JP2004055258A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱的安定性に優れ、電気エネルギーの利用効率が高く、色純度に優れた発光素子を提供する。
【解決手段】陽極と陰極の間に発光物質を存在せしめてし、電気エネルギーにより発光する素子において、該素子が下記一般式(1)で表される1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物を含むことを特徴とする発光素子。
【化1】
Figure 2004055258

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気エネルギーを光に変換できる素子であって、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機、光信号発生器などの分野に利用可能な発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機積層薄膜発光素子の研究が近年活発に行われている。この素子は、薄型、低駆動電圧下での高輝度発光、蛍光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であり注目を集めている。
【0003】
この研究は、コダック社のC.W.Tangらが有機積層薄膜素子が高輝度に発光することを示して以来(Appl.Phys.Lett.,51(12)21,p.913,1987)、多くの研究機関が検討を行っている。コダック社の研究グループが提示した有機積層薄膜発光素子の代表的な構成は、ITOガラス基板上に正孔輸送性のジアミン化合物、発光層である8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、そして陰極としてMg:Agを順次設けたものであり、10V程度の駆動電圧で1000cd/mの緑色発光が可能であった。
【0004】
また、発光層に種々の蛍光材料を用いることにより、多様な発光色を得ることが可能であることから、ディスプレイなどへの実用化研究が盛んである。三原色の発光材料の中では緑色発光材料の研究が最も進んでおり、現在は赤色発光材料と青色発光材料において、特性向上を目指して鋭意研究がなされている。
【0005】
この有機積層薄膜発光素子の構成については、上記の陽極/正孔輸送層/発光層/陰極の他に、電子輸送層を適宜設けたものが知られている。正孔輸送層とは陽極より注入された正孔を発光層に輸送する機能を有し、一方の電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に輸送する。これらの層を発光層と両極の間に挿入することにより、発光効率、耐久性が向上することが知られている。これらを用いた素子構成の例として、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極などが挙げられ、各層に適した有機化合物の研究が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の中でも、電子輸送層に用いる材料(以下、電子輸送材料という。)はあまり研究されておらず、数少ない公知の材料を用いても、発光材料と相互作用を起こしたり、あるいは電子輸送材料自体の発光が混在する等の理由で所望の発光色が得られなかったり、高効率の発光が得られるものの耐久性が短い等の問題があった。例えば、特定のフェナントロリン誘導体を用いた発光素子(特開平5−331459号公報)は高効率発光を示すものの、長時間の通電により結晶化し、薄膜が白濁化し、耐久性が低いという問題がある。また、発光効率および耐久性に比較的良い特性を示すものとして、キノリノール金属錯体やベンゾキノリノール金属錯体があるが、これらはこの材料自身に高い青緑〜黄色での発光能力があるために、電子輸送材料として用いた際に、これらの材料自身の発光が混在して色純度が悪化する恐れがある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、熱的安定性に優れ、発光効率が高く、高輝度で色純度に優れた発光素子を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、
陽極と陰極の間に発光物質を存在せしめてし、電気エネルギーにより発光する素子において、該素子が下記一般式(1)で表される1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物を含むことを特徴とする発光素子、
【0009】
【化2】
Figure 2004055258
【0010】
(ここで、Xは連結基を表し、nは2以上の自然数である。Rは前記連結基の結合する部位以外の任意の位置に結合する置換基であって、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールエーテル基、アルキル若しくはアリールチオエーテル基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基およびシロキサニル基ならびに該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環から選ばれる。mは1〜7の整数(但し、該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環が用いられる場合の上限は共有された炭素−炭素結合の数分減数する。)を表す。)、であり、および、それらのより好ましい態様である発明である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において陽極は、光を取り出すために透明であれば酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマなど特に限定されるものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に望ましい。透明電極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できればよく、特に限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度以下の抵抗値の基板の入手可能になっていることから、低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。また、ガラス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが用いられ、また厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用できる。さらに、陽極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えばプラスチック基板上に陽極を形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法など特に制限を受けるものではない。
