電球は、一般に発光効率が低く、寿命も短い。それで自転車においては、ペダルが重くなるのを嫌がったり、電球が切れたりしているために、無灯火で乗る人が見られる。また、電池を電源とするLEDランプは、電池が減って光量が少ない状態で乗っている人もいる。このように電球も電池式LEDランプも、安全性という点では問題があった。
また、図23に代表される回路のような、定電流ダイオードCRDを用いたLEDランプは、効率が悪いという問題点がある。現在のCRDは、定電流動作となる電流値(ピンチオフ電流)に近い電流を流そうとすると、比較的大きな電力を消費する。例えば電子機器で広く使われている石塚電子(株)の型番E−l53というピンチオフ電流が12から18mAの品は、メーカー発行の特性グラフによれば、そのピンチオフ電流値の95%程度の電流を流すためには4V以上の電圧を必要とする。一方、現在の一般的な白色LEDはVFが約3.5Vである。図23に示すようにLEDとCRDは直列接続で電流は同じなので、電圧に注目すれば、白色LEDの3.5Vに対してCRDは4Vということで、CRDは白色LEDより大きな電力を消費することがわかる。なお、この時の全体の印加電圧は7.5Vであるが、印加電圧が増加すると、その増加分のほとんどがCRDにかかり、CRDはより大きな電力を消費することになる。このように、CRDを使用した方式は、ダイナモの発電電力を効率よくLEDに供給するのが難しいという問題点がある。
これに対し、スイッチング電圧変換要素を用いれば、高い効率でLEDをドライブできるので有利である。しかし、図24や図25に示す、スイッチング電圧変換要素4a・4bに、負荷となる全てのLEDをそのまま接続するという一般的な方法は、自転車の場合、停止状態から発進して加速しはじめているという、人にとって一番つらい時期に、全LEDをドライブするための全ての負荷が重なることになるので、スムーズな加速感を損なうことが考えられる。
この部分を、もう少し具体的に説明する。自転車が停止状態から発進して加速していく過程において、図24や図25のスイッチング電圧変換要素4a・4bは、その変換効率を一定とすれば、該スイッチング電圧変換要素が動作している間は、ずっと同じ電力を要求する。つまり、この要求電力は、走行スピードが遅くても速くても変化しない。
一方、ダイナモは、速度が遅い時には発電電力が小さくて負荷側の必要電力を賄えない状態が発生する。その状態では、ダイナモの電圧が低下するが、スイッチング電圧変換要素はダイナモ電圧が低下する分だけ電流を取り出そうとする。こうして速度が遅い時は、ダイナモにとって、とても重い負荷が接続されているのと似た状態になる。一方、十分に速度が上がると、ダイナモの発電電力は負荷側の必要電力よりも大きくなって、相対的に軽い負荷が接続されているのと同じ状態になる。それを人の負荷感で考えると、十分に速度が上がった場合の負荷感が少ない分、逆に低速時の負荷感が相対的に重く感じることが考えられる。
この点、ある程度速度が上がってからスイッチング電圧変換要素が動き始めるように設定すれば、その相対的な負荷感の差を減らすことができるが、安全上の理由からLEDは低速走行時でも点灯することが求められるので、スイッチング電圧変換要素が動き始めるポイントは、低速側に設定せざるを得ない。それで、自転車が停止状態から発進し、加速しはじめているという、人にとって一番つらい時期に、ランプの全ての負荷が重なることになり、発進時のス厶ーズな加速感を損なう可能性がある。これは、特にLEDの光量を多くした場合に顕著になる。
さらに、図24や図25の回路のように、ダイナモを整流・平滑したものを電源とし、全てのLEDをそのまま接続する形でスイッチング電圧変換要素を用いる場合、該スイッチング電圧変換要素が異常動作に陥る危険がある。それを以下に具体的に説明する。
電池や安定化電源と比べると、ダイナモは、電流変化による電圧の変動が大きい。そして、一般に、昇圧型などのスイッチング電圧変換要素は、印加電圧がその動作電圧未満の場合はシャットダウン状態となる物が多い。この状態は、ほとんどダイナモの負荷とならないので、ダイナモが回り始めた時、その発電電力は小さくても電圧はすぐに上昇する。こうして、電圧が上がってスイッチング電圧変換要素が動作を開始すると、該スイッチング電圧変換要素は必要な電流を流そうとするが、ダイナモはまだ回り始めで発電電力が少ないので、その結果、ダイナモの電圧は大きく低下してしまう。こうして、スイッチング電圧変換要素がスムーズに動作を開始できない不安定な状態が発生する。こうした状態は、スイッチング電圧変換要素内部の制御回路などの誤動作の原因となり、スイッチング電圧変換要素が異常動作に陥ることがある。
そして、スイッチング電圧変換要素は、異常動作が起こると、極めて大きな電力を消費することがある。図28は、ダイナモを整流・平滑したものを電源として実際に異常動作が起きた様子を示したグラフである。図28において、黒い四角および黒い三角のラインは、前述した図24および図25に示す回路、すなわち昇圧の定電圧出力型スイッチング電圧変換回路および定電流出力型の同回路に、それぞれ負荷としてVFが約3.5VでIFが20mAの白色LEDを8個接続した場合の、前記電源の電圧と電流を示している。
また、図28において、白い丸のラインは、同じダイナモを整流・平滑した電源に、自転車ヘッドランプでよく使われている6V2.4Wのクリプトン電球を接続した時の電圧と電流を示したものである。
図28のグラフにおいて、横軸は自転車のスピード、縦軸は、上段が電圧、下段が電流である。測定に使った自転車は、タイヤサイズが27インチのハブダイナモ(前輪の回転軸部分にダイナモを仕込んだもの)仕様のものである。またスピードは、市販のデジタル表示の自転車用メータを用いた。図28のグラフにおいて、電圧は低い方が負荷が大きい、つまり電力をより消費していることを意味し、電流は高い方が負荷が大きいことを意味している。
さて、8個の白色LEDを合計すると0.56Wの負荷となり、スイッチング電圧変換回路の効率を50%としても、ダイナモの負荷となるのは1.12Wと、2.4Wの電球のカーブよりも軽い負荷となるはずであるが、そのようにはならなかった。
図28記載のCV(Constant Voltage)は定電圧出力型、CC(Constant current)は定電流出力型である。図28の黒い四角および黒い三角のラインが示すように、両方とも異常に大きな電力を、すなわち白い丸が示す電球のラインよりもずっと大きな電力を消費した状態が、スピードが上がっても続いている。この時は、体感的にも、確かに自転車が重く感じた。この症状は、安定化電源においてはまったく見られなかったが、ダイナモを電源とした場合には必ず発生した。このように、ダイナモを整流・平滑したものを電源としてスイッチング電圧変換要素を用いる場合、異常動作が発生することがある。
なお、異常動作が発生した図24と図25の回路は、部品入手などの面で制約がある中で手作りしたもので、使用した部品や基板パターンなどは必ずしも最適なものとはいえないことと、ここで使っているICは本来とても優秀な品であることを付け加えておく。そして、この説明の要点は、使用したICや他の部品などがどうかということには関係なく、スイッチング電圧変換要素を用いて作られたあるユニットが、ダイナモを整流・平滑したものを電源とした場合には、実際に異常動作を起こしたということである。
なお、ここで使用したLEDは、日亜化学工業(株)のNSPW510BSである。このLEDを8個使用して本発明の検討を行なっている。一般の自転車用電球と該LEDの発光効率(ルーメン/ワット)の値が入手できなかったので、8個を実際に点灯させてみて、十分な明るさがあることを体感的に確認した。該LED8個を同じ向きに縦に並べ、縦方向のみ放物線近似となる反射板を設けたものを電池で点灯させ、夜間に実際に自転車で走行し、自転車付属のヘッドランプ(電球)との光量を比較した。集光状態の差などがあって断言できないが、普通のスピード(時速15Km位)で比較した限り、控えめに言っても8個のLEDなら電球と遜色がない程度の明るさがあることがわかった。
さて、前述したように、電球や、電池を電源とするLEDランプは、無灯火などの問題が生じやすい。また、CRDを用いた方式は効率が悪く、スイッチング電圧変換要素を使用した従来の方法は、発進時のスムーズな加速感を損なったり、異常動作に陥る場合があるという問題点があった。
本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、発光ダイオードを光源とし、その高効率ドライブを期待できるスイッチング電圧変換要素を安定に動作させて、人への負担が電球よりも少なく、寿命も長く、発進時のスムーズな加速感を損なうことが少ない自転車などのダイナモを電源としたランプを提供することを目的としている。
本発明は、自転車などのダイナモ出力を整流・平滑したものを主要な電源とし、スイッチング電圧変換要素と、発光ダイオードで構成される発光要素と、前記電源につながる負荷量を制御する負荷コントロール要素とを具備したランプであり、該負荷コントロール要素が、ダイナモ発電電力を直接または間接的に検出し、その検出内容と前記電源につながる負荷量との関係であらかじめ設定された制御内容に基づき、該負荷量を切り替えることを特徴としている。
スイッチング電圧変換要素は、一般にDC/DCコンバータやスイッチングレギュレータなどと呼ばれている回路やユニットであり、前記電源から供給される電力を用いて、前記発光要素をドライブするように作用する。
発光ダイオードで構成される発光要素は、電球に比べて発光効率が高い。また、スイッチング電圧変換要素は、低損失で該発光要素をドライブできる。これら2つの要素の組み合わせで、自転車で言えば、電球に比べて人への負担が軽減するので快適走行に寄与する。また、発光ダイオードは電球に比べて寿命が極めて長いので、球切れによる無灯火を減らすことにもなる。
