JP2002320629A - 体内埋め込み医療材料および体内埋め込み医療器具 - Google Patents

体内埋め込み医療材料および体内埋め込み医療器具

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JP2002320629A JP2001128663A JP2001128663A JP2002320629A JP 2002320629 A JP2002320629 A JP 2002320629A JP 2001128663 A JP2001128663 A JP 2001128663A JP 2001128663 A JP2001128663 A JP 2001128663A JP 2002320629 A JP2002320629 A JP 2002320629A
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裕晶 名倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血管等の傷害部位に直接適用することが可能で
あり、なおかつ平滑筋細胞の増殖を確実に抑制し、血管
等の再狭窄を防止することができる体内埋め込み医療材
料、およびそれを用いた体内埋め込み医療器具を提供す
る。 【解決手段】オールトランスレチノイン酸を含有する生
体適合性材料もしくは生分解性材料で構成されているこ
とを特徴とする体内埋め込み医療材料、および、前記体
内埋め込み医療材料と、前記体内埋め込み医療材料を保
持する保持体とを備えている体内埋め込み医療器具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管、胆管、気
管、食道、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部の改
善に使用される体内埋め込み医療材料およびそれを用い
た体内埋め込み医療器具に関する。
【0002】
【従来の技術】ステントは、血管あるいはその他の生体
内の管腔に生じた狭窄部を拡張させた状態に維持するた
めの管状の器具であり、例えば経皮的冠動脈形成術(P
TCA)後の狭窄部の改善に用いられている。PTCA
の場合、バルーンで狭窄部を拡張させた後、金属製のメ
ッシュ構造からなるステントを留置することで再狭窄率
を低下させることに成功したが、ステント留置後も、2
0%前後の割合で再狭窄が認められ、再狭窄の問題は依
然として解決していない。
【0003】再狭窄が起こる原因は、以前より様々な説
が考えられているが、現在は、ステントを留置した後、
ステント周囲の血管平滑筋細胞のフェノタイプが収縮型
から合成型へ変化し、ステント内腔側へ遊走・増殖する
ことによって内膜肥厚が起こり、その結果再狭窄が起こ
るという考え方が主流である。
【0004】そこで、この平滑筋細胞の遊走・増殖を抑
制し得る薬剤を、ステントに搭載することによって、再
狭窄を予防する検討が種々なされている。
【0005】上記薬剤の具体的な例としては、特表平9
−503488号公報にタキソールが、特開平9−56
807号公報にマイトマシンC、アドリアマイシン、ゲ
ニステイン、チルフォスチンが、また、特表平11−5
00635号公報にサイトカラシンが、それぞれ開示さ
れている。
【0006】一方、レチノイン酸の一種であるオールト
ランスレチノイン酸は、これまで主に、にきび治療薬と
して使用されてきたが、最近、血管平滑筋細胞の増殖抑
制に関係する効果がある事が報告されている(Hesh
eng Ou.,et al.,Circulatio
n Research 87 881−887(200
0)、Jeseph M.,et al.,Circu
lation Research 87 355−36
2(2000))。
【0007】オールトランスレチノイン酸の血管平滑筋
細胞の増殖抑制に対する効果の確かな原因は未だ分かっ
ていないが、現在のところ細胞表面に存在するレチノイ
ン酸レセプターを介してアポトーシスを誘導することに
よって細胞を死滅させていると考えられている。例え
ば、上記Heshengらの文献では、ラットの血管平
滑筋細胞に濃度0.000002Mのオールトランスレ
チノイン酸を適用することで、アポトーシスを誘導させ
細胞死を起こさせることが示されている。
【0008】しかし、これらの血管平滑筋細胞の増殖抑
制に関係する効果は培養系での結果に留まっており、臨
床上においてオールトランスレチノイン酸を用いて血管
平滑筋細胞の増殖を抑制し、再狭窄を防止する手段は未
だ得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、血管等の傷害部位に直接適用することが可能であ
り、なおかつ平滑筋細胞の増殖を確実に抑制し、血管等
の再狭窄を防止することができる体内埋め込み医療材
料、およびそれを用いた体内埋め込み医療器具を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0011】(1)オールトランスレチノイン酸を含有
