JP2004024616A - 再狭窄の少ないステント - Google Patents
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Abstract
【課題】再閉塞のおそれの少ない血管内留置タイプのステントを提供すること。
【解決手段】少なくともステント内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンが形成されている。このような立体マイクロパターン化表面を有するステントを使用することで、血管形成術後にステント内面に血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が有意に促進され、結果として血管形成術を施した動脈血管の再閉塞の発生確率を有意に低減させることが可能となる。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともステント内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンが形成されている。このような立体マイクロパターン化表面を有するステントを使用することで、血管形成術後にステント内面に血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が有意に促進され、結果として血管形成術を施した動脈血管の再閉塞の発生確率を有意に低減させることが可能となる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、損傷、狭窄、閉塞した血管などの拡張、治療を目的に処置されるステントに関する。より詳しくは、本発明は留置部位で再狭窄、再閉塞をひき起こすおそれの少ないステントに関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
心筋梗塞の主要因である心臓冠動脈閉塞症などの治療法として、血管形成術法が注目され、その処方例が多数報告されている。この方法は、主にバルーン拡張による血管流路の確保やレーザー切除による血管形成術によるものであり、多くの良好な治療成績が示されている。その一方で、処置後の血管の再狭窄、再閉塞が40〜50%の高率で発生することが報告されており、本術法の大きな問題点として指摘されている。再狭窄、再閉塞を来たす原因は、血管形成術による閉塞動脈の開口の際に生じた物理的損傷が引き金となり、細胞の異常増殖、管壁の局所的肥厚が生起することであると推定されている。再狭窄などに対して、薬剤の投与、再度のバルーンカテーテル挿入と拡張、またはレーザー処置などが試みられているが、いずれも根本的な解決策を提示しているとは言い難く、また患者に大きな苦痛、負担を強いるものであった。
【0003】
再狭窄は、上記のように血管形成術法による血管の物理的な損傷に対する生体反応により引き起こされるか、あるいは動脈壁固有の収縮に基づくものである。再狭窄、再閉塞という物理的な問題に対して、血管内部に留置型のステントを使用することにより解決しようとする試みが数多く報告されている。このようなステントは切開部分を補綴するとともに血管の収縮を防止して、動脈閉塞症患者の再狭窄の発生率を有意に減少させようとするものである。
【0004】
血管用ステントは、金属材料または高分子材料からなる管状の小部材医療器具である。これを用いた代表的な閉塞血管の処置例を以下、例示する。血管内腔に挿入したバルーンカテーテルを経由して血管閉塞部内に血管用ステントを留置する。次いで、バルーンを膨張させることにより非可逆的に該カテーテルもしくは該ステントの径を拡大させるか、あるいは動脈血管内に留置後、磁気誘導方式加熱などの何らかの方法によりステントを自己拡張させて血管の開通性を確保する。このようにして良好な血流を長期にわたり維持しようとするものである。
【0005】
ステントを使用する上記の方法は、近年処置例も多くなり良好な治療成績を残している。しかし依然として再閉塞などの問題については完全に解決されたとは言い難く、20〜30%の割合で再狭窄、再閉塞が発生すると言われる。一旦血管内腔に挿入されたステント部位で再狭窄、再閉塞が発生すると、その処置は初回に比べ格段に困難なこととなる。すなわち再閉塞の事態を招いたステントはヒト動脈血管からの除去が実質的に不可能であり、このためステントを処置した患者の再閉塞は極めて重篤な症状を来たし、最終的にはバイパス手術などの従来の外科的処置をとる必要に迫られていた。
【0006】
これまでも冠状動脈閉塞症の治療を始めとして、動脈血管閉塞症の治療を目的にステントの材料、形状、術法に種々の発明、考案がなされている。しかしながら、従来からの術法、材料にあっては上記再狭窄、再閉塞のリスクを避けて通ることができず、この深刻なトラブルこそステントを使用する血管形成術の適用の隘路となっている。よって、再狭窄、再閉塞のおそれの少ないステントが医療現場から強く要望されていた。
【0007】
ところで血栓、血管組織による再狭窄、再閉塞は、一面では血管内壁の損傷に対する生体反応の一部をなすものであり、血管形成による治癒過程の所産ともいえる。このような治癒過程には、挿入物に対する異物反応の一種である血栓の形成、血管内皮細胞や平滑筋細胞の遊走、定着、増殖、内膜の肥厚が含まれ、これら各種の生体応答が動脈血管の再閉塞を促す要因となる。
【0008】
血管壁細胞の生理作用とその特異性を利用して再狭窄問題に対処するため、内皮細胞とともにステントを挿入する手法が提案されている。増殖したヒト内皮細胞を、ステント上へ播種培養し内皮細胞で被覆されたステントを作製して、血管損傷部位に挿入し、再閉塞の発生防止に一定の成果を挙げているとされる。しかしながら、この方法は内皮細胞の増殖、ステントへの播種、被覆には高度の技術を必要とする上、内皮細胞のライフの問題、無菌的な扱いなど実施にも制約が多く、かつコスト的にも問題があり、必ずしも実用的とは言い難い。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑み、上記問題点を鋭意検討することにより完成されたものである。血管内皮細胞を好適に接着、増殖させる基質としてコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの生体由来物質をコートした基材が知られている。また近年リソグラフィーによるパターン化材料が種々細胞の接着、増殖、分化挙動を有意に制御しうる材料として興味を惹いている。本発明者らはマイクロパターン化技術をステントの表面処理に適用することで、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が迅速に行われ、ステント挿入後、動脈血管の疾患部位での再閉塞の発生が有意に抑制されることを見出し、これをもとに本発明を完成した。
【0010】
【発明の目的】
本発明はステント挿入後の血管(または管状臓器)の再狭窄、再閉塞の発生率が低いステントを提供することを目的とする。また管状臓器に留置されたステントに起因して発生する再狭窄などを防止する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、少なくとも内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンが形成されてなることを特徴とするステントである。
