本発明の一実施形態について図に基づいて説明する。図2は、本実施形態にかかる画像形成装置である複写機30の概略構成を示す断面図である。この複写機30は、非磁性トナーと磁性キャリアとを混合してなる成分現像剤を用いる現像装置10を備えている。
(複写機30の構成)
複写機30は複写機,プリンターおよびファクシミリ装置としての機能を有するものであり、スキャナ部31、通信部34、レーザープリンター部32、および、シート搬送機構50を備えている。
スキャナ部31は透明ガラスからなる原稿載置台35、原稿載置台35上へ自動的に原稿を供給搬送するための両面対応自動原稿送り装置(RADF;Recirculating Automatic Document Feeder)36、及び原稿載置台35上に載置された原稿の画像を走査して読み取るための原稿画像読み取りユニット、すなわちスキャナユニット40から構成されている。そして、このスキャナ部31にて読み取られた原稿画像は、画像データとして後述する画像データ入力部へと送られ、画像データに対して所定の画像処理が施される。
RADF36は、所定の原稿トレイ(図示せず)上に複数枚の原稿を一度にセットしておき、セットされた原稿を1枚ずつ自動的に原稿載置台35上へ給送する装置である。そして、スキャナユニット40による原稿画像の読み取りが行われた後、所定の取り出し位置にまで搬出する機能を有している。
また、RADF36は、両面自動原稿送り装置としての機能を有している。すなわち、RADF36は、片面の読み取りに用いる片面用搬送路に加えて、両面の読み取りに使用する両面用搬送路、搬送路を切り替えるためのガイド、各搬送路における原稿の状態を把握(確認)・管理するためのセンサ群および制御部等(全て図示せず)を有している。これにより、スキャナユニット40による原稿画像の読み取り後、原稿を裏返し、再び原稿載置台35に搬送することが可能となっている。
そして、RADF36は、ユーザ(オペレータ)によって入力される選択指示に応じて、原稿の片面読み取りあるいは両面読み取りのいずれかを実行するように設定されている。
スキャナユニット40は、原稿載置台35上に搬送された原稿の画像を、1ライン毎に読み取る原稿画像読み取りユニットである。そして、図2に示すように、第1走査ユニット40a,第2走査ユニット40b,光学レンズ43およびCCD44を有している。
第1走査ユニット40aは、原稿載置台35に沿って左から右へと一定速度Vで移動しながら原稿を露光するものである。そして、図2に示すように、光を照射するためのランプリフレクターアセンブリ41と、原稿からの反射光を第2走査ユニット40bに導く第1の反射ミラー42aとを有している。
第2走査ユニット40bは、第1走査ユニット40aに追随してV/2の速度で移動するようになっている。そして、第1の反射ミラー42aに反射される光を光学レンズ43およびCCD44の方向へ導くための、第2・第3の反射ミラー42b・42cを備えている。
光学レンズ43は、この第3の反射ミラー42cに反射される光を、光電変換素子であるCCD44上で結像させるものである。
CCD44は、光学レンズ43によって結像された光を、電気信号に変換するためのものである。このCCD44によって得られたアナログの電気信号は、CCD44を備えたCCDボード(図示せず)によってデジタル信号の画像データに変換される。そして、この画像データは、画像処理部において各種の画像処理が施された後にメモリに記憶される(図示せず)。そして、複写機30のメインCPU(図示せず)の出力指示に応じて、レーザープリンター部32に伝達されるように設定されている。
このように、スキャナ部31は、上記RADF36とスキャナユニット40との互いに関連した動作により、原稿載置台35上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿載置台35の下面に沿ってスキャナユニット40を移動させて原稿画像を読み取るように構成されている。
通信部34は、無線通信あるいは有線通信によって、パーソナルコンピュータPCやファクシミリ装置FAXなどの外部装置と通信を行うものである。これにより、例えばスキャナ部31によって読み取った画像データを外部に送信したり、あるいは、外部機器から受信したデータに基づく画像をレーザープリンター部32によって記録材であるシート上に形成したりできるようになっている。
レーザープリンター部32は、画像データに基づいてシートに画像を形成するためのものである。そして、図2に示すように、レーザー書き込みユニット46、電子写真プロセス部47およびシート搬送機構50を備えている。