【0012】
陰極は、電子を本有機物層に効率良く注入できる物質であれば特に限定されないが、一般に白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム、ストロンチウムなどがあげられる。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかし、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、有機層に微量のリチウムやマグネシウム、セシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができる。また、フッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。更に電極を保護するために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、およびこれら金属を用いた合金、ならびにシリカ、チタニア、窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子などを積層することが好ましい。これらの電極の作製法も抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティング、コーティングなど導通を取ることができれば特に制限されない。
【0013】
本発明における発光物質とは、自ら発光するもの、その発光を助けるもののいずれにも該当し、発光に関与している化合物を指すものである。具体的には発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料などが該当する。
【0014】
本発明の発光素子は、陽極、陰極以外の構成として種々の構成を取り得、例えば、1)正孔輸送層/発光層、2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、3)発光層/電子輸送層、4)発光層の場合などが挙げられる。
【0015】
発光層は、発光を陽極および陰極より注入された電気エネルギーを発光のためのエネルギーとして蓄積して、実際に発光を司る層である。該発光層に用いる材料(以下、発光材料という。)としては、好ましく蛍光性あるいはリン光性を有する化合物である。
【0016】
また、発光材料を用いて発光を得る場合に、エネルギーの蓄積、実際の発光を単独の発光材料で行う場合とエネルギー遷移を利用し、機能を分離して複数の発光材料の組み合わせて用いる場合とがある。後者の場合には、電気エネルギーの蓄積を担う発光材料(以下、ホスト材料という)と、蓄積されたエネルギーを受け取り、実際に発光を司る発光材料(以下、ドーパント材料)とに分類される。このような機能分離の手法はドーピング法と呼ばれ、該手法により高効率、高色純度、高耐久性の発光素子が得ることができる。
【0017】
こうした発光材料は単独でもあるいは複数種組み合わせて用いることができるし、また、発光層は多層にして用いることもできる。
【0018】
ドーピング法においては、ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、例えば、積層構成のような偏在して存在している態様であっててもよい。また、ドーピング材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して10重量%以下で用いることが好ましく、更に好ましくは2重量%以下である。かかる発光層の形成は、ホスト材料とドーピング材料を共蒸着法によって形成したり、ホスト材料とドーピング材料とを予め混合してから蒸着する方法が挙げられる。
【0019】
ホスト材料としては従来から発光体として公知であるアントラセンやピレン、ペリレンなどの縮合環誘導体、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、ピリミジン、チオフェン、チオキサンテンなどの複素環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、などのキノリノール金属錯体、ベンゾキノリノール金属錯体、ビピリジン金属錯体、ローダミン金属錯体、アゾメチン金属錯体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、イミダゾール誘導体やオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などのアゾール誘導体およびその金属錯体、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾールなどのベンズアゾール誘導体およびその金属錯体、トリフェニルアミン誘導体やカルバゾール誘導体などのアミン誘導体、メロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体などのり光材料、ポリマー系では、メポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体などが使用できる。これらは単独で用いてもよいし、複数の誘導体を混合して用いても良い。
【0020】