本発明に係るステントの前記立体マイクロパターンは、ステント内壁表面の凹凸により形成されることを特徴としている。
【0012】
あるいは前記立体マイクロパターンが、内壁表面上に塗布または結合された細胞接着性物質より形成されることを特徴とする。
前記立体マイクロパターンは、ハニカム状、格子状、水玉状、正方形状、長方形状、六角形状、三角形状、線状のうちのいずれかの微小な形状が繰り返し連続して形成されていることを特徴とする。
【0013】
厚さが0.05〜100μmである立体マイクロパターン化フィルムを該表面に固着させてなるステントが好ましい。
前記ステントの好適な態様として血管用ステントがある。
【0014】
【発明の具体的説明】
本発明は、少なくとも内壁表面に、一定の繰り返しピッチの立体マイクロパターンが形成されてなることを特徴とするステントである。このような一定の繰り返しピッチをなす立体マイクロパターンがステント表面に形成されていると、その表面への血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が促進され、結果としてステント装着に伴う再狭窄、閉塞が抑制される。本発明は、従来のステントの表面状態を、マイクロパターン化技術を適用することにより、細胞親和性機能を発揮するように改質し、再閉塞を有効に抑制することを可能としたものである。
【0015】
なお、本明細書において「立体マイクロパターン」とは、多数の微小な立体的構造が一定の形状に配置された群による多数の繰り返しにより構成されるパターンをいう。
以下、本発明をステント、その表面形状、本発明のステントの機能の順に詳細に説明する。
<ステント>
本発明に係るステントの構造については、以下に述べる表面加工処理を施すことを除けば、事実上いかなる設計のステントでもよい。このことは、各種ステントの特徴および機能を保持しつつ、さらに本発明により上記の再狭窄、再閉塞の発生を未然に防止できることを意味する。
【0016】
ステントは血管内に挿入の前後で形状の変化しないもの、あるいはバルーン拡張型、自己拡張型、およびその組み合わせであってもよい。PTCA(経皮的冠状動脈形成術)カテーテルに付帯させ挿入するステントやバルーンカテーテルの膨張により血管患部に留置するステントの例が、米国特許第4,733,665号(Palmaz)、米国特許第4,886,062号(Wiktor)などに開示されているが、本発明はこれら先行技術によるステントにも適用が可能である。
【0017】
本発明に係るステントは、そのデザインを行いうる物理的な性状を有している材料であれば、いかなる材料も好適に使用しうる。材料的にはステンレス、チタンなどの金属材料、PET、ポリエチレンなどの高分子材料、ポリ乳酸などの生分解性の高分子材料などが一般に挙げられる。
より詳述すれば以下の材料を例示しうる。
【0018】
具体的には、金属材料としては従来から使用されているステンレス、タンタル、チタン、タングステン、白金およびこれらの合金などを例示できる。
金属以外の素材を使用する場合、後述するように本発明の目的に合うような微細な凹凸の形状を繰り返しパターンとして表面に設けることが可能なものが好ましい。かかる要求に適う高分子材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステルなどを例示できる。
【0019】
生分解性高分子として、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸およびそれらの共重合体などのポリヒドロキシエステル系、ポリカプロラクトンなどのポリアミド系を例示しうる。生体由来物質としてコラーゲン、アガロース、ゼラチン、キチン、キトサンなどが好ましい。
ステントを構成する材料に関して、上記のように金属材料、高分子材料あるいは生分解性の高分子材料のいずれであってもよいが、好ましくは米国特許第4,733,665号(Palmaz)、米国特許第4,886,062号(Wiktor)に記載のステントも使用することができる。
【0020】
ステントの形状としては、固体成形物として筒状、ジャバラ状、屈曲箇所を有する構造、メッシュ状、ワイヤー状、また繊維状の材料にあっては織物状、不織布状であってもよく、基本的には血管内留置後の強度、血管壁に対する物理的損傷性に関し問題の生じないものであれば種々の形状のものが使用できる。
ステントは留置に際しカテーテルの先端に挿入した形で血管患部に挿入、搬送、留置される。血管内搬送時の物理的損傷を最小限にとどめる必要から、留置時にバルーン拡張するか、自己拡張するタイプのステントが好適に使用される。また、自己拡張とバルーン拡張の組み合わせによって行ってもよい。
<ステント表面の形状>
血管内膜の最内層を覆う内皮細胞は、血管内壁の損傷に対する治癒過程のみならず、いわゆる血管新生にも関わり、いずれも、損傷部位へのタンパク質、マクロファージなどの生体成分の移行、遊走、定着が生起し、次いで平滑筋細胞、内皮細胞の遊走、定着、増殖が起こる過程をとる。このような内皮細胞の挙動に注目すれば再狭窄、再閉塞の主因である、ステントに対する生体の異物認識能からの回避には、ステント表面に血管内皮細胞を処置後の比較的早い段階で遊走、定着、増殖させることが重要である。この迅速なステント表面の内皮化を促す目的のためには、内皮細胞の接着部位が立体マイクロパターン化された表面であることが極めて重要であることを本発明者らは見出した。したがって、血管内皮細胞が定着するステント部位の材料は、細胞に対する毒性、定着阻害性、増殖阻害性を示さなければ、いかなる材料も使用可能である。
【0021】
本発明の研究において、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖にとり、立体マイクロパターン化表面の形状、空隙率が重要な要因であることが判明した。立体マイクロパターン化形状は、微小なパターンが繰り返し連続して形成されていることが重要である。その形状は、ハニカム状、格子状、水玉状、正方形状、長方形状、六角形状、三角形状、線状などをとることができる。そのパターンの繰り返しピッチは、0.02〜20μm(マイクロメートル)、好ましくは0.05〜10μmである。ピッチが0.02μmより細い場合は立体マイクロパターン化されていないバルク材料との差異が実質的になくなり、本発明の効果が認められない。また20μmより大きい場合は、細胞のサイズと同等以上の立体マイクロパターンとなり、細胞の定着のためには好ましい結果を与えない。
【0022】
マイクロパターン化表面は、上記のピッチ、空隙率などの条件を満たすものであれば、必ずしも表面微細加工処理によって形成されるものに限らず、たとえばステント表面がそのようなパターンを固有に備えている材質のもので構成されていてもよい。一例を挙げるならば、織布または不織布の布帛などによる立体マイクロパターン化表面である。
【0023】
