JP4514005B2 - リールシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿の竿体外周面に設けられリールを取付可能なリールシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
釣竿には、スピニングリール、両軸受けリール等の釣り用リールを取り付けるためのリールシートが設けられている。従来のリールシートでナット式と呼ばれるリールシートは、釣り用リールの脚部の一端を係止する固定フードが形成される大径部分と雄ネジ部が形成された小径部分とを有する本体部と、移動フードと、ナット部とを有している。この移動フードはリールの脚部の他端を係止する部材でありシート本体に対して軸方向に相対移動する。そして、ナット部は雄ネジ部に螺合して移動フード部を軸方向に移動させる。また、ナット部の外周にはコルクや弾性合成樹脂からなるグリップが設けられている。
【0003】
このようなリールシートでは、リールの脚部の一端を本体部の固定フードに係止した状態でグリップ及びナット部を回転させて、移動フード部を固定フードに接近させて移動フードでリールの脚部の他端を係止する。このように固定フード及び移動フードでリールの脚部を挟持してリールを釣竿に固定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、リールの脚部を移動フードが固定する際には、竿体上に位置するリールの脚部を移動フードが軸方向に移動しながら覆い込んで固定することになる。このため、ナット部を強く締め付けるとリールの脚部と当接する側にナット部が偏芯し、引いてはグリップも偏芯する恐れがある。特に、グリップは把持しやすいように軸方向に一定の長さを有するものでありナット部から穂先側に伸びるようにナット部外周に配置されるため、グリップの穂先側での偏芯度合いが大きくなる。
【0005】
本発明の課題は、リール固定時にグリップが偏芯するのを抑えられるナット式のリールシートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかるリールシートは、竿体に設けられリールを取付可能なリールシードであって、竿体に固定される略筒状体であり穂先側に向かって開口する固定フードが形成された大径部分とその穂先側に連続する雄ネジ部が形成された小径部分を有するリールシート本体と、固定フードに対向して小径部分上を周方向に回転不能で軸方向に移動可能に配置された移動フードと、移動フードの穂先側に隣接して雄ネジ部に螺合しつつ小径部分上を軸方向に移動自在かつ周方向に回転可能に配置されたナット部と、ナット部の穂先側において小径部分上に配置されたスペーサ部と、ナット部及びスペーサ部の外周に配置されナット部と共に周方向に回転可能な略筒状のグリップとを備えている。
【0007】
このリールシートでは、リールの脚部の一端を固定フードに係止させながらリールの脚部をリールシート本体上に配置する。そして、グリップをナット部と共に周方向に回転させ、ナット部を雄ネジ部に螺合させつつ移動フードと共に竿元側軸方向に移動させて、移動フードでリールの脚部の他端を係止し、移動フードと固定フードとでリールの脚部を挟み込むようにしてリールを固定する。ここで、グリップは軸方向に一定の長さを有しナット部から穂先側に伸びているものの、スペーサがナット部の穂先側においてナット部内に配置されているので、このスペーサがグリップの不要な偏芯を抑制する。即ち、ナット部を雄ネジ部に強く螺合させるとリール脚部から移動フード乃至グリップを軸方向から偏芯させる方向に負荷がかかるが、かかる負荷によってもグリップに不当に偏芯することがない。
【0008】
発明2にかかるリールシートは、発明1のリールシートであって、スペーサ部は、略筒状の本体部と、本体部の竿元側端部に設けられ径外方向に突出する竿元側フランジと、本体部の穂先側端部から軸方向に間隔を隔てて設けられ径外方向に突出する穂先側フランジとを有する。
【0009】