また負荷コントロール要素は、ダイナモ発電電力を検出し、それに応じて前記スイッチング電圧変換要素や発光要素に働きかけ、例えば有効LED数量やLED電流などを切り替えることによって、前記電源の負荷量を制御するように作用する。こうして、該負荷コントロール要素は、ダイナモの発電電力が少ない時は小さい負荷に、該電力が増えるに従って大きな負荷に切り替えるように作用する。
この作用の結果、該負荷コントロール要素は、ダイナモの電圧低下を抑制し、スイッチング電圧変換要素を安定に動作させることに効果がある。
また、該負荷コントロール要素は、自転車などが発進から加速していく過程において、該負荷コントロール要素が無い場合に見られる比較的低速のあるスピードの一点から全ての負荷が急にかかることをなくし、スピードの上昇につれて負荷を増やすように作用するので、発進時のスムーズな加速感を損なうことを抑制することができる。
なお、発光要素を点灯させる電力となる、ダイナモ出力を整流・平滑した電源を、本発明では「主要な電源」と表現する。というのは、後述するが、前記負荷コントロール要素の制御回路などのための専用電源として、1次または2次電池などの電源を具備する応用が可能だからである。
次に、負荷コントロール要素の具体的な手段について説明する。この要素の機能は、次の2つに分けることができる。第一の機能は、スイッチ素子を用いて負荷量を切り替えるスイッチ機能であり、該負荷コントロール要素の出力部分となる。第二の機能は、ダイナモの発電電力を直接もしくは間接的に検出して、あらかじめ設定された制御内容に基づいて前述のスイッチ機能部を制御する、電力検出・制御機能で、該負荷コントロール要素の入力部分となる。
まず、その第一の機能である、負荷量を切り替えるスイッチ機能について説明する。負荷量を切り替える方法は幾つかある。発光要素にLEDを複数個使用するなら、該LEDの有効個数を切り替える方法がある。また、発光要素のLEDの電流を切り替える方法もある。さらに、発光要素のLEDをドライブするスイッチング電圧変換要素が複数個ある場合は、スイッチ素子を用いて、該スイッチング電圧変換要素そのものを個別にオン・オフする方法もある。さらに、これらの方法を混在して使うこともできる。
次は、負荷コントロール要素の第二の機能である電力検出・制御機能について説明する。まず、ダイナモ電力を検出する機能について説明する。電力を直接検出するのであれば、電圧と電流を測定して乗算するという方法がある。例えば、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧と、該電源の全ての電流が流れる経路のどこかに直列に電流検出抵抗を挿入して該抵抗の端子電圧を測定し、演算処理を行なうことができる。
さらに、ダイナモ発電電力を間接的に知る方法がある。例えば、ダイナモの発電電力を電圧だけで検出する方法がある。本発明の機能で必要なのは、負荷との関係において発電電力が十分か不足かを知ることである。これを知るためには、電力が今何ワットなのかという情報でも構わないが、ダイナモは、ある負荷が接続されている場合、発電電力に余裕がある時は電圧が高くなり、余裕が無い時は電圧が低下するという特徴があり、発電電力と電圧は密接に連動するので、負荷との関係におけるダイナモ発電電力の状態は電圧だけでも確認できる。
この電圧を検出する部位として、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を直接検出することができるし、後述するように、該電源に電圧リミッタなどの処理を加えた後の電圧を検出することもできる。後者の場合、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を直接的に検出していないため、該電圧を「間接的」に検出すると表現している。
このように、ダイナモ発電電力の検出に電圧を用いるなら、比較的簡単な回路構成にすることが可能になる。例えば、電圧検出を安価なツェナーダイオードで行なうことができる。又、電圧の検出に発光要素とは別の安価なLEDを用いることもできる。
LEDはツェナーダイオードのように用いることがでる。さらにLEDならではの使用法もある。LEDは、その順方向電圧VF未満の電圧が印加されても、電流がほとんど流れない。それで、電流が流れ出したならば、印加電圧がVFを超えたということを検出できる。この検出電流で、例えば、トランジスタのベースをドライブしたり、また、例えば、フォトカプラなどの内臓LEDをドライブすることができ、それによってこれらのスイッチ素子をオン・オフすることができる。なお、フォトカプラなどの内臓LEDは、電圧検出素子として用いることができる。これら、ツェナーダイオードやLEDを用いた電圧検出は、回路が比較的簡単で、かつ、検出する電圧源の比較的僅かな電力を用いて動作するので、これらのための専用電源を具備する必要がないという大きな利点がある。
また、電圧検出に、例えばオペアンプやコンパレータIC、ロジックICなどをコンパレータ要素として利用することもできる。
さらに、別の発電電力の間接的な検出方法として、ダイナモの回転スピードを検出する方法がある。それは例えば、ダイナモ出力の整流前の交流周波数を測定することや、センサーによってタイヤの回転スピードを測定することなどで実現できる。これらの方法をヘッドランプ単独で実現化する場合は、回路構成が複雑になる傾向があるが、例えば、自転車用スピードメーターなど、既にこれらの項目を検出している機器に組み込むなら、コストなどの面で有利になる場合がある。
そして、あらかじめ前記検出項目と負荷量を段階的に対応させておくことにより、負荷コントロール要素は、前記の検出項目を検出し、それに応じて該負荷コントロール要素の出力にあたるスイッチ機能部を制御し、こうしてダイナモの発電電力に応じてダイナモから見た負荷量を制御するように作用する。
さて、負荷コントロール要素において、前記検出項目の検出と負荷量の制御内容をあらかじめ設定しておくことは、例えば、電圧を検出するのであれば、ある設定電圧値よりも被測定電圧が大きいか小さいかを検出する電圧検出機能を有する回路やユニットを必要な数だけ具備し、その各々の出力を、負荷コントロール要素の出力であるスイッチ機能部の特定のスイッチ素子に割り当てる方法で実現できる。
また、負荷コントロール要素の全部または一部を、マイコン、またはマイコンと他の機能素子から成るマイコンユニットで構成することも可能である。(それらを以下、マイコンと表現する。)例えば、電力を、前述したようにダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧と電流検出抵抗の端子電圧で検出する場合や、もしくは電圧だけで検出する場合は、必要に応じてアナログ的な整合処理を施した後にマイコンのA/Dコンバータなどに入力し、その被測定電圧を測定して、演算処理を行なうことができる。そして、該マイコンの出力をあらかじめ該負荷コントロール要素の出力であるスイッチ機能部の特定のスイッチ素子に割り当てておき、前記演算結果に応じてマイコンの各出力を制御するように、マイコンをプログラムしておくことができる。なお、回路構成などによっては、マイコンの出力をスイッチ機能部のスイッチ素子として、負荷量の切り替えに直接使用することが可能な場合もある。
また、検出項目としてダイナモ出力の交流周波数やタイヤ回転スピードを用いる、マイコンを利用したシステムの場合、例えば、必要に応じてアナログおよびデジタル的なインターフェイス処理を行なった後に、被測定信号をマイコンに取り込んでその周期を測定し、必要に応じて演算処理を行なうことができる。その後の処理は前述と同様にできる。
なお、負荷コントロール要素に、これまで述べたマイコンやコンパレータICやロジックICなどを用いる場合の電源として、1次又は2次電池などを具備するのであれば、寿命ができるだけ長くなる形で用いることが望ましい。
また、走行中に、ダイナモの比較的少ない電力を使って2次電池を充電することもできる。この点、走行中は常にダイナモが回転しているハブダイナモが有利だが、ブロックダイナモでも、ランプ点灯中に充電することは可能である。また、太陽電池などを用いて充電する方法と併用することもできる。そのようにして2次電池に充電すれば、電池寿命の点で有利になる。
なお、負荷コントロール要素が、負荷を何段階に切り替えるか、また、例えば電圧でいえば各々が何ボルトで切り替わるかなど、各段階の切り替えの設定をどのように行なうかは限定しない。条件などによって様々な設定を選ぶことができる。
本発明は、以上のように構成され作用するので、以下のような効果を奏する。
負荷コントロール要素は、まず、スイッチング電圧変換要素を安定に動作させることに効果がある。その様子を、先に参照した図28のグラフに示す。このグラフの白い四角と白い三角のラインは、図26と図27に示した回路の実測グラフである。図26は、従来例の図24で示した昇圧定電圧出力型の異常動作が見られた回路に負荷コントロール要素1kを追加したものであり、同様に図27は、従来例の図25で示した昇圧定電流出力型の異常動作が見られた回路に負荷コントロール要素1bを追加したものである。
両回路は、負荷コントロール要素に異常動作を抑える効果があることを明示するために、後述する実施例では具備している直列型電圧リミッタを具備しない回路としたので、印加電圧がスイッチング電圧変換要素にとって過電圧とならないように、約8Vまでの測定となっている。図28において、前述したように、白い丸が電球のラインである。そして、黒い四角および黒い三角のラインが、負荷コントロールが無い場合のもので、異常動作に陥っている。それに対し、同じ回路に負荷コントロール要素を具備した白い四角と白い三角のラインは、電球よりかなり低い負荷となっていて、異常動作に陥っていないことがわかる。負荷コントロール要素を具備した場合は、何度やっても異常動作に陥ることはなかった。このように負荷コントロール要素は、スイッチング電圧変換要素を安定に動作させることに効果がある。