レーザー書き込みユニット46は、スキャナ部31によって読み取られた画像データや、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真プロセス部47における潜像保持体である感光体ドラム48にレーザー光を照射し、静電潜像を形成するものである。そして、半導体レーザー光源,レーザー光を等角速度で偏向するポリゴンミラーおよびf−θレンズを有している(全て図示せず)。ここで、f−θレンズは、ポリゴンミラーによって偏向されたレーザー光を、感光体ドラム48の表面において、等角速度で偏向されるように補正するものである。
電子写真プロセス部47は、感光体ドラム48と、その周囲に設けられた帯電器12,現像装置10,転写器14,剥離器(図示せず),クリーニング器13および除電器(図示せず)とを備えている。
帯電器12は、感光体ドラム48上にレーザー書き込みユニット46によって静電潜像を形成させるために、感光体ドラム48の表面を均一に帯電させる。
現像装置10は、レーザー書き込みユニット46によって形成された感光体ドラム48上の静電潜像を現像してトナー像を生成する。なお、現像装置10の詳細については後述する。
転写器14は、現像装置10によって生成したトナー像をシートに対して静電転写する。
シート搬送機構50は、図2に示すように、搬送部33、カセット給紙装置51〜54、定着器49、用紙反転部55、再供給経路56、排紙ローラ57を備えており、電子写真プロセス部47にシートを供給するとともに、シートに転写された画像を定着させ、さらに、シートを外部に排出する機能を有している。
搬送部33は、電子写真プロセス部47における所定の転写位置(転写器が配置されている位置)にシートを搬送するためのものである。
カセット給紙装置51〜54は、転写にかかるシートを蓄積しておくとともに、転写時に、シートを搬送部33に送り込むためのものである。
定着器49は、シートに転写されたトナー像を定着させるものである。
用紙反転部55は、用紙反転部23は、搬送されてきた用紙の表裏を反転して排出(スイッチバック)するものである。
再供給経路56は、トナー像の定着後、シートの裏面に画像を形成するために、シートを搬送部33に再供給するための経路である。
排紙ローラ57は、搬送されてきたシートを後処理装置(図示せず)に排出するためのものである。
(現像装置10の構成)
次に、現像装置10の構成について説明する。図3は、現像装置10の構成を示す断面図である。この図に示すように、現像装置10は、現像ローラ1、撹拌ローラ2,3、現像槽4、ドクターブレード5、トナー補給槽7、および、トナーカートリッジ7aを備えている。
現像槽4は、現像剤を収容するための収容槽であり、現像槽4内には、現像ローラ1、撹拌ローラ2,3、および、ドクターブレード5が備えられている。また、現像槽4のフレームにおいて撹拌ローラ2と下方側で対向する位置には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ100が備えられている。また、現像槽4には、開口部6が設けられており、この開口部6を介してトナー補給槽7から現像剤が供給されるようになっている。
現像ローラ1は、現像槽4の開口部から一部が露出し、この露出した部分が感光体ドラム48と対向するように設けられた、円筒状の回転ローラであり、現像槽4内に収容されているトナーを担持して上記露出部における感光体ドラム48との対向部に搬送するものである。これにより、感光体ドラム48上に形成された静電潜像にトナーを付着させることができ、この静電潜像を現像してトナー像を形成することができる。なお、図3に示した矢印A,Bはそれぞれ、感光体ドラム48,現像ローラ1の回転方向を示している。
ドクターブレード5は、現像槽4における現像ローラ1と感光体ドラム48とのニップ部よりも上流側に備えられ、現像ローラ1とドクターブレード5の先端とのギャップであるドクターギャップDgを規定し、現像ローラ1に付着したトナーの一部を穂切するものである。
撹拌ローラ2,3は、現像槽4内の現像剤を撹拌することで、現像剤を微小に帯電させるものである。なお、図3に示した矢印Cは、撹拌ローラ2の回転方向を示している。