このスペーサでは、2つのフランジがグリップの不要な偏芯を抑えている。そして、2つのフランジの間には肉抜き部分が形成されることになり部材の軽量化が図られることになる。また、穂先側フランジは穂先側端部より一定の間隔を隔てて配置されるので、このスペーサとグリップとを接着する場合においてはこの間隔が「接着剤溜まり」となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明の一実施形態を採用したリールシート1は、図1に示すように、釣り用リール2の脚部3を係止して釣り用リール2を釣竿4に装着するためのものである。このリールシート1は、釣竿4の外周に装着された本体部10と、移動フード部11とグリップ部分12とを有している。
【0011】
図2及び図3に示すように、本体部10は、内部に釣竿の竿体4が貫通して装着される合成樹脂または金属からなる変形筒状部材である。本体部10は、変形筒状の大径部15と、大径部15の穂先側に大径部15よりやや小径で筒状の伸びる小径部16とを有している。
【0012】
大径部15は、竿元側端部に設けられリール2の脚部3の一端を係止可能に穂先側に向かって開口する固定フード20と、固定フード20の穂先側に平坦に形成され脚部3を載置するための載置部25とを有する。また。大径部15の竿元側には竿尻グリップ17が釣竿4の外周にはめ込まれている。固定フード20は大径部15の竿元側外周において載置部25の竿元側から上方を覆うように形成されている。大径部15の固定フード20の周方向反対側(180度変位した側)にはゴム製のシートグリップ23が固定されている。さらに、載置部25の左右両側には、リール2の脚部3の幅方向への移動を規制するための規制壁26が載置部25と一体的に形成されている。
【0013】
一方、小径部16は、外周面の一部に大径部15より連続して形成され切り欠かれた平坦な載置部25と、周面に形成された雄ネジ部31とを有している。また、小径部16の全長にわたってその左右両側側面には、移動フード11を回転不能に係止するための係止溝32が形成されている。
【0014】
移動フード11は、内径が小径部16の外径にほぼ一致する筒状の部材であって、小径部16の外周を軸方向に移動可能である。この移動フード部11の穂先側内周面は小径部16との間に空隙が形成されており、この空隙部分がリール2の脚部を覆い込んで係止可能なようになっている。また、移動フード11の内壁面には係止溝32に係止される係止突起35が設けられている。
【0015】
図2及び図3に示すように、グリップ部分12は、移動フード11の穂先側に隣接して雄ネジ部31に螺合しつつ小径部分16上を軸方向に移動自在かつ周方向に回転可能に配置されたナット部41と、ナット部41の外周を覆うように接着されたポリウレタン等の弾性体からなるフロントグリップ40とからなる。
【0016】
ナット部41は合成樹脂製の筒状部材であって、その竿元側端部において移動フード11の穂先側端部のフランジと相対回転可能に連結されている。このナット部41の内径は穂先側部分からは小径部分16の外径よりやや大きく、竿元側内径は小径部分16に合致しており個々に雌ねじ部分が形成される。そして、穂先側のナット部41と小径部分16との間にスペーサ43が収納されるようにして配置され、スペーサ43はナット部41に接着剤等で直接固定されている。また、ナット部41の外周面にはフロントグリップ40が装着され固定されており、フロントグリップ40を周方向に回転させることで、フロントグリップ40〜スペーサ43は一体的に周方向に回転する。そして、小径部分16の雄ネジ部31に螺合した雌ねじ部分により、小径部分16の外周面を周方向に回転しかつ軸方向に移動する。
【0017】
図2に示すように、スペーサ43は合成樹脂または金属製の略筒状部材であって、小径部分16の外周をナット部41等と共に周方向に回転しつつ軸方向に移動する。このスペーサ43は、筒状の本体部50と、本体部50の竿元側端部外周に径外方向に突出する竿元側フランジ51と、本体部50の穂先側端部から竿元側に向かって一定の間隔を隔てた外周面に設けられた径外方向に突出する穂先側フランジ52とを有している。
【0018】
このように構成されるリールシートでは、リール2の脚部の一端を固定フード20に係止させながらリール2の脚部をリールシート本体10の載置部25上に配置する。そして、グリップ部分12を周方向に回転させ、ナット部42を雄ネジ部31に螺合させつつ移動フード11と共に竿元側軸方向に移動させて、移動フード11の竿元側端部内周面でリール2の脚部の他端を係止し、移動フード11と固定フード20とでリール2の脚部を挟み込むようにしてリールを固定することになる。