そして、図29は、後述する直列型電圧リミッタを具備した実施例である図1と図2の回路の測定結果である。比較のために電球のカーブも入れてあるが、全体にわたって、電球より低い負荷となっている。
このように、発光ダイオードを光源とし、負荷コントロール要素でスイッチング電圧変換要素を安定に動作させながら該光源をドライブすることにより、電球に比べて少ない電力で、必要な光量を得ることができる。こうして、人の負担を減らして快適走行に寄与し、時にタイヤ側面に押し付けるブロックダイナモで見られる、人の、疲れるから無灯火で走ろうとするような気持ちを低減することも期待できる。
また、負荷コントロール要素は、ダイナモ発電電力が少ない時は小さい負荷にし、該電力が増えるに従って大きな負荷にするように作用するので、発進時のスムーズな加速感を損なうことを抑制することができる。
また、発光ダイオードは電球に比べて寿命が極めて長いので、球切れによる無灯火を減らすことにもなる。
また、本発明のランプにおけるダイナモの電力だけを使う方式は、従来の電池式LEDランプにみられるような電池切れによる無灯火を根本的になくすことができる。また本発明の1次または2次電池などを使う方式でも、電力の大半を消費する発光素子とそれをドライブするスイッチング電圧変換要素はダイナモを電源とするので、従来の電池式LEDランプよりもはるかに電池寿命を長くすることが可能になる。また、2次電池などを使ってダイナモや太陽電池から該電池に充電する方法を講じれば、電池切れに陥る可能性をさらに低くすることもできる。
さらに、図29の下の部分に示すように、本発明のLEDランプは、歩く位の速さ(時速3Km以下)でも、少数ながらもLEDがしっかりと点灯する。一般的な電球の自転車ランプの場合、このスピードでは、電球は極めて暗く、赤みがかってぼんやり光る程度で、相手に自分の存在を知らせる効果はあまり期待できないが、本発明のLEDランプの場合は、少数でもよく目立つので、該効果が電球よりはるかに高く、安全性の向上に役立つ。
さて、本発明のランプにおいて、負荷コントロール要素が、ダイナモ発電電力を間接的に電圧で検出する方法を採用するなら、比較的簡単な回路構成とすることが可能になる。
特に、電圧検出素子にLEDを用いた電圧検出は、回路のとても簡単な応用が可能で、かつ、検出する電圧源の比較的僅かな電力を用いて動作するので、これらのための専用電源を具備する必要がない。
また、負荷コントロール要素の全部または一部をマイコンで構成するなら、ダイナモ発電電力を検出するための様々な項目を選択肢に入れることができ、かつ高度な制御を行ない易い。さらに、スピードメーターなど、他の機能との複合化を図り易い。
以下に、本発明の、自転車などのダイナモ出力を整流・平滑したものを電源としLEDで構成される発光要素と、スイッチング電圧変換要素と、前記電源につながる負荷量を制御する負荷コントロール要素とを具備したランプの実施の形態を、必要に応じて、説明図や実施例を参照しながら説明する。
まずLEDで構成される発光要素について説明する。該発光要素に使えるLED素子は、現在広く流通している白色LEDに限定するものではなく、例えば黄色など他の色のLEDでも構わない。もちろん青色LEDをベースとして数種の蛍光体を組み合わせた電球色のLEDや、ダイヤモンド半導体によるものも含む紫外線LEDと蛍光体を組み合わせて作られた可視光LEDでも構わない。
そして、数種の色のLEDを混合して使用しても構わない。望む色合いを得るためにそうすることができるし、例えば、黄色などの、白色より順方向電圧が小さいLEDは、電力が小さい時の点灯に有利なので、低速側の最初に点灯するLEDをそのような可視光LEDにし、残りを白色LEDにする、というような応用ができる。
また、20mA程度の電流で使う現在の一般的なLEDだけでなく、さらに大きな電流を流すことのできる大電流対応LEDを1個、もしくは必要に応じて複数個用いることもできる。
次は、LED発光要素をドライブするスイッチング電圧変換要素について説明する。これは、前述したようにDC/DCコンバータやスイッチングレギュレータなどと呼ばれている回路やユニットであるが、それはどのような動作形態のものでも構わない。例えば、定電流出力昇圧型、定電圧出力昇圧型、定電圧出力降圧型、定電圧出力昇降圧型などを使うことができる。各々の動作方式は、例えば、インダクタを用いる方式でも、チャージポンプなどと呼ばれるコンデンサを用いる方式でも構わない。
次は、負荷コントロール要素の説明に移る。該要素は、第一の機能として、スイッチ素子で負荷量を切り替えるスイッチ機能と、第二の機能として、ダイナモ発電電力を検出し、あらかじめ設定された制御内容に基づいて前述のスイッチ機能部を制御する電力検出・制御機能を持つことは先に説明したが、それらの詳細について、これから説明する。
負荷コントロール要素の説明に関連し、まず、スイッチング電圧変換要素について説明する。これから先の説明ではLED発光要素をドライブするスイッチング電圧変換要素を、「主要なスイッチング電圧変換要素」と表現する。というのは、後述するが、このスイッチング電圧変換要素以外にも、別の目的でスイッチング電圧変換要素を具備する応用ができるので、それと明確に区別するためである。
また、これから先は、前述した主要なスイッチング電圧変換要素の動作形態や方式にはとらわれずに、その出力形態に注目して、定電圧出力型と定電流出力型の2つのタイプに大別して説明を行なう。さらに、定電流出力型には、LED電流を設定する抵抗の接続方法に2つのタイプがあるので、それぞれのタイプ別に説明を行なう。
ではこれから、負荷コントロール要素の第一の機能である負荷量を切り替えるスイッチ機能部のスイッチ素子接続方法の説明を行なう。主要なスイッチング電圧変換要素の出力形態別に、そのLEDの接続方法と、負荷量を切り替える手段であるLEDの有効個数や電流を切り替える方法などを説明する。
まず、主要なスイッチング電圧変換要素が定電圧出力型である場合を、図3を参照しながら説明する。この場合のLEDの接続は、例えば、図3のA部に示したように、該スイッチング電圧変換要素の出力電圧に応じて、1個もしくは複数個のLEDと電流制限抵抗を直列に接続する。それを定電圧出力型の基本単位負荷と表現すれば、該基本単位負荷を、一つ、あるいは複数個を並列に並べて、必要な光量を得る。これは、大電流対応LEDを用いる場合でも、基本的に同等である。
次に、前述した基本単位負荷が複数列ある場合の、LED有効個数を切り替えるためのスイッチ素子の接続方法を説明する。この場合、該基本単位負荷ごとに、そのどこかに、例えば、図3のB部のようにGNDと該基本単位負荷の間に直列に入れる形でスイッチ素子を設けることができる。図3B部において、スイッチ素子S1をオフさせると該基本単位負荷は無効になり、オンさせると有効になる。こうしてLED有効個数を切り替えることができる。
次に、この場合のLED電流を切り替えるためのスイッチ素子の接続を説明する。該電流を切り替えるには、前記基本単位負荷の電流制限抵抗を変化させればよいので、例えば、図3のC部に示すように、必要に応じて直列にスイッチ素子を接続した電流制限抵抗となる抵抗を幾つか設け、それらを並列に並べるという接続を行なうことができる。図3のC部の例では2本の電流制限抵抗Ra、Rbを設け、そのうちの1本に直列にスイッチ素子S2を接続し、それらを並列に並べている。図3C部において、スイッチ素子S2がオフの場合、電流制限抵抗の値はRaとなる。S2がオンの場合は、そのオン抵抗を無視すれば、電流制限抵抗の値はRaとRbの並列合成値となる。ゆえにスイッチ素子S2がオンするとLED電流が増える。
また、図3のD部に示すように、複数の電流制限抵抗を直列にし、それらの電流制限抵抗の必要な個所に並列にスイッチ素子を設ける形をとることもできる。図3のD部の例では2本の電流制限抵抗Rc、Rdを直列に設け、そのうちの1本に並列にスイッチ素子S3を設けている。S3がオフの場合、電流制限抵抗の値は、RcとRdを加算した値となる。オンの場合はRcとなる。ゆえに、この場合もS3がオンするとLED電流が増える。
以上が、主要なスイッチング電圧変換要素が定電圧出力型である場合のLED有効個数の切り替えとLED電流を切り替えのためのスイッチ素子の接続方法である。
次に、主要なスイッチング電圧変換要素が定電流出力型である場合の説明に移る。定電流出力型は、出力のLED電流を決める電流設定抵抗の用い方として、主に、図4に示すような、スイッチング電圧変換要素に設けられた電流設定抵抗の専用端子とGNDの間に該抵抗を接続するタイプと、図6に示すような、出力電流の経路の一部として該抵抗をGND側に入れて、該抵抗の端子電圧をスイッチング電圧変換要素の出力フィードバック端子であるFB端子に印加するタイプがある。図4や図6において「IsetR」と表記された抵抗が電流設定抵抗である。
このように、定電流出力型は、電流設定抵抗の置かれる位置によって主に2つのタイプがあるので、これから先の説明では、各々のタイプごとのLED接続方法とともにLED有効個数切り替え及びLED電流切り替えのためのスイッチ素子の接続方法を説明する。なお以下の説明では、専用端子とGNDの間に電流設定抵抗を接続するタイプを「専用端子タイプ」、電流設定抵抗の端子電圧をFB端子に印加するタイプを「FB端子タイプ」と表現する。
ここでLED有効個数切り替えの説明の事前説明としてLEDとそれに並列に接続されたスイッチ素子の関係を説明しておく。後述するがLEDは、その順方向電圧未満の印加電圧ではLEDに電流が流れず、従って点灯しない。それでLEDに並列にスイッチ素子を設けてそれをオンさせると、スイッチ素子によってバイパスされてLEDの端子電圧はほぼ0VになるためLEDは点灯しなくなる。また同様に、ダイオードとスイッチ素子を直列に接続したものをLEDに並列に設けて該スイッチ素子をオンしても、ダイオードの順方向電圧が可視光LEDの順方向電圧より十分低いので該LEDは点灯しない。
