JPH0313322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は薬液瓶より注射器に薬液を採取した
り、採取した薬液をさらに他の瓶に注入したりす
る際に使用する医療用針に関する。

［従来の技術］ 近年、治療や診断などのために種々の薬剤が使
用されているが、これらの薬剤は凍結乾燥した粉
末の形でバイアル瓶内に保存されていることが多
い。そして使用前にバイアル瓶内に溶解液を注入
して溶解し、一定量を採取して非経口的に投与す
る。

従来このような溶解操作を行うために注射器や
連通する中空針が両端についた両頭針と呼ばれる
器具が使用されてきた。すなわち、注射器を使用
する場合には、ブドウ糖液や生理食塩液などの溶
解液の入つた瓶の口部ゴム栓に注射器の針を刺入
して薬剤を溶解し、再び針をゴム栓に刺入して注
射器に一定量を採取してそのまま患者に注射する
か、さらにこれを輸液瓶に注入して輸液セツトを
用いて輸液を行つていた。また両頭針を使用する
場合には薬剤の入つた瓶のゴム栓に両頭針の一方
の針を刺入し、溶解液の入つたバイアル瓶のゴム
栓に他方の針を刺入して両者を連通させ、溶解液
を薬剤の入つた瓶に移注して薬剤を溶解し次いで
上記と同様にして患者に投与していた。

［考案が解決しようとする問題点］ 注射器を使用して瓶の口部ゴム栓から針を刺入
して薬剤の溶解・採取を行う場合、液の注入・採
取の度に針をゴム栓に刺入する為、針が曲つたり
することがあつた。またゴム栓に針を刺入する
時、切りくずが発生し、瓶内に混入したり針の目
詰りが起こるケースもあつた。さらにそのまま患
者に注射する場合もあるが、その時の衛生面の問
題やゴム栓刺入時に針先が損傷して切れ味が低下
し患者に苦痛を与えるなどの問題があつた。

また、両頭針を使用する場合には薬液の採取に
は別に注射器を用いる必要があり、使用する器具
の種類が増加するので、操作性及び経済性の点で
問題があつた。

本考案の目的は、注射器を使用した薬液の調製
において瓶からの液の採取や瓶への注入時にゴム
の切りくずが発生しにくく、針の損傷を防ぎなお
かつ患者に注射する際は衛生的な医療用針を提供
することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上述した目的は、針を特定の２重構造とするこ
とにより達成できる。すなわち本考案は、先端部
が尖鋭化された中空管よりなる内針、該内針の後
部に固定された針基、及び前記内針を内部に収納
してなる外針より構成されてなり、さらに該外針
は先端部が閉塞され尖鋭化され側面には内部中空
部に通じる小孔が設けられており、かつ外針の後
端部は前記針基に着脱自在で液密に嵌着されてい
ることを特徴とする医療用針である。

［作用］ 本考案の針を注射器に取り付け瓶の口部ゴム栓
に刺入するとゴムを切り取る事無く圧入され、内
針は外針により保護される。さらにその瓶から採
取した液を患者に注射する時は、外針を抜脱して
実施できる。

［実施例］ 以下図面を用いて本考案をさらに具体的に説明
する。

第１図は、本考案の医療用針の１実施例につい
ての正面図であり第２図は第１図の線−にお
いて切断したときの断面図である。図に示すよう
に医療用針は内針１と、内針１の周囲に同軸的に
取り付けられた外針２及び内針１の後端部を固定
した針基３より構成されている。そして外針２の
後端部と針基３とは、着脱自在に嵌着されており
液が漏れないように液密構造になつている。また
外針の先端近傍の側面に内部中空内に通じる小孔
４が穿設されている。

図の実施例では小孔は１個であるが、複数個設
けて一部の孔が孔づまり等により機能せぬ状態と
なつても他の孔が代替機能を果し得るようにして
もよい。

次に、本考案の医療用針の使用方法について説
明する。

第３図は、本考案の医療用針を注射器５に取り
付け、バイアル瓶６内の薬液を採取している状態
を示す正面図である。薬液は、外針２に設けた小
孔４よりり内針１を通つて注射器に採取される。

また第４図は、注射器５に採取した薬液をバイ
アル瓶６に注入している状態を示す正面図であ
り、第３図のときは逆に薬液は注射器より内針１
及び小孔４を通つて瓶内に注入される。

第５図は、注射器５に採取した薬液を患者に注
射する為に外針２を抜脱した状態を示す正面図で
ある。すなわち採液後に外針２を取り外してその
まま内針を注射針として使用できる。

本考案の医療用針は、従来より使用されている
注射針を利用し、これに外針２を取り付けること
により完成する。

内針１、外針２共金属性のものが好ましいが、
合成樹脂で形成することもできる。

第６図は、外針２の針基３との脱着部の内面に
弾性体７を一体化して設け、外針と針基との嵌着
面を気密にした状態を示す断面図である。

第７図は、別形状の針基３に外針２を嵌着した
状態を示す断面図である。

［考案の効果］ 本考案の医療用針を用いれば、瓶からの液の採
取や瓶への注入時にゴムの切りくずが発生しにく
い。また内針の損傷もないので、外針を抜脱すれ
ば、患者に大きな苦痛を与えることなく直接注射
することができ、さらに衛生的な使用ができる。
さらに本考案の医療用針は従来より使用されてい
る注射針を利用して、これに外針を装着するだけ
で完成するので経済性の点でも優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の医療用針の一実施例につい
ての正面図であり、第２図は、第１図の線−
において切断したときの断面図である。第３図
は、本考案の医療用針を注射器に取り付け、バイ
アル瓶内の薬液を採取している状態を示す正面図
である。第４図は、注射器５に採取した薬液をバ
イアル瓶内に注入している状態を示す正面図であ
る。第５図は、注射器に採取した薬液を患者に注
射する為に外針を抜脱している状態を示す正面図
である。また第６図、第７図は、本考案の他の実
施例についての断面図である。 １……内針、２……外針、３……針基、４……
小孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 先端部が尖鋭化された中空管よりなる内針
   １、該内針の後部に固定された針基３及び前記
   内針を内部に収納してなる外針２より構成され
   てなり、さらに該外針は先端部が閉塞され尖鋭
   化され、側面には、内部中空部に通じる小孔が
   設けられており、かつ外針の後端部は前記針基
   に着脱自在で液密に嵌着されていることを特徴
   とする医療用針。 (2) 内針は金属で形成され、外針２も金属で形成
   されてなる実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の医療用針。