また、表面の加工処理のコストなどを考慮すれば、マイクロパターン化表面全体として通常は同じ形状の繰り返しのものが好適である。しかし、一定のピッチで連続する同一形状のパターンでなくてもよく、複数の形状の組み合わせの繰り返しパターンであってもよい。このようなマイクロパターン化形状の選択は、血管内に装着した後に起きる内皮化の効率または再閉塞抑止の実効性と加工処理のコストとを考量するのが適切と思われる。
【0024】
立体マイクロパターン化フィルムの厚みは、0.05〜100μm、好ましくは0.1〜20μmであり、0.05μmより薄い場合は内皮細胞がパターンの認識をしないため効果がなく、また100μmより厚い場合は凹部が不必要に深く、非経済的である。
立体マイクロパターン化された表面を有するステントを製造するに際し、立体マイクロパターンをステント表面に直接形成させてもよい。かわりに別途立体マイクロパターン化フィルムを作製し、その後ステント表面に固着させる方法も好適に使用しうる。この立体マイクロパターン化フィルムは、特に材料が金属材料の場合、ステント表面との接着性を良好にするため種々の高分子材料を使用することができる。
【0025】
接着性改良のために使用する高分子材料を例示すれば、
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、それらの共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチラート、ポリフォスフォエステル、フィブリン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリビニルクロライド、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)、スチレンイソプレンブロックコポリマー(SIS)、SBS、SISの水素添加物、ナイロン66、ポリイミドなどを挙げることができる。立体マイクロパターン化フィルムと金属材料などとの接着性を実質的に有するものであればいずれの材料であっても本発明のステントに好適に使用しうる。
【0026】
これら接着用高分子材料は、高分子材料溶液にステント本体を浸漬後、溶媒を除去するか、ポリマー溶液をステントにスプレーした後に溶媒を除去する方法、あるいは立体マイクロパターン化フィルムの片面にポリマー溶液を塗布ないしスプレー後に溶媒を除去し、ステント上に接着、固着する方法を取ることができる。
【0027】
ステントの立体マイクロパターン化処理による表面機能化は、ステントの内面、外面にいずれにも施しうる。もっとも血液接触面であるステント内面での立体マイクロパターン処理だけで、抗血栓性の付与、動脈血管の再閉塞の低減に関し充分な性能が得られる場合が多い。
ステント本体表面上の立体マイクロパターン化、および立体マイクロパターン化フィルムの作製には、種々の表面微細加工技術を応用することができ、とくに限定されない。たとえば、立体マイクロパターン化表面を、ステント表面の凹凸により形成する場合にはフォトリソグラフィーまたはキャスト溶液の自己組織化の技術が使用できる。あるいは細胞接着性物質を表面に塗布または結合することによる立体マイクロパターン化表面は、マイクロコンタクトプリンティング法で作製可能である。
フォトリソグラフィー法
基体上に光反応性高分子を塗布し、目的とした立体マイクロパターンを有するフォトマスクを使用して露光する。次いで未露光部を洗浄除去し、立体マイクロパターン化した光反応性高分子のフィルムを得る。光反応性高分子の側鎖活性基に常法に従い、細胞接着性高分子あるいは因子である、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなどを固定し、立体マイクロパターン化フィルムを得る。
【0028】
金属製ステント表面に立体マイクロパターンを形成する方法として、たとえばメッキ膜を利用する方法が考えられる。一例としてステント原材料となるステンレス製ステント内周面に、蒸着またはスパッタリング法により30〜100μm程度のニッケル−チタン膜などの膜を成膜する。つぎにそうしたニッケル−チタン膜の表面に、感光架橋型レジストをコーティングした後、あらかじめ作成したマイクロパターン原版をフォトマスクとして用い、縮小投影露光装置により感光を行なって、原版のマイクロパターンをレジストに転写する。その後通常の方法によりレジストの未架橋部分を溶出させてレジスト上に上記マイクロパターンを作成し、エッチングによりニッケル−チタン膜などの不要な金属部分を除去する。
【0029】
なお、ニッケル−チタン膜のエッチングを行うことなく、スパッタリング法により所定のマイクロパターンのニッケル−チタン膜をステンレス表面に形成してもよい。
自己組織化によるマイクロパターニング法
両親媒性高分子、ポリイオンコンプレックス(ポリスチレンスルホン酸/カチオン性脂質など)、ポリスチレン、ポリ乳酸、PMMAなどの高分子溶液をガラス基板ないし高分子フィルム上にキャストし、飽和水蒸気雰囲気下、溶媒を徐々に蒸発させる。これによりハニカム構造を有する立体マイクロパターン化された自己組織化膜を得る。この膜を基板から剥離しステント本体内面に固定し、立体マイクロパターン化ステントを得た。また、立体マイクロパターン化膜は要求に応じて、一軸、二軸延伸することにより、そのパターン形状、サイズを任意に調節することが可能である。
【0030】
立体マイクロパターンを表面に施した本発明のステントの別の態様として、前記立体マイクロパターンが、ステント表面上に塗布または結合された細胞接着性物質により形成されてもよい。細胞接着物質として、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなどが例示される。
細胞接着物質をステント表面に塗布または結合させて立体マイクロパターン化表面を形成する場合、次のマイクロコンタクトプリンティングが使用できる。
マイクロコンタクトプリンティング法( Whitesides の方法)
フォトレジストマスクをシリコンウェーファー上にコートし、露光後得られる立体マイクロパターンのマスター上でポリジメチルシロキサンエラストマーのスタンプを作製する。次いでこのスタンプにアルカンチオールインキを乗せ、あらかじめ金ないし銀で表面処理したステント、あるいは高分子フィルム上にスタンプして単分子膜をパターン状に形成する。インキとしては、他にアルキルトリクロロシラン、アルキルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤も使用可能である。インキのアルキル末端にタンパク質との親和性の高いオリゴエチレンイオキシドや細胞接着性のオリゴペプチドなどを結合しておくことで、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖を有意に促進することができる。
【0031】
あるいは上記のように当該細胞接着性物質をコートした立体マイクロパターン化フィルムを別途作製し、その後ステント表面に固着させる方法も使用できる。このようにステント表面上に塗布または結合された細胞接着性物質により形成された立体マイクロパターンであっても、その繰り返しピッチ、繰り返しの連続パターン形状などは上記のとおりである。