また、これから行なう説明の中で、スイッチング電圧変換要素の出力側に関し、「高電位側」と「低電位側」という言葉を使う。高電位側とは、スイッチング電圧変換要素から電流が出力として出てくる側のことである。低電位側は2つの場合がある。専用端子タイプの場合は、図4に示すようにLED電流のリターン側が低電位側となる。またFB端子タイプでは、図6に示すように、FB端子に接続される部分が低電位側となる。これらをふまえ、以下にLED接続方法とLED有効個数切り替え及びLED電流切り替えのためのスイッチ素子の接続方法を説明する。
まず、専用端子タイプの場合を、図4を参照しながら説明する。LEDの接続は、図4のA部にあるように、その出力に1個、あるいは複数個のLEDを直列に同じ向きに接続する。これは、大電流対応LEDを用いる場合でも、基本的に同等である。
次に、この場合のLED有効個数を切り替えるためのスイッチ素子の接続を、図4のB部を参照しながら説明する。これは、直列接続された3個のLEDの有効個数を1個、2個、3個と切り替える例となっている。図4B部においてLED1と同2の接続点と低電位側ラインとの間にスイッチ素子S1を設けて、それをオンさせるならLED2と同3は、S1でバイパスされて点灯しなり、この結果LED1だけが有効になる。同様にしてLED2と同3の接続点にスイッチ素子S2を設けて、これをオンさせるならLED1と同2が有効になる。3個全てのLEDを有効にするには、S1とS2を両方ともオフさる。このように、発光要素のLEDが複数個の1列から成る場合には、任意のLED接続点と低電位側ラインとの間にスイッチ素子を設けて、そのオン・オフを制御することによりLED有効個数を切り替えることができる。
また、今述べた図4のB部とは逆で、図4C部のように、任意のLED接続点と高電位側ラインとの間にスイッチ素子を設けても、同様の効果を得ることができる。
また、図4のD部のように、あるLEDの接続点と、別のLEDの接続点との間にスイッチ素子を設けても、該スイッチ素子によってバイパスされるLEDは点灯しなくなるので、同様の効果を得ることができる。
次に、このタイプのLED電流の切り替え方法を述べる。該電流の切り替えは、電流設定抵抗の値を変化させればよいので、該抵抗に対して、前述した図3のC部やD部に示した定電圧出力型のLED電流切り替え方法と同様の方法を講じることができる。その例を、図4のE部とF部に示す。
さて、今述べている専用端子タイプにおいて、必要光量が1列のLEDでは足りない場合、スイッチング電圧変換要素の出力電流の許容範囲内で、図5のA部のようにLEDの直列接続に、電流を安定させるためのバラスト(ballast)抵抗を加えた列を、2列以上にすることができる。
このような場合でもLEDの有効個数を切り替えることができる。例えば、図5のB部のように、高電位側から順にバラスト抵抗と3個のLEDが直列に並んだ列が2列ある場合、そのLED数は合計6個になるが、その有効個数を2個、4個、6個と切り替える方法を説明する。
図5B部においてLED1と同11だけを有効にするためには、1列目のLED1と同2の接続点と、それに対応する2列目のLED11と同12の接続点を、各LED側の接続点がアノードとなるようにダイオードを通して結び、各ダイオードのカソード側と低電位側ラインとの間にスイッチ素子S1を設ける。S1をオンさせるなら、下の4個のLEDはS1でバイパスされて点灯しなくなりLED1と同11の2個が有効になる。
またLED2と同3の接続点とLED12と同13の接続点に、同様の方法でスイッチ素子S2を設け、S2をオンさせるならLED3と同13は点灯しなくなり、上の4個が有効になる。6個全てのLEDを有効にするには、2つのスイッチ素子を両方オフさせればよい。
このようにLEDの直列接続にバラスト抵抗を加えた列を2列以上にした場合でも、各列の対応する任意のLED接続点全てをダイオードを通して接続し、その接続点と低電位側ラインとの間にスイッチ素子を設けてそのオン・オフを制御することでLED有効個数を切り替えることができる。
なお、今の例とは逆で、図5C部にあるように、各列のバラスト抵抗を低電位側に設けるなら、各列の対応する任意のLED接続点全てをダイオードを通して接続し、その接続点と高電位側ラインとの間にスイッチ素子を設けても、同様の効果を得ることができる。(ダイオードの向きは逆になる。)
以上が、主要なスイッチング電圧変換要素が定電流出力型専用端子タイプである場合の、LED有効個数やLED電流を切り替えるためのスイッチ素子の接続方法である。
次に、主要なスイッチング電圧変換要素が定電流出力型のもう一つのタイプであるFB端子タイプの場合の説明に移る。この場合のLEDの接続は、図6A部にあるように、その出力に1個、あるいは複数のLEDを直列に同じ向きに接続する。電流設定抵抗IsetRは、LEDの電流が流れる経路の一部として最後のLEDとGNDの間に接続され、そのLEDと該抵抗の接続点は、スイッチング電圧変換要素のFB端子にも配線される。これは、大電流対応LEDを用いる場合でも、基本的に同等である。
そして、この場合のLED有効個数を切り替えるためのスイッチ素子の接続は、前述した専用端子タイプと同様に行なうことができ、その例を、図6のB部からD部に示す。
また、この場合のLED電流の切り替えのためのスイッチ素子の接続例を、図6のE部、F部に示す。この場合も電流設定抵抗の値を切り替えるものであり、その動作は前述の専用端子タイプと同様である。
また、この場合もLED列を2列以上にすることができる。このタイプでは、図7のA部にあるように、1列目の電流設定抵抗と同じ値の抵抗を入れた列を複数列接続する。そして、この場合の有効LED数の切り替え例を、図7のB部に示す。これは、前述の専用端子タイプのLED列が2列でバラスト抵抗を低電位側に設ける場合(図5のC部)と同様の方法である。
以上が、主要なスイッチング電圧変換要素が定電流出力型FB端子タイプである場合のLED有効個数やLED電流を切り替えるためのスイッチ素子の接続方法の説明である。
さて、定電圧出力型でも定電流出力型でも、主要なスイッチング電圧変換要素が1個では必要なLED負荷をドライブできないなどの場合には、該スイッチング電圧変換要素を複数個用いることもできる。
この場合、複数のLEDを各スイッチング電圧変換要素がそれぞれ独立に分担するのであれば、該スイッチング電圧変換要素の一つ一つについて、そのLED有効個数の切り替えやLED電流の切り替えを、前述した主要なスイッチング電圧変換要素が1個である場合と同様に行なうことができる。
また、複数の主要なスイッチング電圧変換要素の各々に対して、図8のA部に示すように、必要に応じてスイッチ素子を設けて、各々のスイッチング電圧変換要素を単独にオン・オフさせることでも、ダイナモから見た負荷量を切り替える効果を得ることができる。
さらに、複数の主要なスイッチング電圧変換要素の全てが定電圧出力型であれば、共通の負荷となるLEDをドライブすることができる。この場合は、例えば図8のB部のように、各々の出力全てに電流制限抵抗とダイオードを設けて、それを共通の負荷であるLED発光要素に接続することができる。この場合のLED電流切り替えは、例えば図8B部のS1部分のように、電流制限抵抗の全部または一部に、別の抵抗とスイッチ素子を組み合わせて、電流制限抵抗の抵抗値を切り替える方法がある。また、例えば図8B部のS2部分のように、各々のスイッチング電圧変換要素に必要に応じてスイッチ素子を設け、各々のスイッチング電圧変換要素を単独にオン・オフさせる方法もある。
これまで負荷コントロール要素の第一の機能である、負荷量を切り替えるスイッチ機能部のスイッチ素子の接続方法について説明してきた。そして、限定する意図はないが、このスイッチ素子として使用できる素子名を挙げるなら、回路構成などにより変わるが、例えばMOS−FETやバイポーラトランジスタ、フォトカプラ、さらにLEDとフォトMOS−FETを内臟している半導体フォトリレー、電磁式リレー、アナログスイッチなどがある。また、オープンコレクタやオープンドレインの各種ロジックICやコンパレータICなどの出力をスイッチ素子として用いることもできる。
さて、ここから、負荷コントロール要素の第二の機能である、ダイナモの発電電力を検出して、あらかじめ設定された制御内容に基づいて前述のスイッチ機能部を制御する、電力検出・制御機能についての説明に移る。
まず、間接的な電力検出方法として、電圧を用いる方法について説明する。電圧の検出ポイントとしては、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を直接検出する方法と、該電圧を間接的に検出する方法に分けることができることは前述したが、その間接的な電圧検出について、具体的に説明する。
主要なスイッチング電圧変換要素の許容入力電圧が、ダイナモを整流・平滑した電源の最大電圧より小さい場合の保護のために、または、該スイッチング電圧変換要素がインダクタを用いた昇圧定電圧出力型の場合には、その出力電圧値より大きい電圧が印加されることによる出力の変動を防ぐため、時に、印加される電圧を制限することが必要になる。
そのためには、主要なスイッチング電圧変換要素とは別に、降圧定電圧出力型のスイッチング電圧変換要素を用いたり、リニア型定電圧レギュレータを用いたりすることができる。これらは一般に、ダイナモ出力を整流・平滑した電源と主要なスイッチング電圧変換要素との間に、電流経路から見れば直列に入る形で設ける。そして、ダイナモ出力を整流・平滑した電源を受けて、設定した値以上の電圧が主要なスイッチング電圧変換要素に加わらないようにする、電圧リミッタのような働きをする。それで、この機能を果たす部分を「直列型電圧リミッタ」と称する。
