しかしながら、特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、外側ビード部の内径と内側ビード部の内径とが同一に設定されていたため、以下のような問題点があった。すなわち特許文献1に記載のリムでは、ビードシートが幅方向に一定径であるため、隣接する気室の内圧が異なる場合等、隔壁部が動いてしまい空気漏れを生ずる場合がある。
そこで、実際には、隔壁部に形成された内側ビード部を固定するため、一定径のリムでは接着剤を用いて固定せざるを得ず、また、接着剤を使用しない場合には、内側ビード部の移動を阻止するための背の高いハンプ部を内側ビード部の横に配置した特殊形状のリムを使用しなければならず、リム組みの際に隔壁部の内側ビード部がハンプ部に引っ掛かり、また、タイヤ内側も見えないため、隔壁部の内側ビード部を所定の位置に配置することが困難で、リム組み作業が非常に困難であった。
また、特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、タイヤ転動に伴ってタイヤが繰り返し撓むことにより、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分とが剥離してしまうことがあった。
特に、タイヤ気室のうちタイヤ幅方向中央の主気室の内圧よりもタイヤ幅方向両側の副気室の内圧を高くした状態で、例えば、高速道路等を走行すると、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分とを分離する力が強まるため、第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分との剥離が生じやすくなるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、タイヤ内側に形成された隔壁部によってタイヤ気室がタイヤ幅方向に複数に分割されてなる空気入りタイヤ、及びタイヤ・リム組立体において、空気入りタイヤのリムへの組み付け作業を改善すると共に、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の耐久性を向上させることを目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向両側に形成された左右一対のタイヤサイド部と、前記左右一対のタイヤサイド部のうち一方のタイヤサイド部のタイヤ径方向外側端と他方のタイヤサイド部のタイヤ径方向外側端とを連結するトレッド部と、前記左右一対のタイヤサイド部のそれぞれに形成された外側ビード部の間に前記外側ビード部とはタイヤ幅方向に離間して設けられ、前記タイヤサイド部及び前記トレッド部の少なくとも一方のタイヤ内側面からタイヤ径方向内側に延びると共に、タイヤ径方向内側端にリムと接触する内側ビード部を有して構成され、且つ、前記タイヤサイド部と前記トレッド部と前記リムとで形成されるタイヤ気室をタイヤ幅方向に三分割する左右一対の隔壁部と、を備えた空気入りタイヤにおいて、前記外側ビード部の内径が、前記内側ビード部の内径よりも大きく形成され、前記隔壁部の前記タイヤ内側面との連結部を介して前記隔壁部から前記タイヤサイド部に至る領域には、前記隔壁部の前記タイヤ内側面との連結部を介して前記隔壁部から前記タイヤサイド部に連続するように左右一対の補強層が設けられていることを特徴としている。
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
外側ビード部の内径が内側ビード部の内径よりも大きく形成された請求項1に記載の空気入りタイヤは、外側ビード部の内径と同径に設定された外側ビードシート、及び外側ビードシートのタイヤ軸方向内側に段部を介して設けられ内側ビード部の内径と同径に設定された内側ビードシートを備えたリムに組み付けられ、これにより、タイヤ軸方向に独立した3つのタイヤ気室を備えたタイヤ・リム組立体が得られる。
このタイヤ・リム組立体は、釘踏み等による接地面でのパンクや、縁石擦れなどによるサイド部のパンク等の何れにおいても、他のパンクしていないタイヤ気室が荷重を支持するので、若干の操縦安定性と振動乗心地の悪化は伴うが、問題なく安全に走行を続けることができる。
リムには、外側ビード部が装着される外側ビードシートと内側ビード部が装着される内側ビードシートとの間に、両者の径差によって、内側ビード部のタイヤ幅方向外側への移動を阻止する段部が形成されるため、リム組みの際に内側ビード部が引っかり作業性を悪化させる背の高いハンプ部を内側ビード部のタイヤ幅方向外側に形成する必要がなく、リム組みが容易になる。
なお、内側ビード部のタイヤ幅方向内側のハンプ部は、必須ではない。
また、請求項1に記載の空気入りタイヤには、隔壁部のタイヤ内側面との連結部を介して隔壁部からタイヤサイド部に至る領域に左右一対の補強層が設けられているので、この補強層により、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を向上させることができる。このため、タイヤ転動に伴ってタイヤが繰り返し撓んでも、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で剥離が生じてしまうことを防止することができる。このように、本発明の空気入りタイヤによれば、補強層を設けることにより、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の耐久性を向上させることができる。