その他の表面微細加工処理技術
先に述べた機能性表面の形成技術は、本発明のステントを製造するための好適なステント表面加工方法として例示されたものである。本発明の趣旨と効果を損なわない限り、その他の技術も使用することができる。たとえば、エキシマ・レーザーにより材料表面を一定の形状にサブミクロンレベルで削掘する方法、表面化学反応と組み合わせたレーザーアブレーション技術、削孔や積層化による立体微細加工技術などが挙げられる。
<本発明のステントの機能>
本発明による方法は、管状臓器に留置されたステントに起因して発生する血管などの再狭窄、再閉塞を有効に防止する方法である。これは少なくともステントの内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンを形成することにより可能となる。
【0032】
上記立体マイクロパターン化処理を施した表面を有するステントを使用することで、血管形成術後にステント内面に血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が有意に促進される。その結果、血管形成術を施した動脈血管などに留置されたステントに起因する再狭窄、再閉塞の発生確率を有意に低減させることが可能となる。
本発明のステントによる上記作用機作をさらに詳細に説明する。
【0033】
血管内皮細胞は、血管内壁の最内層を被覆する役割だけでなく、抗血栓、修復などの血管・血流の恒常性維持、血管新生、各種因子および調節物質の産生分泌など多様な機能を発揮することが明らかにされている。このような内皮細胞の増殖・遊走なしには血管新生も再生も起きえない。さらに各種の動脈硬化性疾患は、血管内皮細胞の機能障害に端を発すると言われている。本発明者は、本発明の研究中において、このような増殖・遊走する血管内皮細胞が、立体マイクロパターン化された物体表面のパターンを認識し、定着、増殖する傾向があることに着目した。ステント表面に立体的な連続微細パターンを施したところ内皮細胞のステントへの定着が促されることを見出した。この現象は内皮細胞が流れの方向に配向しやすいという習性と関連があるかも知れないが、今のところ想像の域をでない。
【0034】
上記立体マイクロパターン化されたステント表面に定着した内皮細胞は、増殖してステント内面を単層で被覆する。そうした内皮化が起これば、いわば血管内壁と擬似的な状態がステント内面に迅速に形成されることとなる。そうなれば該ステントは生体の異物認識作用の対象となりにくく、免疫・異物排除機能が作動しなくなると考えられる。すなわち、炎症反応につながる単球、マクロファージのステント留置部位への遊走も惹起されにくい。
【0035】
上記のように急速な内皮化が留置ステントの内面に起きると、血管内に留置されたステントによる機械的刺激、擦傷がもとで血管壁の細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞)が異常増殖する事態は回避される。結果的に、再狭窄の原因となる炎症や過剰肥厚なども生じにくくなる。よって血管形成術を施した動脈血管の再狭窄、再閉塞の発生確率を有意に低減させ得る。
【0036】
本発明による立体マイクロパターン化ステントは、心臓の冠動脈閉塞症以外にも、ヒト各部位、たとえば腎動脈などの動脈血管閉塞症の血管形成術にも有効に使用することができる。
立体マイクロパターン化表面を有する本発明のステントは、血管などの再狭窄、閉塞を有効に防止できるステントである。本発明のステントの適用について、これまで血管での障害を中心に説明してきたが、他の管状臓器に適用することが排除されるものではない。本発明のステントにおける上記作用機作を想起すれば、このようなステントは、脈管(血管、リンパ管、胆管、尿管、気管など)の再狭窄、再閉塞の防止を目的とするあらゆる局面に適用される可能性を有する。このことは、本発明のステントがその表面形状の上述した特徴を有する限り、どのような構造、形態、材質、サイズあるいは態様のステントを問わないことから自明であろう。本発明の様々な適用、応用は当業者にとり容易なことである。
【0037】
具体的には、機械的刺激に応答する細胞による検知・反応あるいは損傷部修復に関わる細胞の遊走、定着、増殖が関与する場合に対しても同様に拡張して適用し得る。たとえば、すべての内皮細胞、内皮前駆細胞のほか、遊走性細胞の定着を促進する場合、さらに血管内だけでなく、管状臓器などである。
本発明のステントは、少なくとも内壁表面に、一定の繰り返しピッチの立体マイクロパターンが形成されてなるため、必要であればそのマイクロパターン化をその内壁のみにとどめてもよい。再狭窄、再閉塞を防止する目的には、実質的にステント内壁の迅速な内皮化が鍵となるためである。その際、内腔壁に接触状態に維持されるステント外壁に他の機能を付与することにより内壁とは別の機能性表面とすることもできる。たとえば、外壁面については特開平8−224297号公報、または特開平8−33718号公報に提案されたような薬物送出用の高分子フィルムを巻いたり、ポリマーをコーティングすることも可能である。薬物として、再狭窄を防止する抗増殖薬剤、抗血栓症薬剤、または擦傷治療薬剤を使用すれば、内膜肥厚、血栓形成を抑止する本発明の効果は、一層確実なものとなるであろう。
【0038】
組織親和性のステント外壁面とするためには、バルーン付きカテーテルの挿入、ステントの装着を円滑に行い、擦過性の傷を生じないように親水性潤滑高分子材料からなるコーティング膜、または生体適合性をさらに増すためのコーティング膜を被覆してもよい。あるいは造影性に優れるX線不透過性素材を使用してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明による立体マイクロパターン化表面を有するステントは、血管などに処置した場合、留置部位での血管などの再狭窄、再閉塞を有効に抑制することができる。
【0040】
【実施例】
以下の実施例は本発明の典型事例であって、しかも本発明をより具体的に説明することのみを意図するものであり、本発明の範囲が実施例に限定されることがないことを確認する。
【0041】
【実施例1】
ポリカプロラクトン(分子量130,000)の塩化メチレン溶液(1.0g/L)と両親媒性高分子(ポリアクリルアミドのN−カルボキシアルキル/アルキル変性物)のトルエン溶液(0.7g/L)を1:2の割合で混合し、ガラス基板上にキャストした。このガラス基板を室温、湿度85%の条件下で静置し、溶媒を徐々に蒸発除去させることでハニカム構造を有する構造体を得た。この立体マイクロパターン化フィルムはガラス基板上からそのパターン形状を保持したまま剥離することが可能であった。
【0042】
レーザーによりメッシュ形状に成形されたバルーン拡張型ステンレス製ステントを、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体(分子量4,000)の塩化メチレン溶液(10g/L)に浸漬し、ドラフト内で風干して該共重合体でステント表面をコートした。表面コートしたこのステントの内面に上記の立体マイクロパターン化フィルムを圧着し、次いで65℃に加温後、冷却することにより立体マイクロパターン化フィルムを内面に接着させた。
