JP4520650B2 - 電動リールのモータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ制御装置、釣り糸が巻き付けられるスプールを駆動するモータを制御する電動リールのモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動リールは、通常、比較的水深が深い魚を釣る場合に使用されるリールであり、スプールの糸繰り出し方向の回転をモータにより行うものである。電動リールでは、従来、スイッチの操作によりモータの回転速度、つまりスプールの巻き上げ速度を高低速に調整できるようになっている。スプールの巻き上げ速度が設定されると、負荷に関わらずその速度を維持するように電流が制御される。
【0003】
この種の電動リールにおいて、仕掛けが船縁まで到達したときにモータをオフする船縁停止モードを有するものが知られている。このような船縁停止モードを有していると、魚を釣り上げるときや餌を交換するときに、仕掛けが船縁に配置されるので仕掛けや魚を回収しやすくなり、手返しが速くなる。船縁停止モードを備えた電動リールでは、設定された船縁停止位置より手前側でモータを減速し船縁停止位置が一定になるように制御している。この減速位置は、通常、巻き上げ速度により予め設定されており、巻き上げ速度が遅い場合は速い場合より船縁側に設定されている。
【0004】
一方、電動リールにおいて、設定された速度を維持して巻き上げるのではなく、釣り糸に作用する張力を一定にすべく設定されたトルクを維持するように制御するものが開発されている。このようにトルクを一定に制御すると、巻き上げトルクの無用な増加を抑えることができ、魚の口切れや仕掛けのハリス切れ等が少なくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の船縁停止モードを有する電動リールでは、巻き上げ速度により減速位置を設定しているので、負荷がほとんどない仕掛けの回収時に高速巻取した場合には、減速位置で減速しても船縁停止位置が大きく釣り竿側にずれて過巻取状態になるおそれがある。また、大きな負荷が作用して低速で巻き上げるときには、逆に減速位置を船縁側にずらしても、その船縁より下方でモータが停止することがある。この現象は、巻き上げ速度を一定に制御する場合も生じるが、特に巻き上げトルクを一定に制御する場合には速度を制御していないので、低負荷高速巻き上げ時や高負荷低速巻き上げ時にこのような現象が顕著に生じやすい。
【0006】
本発明の課題は、船縁停止モードを有する電動リールにおいて、モータに作用する負荷やモータ回転数に関わらず巻き上げ時に所定の位置に仕掛けを配置できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る電動リールのモータ制御装置は、釣り糸が巻き付けられるスプールを駆動するモータを制御する装置であって、糸長検出手段と、トルク検出手段と、回転速度検出手段と、減速糸長設定手段と、停止糸長設定手段と、第1モータ制御手段とを備えている。糸長検出手段は、スプールから放出された糸長を検出する手段である。トルク検出手段は、モータに作用するトルクを検出する手段である。回転速度検出手段は、スプールの回転速度を検出する手段である。減速糸長設定手段は、巻き上げ時にトルク検出手段及び回転速度検出手段の検出結果によりモータの回転を減速するための減速糸長を設定する手段である。停止糸長設定手段は、巻き上げ時にモータの回転を停止するための減速糸長より短い停止糸長を設定する手段である。第1モータ制御手段は、巻き上げ時に糸長検出手段の検出結果が設定された減速糸長になるとモータの回転を減速するとともに、糸長検出手段の検出結果が設定された停止糸長になるとモータの回転を停止する手段である。
【0008】
この電動リールのモータ制御装置では、スプールから放出された釣り糸の糸長が糸長検出手段により検出される。巻き上げ時にモータが回転してスプールが回転すると、その回転速度が回転速度検出手段で検出され、さらにモータのトルクがトルク検出手段により検出され、検出されたトルク及び回転速度に応じて減速糸長設定手段により減速糸長が設定される。そして、検出された糸長が減速糸長になると、モータの回転が減速し,さらに巻き上げが進んで停止糸長になるとモータの回転が停止する。
【0009】
ここでは、モータの回転の減速開始位置が巻き上げ速度だけでなく、巻き上げトルクも考慮して設定されるので、たとえば低負荷高速巻き上げの場合では、トルクを重視して早めに減速するように設定し、高負荷低速巻き上げの場合には、同じくトルクを重視して遅めに減速するように設定することにより、設定された停止位置に精度良く停止しやすくなり、モータに作用する負荷やモータ回転数に関わらず巻き上げ時にたとえば船縁などの所定の位置に仕掛けを配置できるようになる。
【0010】
発明2に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1に記載の装置において、減速糸長設定手段は、トルク検出手段が検出したトルクと回転速度検出手段が検出した回転速度とにそれぞれ所定の係数を乗算して減速糸長を設定する。この場合は、単純な係数計算だけで減速糸長を設定できるので、モータ制御が容易になる。
【0011】
発明3に係る電動リールのモータ制御装置は、釣り糸が巻き付けられるスプールを駆動するモータを制御する装置であって、糸長検出手段と、トルク検出手段と、回転速度検出手段と、減速度設定手段と、停止糸長設定手段と、第1モータ制御手段とを備えている。糸長検出手段は、スプールから放出された糸長を検出する手段である。トルク検出手段は、モータに作用するトルクを検出する手段である。回転速度検出手段は、スプールの回転速度を検出する手段である。減速度設定手段は、巻き上げ時にトルク検出手段及び回転速度検出手段の検出結果によりモータの回転を減速するための減速度を設定する手段である。停止糸長設定手段は、巻き上げ時にモータの回転を停止するための停止糸長を設定する手段である。第1モータ制御手段は、巻き上げ時に糸長検出手段の検出結果が設定された停止糸長より長い所定の減速糸長になるとモータの回転を設定された減速度で減速するとともに、糸長検出手段の検出結果が設定された停止糸長になるとモータの回転を停止する手段である。
【0012】
この電動リールのモータ制御装置では、スプールから放出された釣り糸の糸長が糸長検出手段により検出される。巻き上げ時にモータが回転してスプールが回転すると、その回転速度が回転速度検出手段で検出され、さらにモータのトルクがトルク検出手段により検出され、検出されたトルク及び回転速度に応じて減速度設定手段により減速度が設定される。そして、検出された糸長が所定の減速糸長になると、モータの回転が設定された減速度で減速し,さらに巻き上げが進んで停止糸長になるとモータの回転が停止する。