する生体適合性材料もしくは生分解性材料で構成されて
いることを特徴とする体内埋め込み医療材料。
【0012】(2)前記生体適合性材料が、アクリルア
ミド類もしくはアクリレート類であることを特徴とする
とする(1)に記載の体内埋め込み医療材料。
【0013】(3)前記生分解性材料が、ポリ乳酸、ポ
リグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ
ヒドロキシ酪酸のいずれかであることを特徴とする
(1)に記載の体内埋め込み医療材料。
【0014】(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の
体内埋め込み医療材料と、前記体内埋め込み医療材料を
保持する保持体とを備えていることを特徴とする体内埋
め込み医療器具。
【0015】(5)前記体内埋め込み医療材料と前記保
持体との間に、アンダーコート層を有することを特徴と
する(4)に記載の体内埋め込み医療器具。
【0016】(6)前記体内埋め込み医療材料の外側に
トップコート層を有することを特徴とする(4)に記載
の体内埋め込み医療器具。
【0017】(7)前記保持体が、ステントであること
を特徴とする(4)〜(6)に記載の体内埋め込み医療
器具。
【0018】
【発明の実施の形態】初めに、本発明の体内埋め込み医
療材料について説明する。
【0019】本発明の体内埋め込み医療材料は、オール
トランスレチノイン酸を含有する生体適合性材料もしく
は生分解性材料で構成されている。
【0020】生体適合性材料は、本質的に血小板が付着
し難く、組織に対しても刺激性を示さず、オールトラン
スレチノイン酸の溶出が可能なものであれば特に限定さ
れないが、例えば、ポリアクリルアミド等のアクリルア
ミド類、ポリブチルメチルアクリレート等のアクリレー
ト類などが挙げられ、中でもオールトランスレチノイン
酸の保持能力が優れているポリブチルメチルアクリレー
トが特に好ましい。
【0021】生分解性材料は、生体内で酵素的、非酵素
的に分解され、分解産物が毒性を示さず、オールトラン
スレチノイン酸の放出が可能なものであれば特に限定さ
れないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸
とグリコール酸の共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ
リンゴ酸、ポリα−アミノ酸、コラーゲン、ラミニン、
ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コ
ンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などが挙げられ、中で
も長期間にわたってオールトランスレチノイン酸を放出
することが可能であるポリ乳酸が特に好ましい。
【0022】本発明の体内埋め込み医療材料において
は、前記生体適合性材料もしくは前記生分解性材料がオ
ールトランスレチノイン酸を含有している。含有の様態
は、特に限定されず、オールトランスレチノイン酸が生
体適合性材料もしくは生分解性材料中に均一または不均
一に存在していてもよく、また局所的に存在していても
良いが、オールトランスレチノイン酸の平滑筋細胞の増
殖を抑制する作用を大きくするためには、生体適合性材
料もしくは生分解性材料の血管等の傷害部位に接触する
部分にオールトランスレチノイン酸が均一に分散してい
ることが好ましい。
【0023】本発明の体内埋め込み医療材料の製造方法
は、特に限定されない。例えば、生分解性材料としてポ
リ乳酸を用いる場合は、ポリ乳酸をジクロロエタンに溶
解した溶液と、オールトランスレチノイン酸をエタノー
ルに溶解した溶液とを混合した後、これを高速で撹拌し
た水中に滴下することによって、オールトランスレチノ
イン酸が均一に分散した状態で含有されているポリ乳酸
の微粒子を製造することができ、その後水洗いすること
によって本発明の体内埋め込み医療材料を得ることがで
きる。
【0024】本発明の体内埋め込み医療材料の使用方法
は、血管等の傷害部位に直接適用する方法であれば、特
に限定されない。例えば、本発明の体内埋め込み医療材
料をその表面に設けたカテーテルやバルーンを用いて、
狭窄部を拡張させた後の傷害部位に直接塗布する方法、
本発明の体内埋め込み医療材料を設けた保持体を狭窄部
を拡張させた後の傷害部位に留置する方法等が挙げられ
る。
【0025】本発明の体内埋め込み医療材料を設けたカ
テーテルやバルーンを用いて直接塗布する方法は、ステ
ント等の保持体を留置するのが困難である複雑な病変部
を治療するのに好適である。本発明の体内埋め込み医療
材料を設けた保持体を留置する方法は、血管全体が収縮
して血管内腔が狭小化する血管リモデリングに対して好
適に使用される。
【0026】本発明の体内埋め込み医療材料は、オール
トランスレチノイン酸が、生体適合性材料もしくは生分