特に、タイヤ気室のうちタイヤ幅方向中央の主気室の内圧よりもタイヤ幅方向両側の副気室の内圧を高くした状態で、例えば、高速道路等を走行しても、補強層によって隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を向上させることにより、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で剥離が生じることを抑制することができる。このように、本発明の空気入りタイヤによれば、高速走行時の耐久性も従来に比して各段に向上させることができる。
そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、補強層が、傾斜コード層、3軸織物、不織布のいずれかにより又はこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴としている。
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
このように、補強層が、傾斜コード層、3軸織物、不織布のいずれかにより又はこれらの組み合わせにより構成されていると、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度をより高めることができるので好適である。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、外側ビード部の内径をROとし、内側ビード部の内径をRIとしたときに、0<RO−RI<50mmを満足する、ことを特徴としている。
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
外側ビード部の内径ROと内側ビード部の内径RIとの関係が、RO=RIであると、隔壁部に形成された内側ビード部のタイヤ軸方向外側への移動を阻止するための背の高いハンプ部を設けたリムを用いなければならず、組み付け作業が非常に困難にならざるを得なくなる。また、RO−RI≧50mmとなると、現行のタイヤ製法でのタイヤ製作が困難、かつ非現実的になる。
さらに、外側ビード部の内径ROと内側ビード部の内径RIとの関係が、RO−RI≧50mmとなると、外側ビード部の内径に対して内側ビード部の内径が小さくなりすぎ、それに伴ってリムの内径が小さくなるので、結果的にリム内側に装着可能なブレーキの径が小さくなってしまう。これは、車両運動性能を低下させる要因となる可能性があり好ましくない。
従って、0<RO−RI<50mmを満足させると、上記の如く不都合が生じることを防止することができるので好適である。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記隔壁部と前記タイヤ内側面との連結部に位置する前記補強層のタイヤ径方向最外側の部分を前記補強層の折り返し屈曲点とすると共に、前記補強層の折り返し屈曲点から前記補強層に沿って前記内側ビード部側へ延びる部分の前記補強層の長さをW1とし、前記補強層の折り返し屈曲点から前記補強層に沿って前記外側ビード部側へ延びる部分の前記補強層の長さをW2とし、前記補強層を前記隔壁部に沿って前記内側ビード部のビードベース突出端を通過するタイヤ回転軸方向と平行な内側ビード部突出端基準線にまで仮想的に延長させたときの前記補強層の折り返し屈曲点から前記補強層の仮想延長線と前記内側ビード部突出端基準線との交点に至る部分の前記隔壁部の長さをFH1とし、前記補強層を前記タイヤサイド部に沿って前記外側ビード部のビードベース突出端を通過するタイヤ回転軸方向と平行な外側ビード部突出端基準線にまで仮想的に延長させたときの前記補強層の折り返し屈曲点から前記補強層の仮想延長線と前記外側ビード部突出端基準線との交点に至る部分の前記タイヤサイド部の長さをFH2としたときに、10mm≦W1≦FH1で、且つ、10mm≦W2≦FH2を満足する、ことを特徴としている。
なお、この場合の内側ビード部のビードベース突出端とは、内側ビード部に形成されたビードベースのうちタイヤ径方向内側に最も突出した部分(例えば、内側ビード部のビードトゥ)のことであり、外側ビード部のビードベース突出端とは、外側ビード部に形成されたビードベースのうちタイヤ径方向内側に最も突出した部分(例えば、外側ビード部のビードトゥ)のことである。
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って内側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW1について、10mm<W1とすると、補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って内側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW1が短すぎるために、補強層を有しない従来の空気入りタイヤのように、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を確保することができず、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で剥離が生じる虞がある。