ドーパント材料としては、従来から知られている、アントラセン、ペリレンなどの縮合多環芳香族炭化水素、7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリンを始めとするクマリン誘導体、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ローダミン誘導体、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、オキサジン化合物、チオキサンテン誘導体、シアニン色素誘導体、フルオレセイン誘導体、アクリジン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピロール誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、ジアザフラビン誘導体、ピロメテン誘導体およびその金属錯体、フェノキサジン誘導体、フェノキサゾン誘導体、チアジアゾロピレン誘導体、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体、トリス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾチアゾール)イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾオキサゾール)イリジウム錯体、トリスベンゾキノリンイリジウム錯体、ビス(2−フェニルピリジル)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、ビス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾチアゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾオキサゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビスベンゾキノリン(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、白金ポルフィリン錯体などのりん光材料などが知られているが、これらは単独で用いてもよいし、複数の誘導体を混合して用いてもよい。
【0021】
発光を単独の化合物で実現しようとする場合(ドーピング法を取らない場合)の発光材料としては、前記のホスト材料に挙げた化合物が好適に用いられる。
【0022】
また、発光層内においては、電子と正孔の移動も起こるので、発光層は後述する電子輸送材料および/または正孔輸送材料を好ましく含有することができる。
【0023】
正孔輸送層とは陽極から正孔が注入され、さらに正孔を輸送することを司る層である。正孔輸送層に用いる材料(以下、正孔輸送材料という)とは、陽極から注入される正孔を安定に受け取り、効率よく輸送することができる材料である。正孔輸送材料として用いうる材料には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)類などのカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ジスチリル誘導体、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数のものを混合して用いても良い。また、複数の層を積層して用いることもできる。
【0024】
電子輸送層とは陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層である。電子輸送層に用いる材料(以下、電子輸送材料という)とは、電子輸送材料とは陰極から注入される電子を安定に受け取り、効率よく輸送することができる材料や、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる材料である。
【0025】
このような電子輸送材料としては、例えば8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン、クマリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体などがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、複数のものを混合して用いても良い。また、複数の層を積層して用いることもできる。
【0026】
上記の発光層、正孔輸送層、電子輸送層にはそれぞれ、増量材や結着材としての各層の本来機能には寄与しない材料が併用される場合がある。例えば、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0027】
本発明は、発光素子中に、下記一般式(1)で表される1,7−フェナントロリン骨格を分子中に複数個有する化合物を含有する。
【0028】
【化3】
Figure 2004055258
【0029】
(ここで、Xは連結基を表し、nは2以上の自然数である。Rは前記連結基の結合する部位以外の任意の位置に結合する置換基であって、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールエーテル基、アルキル若しくはアリールチオエーテル基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基およびシロキサニル基ならびに該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環から選ばれる。mは1〜7の整数(但し、該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環が用いられる場合の上限は共有された炭素−炭素結合の数分減数する。)を表す。)。
【0030】
すなわち、前記の発光材料、電子輸送材料、正孔輸送材料等に当該化合物を単独で若しくは他の材料と併用して用いる。
【0031】
本発明に係る1,7−フェナントロリン骨格を分子中に複数個有する化合物の本旨とするところは、1,7−フェナントロリン骨格を分子中に複数個有する点である。置換基Rとしては本発明の効果に照らして1,7−フェナントロリン骨格上の水素とそれに等価の特性を有する置換基を列挙したものである。すなわち、例えば水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールエーテル基、アルキル若しくはアリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基およびシロキサニル基ならびに該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環を挙げることができる。
【0032】