また同じ目的で、設定電圧を超えた電圧分を比較的低い値の抵抗などを通してGNDに分流させるシャント型の保護回路を設けて、電源電圧の上昇を抑えるようにすることもできる。これは、電流が分岐する形になるので「分岐型電圧リミッタ」と称する。
それで、負荷コントロール要素内の電力検出機能部が、どの電圧を検出するかについては、大きく2通りの方法があることになる。すなわち、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を直接検出する方法と、前記直列型電圧リミッタを用いる場合には、その処理された後の電圧を検出する方法の2つである。それで、後者の場合を、前述したように、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を「間接的」に検出すると表現している。この間接的な電圧検出の場合でも、直列型電圧リミッタがリミット動作に入る前であれば、該リミッタの出力電圧は、若干の差分を持ちながらも、その入力であるダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧にほぼ追従するので、ダイナモの発電電力に応じた負荷の切り替えを行なうことができる。
これをふまえ、次に、どのように電圧を検出し、どのように負荷コントロール要素内のスイッチ素子を駆動するかについて、例をあげて説明する。
電力検出機能部の電圧検出素子として、例えば、ツェナーダイオードやLEDなどを用いることができる。それらの素子によって電圧の高低を検出し、加えてその検出する電圧源の比較的小さな電力を用いて、スイッチ素子を駆動することができる。
また、これと関連して、スイッチ素子が、例えば、入力側にLEDを内臟しているフォトカプラや半導体フォトリレーであれば、そのLEDを、前記の電圧検出素子の一部として用いることもできる。
これらの方法を、図9を用いて説明する。まず、ツェナーダイオードを用いる方法を、図9のA部とA1部に示す。図9のA部において、ZD1がツェナーダイオードであり、抵抗R1とR2が、DZ1に流れる電流を制限する役割を果たす。そしてR2の端子電圧が、スイッチ素子S1のオン電圧に達すると、S1がオンしはじめる。それで、S1がオンしはじめる印加電圧(VDCまたはVIN)は、この時R2に流れる電流から計算できる。すなわち、S1がオンしはじめる印加電圧は、該電流によって生じるR1とR2の各々の電圧と、ZD1のツェナー電圧を加えた値になる。また、図9A1部のように、必要に応じて、電圧の調整やツェナー電圧の温度特性の向上のために、ダイオード(図中のD1)を直列に入れることもできる。
ツェナーダイオードと同様の仕方でLEDを用いた例を図9のB部、B1部に示す。その基本動作は前述したA部と同等である。LEDの順方向電圧VFがツェナー電圧に相当する。そして、図9のB1部のように、希望の電圧になるまでLEDや、必要に応じてダイオードなどを直列に並べることができる。
これらのためのスイッチ素子としては、図9のA部からB1部におけるS1部分に示したように、例えば、バイポーラトランジスタやMOS−FETなどを用いることができる。
さて、前記の例ではLEDをツェナーダイオードと同じように使った。しかしLEDだからこそ可能な使用法もある。図9のC部にその例を示す。LEDがツェナーダイオードより優れている点の一つは、印加電圧がLEDの順方向電圧VF未満の時には、ほとんど電流が流れないことである。この点ツェナーダイオードの場合には、印加電圧がツェナー電圧に達する前でも電流がじわじわと流れてしまう。例えばツェナー電圧が4.7VであるNECエレクトロニクス(株)のRD4.7Sの場合、その特性グラフによれば、印加電圧が3Vでも50uA程度の電流が流れる。それで、図示しないが、図9C部の回路の2個のLEDをツェナーダイオードに置き換えた場合は、そのツェナー電圧よりずっと低い電圧でもベース電流が流れてスイッチ素子であるトランジスタS2がオンしはじめてしまう。それで、ツェナーダイオードではS2がオンする電圧を定めにくく、あまり実用的ではない。しかしLEDであれば、印加電圧がVFに達するまでは電流が流れず、したがってトランジスタはオンしないため、ツェナーダイオードよりずっと安定した動作となる。このようにLEDを使えば、簡単な回路でも、実用性の高い電圧検出動作を行なうことができる。
この図9のC部の回路のためのスイッチ素子としては、限定する意図はないが、バイポーラトランジスタが利用しやすい。一般に、該トランジスタの直流電流増幅率HFEが高いほど、また図中の抵抗R4が小さいほど、トランジスタがオフから完全オンに移る際のメリハリが向上する。なお、R4はLEDの順方向電流や該トランジスタのベース電流を制限する抵抗としての働きを全うする値でなければならない。
さて、前記メリハリについては、これを良くすることだけに着目すべきではない。この具合を適度にゆるやかにすることによって、段階的に切り替わる負荷量において、その切り替わり時の変化の状態をなだらかにすることができる。例えばLEDの有効個数を切り替える場合であれば、印加電圧が上昇していく過程におけるLED有効個数の切り替わり時に、次の段のLEDが比較的急に明るく点灯するのではなく、該LEDが、印加電圧の上昇につれて徐々に明るさを増していくようにすることができ、そうするなら、本来階段状となる負荷量の変移をなだらかにすることができる。
なお、今説明している図9C部の回路の場合、トランジスタがオンしはじめる電圧に関係するLEDの順方向電圧VFは、正確には、一般によく使われる順方向電流IFが10mAや20mAの時のVFではなく、メーカー発行のVF−IF特性グラフに載せられているIFが小さい領域でのVFとなる。そのVF値は、現在一般に流通している品でいえば、赤外線LEDの約1Vから、青色・白色LEDの約3Vまでの範囲でLEDの材料などの違いによって幾つかの種類があるので、それらを適宜単独で、もしくは組み合わせて用いることができる。また、前記のメリハリに多少影響するもののLEDと共にダイオードを使って、その順方向電圧分(例えば普通のシリコン小信号用ダイオードであれば0.6V位)を利用して電圧値を調整することも可能である。その例を図9のC1部に示す。
また、図9のD部は、スイッチ素子がフォトカプラの場合の、その内臓LEDを電圧検出素子の一部として使用した例である。基本的な動作は前述の図9のC部などと同じで、該内臓LEDのVFも電圧設定に含めておく必要がある。また、フォトカプラがオンしはじめるLED電流は一般に数ミリアンペアが必要で、図9のC部の回路よりも若干電流が大きくなる傾向がある。したがって、正確には、この電流によって生じるR5の電圧降下分も、電圧設定に含めておく必要がある。これは、スイッチ素子が半導体フォトリレーでも同等である。フォトカプラや半導体フォトリレーは、その入力側と出力側がアイソレートされているので、回路のどこにスイッチ素子を置くことができるかについては、トランジスタやMOS−FETなどより、かなり自由度が高くなる。例えば、図4のD部のスイッチ素子は、トランジスタやMOS−FETでは難しいが、フォトカプラや半導体フォトリレーであれば比較的簡単に利用できる。
これらの方法は、検出する電圧源の比較的僅かな電力を用いて動作するので、これらのための専用電源を具備する必要がないという大きな利点がある。一方欠点は、設定できる電圧が素子に依存して飛び飛びとなり、設計自由度がやや低いことと、利用できるスイッチ素子が後述する他の方法に比べて少ないということである。
以下に、電圧検出素子としてLEDを用いた場合の、幾つかの具体例について説明する。まず、図1と図2に、本発明の実施例を示す。
本発明の第一の実施例である図1において、1aは負荷コントロール要素全体を示していて、その中には、電力検出・制御機能部2aと、負荷量を切り替えるスイッチ素子を有するスイッチ機能部3aが含まれている。本実施例は、電力を間接的に電圧で検出する方式をとっていて、その電力検出・制御機能部2a内の電圧検出素子としては、前述したようにLEDを用いている。また、スイッチ機能部3aのスイッチ素子S1からS4は、トランジスタを使っている。主要なスイッチング電圧変換要素4aは、インダクタを用いた昇圧定電圧出力型であり、8個の白色LEDから成る発光要素5aをドライブしている。
図1中のスイッチ機能部3aのS1からS4のトランジスタは実験で使った2SC1364をそのまま図中に記してあるが、これは、例えば2SC945や2SC1815など広く流通している多くのトランジスタが利用可能である。
また、電力検出・制御機能部2aのLEDにはRやIRの表示があるが、それらはLEDの種類を表している。RのLEDとして、実験では(株)東芝のTLR102Aという材料がGaPでIF1mA時のVFが約1.8VのLEDを使った。またIRは(株)東芝のTLN119という材料がGaAsでIF1mA時のVFが約1.05Vの赤外線LEDを使った。もちろん他のLEDでも構わない。
そして、電力検出・制御機能部2aは、これらのLEDの種類と個数を組み合わせて、希望の電圧を検出するようにしている。例えば、電力検出・制御機能部2aのS1contと表記されている一番上のLED部分を実験で使った素子で説明すれば、R表示のLEDを1個使っているので、そのVFは前述したように1.8V位であり、それにつながるスイッチ素子であるトランジスタS1のベース・エミッタ電圧VBEは約0.6Vなので、それらの電圧を加えると、2.4V位でS1がオンしはじめることになる。
そして、本実施例では、インダクタを用いた昇圧定電圧出力型である主要なスイッチング電圧変換要素4aの中心となる素子として、リニアテクノロジ社のLT1613を用いていて、それを中心とした回路の出力電圧が8Vとなるように設定している。そして、スイッチ機能部3a内のスイッチ素子S2からS4に接続される発光要素5a内の2個組み3列のLED電流は、該スイッチ素子がオンすると、各列、約20mAになるように抵抗値を設定している。そして、スイッチ素子S1の列のLED電流は、S1がオフの時は約10mA、オンの時は約20mAとなるようにしている。