トナー補給槽7には、図3に示したように、開口部が設けられており、この開口部と現像槽4に設けられた開口部6とを介して、トナー補給槽7内のトナーが現像槽4に供給されるようになっている。より詳細には、トナー補給槽7の上記開口部付近には、補給ローラ8が備えられており、後述するトナー濃度制御系60が、補給ローラ8を回転駆動させるための補給ローラ駆動モータの回転を制御することで、現像槽4に補給するトナーの量が制御される。なお、トナー補給槽7には、上記開口部とは異なる開口部がさらに設けられており、この開口部を介して、トナー補給槽7に対して交換可能に取り付けられるトナーカートリッジ7aからトナーが必要に応じて補給されるようになっている。また、トナー補給槽7内には、トナーを撹拌するための撹拌部材9が備えられている。
(トナー濃度制御系60の構成)
図1は、複写機30におけるトナー濃度制御系60の構成を示すブロック図である。この図に示すように、トナー濃度制御系60は、制御部61、画像データ入力部62、面積率算出部63、トナー消費率算出部64、補正消費率算出部65、主補給タイミング制御部66、主補給不足量算出部67、主補給基準比較部68、主補給量制御部69、補給ローラ主駆動部70、トナー供給率算出部71、補助補給タイミング制御部72、トナー濃度検出部73、補助補給量算出部74、補助補給量制御部75、および、補給ローラ補助駆動部76を備えている。また、トナー濃度制御系60には、ROM80、RAM81、および、補給ローラ駆動モータMが接続されている。
制御部61は、トナー濃度制御系60の全ての動作を制御するトナー濃度制御系60の中枢部であり、CPUで構成される。また、ROM80にはトナー濃度制御等のプログラムが記憶されており、制御部61は、ROM80に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、トナー濃度制御系60の各部の動作を制御する。なお、制御部61は、複写機30のメインCPUの一部であってもよい。
RAM81は、基準値記憶部81a、トナー濃度基準値記憶部81bを含んでいる。基準値記憶部81aは、画像データから算出したトナー消費率に基づくトナーの補給を行うか否かを判断するための基準値を記憶する。トナー濃度基準値記憶部81bは、トナー濃度の目標値であるトナー濃度基準値を記憶する。本実施形態では、トナー濃度基準値が1からMまでのM通り記憶されている。複写機30はトナー節約モードを有しており、トナー濃度基準値1は標準のトナー濃度基準値であり、トナー濃度基準値2〜Mはトナー節約モードで使用するトナー濃度基準値である。1からMに近づくに従って、トナー濃度基準値は小さくなる。
なお、基準値記憶部81aに記憶する基準値、および、トナー濃度基準値記憶部81bに記憶するトナー濃度基準値は、例えばROM80に予め記憶されていてもよく、あるいは、図示しない入力手段を介してユーザが設定してもよい。
上記RAM81およびROM80には、適宜、書き替えおよび消去が可能な不揮発性メモリを適用してもよい。
また、制御部61が、ROM80から読み込んだプログラム等の情報や、トナー濃度センサ100の出力電圧に基づくトナー濃度の情報などを、RAM81に一時記憶するようにしてもよい。
画像データ入力部62には、スキャナ部31によって読み取った画像や通信部34を介して外部機器から受信した画像データに対して、所定の画像処理を施された画像データが入力される。なお、所定の画像処理とは、例えば、それ以降の画像処理に対する前処理、画像調整における入力ガンマ補正、変換、領域分離処理、文字領域、網点写真領域等の領域判定処理、領域ごとに領域判定結果を示す識別信号を付加する領域分離処理、RGBの画像信号をCMYK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像信号に変換する色補正処理、変倍処理、空間フィルタ処理、中間調ガンマ特性の補正処理、などである。そして、画像データ入力部62は、入力された画像データを面積率算出部63に出力する。
面積率算出部63は、画像データ入力部62から入力された画像データ(画像信号、多値画像)に対して、ピクセル(画素)単位で重み付け係数を掛け合わせながらピクセルカウントを行い、ピクセルカウントの積算値と画像形成領域の面積との比率である面積率を算出する。
トナー消費率算出部64は、面積率算出部63が算出した面積率からトナー消費率、すなわち単位時間当たりのトナー消費量を算出する。