これらの置換基のうち、アルキル基とは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルキル基とは、例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。また、アラルキル基とは、例えばベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルケニル基とは例えばビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルケニル基とは例えばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキニル基とは例えばアセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルコキシ基とは例えばメトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アリールエーテル基とは例えばフェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキル若しくはアリールチオエーテル基とはアルコキシ基またはアリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリール基とは例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、複素環基とは例えばフリル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキンとは例えばトリフルオロメチル基などの、前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の一部あるいは全部が、前述のハロゲンで置換されたものを示し、残りの部分は無置換でも置換されていてもかまわない。アルデヒド基、カルボニル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換されたものも含み、さらに脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基とは例えばトリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シロキサニル基とは例えばトリメチルシロキサニル基などのエーテル結合を介したケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環は無置換でも置換されていてもかまわない。また、Rが複数個の場合には各々の置換基は同じでも異なっていてもよい。
【0033】
本発明の1,7−フェナントロリン骨格を複数個有する化合物は、連結基Xを有している。この連結基Xは、複数の1,7−フェナントロリン骨格をつなぐものであり、連結基により連結されることで、従来の1,7−フェナントロリン化合物化合物では得ることができなかった、耐熱性および薄膜形成能を付与することができ、更に、素子としての耐久性を付与することができ、有用な発光素子を得ることができる。
【0034】
また、熱的、光・電気化学的に安定であり、かつ、高い電子輸送能や蛍光性が発現する好ましい連結基として、二重結合、三重結合、置換もしくは無置換の多価芳香族炭化水素残基、置換もしくは無置換の多価芳香複素環残基並びにこれらの組み合わせによるもののいずれかより選ばれたものが挙げられ、一層の耐熱性や薄膜形成性に有効であるので剛直でかつかさ高い構造のものが望ましく、具体的には多価芳香族炭化水素残基が一層好ましい。
【0035】
このような好ましい連結基Xの具体例として以下に示すものが挙げられる。これらは適宜組み合わせて用いることもできる。
【0036】
【化4】
Figure 2004055258
【0037】
【化5】
Figure 2004055258
【0038】
【化6】
Figure 2004055258
【0039】
これらの連結基は1,7−フェナントロリン骨格の連結に使われる以外の位置は本発明の効果を損なわない限り任意の置換基で置換されていても良い。
【0040】
これらの連結基の基材となるものは、市販のものを入手したり、常法に従って合成することができるが、いくつかの骨格の具体例を以下に記す。
【0041】
9,9’−スピロビフルオレン骨格の合成は、J.Am.Chem.Soc.,vol.52(1930)の第2881頁、特開平7−278537号公報の実施例「A.出発化合物(a)9,9−スピロビフルオレンの合成」などが挙げられる。2−ブロモビフェニルをTHF中で金属マグネシウムを用いてグリニャール化し、次いで室温から50℃で、9−フルオレノンと反応させ、常法で処理し、得られたヒドロキシ体を酢酸に小量の塩酸を加えた中で加熱脱水し、常法で処理する。
【0042】
さらに、9−フルオレノンの代わりに9−キサントンを用いてスピロキサンテンフルオレンが得られ、9−チオキサントンを用いてスピロチオキサンテンフルオレンが得られ、N−ブチル−アクリドンを用いてスピロ−N−ブチル−アクリジンフルオレンが得られ、アンスロンを用いてスピロジヒドロアントラセンフルオレンが得られ、さらにスベロンを用いてスピロジヒドロジベンゾシクロヘプタンフルオレンを得ることができる。
【0043】
9,9’−スピロビ(9H−9−シラフルオレン)骨格の合成は、参考文献としてJ.Am.Chem.Soc.,vol.80(1958)の第1883頁などが挙げられる。2,2’−ジブロモビフェニルをエーテル中で金属リチウムと反応させ、次いで所定の温度で、テトラクロロシランと反応させ、常法で処理し得ることができる。
【0044】
テトラフェニルメタン骨格の合成は、参考文献としてAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,vol.25(1986)No.12の第1098頁や、Tetrahedron Letters,vol.38(1997)の第1487頁などがあげられる。無溶媒または酢酸溶媒中、トリフェニルメタノールまたはトリフェニルメチルクロライドを、アニリンまたはアニリン塩酸塩と100℃乃至220℃で反応させ、得られた中間体を常法で処理して単離し、次いでエタノール/硫酸の混合溶媒中、−10℃でイソアミルナイトライトと反応させ、ホスフィン酸を加えて加熱還流し、常法で処理する。
【0045】