【0013】
ここでは、モータの回転の減速度が巻き上げ速度だけでなく、巻き上げトルクも考慮して設定されるので、たとえば低負荷高速巻き上げの場合では、トルクを重視して大きな減速度で減速するように設定し、高負荷低速巻き上げの場合には、同じくトルクを重視して小さな減速度で減速するように設定することにより、設定された停止位置に精度良く停止しやすくなり、モータに作用する負荷やモータ回転数に関わらず巻き上げ時にたとえば船縁などの所定の位置に仕掛けを配置できるようになる。
【0014】
発明4に係る電動リールのモータ制御装置は、発明3に記載の装置において、減速糸長設定手段は、トルク検出手段が検出したトルクと回転速度検出手段が検出した回転速度とにそれぞれ所定の係数を乗算して減速度を設定する。この場合は、単純な係数計算だけで減速度を設定できるので、モータ制御が容易になる。
【0015】
発明5に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置において、停止糸長設定手段は、糸長検出手段の検出結果が所定糸長以下でかつ回転速度検出手段によりスプールの回転が所定時間以上停止していると判断したとき、そのときの糸長を停止糸長に設定する。この場合には、船の大きさなどで変化する船縁停止位置を釣り人が実際に停止させた位置に設定できるので、常に最適な停止位置を設定できる。
【0016】
発明6に係る電動リールのモータ制御装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、トルクを複数段階に設定するためのトルク設定手段と、トルク検出手段の検出結果に基づき、設定されたトルクを維持するようにモータを制御する第2モータ制御手段をさらに備える。この場合には、予めトルク設定手段により複数段階のトルクが設定され、巻き上げトルクがトルク設定手段で設定された各段階の巻き上げトルクを超えないように段階毎にモータのトルクが制御される。このため、巻き上げトルクが設定されたトルクを超えることなくなり、巻き上げトルクの無用な増加を抑えることができ、口切れやハリス切れが生じにくくなる。
【0017】
発明7に係る電動リールのモータ制御装置は、発明6に記載の装置において、トルク設定手段には、段階毎に許容電流値が設定され、トルク検出手段は、モータに供給される電流値により巻き上げトルクを検出し、第2モータ制御手段は、段階毎に設定された許容電流値を超えないようにモータに供給する電流を制御する。この場合には、電流により巻き上げトルクを検出しているので、トルクの検出が容易でありかつ精度が高くなる。また、電流値も設定された電流値以上に増加しにくいので焼損等の熱によるモータの損傷が生じにくい。
【0018】
発明8に係る電動リールのモータ制御装置は、発明7に記載の装置において、回転速度を複数段階に設定するための速度設定手段と、回転速度検出手段の検出結果に基づき、設定された速度を維持するようにモータを制御する第3モータ制御手段と、第2モータ制御手段によるトルク一定制御と、第3モータ制御手段による速度一定制御とを択一的に選択するための制御選択手段とをさらに備える。この場合には、速度制御とトルク制御とのいずれかの制御を選択できるので、魚種や釣法等に応じてモータの制御方法を最適化できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態による電動リールは、図1に示すように、釣り竿Rに装着されるリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。
【0020】
リール本体1は、左右1対の側板7a、7bとそれらを連結する複数の連結部材8とからなるフレーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー9a、9bとを有している。ハンドル2側(図1の右側)の側カバー9bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に支持され、ハンドル2と逆側(図1の左側)の側カバー9aには、外部電源PS接続用の電源コード18を接続するためのコネクタ19が設けられている。
【0021】
リール本体1の内部には、ハンドル2に連結されたスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部には、スプール10を糸巻き上げ方向に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されている。また、リール本体1のハンドル2側側面には、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフするクラッチの操作レバー11が配置されている。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。
【0022】
リール本体1の上部にはカウンタケース4が固定されている。カウンタケース4は、リール本体1の上部に配置され、上面に表示窓20が形成されている。カウンタケース4の上面には、図2に示すように、表示窓20を介して仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶ディスプレイからなる表示部5が臨んでおり、表示部5の周囲にはスイッチ操作部6が設けられている。
【0023】
表示部5は、中央に配置された4桁の7セグメント表示の水深表示領域5aと、その下方に配置された3桁の底水深表示領域5bと、水深表示領域5aの図2右側に配置された段数表示領域5cとを有している。段数表示領域5cは、スイッチ操作部6により操作された現在の巻き上げトルク又は速度を5段階で表示する。また、水深表示領域5aの上方には後述する速度モードとトルクモードの制御モードを示す「速度・トルク」の文字のいずれかが表示される。
【0024】
スイッチ操作部6は、表示部5の図1右側に上下に並べて配置された変更スイッチSK及びモータスイッチPWと、左側に上下に並べて配置された底メモスイッチSM及びモードスイッチMDとを有している。
【0025】
モータスイッチPWは、モータ12をオンオフするためのスイッチであり、モータスイッチPWがオン操作されたときモータ12を回転させる連続巻き上げ可能なスイッチとなっている。
【0026】