【0043】
上記の製法で得たバルーン拡張型の立体マイクロパターン化ステンレス製ステントを、実験動物の動脈血管にバルーンカテーテルを用いて留置した。これに対して、マイクロパターンを表面に形成していない点を除き、全く同型であるステントを留置した群を対照群とした。本実施例のステントの場合、血管内壁の炎症、過剰肥厚は認められず、対照群と比較して有意に血管の再狭窄、再閉塞を抑制した。
【発明の技術分野】
本発明は、損傷、狭窄、閉塞した血管などの拡張、治療を目的に処置されるステントに関する。より詳しくは、本発明は留置部位で再狭窄、再閉塞をひき起こすおそれの少ないステントに関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
心筋梗塞の主要因である心臓冠動脈閉塞症などの治療法として、血管形成術法が注目され、その処方例が多数報告されている。この方法は、主にバルーン拡張による血管流路の確保やレーザー切除による血管形成術によるものであり、多くの良好な治療成績が示されている。その一方で、処置後の血管の再狭窄、再閉塞が40〜50%の高率で発生することが報告されており、本術法の大きな問題点として指摘されている。再狭窄、再閉塞を来たす原因は、血管形成術による閉塞動脈の開口の際に生じた物理的損傷が引き金となり、細胞の異常増殖、管壁の局所的肥厚が生起することであると推定されている。再狭窄などに対して、薬剤の投与、再度のバルーンカテーテル挿入と拡張、またはレーザー処置などが試みられているが、いずれも根本的な解決策を提示しているとは言い難く、また患者に大きな苦痛、負担を強いるものであった。
【0003】
再狭窄は、上記のように血管形成術法による血管の物理的な損傷に対する生体反応により引き起こされるか、あるいは動脈壁固有の収縮に基づくものである。再狭窄、再閉塞という物理的な問題に対して、血管内部に留置型のステントを使用することにより解決しようとする試みが数多く報告されている。このようなステントは切開部分を補綴するとともに血管の収縮を防止して、動脈閉塞症患者の再狭窄の発生率を有意に減少させようとするものである。
【0004】
血管用ステントは、金属材料または高分子材料からなる管状の小部材医療器具である。これを用いた代表的な閉塞血管の処置例を以下、例示する。血管内腔に挿入したバルーンカテーテルを経由して血管閉塞部内に血管用ステントを留置する。次いで、バルーンを膨張させることにより非可逆的に該カテーテルもしくは該ステントの径を拡大させるか、あるいは動脈血管内に留置後、磁気誘導方式加熱などの何らかの方法によりステントを自己拡張させて血管の開通性を確保する。このようにして良好な血流を長期にわたり維持しようとするものである。
【0005】
ステントを使用する上記の方法は、近年処置例も多くなり良好な治療成績を残している。しかし依然として再閉塞などの問題については完全に解決されたとは言い難く、20〜30%の割合で再狭窄、再閉塞が発生すると言われる。一旦血管内腔に挿入されたステント部位で再狭窄、再閉塞が発生すると、その処置は初回に比べ格段に困難なこととなる。すなわち再閉塞の事態を招いたステントはヒト動脈血管からの除去が実質的に不可能であり、このためステントを処置した患者の再閉塞は極めて重篤な症状を来たし、最終的にはバイパス手術などの従来の外科的処置をとる必要に迫られていた。
【0006】
これまでも冠状動脈閉塞症の治療を始めとして、動脈血管閉塞症の治療を目的にステントの材料、形状、術法に種々の発明、考案がなされている。しかしながら、従来からの術法、材料にあっては上記再狭窄、再閉塞のリスクを避けて通ることができず、この深刻なトラブルこそステントを使用する血管形成術の適用の隘路となっている。よって、再狭窄、再閉塞のおそれの少ないステントが医療現場から強く要望されていた。
【0007】
ところで血栓、血管組織による再狭窄、再閉塞は、一面では血管内壁の損傷に対する生体反応の一部をなすものであり、血管形成による治癒過程の所産ともいえる。このような治癒過程には、挿入物に対する異物反応の一種である血栓の形成、血管内皮細胞や平滑筋細胞の遊走、定着、増殖、内膜の肥厚が含まれ、これら各種の生体応答が動脈血管の再閉塞を促す要因となる。
【0008】
血管壁細胞の生理作用とその特異性を利用して再狭窄問題に対処するため、内皮細胞とともにステントを挿入する手法が提案されている。増殖したヒト内皮細胞を、ステント上へ播種培養し内皮細胞で被覆されたステントを作製して、血管損傷部位に挿入し、再閉塞の発生防止に一定の成果を挙げているとされる。しかしながら、この方法は内皮細胞の増殖、ステントへの播種、被覆には高度の技術を必要とする上、内皮細胞のライフの問題、無菌的な扱いなど実施にも制約が多く、かつコスト的にも問題があり、必ずしも実用的とは言い難い。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑み、上記問題点を鋭意検討することにより完成されたものである。血管内皮細胞を好適に接着、増殖させる基質としてコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの生体由来物質をコートした基材が知られている。また近年リソグラフィーによるパターン化材料が種々細胞の接着、増殖、分化挙動を有意に制御しうる材料として興味を惹いている。本発明者らはマイクロパターン化技術をステントの表面処理に適用することで、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が迅速に行われ、ステント挿入後、動脈血管の疾患部位での再閉塞の発生が有意に抑制されることを見出し、これをもとに本発明を完成した。
【0010】
【発明の目的】
本発明はステント挿入後の血管(または管状臓器)の再狭窄、再閉塞の発生率が低いステントを提供することを目的とする。また管状臓器に留置されたステントに起因して発生する再狭窄などを防止する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、少なくとも内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンが形成されてなることを特徴とするステントである。
本発明に係るステントの前記立体マイクロパターンは、ステント内壁表面の凹凸により形成されることを特徴としている。
【0012】
あるいは前記立体マイクロパターンが、内壁表面上に塗布または結合された細胞接着性物質より形成されることを特徴とする。
前記立体マイクロパターンは、ハニカム状、格子状、水玉状、正方形状、長方形状、六角形状、三角形状、線状のうちのいずれかの微小な形状が繰り返し連続して形成されていることを特徴とする。
【0013】
厚さが0.05〜100μmである立体マイクロパターン化フィルムを該表面に固着させてなるステントが好ましい。
前記ステントの好適な態様として血管用ステントがある。
【0014】
【発明の具体的説明】