補正消費率算出部65は、トナー消費率算出部64が算出したトナー消費率を、算出結果よりも小さい値に補正する。この際、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率と実際のトナー消費率との誤差を考慮した場合に、補正後のトナー消費率が、実際のトナー消費率よりも必ず小さくなるように補正する。すなわち、補正後のトナー消費率が、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率から、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率と実際のトナー消費率との誤差の最大値を差し引いた値よりも小さくなるように補正する。これにより、トナーの過補給が生じることを確実に防止できる。
主補給タイミング制御部66は、補正消費率算出部65から入力された補正後のトナー消費率(補正消費率)を、所定時間(遅延時間t1)だけ遅延させて主補給不足量算出部67に出力する遅延回路である。なお、遅延時間t1は、補正消費率算出部65において画像データに基づく補正消費率を算出した後、当該補正消費率の算出に用いた画像データに対応する画像の現像処理が現像ローラ1と感光体ドラム48との間で行われ、当該現像処理後に現像ローラ1上に残存したトナーが現像槽4に回収され、撹拌ローラ2,3によって補給ローラ8の近傍に移動するまでの時間に設定されている。
主補給不足量算出部67は減算処理部かつ積分処理部であって、主補給タイミング制御部66から入力された補正消費率から、上記遅延時間t1の期間中に供給されるトナーの単位時間当たりの供給量(トナー供給率SR)を減算し、その減算結果を積分することで、トナー不足量を算出する。なお、トナー供給率SRは、トナー供給率算出部71が、補給ローラ駆動モータMへの駆動信号に基づいて算出し、主補給不足量算出部67に出力(フィードバック)する。
主補給基準比較部68は、主補給不足量算出部67が算出したトナー不足量から、RAM81に記憶されている基準値を減算してトナー補給量(主補給量)を算出し、算出した主補給量を主補給量制御部69に出力する。
主補給量制御部69は、主補給基準比較部68から入力された主補給量が所定値以上の場合に、補給ローラ主駆動部70に補給ローラ駆動モータMを駆動させるための駆動信号を供給し、主補給基準比較部68から入力された信号が所定値未満の場合に、補給ローラ主駆動部70に補給ローラ駆動モータMを停止させるための停止信号を供給する。すなわち、主補給不足量算出部67が算出したトナー量が、RAM81内の基準値記憶部81aに記憶されている基準値よりも大きい場合には補給ローラ駆動モータMを駆動させ、主補給不足量算出部67が算出したトナー量が、RAM81に記憶されている基準値よりも小さい場合には補給ローラ駆動モータMを停止させる。
なお、主補給量制御部69は、例えば、トリガパルスが入力されると、一定時間幅のパルスを出力するモノステーブル(単安定)マルチバイブレータで構成され、補給すべきトナー量に応じたタイミングで間欠駆動される。なお、主補給制御部69はモノステーブルマルチバイブレータに限るものではなく、例えば補給ローラ駆動モータMの回転数を制御することによってトナー補給量を制御する構成としてもよい。ただし、主補給量制御部69としてモノステーブルマルチバイブレータを用いる場合には、例えば補給ローラ駆動モータMの回転数を制御する場合に比べて、トナー補給量をより正確に安定して制御できる。
補給ローラ主駆動部70は、主補給量制御部69から駆動信号を受けている間、補給ローラ8の回転駆動源である補給ローラ駆動モータMを駆動(間欠駆動)する。これにより、補給ローラ8が回転駆動され、トナー補給槽7内のトナーが現像槽4に補給される。
トナー濃度検出部73は、トナー濃度センサ100の出力信号に基づいて、現像槽4内のトナー濃度を検出し、検出結果を補助補給量算出部74に出力する。
補助補給量算出部74には、トナー濃度検出部73からのトナー濃度検出値と、RAM81内のトナー濃度基準値記憶部81bに記憶されているトナー濃度基準値1〜Mのうちの使用するものと、補助補給タイミング制御部72を介して、補正消費率算出部65によって補正された後のトナー消費率(補正消費率)とが入力される。そして、補助補給量算出部74は、現像槽4内のトナー濃度をトナー濃度基準値にするために現像槽4内に含まれているべきトナー量(トナー目標量)から、上記トナー濃度検出値から算出した現像槽4内に含まれているトナー量と、補助補給タイミング制御部72を介して入力される補正消費率とを減算し、減算結果を積分する。これにより、画像データから算出したトナー消費率に基づくトナー補給量(主補給量)を補給した後、現像槽4内のトナー濃度をトナー濃度基準値にするために不足するトナー量が、トナー濃度検出結果に基づいて算出される。