同様に、補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って外側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW2について、10mm<W2とすると、補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って外側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW2が短すぎるために、補強層を有しない従来の空気入りタイヤのように、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を確保することができず、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で剥離が生じる虞がある。
従って、補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って内側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW1と、補強層の折り返し屈曲点から補強層に沿って外側ビード部側へ延びる部分の補強層の長さW2とについて、請求項4に記載の発明の如く所定の数値範囲を設けると、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を十分に確保することができ、これにより、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で剥離が生じることを確実に防止することができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記左右一対の外側ビード部には、タイヤ周方向に沿って延びる外側ビードコアがそれぞれ設けられ、前記左右一対の内側ビード部には、前記外側ビードコアのタイヤ幅方向内側に配置され、タイヤ周方向に沿って延びる内側ビードコアがそれぞれ設けられ、一方の前記タイヤサイド部から前記トレッド部を介して他方の前記タイヤサイド部に至る領域には、前記一対の外側ビードコア間にトロイダル状に跨るように構成されると共にタイヤ幅方向両端側が前記一対の外側ビードコアのそれぞれに係止された第一のカーカスプライが設けられ、一方の前記隔壁部から前記トレッド部を介して他方の前記隔壁部に至る領域には、前記第一のカーカスプライのタイヤ内側に配置され、前記一対の内側ビードコア間にトロイダル状に跨るように構成されると共にタイヤ幅方向両端側が前記一対の内側ビードコアのそれぞれに係止された第二のカーカスプライが設けられ、前記左右一対の隔壁部には、前記タイヤサイド部及び前記トレッド部の少なくとも一方のタイヤ内側面から前記第二のカーカスプライのタイヤ外側に沿ってタイヤ径方向内側に延びると共に、タイヤ径方向内側端がリムに接触するように形成された隔壁ゴム層がそれぞれ設けられ、前記左右一対の補強層のそれぞれは、前記第一のカーカスプライのタイヤ内側で且つ前記第二のカーカスプライのタイヤ外側に配置されていることを特徴としている。
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項5に記載の空気入りタイヤでは、左右一対の補強層が、第一のカーカスプライのタイヤ内側で且つ第二のカーカスプライのタイヤ外側に配置されると共に、隔壁部のタイヤ内側面との連結部を介して隔壁部からタイヤサイド部に連続するように設けられている。
従って、この補強層により、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の強度を向上させることができるため、タイヤ転動に伴ってタイヤが繰り返し撓んでも、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分とが剥離してしまうことを防止することができる。
特に、タイヤ気室のうちタイヤ幅方向中央の主気室の内圧よりもタイヤ幅方向両側の副気室の内圧を高くした状態で、例えば、高速道路等を走行すると、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分が剥離するように作用する力が増大するが、請求項5に記載の発明によれば、補強層により、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分とが剥離してしまうことを確実に阻止することができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第二のカーカスプライのタイヤ幅方向一端側は、前記左右一対の内側ビードコアの一方にタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられ、前記第二のカーカスプライのタイヤ幅方向他端側は、前記左右一対の内側ビードコアの他方にタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられていることを特徴としている。
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