変更スイッチSKは、駆動されたモータ12の速度又はトルクを増減するためのスイッチであり、上下の2つのスイッチと中立位置とを有するシーソー型のスイッチである。この変更スイッチSKの上スイッチを押すと速度又はトルクが増加し下スイッチを押すと減少する。
【0027】
底メモスイッチSMは、仕掛けが底に到達したときに押されるスイッチであり、そのときの水深が底として設定される。この底メモスイッチSMを所定時間以上押すと、釣り糸が切れたときになどに水深表示の0点を新たな位置にセットできる。
【0028】
モードスイッチMDは、モータを制御するモードをトルク制御するトルクモードと速度制御する速度モードとに切り換えるためのスイッチであり、スイッチを押す毎に制御モードが切り換わる。なお、初期設定では制御モードが速度モードに設定されている。
【0029】
リール制御部30は、カウンタケース4内に配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。リール制御部30は、制御プログラムに従って表示部5の表示制御やモータ駆動制御等の各種の制御動作を実行する。リール制御部30には、図3に示すように、スイッチ操作部6の各種のスイッチと、スプールセンサ41と、スプールカウンタ42と、トルクセンサ43とが接続されている。また、リール制御部30には、ブザー44と、PWM駆動回路45と、表示部5と、記憶部46と、他の入出力部とが接続されている。
【0030】
スプールセンサ41は、前後に並べて配置された2つのリードスイッチから構成されており、いずれのリードスイッチが先に検出パルスを発したかによりスプール10の回転方向を検出できる。スプールカウンタ42は、スプールセンサ41のオンオフ回数を計数するカウンタであり、この計数値によりスプール回転数に関する回転位置データが得られる。スプールカウンタ42は、スプール10が正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、逆転すると増加する。トルクセンサ43は、トルク制御に使用する巻き上げトルクを検出するためのセンサであり、具体的にはモータ12に流される電流を検出することにより巻き上げトルクを検出する。ブザー44は、警報音を鳴らすために使用される。PWM駆動回路45は、モータ12をPWM駆動するものであり、リール制御部30によりデューティ比が制御されてモータ12をトルク可変に駆動する。
【0031】
記憶部46はたとえばEEPROM等の不揮発メモリから構成されている。記憶部46には、図4に示すように、棚位置等の表示データを記憶する表示データ記憶エリア50と、実際の糸長とスプール回転数との関係を示す学習データを記憶する学習データ記憶エリア51と、速度の段数SCに応じたスプール10の巻き上げ速度(rpm)の上限値を記憶する速度データ記憶エリア52と、トルクの段数TCに応じたモータ12の巻き上げトルク(アンペア)の上限値を記憶するトルクデータ記憶エリア53と、種々のデータを記憶するデータ記憶エリア54とが設けられている。
【0032】
速度データ記憶エリア52には、たとえば、段数SCが1速の場合に上限の速度データSS=257rpm,2速の場合にSS=369rpm,3速の場合にSS=503rpm,4速の場合にSS=665rpm,5速の場合にSS=1000rpmがそれぞれ記憶されている。また、トルクデータ記憶エリア53には、たとえば、段数TCが1段の場合に上限のトルクデータTS=2A,2段の場合にTS=3.5A,3段の場合にTS=5A,4段の場合にTS=6.5A,5段の場合にTS=8Aがそれぞれ記憶されている。
【0033】
データ記憶エリア54にはPWM制御用のデューティ比のデータや各種の一時的なデータが格納されている。また、トルク段数毎の最大デューティ比及び最小デューティ比のデータや船縁停止位置FNや船縁停止前の減速開始位置RXを設定するための速度係数データVA及びトルク係数データTBも格納されている。
【0034】
次に、リール制御部30によって行われる具体的な制御処理を、図5以降の制御フローチャートに従って説明する。
電動リールが電源コード18を介して外部電源PSに接続されると、図5のステップS1において初期設定を行う。この初期設定ではスプールカウンタ42の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたり、モータ制御モードを速度モードにする。
【0035】
次にステップS2では表示処理を行う。表示処理では、水深表示等の各種の表示処理を行う。ここで、速度モードのときには、段数表示領域5cに変更スイッチSKにより操作された速度段数SCが、トルクモードのときにはトルク段数TCが表示される。また、速度モードとトルクモードとのいずれか制御モードが表示される。
【0036】
ステップS3では、後述する各動作モードで算出される水深LXが6m以下か否かを判断する。ステップS4では、スイッチ操作部6のいずれかのスイッチが押されたか否かのキー入力の判断を行う。またステップS5ではスプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41の出力により判断する。ステップS6では、その他の指令や入力がなされたか否かを判断する。
【0037】
水深LXが6m以下のときには、ステップS3からステップS7に移行する。ステップS4では、その水深で5秒以上停止しているか否かを判断する。6m以下の水深で5秒以上停止しているのは、船縁で釣った魚を取り込んだり、仕掛けに餌を付け直したりする等の動作を行っているときが多い。このため、5秒以上停止していると判断するとステップS8に移行し、そのときの水深LXを船縁停止位置FNにセットする。5秒未満の時はステップS7からステップS4に移行する。
【0038】
スイッチ入力がなされた場合にはステップS4からステップS9に移行してキー入力処理を実行する。またスプール10の回転が検出された場合にはステップS5からステップS10に移行する。ステップS10では各動作モード処理を実行する。その他の指令あるいは入力がなされた場合にはステップS6からステップS11に移行してその他の処理を実行する。
【0039】
ステップS6のキー入力処理では図6のステップS12でモードスイッチMDが押されたか否かを判断する。ステップS13では、モータスイッチPWが押された否かを判断する。ステップS14では、変更スイッチSKの上スイッチが押されたか否かを判断する。ステップS15では、変更スイッチSKの下スイッチが押されたか否かを判断する。ステップS16では、その他のスイッチが操作されたか否かを判断する。その他のスイッチの操作には底メモスイッチSM等の操作を含んでいる。
