JP4512351B2 - 消化器系ステント - Google Patents
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しかし、従来より使用されているステントでは、ステントの周壁を超えてがん細胞が成長(浸潤)して、管腔が再度狭窄または閉塞してしまう場合があった。
本発明の消化器系ステントにおいては、前記フィルムが、樹脂の有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに前記キャストした有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させることにより得られるフィルム又はその延伸フィルムであることが好ましい。
本発明の消化器系ステントは、胆管ステントであるのが好ましい。
本発明に用いるフィルムは樹脂からなり、多孔構造が形成されたフィルムである。
本発明に用いるフィルムの多孔構造は、平均孔径が0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μmであり、孔径の変動係数〔=標準偏差÷平均値×100(%)〕が30%以下、好ましくは20%以下である貫通孔よりなる。
また、前記多孔構造の各孔の開口形状に特に限定はなく、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、六角形状等のいかなる形状であってもよい。
これらの中でも、共役ジエン系高分子、スチレン系高分子又はポリウレタンの使用が特に好ましい。
このような両親媒性物質を添加することで、水滴の融合が抑えられ安定化するので、孔径の均一性がさらに向上した多孔構造を有するフィルムを得ることができる。両親媒性物質を添加する量は、樹脂:両親媒性物質の重量比で、99:1〜50:50であることが好ましい。
高湿度空気を吹き付けるときの雰囲気の温度は、キャストに用いた溶媒が蒸発することができる温度であればよく、5〜80℃の温度であることが望ましい。
本発明に用いるステント基材は、フィルムを被覆することでステントとして用いることができる基材であるが、単体であってもステントとして用いることができるものであってもよい。
本発明の消化器系ステントは、ステント基材に前述のフィルム(以下、「被覆フィルム」ともいう。)を被覆してなることを特徴とする。本発明のステントでは、ステント基材の少なくとも一部に前述のフィルムが被覆されていればよく、また、ステント基材の周壁の外周面、内周面のいずれか一方をフィルムで被覆したものであってもよいし、両方を被覆したものであってもよい。
1,2−ポリブタジエン(商品名:RB820、JSR社製)と、前記化1で示される繰り返し単位を有するCap樹脂(重量平均分子量:62,000、数平均分子量21,000)を、10:1の重量比でクロロホルムに溶解した溶液(樹脂濃度:0.27重量%)6mlを、直径10cmのガラスシャーレ上に一様に展開した。次いで、23.0℃、相対湿度40%の雰囲気下で、相対湿度70%の高湿度空気を2L/minの流量で、1分間ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることにより、膜厚3〜4μmフィルムAを得た。
製造例2では24.0℃、製造例3では25.0℃の雰囲気下で行ったこと以外は、製造例1と同様にして、貫通孔よりなるハニカム様構造の多孔構造を有するフィルムB及びCを得た。得られたフィルムB、Cの膜厚及び多孔構造を構成する貫通孔の平均孔径、孔径の変動係数を第1表に示す。
樹脂として、1,2−ポリブタジエンに代えて、ポリウレタン(商品名:ミラクトランE385、日本ミラクトラン社製)を使用する以外は、それぞれ製造例1〜3と同様にして、フィルムD、E、Fを得た。得られたフィルムD〜Fを、光学顕微鏡で観察すると、ハニカム様構造の多孔構造が形成されていることが確認された。フィルムD〜Fの膜厚及び多孔構造を構成する貫通孔の平均孔径、孔径の変動係数を第1表に示す。
製造例1で使用した1,2−ポリブタジエン/Cap樹脂のクロロホルム溶液、及び製造例4で使用したポリウレタン/Cap樹脂のクロロホルム溶液を、それぞれ直径10cmのガラスシャーレ上に6mlずつ展開した。23.0℃、相対湿度40%の雰囲気下で、高湿度空気を吹き付けることなく放置して、クロロホルムを蒸発させることにより、比較例1、2のフィルムG、Hをそれぞれ得た。比較製造例1、2のフィルムG、Hを光学顕微鏡で観察すると、平膜構造(多孔構造ではない)を有していた。比較製造例1、2のフィルムG、Hの膜厚を第1表に示す。