なお、補助補給タイミング制御部72は遅延回路であって、補正消費率算出部65から出力された補正消費率は、補助補給タイミング制御部72によって遅延時間t2だけ遅延されて補助補給量算出部74に入力される。ここで、遅延時間t2は、補正消費率算出部65において補正消費率を算出した後、当該補正消費率の算出に用いた画像データに対応する画像の現像処理が現像ローラ1と感光体ドラム48との間で行われ、当該現像処理後に現像ローラ1上に残存したトナーが現像槽4に回収され、撹拌ローラ2によってトナー濃度センサ100の濃度検出領域に移動するまでの時間に設定されている。
補助補給量制御部75は、補助補給量算出部74から入力された信号に基づいて補給ローラ補助駆動部76に補給ローラ駆動モータMを駆動させるための駆動信号または停止させるための停止信号を供給する。すなわち、補助補給量算出部74が算出したトナー補給量(補助補給量)のトナーを現像槽4に補給するように、補給ローラ駆動モータMを駆動させる。なお、補助補給量制御部75は、例えば、トリガパルスが入力されると、一定時間幅のパルスを出力するモノステーブルマルチバイブレータで構成され、補給すべきトナー量に応じたタイミングで間欠駆動される。なお、補助補給制御部75はモノステーブルマルチバイブレータに限るものではなく、例えば補給ローラ駆動モータMの回転数を制御することによってトナー補給量を制御する構成としてもよい。ただし、補助補給量制御部75としてモノステーブルマルチバイブレータを用いる場合には、例えば補給ローラ駆動モータMの回転数を制御する場合に比べて、トナー補給量をより正確に安定して制御できる。
補給ローラ補助駆動部76は、補助補給量制御部75から駆動信号を受けている間、補給ローラ8の回転駆動源である補給ローラ駆動モータMを駆動する。これにより、補給ローラ8がトナー補給槽7内のトナーを現像槽4に供給するようになっている。
(トナー濃度制御系60の動作)
次に、トナー濃度制御系60の動作について説明する。図4は、トナー濃度制御系60によるトナー濃度制御動作の流れを示すフローチャートである。
まず、制御部61は、トナー濃度基準値を、トナー濃度基準値記憶部81bに記憶されているトナー濃度基準値1〜Mのうちの1に設定する(ステップS1)。
画像データ入力部62に画像データの入力を受け付けると(ステップS2)、制御部61は、面積率算出部63に形成する画像の面積率を算出させる(ステップS3)。
そして、制御部61は、算出した面積率に基づいて、トナー消費率算出部64にトナー消費率を算出させる(ステップS4)。
さらに、制御部61は、補正消費率算出部65にトナー消費率を所定の割合で減じた(1未満の所定の補正率を乗じた)補正消費率を算出させる(ステップS5)。この際、補正後のトナー消費率が、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率から、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率と実際のトナー消費率との誤差の最大値を差し引いた値よりも小さくなるように補正する。
例えば、トナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率と実際のトナー消費率との誤差の最大値が±20%である場合、算出したトナー消費率に対して80%以下の値を補正後のトナー消費率(補正消費率)に設定する。なお、この場合、過補給をより確実に防止するために、補正消費率を、例えば、算出したトナー消費率に対して80%の値よりも小さい値(例えば70%)に設定してもよい。また、例えばトナー消費率算出部64によって算出したトナー消費率と実際のトナー消費率との誤差の最大値が±5%である場合には、算出したトナー消費率に対して95%以下(例えば90%)の値を補正消費率に設定すればよい。
その後、制御部61は、主補給不足量算出部67に、ステップS5で算出した補正消費率と、後述するステップS10で算出するトナー供給率SR1およびステップS20で算出するトナー供給率SR2から算出されるトナー供給率SRとを減算させ、減算結果を積分させる(ステップS6)。
より詳細には、制御部61は、補正消費率算出部65に算出させた補正消費率を、主補給タイミング制御部66によって所定時間(遅延時間t1)だけ遅延させて主補給不足量算出部67に出力させる。ここで、遅延時間t1は、補正消費率算出部65において補正消費率を算出した後、当該補正消費率の算出に用いた画像データに対応する画像の現像処理が現像ローラ1と感光体ドラム48との間で行われ、当該現像処理後に現像ローラ1上に残存した現像剤が現像槽4に回収され、撹拌ローラ2,3によって補給ローラ8の近傍に移動するまでの時間に設定する。
