JP4515626B2 - 液体移注具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体移注具に関する。より詳しくは、本発明は、蛋白製剤の充填されたバイアルを溶解液の充填されたカートリッジタイプのシリンジと連通し、溶解液を移注して蛋白薬剤を溶解し、調製された薬液を注射器に移注する操作に好適な液体移注具に関する。
【0002】
【従来の技術】
造影剤などの液剤はバイアルに充填されており、注射する際には、従来、使い捨て注射器の注射針をバイアルのゴム栓に刺通し、中の造影剤を吸い上げている。また、凍結乾燥された粉末製剤や固形製剤もバイアルに充填されており、注射の際には、従来、例えば両頭針を利用して溶解液容器とバイアルを液体連通し、溶解液をバイアル内に移注して薬剤を溶解し、調製された薬液の一定量を針付き注射器で吸い上げている。しかしながら、上記従来の方法は、注射針の口径が小さいため注射器に薬液を吸い上げるのに時間がかかり、また、鋭利な金属針を用いることによる危険を回避するために操作も煩雑である。蛋白製剤の薬液調製においても同様な問題はあるが、この場合には、むしろ製剤の泡立ちの問題の方が重要である。そこで、蛋白製剤の調製に際しては、バイアル側が絞り針(先端が閉塞され側孔から薬液の出し入れができるようにされた針)の両頭針を使用している。溶解液容器としては一般にカートリッジタイプのシリンジを採用しており、このタイプのシリンジは先端の口部がゴム栓で閉鎖されている。カートリッジタイプのシリンジでは、多数回投与のためゴム栓の同一箇所に何回も刺通することがあり、コアリングの発生の虞がある。
【0003】
そこで、コアリングを防ぐためにバイアル側もシリンジ側も絞り針にすることも考えられるが(実開昭49−47508号、実開昭49−47509号公報)、この場合、針の側孔から先端部にかけての針の内腔部分の洗浄が難しく、洗浄不足により内腔に汚染が生じる虞がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、蛋白製剤の薬液調製に際し、調製が容易であり、泡立ちやコアリングの発生することの無い液体移注具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、両頭針のシリンジ挿着側をベベル針(刃面がベベルに形成された針)に形成しても、刃面と両頭針の軸のなす角度が0〜5°になるようにすることによりコアリングの発生を防止することができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、板状ハブを貫通して設けられた両端に刃先を有するカヌラと、該カヌラと同軸上ハブの両面にそれぞれ設けられた筒状のバイアル挿着部と筒状のシリンジ挿着部を有してなり、前記カヌラは、バイアル挿着部側が絞り針に形成されるとともに、シリンジ挿着部側がベベル針に形成されかつ刃面とカヌラの軸のなす角度が0〜5°になるように先端側が10〜20°屈曲されてなる液体移注具に関する。ここで、ベベル針をシリンジのゴム栓に刺通した場合、刃先が偏倚しているため刺通された針が曲がるが、ベベル針が短いと針の曲がりが大きく、針をゴム栓から引きぬいたときに針が元に戻らず軸がブレてしまう虞がある。この針の軸のブレを防ぐために、シリンジ挿着部の同軸上内側にシリンジを挿着する深さを調整する挿着深さ調整手段を設けるとともに、該挿着深さ調整手段の軸方向長さに相当する分、ベベル針の長さを長く形成し、かつシリンジ挿着部を高く形成するのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す縦断面図であり、図2は他の実施例を示す縦断面図、図3は図2に示す液体移注具の使用状態を示す図であり、バイアルとシリンジを連通した状態を示す。
図1および図2に示すように、本発明の薬液移注具は、ハブ1と両端に刃先を有するカヌラ2と、ハブ1の両面にそれぞれ設けられたバイアル挿着部3とシリンジ挿着部4を有してなる。カヌラ2は、バイアル挿着部側の絞り針21とシリンジ挿着部側のベベル針22からなる。ベベル針22は、刃面221と両頭針2の軸のなす角度が0〜5°になるように先端側が10〜20°屈曲されている。
【0007】
ハブ1は板状、通常円板状の部材であり、これを貫通して両端に刃先を有するカヌラ2が取り付けられている。ハブ1の一方の面には、図3に示すようなバイアルVの口部6の形状に合わせた形状の、筒状のバイアル挿着部3が形成されており、他方の面には、カートリッジタイプのシリンジSの口部7の形状に合わせた形状の、筒状のシリンジ挿着部4が設けられている。ハブ1、バイアル挿着部3、シリンジ挿着部4は、一般にポリエチレンやポリプロピレン、ABS樹脂などの樹脂で一体に形成されている。