ヘキサベンゾプロペラン骨格の合成は、参考文献としてLibigs Ann.Chem.,vol.749(1971)の第38頁などが挙げられる。9−フルオレノンを亜りん酸トリエチルと反応させ、メタノールで処理してスピロケトン化合物を得る。次にエーテル中のスピロケトン化合物に2−ブロモビフェニルのリチオ体を所定の温度で反応させ、常法で処理し、得られたヒドロキシ体を酢酸およびメタンスルホン酸を加えた中で加熱脱水し、常法で処理し得ることができる。
【0046】
上記の1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物として、下記のような構造があげられる。
【0047】
【化7】
Figure 2004055258
【0048】
(ここで、Y、R、n、lは、それぞれ前記一般式(1)で説明したX、R、nおよびlの定義に同じ。)。
【0049】
本発明の1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物を得る方法としては、例えば、連結基Xを母骨格とする化合物と1,7−フェナントロリン母骨格を有する化合物とを反応せしめて得ることができる。なお、置換基Rについては、市販の対応する化合物を用いるかあるいは公知の方法にて合成することにフェナントロリン母骨格に導入することができる。
【0050】
すなわち、連結基Xへの1,7−フェナントロリン母骨格の導入法としては、アセチル基のような反応性置換基を導入した後、1,7−フェナントロリン環を形成する方法や、ヨード基やブロモ基などの反応性置換基を導入した後、1,7−フェナントロリン環を付加する方法があげられる。
【0051】
アセチル基の導入法は、一般的かつ簡便なフリーデル・クラフツのアシル化があげられる。参考文献としては、特開平7−278537号公報の実施例「A.出発化合物(f)2,2’−ジアセチル−9,9’−スピロビフルオレンを介しての9,9’−スピロビフルオレンからの9,9’−スピロビフルオレン−2,2’−ジカルボン酸」やHelvetica Chimica Acta,vol.52(1969)第1210頁「Experimenteller Tell 2,2’−diacetyl−9,9’−spirobifluorene(IV)」などがあげられる。連結基を1,2−ジクロロエタン中で50℃で塩化アセチルと塩化アルミニウムと反応させ、常法で処理し、アセチル基を導入することができる。
【0052】
アセチル基からのフェナントロリン骨格の導入法は、参考文献としてTetrahedron Letters,vol.40(1999).第7312頁スキームやJ.Org.Chem.1996,61.第302頁「2−Phenyl−1,10−phenanntoroline」、Tetrahedron Letters,vol.23(1982).第5291頁〜第5294頁などがあげられる。連結基のアセチル体をジオキサン中で60℃で5−アミノ−6−キノリンカルボアルデヒドなどの対応するキノリン誘導体、水酸化カリウムと反応させ、常法で処理する方法である。
【0053】
ヨード基の導入は、参考文献として、日本化学会誌92巻11号(1971)第1023頁、1.1項の「 1−メチルナフタリンのヨウ素化」やTetrahedron Letters,vol.38(1997)の第1487頁などがあげられる。連結基を80%酢酸中で80℃でヨウ素と過ヨウ素酸2水和物と反応させ、常法で処理するか、あるいは四塩化炭素中で50℃乃至60℃でヨウ素とビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼンと反応させ、常法で処理し、ヨード基を導入することができる。
【0054】
ブロモ基の導入は、参考文献として、特開平7−278537号公報の実施例「A.出発化合物(a)9,9’−スピロビフルオレンの合成」、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,25(1986)No.12の第1098頁などがあげられる。連結基を室温で臭素と反応させ、常法で処理し、ブロモ基を導入することができる。
【0055】
ヨード基、ブロモ基からの1,7−フェナントロリン骨格の導入としては、連結基のヨード体またはブロモ体を金属リチウムでリチオ化し、次いで対応する無水フェナントロリンと反応させて、水、二酸化マンガンで処理する方法がある。
【0056】
さらに、連結基への1,7−フェナントロリン骨格の導入は、上記のようにまず連結基を合成し、そこに反応性置換基を導入する方法だけでなく、連結基を合成する際に反応性置換基を含んだ原料を用いることにより、反応性置換基が導入された連結基を直接得てもよい。例えば、下記に示すアセチル基を導入した連結基の合成については、2,2’−ジブロモビフェニルに4−アセチルボロン酸を鈴木カップリング(参考文献:Chem.Rev.,vol.95(1995)の第2457頁)の条件で反応させることにより得ることができる。
【0057】
【化8】
Figure 2004055258
【0058】
本発明の1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物は蛍光性を有することから発光材料として好ましく用いることができる。特に薄膜形成性に優れることから、ホスト材料として好適に用いることができる。
【0059】
また、本発明の1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物は高い電子輸送能と正孔阻止能を併せ持つことから、電子輸送層に用いることが好ましい。
【0060】
本発明の1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物を発光層や電子輸送層や正孔輸送層に用いる場合、本発明の目的を損なわない限り、他の材料を併せて用いても構わない。係る材料としては、前記各材料の説明において例示した化合物などが挙げられる。また、単なる増量材や結着材としての各層の機能性には寄与しない材料が用いられる場合もある。
【0061】
また、各層の形成方法は、従来公知の方法を採用することができ、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されるものではないが、通常は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着が特性面で好ましい。層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmの間から選ばれる。
【0062】
電気エネルギーとは主に直流電流を指すが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力、寿命を考慮するとできるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるようにするべきである。
【0063】
本発明におけるマトリクス方式とは、表示のための画素が格子状に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状、サイズは用途によって決まる。例えばパソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられるし、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
【0064】
本発明におけるセグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示、自動車のパネル表示などがあげられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0065】
本発明の発光素子はバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板、標識などに使用される。特に液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本発明における発光素子を用いたバックライトは薄型、軽量が特徴になる。
【0066】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0067】
実施例1(ETM1の合成)
2−ブロモビフェニル23.8gをTHF中で金属マグネシウム3.4gを用いてグリニャール化し、次いで室温から50℃で、9−フルオレノン18.0gと反応させ、常法で処理し、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレノールを得た。これを酢酸に小量の塩酸を加えた中で加熱脱水し、常法で処理し、9,9’−スピロビフルオレン(18.5g)を得た。次に、9,9’−スピロビフルオレン(15.8g)を1,2−ジクロロエタン中で50℃で塩化アセチル8.6gと塩化アルミニウム14.7gと反応させ、常法で処理し、2,2’−ジアセチル−9,9’−スピロビフルオレン(11.2g)を得た。
【0068】
2,2’−ジアセチル−9,9’−スピロビフルオレン1.52gをジオキサン中で60℃で5−アミノ−6−キノリンカルボアルデヒド1.31g、水酸化カリウム1.0gと反応させ、常法で処理し、下記に示すETM1(0.29g)を得た。1H−NMR(CDCl3,ppm):9.57(d,2H)、8.99(d・d,2H)、8.57(d・d,2H)、8.11(d・d,4H)、7.98(t,4H)、7.84(d,2H)、7.81(d,2H)、7.61−7.56(m,4H)、7.45(t,2H)、7.18(t,2H)、6.84(d,2H)
【0069】
【化9】
Figure 2004055258
【0070】
実施例2
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断、エッチングを行った。得られた基板をアセトン、”セミコクリン56”で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いてイソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず第一の正孔注入輸送材料として銅フタロシアニン(CuPc)を10nm蒸着し、引き続いて第二の正孔輸送材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)を50nm積層した。さらに、引き続いて発光材料としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq3)を15nmの厚さに、ついで電子輸送材料としてETM1を35nmの厚さに積層した。引き続いてリチウムを0.2nmドーピングし、最後にアルミニウムを150nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で、発光ピーク波長が536mのAlq3に基づく緑色発光が得られ、発光輝度は4000cd/m、発光効率は1.9cd/Aであった。また、この発光素子の通電後500時間経過後の初期輝度保持率は75%であり、均質な発光面を維持していた。
【0071】
比較例1
発光材料であるAlq3の厚さを50nmにし、電子輸送材料を用いない以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で、発光ピーク波長が536mのAlq3に基づく緑色発光が得られ、発光輝度は3000cd/m、発光効率は1.4cd/Aであった。
【0072】
比較例2
電子輸送材料として2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンを用いた以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で、発光ピーク波長が536mのAlq3に基づく緑色発光が得られ、発光輝度は3500cd/m、発光効率は1.8cd/Aであった。しかしながら、この発光素子の通電後500時間経過後の初期輝度保持率は50%以下であり、発光面にはムラが見られた。
【0073】
比較例3
電子輸送材料として2−フェニル−1,7−フェナントロリンを用いた以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で、発光ピーク波長が536mのAlq3に基づく緑色発光が得られ、発光輝度は2500cd/m、発光効率は1.4cd/Aであった。しかしながら、この発光素子の通電後500時間経過後の初期輝度保持率は50%以下であり、発光面にはムラが見られた。
【0074】
実施例3
発光材料として下記に示すEM1を用いた以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、15Vの印加電圧で、発光ピーク波長が463nmのEM1に基づく青色発光が得られ、発光輝度は7000cd/mであった。
【0075】
【化10】
Figure 2004055258
【0076】
実施例4