第一のカーカスプライは、タイヤサイド部(ビード部、サイドウォール部、タイヤショルダー部)、及びトレッド部を補強し、第二のカーカスプライは、隔壁部、及びトレッド部を補強する。中央のタイヤ気室は、主に第一のカーカスプライの上に設けたベルトの張力を分担することになるので、ここでの内圧を両側のタイヤ気室対比で低めに設定することで、大きな接地面積を確保し、例えば、グリップ力の向上を図ることができる。
一方、両側のタイヤ気室は、主にタイヤのサイド部のプライ張力を分担するので、ここの内圧を中央のタイヤ気室対比で高めに設定することで、タイヤ横剛性を高くでき、例えば、操縦安定性の向上を図ることができる。
ところで、第二のカーカスプライの幅方向端が内側ビードコアに対してタイヤ内側から外側へ向けて巻き上げられている空気入りタイヤを用いた場合、仮に両側のタイヤ気室の内圧を中央のタイヤ気室対比で高めに設定すると、圧力差により隔壁部がタイヤ中央側に押圧されることになり、両側の気室の内圧が隔壁部内の第二のカーカスプライに与えるコード張力により、ビードコア及びビードコア下のゴムが図1の矢印A方向に回転しようとする力が加わる。
したがって、中央のタイヤ気室の内圧よりも両側のタイヤ気室の内圧が相対的に高く、かつ中央のタイヤ気室と両側のタイヤ気室との差圧が大きくなると(例えば、50kPa以上の差圧)、隔壁部がリムの所定位置から外れてしまう場合がある。
一方、請求項6に記載の発明のように、第二のカーカスプライのタイヤ幅方向一端側が左右一対の内側ビードコアの一方にタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられ、第二のカーカスプライのタイヤ幅方向他端側が左右一対の内側ビードコアの他方にタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられていると、両側の気室の内圧が隔壁部内の第二のカーカスプライに与えるコード張力により、ビードコア及びビードコア下のゴムが図3の矢印B方向に回転しようとする力が加わる。
したがって、中央のタイヤ気室の内圧よりも両側のタイヤ気室の内圧が相対的に高く、かつ中央のタイヤ気室と両側のタイヤ気室との差圧が大きい場合や、釘踏み(所謂パンク)により結果的に中央のタイヤ気室の内圧が零になった場合であっても、隔壁部はリムの所定位置から外れず、タイヤ軸方向両側のタイヤ気室の内圧を維持できる。
請求項7に記載のタイヤ・リム組立体は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤと、前記空気入りタイヤを装着するリムと、を備え、前記リムは、前記左右一対の外側ビード部の内周面にそれぞれ接触する左右一対の外側ビードシートと、前記左右一対の外側ビードシートのそれぞれのリム軸方向内側に段部を介して設けられ、前記外側ビードシートよりも小径に設定されて前記左右一対の内側ビード部のそれぞれの内周面に接触する左右一対の内側ビードシートと、前記左右一対の内側ビードシートの一方と他方の間に設けられ、前記内側ビードシートよりも小径に設定されたドロップと、を有することを特徴としている。
次に、請求項7に記載のタイヤ・リム組立体の作用を説明する。
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤをリムに装着することで、ビード部の内周面が側ビードシートに接触し、隔壁部の内周面が内側ビードシートに接触し、これによりタイヤ軸方向に独立した3つのタイヤ気室を備えたタイヤ・リム組立体が得られる。
このため、釘踏み等による接地面でのパンクや、縁石擦れなどによるサイド部のパンク等の何れにおいても、他のパンクしていないタイヤ気室が荷重を支持するので、若干の操縦安定性と振動乗心地の悪化は伴うが、問題なく安全に走行を続けることができる。
また、リムには、従来技術のようにリム組みの際に隔壁部を引っ掛けて作業性を悪化させるハンプ部が無く、リム組みの際にビード部、及び隔壁部をドロップに落とし込むことができるため、空気入りタイヤを容易に組付けることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のタイヤ・リム組立体において、前記タイヤ気室のうちタイヤ軸方向両側に形成されたタイヤ気室の内圧が、タイヤ軸方向中央に形成されたタイヤ気室の内圧よりも高く設定されていることを特徴としている。
次に、請求項8に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
例えば、各タイヤ気室を標準の空気圧とし、その後、タイヤ軸方向中央のタイヤ気室の空気を抜き、タイヤ軸方向両側のタイヤ気室の内圧をタイヤ軸方向中央のタイヤ気室の内圧よりも相対的に高く設定すると、タイヤ縦方向の剛性がダウンすると共に接地面積がアップするので、悪路走行時の振動乗り心地性や氷雪路走行時のグリップ性を向上することができる。
また、タイヤ軸方向両側のタイヤ気室に空気を充填して内圧を増加させると、タイヤの横剛性及び前後剛性をアップすることが可能となるので、悪路走行時の振動乗心地性や氷雪路走行時のグリップ性を向上させたまま、操縦安定性をアップさせることができる。
以上説明したように本発明の空気入りタイヤ又はタイヤ・リム組立体によれば、リムへの組み付け作業を改善することができると共に、隔壁部とタイヤ内側面との連結部の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