【0040】
モードスイッチMDが押されるとステップS12からステップS17に移行する。ステップS17では、制御モードが速度モードか否かを判断する。速度モード中にモードスイッチMDが押されるということは釣り人がトルクモードにしようとするためであるので、ステップS18に移行して制御モードをトルクモードにセットする。これにより、変更スイッチSKの操作に応じてトルク制御が行われる。速度モードではなくトルクモードの時にはステップS17からステップS19に移行し、制御モードを速度モードにセットする。
【0041】
モータスイッチPWが押されると、ステップS13からステップS20に移行する。ステップS20では、モータ12がすでにオンしている(回転している)か否かを判断する。モータ回転中にモータスイッチPWが押されるということは釣り人がモータ12を停止しようとするためであるので、ステップS21に移行してモータ12をオフする。モータ停止中の場合にはステップS20からステップS22に移行してモータ12をオンする。
【0042】
変更スイッチSKの上スイッチが押されると、ステップS14からステップS23に移行する。ステップS23では、制御モードが速度モードか否かを判断する。速度モードのときには、ステップS24に移行し、後述する速度増加処理を行う。トルクモードのときには、ステップS23からステップS25に移行し、後述するトルク増加処理を行う。ここでは、上スイッチが押されていると速度増加又はトルク増加処理を行うので、結果として上スイッチを押している時間だけこれらの増加処理が行われる。
【0043】
変更スイッチSKの下スイッチが押されると、ステップS15からステップS26に移行する。ステップS26では、制御モードが速度モードか否かを判断する。速度モードのときには、ステップS27に移行し、後述する速度減少処理を行う。トルクモードのときには、ステップS26からステップS28に移行し、後述するトルク減少処理を行う。ここでも、下スイッチが押されていると速度減少又はトルク減少処理を行うので、結果として下スイッチを押している時間だけこれらの減少処理が行われる。
【0044】
他のスイッチ入力がなされると、ステップS16からステップS29に移行し、たとえば、現在の水深の底棚値にセットするなどの操作されたスイッチ入力に応じた他のキー入力処理を行う。
【0045】
ステップS24の速度増加処理では、図7のステップS31で、前にセットされた速度段数SCをデータ記憶エリア54から読み出す。ここで、データ記憶エリア54には、速度段数SCが増加又は減少するごとにその値が記憶される。また、電源が投入されたとき及びモータスイッチPWが押されてモータ12が停止したときに、速度段数SCが「0」にセットされ、データ記憶エリア54に記憶される。
【0046】
ステップS32では、読み出した速度段数SCを1段アップする。このときの増加した速度段数SCは、表示処理において段数表示領域5eに表示されるとともに、データ記憶エリア54に記憶される。なお、モータスイッチPWが押された直後は、速度段数SCが1段アップして「1」にセットされる。また、速度段数SCが「5」にセットされるとそれ以上増加することはない。
【0047】
ステップS33では、速度データ記憶エリア52から増加した速度段数SCに応じた速度データSSを読み出しセットする。ステップS34では、スプールセンサ41の出力からスプール10の速度データSPを読み込む。
【0048】
ステップS35では、読み込んだ速度データSPが、セットされた速度段数SCに応じた速度データSS以上になったか否かを判断する。速度データSPが速度データSS未満のときには、ステップS35からステップS36に移行する。ステップS36では、現在のデューティ比Dをデータ記憶エリア54から読み出す。データ記憶エリア54には、デューティ比Dがセットされる都度、セットされたデューティ比Dが記憶される。
【0049】
ステップS37では、データ記憶エリア54から読み出した現在のデューティ比Dが最大デューティ比DU以上になったか否かを判断する。この最大デューティ比DUは、通常「100」であるが、速度段数SCやモータ12の負荷等に応じて最大デューティ比DUの設定を変更してもよい。デューティ比Dが最大デューティ比DU未満のときには、ステップS37からステップS38に移行し、デューティ比Dを所定の増分DI増加してセットする。この新たにセットされたデューティ比Dはデータ記憶エリア54に記憶される。なお、この増分DIは、たとえば「5」である。ステップS37で、デューティ比Dが最大デューティ比DU以上と判断するとステップS39に移行する。ステップS39では、デューティ比Dを最大デューティ比DUにセットする。
【0050】
一方、ステップS35で、速度データSPが速度データSS以上と判断したときには、何も処理せずキー入力処理に戻る。また、ステップS38又はS39の処理が終わるとキー入力処理に戻る。
【0051】
この速度増加処理では、上スイッチを押している時間だけ速度段数SCをアップし、アップした速度段数SCに応じた巻き上げ速度までスプール10の速度を増加させる。また、上スイッチを押すのをやめると、再度、上スイッチ又は下スイッチが押されるまで速度増加処理や速度減少処理は行われないので、速度増加結果の速度段数SCが維持され、その巻き上げ速度が維持される。
【0052】
ステップS25のトルク増加処理では、最大デューティ比TDUが各トルク段数TC毎に設定されている点が速度増加処理と異なる。すなわち、トルク制御の場合、モータ12に与える電流値の最大値、つまり最大デューティ比TDUは、各トルク段数TC毎に設定されているため、各トルク段数TCでそれ以上トルクがあがることがない。トルク増加処理では、図8のステップS41で、前にセットされたトルク段数TCをデータ記憶エリア54から読み出す。ここで、データ記憶エリア54には、トルク段数TCが増加又は減少するごとにその値が記憶される。また、電源が投入されたとき及びモータスイッチPWが押されてモータ12が停止したときに、トルク段数TCが「0」にセットされ、データ記憶エリア54に記憶される。
【0053】
ステップS42では、読み出したトルク段数TCを1段アップする。このときの増加したトルク段数TCは、表示処理において段数表示領域5eに表示されるとともに、データ記憶エリア54に記憶される。なお、モータスイッチPWが押された直後は、トルク段数TCが1段アップして「1」にセットされる。また、トルク段数TCが「5」にセットされるとそれ以上増加することはない。
【0054】