【0019】
ここで、グリップ部分12のフロントグリップ40及びナット部41は軸方向に一定の長さを有し穂先側に伸びているものの、スペーサ43がナット部41の穂先側の小径部分16との間に配置されているので、このスペーサ43はグリップ部分12の不要な偏芯を抑制する。即ち、ナット部41を雄ネジ部31に強く螺合させると、リール脚部と移動フード11との当接度合いに応じて、移動フード11及びこれに連結されているグリップ部分12全体に対して、軸方向から偏芯させる方向に負荷が掛かることになる。しかし、スペーサ43がグリップ部分12のナット部41と小径部分16との間の不要な隙間を補充するので、かかる負荷によってもグリップ部分12全体が不当に偏芯することが防止できることになる。
【0020】
このように、スペーサ43を別途配置することで、雌ねじ部分側のナット部41内にさらに別の部材(例えば、回転時にクリック音を発生する音発生機構など)を収納可能しつつ、不要な偏芯を防止しグリップ部分の軸方向長さを一定にすることができるのである。
【0021】
なお、このスペーサ43では、2つのフランジ51,52がグリップ部分12の不要な偏芯を抑え、2つのフランジ51,52の間には肉抜き部分(図3X参照)が形成されることになり部材の軽量化が図れる。また、この穂先側フランジ52は本体部50の穂先側端部より一定の間隔を隔てて配置されるので、この間隔(図3Y参照)が「接着剤溜まり」となる。これにより、スペーサ43,筒状体41,フロントグリップ40を接着剤で接着固定する場合においても、過剰な接着剤が流出して小径部分16をも接着してしまうような不都合を回避できる。
【0022】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態では、スペーサ43を周方向に回転不能としたが、これを回転自在に配置し、ナット部41等に対して相対回転可能に配置してもよい。
(b)スペーサ43には特にフランジを設けることなく一般的筒状形態としてもよい。
(c)移動フードび穂先側端部内周面には周方向に180度変位する位置にそれぞれリールの脚部を覆うように内包可能な大きさの異なる2カ所の部分を設けて、必要に応じて周方向に180度回転させて用いるようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係るリールシートによれば、リール装着時のグリップ不要な偏芯が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したリールシートの全体図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1のグリップ部分12付近の断面図。
【符号の説明】
1 リールシート
2 釣用リール
3 脚部
4 竿体
10 本体部
11 移動フード
12 グリップ部分
20 固定フード
40 フロントグリップ
41 ナット部
43 スペーサ
Claims (2)
- 竿体に設けられリールを取付可能なリールシートであって、
前記竿体に固定される略筒状体であり、穂先側に向かって開口する固定フードが形成された大径部分とその穂先側に連続する雄ネジ部が形成された小径部分を有するリールシート体と、
前記固定フードに対向して前記小径部分上を周方向に回転不能で軸方向に移動可能に配置された移動フードと、
前記移動フードの穂先側に隣接して前記雄ねじ部に螺合しつつ前記小径部分上を軸方向に移動自在かつ周方向に回転可能に配置されたナット部と、
前記ナット部の穂先側において前記小径部分上に配置されたスペーサ部と、前記ナット部及び前記スペーサ部の外周に配置され前記ナット部と共に周方向に回転可能な略筒状のグリップとを備えたリールシート。 - 前記スペーサ部は、略筒状の本体部と、前記本体部の竿元側端部に設けられ径外方向に突出する竿元側フランジと、前記本体部の穂先側端部から軸方向に間隔を隔てて設けられ径外方向に突出する穂先側フランジとを有する、請求項1に記載のリールシート。
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