【0008】
カヌラ2は一般にステンレス鋼で形成された両端に刃先を有する両頭針であり、通常、ハブ1の軸上、これを貫通して取り付けられている。カヌラ1はハブ1を境に、バイアル挿着部3側が絞り針21に形成され、シリンジ挿着部4側がベベル針22に形成されている。
絞り針21は、先端が閉塞され側孔211から液体(溶解液など)の出し入れができるようにされた針であり、これを図3に示すようなバイアルVのゴム栓61に刺通してもコアリングが発生することは無い。絞り針21は、液体移注具Tを介してシリンジSからバイアルVに溶解液を移注したときに、溶解液が絞り針21の軸と直角方向に射出するため、溶解液がバイアルVの内壁を伝って落ち、直接蛋白製剤の上に落ちないので、蛋白製剤の薬液調製に際して泡立ちの発生を無くすることが出来る。
一方、ベベル針22は、刃面がベベルに形成された針であり、刃面とカヌラ2の軸のなす角度が0〜5°になるように先端側が10〜20°屈曲されている。通常のベベル針では、これをシリンジSのゴム栓71に刺通した場合、コアリングが生じる虞があるが、ベベル針22では、刃面とカヌラ2の軸のなす角度が0〜5°と極めて小さいので、殆どコアリングの発生する虞は無い。また先端側の屈曲角度は10〜20°であり、刃面とカヌラ2の軸のなす角度によって影響される。すなわち。刃面の長さによって刃面とカヌラ2の軸に対する角度が決まることから、刃面の長さによって影響される。
【0009】
ベベル針22をシリンジSのゴム栓71に刺通した場合、刃先が偏倚しているため刺通された針が曲がるが、ベベル針22が短いと針の曲がりが大きく、針をゴム栓71から引きぬいたときに針が元に戻らず軸がブレてしまう虞がある。この針の軸のブレを防ぐために、シリンジ挿着部4側は、図2に示すように、シリンジ挿着部4の同軸上内側にシリンジSの口部7を挿着する深さを調整する挿着深さ調整手段5を設けてもよい。この場合、図1の場合と比較して、挿着深さ調整手段5の軸方向長さに相当する分、ベベル針22の長さが長くなっており、また、シリンジ挿着部4も高くなっている。
【0010】
次に、本発明の液体移注具の使用について図3を用いて説明する。
先ず、バイアルVを口部6が上向きになるように置き、上から液体移注具Tのバイアル挿着部3をバイアルVの口部6に装着する。このとき、口部6のゴム栓61は液体移注具Tの絞り針21で刺通される。次に、上からシリンジSの口部7を液体移注具Tのシリンジ装着部4に挿着する。このとき、口部7のゴム栓71はベベル針22で刺通される。こうして両頭針2によるバイアルVとシリンジの連通は完了する(図3参照)。次に、プランジャ72を押してシリンジS内の溶解液(図示していない)をバイアルV内に移注し、必要ならばバイアルVを軽く振って薬液を調製する。最後に、バイアルVから液体移注具Tを取外し、別途用意したシリンジ(図示していない)の注射針をバイアルVのゴム栓61に刺通し、薬液をシリンジ内に移注する。
【0011】
【発明の効果】
以上説明してきたことから明らかなように、本発明の液体移注具を使用することにより、蛋白製剤の薬液調製に際し、調製が容易である。また、泡立ちが発生しないので、調製された薬液のシリンジへの移注が容易であり、また、コアリングが発生しないので、患者の体内に異物を注入する虞も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の他の実施例を示す縦断面図である。
【図3】 図2に示す液体移注具の使用状態を示す図であり、バイアルとシリンジを連通した状態を示す。
【符号の説明】
1 ハブ
2 両頭針
21 絞り針
211 側孔
22 ベベル針
221 刃面
3 バイアル挿着部
4 シリンジ挿着部
5 挿着深さ調整手段
T 液体移注具
V バイアル
6 口部
61 ゴム栓
S シリンジ
7 口部
71 ゴム栓
Claims (1)
- 板状ハブを貫通して設けられた両端に刃先を有するカヌラと、該カヌラと同軸上ハブの両面にそれぞれ設けられたバイアル口部が嵌合する筒状のバイアル挿着部とシリンジ口部が嵌合する筒状のシリンジ挿着部を有してなり、前記カヌラは、バイアル挿着部側が絞り針に形成されるとともに、シリンジ挿着部側がベベル針に形成されかつ刃面とカヌラの軸のなす角度が0〜5°になるように先端側が10〜20°屈曲され、シリンジ挿着部の同軸上内側にシリンジを挿着する深さを調整する挿着深さ調整手段を設けるとともに、該挿着深さ調整手段の軸方向長さに相当する分、ベベル針の長さを長く形成し、かつシリンジ挿着部を高く形成してなる液体移注具。
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