そして、制御部61は、主補給不足量算出部67に、遅延時間t1だけ遅延して入力された補正消費率から、当該遅延時間t1に対応する期間中に補給された全トナーの供給率であるトナー供給率SRを減算させ、さらに、その減算結果を積分させる。
その後、制御部61は、主補給基準比較部68に、ステップS6の積分結果から、RAM81内の基準値記憶部81aに記憶されている基準値を減算させ、画像データから算出したトナー消費率(補正消費率)に基づくトナー補給量(主補給量)を算出させる(ステップS7)。
そして、制御部61は、主補給量制御部69に、ステップS7で算出した主補給量が、所定量以上であるか否かを判断させる(ステップS8)。
ここで、ステップS7で算出した主補給量が所定量以上である場合、制御部61は、主補給量制御部69から補給ローラ主駆動部70に、補給ローラ駆動モータMを駆動させる駆動信号を出力させる(ステップS9)。
また、ステップS9に続いて、制御部61は、トナー供給率算出部71に、上記遅延時間t1の期間中における主補給によるトナー供給率SR1を算出させる(ステップS10)。トナー供給率算出部71は、この主補給によるトナー供給率SR1と、後述するステップS20において算出する補助補給によるトナー供給率SR2とから、ステップS6において用いられるトナー供給率SRを算出し、主補給不足量算出部67に出力する。このように、制御部61は、上記した遅延時間t1の期間中に、現像槽4に補給されたトナーの単位時間当たりの補給量(トナー供給率SR)をトナー供給率算出部71に算出させ、主補給不足量算出部67に出力(フィードバック)させる。ステップS10の後はステップS6に戻る。
また、ステップS8において、ステップS6で算出した主補給量が所定量未満である場合、制御部61は、主補給量制御部69から補給ローラ主駆動部70に、補給ローラ駆動モータMを停止させる停止信号を出力させる(ステップS11)。
また、トナー濃度の制御処理を行っている期間中、制御部61は、トナー濃度検出部73に、現像槽4内のトナー濃度を検出させている。つまり、上記ステップS2〜S11の処理に並行して、トナー濃度センサ100からの出力信号がトナー濃度検出部73に入力されており、制御部61は、トナー濃度検出部73に、トナー濃度センサ100からの出力信号に基づいてトナー濃度の検出処理を行わせている。
この検出処理ではまず、ステップS1の後に複写機30がユーザの選択によりトナー節約モードとなっているか否かを認識する(ステップS12)。複写機30がトナー節約モードにない場合にはそのままトナー濃度の検出を行う(ステップS14)。一方、複写機30がトナー節約モードにある場合には、トナー濃度基準値を1増加させた2に切り替え(ステップS13)、トナー濃度を検出する(ステップS14)。
トナー節約モードにある場合には、最終的にトナー濃度基準値をMまで減少させるように切り替えを行うが、本実施形態ではこのトナー濃度基準値の減少を1ずつ段階的に減少させることとしている。従って、このトナー濃度基準値がMとなるまでには当該フローを何回か繰り返すこととなるが、トナー濃度基準値を1減少させるタイミングとしては毎フローごとでもよいし、一旦設定した途中段階での各トナー濃度基準値に従ってトナー濃度が安定してからでもよく、適宜設定可能である。目安としては、1枚のシート上に形成される画像にトナー濃度の変化が明らかには認められない程度の時間間隔でトナー濃度基準値を切り替えるとよい。また、この結果、画像形成を行うシート数が少なくてトナー濃度基準値がMに達しないうちに印刷が終了してしまうことがあってもこれは許容される。
また、制御部61は、トナー濃度の検出結果をトナー濃度検出部73から補助補給量算出部74に出力させる。
そして、制御部61は、補助補給量算出部74に、現像槽4内のトナー濃度を、設定したトナー濃度基準値にするために、現像槽4内に含まれているべきトナー量(トナー目標量)から、上記トナー濃度検出値から算出した現像槽4内に含まれているトナー量と、補助補給タイミング制御部72を介して入力される補正消費率とを減算させる(ステップS15)。
なお、制御部61は、補正消費率算出部65に算出させた補正消費率を、補助補給タイミング制御部72によって所定時間(遅延時間t2)だけ遅延させて補助補給量算出部74に出力させる。ここで、遅延時間t2は、補正消費率算出部65において補正消費率を算出した後、当該補正消費率の算出に用いた画像データに対応する画像の現像処理が現像ローラ1と感光体ドラム48との間で行われ、当該現像処理後に現像ローラ1上に残存した現像剤が現像槽4に回収され、撹拌ローラ2によってトナー濃度センサ100の濃度検出領域に移動するまでの時間に設定する。