[第一実施形態]
はじめに、図1,図2を参照しながら、本発明の第一実施形態に係るタイヤ・リム組立体について説明する。図1,図2は本発明の第一実施形態を示す図で、図1は、リムに空気入りタイヤ(サイズ:225/55R17)を装着したタイヤ・リム組立体の構成を示す断面図、図2は図1の要部拡大図である。
(空気入りタイヤの構成)
本実施形態の空気入りタイヤ10は、乗用自動車用のタイヤとして好適に用いられるものであり、外側ビードコア18と、内側ビードコア31と、第一のカーカスプライ32と、第二のカーカスプライ37と、トレッドゴム層23と、サイドゴム層19と、隔壁ゴム層27と、ベルト36と、補強層38と、インナーライナー35,39を主要な構成として備えている。
外側ビードコア18は、タイヤ周方向に沿って延びるように構成されており、内側ビードコア31は、外側ビードコア18のタイヤ幅方向内側に配置され、タイヤ周方向に沿って延びるように構成されている。
第一のカーカスプライ32は、一対の外側ビードコア18間にトロイダル状に跨るように構成されている。第一のカーカスプライ32のタイヤ幅方向両端側は、一対の外側ビードコア18のそれぞれにタイヤ内側から外側へ向けて巻き上げられるようにして係止されている。
第二のカーカスプライ37は、第一のカーカスプライ32のタイヤ内側に配置され、一対の内側ビードコア31間にトロイダル状に跨るように構成されている。第二のカーカスプライ37のタイヤ幅方向両端側は、一対の内側ビードコア31のそれぞれにタイヤ内側から外側へ向けて巻き上げられるようにして係止されている。
なお、第一のカーカスプライ32及び第二のカーカスプライは、ラジアル配列とされたポリエステルコードやナイロンコード等の互いに平行に並べられた複数の有機繊維コードをゴムコーティングしたもので構成されている。
そして、第一のカーカスプライ32は、後述する外側ビード部16、タイヤサイド部20、及びトレッド部22を補強し、第二のカーカスプライ37は、後述する隔壁部24、及びトレッド部22を補強している。
トレッドゴム層23は、第一のカーカスプライ32のタイヤ径方向外側に設けられており、本例では、このトレッド層23によってタイヤ10にトレッド部22が構成されている。また、本例の空気入りタイヤ10のトレッド部22には、第一のカーカスプライ32のタイヤ径方向外側の位置にベルト36が配置されている。このベルト36は、例えば、2層以上のスチールコード交錯層から構成されている。
サイドゴム層19は、第一のカーカスプライ32のタイヤ軸方向外側に設けられており、本例では、このサイドゴム層19によってタイヤ10にタイヤサイド部20が構成されている。このタイヤサイド部20は、タイヤショルダー部21、サイドウォール部15、外側ビード部16の各領域に分割される。
本例の外側ビード部16は、リム12の外側ビードシート46に接触するように形成されており、この外側ビード部16には、第一のカーカスプライ32の巻上部32Aと本体部32Bとの間に、外側ビードコア18からタイヤ径方向外側に延びる外側ビードフィラー34が埋設されている。
隔壁ゴム層27は、タイヤショルダー部21のタイヤ内側から第二のカーカスプライ37のタイヤ外側に沿ってタイヤ径方向内側に延びるように構成されており、隔壁ゴム層27のタイヤ径方向内側端は、リム12の内側ビードシート48に接触するように形成されている。
本例では、このようにして第二のカーカスプライ37に沿って隔壁ゴム層27が形成されることにより、タイヤサイド部20とトレッド部22とリム12とで形成されるタイヤ気室をタイヤ幅方向に三分割する左右一対の隔壁部24が構成されている。
つまり、本例では、隔壁部24と隔壁部24との間に主気室26が形成され、矢印L方向側のタイヤサイド部20と隔壁部24との間に第一副気室28が形成され、矢印R方向側のタイヤサイド部20と隔壁部24との間に第二副気室30が形成されている。
上述のように、内側ビード部25のタイヤ径方向内側端は、リム12に密着しているため、主気室26、第一副気室28、及び第二副気室30は各々独立している。また、副気室26の内側面には、インナーライナー35が設けられており、第一副気室28,30の内側面には、インナーライナー39がそれぞれ設けられている。
なお、隔壁部24のタイヤ径方向内側の部分は、内側ビードコア31を有する内側ビード部25として形成されている。この内側ビード部25には、第二のカーカスプライ37の巻上部37Aと本体部37Bとの間に、内側ビードコア31からタイヤ径方向外側に延びる内側ビードフィラー33が埋設されている。
ここで、本例では、内側ビード部25の内径(=リム径、以下同じ)よりも外側ビード部16の内径の方が大きく形成されている。なお、外側ビード部16の内径をROとし、内側ビード部25の内径をRIとしたときに、0<RO−RI<50mmを満足するように設定することが好ましい。
これは、RO=RIであると、隔壁部のタイヤ軸方向外側への移動を阻止するための背の高いハンプ部を設けたリムを用いなければならず、組み付け作業が非常に困難にならざるを得なくなり、また、RO−RI≧50mmとなると、現行のタイヤ製法でのタイヤ製作が困難、かつ非現実的になるからである。
また、RO−RI≧50mmとなると、外側ビード部の内径に対して内側ビード部の内径が小さくなりすぎ、それに伴ってリムの内径が小さくなるので、結果的にリム内側に装着可能なブレーキの径が小さくなってしまう。これは、車両運動性能を低下させる要因となる可能性があり好ましくない。従って、0<RO−RI<50mmを満足させる必要がある。
補強層38は、後述するように、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を向上させるためのものである。本例の補強層38は、第一のカーカスプライ32のタイヤ内側で且つ第二のカーカスプライ37のタイヤ外側に配置されると共に、隔壁部24のタイヤ内側面17との連結部29を介して隔壁部24からタイヤサイド部20に連続するように設けられている。
また、本例の補強層38は、例えば、傾斜コード層、3軸織物、不織布のいずれかにより又はこれらの組み合わせにより構成されている。なお、補強層38は、傾斜コード層、3軸織物、不織布の他にも、適宜部材により構成することができることは勿論である。
ここで、傾斜コード層としては、例えば、互いに交差するコードからなる少なくとも一層の交錯層を有するもの等が用いられる。
この傾斜コード層に用いる繊維は高弾性率のものが好ましく、高弾性率の繊維としては、スチール繊維、アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を挙げることができるが、これら以外の繊維であっても良い。中でも、効果の観点からスチール繊維が好ましい。また繊維はモノフィラメントであっても良く、複数本を撚り合わせたマルチフィラメント(又はコード)であっても良い。
3軸織物としては、2種の縦糸(X軸系、Y軸系)と横糸(Z軸系)とが約60°の角度で交差した状態で織られたものが用いられる。この3軸織物は、高剛性の有機繊維、無機繊維及び金属繊維から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
不織布としては、ポリエチレンテフタレート繊維が用いられる。なお、不織布を構成するフィラメント繊維の材質としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、芳香族ポリアミドなどの合成高分子繊維、及びカーボン繊維、ガラス繊維、スチールワイヤのうちから選択した一種又は複数種の繊維を混合することができる。
なお、不織布を構成するフィラメント繊維の材質としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、芳香族ポリアミドなどの合成高分子繊維、及びカーボン繊維、ガラス繊維、スチールワイヤのうちから選択した一種又は複数種の繊維を混合することができる。
そして、本例では、図2に示すように、補強層38の長さに所定の範囲を設けている。すなわち、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29に位置する補強層38のタイヤ径方向最外側の部分を補強層38の折り返し屈曲点Kとすると共に、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って内側ビード部25側へ延びる部分の補強層38の長さをW1とし、同じく補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って外側ビード部16側へ延びる部分の補強層38の長さをW2とし、補強層38を隔壁部24に沿って内側ビード部25のビードベース突出端25aを通過するタイヤ回転軸方向と平行な内側ビード部突出端基準線L1にまで仮想的に延長させたときの補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38の仮想延長線L2と内側ビード部突出端基準線L1との交点P1に至る部分の隔壁部24の長さをFH1とし、補強層38をタイヤサイド部20に沿って外側ビード部16のビードベース突出端16aを通過するタイヤ回転軸方向と平行な外側ビード部突出端基準線L3にまで仮想的に延長させたときの補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38の仮想延長線L4と外側ビード部突出端基準線L3との交点P2に至る部分のタイヤサイド部20の長さをFH2としたときに、10mm≦W1≦FH1で、且つ、10mm≦W2≦FH2を満足することが好ましい。
また、より好ましくは、30mm≦W1≦FH1で、且つ、30mm≦W2≦FH2であることが望ましい。
なお、この場合の内側ビード部25のビードベース突出端25aとは、内側ビード部25aに形成されたビードベースのうちタイヤ径方向内側に最も突出した部分(例えば、内側ビード部25のビードトゥ)のことであり、外側ビード部16のビードベース突出端16aとは、外側ビード部16に形成されたビードベースのうちタイヤ径方向内側に最も突出した部分(例えば、外側ビード部16のビードトゥ)のことである。
ここで、10mm<W1となると、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って内側ビード部25側へ延びる部分の補強層38の長さW1が短すぎるために、補強層38を有しない従来の空気入りタイヤと同様に、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を確保することができず、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29で第一のカーカスプライ32を設けた部分と第二のカーカスプライ37を設けた部分とが剥離する虞がある。
