JP4516343B2 - ポリエステル系接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱または光をトリガーとすることによって硬化反応を示すポリエステル系接着剤組成物に関する
電子材料用接着剤としては、現在までに様々な組成物が開発されてきている。とくにポリイミド等のフレキシブル基板等の接着には柔軟なエラストマーを添加することが欠かせない。これらの接着剤系として現在までにNBR/エポキシ、アクリル/エポキシ系が多く用いられて来ているが、その高い接着力を有することによって、ポリエステル樹脂/エポキシ系についてもこれまでに使用されてきている。これらエラストマーは硬化樹脂系を柔軟にすることが重要であるが、耐熱性の観点から架橋に取り込まれることが重要である。
ポリエステル樹脂は一般にバルクでの溶融重合により200℃以上で合成されるため、この温度では官能基が不安定となり官能基を導入するのが困難となり、ポリエステル樹脂は末端にしか反応性官能基を有しないが殆どである。そこで架橋取り込みの方法としては従来の手法として、分子量の低いポリマーをもちいて末端カルボン酸とエポキシを反応させることにより、架橋に取り込むという手法もある。しかしこのときにはエラストマーの分子量が低いことによる柔軟性の低下がおきていた。また、末端のOHと反応させて取り込むという手法もあるが、反応効率が悪い。また、酸無水物硬化系を用いることによって、エステル交換反応を起こして、架橋に取り込む手法もある(特許文献1参照)が、これは反応時間が高温で長時間に渡り、プロセス適正に優れるものではなかった。
他方、FRP等の用途では、不飽和の液状低分子ポリエステルを熱ラジカル重合で反応させて架橋させることは行なわれてきたが、これらはポリエステルの分子量が低く、硬くてもろい硬化物になってしまっていた。
特開2001−31940号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、柔軟性、可撓性に優れ、かつ耐熱性にも優れたポリエステル系接着剤組成物を提供することである。
これらの解決する手段として、ポリエステル樹脂、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤の他に、ラジカル発生剤を添加することによって、ポリエステル自体を架橋し、上記性能を達成することが出来た。
請求項1記載の発明は、数平均分子量が10000以上であるポリエステル樹脂、エポキシ基含有化合物、熱により活性化されるラジカル発生剤、および、光により活性化されカチオンを発生させるエポキシ硬化剤を含有してなる接着剤組成物である。
<ポリエステル>
本発明の着剤組成物にはポリエステル系樹脂が含有される。本発明で用いられるポリエステル系樹脂とは、一般的に多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合物させることにより得られる。
上記多価カルボン酸としては、特に限定されるものではなく、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの5員環もしくは6員環を含む脂環式ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の3官能以上の多価カルボン酸等が挙げられる。 これらの多価カルボン酸は、1種が単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。上記多価カルボン酸を2種類以上併用する場合、その併用割合は、必要に応じて適宜決定されればよいが、特に耐熱性が要求される場合には芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の量を多くするのが好ましい。
また、マレイン酸、フマル酸等の二重結合を有する多価カルボン酸を用いることにより、接着剤組成物の硬化の際に、二重結合を架橋させることにより、更に、高い耐熱性を有する接着剤組成物を得ることができる。
上記多価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状のアルカン系ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンジオール等のポリマー型のジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール等が挙げられる。上記多価アルコール中の炭素数としては30以下が好ましく、更に好ましくは15以下である。炭素数が30を超えると、得られるポリエステル樹脂の極性が低くなりすぎるため、エポキシ基含有化合物等の他の配合物との相溶性が低下する傾向になり、また接着力も低下していく傾向にあるので好ましくない。
上記ポリエステル樹脂は分岐構造を有していても良い。分岐構造を含有させることにより、ポリエステル樹脂は、通常の線状ポリエステルに比べて分子量分布が広くなる。すなわち、通常の線状ポリエステル樹脂のMw/Mnが2前後であるのに対し、分岐構造を有することにより、数平均分子量はあまり変化しないがMw/Mnは3以上となり、重量平均分子量が大きくなり重量平均分子量が100000以上の分子を含有することになる。その結果ポリエステル樹脂の凝集力が向上し接着剤組成物として好適に用いられる。
上記ポリエステル樹脂に分岐構造を導入する方法としては、上記の多価カルボン酸又は多価アルコールの内3官能以上の多価カルボン酸又は多価アルコールを用いることによりポリエステル樹脂中に導入することができる。上記3官能以上の多価カルボン酸及び/又は多価アルコールの量は多価カルボン酸と多価アルコールの合計中の0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは、0.5〜2重量%である。0,1重量%未満の場合は分岐の数が少なくてその硬化が認められず、10重量%を超えるとポリエステル樹脂の合成中にゲル化反応を起こし易く好ましくない。