ステップS43では、トルクデータ記憶エリア53から増加したトルク段数TCに応じたトルクデータTSを読み出しセットする。ステップS44では、トルクセンサ43の出力からスプール10のトルクデータAMを読み込む。
【0055】
ステップS45では、読み込んだトルクデータAMが、セットされたトルク段数TCに応じたトルクデータTS以上になったか否かを判断する。トルクデータAMがトルクデータTS未満のときには、ステップS45からステップS46に移行する。ステップS46では、現在のデューティ比Dをデータ記憶エリア54から読み出す。データ記憶エリア54には、デューティ比Dがセットされる都度、セットされたデューティ比Dが記憶される。
【0056】
ステップS47では、データ記憶エリア54から読み出した現在のデューティ比Dが各トルク段数TC毎に設定された最大デューティ比TDU以上になったか否かを判断する。デューティ比Dが最大デューティ比TDU未満のときには、ステップS47からステップS48に移行し、デューティ比Dを所定の増分DI増加してセットする。この新たにセットされたデューティ比Dはデータ記憶エリア54に記憶される。なお、この増分DIは、たとえば「5」である。ステップS47で、デューティ比Dが最大デューティ比TDU以上と判断するとステップS49に移行する。ステップS49では、デューティ比Dを最大デューティ比TDUにセットする。
【0057】
一方、ステップS45で、トルクデータAMがトルクデータTS以上と判断したときには、何も処理せずキー入力処理に戻る。また、ステップS48又はS49の処理が終わるとキー入力処理に戻る。
【0058】
このトルク増加処理では、上スイッチを押している時間だけトルク段数TCをアップし、アップしたトルク段数TCに応じたトルクまでモータ12のトルクを増加させる。また、上スイッチを押すのをやめると、再度、上スイッチ又は下スイッチが押されるまでトルク増加処理やトルク減少処理は行われないので、トルク増加結果のトルク段数TCが維持され、そのトルクが維持される。この結果、負荷が大きくなると速度は低下する。しかし、一定のトルクで巻き上げるので、巻き上げ時にハリス切れや口切れを生じにくくなる。
【0059】
ステップS27の速度減少処理では、図9のステップS51で、前にセットされた速度段数SCをデータ記憶エリア54から読み出す。ステップS52では、読み出した速度段数SCを1段ダウンする。このときの減少した速度段数SCは、表示処理において段数表示領域5eに表示されるとともに、データ記憶エリア54に記憶される。なお、速度段数SCが「1」にダウンされるとそれ以上減少することはない。ステップS53では、速度データ記憶エリア52から減少した速度段数SCに応じた速度データSSを読み出す。ステップS54では、スプールセンサ41の出力からスプール10の速度データSPを読み込む。
【0060】
ステップS55では、読み込んだ速度データSPが、セットされた速度段数SCに応じた速度データSS以下になったか否かを判断する。速度データSPが速度データSSを超えるときには、ステップS55からステップS56に移行する。ステップS56では、現在のデューティ比Dをデータ記憶エリア54から読み出す。
【0061】
ステップS57では、データ記憶エリア54から読み出した現在のデューティ比Dが最小デューティ比DL以上になったか否かを判断する。この最小デューティ比DLは、通常「40」である。デューティ比Dが最小デューティ比DLを超えるときには、ステップS57からステップS58に移行し、デューティ比Dを所定の減分DI減少させてセットする。このセットされたデューティ比Dはデータ記憶エリア54に記憶される。なお、この減分DIは、たとえば「5」である。ステップS58で、デューティ比Dが最小デューティ比DL以下と判断するとステップS59に移行する。ステップS59では、デューティ比Dを最小デューティ比DLにセットする。
【0062】
一方、ステップS55で、読み込んだ速度データSPがセットされた速度段数SCに応じた速度データSS以下になったかと判断すると何も処理せずキー入力処理に戻る。また、ステップS58又はS59の処理が終わるとキー入力処理に戻る。
【0063】
この減速処理では、下スイッチを押している時間だけ速度段数SCをダウンし、ダウンした速度段数SCに応じた巻き上げ速度までスプール10の巻き上げ速度を減少させる。また、下スイッチを押すのをやめると、再度、上スイッチ又は下スイッチが押されるまで速度増加処理や速度減少処理は行われないので、速度減少結果の速度段数SCが維持され、その巻き上げ速度が維持される。
【0064】
ステップS28のトルク減少処理では、最小デューティ比TDLが各トルク段数TC毎に設定されている点が速度減少処理と異なる。すなわち、トルク制御の場合、モータ12に与える電流値の最小値、つまり最小デューティ比TDLは、各トルク段数TC毎に設定されているため、各トルク段数TCでそれ以下にトルクが下降することがない。トルク減少処理では、図10のステップS61で、前にセットされたトルク段数TCをデータ記憶エリア54から読み出す。ここで、データ記憶エリア54には、トルク段数TCが増加又は減少するごとにその値が記憶される。また、電源が投入されたとき及びモータスイッチPWが押されてモータ12が停止したときに、トルク段数TCが「0」にセットされ、データ記憶エリア54に記憶される。
【0065】
ステップS62では、読み出したトルク段数TCを1段ダウンする。このときの減少したトルク段数TCは、表示処理において段数表示領域5eに表示されるとともに、データ記憶エリア54に記憶される。なお、モータスイッチPWが押された直後は、トルク段数TCが1段アップして「1」にセットされる。また、トルク段数TCが「0」にセットされるとそれ以上減少することはない。
【0066】
ステップS63では、トルクデータ記憶エリア53から増加したトルク段数TCに応じたトルクデータTSを読み出しセットする。ステップS64では、トルクセンサ43の出力からスプール10のトルクデータAMを読み込む。
【0067】
ステップS65では、読み込んだトルクデータAMが、セットされたトルク段数TCに応じたトルクデータTS以下になったか否かを判断する。トルクデータAMがトルクデータTSを超えるときには、ステップS65からステップS66に移行する。ステップS66では、現在のデューティ比Dをデータ記憶エリア54から読み出す。データ記憶エリア54には、デューティ比Dがセットされる都度、セットされたデューティ比Dが記憶される。
【0068】
ステップS67では、データ記憶エリア54から読み出した現在のデューティ比Dが各トルク段数TC毎に設定された最小デューティ比TDL以下になったか否かを判断する。デューティ比Dが最小デューティ比TDLを超えているときには、ステップS67からステップS68に移行し、デューティ比Dを所定の減分DI減少させてセットする。この新たにセットされたデューティ比Dはデータ記憶エリア54に記憶される。なお、この減分DIは、たとえば「5」である。ステップS67で、デューティ比Dが最小デューティ比TDL以下と判断するとステップS69に移行する。ステップS69では、デューティ比Dを最小デューティ比TDLにセットする。
【0069】
一方、ステップS65で、トルクデータAMがトルクデータTS以下と判断したときには、何も処理せずキー入力処理に戻る。また、ステップS68又はS69の処理が終わるとキー入力処理に戻る。
【0070】
このトルク減少処理でも、下スイッチを押している時間だけトルク段数TCをダウンし、ダウンしたトルク段数TCに応じたトルクまでモータ12のトルクを減少させる。また、したスイッチを押すのをやめると、再度、上スイッチ又は下スイッチが押されるまでトルク増加処理やトルク減少処理は行われないので、トルク減少結果のトルク段数TCが維持され、そのトルクが維持される。この結果、負荷が小さくなると速度は増加する。しかし、一定のトルクで巻き上げるので、巻き上げ時にハリス切れや口切れを生じにくくなる。
【0071】
ステップS7の各動作モード処理では、図11のステップS71でスプール10の回転方向が糸繰り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41のいずれのリードスイッチが先にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS71からステップS72に移行する。ステップS72では、スプール回転数が減少する毎にスプール回転数から記憶部46に記憶されたデータを読み出して水深(放出された糸長)LXを算出する。この水深LXがステップS2の表示処理で表示される。ステップS73では、得られた水深LXが底位置に一致したか、つまり、仕掛けが底に到達したか否かを判断する。底位置は、仕掛けが底に到達したときに底メモスイッチSMを押すことで記憶部46にセットされる。ステップS74では、他のモードか否かを判断する。他のモードではない場合には、各動作モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0072】
水深が底位置に一致するとステップS73からステップS75に移行し、仕掛けが底に到達したことを報知するためにブザー44を鳴らす。他のモードの場合には、ステップS74からステップS76に移行し、指定された他のモードを実行する。
【0073】
スプール10の回転が糸巻き取り方向と判断するとステップS71からステップS77に移行する。ステップS77では、スプール回転数から記憶部46に記憶されたデータを読み出して水深LXを算出する。この水深LXがステップS2の表示処理で表示される。
【0074】
ステップS78では、水深LXが船縁停止位置FNより10m手前にきたか、つまり、仕掛けがあと10mで船縁停止位置FNに至る位置まで巻き上げられたか否かを判断する。この判断は減速位置RXを設定するために使用される。すなわち、巻き上げ毎に減速位置RXを設定するのは無駄であるので、この位置まで巻き上げれば本当に船縁まで巻き上げると判断している。
【0075】
ステップS79では、算出結果に基づく水深LXが減速位置RXに一致したか否かを判断する。ステップS80では、算出結果に基づく水深LXが船縁停止位置FNに一致したか否かを判断する。
【0076】
水深LXが船縁停止位置FNより10mの水深に一致すると、ステップS78からステップS81に移行する。ステップS81では減速位置RXがすでに設定されているか否かを判断する。ステップS81ですでに減速位置RXがセットされていると判断した場合には、ステップS79に移行する。減速位置RXがセットされていないと判断した場合には、ステップS82に移行し、減速位置RXをセットし、ステップS79に移行する。
【0077】
この減速位置RXは、スプールセンサ41の検出結果に基づくスプール回転速度データDVと、トルクセンサ43の検出結果に基づくトルクデータDTとにより決定される。すなわち、図12に示すように、減速度を同じに設定してもしても、負荷、つまり巻き上げトルクが小さくなると実際の減速度は小さくなる。このため、船縁停止位置FNからの減速を開始する糸長データ(水深)としての減速位置RXを回転速度とトルクとにより決定している。具体的には、減速位置RXは、下記式により決定される。
【0078】
RX=FN+2×(VA×DV−TB×DT)
ここで、VAは、速度係数データであり、TBは、トルク係数データである。なお、(VA×DV−TB×DT)の値は、たとえば0.5〜1.5の間で変化するように速度係数データVA及び、トルク係数データTBが設定されている。
【0079】
したがって、減速位置RXは、図12に示すように、船縁停止位置FNよりたとえば2m手前の位置を基準にして速度が速くなりトルクが小さくなると船縁停止位置FNから最大3m離れた減速位置RX1になり、速度が遅くなりトルクが大きくなると船縁停止位置FNに最小1mまで近づいた減速位置RX2になる。すなわち、図12に破線で示した傾斜は、所定の減速度に設定した場合、巻き上げトルクが小さいときの減速度を示しており、実線は巻き上げトルクが大きいときを示している。このように、設定された減速度に対して負荷(トルク)が大きい場合には実際の減速度が大きくなり、負荷が小さい場合には小さくなる。したがって、低負荷時に減速度が小さくなってこのままでは船縁停止位置FNをオーバーランし、高負荷時には、減速度が大きくなって船縁停止位置FNの手前で停止してしまう。
【0080】
これを防ぐため、トルクが小さくかつ速度が速いときには減速位置RXを基準位置より深い水深側に大きく変化させ、トルクが大きく速度が遅いときには、減速位置RXを基準位置より浅い水深側に大きく変化させる。このように減速位置RXを速度及びトルクに応じて設定することにより、トルクモード時に仕掛けを回収するときなどの低負荷高速時であっても、減速位置RXが船縁停止位置FNより大きく離れ、船縁停止位置FNに仕掛けが配置されやすい。船縁停止位置FNより10mの水深まで巻き取っていない場合にはステップS78からステップS79に移行する。
【0081】
水深LXが減速位置RXに到達する、つまり減速位置RXまで仕掛けが巻き上げられるとステップS79からステップS83に移行する。ステップS83では、減速位置RXをリセットする。これにより次回の巻き上げ時には新たな減速位置RXがセットされる。ステップS84では、モータ12の回転を所定の減速度で減速し、ステップS80に移行する。減速位置RXまで巻き取っていない場合にはステップS79からステップS80に移行する。
【0082】
船縁停止位置FNに到達するとステップS80からステップS85に移行する。ステップS85では、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー44を鳴らす。ステップS86では、モータ12をオフする。これにより魚や釣れたときや仕掛けを回収して餌を交換するときに、取り込みやすい位置に魚や仕掛けが配置される。船縁停止位置FNまで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。
【0083】
この電動リールでは、船縁まで仕掛けを巻き上げるときには、モータ12に作用するトルクとモータ12の速度(スプール10の回転速度)とを考慮して減速位置をずらしてモータ12を減速しているので、負荷や速度が変動しても仕掛けを船縁に確実に配置できるようになる。
【0084】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、速度とトルクとに所定の係数を乗算して減速位置RXを設定していたが、たとえば速度とトルクの別の関数や速度とトルクの2次元マップテーブルなどにより減速位置RXを設定してもよい。
【0085】
(b) 前記実施形態では、船縁停止位置より10m手前で減速位置をセットしたが、減速位置のセットを巻き上げ中であればどこでもよい。また、減速位置の基準を2mに設定したが、これは一例であり基準位置は2mに限定されない。
【0086】
(c) 前記実施形態では、速度及びトルクに応じて減速位置を変化させているが、速度及びトルクに応じて減速度RAを変化させてもよい。図13は、速度及びトルクに応じて減速度を変化させる実施形態の各動作モード処理について示している。図13において、ステップS91からステップS97までは、図11に示す実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0087】
ステップS98では、水深LXが船縁停止位置FNより10m手前にきたか、つまり、仕掛けがあと10mで船縁停止位置FNに至る位置まで巻き上げられたか否かを判断する。この判断は減速度RAを設定するために使用される。
【0088】
ステップS99では、算出結果に基づく水深LXが所定の減速位置RX(たとえば船縁停止位置より2m手前の水深)に一致したか否かを判断する。ステップS100では、算出結果に基づく水深LXが船縁停止位置FNに一致したか否かを判断する。
【0089】
水深LXが船縁停止位置FNより10mの水深に一致すると、ステップS98からステップS101に移行する。ステップS101では減速度RAがすでに設定されているか否かを判断する。ステップS101ですでに減速度RAがセットされていると判断した場合には、ステップS99に移行する。減速度RAがセットされていないと判断した場合には、ステップS102に移行し、減速度RAをセットし、ステップS99に移行する。
【0090】
この減速度RAは、スプールセンサ41の検出結果に基づくスプール回転速度データDVと、トルクセンサ43の検出結果に基づくトルクデータDTとにより決定される。すなわち、設定された減速度に対して実際の減速度は負荷の変動によって変化する。すなわち、負荷、つまり巻き上げトルクが小さくなると実際の減速度は小さくなる。このため、船縁停止位置FNからの所定の距離隔てられた減速位置RXからの減速度RAを回転速度とトルクとにより決定している。具体的には、減速度RAは、下記式により決定される。
【0091】
RA=5×(VA×DV−TB×DT)
ここで、VAは、速度係数データであり、TBは、トルク係数データである。なお、(VA×DV−TB×DT)の値は、たとえば0.5〜1.5の間で変化するように速度係数データVA及び、トルク係数データTBが設定されている。
【0092】
減速度RAは、図14に示すように、船縁停止位置FNよりたとえば2m手前の減速位置RXから減速する際に、回転速度及びトルクに応じて変化する。すなわち、図14に破線で示した傾斜は、同じの減速度に設定した場合、巻き上げトルクが小さいときの減速度を示しており、実線は大きいときを示している。このように、設定された減速度に対して負荷(トルク)が大きい場合には実際の減速度が大きくなり、負荷が小さい場合には小さくなる。したがって、低負荷時に減速度が小さくなってこのままでは船縁停止位置FNをオーバーランしてしまう。
【0093】
これを防ぐため、トルクが小さく速度が速いときには減速度RAを大きくし、トルクが大きく速度が遅いときには減速度RAを小さくする。このように減速度RAを速度及びトルクに応じて設定することにより、トルクモード時に仕掛けを回収するときなどの低負荷高速時であっても、減速度が大きくなって、船縁停止位置FNに仕掛けが配置されやすい。船縁停止位置FNより10mの水深まで巻き取っていない場合にはステップS98からステップS99に移行する。
【0094】
水深LXが減速位置RXに到達する、つまり減速位置RXまで仕掛けが巻き上げられるとステップS99からステップS103に移行する。ステップS103では、減速度RAをリセットする。これにより次回の巻き上げ時には新たな減速度RAがセットされる。ステップS104では、モータ12の回転を設定された減速度RAで減速し、ステップS100に移行する。減速位置RXまで巻き取っていない場合にはステップS99からステップS100に移行する。
【0095】
船縁停止位置FNに到達するとステップS100からステップS105に移行する。ステップS105では、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー44を鳴らす。ステップS106では、モータ12をオフする。これにより魚や釣れたときや仕掛けを回収して餌を交換するときに、取り込みやすい位置に魚や仕掛けが配置される。船縁停止位置FNまで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。
【0096】
このような電動リールでは、船縁まで仕掛けを巻き上げるときには、モータ12に作用するトルクとモータ12の速度(スプール10の回転速度)とを考慮して減速度を変化させてモータ12を減速しているので、負荷や速度が変動しても仕掛けを船縁に確実に配置できるようになる。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、モータの回転の減速開始位置が巻き上げ速度だけでなく、巻き上げトルクも考慮して設定されるので、たとえば低負荷高速巻き上げの場合では、トルクを重視して早めに減速するように設定し、高負荷低速巻き上げの場合には、同じくトルクを重視して遅めに減速するように設定することにより、設定された停止位置に仕掛けを精度良く停止しやすくなり、モータに作用する負荷やモータ回転数に関わらず巻き上げ時にたとえば船縁などの所定の位置に仕掛けを配置できるようになる。
【0098】
別の発明によれば、モータの回転の減速度が巻き上げ速度だけでなく、巻き上げトルクも考慮して設定されるので、たとえば低負荷高速巻き上げの場合では、トルクを重視して大きな減速度で減速するように設定し、高負荷低速巻き上げの場合には、同じくトルクを重視して小さな減速度で減速するように設定することにより、設定された停止位置に仕掛けを精度良く停止させやすくなり、モータに作用する負荷やモータ回転数に関わらず巻き上げ時にたとえば船縁などの所定の位置に仕掛けを配置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した電動リールの平面図。
【図2】その電動リールの表示部周辺の平面図。
【図3】その電動リールの制御ブロック図。
【図4】記憶部の格納内容を示す図。
【図5】その電動リールのメインルーチンを示すフローチャート。
【図6】キー入力処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図7】速度増加処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図8】トルク増加処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図9】速度減少処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図10】トルク減少処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図11】各動作モード処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図12】減速位置の変化を示すグラフ。
【図13】他の実施形態の図11に相当するフローチャート。
【図14】他の実施形態の図12に相当するグラフ。
【符号の説明】
1 リール本体
10 スプール
12 モータ
30 リール制御部
41 スプールセンサ
43 トルクセンサ
46 記憶部
MD モードスイッチ
Claims (8)
- 釣り糸が巻き付けられるスプールを駆動するモータを制御する電動リールのモータ制御装置であって、
前記スプールから放出された糸長を検出する糸長検出手段と、
前記モータに作用するトルクを検出するトルク検出手段と、
前記スプールの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
巻き上げ時に前記トルク検出手段及び前記回転速度検出手段の検出結果により前記モータの回転を減速するための減速糸長を設定する減速糸長設定手段と、
巻き上げ時に前記モータの回転を停止するための前記減速糸長より短い停止糸長を設定する停止糸長設定手段と、
巻き上げ時に前記糸長検出手段の検出結果が設定された前記減速糸長になると前記モータの回転を減速するとともに、前記糸長検出手段の検出結果が設定された前記停止糸長になると前記モータの回転を停止する第1モータ制御手段と、
を備えた電動リールのモータ制御装置。 - 前記減速糸長設定手段は、前記トルク検出手段が検出したトルクと前記回転速度検出手段が検出した回転速度とにそれぞれ所定の係数を乗算して前記減速糸長を設定する、請求項1に記載の電動リールのモータ制御装置。
- 釣り糸が巻き付けられるスプールを駆動するモータを制御する電動リールのモータ制御装置であって、
前記スプールから放出された糸長を検出する糸長検出手段と、
前記モータに作用するトルクを検出するトルク検出手段と、
前記スプールの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
巻き上げ時に前記トルク検出手段及び前記回転速度検出手段の検出結果により前記モータの回転を減速するための減速度を設定する減速度設定手段と、
巻き上げ時に前記モータの回転を停止するための停止糸長を設定する停止糸長設定手段と、
巻き上げ時に前記糸長検出手段の検出結果が設定された前記停止糸長より長い所定の減速糸長になると前記モータの回転を前記設定された減速度で減速するとともに、前記糸長検出手段の検出結果が設定された前記停止糸長になると前記モータの回転を停止する第1モータ制御手段と、
を備えた電動リールのモータ制御装置。 - 前記減速度設定手段は、前記トルク検出手段が検出したトルクと前記回転速度検出手段が検出した回転速度とにそれぞれ所定の係数を乗算して前記減速度を設定する、請求項3に記載の電動リールのモータ制御装置。
- 前記停止糸長設定手段は、前記糸長検出手段の検出結果が所定糸長以下でかつ前記回転速度検出手段により前記スプールの回転が所定時間以上停止していると判断したとき、そのときの糸長を前記停止糸長に設定する、請求項1から4のいずれかに記載の電動リールのモータ制御装置。
- 前記モータに作用するトルクを複数段階に設定するためのトルク設定手段と、
前記トルク検出手段の検出結果に基づき、前記設定されたトルクを維持するように前記モータを制御する第2モータ制御手段とをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の電動リールのモータ制御装置。 - 前記トルク設定手段には、前記段階毎に許容電流値が設定され、
前記トルク検出手段は、前記モータに供給される電流値により前記巻き上げトルクを検出し、
前記第2モータ制御手段は、前記段階毎に設定された前記許容電流値を超えないように前記モータに供給する電流を制御する、請求項6に記載の両軸受リール。 - 前記回転速度を複数段階に設定するための速度設定手段と、
前記回転速度検出手段の検出結果に基づき、前記設定された速度を維持するように前記モータを制御する第3モータ制御手段と、
前記第2モータ制御手段によるトルク一定制御と前記第3モータ制御手段による速度一定制御とを択一的に選択するための制御選択手段とをさらに備える、請求項7に記載の電動リールのモータ制御装置。
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