JP4513311B2 - 疲労強度特性に優れた溶接継手 - Google Patents

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本発明は、疲労強度特性に優れた溶接継手に関し、詳しくは疲労が問題となる鋼構造物もしくは疲労設計が施される鋼構造物に用いて好適な溶接継手に関する。溶接される鋼材としては、例えば車両および鉄道の通行による繰り返し荷重を受ける橋梁用鋼材などが挙げられる。鋼材の形態としては特に問わないが、構造部材として用いられ、疲労強度特性が要求される厚鋼板および形鋼が好ましい。
橋梁などの鋼構造物の設計においては、大型化とそれに伴う軽量化の目的から使用鋼材の高強度化が求められている。しかし疲労強度は、鋼材については引張強さの増加と共に上昇するが、溶接継手では引張強さが増加しても向上しない。このため、溶接鋼構造物では、高強度鋼材を用いても設計強度を上げることが困難になるという問題があった。この高強度鋼材の溶接継手で疲労強度が向上しない原因としては、引張残留応力が引張強さに比例して大きくなることが挙げられている。
引張残留応力を低減させる方法として、溶接後の化粧溶接により引張残留応力を低減させる手法(特許文献1参照)、溶接後塑性変形により引張残留応力を低減させる手法(特許文献2参照)、ハンマーピーニングにより圧縮残留応力を導入する手法(特許文献3参照)、溶接金属の変態膨張を利用して圧縮残留応力を導入する手法(特許文献4参照)などが開示されている。
一方、溶接継手の疲労強度は応力集中を緩和することによっても向上することが知られている。溶接ビードを研削することにより応力集中を緩和する手法(特許文献5参照)、溶接金属の成分調整により溶接止端部半径と接触角度を大きくして応力集中を緩和する手法(特許文献6参照)が開示されている。
特開昭52−98642号公報 特開平5−253674号公報 特開平4−21717号公報 特開平12−84670号公報 特開昭61−186611号公報 特開平4−361876号公報
しかし、特許文献1、2、3、5に開示されている手法では、溶接後の各工程において大きな労力を要するという問題がある。また、特許文献4に開示されている手法では、高価な合金元素を多く添加した溶接材料を用いるため経済的な面で問題がある。また、特許文献6に開示されている手法では、溶接される鋼材の組成により溶接金属の組成が変化し、鋼種によっては良好な止端形状が得られない可能性がある。
前記従来技術の諸問題に鑑み、本発明は、溶接後に何らの処置も施すことなく、経済的に、かつ鋼種によらず適用可能な、疲労強度特性に優れた溶接継手を提供することを目的とする。
本発明者らは溶接継手の疲労強度特性について研究し、その結果、次の点を明らかにした。なお、以下で「鋼材」には「溶接金属」を含まない。
(1) レーザ溶接または電子ビーム溶接により形成されかつ1パス溶接により形成された溶接ビードを有する溶接継手であって、前記溶接ビードの形状が鋼材表面に対して凸状である場合において、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率が0.2 以下になるとビード止端部の応力集中が小さくなり、疲労強度特性が向上する。
(2)上記(1)の傾向は、鋼材の厚さに対する溶接ビード高さの比率が0.3 以下である場合に顕著になる。
(3)上記(1)の場合で、かつ溶接ビード近傍の鋼材表面粗さがJIS B 0601:2000のRa6.3μm以下であると、さらに疲労特性が向上する。ここで、溶接ビード近傍とは、溶接線中央を中心とした鋼材の厚さ×0.7以下の幅の領域で、かつ溶接ビードを含まない領域をいう。
(4)上記(1)〜(3)の場合で、かつ溶接金属と鋼材の強度比率が1.3 以下であると、さらに疲労強度特性が向上する。
(5)上記(1)〜(4)の場合で、鋼材が高強度(降伏強さ≧685MPa)で、かつ溶接金属と鋼材の降伏強さ比率が1.0以下であると、さらに疲労強度特性が向上する。
(6)上記(1)〜(5)の場合で、かつ鋼材が低炭素ベイナイト組織であると、さらに疲労強度特性が向上する。
本発明は、これらの知見に基づき、さらに検討を重ねてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
〔1〕 レーザ溶接または電子ビーム溶接により形成されかつ1パス溶接により形成された溶接ビードを有する溶接継手であって、前記溶接ビードの形状が鋼材表面に対して凸状であり、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する前記溶接ビード幅の比率が0.2以下であり、かつ前記鋼材の厚さに対する前記溶接ビード高さの比率が0.3以下であることを特徴とする疲労強度特性に優れた、すなわち、応力比0の繰り返し負荷条件下の200万回疲労強度が190MPa以上である特性を有する溶接継手。
〔2〕 前記鋼材の表面粗さが前記溶接ビード近傍でJIS B 0601:2000のRa6.3μm以下であることを特徴とする〔1〕記載の溶接継手。
〔3〕 前記鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.3 以下であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の溶接継手。