上記ポリエステル樹脂の分子量は数平均分子量が1万以上である。数平均分子量が1万未満になると、接着剤の凝集力が低くなり十分な接着力が得られず、耐湿熱性も低下してしまう。更に、接着剤組成物を粘着テープとして使用した際には糊が流動しやすくなりコールドフローなどの問題を起こす。好ましい分子量は、20000〜30000である。
尚、上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィーを用いて測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
また、上記ポリエステル樹脂の酸価は3mgKOH/g以下でであることが好ましく、特に0.05〜1mgKOH/gが好ましい。3mgKOH/gを越えると接着剤組成物を貯蔵している間にポリエステル樹脂末端のカルボン酸とカチオン重合性化合物の反応を起こし、貯蔵安定性が著しく悪くなる。また、加水分解反応を促進する作用があるので耐湿熱性が低下するので好ましくない。
更に、上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下Tgと略称する)は特に限定されないが、接着剤組成物が特に剥離力を要求される際にはTgは室温に近い温度或いは室温以下であることが好ましい。Tgを室温付近以下にすることにより、接着剤に十分な柔軟性を与えることができ剥離力が向上する。
<エポキシ基含有化合物>
上記接着剤組成物には、エポキシ基含有化合物が添加される。エポキシ基含有化合物とは、カチオン重合によって重合可能な少なくとも1個のオキシラン環を有する有機化合物を言う。
上記エポキシ基含有化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、並びにこれらの水添化物や臭素化物;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
商品名「EHPE−3150」(軟化温度71℃、ダイセル化学工業社製)等のような脂環族エポキシ樹脂;
1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9個(好ましくは2〜4個)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等のような脂肪族エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂並びにこれらの水添化物;トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,o−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,o−トリグリシジル誘導体等のようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂並びにこれらの水添化物;グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体;エポキシ化ポリブタジエン等のような、共役ジエン化合物を主体とする重合体またはその部分水添物の重合体の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの;エポキシ化SBS等のような、「ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック」と「共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックまたはその部分水添物の重合体ブロック」とを同一分子内にもつブロック共重合体の、共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの;上記各種エポキシ基含有化合物にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂;等、従来公知の各種エポキシ基含有化合物が挙げられる。
上記エポキシ基含有化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記エポキシ基含有化合物の添加量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、特に好ましくは10〜40重量部である。添加量が10重量部より少なくなると、十分な三次元網目構造が形成されず、接着剤の耐熱性が低下するので好ましくない。また、100重量部を超えると、被着体に対する接着剤の接着力が低下するので、好ましくない。
<エポキシ硬化剤>
本発明の接着剤組成物には、光により活性化されカチオンを発生させるエポキシ硬化剤が用いられる。上記硬化剤としては、一般に光カチオン重合開始剤と称される化合物が用いられ、イオン性光酸発生タイプであっても良いし、非イオン性光酸発生タイプであっても良い。
上記光カチオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類等が挙げられ、さらに好ましくは、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン塩が挙げられ、よりさらに好ましくは、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。これらの光カチオン硬化剤は1種類が単独で用いられても良いし、2種以上が併用されて用いられても良い。
更に、上記光カチオン重合開始剤以外に、従来から知られているフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、潜在性硬化剤、ジアミン系硬化剤等のエポキシ硬化剤が添加されても良い。
エポキシ硬化剤の添加量は、ポリエステル樹脂及びエポキシ基含有化合物の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、特に0.2〜5重量部が好ましい。添加量が0.1重量部未満の場合は、光カチオン重合が十分に進行しなかったり、硬化が遅くなりすぎたりする可能性があり好ましくない。また、逆に配合量が10重量部を超えると、硬化が速くなり過ぎて、作業性が悪くなり被着体を貼り合わせるのが困難となることがあるので好ましくない。
<ラジカル発生剤>
