置 Expired - Fee Related JP4521649B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000350391A JP4521649B2 (ja) 2000-11-17 2000-11-17 車両用空気調和装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000350391A JP4521649B2 (ja) 2000-11-17 2000-11-17 車両用空気調和装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002144840A JP2002144840A (ja) 2002-05-22
JP4521649B2 true JP4521649B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=18823621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000350391A Expired - Fee Related JP4521649B2 (ja) 2000-11-17 2000-11-17 車両用空気調和装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4521649B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103216916A (zh) * 2013-04-28 2013-07-24 惠州市德赛西威汽车电子有限公司 一种汽车空调温度补偿控制系统及其控制方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101146887B1 (ko) 2005-02-21 2012-05-16 한라공조주식회사 차량용 공조장치 제어방법
JP5344883B2 (ja) 2008-10-10 2013-11-20 三菱重工業株式会社 車両用空気調和装置及び車両用空気調和装置の制御方法並びにプログラム
JP5511995B2 (ja) * 2013-01-15 2014-06-04 三菱重工業株式会社 車両用空気調和装置及び車両用空気調和装置の制御方法並びにプログラム
WO2019138807A1 (ja) * 2018-01-09 2019-07-18 株式会社ヴァレオジャパン 車両用空調装置及び車両用空調装置の制御方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103216916A (zh) * 2013-04-28 2013-07-24 惠州市德赛西威汽车电子有限公司 一种汽车空调温度补偿控制系统及其控制方法
CN103216916B (zh) * 2013-04-28 2016-09-28 惠州市德赛西威汽车电子股份有限公司 一种汽车空调温度补偿控制系统及其控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002144840A (ja) 2002-05-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6898946B2 (en) Vehicle air-conditioning system
JP2004142646A (ja) 車両用空調装置
JP2006089018A (ja) 車両用空調装置
JP2012001200A (ja) 車両用空調装置
US7409984B2 (en) Air-conditioner for vehicle use
JP2010030435A (ja) 車両用空調装置
JP4521649B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP5549639B2 (ja) 車両用空調装置
JP2000085338A (ja) 車両用空調装置
JP2002036847A (ja) 車両用空調装置
JP4521650B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP3322012B2 (ja) 車両用空調装置
JP4632110B2 (ja) 車両用空気調和装置
JP4313175B2 (ja) 車両用空調装置
JP2002219923A (ja) 車両用空気調和装置
JPH0446819A (ja) 自動車用空気調和装置
JP2002187419A (ja) 車両用空気調和装置
JP3070383B2 (ja) 車両用空調制御装置
JP3344249B2 (ja) 車両用空調装置
JP2002234330A (ja) 車両用空気調和装置
JPH0367718A (ja) 車両用空調制御装置
JPH0454005Y2 (ja)
JP3778052B2 (ja) 車両用空調装置
JPH0645362Y2 (ja) 自動車用空気調和装置
JP2004130913A (ja) 車両用空調装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20001117

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100420

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100513

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4521649

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees