この発明は有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)に関するものである。
情報表示の分野では、有機EL素子が次世代の表示素子として脚光を浴びている。現在、コンピューター端末機やテレビジョン受像機などの比較的大型の情報表示機器においては、主として、ブラウン管が用いられている。しかしながら、ブラウン管は体積、重量ともに大きく、動作電圧が高いので、携帯性を重視する機器には適しない。小形機器には、もっと薄く、軽量のパネル状であって、動作電圧が低く、消費電力の小さいものが必要とされている。現在では、液晶素子が動作電圧が低く、消費電力が比較的小さい点が買われて、多方面で頻用されている。しかしながら、液晶素子を用いる情報表示機器は、見る角度によってコントラストが変わるので、ある角度の範囲で読み取らないと明瞭な表示が得られないうえに、通常、バックライトを必要とするので、消費電力がそれほど小さくならないという問題がある。これらの問題を解決する表示素子として登場したのが有機EL素子である。
有機EL素子は、通常、陽極と陰極との間に発光性化合物を含有する発光層を介挿してなり、その陽極と陰極との間に直流電圧を印加して発光層へ正孔及び電子をそれぞれ注入し、それらを互いに結合させることによって発光性化合物の励起状態を作出し、その励起状態が基底状態に戻るときに放出される蛍光や燐光などの発光を利用する発光素子である。有機EL素子は、発光層を形成するに当たって、ホスト化合物として適切な有機化合物を用いるとともに、そのホスト化合物と組み合わせるゲスト化合物(ドーパント)を変更することにより、発光の色調を適宜に変えることができる特徴がある。また、ホスト化合物とゲスト化合物との組合わせによっては、発光の輝度や寿命を大幅に向上できる可能性がある。そもそも、有機EL素子は自ら発光する素子なので、消費電力を小さくできる利点があり、原理的に優れた発光素子であると言われている(例えば、非特許文献1及び2を参照)。
これまでに提案された発光性化合物のうち、例えば、クマリン骨格を有するものは、クマリンが天然に存在する物質であることから、有機EL素子においても、安全性が高く、取扱い易いという利点がある。ところが、従来公知のクマリン誘導体においては、例えば、キノリノール金属錯体などのホスト化合物と組み合わせることによって、はじめて、所期の電界発光をもたらし得るものが多く、それのみを用いるか、ゲスト化合物と組み合わせて発光層を構成したのでは、実用上支障のない有機EL素子を作製するのが難しいという問題があった(例えば、特許文献1乃至7を参照)。
雀部博之編集、『有機フォトニクス』、株式会社アグネ承風社、1995年3月20日第1版発行、136乃至160頁
斎藤善範、『電子情報通信学会誌』、第84巻、第11号、767乃至774頁(2001年)
特開2001−76875号公報
特開2001−76876号公報
特開2001−329257号公報
特開2002−226484号公報
特開2003−249371号公報
特開2003−249372号公報
特開2004−6222号公報
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、分子内にクマリン骨格を有し、有機EL素子におけるホスト化合物としても有用な有機材料とその用途を提供することにある。
斯かる状況に鑑み、本発明者がクマリン骨格を有する化合物に着目し、鋭意研究し、検索したところ、同一分子内において、一般式1で表される原子団を1又は複数有するアミン誘導体は、ホスト化合物、ゲスト化合物などの発光層用材として有機EL素子へ適用すると、高輝度の可視光を発光し、しかも、その発光は常温において長時間、安定に持続することを見出した。
(一般式1において、R1乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
すなわち、この発明は、同一分子内において、一般式1で表される原子団を1又は複数有するアミン誘導体を用いる有機EL素子用発光剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
(一般式1において、R1乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
さらに、この発明は、同一分子内において、一般式1で表される原子団を1又は複数有するアミン誘導体を用いる有機EL素子を提供することによって前記課題を解決するものである。
(一般式1において、R1乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
さらに、この発明は、斯かる有機EL素子を用いる表示パネルを提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる有機EL素子を用いる情報表示機器を提供することによって前記課題を解決するものである。
この発明は新規な芳香族第三級アミン誘導体の創製と、その産業上有用な性質の発見に基づくものである。この発明で用いるアミン誘導体は可視領域に発光極大を有し、励起すると可視光を発光し、しかも、ガラス状態で安定な薄膜を形成するうえに、熱安定性も大きいことから、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。また、この発明で用いるアミン誘導体は可視領域に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きいので、有機EL素子による発光の色度を調節するための材料としても有用である。この発明の有機EL素子は発光効率や耐久性に優れているので、照明一般における発光体や、例えば、パネル状に形成することによって、画像情報や文字情報などの情報を視覚的に表示する多種多様の情報表示機器において極めて有利に用いることができる。
既述したとおり、この発明は、同一分子内において、一般式1で表される原子団を1又は複数有するアミン誘導体の有機EL素子における用途に関するものである。
一般式1において、R1乃至R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R1乃至R5における置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−プロピニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタジエニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナレニル基、フェナントリル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ピペリジノ基、フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ナフチルフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N−カルバゾリル基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。
なお、R2乃至R5が置換基である場合、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ユロリジン環などの環状構造を形成することがある。この場合、R2乃至R5は、見掛け上、独立した置換基として存在しないこととなる。
この発明によるアミン誘導体の具体例としては、例えば、化学式1乃至50で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、波長300乃至500nm付近、通常、400乃至470nm付近に吸収極大を有し、吸収極大波長における分子吸光係数(以下、吸収極大波長における分子吸光係数を「ε」と略記する。)も1×104以上、詳細には、3×104以上と大きく、その結果として、同波長域の光を効率良く吸収することとなる。さらに、化学式1乃至50で表されるアミン誘導体は、波長500乃至650nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑乃至赤色光を発光する。しかも、この発明のアミン誘導体は、その多くが400℃を越える分解点を有し、ガラス転移点も110℃以上に達する。周知のとおり、有機化合物における分解点やガラス転移点は熱安定性の指標とされており、分解点やガラス転移点が高いものほど熱安定性も大きいとされている。然して、この発明のアミン誘導体は、発光能を有する熱安定性に優れた有機化合物を必要とする有機EL素子の分野において極めて有用である。ちなみに、この発明によるアミン誘導体の分解点及びガラス転移点は、例えば、汎用の示差走査熱量分析(以下、「DSC分析」と略記する。)により決定することができる。
この発明のアミン誘導体は、同一分子内において、一般式1で表される原子団をただ一つ有するものだけに決して限定されてはならず、例えば、化学式23乃至31、化学式33、化学式34、化学式37、化学式38、化学式44で表されるもののように、同一分子内において、一般式1で表される原子団を二つ以上有するものであってもよく、また、一般式1で表される原子団において、第三級アミノ基を構成する窒素原子へ結合するベンゼン環は、その一部又は全部に対して、R1乃至R5におけると同様の置換基が1又は複数結合してなるものであっても、ベンゼン環そのものが縮合多環式芳香族炭化水素基や複素環基の一部を構成するものであってもよい。とりわけ、同一分子内において、クマリン残基を複数有するこの発明のアミン誘導体は、クマリン残基をただ一つ有するものと比較して、吸光能、発光能が有意に大きい特徴がある。なお、一般式1で表される原子団において、クマリン残基がトリフェニルアミノ基のベンゼン環へ結合する位置は、第三級アミノ基を構成する窒素原子に対して、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであっても構わないけれども、始発原料の入手し易さや、目的とするアミン誘導体の収率をはじめとする合成上の見地からみると、通常、パラ位が望ましい。
この発明のアミン誘導体は諸種の方法により調製できるけれども、経済性を重視するのであれば、芳香族ハロゲン化物と、芳香族第一級若しくは第二級アミンとの求核置換反応を利用する方法が好適である。この方法によるときには、例えば、一般式1に対応するR1乃至R5を有する一般式2で表される化合物と、分子内に一般式3で表される原子団を有する化合物とを反応させることによって、この発明のアミン誘導体が好収量で生成する。なお、一般式2におけるXはクロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基を、また、一般式3におけるYは、水素原子か、あるいは、独立したフェニル基又は縮合多環式の芳香族炭化水素基若しくは複素環基の一部を構成するベンゼン環を表す。
より具体的には、反応容器に一般式2及び3で表される化合物をそれぞれ適量とり、必要に応じて、適宜溶剤に溶解し、例えば、白金などの金属触媒か、あるいは、酢酸パラジウム、カリウムtert−ブトキシド、トリ−tert−ブチルホスファンなどの有機金属触媒を加えた後、加熱還流などにより加熱・撹拌しながら周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させる。
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐酸トリメチルなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に、少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起こり易くなる。したがって、溶剤の量を重量比で原料化合物全体の100倍まで、通常、5乃至50倍にするのが望ましい。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれども、反応は10時間以内、通常、0.5乃至5時間で完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法によってモニターすることができる。この発明によるアミン誘導体は、この方法によるか、この方法に準じて所望量を製造することができる。なお、一般式2及び3で表される化合物は、いずれも、類縁化合物を調製するための汎用の方法によって得ることができ、市販品がある場合には、必要に応じて、それを精製して用いればよい。
斯くして得られるアミン誘導体は、用途によっては反応混合物のまま用いられることもあるけれども、通常、使用に先立って、例えば、溶解、分液、傾斜、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁化合物を精製するための汎用の方法によって精製され、必要に応じて、これらの方法は組み合わせて適用される。アミン誘導体の種類や有機EL素子の用途にもよるけれども、この発明の有機EL素子へ適用するアミン誘導体は、通常、使用に先立って、例えば、蒸留、結晶化及び/又は昇華などの方法により高度に精製しておくのが望ましい。
このうち、昇華は、1回の操作で高純度の結晶が容易に得られるうえに、操作に伴うアミン誘導体の損失が少なく、しかも、溶剤が結晶中に取り込まれることがないので、特に優れている。適用する昇華方法は、常圧昇華方法であっても減圧昇華方法であってもよいが、通常、後者の減圧昇華方法が適用される。この発明のアミン誘導体を減圧昇華するには、例えば、適量のアミン誘導体を昇華精製装置内へ仕込み、装置内を10−2Torrを下回る減圧、好ましくは、10−3Torr以下に保ちながら、アミン誘導体が分解しないように、融点を下回るできるだけ低い温度で加熱する。昇華精製へ供するアミン誘導体の純度が比較的低い場合には、不純物が混入しないように、減圧度や加熱温度を加減することによって昇華速度を抑え、また、アミン誘導体が昇華し難い場合には、昇華精製装置内へ希ガスを通気することによって昇華を促進する。昇華によって得られる結晶の大きさは、昇華精製装置内における凝縮面の温度を加減することによって調節することができ、凝縮面を加熱温度よりも僅かに低い温度に保ち、徐々に結晶化させると比較的大きな結晶が得られる。
この発明で用いるアミン誘導体は、既述したとおり、波長500乃至650nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると緑乃至赤色域の可視光を発光し、しかも、ガラス状態で安定な薄膜を形成するうえに、その多くは耐熱性が大きいことから、単独又は他の発光性化合物と組み合わせることによって、緑乃至赤色光を発光する有機EL素子用発光剤として極めて有利に用いることができる。この発明でいう有機EL素子とは斯かるアミン誘導体を用いる電界発光素子全般を意味し、とりわけ、正電圧を印加する陽極と、負電圧を印加する陰極と、正孔と電子とを再結合させて発光を取り出す発光層と、必要に応じて、さらに、陽極から正孔を注入し輸送する正孔注入/輸送層、陰極から電子を注入し輸送する電子注入/輸送層と、正孔が発光層から電子注入/輸送層へ移動するのを抑制する正孔ブロック層とを設けてなる単層及び積層型の有機EL素子が重要な適用対象となる。
有機EL素子の動作は、周知のとおり、本質的に、電子及び正孔を電極から注入する過程と、電子及び正孔が固体中を移動する過程と、電子及び正孔が再結合し、一重項励起子又は三重項励起子を生成する過程と、その励起子が発光する過程とからなり、これらの過程は単層型及び積層型有機EL素子のいずれにおいても本質的に異なるところがない。しかしながら、単層型有機EL素子においては、発光性化合物の分子構造を変えることによってのみ上記4過程の特性を改善し得るのに対して、積層型有機EL素子においては、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させるとともに、それぞれの材料を独立して最適化できることから、一般的には、単層型に構成するよりも積層型に構成する方が所期の性能を達成し易い。
そこで、この発明の有機EL素子につき、積層型有機EL素子を例に挙げて説明すると、図1はこの発明による積層型有機EL素子の概略図であって、図中、1は基板であり、通常、アルミノ珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、バリウム珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラスなどのガラスか、あるいは、アラミド、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレート、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、弗素系樹脂、メラミン系樹脂などのプラスチック、アルミナ、シリコン、石英、炭化珪素などのセラミックをはじめとする基板材料を板状、シート状又はフィルム状に形成して用いられ、必要に応じて、これらは積層して用いられる。中でも、例えば、アルミノ珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラスなどの、アルカリ含量、熱膨張係数がともに小さく、表面が平滑で傷がなく、研磨し易いフォトマスク用ガラスや、隣接する電気伝導膜との親和性に優れ、水分を透過し難い、例えば、アラミド系、エポキシ系、フェノール系、ポリアリレート系、ポリイミド系、ポリエステル系、芳香族ポリエーテル系、ポリオレフィン系、メラミン系、弗素系のプラスチックが好ましく、シリコンなどの不透明なセラミック材料は透明な電極用材と組み合わせて用いられる。
2は陽極であり、電気的に低抵抗率であって、しかも、全可視領域に亙って光透過率が大きい金属若しくは電気伝導性材料の1又は複数を、例えば、真空蒸着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、原子層エピタクシー(ALE)、塗布、浸漬などの方法により、基板1の一側に密着させて、陽極2における抵抗率が1kΩ/□以下、好ましくは、5乃至50Ω/□になるように、厚さ10乃至1,000nm、好ましくは、50乃至500nmの単層又は多層に製膜することによって形成される。陽極2における電気伝導性材料としては、例えば、金、白金、アルミニウム、ニッケルなどの金属、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫と酸化インジウムとの混合系(以下、「ITO」と略記する。)などの金属酸化物、さらには、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電気伝導性オリゴマー及びポリマーが挙げられる。このうち、ITOは、低抵抗率のものが容易に得られるうえに、酸などを用いてエッチングすることにより、微細パターンを容易に形成できる特徴がある。
3は正孔注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、陽極2に密着させて、正孔注入/輸送層用材を厚さ1乃至1,000nmに製膜することによって形成される。正孔注入/輸送層用材としては、陽極2からの正孔注入と輸送を容易ならしめるべく、イオン化電位が小さく、かつ、例えば、104乃至106V/cmの電界下において、少なくとも、10−6cm2/V・秒の正孔移動度を発揮するものが好ましい。個々の正孔注入/輸送層用材としては、有機EL素子において汎用される、例えば、アリールアミン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、スチルベン誘導体、テトラアリールエテン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールエテン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フタロシアニン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、N−ビニルカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポルフィリン誘導体などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。このうち、芳香族第三級アミンである、例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、テトラアリールアミンなどのアリールアミンの単量体及び多量体が特に好ましい。
4は発光層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、正孔注入/輸送層3に密着させてこの発明によるアミン誘導体の1又は複数をそれ単独か、あるいは、適宜のホスト化合物若しくはゲスト化合物などの1又は複数とともに厚さ1乃至1,000nm、好ましくは、10乃至200nmに製膜することによって形成される。この発明のアミン誘導体は一重項励起子、三重項励起子などの励起子を形成し易く、しかも、蛍光、燐光などの発光のエネルギー準位が好適であることから、クマリン骨格を有する従来公知の発光層用材とは違って、それのみによっても、1又は複数のホスト化合物若しくはゲスト化合物と組み合わせることによっても有機EL素子の発光層を構成することができる。とりわけ、ホスト化合物としてのこの発明のアミン誘導体と適宜のゲスト化合物とを組み合わせるときには、従来公知のホスト化合物によっては容易に達成できない、極めて高レベルの発光輝度、電力効率、外部量子効率及び寿命を達成することができる。また、この発明のアミン誘導体をゲスト化合物として用いるときには、いわゆる、発光層用材自身による発光の「濃度消光」を招来し難いことから、発光層において、ホスト化合物に対する配合比をより大きくすることによって素子の発光輝度を高めることができる。ホスト化合物とゲスト化合物とを組み合わせて発光層を構成するこの発明による有機EL素子において、ホスト化合物に対してゲスト化合物を等モルまで、通常、0.1乃至10モル%、好ましくは、0.5乃至5モル%用い、両者を単層又は多層に分離して厚さ1乃至1,000nm、好ましくは、10乃至200nmに製膜することによって発光層4を形成する。
この発明によるアミン誘導体をホスト化合物として用いる場合、この発明のアミン誘導体と組み合わせて用いる他のホスト化合物としては、有機EL素子において汎用されるキノリノール金属錯体や、例えば、アントラセン、クリセン、コロネン、トリフェニレン、ナフタセン、ナフタレン、フェナントレン、ピセン、ピレン、フルオレン、ペリレン、ベンゾピレンなどの縮合多環式芳香族炭化水素及びそれらの誘導体、クォーターフェニル、ジスチリルアリーレン、1,4−ジフェニルブタジエン、スチルベン、ターフェニル、テトラフェニルブタジエン、ビフェニルなどの環集合式炭化水素及びそれらの誘導体、オキサジアゾール、カルバゾール、ピリダジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどの複素環化合物及びそれらの誘導体、キナクリドン、ルブレン及びそれらの誘導体、さらには、スチリル系のポリメチン色素、アダマンタン誘導体などが挙げられる。
これらのホスト化合物のうちで、特に好ましいものの一つとして、例えば、キノリノール金属錯体を挙げることができる。この発明でいうキノリノール金属錯体とは、分子内にピリジン残基とヒドロキシ基とを有する、例えば、8−キノリノール類、ベンゾキノリン−10−オール類などの配位子としてのキノリノール類と、そのピリジン残基における窒素原子から電子対の供与を受けて配位子と配位結合を形成する、通常、中心原子としての一価、二価又は三価の、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期律表における第1族、第2族、第12族又は第13族に属する金属若しくはその酸化物からなる錯体一般を意味する。配位子が8−キノリノール類又はベンゾキノリン−10−オール類のいずれかである場合には、それらは置換基を1又は複数有していてもよく、ヒドロキシ基が結合している8又は10位の炭素以外の炭素へ、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などのエステル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、さらには、これらの組合わせによる置換基の1又は複数が結合することを妨げない。キノリノール金属錯体が同一分子内に2以上の配位子を有する場合、それらの配位子は互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
個々のキノリノール金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−ブロモ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−スルホニル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−プロピル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシドなどのアルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)亜鉛、ビス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)亜鉛などの亜鉛錯体、ビス(8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウムなどのベリリウム錯体、ビス(8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−5−クロロ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)マグネシウム、ビス(5,7−ジクロロ−8−キノリノラート)マグネシウムなどのマグネシウム錯体、トリス(8−キノリノラート)インジウムなどのインジウム錯体、トリス(5−クロロ−8−キノリノラート)ガリウムなどのガリウム錯体、ビス(5−クロロ−8−キノリノラート)カルシウムなどのカルシウム錯体が挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
この発明で用いるゲスト化合物としては、有機EL素子において汎用される、例えば、アクリドン誘導体、ナイルレッドなどのオキサゾン誘導体、キナクリドン誘導体、特開2001−76875号公報、特開2001−76876号公報、特開2001−329257号公報、特開2002−226484号公報、特開2003−249371号公報、特開2003−249372号公報、特開2004−6222号公報などに開示されたクマリン誘導体、桂皮酸エステル誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス[(1,1,2−トリフェニル)エテニル]ビフェニルなどのスチルベン誘導体、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチル)アントラセン、クリセン、コロネン、デカサイクレン、テトラセン、テトラフェニルシクロペンタジエン、4,4−ビス(9″−エチニルアントラセニル)ビフェニル、ピレン、ペリレン、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3−cd:1′,2′,3′−lm]ペリレン、1,4−ビス(9′−エチニルアントセニル)ベンゼン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ルブレンなどの多環式芳香族化合物及びそれらの誘導体、トリアリールアミン誘導体、ピラジン誘導体、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロリジル−9−エニル)−4H−ピランなどのピラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ポリターフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリナフチレンビニレン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。なお、既述したとおり、この発明によるアミン誘導体は、有機EL素子において、ホスト化合物としてのみならず、ゲスト化合物としても有効に機能する。この発明によるアミン誘導体をゲスト化合物として用いる場合、この発明によるアミン誘導体と、既述したごときホスト化合物のうちの、この発明によるアミン誘導体以外のものとを適宜組み合わせ、有機EL素子の発光層を構成する。
5は電子注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、発光層4に密着させて、電子親和力の大きい有機化合物か、あるいは、例えば、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボジイミド、ジスチリルピラジン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、シラザン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、トリアゾール誘導体、複素環化合物のテトラカルボン酸誘導体、フタロシアニン誘導体、フルオレノン誘導体、発光層4におけると同様のキノリノール金属錯体、さらには、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電気伝導性オリゴマー若しくはポリマーの1又は複数を厚さ10乃至500nmに製膜することによって形成される。複数の電子注入/輸送層用材を用いる場合には、その複数の電子注入/輸送層用材を均一に混合して単層に形成しても、混合することなく、電子注入/輸送層用材ごとに隣接する複数層に形成してもよい。正孔ブロック層を設けるときには、電子注入/輸送層5の形成に先立って、陽極2におけると同様の方法により、発光層4に密着させて、例えば、2−ビフェニル−4−イル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−[1,3,4]オキサジアゾール、2,2−ビス[5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル−1,4−フェニレン]ヘキサフルオロプロパン、1,3,5−トリス−(2−ナフタレン−1−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−5−イル)ベンゼンなどのオキサジアゾール系化合物をはじめとする正孔ブロック層用材による薄膜を形成する。正孔ブロック層の厚さは、電子注入/輸送層5の厚さや有機EL素子の動作特性などを勘案しながら、1乃至100nm、通常、5乃至50nmの範囲に設定する。
6は陰極であり、通常、電子注入/輸送層5に密着させて、電子注入/輸送層5において用いられる化合物よりも仕事関数が低い(通常、5eV以下)、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、アルミニウム、インジウム、イッテルビウムなどの金属、合金若しくは金属酸化物又は電気伝導性化合物を単独又は組み合わせて蒸着することによって形成する。陰極6の厚さについては特に制限がなく、電気伝導性、製造コスト、素子全体の厚さ、光透過性などを勘案しながら、通常、抵抗率が1kΩ/□以下になるように、厚さを10nm以上、好ましくは、50乃至500nmに設定する。なお、陰極6と、有機化合物を含有する電子注入/輸送層5との間に、密着性を高めるために、必要に応じて、例えば、芳香族ジアミン化合物、キナクリドン化合物、ナフタセン化合物、有機シリコン化合物、有機燐化合物などを含んでなる界面層を設けてもよい。また、電子の陰極6からの電子注入/輸送層5への移動を容易ならしめるために、陽極2におけると同様の方法により、陰極6における電子注入/輸送層5へ接する側へ、例えば、弗化リチウム、酸化リチウムなどのアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物による厚さ0.1乃至2nmの薄膜を形成してもよい。
このように、この発明の有機EL素子は、基板上に、陽極、発光層及び陰極、さらには、必要に応じて、正孔注入/輸送層、電子注入/輸送層、正孔ブロック層などを隣接する層と互いに密着させながら一体に形成することによって得ることができる。各層を形成するに当たっては、有機化合物の酸化や分解、さらには、酸素や水分の吸着などを最小限に抑えるべく、高真空下、詳細には、10−5Torr以下で一貫作業するのが望ましい。また、発光層を形成するに当たっては、例えば、あらかじめ、ホスト化合物とゲスト化合物とを所定の割合で混合しておくか、あるいは、真空蒸着における両者の蒸着速度を互いに独立して制御することによって、発光層における両者の配合比を調節する。斯くして構築した有機EL素子は、使用環境における劣化を最小限に抑えるべく、素子の一部又は全体を、例えば、不活性ガス雰囲気下で封止ガラスや金属キャップにより封止するか、保護層を形成したり、あるいは、防湿塗料を塗布したり、紫外線硬化樹脂などによる保護層で覆うのが望ましい。さらには、有機EL素子の構造にもよるけれども、発光層からの発光を効率良く素子外へ取り出すために、必要に応じて、素子内の適所へ、例えば、輪帯板や、一次元若しくは二次元の反射型又は透過型の回折格子などの、素子における発光取出面に対する発光の入射角を変化させる回折手段を単独又は組み合わせて設け、素子内の有機層と無機層との界面、あるいは、発光取出面と大気との界面における全反射を抑制するようにしてもよい。
この発明による有機EL素子の使用方法について説明すると、この発明の有機EL素子は、用途に応じて、比較的高電圧のパルス性電圧を間欠的に印加するか、あるいは、比較的低電圧の非パルス性電圧(通常、2乃至50V)を連続的に印加して駆動する。この発明の有機EL素子は、陽極の電位が陰極より高いときにのみ発光する。したがって、この発明の有機EL素子へ印加する電圧は直流であっても交流であってもよく、また、印加する電圧の波形、周期も適宜のものとすればよい。交流を印加すると、この発明の有機EL素子は、原理上、印加する交流の波形及び周期に応じて輝度が増減したり点滅を繰り返す。図1に示す有機EL素子の場合、陽極2と陰極6との間に電圧を印加すると、陽極2から注入された正孔が正孔注入/輸送層3を経て発光層4へ、また、陰極6から注入された電子が電子注入/輸送層5を経て発光層4へそれぞれ到達する。その結果、発光層4において正孔と電子との再結合が生じ、それにより生じた励起状態の発光層用材から目的とする発光が陽極2及び基板1を透過して放出されることとなる。この発明の有機EL素子は、アミン誘導体や組み合わせて用いるホスト化合物、ゲスト化合物の構造、配合割合にもよるけれども、通常、500乃至650nmの緑乃至赤色域に蛍光極大などの発光極大を有する。その発光は、国際照明委員会(CIE)によるxy色度図上において、通常、xが0.01乃至0.73の範囲に、また、yが0.26乃至0.83の範囲にある。
この発明の有機EL素子は、耐久性に優れているうえに、発光効率が高く、その結果として、消費電力を抑えつつ、輝度を大きくするのが容易であることから、文字情報、画像情報などの情報を視覚的に表示する情報表示機器や、照明一般における光源(発光体)として多種多様の用途を有することとなる。すなわち、情報表示機器においては、常法により、この発明の有機EL素子を、例えば、軽量にして所望の形状、大きさのパネル状に形成し、コンピューター関連機器におけるビデオディスプレー、テレビ受像機、電話機、ゲーム機、計算機、写真機、時計、カーナビゲーション装置をはじめとする、情報の視覚的表示を必要とする民生用及び業務用の電気機械器具、電子機器、光学機器一般、さらには、計器一般、標識、案内板、広告パネルなどへ適用する。この場合、この発明による有機EL素子を単用するか、あるいは、必要に応じて、青色、緑色及び/又は赤色域の可視光を発光する他の有機EL素子や、発光の色度、色調を調節するための適宜フィルター類と組合わせつつ、斯界において汎用される単純マトリックス方式やアクティブマトリックス方式の駆動回路を適用して駆動する。照明の用途においては、常法により、この発明の有機EL素子を、例えば、軽量にして所望の形状、大きさのパネル状に形成し、省エネルギーにして省スペースな光源として、屋内照明、屋外照明をはじめとする一般照明へ適用したり、液晶素子のバックライト照明、鬱病などを治療するための物理療法に用いられる照明、さらには、家畜、家禽、魚介、昆虫、果樹、穀物、野菜、花卉をはじめとする動植物の光周性、走光性を制御するための照明などへ適用する。なお、陽極及び陰極に、微小光共振器として機能する反射鏡を用いるこの発明の有機EL素子は、例えば、小電流域で動作する無閾値レーザーとして有用である。
ところで、この発明のアミン誘導体は、既述したとおり、波長300乃至500nm付近、通常、400乃至470nm付近に吸収極大を有し、しかも、吸収極大波長における分子吸光係数が1×104以上、好ましくは、3×104以上と大きいことから、有機EL素子における発光層用材としての用途に加えて、有機EL素子による発光の色度を所望のレベルに調節するための色度調節用材としても有用である。斯くして、この発明でいう有機EL素子とは、特定のアミン誘導体を発光層用材として含んでなるものは言うにおよばず、それに加えて、発光性化合物による電界発光の色度を調節する目的で、発光層以外の部分において特定のアミン誘導体を単用したり、特定のアミン誘導体と、光吸収能を有する他の化合物の1又は複数とを併用する有機EL素子全般を包含することとなる。
この発明の実施の形態につき、以下、実施例に基づいて説明する。
〈有機EL素子用発光剤〉
反応容器にトルエン50mlをとり、N,N´−ジフェニルベンジジン2.50g、化学式51で表されるクマリン化合物6.86g、酢酸パラジウム0.17g、カリウムtert−ブトキシド2.0g及びトリ−tert−ブチルホスファン0.36mlを加えた後、4時間加熱環流して反応させた。反応混合物を冷却した後、クロロホルム/酢酸エチル混液を展開溶剤とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、化学式29で表されるこの発明によるアミン誘導体の紛状黄色結晶が3.20g得られた。
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長427及び512nm付近に吸収極大(ε=9.18×104)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、分解点及びガラス転移点を測定したところ、本例のアミン誘導体は368℃付近に融点を、204℃付近にガラス転移点を、また、458℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液における1H−核磁気共鳴スペクトル(以下、「1H−NMRスペクトル」と略記する。)を測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.31(12H、s)、1.59(12H、s)、1.75乃至1.84(8H、m)、3.20乃至3.23(4H、m)、3.27乃至3.31(4H、m)、7.02乃至7.07(2H、m)、7.12乃至7.19(12H、m)、7.25乃至7.31(6H、m)、7.47乃至7.49(4H、m)及び7.63乃至7.65(4H、m)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、励起すると緑色域の蛍光を発する本例のアミン誘導体は、単用でも、他のホスト化合物やゲスト化合物との併用でも、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。
〈有機EL素子用発光剤〉
N,N´−ジフェニルベンジジン及び化学式51で表される化合物に代えて、それぞれ、4−メトキシアニリン及び化学式52で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式2で表されるこの発明によるアミン誘導体の紛状黄色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長415及び562nm付近に吸収極大(ε=4.06×104)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、分解点及びガラス転移点を測定したところ、本例のアミン誘導体は305℃付近に融点を、141℃付近にガラス転移点を、また、487℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液における1H−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が3.78(3H、s)、6.78乃至6.83(4H、m)、7.22乃至7.27(4H、m)、7.50乃至7.61(4H、m)、7.68乃至7.77(6H、m)、7.94(2H、d)、7.98(2H、d)、8.34(2H、d)及び8.60(2H、s)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、励起すると黄緑色域の蛍光を発する本例のアミン誘導体は、単用でも、他のホスト化合物やゲスト化合物との併用でも、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。
〈有機EL素子用発光剤〉
N,N´−ジフェニルベンジジン及び化学式51で表される化合物に代えて、それぞれ、アニリン及び化学式52で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式3で表されるこの発明によるアミン誘導体の紛状黄色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長417及び563nm付近の吸収極大(ε=4.10×104)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、分解点及びガラス転移点を測定したところ、本例のアミン誘導体は358℃付近に融点を、153℃付近にガラス転移点を、また、495℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液における1H−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が7.14(2H、t)、7.24乃至7.37(6H、m)、7.50乃至7.61(4H、m)、7.68乃至7.77(7H、m)、7.94(2H、d)、7.99(2H、d)、8.34(2H、d)及び8.60(2H、s)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、励起すると黄緑色域の蛍光を発する本例のアミン誘導体は、単用でも、他のホスト化合物やゲスト化合物との併用でも、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。
〈有機EL素子用発光剤〉
実施例1乃至3の方法により得た、この発明による3種類のアミン誘導体のいずれかを水冷式昇華精製装置内へ仕込み、常法により、装置内を減圧に保ちながら加熱することによってそれぞれ昇華精製した。
本例のアミン誘導体は、いずれも、高純度の発光性有機化合物を必要とする有機EL素子において極めて有用である。
この発明で用いるアミン誘導体は、構造によって仕込条件や収量に若干の違いはあるものの、例えば、上記以外の化学式1乃至50で表されるものを含めて、いずれも、実施例1乃至4の方法によるか、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得ることができる。
〈有機EL素子〉
この発明による有機EL素子用発光剤を用い、図1に示す構造の積層型有機EL素子を作製した。すなわち、常法により、臭化水素酸によりパターン化した厚さ160nmの透明ITO電極を有するガラス製基板を有機アルカリ洗浄剤、純水、アセトン及びエタノールを用いて超音波洗浄し、乾燥し、紫外線オゾンによりITO電極表面の有機物を除去した後、真空蒸着装置における前処理室へ移した。前処理室内を1×10−6Torrまで減圧した後、アルゴン/酸素混合気を1×10−2Torrまで導入し、ITO電極表面をプラズマ処理することによって、陽極2としてのITO電極を有する清浄な基板1を得た。
基板1を1×10−6Torrまで減圧した真空蒸着装置の有機蒸着室内へ移し、陽極2としてのITO電極へ有機膜成形用マスクを装着した後、カーボン坩堝を加熱して、基板1におけるITO電極を有する側へ、正孔注入/輸送層用材として、化学式53で表されるトリフェニルアミン四量体(以下、「TPTE」と略記する。)を40nmまで蒸着して正孔注入/輸送層3を形成した。引き続き、ホスト化合物として、化学式2又は3で表されるこの発明によるアミン誘導体のいずれかと、ゲスト化合物として、化学式54で表される赤色発光色素である4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルユロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(以下、「DCJTB」と略記する。)とを重量比で100:1になるように厚さ40nmまで共蒸着して正孔注入/輸送層3に密着する発光層4を形成した後、さらに、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(以下、「AlQ3」と略記する。)を厚さ40nmまで蒸着して、発光層4へ密着する電子注入/輸送層5を形成した。
その後、基板1を真空蒸着装置における金属蒸着室内へ移し、弗化リチウム及びアルミニウムをこの順序でそれぞれ厚さ0.5及び150nmまで蒸着して、電子注入/輸送層5へ密着する陰極6を形成した後、窒素雰囲気下で素子全体をガラス板及び紫外線硬化樹脂により封止して有機EL素子を得た。斯くして得られた有機EL素子につき、常法により電界発光特性及び寿命(初期輝度が半減する駆動時間)をそれぞれ求めた。なお、寿命は、室温において、初期輝度を2,400cd/m2に設定して求めた。別途、比較のために、この発明によるアミン誘導体に代えて、ホスト化合物として頻用されるAlQ3を用いる有機EL素子を作製し、同様に試験して対照とした。結果を表1に示す。