本発明の接着剤組成物には、ラジカル発生剤が添加される。ラジカル発生剤としては光、もしくは熱によりラジカルを発生するラジカル発生剤が挙げられるる。ラジカル発生剤は加熱時又は光照射によりラジカルを発生し、発生したラジカルが水素引き抜き反応によりポリエステル樹脂に炭素-炭素結合を形成し、架橋反応を引き起こす。また、この架橋反応は二重結合を含むポリエステル樹脂であればなお良く、この場合は付加反応により、ポリエステルの架橋反応を引き起こし、ゲル化する。
上記熱によりラジカルを発生する熱ラジカル発生剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。これらのパーオキシドのなかでも水素引き抜き反応が強いt−ブチルパーオキシベンゾエート、tブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のt-ブトキシラジカルを発生するパーブチル系熱ラジカル発生剤、ジ−(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジベンゾイルパーオキサイド系の熱ラジカル発生剤が好適に用いられる。
上記熱ラジカル発生剤を用いると、事前加熱(塗工時の乾燥熱等)により架橋反応をある程度進行させた所謂Bステージ化することができ取り扱い性が向上し、更に、加熱熱により架橋反応が促進され、より高い架橋密度、耐熱性を持つものが得られるという利点があり好ましい。
上記熱ラジカル発生剤の分解温度としては、半減期が10時間半となる温度が80−110℃であることが好ましい。温度が80℃より温度が低い場合には室温での安定性が損なわれ、高い場合にはラジカル分解反応が十分に進まず、ポリエステルのゲル化が十分に起きない可能性がある。
光によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバスペシャリティケミカルズ(株))、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ(株))、ベンゾフェノン、2−メチル−1−〔4(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパノン−1(イルガキュア907、チバスペシャリティケミカルズ(株))、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173、チバスペシャリティケミカルズ(株))等が挙げられ、これら光ラジカル発生剤は1種類が単独で用いられても良いし、2種以上が併用されて用いられても良い。
光ラジカル発生剤は、光のみでラジカルとカチオンの両方を発生させるので、プロセス工程の短縮ができ、また、熱を使うことなく完全架橋まで持っていくことができるという利点がある。
上記ラジカル発生剤の添加量は、ポリエステル樹脂及びエポキシ基含有化合物の合計量100重量部に対して1〜10部であることが好ましい。1重量部未満の場合架橋反応が十分進まず、接着剤の耐熱性が低下し易くなり、10部を超えると、ラジカル発生剤の分解残さや未分解物が硬化物中に残り、特に耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。
<その他>
本発明のポリエステル系接着剤組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、脂肪族水酸基含有化合物、熱可塑性樹脂、密着性向上剤、充填材、補強材、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、揺変剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、脱水剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、防黴剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が含有されていても良い。
本発明のポリエステル系接着剤組成物は、ポリエステル樹脂にラジカル反応による架橋構造を導入することによって、エポキシ基含有化合物の硬化物のネットワークとポリエステルの分岐とが絡み合うようになり、所謂IPN構造を有する硬化物が得られる。その結果、従来の直鎖型ポリエステルでは得られない、より密なネットワークを形成できることができ、柔軟性、可撓性に優れ、かつ耐熱性にも優れたポリエステル系接着剤組成物が得られる。
特に電子材料の固定用途テープとして好適に用いることができる。
以下に実施例を示すが、実施形態はこれに限られるものではない。
(実施例1)
多価カルボン酸成分としてイソフタル酸50重量部,多価アルコール成分としてポリカーボネートジオール(分子量2000)20重量部、1,4−ブタンジオール10重量部、エチレングリコール10重量部、ビスフェノールAの両末端にエチレングリコールが6mol付加したグリコール10重量部が共重合されたポリエステル樹脂(Mn=22000、Mw/Mn=1.7)80重量部、ラジカル発生剤としてt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボナート(パーブチルI、日本油脂社製)3重量部、エポキシ基含有化合物としてエポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ製)20部、光カチオン重合開始剤としてアデカオプトマーSP170(旭電化社製)2重量部、溶剤としてメチルエチルケトン150重量部をホモディスパー型撹拌混合機を用い,撹拌速度3000rpmで均一に撹拌混合して接着剤組成物を調製した。
離型処理が施された厚み50μmのPETフィルム上に,バーコーターを用い塗工後の厚みが50μmになるように上記で得られた接着剤組成物を塗布し、110℃で5分間オーブン中で乾燥後、さらに熱ラジカルによるポリエステルの架橋を促すために150℃で5分間加熱養生して光硬化型粘接着シートを得た。次いで得られた光硬化型粘接着シートの粘接着剤テープ面に保護フィルムとしてシリコーン離型処理が施されたPETフィルムの離型処理面をラミネートして,光硬化型粘接着シートを作製した.