同様に、10mm<W2となると、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って外側ビード部16側へ延びる部分の補強層38の長さW2が短すぎるために、補強層38を有しない従来の空気入りタイヤと同様に、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を確保することができず、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29で第一のカーカスプライ32を設けた部分と第二のカーカスプライ37を設けた部分とが剥離する虞がある。
そこで、本例では、上述の如く、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って内側ビード部25側へ延びる部分の補強層38の長さW1と、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って外側ビード部16側へ延びる部分の補強層38の長さW2とについて、所定の数値範囲を設けている。
(リムの構成)
リム12は、外側ビード部16を配置する一対の外側ビードシート46と、外側ビードシート46のタイヤ軸方向内側に配置される内側ビードシート48を備えている。
外側ビードシート46は、外側ビード部16の内径に合わせて形成されており、内側ビードシート48は、内側ビード部25の内径に合わせて形成されている。本例では、上述のように、外側ビード部の内径が内側ビード部の内径よりも大きくなっているので、これに合わせて、外側ビードシート46は、外側ビードシート46よりも小径に設定されている。
外側ビードシート46の軸方向外側には、外側ビード部16がタイヤ幅方向外側に押し出されるのを防止する役割をするフランジ50が形成されており、内側ビードシート48と外側ビードシート46との間には、内側ビード部25がタイヤ幅方向外側に押し出されるのを防止する役割をする段部52が形成されている。
また、リム12の軸方向中央には、溝底の径が内側ビードシート48よりも小径とされたドロップ部(ウエル)54が設けられている。
なお、リム12には、第一副気室28に気体を充填するための第一エアバルブ40と、第二副気室30に気体を充填するための第二エアバルブ41と、主気室26に気体を充填するための第3エアバルブ42が設けられている。
(作用)
先ず、本実施形態のリム12では、外側ビード部16の内径ROが内側ビード部25の内径RIよりも大きく設定されており、中間部にドロップ54が設けられているので、空気入りタイヤ10を装着する際に、外側ビード部16、及び内側ビード部25をドロップ54に落とし込むことができ、従来一般の空気入りタイヤの組み付けと同様に空気入りタイヤ10のリム12への組み付け作業が容易になる。
また、リム12には、外側ビード部16が装着される外側ビードシート46と内側ビード部25が装着される内側ビードシート48との間に、両者の径差によって、内側ビード部25のタイヤ幅方向外側への移動を阻止する段部52が形成されるため、リム組みの際に内側ビード部25が引っかり作業性を悪化させる背の高いハンプ部を内側ビード部25のタイヤ幅方向外側に形成する必要がなく、リム組みが容易になる。
さらに、本実施形態のタイヤ・リム組立体14では、空気入りタイヤ10とリム12との間に、隔壁部24で区画された第一副気室28、主気室26、及び第二副気室30がタイヤ幅方向に形成されているので、トレッド部22の釘踏み等による接地面でのパンクや、縁石擦れなどによるタイヤタイヤサイド部20のパンク等の何れにおいても、他のパンクしていない2つの気室が荷重を支持するので、多少のタイヤ高さの低下、若干の操縦安定性と振動乗心地の悪化は伴うが、問題なく安全に走行を続けることができる。
ここで、第一副気室28の内圧と、第二副気室30の内圧と、主気室26の内圧とは同一であっても良く、互いに異なっていても良い。第一副気室28の内圧と、第二副気室30の内圧と、主気室26の内圧とは、全て異なる任意の圧力に設定することができる。
例えば、第一副気室28の内圧と、第二副気室30の内圧と、主気室26の内圧とを同一にすれば、従来の空気入りタイヤと同様の特性が得られる。
また、上記のように3つの気室の内圧を同じに設定した状態から、主気室26の空気を抜いて第一副気室28の内圧及び第二副気室30の内圧よりも主気室26の内圧を低下させると、タイヤ縦方向の剛性がダウンすると共に接地面積がアップするので、悪路走行時の振動乗心地性や氷雪路走行時のグリップ性を向上することができる。
さらに、第一副気室28と第二副気室30とに空気を充填して内圧を増加させると、タイヤの横剛性及び前後剛性をアップすることが可能となるので、悪路走行時の振動乗心地性や氷雪路走行時のグリップ性を向上させたまま、操縦安定性をアップさせることができる。
また、本例の空気入りタイヤ10には、第一のカーカスプライ32のタイヤ内側で且つ第二のカーカスプライ37のタイヤ外側に配置されると共に、隔壁部24のタイヤ内側面17との連結部29を介して隔壁部24からタイヤサイド部20に連続するように左右一対の補強層38が設けられている。
従って、補強層38により、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を向上させることができるため、タイヤ転動に伴ってタイヤが繰り返し撓んでも、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分とが剥離してしまうことを防止することができる。このように、本例の空気入りタイヤによれば、補強層38を設けることにより、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の耐久性を向上させることができる。
特に、タイヤ気室のうちタイヤ幅方向中央の主気室26の内圧よりもタイヤ幅方向両側の第一副気室28,30の内圧を高くした状態で、例えば、高速道路等を走行しても、補強層38によって隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を向上させることにより、隔壁部とタイヤ内側面との連結部で第一のカーカスプライを設けた部分と第二のカーカスプライを設けた部分との剥離を抑制することができる。このように、高速走行時の耐久性も従来に比して各段に向上させることができる。
[第二実施形態]
次に、図3を参照しながら、本発明の第二実施形態に係るタイヤ・リム組立体について説明する。図3は、本発明の第二実施形態を示す図であり、リムに空気入りタイヤ(サイズ:225/55R17)を装着したタイヤ・リム組立体の構成を示す断面図である。なお、第一の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態では、第二のカーカスプライ37のタイヤ幅方向両端側は、一対の内側ビードコア31のそれぞれにタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられるようにして係止されている。なお、その他の構成は第一の実施形態と同様である。
このように、第二のカーカスプライのタイヤ幅方向両端側が内側ビードコア31に対してタイヤ外側から内側へ向けて巻き上げられていると、第一副気室28、及び第二副気室30の内圧がそれぞれに隣接する隔壁部24内の第二のカーカスプライ37に与えるコード張力により、内側ビードコア31及び内側ビードコア31下のゴムが図2の矢印B方向に回転しようとする力が加わる。
従って、主気室26の内圧が、第一副気室28の内圧及び第二副気室30の内圧よりも相対的に高い場合や、パンク等により主気室26の内圧が零になった場合であっても、隔壁部24はリム12の所定位置から外れず、第一副気室28の内圧及び第二副気室30の内圧を維持できる。なお、その他の作用、効果は第一の実施形態と同様である。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、第一の比較例のタイヤ・リム組立体を1種類(図4参照)、第二の比較例に係るタイヤ・リム組立体を2種類(図1参照)、及び本発明の適用された実施例のタイヤ・リム組立体を4種類(図1参照)を用意し、高速耐久性試験を行った。
なお、図4に示す第一の比較例のタイヤ・リム組立体214は、本例のタイヤ・リム組立体14から補強層38を除いたものであり、その他の構成については本例のタイヤ・リム組立体と同様の構成となっている。
また、第二の比較例に係るタイヤ・リム組立体は、本例と同様に補強層38を有するものであるが、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って内側ビード部25側へ延びる部分の補強層38の長さW1が、比較例1では7mmとなっており、比較例2では7mmとなっており、また、補強層38の折り返し屈曲点Kから補強層38に沿って外側ビード部16側へ延びる部分の補強層38の長さW2が、比較例1では7mmとなっており、比較例2では30mmとなっている。つまり、比較例に係るタイヤ・リム組立体の補強層38の長さが本発明の数値範囲外となっている。
高速耐久性試験は、JIS規格の高速性能試験Bに基づいて行い、高速耐久性指数は、第一の比較例のタイヤ・リム組立体214の故障速度を100として表す。つまり、指数が大きいほど故障限界速度が高く、高速走行での耐久性が良好なタイヤであることを表す。なお、供試タイヤは、乗用車用で、いずれもサイズが225/55R17である。表1には、高速耐久性試験の結果を示す。
表1より、第二の比較例1,2のタイヤ・リム組立体は、補強層38の長さが本発明の数値範囲外であるため、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を確保することができず、高速耐久性が補強層38を有しない第一の比較例と同一に留まっている。
これに対して、実施例のタイヤ・リム組立体14は、補強層38の長さが十分であるため、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度を十分に確保することができ、高速耐久性が第一、第二の比較例に比して向上している。
また、実施例のタイヤ・リム組立体14では、補強層38の長さを長くするに従って、隔壁部24とタイヤ内側面17との連結部29の強度をさらに高めることができ、高速耐久性を向上させることができることが明かとなった。