本発明は、少なくとも内壁表面に、一定の繰り返しピッチの立体マイクロパターンが形成されてなることを特徴とするステントである。このような一定の繰り返しピッチをなす立体マイクロパターンがステント表面に形成されていると、その表面への血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が促進され、結果としてステント装着に伴う再狭窄、閉塞が抑制される。本発明は、従来のステントの表面状態を、マイクロパターン化技術を適用することにより、細胞親和性機能を発揮するように改質し、再閉塞を有効に抑制することを可能としたものである。
【0015】
なお、本明細書において「立体マイクロパターン」とは、多数の微小な立体的構造が一定の形状に配置された群による多数の繰り返しにより構成されるパターンをいう。
以下、本発明をステント、その表面形状、本発明のステントの機能の順に詳細に説明する。
<ステント>
本発明に係るステントの構造については、以下に述べる表面加工処理を施すことを除けば、事実上いかなる設計のステントでもよい。このことは、各種ステントの特徴および機能を保持しつつ、さらに本発明により上記の再狭窄、再閉塞の発生を未然に防止できることを意味する。
【0016】
ステントは血管内に挿入の前後で形状の変化しないもの、あるいはバルーン拡張型、自己拡張型、およびその組み合わせであってもよい。PTCA(経皮的冠状動脈形成術)カテーテルに付帯させ挿入するステントやバルーンカテーテルの膨張により血管患部に留置するステントの例が、米国特許第4,733,665号(Palmaz)、米国特許第4,886,062号(Wiktor)などに開示されているが、本発明はこれら先行技術によるステントにも適用が可能である。
【0017】
本発明に係るステントは、そのデザインを行いうる物理的な性状を有している材料であれば、いかなる材料も好適に使用しうる。材料的にはステンレス、チタンなどの金属材料、PET、ポリエチレンなどの高分子材料、ポリ乳酸などの生分解性の高分子材料などが一般に挙げられる。
より詳述すれば以下の材料を例示しうる。
【0018】
具体的には、金属材料としては従来から使用されているステンレス、タンタル、チタン、タングステン、白金およびこれらの合金などを例示できる。
金属以外の素材を使用する場合、後述するように本発明の目的に合うような微細な凹凸の形状を繰り返しパターンとして表面に設けることが可能なものが好ましい。かかる要求に適う高分子材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステルなどを例示できる。
【0019】
生分解性高分子として、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸およびそれらの共重合体などのポリヒドロキシエステル系、ポリカプロラクトンなどのポリアミド系を例示しうる。生体由来物質としてコラーゲン、アガロース、ゼラチン、キチン、キトサンなどが好ましい。
ステントを構成する材料に関して、上記のように金属材料、高分子材料あるいは生分解性の高分子材料のいずれであってもよいが、好ましくは米国特許第4,733,665号(Palmaz)、米国特許第4,886,062号(Wiktor)に記載のステントも使用することができる。
【0020】
ステントの形状としては、固体成形物として筒状、ジャバラ状、屈曲箇所を有する構造、メッシュ状、ワイヤー状、また繊維状の材料にあっては織物状、不織布状であってもよく、基本的には血管内留置後の強度、血管壁に対する物理的損傷性に関し問題の生じないものであれば種々の形状のものが使用できる。
ステントは留置に際しカテーテルの先端に挿入した形で血管患部に挿入、搬送、留置される。血管内搬送時の物理的損傷を最小限にとどめる必要から、留置時にバルーン拡張するか、自己拡張するタイプのステントが好適に使用される。また、自己拡張とバルーン拡張の組み合わせによって行ってもよい。
<ステント表面の形状>
血管内膜の最内層を覆う内皮細胞は、血管内壁の損傷に対する治癒過程のみならず、いわゆる血管新生にも関わり、いずれも、損傷部位へのタンパク質、マクロファージなどの生体成分の移行、遊走、定着が生起し、次いで平滑筋細胞、内皮細胞の遊走、定着、増殖が起こる過程をとる。このような内皮細胞の挙動に注目すれば再狭窄、再閉塞の主因である、ステントに対する生体の異物認識能からの回避には、ステント表面に血管内皮細胞を処置後の比較的早い段階で遊走、定着、増殖させることが重要である。この迅速なステント表面の内皮化を促す目的のためには、内皮細胞の接着部位が立体マイクロパターン化された表面であることが極めて重要であることを本発明者らは見出した。したがって、血管内皮細胞が定着するステント部位の材料は、細胞に対する毒性、定着阻害性、増殖阻害性を示さなければ、いかなる材料も使用可能である。
【0021】
本発明の研究において、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖にとり、立体マイクロパターン化表面の形状、空隙率が重要な要因であることが判明した。立体マイクロパターン化形状は、微小なパターンが繰り返し連続して形成されていることが重要である。その形状は、ハニカム状、格子状、水玉状、正方形状、長方形状、六角形状、三角形状、線状などをとることができる。そのパターンの繰り返しピッチは、0.02〜20μm(マイクロメートル)、好ましくは0.05〜10μmである。ピッチが0.02μmより細い場合は立体マイクロパターン化されていないバルク材料との差異が実質的になくなり、本発明の効果が認められない。また20μmより大きい場合は、細胞のサイズと同等以上の立体マイクロパターンとなり、細胞の定着のためには好ましい結果を与えない。
【0022】
マイクロパターン化表面は、上記のピッチ、空隙率などの条件を満たすものであれば、必ずしも表面微細加工処理によって形成されるものに限らず、たとえばステント表面がそのようなパターンを固有に備えている材質のもので構成されていてもよい。一例を挙げるならば、織布または不織布の布帛などによる立体マイクロパターン化表面である。
【0023】
また、表面の加工処理のコストなどを考慮すれば、マイクロパターン化表面全体として通常は同じ形状の繰り返しのものが好適である。しかし、一定のピッチで連続する同一形状のパターンでなくてもよく、複数の形状の組み合わせの繰り返しパターンであってもよい。このようなマイクロパターン化形状の選択は、血管内に装着した後に起きる内皮化の効率または再閉塞抑止の実効性と加工処理のコストとを考量するのが適切と思われる。
【0024】
立体マイクロパターン化フィルムの厚みは、0.05〜100μm、好ましくは0.1〜20μmであり、0.05μmより薄い場合は内皮細胞がパターンの認識をしないため効果がなく、また100μmより厚い場合は凹部が不必要に深く、非経済的である。
立体マイクロパターン化された表面を有するステントを製造するに際し、立体マイクロパターンをステント表面に直接形成させてもよい。かわりに別途立体マイクロパターン化フィルムを作製し、その後ステント表面に固着させる方法も好適に使用しうる。この立体マイクロパターン化フィルムは、特に材料が金属材料の場合、ステント表面との接着性を良好にするため種々の高分子材料を使用することができる。