本回路は、スイッチ素子S1からS4が全てオフの状態から始まり、後述する直列型電圧リミッタの出力電圧が上昇するにつれて、最初に主要なスイッチング電圧変換要素4aが動作を開始し、次にS1だけオン、S1とS2がオンというように、S1から順番にオンしていく。それで、本回路の切り替え状態は次のようになる。該スイッチング電圧変換要素4aが動作を開始し、スイッチ素子S1からS4がすべてオフの時は、2個のLEDが各10mAで点灯する。S1がオンすると同じ2個のLEDが各20mAで点灯し、S2もオンすると4個のLEDが各20mAで点灯し、S3もオンすると6個のLEDが各20mAで点灯し、S4もオンすると8個のLEDが各20mAで点灯する。
主要なスイッチング電圧変換要素4aのLT1613が動き始める電圧は、最大で1.1Vである。そして、電力検出・制御機能部2a内で最初にオンするスイッチ素子S1がオンしはじめる電圧は、前述したように約2.4Vである。このように、最初のスイッチ素子がオンする電圧を、主要なスイッチング電圧変換要素が動き始める電圧より高く設定しておくことが望ましい。というのは、そうすれば、設定した切り替え段数の通りになるし、そのようにして該スイッチング電圧変換要素が動き始める時の負荷を軽くしておくことで、該スイッチング電圧変換要素が異常動作に陥る危険を減らすことができる。このことは、後述する図2の実施例や、図10から図12に示す他のタイプの主要なスイッチング電圧変換要素の回路例にも言えることである。
本実施例には、主要なスイッチング電圧変換要素4aとダイナモ出力を整流・平滑した電源との間に、直列型電圧リミッタを設けている。本実施例の場合、該電圧リミッタのリミット電圧は、8V未満にする必要がある。というのは、該スイッチング電圧変換要素4aの回路はインダクタを用いた昇圧型であり、その出力電圧は8Vなので、印加電圧が8Vを超えると、その影響で出力電圧も上昇してしまうからである。この回路の実験に用いた直列型電圧リミッタの回路は図14であり、その動作は後述する。また、直列型電圧リミッタとして図13や図15に示すような回路を用いることもできる。
次に、本発明の第二の実施例である図2の説明に移る。第一の実施例と本実施例の主な違いは、主要なスイッチング電圧変換要素のタイプの違いであり、本実施例の主要なスイッチング電圧変換要素4bは、インダクタを用いた昇圧定電流出力型となっている。本実施例も、電力を間接的に電圧で検出する方式をとっていて、その電力検出・制御機能部2a内の電圧検出素子にLEDを用いている。
図2のスイッチ機能部3b内のS1からS4、およびQ2からQ4のトランジスタは、前述した図1と同様に、実験で使った2SC1364をそのまま図中に記してあるが、これは例えば2SC945や2SC1815など広く流通している多くのトランジスタが利用可能である。
本実施例の場合、主要なスイッチング電圧変換要素4bの中心となるのはリニアテクノロジ社のLT1932で、前述した定電流出力型の専用端子タイプにあたる。発光要素5b内のLED総数は8個で、そのLED電流を決めるのが、スイッチ機能部3b内の上部に書かれているIsetR1とIsetR2である。S1オフ時のLED電流は10mA、S1オン時は20mAとなるように、それぞれの抵抗値を設定している。
さらに、S2とQ2、S3とQ3、S4とQ4は、それぞれ組み合わされている。そして、S2がオフの時はQ2がオンし、S2がオンの時はQ2がオフする。S3とQ3、S4とQ4の関係も同じである。Q2がオンすると、発光要素5b内のLED列の上の2つを残し、下の6個のLEDは全て無効になる。同様にしてQ3がオンすると下の4個のLEDが無効になり、Q4がオンすると下の2個が無効になる。また、Q2からQ4のすべてがオンしている場合は、Q2が支配的になって下の6個のLEDはすべて無効になる。Q3とQ4が同時オンの場合も同様で、Q3が支配的になる。
本実施例も、スイッチ機能部3bのS1からS4の全てがオフの状態から始まり、直列型電圧リミッタの出力電圧が上昇するにつれて、最初に主要なスイッチング電圧変換要素4bが動作を開始し、次にS1だけオン、S1とS2がオンというように、S1から順番にオンしていく。そして、スイッチング電圧変換要素4bが動作を開始し、スイッチ素子S1からS4が全てオフの時は、S1オフによってLED電流が10mAとなり、S2からS4がオフすることによってQ2からQ4がオンし、Q2が支配的になるためLED列の上の2個だけが有効になるので、結果的に上の2個のLEDが各10mAで点灯する。S1がオンすると同じ2個のLEDが各20mAで点灯する。S2もオンするとQ2がオフして上の4個のLEDが各20mAで点灯し、同様にS3もオンすると上の6個のLEDが各20mAで点灯し、S4もオンすると8個のLED全てが各20mAで点灯することになる。
この回路で使っている主要なスイッチング電圧変換要素4bのLT1932の動作開始電圧は、最大1Vである。また、電力検出・制御機能部2aは、前述した図1と同じ設定となっているので、最初のスイッチ素子S1がオンする電圧は約2.4Vとなっている。
本実施例も、前述の図1と同様に、主要なスイッチング電圧変換要素4bとダイナモ出力を整流・平滑した電源との間に、直列型電圧リミッタを設けている。該電圧リミッタの出力電圧は、スイッチング電圧変換要素4bのLT1932の最大印加電圧である10V未満にする必要がある。本実施例の実験に用いた直列型電圧リミッタも、前述の図1の場合と同様に図14の回路であるが、図13や図15に示すような回路を用いることもできる。
また、図10から図12に、前述した2つの実施例とは違うタイプの主要なスイッチング電圧変換要素を用いた場合の回路例を示す。図10がインダクタを用いた昇降圧定電圧出力型、図11がインダクタを用いた降圧定電圧出力型、そして図12がコンデンサを用いた昇圧定電圧出力型素子を2個用いた回路例で、すべて8個の白色LEDから成る発光要素をドライブし、負荷コントロール要素の電力検出・制御機能部はLEDを用いた電圧検出タイプであり、負荷コントロール要素のスイッチ機能部のスイッチ素子は、トランジスタを用いている。
図10の昇降圧定電圧出力型の回路では、主要なスイッチング電圧変換要素4cの中心を成すのはリニアテクノロジ社のLT1372で、それを中心とした回路の出力電圧を、本回路例では、図1の場合と同じ8Vに設定している。それで、図中の負荷コントロール要素のスイッチ機能部3aや発光要素5aは図1と同じとなっているので、その結果、本回路の切り替え状態も図1で説明したのと同じになる。ただし、この回路例ではLT1372の動作開始電圧(2.7V)に応じて、電力検出・制御機能部2bのLEDの組み合わせを図1の場合より高めの電圧になるように設定している。ちなみに、S1がオンしはじめる電圧は、電力検出・制御機能部2b内のS1につながる部分の、R表示LEDのVF電圧約1.8Vと、IR表示のそれの約1.05Vに、S1であるトランジスタのベース・エミッタ電圧VBE約0.6Vを加えて、3.45V位となる。
また本回路例は昇降圧型なので、図1の実施例とは違って、印加電圧が出力電圧より高くなっても支障がない。そして、主要なスイッチング電圧変換要素4c内のLT1372の最大印加電圧が30Vと比較的高いので、直列型電圧リミッタは使用せず、分岐型電圧リミッタを用いて過電圧から保護している。分岐型電圧リミッタは、例えば図16に示すような回路を使用できる。図16回路の動作は後で説明する。
図11のインダクタを用いた降圧定電圧出力型の回路例では、主要なスイッチング電圧変換要素4dの中心を成すのはナショナルセミコンダクタ社のLM2595ADJで、それを中心とした回路の出力電圧を本回路例では4.1Vに設定している。そして、発光要素5cの各LEDに流れる電流を20mAに設定しているので、この切り替え状態は、次のようになる。スイッチング電圧変換要素4dが動作を開始して出力が設定電圧に達し、スイッチ機能部3cのスイッチ素子S1からS4が全てオフのときは、1個のLEDが20mAで点灯する。S1がオンすると2個のLEDが各20mAで点灯し、S2もオンすると4個が各20mAで点灯し、S3もオンすると6個が各20mAで点灯し、S4もオンすると8個が各20mAで点灯する。
この回路例で使用しているLM2595ADJの場合、白色LED1個を電流制限抵抗と共に接続した状態で、出力が設定値4.1Vに達するのに必要な入力電圧は、実測から4.9V程度となるようなので、本回路例では、それに合わせて電力検出・制御機能部2cのLEDの組み合わせを設定している。ちなみに、S1がオンしはじめる電圧は、電力検出・制御機能部2c内の、S1につながる部分のR表示LEDのVF電圧約1.8Vが3個分と、S1であるトランジスタのベース・エミッタ電圧VBE約0.6Vを加えて、6V位となる。
また、本回路例は、主要なスイッチング電圧変換要素4d内のLM2595ADJの推奨入力電圧の最大値が40Vと高いので、直列型電圧リミッタは使用していない。図11では分岐型電圧リミッタを用いて過電圧保護を行なう形としたが、状況によっては不要な場合も考えられる。分岐型電圧リミッタは、例えば、図16に示すような回路を応用できる。
図12は、コンデンサを用いた昇圧定電圧出力型の回路例で、主要なスイッチング電圧変換要素4eの中心を成すのはリニアテクノロジ社のLTC3200−5で、それを2個使っている。このICの出力電圧は5Vである。本回路例は、発光要素5dの各LEDの電流を20mAとしている。その切り替え状態は前述した図11の回路の場合と同様である。
LTC3200−5の動作開始電圧は、前述の図10のLT1372と同じ2.7Vだが、電力検出・制御機能部2dのLEDの組み合わせを、図10の時より検出電圧が高くなるように設定している。その理由は後述する。