さらに、制御部61は、補助補給量算出部74に、ステップ15の減算結果を積分させ、補助補給量を算出させる(ステップS16)。
その後、制御部61は、補助補給量制御部75に、ステップS16で算出した補助補給量が、所定量以上であるか否かを判断させる(ステップS17)。
そして、ステップS16で算出した補助補給量が所定量以上である場合、制御部61は、補助補給量制御部75から補給ローラ補助駆動部76に、補給ローラ駆動モータMを駆動させる駆動信号を出力させる(ステップS18)。そして、制御部61は、トナー供給率算出部71に、上記遅延時間t2の期間中における補助補給によるトナー供給率SR2を算出させる(ステップS19)。この補助補給によるトナー供給率SR2と、前記主補給によるトナー供給率SR1とから、トナー供給率算出部71によってトナー供給率SRが算出される。
また、ステップS17において、ステップS16で算出した補助補給量が所定量未満である場合、制御部61は、補助補給量制御部75から補給ローラ補助駆動部76に、補給ローラ駆動モータMを停止させる停止信号を出力させる(ステップS20)。
その後、制御部61は、トナー濃度制御処理を継続するか否かを判断する(ステップS21)。そして、トナー濃度制御処理を継続する場合には、ステップS2およびS12からの処理を再び行い、トナー濃度制御処理を終了する場合には、トナー濃度制御系60の動作を停止させ、処理を終了する。特に、ステップS12について説明したように、トナー濃度基準値をMまで減少させる途中にある場合には、トナー濃度制御処理を継続する。
上述した図4のフローチャートに従って、トナー節約モードでのトナー濃度基準値の切り替えを行うことにより、そのトナー濃度基準値においてトナーを多めに供給すべき画像データが与えられたときに、現像ローラ1から感光体ドラム48へのトナー供給量がある値で飽和してそれ以上供給されないため、トナー消費量を節約することができる。なお、上記トナー節約モードはユーザによって指示されるものであったが、それ以外に、多量のシートに印刷を行う場合や、トナーを多量に消費する画像データが入力された場合などに、複写機30が自動的にトナー節約モードに入るようになっていてもよい。すなわち複写機30は、所望のタイミングでトナー節約モードに入ることのできる画像形成装置である。
以上のように、本実施形態に係る複写機30によれば、トナー濃度基準値を切り替えるだけで確実にトナーを節約することができるので、2成分現像剤を用いて現像を行う電子写真方式の画像形成装置において、容易かつ正確にトナー消費量を変更することのできる画像形成装置を実現することができる。
ところで、トナー節約のために現像剤のトナー濃度を低くすると、現像剤中のキャリアが現像槽4外へこぼれ出る、いわゆるキャリア上がりの現象が起きやすくなる。そこで、複写機30においては、トナー濃度基準値を切り替えるときに、切り替え後のトナー濃度基準値に応じて、感光体ドラム48の表面電位と現像ローラ1の現像バイアスとの差を設定するようにしている。この設定手順を、図5を用いて説明する。
この感光体ドラム48の表面電位と現像ローラ1の現像バイアスとの差については、複写機30で画像形成を行わないときに、各トナー濃度基準値に応じた最適値を予め求めておく。トナー濃度基準値1〜Mのそれぞれに対して、レーザー書き込みユニット46のレーザーパワーをPWMで制御する際のONデューティを100%に固定し、さらに帯電器12をコロナ帯電器としてそのグリッド電圧Vgを−600Vに固定した上で、現像バイアスVbを−275V、−325V、および、−375Vに順に切り替えて3個のパッチを生成する。このとき図5(a)に示すように濃度の異なる3種類のパッチができるので、これらの反射光強度(散乱光強度)I1・I2・I3を反射濃度計で読み取る。この結果を、図5(b)に示すように横軸を現像バイアスVb、縦軸を反射光強度Iとしてプロットし、隣接するプロットどうしを直線で結ぶ。そして、基準反射光Ioとなる現像バイアスVboを求め、この現像バイアスVboを使用する。そして、決定した現像バイアスVboに対して、Vg−Vbo>−150Vとなる場合には現像かぶりを防止するためにVg=Vbo−150Vに変更する。