【0025】
接着性改良のために使用する高分子材料を例示すれば、
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、それらの共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチラート、ポリフォスフォエステル、フィブリン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリビニルクロライド、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBS)、スチレンイソプレンブロックコポリマー(SIS)、SBS、SISの水素添加物、ナイロン66、ポリイミドなどを挙げることができる。立体マイクロパターン化フィルムと金属材料などとの接着性を実質的に有するものであればいずれの材料であっても本発明のステントに好適に使用しうる。
【0026】
これら接着用高分子材料は、高分子材料溶液にステント本体を浸漬後、溶媒を除去するか、ポリマー溶液をステントにスプレーした後に溶媒を除去する方法、あるいは立体マイクロパターン化フィルムの片面にポリマー溶液を塗布ないしスプレー後に溶媒を除去し、ステント上に接着、固着する方法を取ることができる。
【0027】
ステントの立体マイクロパターン化処理による表面機能化は、ステントの内面、外面にいずれにも施しうる。もっとも血液接触面であるステント内面での立体マイクロパターン処理だけで、抗血栓性の付与、動脈血管の再閉塞の低減に関し充分な性能が得られる場合が多い。
ステント本体表面上の立体マイクロパターン化、および立体マイクロパターン化フィルムの作製には、種々の表面微細加工技術を応用することができ、とくに限定されない。たとえば、立体マイクロパターン化表面を、ステント表面の凹凸により形成する場合にはフォトリソグラフィーまたはキャスト溶液の自己組織化の技術が使用できる。あるいは細胞接着性物質を表面に塗布または結合することによる立体マイクロパターン化表面は、マイクロコンタクトプリンティング法で作製可能である。
フォトリソグラフィー法
基体上に光反応性高分子を塗布し、目的とした立体マイクロパターンを有するフォトマスクを使用して露光する。次いで未露光部を洗浄除去し、立体マイクロパターン化した光反応性高分子のフィルムを得る。光反応性高分子の側鎖活性基に常法に従い、細胞接着性高分子あるいは因子である、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなどを固定し、立体マイクロパターン化フィルムを得る。
【0028】
金属製ステント表面に立体マイクロパターンを形成する方法として、たとえばメッキ膜を利用する方法が考えられる。一例としてステント原材料となるステンレス製ステント内周面に、蒸着またはスパッタリング法により30〜100μm程度のニッケル−チタン膜などの膜を成膜する。つぎにそうしたニッケル−チタン膜の表面に、感光架橋型レジストをコーティングした後、あらかじめ作成したマイクロパターン原版をフォトマスクとして用い、縮小投影露光装置により感光を行なって、原版のマイクロパターンをレジストに転写する。その後通常の方法によりレジストの未架橋部分を溶出させてレジスト上に上記マイクロパターンを作成し、エッチングによりニッケル−チタン膜などの不要な金属部分を除去する。
【0029】
なお、ニッケル−チタン膜のエッチングを行うことなく、スパッタリング法により所定のマイクロパターンのニッケル−チタン膜をステンレス表面に形成してもよい。
自己組織化によるマイクロパターニング法
両親媒性高分子、ポリイオンコンプレックス(ポリスチレンスルホン酸/カチオン性脂質など)、ポリスチレン、ポリ乳酸、PMMAなどの高分子溶液をガラス基板ないし高分子フィルム上にキャストし、飽和水蒸気雰囲気下、溶媒を徐々に蒸発させる。これによりハニカム構造を有する立体マイクロパターン化された自己組織化膜を得る。この膜を基板から剥離しステント本体内面に固定し、立体マイクロパターン化ステントを得た。また、立体マイクロパターン化膜は要求に応じて、一軸、二軸延伸することにより、そのパターン形状、サイズを任意に調節することが可能である。
【0030】
立体マイクロパターンを表面に施した本発明のステントの別の態様として、前記立体マイクロパターンが、ステント表面上に塗布または結合された細胞接着性物質により形成されてもよい。細胞接着物質として、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなどが例示される。
細胞接着物質をステント表面に塗布または結合させて立体マイクロパターン化表面を形成する場合、次のマイクロコンタクトプリンティングが使用できる。
マイクロコンタクトプリンティング法( Whitesides の方法)
フォトレジストマスクをシリコンウェーファー上にコートし、露光後得られる立体マイクロパターンのマスター上でポリジメチルシロキサンエラストマーのスタンプを作製する。次いでこのスタンプにアルカンチオールインキを乗せ、あらかじめ金ないし銀で表面処理したステント、あるいは高分子フィルム上にスタンプして単分子膜をパターン状に形成する。インキとしては、他にアルキルトリクロロシラン、アルキルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤も使用可能である。インキのアルキル末端にタンパク質との親和性の高いオリゴエチレンイオキシドや細胞接着性のオリゴペプチドなどを結合しておくことで、血管内皮細胞の遊走、定着、増殖を有意に促進することができる。
【0031】
あるいは上記のように当該細胞接着性物質をコートした立体マイクロパターン化フィルムを別途作製し、その後ステント表面に固着させる方法も使用できる。このようにステント表面上に塗布または結合された細胞接着性物質により形成された立体マイクロパターンであっても、その繰り返しピッチ、繰り返しの連続パターン形状などは上記のとおりである。
その他の表面微細加工処理技術
先に述べた機能性表面の形成技術は、本発明のステントを製造するための好適なステント表面加工方法として例示されたものである。本発明の趣旨と効果を損なわない限り、その他の技術も使用することができる。たとえば、エキシマ・レーザーにより材料表面を一定の形状にサブミクロンレベルで削掘する方法、表面化学反応と組み合わせたレーザーアブレーション技術、削孔や積層化による立体微細加工技術などが挙げられる。
<本発明のステントの機能>
本発明による方法は、管状臓器に留置されたステントに起因して発生する血管などの再狭窄、再閉塞を有効に防止する方法である。これは少なくともステントの内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンを形成することにより可能となる。
【0032】