表1に見られるとおり、本例の有機EL素子も対照の有機EL素子も、ともに、波長627乃至630nm付近の橙乃至赤色域に発光極大を有していた。CIEによるxy色度図上における発光の座標は、対照の有機EL素子の場合、xが0.64、yが0.35であり、また、本例の有機EL素子は、いずれも、xが0.65、yが0.35であった。本例の有機EL素子においても対照の有機EL素子においても、ホスト化合物に特有の発光は認められず、このことは、励起エネルギーがホスト化合物からゲスト化合物へ効率良く移動したことを物語っている。
ところが、表1における「発光輝度」の欄に見られるとおり、本例の有機EL素子は、電流密度11mA/cm2で定電流駆動すると、いずれも、室温において対照の有機EL素子の2倍を越える高輝度(547cd/m2以上)を示し、そのときの電力効率及び外部量子効率も対照の有機EL素子を上回っていた。本例の有機EL素子は、いずれも、発光が安定して持続し、高輝度(2,400cd/m2)で100時間駆動しても、ダークスポットなどの非発光部は認められなかったのに対して、同様に試験したときの対照の有機EL素子の寿命は高々18時間であった。化学式3で表されるアミン誘導体を用いる有機EL素子の寿命は著しく長く、実用輝度である300cd/m2で駆動したときの寿命は20,000時間以上と推定され、実用上全く支障のないものであった。ちなみに、本例の有機EL素子につき、対照の有機EL素子に印可したのと同程度の7V強の直流電圧を印可して駆動したときの寿命を調べたところ、いずれも、700時間以上であった。
これらの結果は、この発明のアミン誘導体を発光剤として用いることによって、橙乃至赤色域で発光する、長寿命にして高輝度、高効率の有機EL素子を実現できることを物語っている。
〈表示パネル〉
図2に示すのは、この発明の有機EL素子を主体とする単純マトリックス方式による表示パネルの1例(水平方向に20電極列、垂直方向に30電極列)であり、斯かる表示パネルは次のようにして作製することができる。
すなわち、実施例5の方法に準じてガラス製基板10の一側へITO透明電極による陽極14を形成した後、湿式エッチング法により陽極14をストライプ状に加工する。次いで、実施例5の方法に準じて正孔注入/輸送層16、発光層18などを順次形成し、メカニカルマスクを用いて陰極20をストライプ状に形成した後、ガラス板(図示しない)と紫外線硬化樹脂により有機EL素子を封止する。なお、本例の表示パネルにおいては、使用時の温度上昇を抑えるべく、必要に応じて、陰極20の背面側へ放熱板や冷却ファンなどの放熱手段を設けてもよい。
〈情報表示機器〉
図3のブロックダイアグラムに示すのは、実施例6の方法により作製した表示パネルを用いる情報表示機器の1例である。図3において、30は出力電圧4.5Vの直流電源であり、その出力端には二つの昇圧回路32、34が接続されている。昇圧回路32は5乃至12Vの範囲の直流電圧を供給することができ、その出力端はドライバ回路36へ接続されている。もう一方の昇圧回路34は、5Vの定電圧をマイクロコンピューター38へ供給するためのものである。
マイクロコンピューター38は、外部と信号のやりとりをするI/Oインターフェース38aと、プログラムなどを記録するROM38bと、各種のデータを記録するRAM38cと、各種の演算を実行するCPU38dとを含んでなる。マイクロコンピューター38には、マイクロコンピューター38へ8MHzのクロック信号を供給するクロック発生回路と、二つの発振回路42、44がそれぞれ接続されており、その二つの発振回路42、44は、マイクロコンピューター38へ、それぞれ、表示速度を制御する5乃至50Hzの信号と、走査周波数を制御する0.2乃至2kHzの信号を供給するためのものである。
48はこの発明の有機EL素子を主体とする表示パネルであり、ドライバ回路36、46を介してマイクロコンピューター38へ接続されている。ドライバ回路36は、昇圧回路からの直流電圧が表示パネル48へ印加されるのを制御する回路であって、表示パネル48における垂直方向の電極列へ個別に接続される複数のトランジスタを含んでなる。したがって、このドライバ回路36におけるトランジスタのいずれかがオンすると、そのトランジスタへ接続されている垂直方向の電極列へ昇圧回路32からの電圧が印加されることとなる。一方、ドライバ回路46は、表示パネル48の水平方向の電極列へ個別に接続される複数のトランジスタを含んでなり、ドライバ回路46におけるトランジスタのいずれかがオンすると、そのトランジスタへ接続されている水平方向の電極列が接地されることとなる。
本例の情報表示機器は斯く構成されているので、マイクロコンピューター38の指示にしたがってドライバ回路36、46におけるトランジスタがオンすると、表示パネル48の垂直方向及び水平方向における対応する電極列間へ所定の電圧が印加され、その交点に位置する有機EL素子が発光することとなる。したがって、例えば、ドライバ回路46を適宜制御することによって水平方向の電極列を1列選択し、その電極列を接地しつつ、ドライバ回路36を適宜制御することによって垂直方向の電極列へ接続されたトランジスタを順次オンすれば、その選択された水平方向の電極列全体が水平方向に走査され、所与の画素が表示されることとなる。斯かる走査を垂直方向に順次繰り返すことによって、1画面全体を表示できる。なお、本例におけるドライバ回路36は、電極1列分のデータレジスタを有しているので、この記録されているデータに基づいてトランジスタを駆動するのが好適である。
表示する情報は、表示の速度と周期に合わせて外部から供給するか、あるいは、例えば、文字情報などのように、一定のパターンを有する情報については、ROM38bにそのパターンをあらかじめ記憶させておき、これをデータとしてもよい。また、通常のNTSC方式によるテレビジョン放送を表示する場合には、先ず、受信した信号を放送規格に基づく水平周波数、垂直周波数にしたがって水平同期信号と垂直同期信号とに分離するとともに、映像信号を表示パネル48の画素数に対応したデジタル信号に変換する。これらの信号をマイクロコンピューター38へ適宜同期させて供給することによって、テレビジョン放送を表示パネル48へ表示することができる。
叙上のごとく、同一分子内において、特定の原子団を1又は複数有するこの発明のアミン誘導体は、次世代の表示素子として注目を浴びている有機EL素子の分野において、発光層を構成するホスト化合物、ゲスト化合物などの発光剤として、さらには、電界発光の色度を所望のレベルに調節するための色度調節用材として有用である。
この発明による有機EL素子の概略図である。
この発明による表示パネルの概略図である。
この発明による情報表示機器の概略図である。
符号の説明
1、10 基板
2、14 陽極
3、16 正孔注入/輸送層
4、18 発光層
5 電子注入/輸送層
6、20 陰極
30 直流電源
32、34 昇圧回路
36、46 ドライバ回路
38 マイクロコンピューター
40 クロック発生回路
42、44 発振回路
48 表示パネル