発光層部分を4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニルとトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体の混合物(イリジウム錯体の含有量8wt%)を20nmの厚さ積層した以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは8Vの印加電圧で、発光ピーク波長が515nmのイリジウム錯体に基づく緑色発光が得られ、発光輝度は1000cd/mであった。
【0077】
実施例5
発光層部分をホスト材料として1,4−ジケト−2,5−ビス(3,5−ジメチルベンジル)−3,6−ビス(4−メチルフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール、ドーパント材料として4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−インダセンを用いて、ドーパントが1.0wt%になるように15nmの厚さに共蒸着した以外は実施例2と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で発光ピーク波長615nmのドーパント材料に基づく赤色発光が得られた。
【0078】
比較例4
電子輸送材料としてAlq3を用いる以外は実施例5と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で赤色発光は得られず、615nmの発光ピーク波長と共に535nmの付近にショルダーピークを有する橙色発光となった。
【0079】
実施例6
電子輸送材料として下記に示すETM2を用いる以外は実施例5と全く同様にして発光素子を作製した。この発光素子からは、10Vの印加電圧で発光ピーク波長615nmのドーパント材料に基づく赤色発光が得られた。
【0080】
【化11】
Figure 2004055258
【0081】
実施例7
発光層部分をホスト材料としてETM2を、ドーパント材料として4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−テトラメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−インダセンをドープ濃度が0.5wt%になるように用いて、25nmの厚さに、ついで電子輸送材料として同じくETM2を25nmの厚さに積層した。引き続いてリチウムを0.2nmドーピングし、最後にアルミニウムを150nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。この発光素子からは、11Vの印加電圧で、発光ピーク波長が519mのドーパント材料に基づく緑色発光が得られた。
【0082】
実施例8
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断、フォトリソグラフィ法によって300μmピッチ(残り幅270μm)×32本のストライプ状にパターン加工した。ITOストライプの長辺方向片側は外部との電気的接続を容易にするために1.27mmピッチ(開口部幅800μm)まで広げてある。得られた基板をアセトン、”セミコクリン56”で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いてイソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まずCuPcを10nm蒸着し、引き続いてα−NPDを50nm蒸着した。次に発光材料としてAlq3を25nm積層し、引き続いて電子輸送材料としてETM1を25nmの厚さに積層した。次に厚さ50μmのコバール板にウエットエッチングによって16本の250μmの開口部(残り幅50μm、300μmピッチに相当)を設けたマスクを、真空中でITOストライプに直交するようにマスク交換し、マスクとITO基板が密着するように裏面から磁石で固定した。そしてリチウムを0.5nm有機層にドーピングした後、アルミニウムを200nm蒸着して32×16ドットマトリクス素子を作製した。本素子をマトリクス駆動させたところ、クロストークなく文字表示できた。
【0083】
【発明の効果】
本発明は、熱的安定性に優れ、電気エネルギーの利用効率が高く、色純度に優れた発光素子を提供できるものである。

Claims (5)

  1. 陽極と陰極の間に発光物質を存在せしめてし、電気エネルギーにより発光する素子において、該素子が下記一般式(1)で表される1,7−フェナントロリン骨格を分子内に複数個有する化合物を含むことを特徴とする発光素子。
    Figure 2004055258
    (ここで、Xは連結基を表し、nは2以上の自然数である。Rは前記連結基の結合する部位以外の任意の位置に結合する置換基であって、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アリールエーテル基、アルキル若しくはアリールチオエーテル基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基およびシロキサニル基ならびに該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環から選ばれる。mは1〜7の整数(但し、該フェナントロリン骨格と少なくとも一つの炭素−炭素結合を共有する縮合環が用いられる場合の上限は共有された炭素−炭素結合の数分減数する。)を表す。)
  2. 前記連結基が二重結合、三重結合、置換もしくは無置換の多価芳香族炭化水素残基および置換もしくは無置換の多価芳香複素環残基並びにこれらの組み合わせによるものからなる群のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  3. 前記1,7−フェナントロリン骨格を分子中に複数個有する化合物が電子輸送層に含まれることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  4. 前記1,7−フェナントロリン骨格を分子中に複数個有する化合物が発光層に含まれることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  5. マトリクスおよび/またはセグメント方式によって表示することを特徴とする請求項1記載の発光素子。
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