〔4〕 鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.0以下で、かつ鋼材の降伏強さが685MPa以上であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の溶接継手。
〔5〕 前記鋼材の組成が質量%でC:0.03%以下、Si:0.5 %以下、Mn:1.0 〜2.0 %、B:0.0003〜0.0050%、N:0.0050%以下を含有し、かつTi:0.005 〜0.20%、Nb:0.005 〜0.20%のうちから選ばれた1種又は2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、前記鋼材の組織がべイナイト単相であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の溶接継手。
〔6〕 前記鋼材の組成がさらに質量%でCu:0.7 〜2.0 %、V:0.005 〜0.2 %、Ni:2.0 %以下、Cr:0.5 %以下、Mo:0.5 %以下、W:0.5 %以下、Zr:0.5 %以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする〔5〕記載の溶接継手。
本発明によれば、疲労が問題となる溶接鋼構造物もしくは疲労設計が施される溶接鋼構造物に使用される鋼材の溶接継手において、溶接後に何らの処置も行わなくても2×10回疲労強度が190MPa以上となる溶接継手を製造できるという産業上有益な効果を奏する。
本発明でいう疲労強度特性に優れた溶接継手とは、応力比0の繰り返し負荷条件において、疲労特性が、日本鋼構造協会の疲労設計指針における強度等級A以上(2×10回疲労強度が190MPa以上)の特性を有する溶接継手を意味する。
本発明は、レーザ溶接または電子ビーム溶接により形成されかつ1パス溶接により形成された溶接ビードを有する溶接継手であって、前記溶接ビードの形状が鋼材表面に対して凸状である場合において、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率を0.2 以下とし、かつ前記鋼材の厚さに対する溶接ビード高さの比率を0.3 以下とすることにより、溶接継手の応力集中を抑制し、何らの溶接後処理をも施すことなく、疲労強度特性を向上させるものである。なお、図1に溶接ビード幅wおよび溶接ビード高さhの定義を示す。ただし、tは鋼材の厚さを示す。
以下に、本発明要件の限定理由を説明する。
厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率w/tが0.2 以下)
厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率w/tが0.5 未満の領域では溶接ビード幅が狭くなると応力集中が減少する。この応力集中の減少は、w/tが0.2 以下の条件で顕著になり、疲労特性向上に有効に作用する。よって、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率w/tを0.2 以下とした。
厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード高さの比率h/tが0.3 以下)
厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード高さの比率h/tは、鋼材の厚さに対する溶接ビード幅の比率w/tが0.1 以下であれば応力集中に影響を及ぼさないが、w/tが0.1 超の場合には、h/tが0.3 を超えると応力集中が増加する。よって、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する溶接ビード高さの比率h/tを0.3 以下とした。
(溶接ビード近傍の鋼材表面粗さがRa6.3μm以下)
溶接ビード近傍(溶接線中央を中心とした鋼材の厚さ×0.7以下の幅の領域で、かつ溶接ビードを含まない領域)の鋼材表面粗さをRa6.3μm以下とすることにより、上記ビード形状が満足されている場合(w/t≦0.2 、かつh/t≦0.3 の場合)には、応力集中が更に緩和され、疲労強度特性に有利に働くため、溶接ビード近傍の鋼材表面粗さをRa6.3μm以下とすることを好適要件とした。ここで、表面粗さがRa6.3μm以下である領域は鋼材表面全域でなくてもよく、溶接線中央を中心とした鋼材の厚さ×0.7以下の幅の領域で、かつ溶接ビードを含まない領域が、機械加工などで所定の粗さ以下になっていればよい。なお、Raの定義はJIS B 0601:2000による。また「溶接線」の定義はJIS Z 3001:1999 による。
(鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.3 以下)
鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率を1.3 以下にすることにより、上記溶接ビード形状が満足されている場合(w/t≦0.2 、かつh/t≦0.3 の場合)には、降伏強さの差による溶接ビード止端部への応力集中が抑制されるため、鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.3 以下であることを好適要件とした。
(鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.0以下で、かつ鋼材の降伏強さが685MPa以上)
鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率を1.0以下とすることにより、前記溶接ビード形状を満足する溶接継手の場合(w/t≦0.2 、かつh/t≦0.3 の場合)、引張残留応力の低減に伴う疲労強度向上が見込める。ただし、この効果は、鋼材の降伏強さが685MPa以上である場合に大きく発現する。
(鋼材の組織がべイナイト単相)
鋼材がベイナイト単相組織の場合、フェライト+パーライト組織の場合と比べて組織の均質性が高いために溶接ビード止端部への応力集中が抑制されるため、鋼材の組織がべイナイト単相であることを好適要件とした。
次に、鋼材の好適な組成について説明する。組成の成分含有量の単位は質量%とし、%と略記する。
(C:0.03%以下)
Cは、冷却速度に依存せずにベイナイト単相組織とするために0.03%以下とする。すなわち、0.03%より多く含有すると、組織に炭化物を含むパーライトが出現し始めるため、材質の均質性が損なわれ、溶接金属と鋼材の降伏強さ比率が1.3 超となり、疲労強度が向上しにくくなる。また、Cの増大はマルテンサイトを局部的に生成しやすくするほか、硬さが上昇して靭性の劣化を招くことになる。従って、Cは0.03%以下とする。なお、C含有量を低くすることによって、本発明の効果が減少することはないが、実用的には、製鋼上のコストやNb、V等による析出強化効果を利用することを勘案すると、C含有量は0.005 %以上とすることが好ましい。
(Si:0.5 %以下)
Siは脱酸のため混入するが、多すぎるとベイナイト組織の生成を抑制すると共に、靭性も劣化させるので0.5 %以下とする。なお、脱酸および強度確保のために0.02%以上含有することが好ましい。
(Mn:1.0 〜2.0 %)
Mnは、ベイナイト単相組織とするために1.0 %以上が好ましく、一方、2.0 %を超えると、硬さが上昇して靭性が劣化するので、1.0 〜2.0 %とする。
(B:0.0003〜0.0050%)
Bは広い冷却速度範囲に亘ってオーステナイト粒界からのフェライト生成を抑制するため、安定してベイナイト組織を得るのに不可欠の成分である。その効果はNが十分に固定された場合に0.0003%以上で現れ、一方、0.0050%を超える含有では効果が飽和してコスト上不利になる。よって0.0003〜0.0050%とした。
(N:0.0050%以下)
Nは、少ないほどBによる効果がよく現れ、またHAZ(Heat Affected Zone:溶接熱影響部)靭性の面からも少ないことが望ましい。また、HAZでは固定されたNが再固溶して靭性劣化の原因となる。これらのことから、Nは0.0050%以下とした。
以上の元素はそれぞれ単独で含有するのが好ましい。さらに必要に応じて次のTi、Nbのうち1種または2種を含有してもよい。
(Ti:0.005 〜0.20%)
Tiは、炭化物や窒化物の析出物を形成することにより、鋼材製造時のオーステナイト粒の成長を抑制して細粒化に寄与すると共に、HAZの結晶粒粗大化も抑制しHAZの靭性を向上する効果がある。さらに、Nを固定して前記したBによる効果を助長する。また、Tiそのものは固溶してべイナイト変態を促進する。これらの効果を得るには、0.005 %以上の含有が好ましい。一方、過度の含有は、靭性を劣化するため、0.20%以下とする。
(Nb:0.005 〜0.20%)
Nbは、べイナイト変態を促進すると共に、析出強化および靭性の向上にも有効である。これらの効果を得るためには、0.005 %以上の含有が好ましいが、0.20%を超えると,焼入れ組織が針状化して靭性が劣化する傾向にあるため、0.20%以下とする。
また、さらに、必要に応じて次のV、Cu、Ni、Cr、Mo、W、Zrのうち1種または2種以上を含有してもよい。
(Cu:0.7 〜2.0 %)
Cuは、析出強化効果が利用できる成分である。析出強化を用いるためには、0.7 %以上の含有が好ましいが、2.0 %を超えて含有すると、析出強化が過多となり靭性が急激に劣化する。このため、0.7 〜2.0 %とする。
(V:0.005 〜0.2 %)
Vは固溶と析出強化効果が利用できる成分であるが、この効果を得るためには、0.005 %以上の含有が好ましい。一方、0.2 %を超える含有は、べイナイト組織の生成を抑制するため、0.2 %以下とする。
(Ni:2.0 %以下)
Niは、強度および靭性を向上させ、またCuを含有した場合には圧延時のCu割れを防止するのに有効であるが、高価である上、過剰に含有してもその効果が飽和するため、2.0 %以下とすることが好ましい。なお、0.05%未満では上記効果が不十分であるため、0.05%以上とすることが好ましい。
(Cr:0.5 %以下)
Crは強度を向上させる効果があるが、0.5 %を超えると溶接部靭性が劣化するため、0.5 %以下とすることが好ましい。なお、0.05%未満では上記効果が不十分であるため、0.05%以上とすることが好ましい。
(Mo:0.5 %以下)