(実施例2)
実施例1において、t−ブチルペルオキシ イソプロピルモノカーボナートの代わりにt−ブチルペルオキシベンゾエート(パーブチルZ、日本油脂社製)を用いる以外は実施例1と同様にして接着シートを作製した。
(実施例3)
実施例1において、t−ブチルペルオキシ イソプロピルモノカーボナートの代わりにジベンソイルパーオキサイド(ナイパーBMT、日本油脂社製)を用いる以外は実施例1と同様にして接着シートを作製した。
(実施例4)
<使用ポリエステル>
実施例1において、ポリエステル樹脂として、多価カルボン酸としてイソフタル酸46重量部、フマル酸4重量部,多価アルコールとして,ポリカーボネートジオール(分子量2000)20重量部、1,4−ブタンジオール10重量部、エチレングリコール10重量部、ビスフェノールAの量末端にエチレングリコールが6mol付加したグリコール10重量部が共重合された不飽和ポリエステル樹脂(Mn=16000、Mw/Mn=8.3)80重量部を用いる以外は実施例1と同様にして接着シートを作製した。
(比較例1)
実施例1において、ラジカル発生剤としてのt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボナート(パーブチルI、日本油脂社製)を使用しないこと以外は実施例1と同様にして接着シートを作製した。
〔評価〕
(ゲル分率)
上記で得られた接着シートを約5cm×5cmにカットし、離型PETフィルムを剥離し、硬化後のサンプルについては光硬化型粘接着シートの粘接着剤テープ面に超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2となるように照射した後,110℃30min加熱養生した。このテープの重量を測定し、これを酢酸エチルに浸せきして12h振とうし、200メッシュの金網を用いて濾過し、金網上に残存した酢酸エチル不溶分を百分率で算出した。測定は硬化前、硬化後2種類にて行なっている。
(耐半田性)
上記で得られた接着シートの保護フィルムを剥離しながら,接着シートを圧延銅板に常温にてラミネートした。次いで離型PETフィルムを剥離し,接着シートの接着シート面に超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2となるように照射した後,すぐに上記接着剤シート面にポリイミドフィルムを常温にてラミネートした。これを110℃のオーブン中で30分間養生した。得られた接合体を、23℃で65%RHの環境下に1日間放置した後、240℃の半田浴中にディッピングし、接着面の異常を観察し、下記の基準で耐ハンダ性を評価した。結果を表1に示した。
判定基準
○…異常なし
×…発泡あり
(耐湿熱性)(PCT)の測定>
上記で得られた接着シートの保護フィルムを剥離しながら,接着シートを圧延銅板に常温にてラミネートした.次いで離型PETフィルムを剥離し、接着シートの接着シート面に超高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射量が2400mJ/cm2となるように照射した後,すぐに上記接着剤シート面にポリイミドフィルムを常温にてラミネートした.これをオーブン中で110℃、30分間養生した。得られた接合体を120℃、0.1MPaの条件で7日間PCT試験を行い、試験片の外観を目視で観察し下記の基準で判定耐湿熱性を評価した。結果を表1に示した。
観察しった。
判定基準
○…異常なし
△…若干の剥がれ変形あり
×…接着剤が流動していた
Figure 0004516343
ポリエステルをラジカル発生剤をもちいて架橋することができ、中でももっとも水素引き抜き能の高い、ジベンゾイルパーオキシド誘導体をもちいた実施例3が硬化前ゲル分率が高かった。これらのシートを用いたときには、熱ラジカルによるポリエステル架橋構造を持たない比較例1に比べて、半田耐熱性についてはそれほど変化が見られなかったが、耐湿熱性において差がみられた。、これはやはりポリエステルの架橋構造に由来しているものと思われる。この構造についてはポリエステルの架橋構造とエポキシの架橋構造によるIPN型のネットワークが形成しているものと思われ、比較例のようなポリエステルが架橋されていないセミIPN構造にくらべて、より安定性の高い硬化物を得ることが出来ることがわかった。
本発明のポリエステル系接着剤組成物は、柔軟性、可撓性に優れ、かつ耐熱性にも優れているので、電子材料の固定用途分野、特に電子剤材料の固定用テープとして好適に用いられる以外に一般の固定用テープとしても広く用いられる。

Claims (1)

  1. 数平均分子量が10000以上であるポリエステル樹脂、エポキシ基含有化合物、熱により活性化されるラジカル発生剤、および、光により活性化されカチオンを発生させるエポキシ硬化剤を含有してなる事を特徴とする接着剤組成物。
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