本回路例も、主要なスイッチング電圧変換要素4eとダイナモ出力を整流・平滑した電源との間に、直列型電圧リミッタを設けている。該電圧リミッタの出力電圧は、スイッチング電圧変換要素4e内のLTC3200−5の推奨印加電圧の最大値である4.5V以下にする必要があるが、本タイプのICは、推奨の範囲内であっても印加電圧が上がると効率が悪化する傾向があるので、出力電流を確保でき、かつ効率がある程度良い電圧値、例えば本回路例では3.5V程度に設定するのが望ましい。直列型電圧リミッタは、例えば図14に示すような回路を、設定電圧を変更して応用できる。
そして、直列型電圧リミッタを用いている前述した図1と図2の2つの実施例とは違って、本回路例は、図12に示すように、電力検出・制御機能部2dが検出する電圧として、ダイナモの出力を整流・平滑した電源の電圧を用いている。理由は、前述したように、直列型電圧リミッタの出力電圧が3.5V程度という低い値になりLTC3200−5の動作開始電圧である2.7Vとの差が少ないので、これまでの回路のように、直列型電圧リミッタの出力電圧を用いるのが現実的ではないからである。
このように、直列型電圧リミッタを用いながらもダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧を検出する場合は、直列型電圧リミッタの電圧降下分を加味して、その分だけ、この図12の場合でいえば電力検出・制御機能部2dが検出する電圧を高くする必要がある。そうしないと、この例でいえば、スイッチング電圧変換要素4eのLTC3200−5の動作開始と、スイッチ機能部3dのスイッチ素子S1オンの関係が崩れる危険が生じる。
さて、これまで何回か言及した直列型電圧リミッタとしては、例えば図13から図15のような回路を用いることができる。図13は、直列型電圧リミッタとして、降圧定電圧出力型のスイッチング電圧変換要素だけを用いた例で、比較的回路は簡単である。しかし、低速時、すなわち入力電圧が低い時の電圧ロスが幾分大きい。この回路例で使用しているLM2595ADJの場合、入力電圧が出力の設定電圧より低い状態の挙動を実測すると、無負荷でも、30オームの負荷抵抗を接続した状態でも、ほぼ同じ3V弱の電圧ロスを見込む必要があるという結果となった。なお、本来の降圧状態となる入力電圧が設定出力電圧より高い場合のLM2595ADJに必要な電圧降下分は1V程度であり、ロスは比較的少ない。
図14は、図1や図2の実施例の実験に用いた直列型電圧リミッタの回路である。降圧定電圧出力型のスイッチング電圧変換要素と、リニア型定電圧レギュレータを組み合わせたものである。この回路は低速時、すなわち入力電圧が低い時は、リニア型定電圧レギュレータの出力を利用し、速度が上がって該スイッチング電圧変換要素が設定した電圧を出力するようになると、そちらを利用する。リニア型定電圧レギュレータを用いることで図13の回路に見られるような低速時の電圧ロスを減らしている。
この回路では、降圧定電圧出力型のスイッチング電圧変換要素の出力と、リニア型定電圧レギュレータの出力とをダイオードを通して結んでいるが、ここで留意すべき点は、リニア型定電圧レギュレータの最大出力電圧、すなわち、入力電圧が高くて無負荷状態である時の出力電圧よりも、該スイッチング電圧変換要素の出力電圧を若干高く設定することである。そうすることにより、該スイッチング電圧変換要素の出力が設定電圧に達したなら、リニア型定電圧レギュレータの出力からは電力を消費しないようにすることができ、こうして、リニア型定電圧レギュレータによる高速走行時の電力ロスを防ぐことができる。なお、両出力を結ぶダイオードとして、順方向電圧が小さいショットキーバリアダイオードを用いるなら、その部分の電圧ロスを減らすのに有利である。
図15は、回路は複雑になるが、電磁式リレーを用いて低速時の電圧ロスをなくした回路例である。低速時には該リレーのノーマリークローズ接点を通してVDCを直接出力しているので、低速走行時の発光要素の点灯には極めて有利となる。入力電圧が上昇し、リレー切替コンパレータの出力がオン(Lになる。)してリレーが作動すると、降圧定電圧出力型のスイッチング電圧変換要素の出力側に切り替わる。該コンパレータの出力がオンする前に、該スイッチング電圧変換要素の出力電圧が立ち上がっているように設定することが必要である。以上が、直列型電圧リミッタの説明である。
そして、図16が分岐型電圧リミッタの回路例である。図16の回路においては、Q1のダーリントントランジスタがオンするベース・エミッタ電圧を1.2Vとすると、抵抗R2の端子電圧が、その1.2Vに達するのは、該抵抗が560オーム場合には、電流が2.1mAの時となる。それで、Q1がオンしはじめる印加電圧VDCは、前記電流2.1mAによって生じるR1とR2の電圧降下分と、ZD1のツェナー電圧とを加算した値になる。図16の回路の定数では約24Vとなる。
分岐型電圧リミッタは、それが動作を開始する電圧になるまでは、直列型電圧リミッタに見られるような電圧ロスが生じない。しかしこの回路が動作すると、ダイナモから見た負荷が急に大きくなるので、通常の走行状態ではこの回路が動作しないように設定することが望ましく、保護回路的なものとするのが通常の使用方法となる。
なお、図13から図15の直列型リミッタ回路は、使用状況によっては、図16のような分岐型電圧リミッタを保護回路として使用することが必要になる場合も考えられる。特にLED負荷が軽いなどの理由で、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧が、例えば図13から図15で使用しているLM2595ADJに相当する降圧型ICや図15におけるコンパレータICなどの許容電圧を超える恐れがある場合には、分岐型電圧リミッタによる保護回路が必要になる。
以上が、電力検出の一つの方法として、電圧の検出をLEDで行なう方法の実施例や回路例、およびそれに付随する回路などの説明である。
さらに、電圧を検出する素子としては、例えば、専用コンパレータICやオペアンプなどでコンパレータを構成する、コンパレータ要素を用いることもできる。
また、コンパレータ要素として、ロジックICを使うことができる。ロジックICを使う場合の基本的事項を述べれば、そのスレッシホールドレベルがコンパレータの基準電圧に相当する。そして、例えば、検出する電圧を抵抗で分圧して該ICの入力に加えることができ、この場合の電圧設定は、その分圧比で行なうことになる。そして、必要に応じて、入力を保護するためにLEDなどで電圧をリミットさせたり、ダイオードで該ICの電源にバイパスさせるなどの措置を講じることもできる。
さて、電圧検出に、前記コンパレータ要素を用いる場合は、該コンパレータ要素などのために電源を供給する必要がある。その電源は、主要なスイッチング電圧変換要素が定電圧出力型であれば、それを利用することもできるし、別のスイッチング電圧変換要素を専用に設ける方法もある。また、1次・2次電池を具備する方法もある。
コンパレータ要素を用いた電圧検出の回路例を図17に示す。本回路例は、電力検出・制御機能部2eの電圧検出をコンパレータICで行ない、スイッチ機能部3e内のスイッチ素子であるS1からS4にフォトカプラを用いた回路例となっている。また、本回路例では、別のスイッチング電圧変換要素6をコンパレータなどのための専用電源として設ける形をとっていて、該スイッチング電圧変換要素6が立ち上がり、コンパレータなどが安定する時間をおいてから、主要なスイッチング電圧変換要素4fが動きはじめるように、主要なスイッチング電圧変換要素4fへの電源供給を制御する機能を有する電源供給遅延回路7を具備している。
このように電圧検出素子として、コンパレータ要素を用いる場合、回路が若干複雑になり、また、その電源のための工夫が必要になるという欠点があるが、電圧設定の自由度が高く、また、スイッチ機能部のスイッチ素子の選択肢が広いという利点がある。そのスイッチ素子名について述べれば、限定する意図はないが、例えばMOS−FETやバイポーラトランジスタ、フォトカプラ、さらにLEDとフォトMOS−FETを内臟している半導体フォトリレー、電磁式リレー、アナログスイッチ、オープンコレクタやオープンドレインの各種ロジックICなどをあげることができる。また、オープンコレクタ出力のコンパレータや、オープンコレクタもしくはオープンドレインのロジックICをコンパレータとして用いるのであれば、回路構成によっては、その出力をスイッチ素子として使用できる場合もある。
次は、マイコンを使った負荷コントロール要素の構成について簡単に説明する。マイコンを利用すれば、これまで述べてきた電圧を検出する方法の他にも、電圧と電流を検出して電力を算出したり、ダイナモ交流周波数やタイヤ回転スピードなどを測定して、それらを制御に適した形に変換したりすることを、比較的簡単に行なうことができる。
マイコンを使う場合、例えば、マイコンの出力を、あらかじめスイッチ機能部の特定のスイッチ素子に割り当てておき、演算結果に応じて、マイコンの出力を制御するように、プログラムしておくことができる。
使用できるスイッチ素子としては、マイコンの電源電圧や、マイコンの出力端子が扱える電流値などにより変わってくるが、先のコンパレータなどを用いた電圧検出例のときに述べた素子を使用できる。また、回路構成によっては、マイコンの出力を、スイッチ機能部のスイッチ素子として、負荷量の切り替えに直接使用することも可能になる。