以上のようにして求めた現像バイアスVboをトナー濃度基準値ごとに不揮発性メモリに記憶させ、各トナー濃度基準値を使用するときに対応する現像バイアスVboを制御部61が読み出すようにする。これにより、トナー濃度が減少してもキャリア上がりを防止することができる。もし、感光体ドラム48の表面電位を変更したならば、上記現像バイアスVboを上記表面電位との差が変更前と同じ値を保つように変更する。なお、次回の現像バイアスVboの設定時には、今回求めた現像バイアスVboを基準にして、Vbo+50V、Vbo、Vbo−50Vで3個のパッチを作る。
また、複写機30においては、トナー節約モードを実行するときに、トナー濃度基準値の設定のみならず、感光体ドラム48の表面電位の設定をも行うことにより、トナー消費量の切り替えを行ってもよい。感光体ドラム48の表面電位を変更すれば、露光条件とトナー消費量との関係などを表す特性曲線が変化するため、トナー消費量を変化させることのできる範囲を広げることができる。従って、トナー濃度基準値の減少だけではトナー消費量を目的の値まで減少させるのが困難な場合でも、容易にトナー量を目的の値にまで減少させることができる。
また、複写機30においては、複写機30、従って制御部61がトナー消費量を切り替えるべきことを認識してから、所定時間が経過した後に印刷を開始するようにしてもよい。トナー節約モードを実行した後に、トナー濃度基準値を通常のトナー濃度基準値1に戻して印刷したい場合に、現像槽4のトナー濃度は低くなっている。従って、この状態からすぐに印刷を開始すると、最初はトナー供給量が不足しているものの、その状態から通常のトナー供給量に向かって濃度調整が行われるため、画像の濃度が急激に変化し、1枚のシート上でも明らかな濃度変化が認められるような問題が生じる可能性がある。従って、トナー消費量を増加させるときには、トナー濃度が所定の値にまで増加する所定時間が経過してから印刷を開始するようにすれば、品質を低下させることなく印刷を行うことができる。
また、複写機30においては、前述したように、トナー消費量の切り替えがトナー消費量を減少させるものである場合に、トナー濃度基準値を1ずつ段階的に減少させるようにしている。これにより、トナー節約モードにおいてトナー濃度が急激に減少することによって画像の品質が低下することを避けることができる。
また、本実施形態では、トナー濃度制御系60における全ての処理を、CPUからなる制御部61の制御によって行っており、これらの処理を行うためのプログラムを記録媒体に記録し、当該記録媒体からこのプログラムを読み出すようにしてもよい。
この構成では、制御部61が、記録媒体に記録されているプログラムを読み出して処理を実行する。したがって、このプログラム自体が処理を実現するといえる。
このような制御部61を含む情報処理装置としては、一般的なコンピューター(ワークステーションやパーソナルコンピュータ)の他に、コンピューターに装着される、機能拡張ボードや機能拡張ユニットを用いることができる。
また、上記のプログラムとは、処理を実現するソフトウェアのプログラムコード(実行形式プログラム,中間コードプログラム,ソースプログラム等)のことである。このプログラムは、単体で使用されるものでも、他のプログラム(OS等)と組み合わせて用いられるものでもよい。また、このプログラムは、記録媒体から読み出された後、装置内のメモリ(RAM等)にいったん記憶され、その後再び読み出されて実行されるようなものでもよい。
また、プログラムを記録させる記録媒体は、情報処理装置と容易に分離できるものでもよいし、装置に固定(装着)されるものでもよい。さらに、外部記憶機器として装置に接続するものでもよい。
このような記録媒体としては、ビデオテープやカセットテープ等の磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROM,MO,MD,DVD,CD−R等の光ディスク(光磁気ディスク)、ICカード,光カード等のメモリカード、マスクROM,EPROM,EEPROM,フラッシュROM等の半導体メモリなどを適用できる。
また、ネットワーク(イントラネット・インターネット等)を介して当該情報処理装置と接続されている記録媒体を用いてもよい。この場合、当該情報処理装置は、ネットワークを介するダウンロードによりプログラムを取得する。すなわち、上記のプログラムを、ネットワーク(有線回線あるいは無線回線に接続されたもの)等の伝送媒体(流動的にプログラムを保持する媒体)を介して取得するようにしてもよい。なお、ダウンロードを行うためのプログラムは、装置内(あるいは送信側装置・受信側装置内)にあらかじめ記憶されていることが好ましい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。