Moは、常温および高温での強度を向上させる効果があるが、0.5 %を超えると、溶接の作業性が劣化するため、0.5 %以下とすることが好ましい。なお。0.05%未満では上記効果が不十分であるため、0.05%以上とすることが好ましい。
(W:0.5 %以下)
Wは、高温での強度を向上させする効果があるが,高価である上、0.5 %を超えると、靭性が劣化するため、0.5 %以下とすることが好ましい。なお、0.05%未満では上記効果が不十分であるため、0.05%以上とすることが好ましい。
(Zr:0.5 %以下)
Zrは、強度を向上させる効果に加えて、亜鉛メッキを施した際の割れを防止する効果があるが、0.5 %を超えると溶接継手の靭性が劣化するため、0.5 %以下とすることが好ましい。なお、0.05%未満では上記効果が不十分であるため、0.05%以上とすることが好ましい。
本発明の溶接継手を製造する方法について述べると、鋼材は、通常の製鋼法で溶製し凝固させた鋼素材を厚板圧延法あるいは形鋼圧延法等により圧延成形して製造することができる。この鋼材から本発明の溶接継手を製造する溶接法は狭開先での溶接施工が可能で溶接ビードの幅や高さを比較的小さいものとなしうるレーザ溶接または電子ビーム溶接の高エネルギービーム溶接を採用する
鋼材として、表1に示す組成および機械的性質を有する鋼板を用いて、表2に示す溶接法にて同表に示す溶接ビード形状を有する突合せ溶接継手を作製した。これら溶接継手からJIS Z 3103-1987 に準拠した疲れ試験片を採取し、疲労試験に供した。疲労試験の応力比(=最低荷重/最高荷重)は0とし、200 万回疲労強度を求めた。なお、降伏強さ、引張強さは、図2に示す形状の引張試験片3を用い、JIS Z 2241に則って測定した。なお、試験片は図1に試験片3として示す位置から採取した。すなわち、試験片3全体が溶接金属2からなるように、また、引張方向が紙面に垂直な方向になるように採取した。鋼板表面粗さは、触針式表面粗さ測定器を用いて測定した。測定にあたり、カットオフ値:2.5mm、評価長さ:12.5mmとし、触針の形状は、先端の半径2μm、円すいのテーパ角は60度とした。
表2に各試験の結果を示す。本発明の範囲内である発明例の溶接継手は、日本鋼構造協会の疲労設計指針における強度等級A以上(2×10回疲労強度が190MPa以上)の良好な特性を有している。一方、本発明を外れる比較例は、同設計指針におけるD等級以上のレベル(2×10回疲労強度が100MPa以上)にとどまっており、A等級には達していない。
Figure 0004513311
Figure 0004513311
本発明は、疲労が問題となる溶接鋼構造物もしくは疲労設計が施される溶接鋼構造物のすべてに利用することができる。
鋼材の厚さ、溶接ビード幅および溶接ビード高さの定義を示す溶接線に垂直な断面図であり、引張試験片の採取位置を示す図である。 引張試験片形状を示す図である。
符号の説明
1 溶接継手
2 溶接金属
3 引張試験片
t 鋼材の厚さ(または鋼板板厚)
w 溶接ビード幅
h 溶接ビード高さ

Claims (6)

  1. レーザ溶接または電子ビーム溶接により形成されかつ1パス溶接により形成された溶接ビードを有する溶接継手であって、前記溶接ビードの形状が鋼材表面に対して凸状であり、厚さが50mm以下である鋼材の厚さに対する前記溶接ビード幅の比率が0.2以下であり、かつ前記鋼材の厚さに対する前記溶接ビード高さの比率が0.3以下であることを特徴とする疲労強度特性に優れた、すなわち、応力比0の繰り返し負荷条件下の200万回疲労強度が190MPa以上である特性を有する溶接継手。
  2. 前記鋼材の表面粗さが前記溶接ビード近傍でJIS B 0601:2000のRa6.3μm以下であることを特徴とする請求項1記載の溶接継手。
  3. 前記鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶接継手。
  4. 前記鋼材の降伏強さに対する溶接金属の降伏強さの比率が1.0以下で、かつ鋼材の降伏強さが685MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶接継手。
  5. 前記鋼材の組成が質量%でC:0.03%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜2.0%、B:0.0003〜0.0050%、N:0.0050%以下を含有し、かつTi:0.005〜0.20%、Nb:0.005〜0.20%のうちから選ばれた1種又は2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、前記鋼材の組織がベイナイト単相であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶接継手。
  6. 前記鋼材の組成がさらに質量%でCu:0.7〜2.0%、V:0.005〜0.2%、Ni:2.0%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:0.5%以下、Zr:0.5%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項5記載の溶接継手。
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