製造例1で使用した1,2−ポリブタジエン/Cap樹脂のクロロホルム溶液を、23.0℃の雰囲気下で、相対湿度70%の高湿度空気を2L/minの流量で、1分間ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることを、28.0℃の雰囲気下で、相対湿度70%の高湿度空気を5L/minの流量で、1分間ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることに変更する以外は、製造例1と同様にして比較製造例3のフィルムIを得た。フィルムIの巻く厚及び多孔構造を構成する貫通孔の平均孔径、孔径の変動係数を第1表に示す。
製造例4〜6で用いたポリウレタン樹脂とCap樹脂とを10:1の重量比でクロロホルムに溶解した溶液(樹脂濃度:0.27重量%)6mlを、直径10cmのガラスシャーレ上に一様に展開したことに代えて、ポリウレタン樹脂とCap樹脂とを10:1の重量比でクロロホルムに溶解した溶液(樹脂濃度:0.27重量%)10mlを、直径10cmのガラスシャーレ上に一様に展開したこと以外は、製造例4と同様にして比較製造例4のフィルムJを得た。
フィルムJの膜厚及び多孔構造を構成する貫通孔の平均孔径、孔径の変動係数を第1表に示す。
1)試験液の調製
(1)消化酵素試験液
粉末状のトリプシンを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加え、25g/LのトリプシンPBS溶液を調製して、トリプシンの試験液とした。同様に、粉末状のリパーゼを用いて、25g/LのリパーゼPBS溶液を調製して、リパーゼの試験液とした。
ヒト胆嚢がん細胞株NOZ(Cell number:JCRB1033、ヒューマンサイエンス振興財団研究資源バンクより購入)を、10%FBS(ウシ胎仔血清、ジェイアールエイチ社より購入)および2mML−グルタミン酸ナトリウム(アイシーエヌ社より購入)を含むwilliam’s E培地(アイシーエヌ社より購入)中、37℃、5%CO2で培養し、得られたNOZをPBSに加え、1×106[個/ml]の濃度でNOZを含む細胞懸濁液を調製して、NOZの試験液とした。
製造例1〜6及び製造比較例1〜4で作製した、フィルムA〜Jのそれぞれを、直径10mmのフィルターホルダー内にセットして、上部から上記各試験液を0.5[ml/min]の速度で滴下した。滴下開始より10分後からフィルムを透過した液を回収し、それぞれ10mlの透過液を得た。但し、フィルムG、Hでは、全ての試験液がフィルムを透過しなかったため、透過液は得られなかった。
液中の消化酵素量の測定は、紫外可視分光光度計(JASCO製、V−530)を用いて、次のようにして行った。
まず、フィルムを透過させる前のトリプシン、リパーゼの試験液(濃度:25g/L)を、それぞれPBSで100倍に希釈して0.25g/Lの濃度とし、これを換算濃度0.01Coと定めた。同様に、0.009Co、0.007Co、0.005Co、0.004Coの換算濃度を有する、トリプシン、リパーゼの溶液を調製し、これらの吸収強度(トリプシン:278nm、リパーゼ:274nm)を測定して、換算濃度−吸収強度の検量線を作成した。なお、0.01Coの濃度では、トリプシン溶液の吸収強度は0.23Absであり、リパーゼ溶液の吸収強度は0.14Absであった。
フィルムA〜FおよびI、Jを透過したNOZ試験液の透過液、OCUG−1試験液の透過液について、血球計算盤を用いて細胞濃度を計測した。その結果を第3表に示す。
Claims (4)
- ステント基材に、平均孔径が0.1〜20μmで、孔径の変動係数が30%以下である貫通孔により多孔構造が形成されている、非生体分解性樹脂からなるフィルムを被覆してなることを特徴とする消化器系ステント。
- 前記フィルムの多孔構造が、ハニカム様構造であることを特徴とする請求項1に記載の消化器系ステント。
- 前記フィルムが、樹脂の有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに前記キャストした有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させることにより得られるフィルム又はその延伸フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の消化器系ステント。
- 胆管ステントである請求項1〜3のいずれかに記載の消化器系ステント。
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