上記立体マイクロパターン化処理を施した表面を有するステントを使用することで、血管形成術後にステント内面に血管内皮細胞の遊走、定着、増殖が有意に促進される。その結果、血管形成術を施した動脈血管などに留置されたステントに起因する再狭窄、再閉塞の発生確率を有意に低減させることが可能となる。
本発明のステントによる上記作用機作をさらに詳細に説明する。
【0033】
血管内皮細胞は、血管内壁の最内層を被覆する役割だけでなく、抗血栓、修復などの血管・血流の恒常性維持、血管新生、各種因子および調節物質の産生分泌など多様な機能を発揮することが明らかにされている。このような内皮細胞の増殖・遊走なしには血管新生も再生も起きえない。さらに各種の動脈硬化性疾患は、血管内皮細胞の機能障害に端を発すると言われている。本発明者は、本発明の研究中において、このような増殖・遊走する血管内皮細胞が、立体マイクロパターン化された物体表面のパターンを認識し、定着、増殖する傾向があることに着目した。ステント表面に立体的な連続微細パターンを施したところ内皮細胞のステントへの定着が促されることを見出した。この現象は内皮細胞が流れの方向に配向しやすいという習性と関連があるかも知れないが、今のところ想像の域をでない。
【0034】
上記立体マイクロパターン化されたステント表面に定着した内皮細胞は、増殖してステント内面を単層で被覆する。そうした内皮化が起これば、いわば血管内壁と擬似的な状態がステント内面に迅速に形成されることとなる。そうなれば該ステントは生体の異物認識作用の対象となりにくく、免疫・異物排除機能が作動しなくなると考えられる。すなわち、炎症反応につながる単球、マクロファージのステント留置部位への遊走も惹起されにくい。
【0035】
上記のように急速な内皮化が留置ステントの内面に起きると、血管内に留置されたステントによる機械的刺激、擦傷がもとで血管壁の細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞)が異常増殖する事態は回避される。結果的に、再狭窄の原因となる炎症や過剰肥厚なども生じにくくなる。よって血管形成術を施した動脈血管の再狭窄、再閉塞の発生確率を有意に低減させ得る。
【0036】
本発明による立体マイクロパターン化ステントは、心臓の冠動脈閉塞症以外にも、ヒト各部位、たとえば腎動脈などの動脈血管閉塞症の血管形成術にも有効に使用することができる。
立体マイクロパターン化表面を有する本発明のステントは、血管などの再狭窄、閉塞を有効に防止できるステントである。本発明のステントの適用について、これまで血管での障害を中心に説明してきたが、他の管状臓器に適用することが排除されるものではない。本発明のステントにおける上記作用機作を想起すれば、このようなステントは、脈管(血管、リンパ管、胆管、尿管、気管など)の再狭窄、再閉塞の防止を目的とするあらゆる局面に適用される可能性を有する。このことは、本発明のステントがその表面形状の上述した特徴を有する限り、どのような構造、形態、材質、サイズあるいは態様のステントを問わないことから自明であろう。本発明の様々な適用、応用は当業者にとり容易なことである。
【0037】
具体的には、機械的刺激に応答する細胞による検知・反応あるいは損傷部修復に関わる細胞の遊走、定着、増殖が関与する場合に対しても同様に拡張して適用し得る。たとえば、すべての内皮細胞、内皮前駆細胞のほか、遊走性細胞の定着を促進する場合、さらに血管内だけでなく、管状臓器などである。
本発明のステントは、少なくとも内壁表面に、一定の繰り返しピッチの立体マイクロパターンが形成されてなるため、必要であればそのマイクロパターン化をその内壁のみにとどめてもよい。再狭窄、再閉塞を防止する目的には、実質的にステント内壁の迅速な内皮化が鍵となるためである。その際、内腔壁に接触状態に維持されるステント外壁に他の機能を付与することにより内壁とは別の機能性表面とすることもできる。たとえば、外壁面については特開平8−224297号公報、または特開平8−33718号公報に提案されたような薬物送出用の高分子フィルムを巻いたり、ポリマーをコーティングすることも可能である。薬物として、再狭窄を防止する抗増殖薬剤、抗血栓症薬剤、または擦傷治療薬剤を使用すれば、内膜肥厚、血栓形成を抑止する本発明の効果は、一層確実なものとなるであろう。
【0038】
組織親和性のステント外壁面とするためには、バルーン付きカテーテルの挿入、ステントの装着を円滑に行い、擦過性の傷を生じないように親水性潤滑高分子材料からなるコーティング膜、または生体適合性をさらに増すためのコーティング膜を被覆してもよい。あるいは造影性に優れるX線不透過性素材を使用してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明による立体マイクロパターン化表面を有するステントは、血管などに処置した場合、留置部位での血管などの再狭窄、再閉塞を有効に抑制することができる。
【0040】
【実施例】
以下の実施例は本発明の典型事例であって、しかも本発明をより具体的に説明することのみを意図するものであり、本発明の範囲が実施例に限定されることがないことを確認する。
【0041】
【実施例1】
ポリカプロラクトン(分子量130,000)の塩化メチレン溶液(1.0g/L)と両親媒性高分子(ポリアクリルアミドのN−カルボキシアルキル/アルキル変性物)のトルエン溶液(0.7g/L)を1:2の割合で混合し、ガラス基板上にキャストした。このガラス基板を室温、湿度85%の条件下で静置し、溶媒を徐々に蒸発除去させることでハニカム構造を有する構造体を得た。この立体マイクロパターン化フィルムはガラス基板上からそのパターン形状を保持したまま剥離することが可能であった。
【0042】
レーザーによりメッシュ形状に成形されたバルーン拡張型ステンレス製ステントを、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体(分子量4,000)の塩化メチレン溶液(10g/L)に浸漬し、ドラフト内で風干して該共重合体でステント表面をコートした。表面コートしたこのステントの内面に上記の立体マイクロパターン化フィルムを圧着し、次いで65℃に加温後、冷却することにより立体マイクロパターン化フィルムを内面に接着させた。
【0043】
上記の製法で得たバルーン拡張型の立体マイクロパターン化ステンレス製ステントを、実験動物の動脈血管にバルーンカテーテルを用いて留置した。これに対して、マイクロパターンを表面に形成していない点を除き、全く同型であるステントを留置した群を対照群とした。本実施例のステントの場合、血管内壁の炎症、過剰肥厚は認められず、対照群と比較して有意に血管の再狭窄、再閉塞を抑制した。
Claims (3)
- 少なくとも内壁表面に、繰り返しピッチ0.02〜20μmの立体マイクロパターンが形成されていることを特徴とするステント。
- 前記立体マイクロパターンが、ステント内壁表面の凹凸により形成されることを特徴とする請求項1記載のステント。
- 前記立体マイクロパターンが、ステント内壁表面上に塗布または結合された細胞接着性物質より形成されることを特徴とする請求項1記載のステント。
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