次は、マイコンの入力と、その信号の内部処理演算の説明に移る。電力を検出する場合には、電圧と電流を測定して、マイコンで乗算して電力値を計算することができる。その電圧としては、例えば、ダイナモの出力を整流・平滑した電源の電圧を測定することができる。この場合、該電圧は、一般のマイコンのA/Dコンバータの入力電圧範囲を超える高い電圧となるのが普通なので、電圧が該入力電圧範囲に収まるように、例えば抵抗で分圧を行ない、さらに必要に応じてLEDなどで電圧をリミットさせるなどの保護措置を講じながら、マイコンのA/Dコンバータに被測定電圧を入力することができる。なお、必要に応じてA/Dコンバータに入力する前に、オペアンプなどによるバッファーを入れることもできる。また、電流は、例えば、電流検出抵抗を電流経路に入れて、該抵抗の端子電圧をマイコンのA/Dコンバータで測定することができる。その場合該抵抗をGND側に入れるなら、GND基準で電圧を測定できるので、回路構成上有利になることが多い。そして、必要に応じて片電源用オペアンプなどで該電圧を必要倍率に増幅してから、マイコンのA/Dコンバータに入力することもできる。
電圧だけを検出する場合は、ダイナモ出力を整流・平滑した電源の電圧や、直列型電圧リミッタの後の電圧を、前述した電圧と電流から電力を検出する方法の、電圧部分と同様の方法で測定することができる。
次は、ダイナモ交流周波数を検出する方法を説明する。この場合は、例えば、該交流波形を、必要に応じてトランスなどを通して取り込んで、コンパレータなどで波形整形してパルスに変換した後に、マイコンに入力することができる。マイコンはそのパルスの、例えば、立ち上がりエッジの周期を測定する。なお、周期は発電電力と反比例の関係になるので、必要であれば割り算計算によって、周期を周波数などに変換するなら、発電電力と比例関係になる。
次に、タイヤの回転スピードを検出する方法に移る。例えば磁石とリードリレーの組み合わせによる回転センサなどからの入力信号を、必要に応じてインターフェイス回路で受けた後にマイコンに入力する。マイコンはその信号の、例えば、立ち上がりエッジの周期を測定する。なお、ダイナモ交流周波数の場合と同様、タイヤ回転パルスの周期も発電電力と反比例の関係になるので、必要であれば割り算計算によって、周期を回転数などに変換するなら、発電電力と比例関係になる。
負荷コントロール要素にマイコンを利用した場合の本発明のランプの構成例を、図18のブロック図に示す。図中の信号8は、電力を検出するのであれば電圧信号と電流検出抵抗の端子電圧の信号となり、電圧を検出するのであれば電圧信号であり、ダイナモ交流周波数を検出するのであればダイナモ交流信号であり、タイヤ回転スピードを検出するのであればタイヤ回転パルス信号となる。また図中のインターフェイス9は、デジタル的な信号処理の他にも、アナログ的に信号を取り込んで整合処理をする部分も含んでいる。マイコンを中心とする電力検出・制御機能部2fは、前記信号を取り込んで演算処理し、その値に応じてマイコンの出力を制御し、マイコンの出力に接続されたスイッチ機能部3fのスイッチ素子のオン・オフを通して、発光要素5eの有効LED個数やLED電流を切り替える。なお、図中の他の部分については後述する。
マイコン内部の、負荷コントロール動作に関する基本的な制御例を、図19のフローチャートに示す。演算処理後のデーターが、発電電力と比例関係にあるとした場合のチャートである。図中の分岐処理10は、例えばリセット処理のように、負荷コントロールのループから抜けて行なう処理のことを示している。また、一定時間待ち処理11は、信号を取り込んで演算処理を行ないスイッチ素子を制御するという一連の処理を、どの程度の頻度で行なうかをタイマーで設定する例として入れている。また、信号取り込み処理12は、信号の計測を行なう部分で、ここは例えば、1回の計測だけではなく、必要に応じて何回か連続して信号を計測してその平均を算出するなどの方法を講じることができる。その後は、図に示すように、演算処理によって、例えば電力を計算したり、また、例えば測定結果を発電電力と比例する値に変換したりし、その演算処理で得られた値によって、4つのスイッチ素子S1からS4を制御する。
さて、ダイナモ出力を整流・平滑した電源は、走行状態によって頻繁に電圧が低下したり、切れたりするので、マイコンの電源としては使いにくい面がある。それで、限定する意図はないが、マイコンの電源としては、1次又は2次電池が用いやすい。
一方、電池の消耗があった場合の安全性を考慮すると、マイコンが動作しなくなることによってランプが点灯しなくなる事態が考えられるので、電池の消耗は夜間走行の安全性に直結する。それで、前述のコンパレータICなどを使用した電圧検出で電池を電源とする場合にも言えることだが、できるだけ電池寿命を長くすることのほかに、例えば、電池の消耗を事前に警告するなどの慎重な配慮をすることが望ましい。
また、2次電池を用いるのであれば、ダイナモの比較的わずかな電力を用いて、該2次電池を充電することもできる。前述した図18中の充電回路部13は、その一例を示すもので、常時充電しても2次電池に悪影響を与えない範囲内で、定電流ダイオードCRDによって充電電流を設定し、普段の走行中に充電する形をとっている。こうして充電することは、走行中であれば常にダイナモが回転しているバブダイナモが有利だが、ブロックダイナモでも、ランプ点灯中に充電することは可能である。
さらに、図示しないが、太陽電池などを用いて充電する方法と併用することもできる。このようして、2次電池を充電することで、電池の消耗によるマイコンの動作停止という状態に陥る危険性を大幅に減らすことが可能になる。この方法は、コンパレータICなどで電池を電源する場合にも応用できる。
さて、図20から図22に、他の負荷切替例を示す。図20と図21は大電流対応LEDを使った場合の負荷切替例である。図20は、主要なスイッチング電圧変換要素4hが定電圧出力型の例で、大電流対応LEDである発光要素5fに対して、スイッチ機能部3gの全てのスイッチ素子はLED電流を切り替える形で作用する。図21は、主要なスイッチング電圧変換要素4iが定電流出力型の例で、スイッチ機能部3hのスイッチ素子S1とS2は、発光要素5gのLED電流を切り替える形で作用し、S3とS4はLED有効個数を切り替える形で作用する。
そして図22は、主要なスイッチング電圧変換要素4jが定電流出力型で、発光要素5hのLEDが2列の場合の負荷切替例を示す回路図である。図中のスイッチ機能部3iのS1はLED電流を切り替え、S2からS4は有効LED数量を切り替えるように作用する。
前述した負荷コントロール要素や主要なスイッチング電圧変換要素、その他の部分の一部や全部を、集積回路化することもできる。
さて、実際に自転車での使用に際しては、本発明のLEDランプのオン・オフが必要になる。タイヤの横に押し付けるブロックダイナモでは、従来通り、人がこれを操作することで、それが可能になる。また、ハブダイナモの場合、簡単な方法は、ハンドルなどに人が操作するオン・オフスイッチを設けることである。
また、ハブダイナモにおいては、周りの明るさを検出して、暗くなったらランプを自動点灯させる方式も広く知られている。本発明のLEDランプの負荷コントロール要素にマイコンを利用しているなら、例えば硫化カドミウム光導電体CDSなどの光センサーの情報を該マイコンに入力して、本発明のランプを、明るいときにはオフ、薄暗くなったらオンさせるように、該マイコンで制御させることができる。その例を、前にも言及した図18に示す。この例ではCDS光センサー14をインターフェイス9で受けて、そこでアナログ処理やコンパレータ処理などを行なった後に、マイコンに入力している。そして、該マイコンの出力につながっているランプ制御スイッチ素子15は、該マイコンの指令によって、半導体フォトリレーPH1を制御し、本発明のLEDランプ回路の電源となるダイナモ出力を整流・平滑した電源をオン・オフさせる。こうして、マイコンは、周囲の明るさによって本発明のLEDランプをオン・オフさせるように作用する。
さらに、マイコンを利用している場合は、ある程度のスピードで走行している状態で周囲が暗くなり、急にランプがオンすることによる走行上のショックを軽減するために、負荷コントロール要素のスイッチ素子を用いることができる。例えば、次のような制御を行なうことができる。光センサーが「明るい」から「暗い」に変化した後の最初のランプ点灯では、たとえマイコン内の電力検出・制御機能部が最大のLED負荷をドライブ可能な状態であると検出していても、一挙に最大のLEDドライブを行なうのではなく、該マイコンは、負荷コントロール要素のスイッチ素子を、ある時間を置きながらゆっくりと、前述の電力検出・制御機能部が指示するところまでオンさせていくことによって、負荷量を徐々に増やしていくようにする。そのことを、光センサーが「明るい」から「暗い」に変化した後に一回だけ行ない、あとは通常の負荷コントロールに戻る。このような方法をとることによって、走行中にランプがオンしても、そのショックを軽減でき、より快適な走行を楽しむことができる。
さて、マイコンを利用しない場合は、例えば、図30のような明るさ検出回路を具備することができる。図30の回路は、電源としてダイナモ出力を整流・平滑したものを使っている。ランプ制御スイッチ素子15はトランジスタである。該スイッチ素子15によって、半導体フォトリレーPH1を制御し、ダイナモ出力を整流・平滑した電源をオン・オフさせることにより、本発明のLEDランプをオン・オフさせる。G1からG3はC−MOSのナンドゲートで、G1、G2を含むシュミットトリガ部16に、ヒステリシス特性を持たせて、チャタリングを防止している。CDS光センサー14は、暗くなると抵抗値が上がり、その結果G1のスレッシホールドレベルを超えてG1の出力はLとなり、G3の出力はHとなってランプ制御スイッチ素子15がオンし、PH1もオンする。R1、ZD1、C1部は電源電圧リミッタであり、その目的は、G1からG3の許容電源電圧値を超えないようにすることである。こうした方法によって、ハブダイナモにおける本発明のランプの自動点灯を実現することができる。
上記した実施の形態において示した具体的な方法や回路は、いずれも本発明の実施を行うに際しての具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。