解性材料に含有されているので、血管等の傷害部位に直
接適用することができる。
【0027】オールトランスレチノイン酸が生体適合性
材料に含有されている場合は、オールトランスレチノイ
ン酸が生体適合性材料の外表面から溶出することによっ
て、オールトランスレチノイン酸が血管等の傷害部位に
直接放出されるので、平滑筋細胞の増殖を確実に抑制
し、再狭窄を防止することが可能である。また、オール
トランスレチノイン酸を生体適合性材料の内部にまで分
散させることにより、オールトランスレチノイン酸の徐
放性を持たせることができ、これによってオールトラン
スレチノイン酸を長期間、少しずつ持続的に溶出させる
ことができる。
【0028】また、オールトランスレチノイン酸が生分
解性材料に含有されている場合は、生分解性材料が分解
されることによって、オールトランスレチノイン酸が血
管等の傷害部位に直接放出されるので、平滑筋細胞の増
殖を確実に抑制し、再狭窄を防止することが可能であ
る。また、オールトランスレチノイン酸を生分解性材料
の内部にまで分散させることにより、オールトランスレ
チノイン酸の徐放性を持たせることができ、これによっ
てオールトランスレチノイン酸を長期間、少しずつ持続
的に放出させることができる。
【0029】次に、本発明の体内埋め込み医療器具につ
いて説明する。
【0030】本発明の体内埋め込み医療器具は、上述し
た本発明の体内埋め込み医療材料と、前記体内埋め込み
医療材料を保持する保持体とを備える。
【0031】本発明の保持体は、体内埋め込み医療材料
を保持することができ、血管等の管腔内に安全に留置す
ることができれば、その材料、形状、大きさ等を特に限
定されない。
【0032】保持体の材料は、例えば、各種無機化合
物、各種有機化合物、およびこれらの複合材料等が挙げ
られる。
【0033】無機化合物としては、例えば、ステンレス
鋼、Ni−Ti合金、タンタル等の各種金属材料やセラ
ミックス等が挙げられる。有機化合物としては、例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ
る。
【0034】保持体の形状は、血管等の管腔内に安定し
て留置するに足る強度を有するものであれば特に限定さ
れない。例えば、無機化合物のワイヤーや有機化合物の
繊維で構成される網状体で構成される円筒状等の任意の
形状や、細孔を有した無機化合物や有機化合物で構成さ
れる円筒形状が好適に挙げられる。
【0035】また、本発明の体内埋め込み医療器具は、
ステント、カテーテル、バルーン、血管補綴材、人工血
管等を保持体とすることができ、中でも、保持体がステ
ントであるのが好ましい態様の一つである。
【0036】ステントは、例えばコイル状、網筒状の形
状とすることができる。また、バルーン拡張タイプ、自
己拡張タイプのいずれであってもよく、剛性ステント、
屈曲性ステントのいずれであってもよい。また、ステン
トの大きさは適用箇所に応じて適宜選択すれば良い。通
常、内径は1.0〜3.0mm、長さは5〜50mmが
好ましい。
【0037】体内埋め込み医療材料の保持の態様は、特
に限定されないが、血管等の傷害部位へ運搬する際の安
定性、傷害部位での留置した状態での安定性等の点で、
体内埋め込み医療材料と保持体とが一体化しているのが
好ましい。
【0038】体内埋め込み医療材料と保持体とを一体化
する方法は、特に限定されない。例えば、体内埋め込み
医療材料を構成する生分解性材料にポリ乳酸を用いる場
合は、ポリ乳酸をジクロロエタンに溶解した溶液と、オ
ールトランスレチノイン酸をエタノールに溶解した溶液
とを混合した後、この混合した溶液をステント等の保持
体の表面に噴霧して一体化させる方法が挙げられる。
【0039】また、ポリ乳酸をジクロロエタンに溶解し
た溶液をステント等の保持体の表面に噴霧してポリ乳酸
と保持体を一体化した後、その保持体にオールトランス
レチノイン酸をエタノールに溶解した溶液を噴霧して、
ポリ乳酸中にオールトランスレチノイン酸を含有させて
も良い。
【0040】また、保持体に予めアンダーコート層を設
けた後、体内埋め込み医療材料と一体化させても良い。
このようなアンダーコート層を設けることにより、保持
体と体内埋め込み医療材料との結合性を上げることがで
きる。アンダーコート層の材料は、特に限定されない
が、例えばパリレン、カーバイド、DLC、シリコンカ
ーバイド、カーボン等が挙げられる。
【0041】また、体内埋め込み医療材料の外側にトッ
プコート層を設けても良い。このようなトップコート層
を設けることにより、オールトランスレチノイン酸が血
管等の傷害部位に放出される際の、放出速度を制御する
ことが可能となる。トップコート層の材料は、特に限定
されないが、例えばシリコン等が挙げられる。
【0042】これらの方法により得られた本発明の体内
埋め込み医療器具は、血管等の傷害部位に直接留置して
用いることができる。この時の留置の方法は、特に限定
されず、例えばバルーンカテーテルを用いる方法等が挙
げられる。
【0043】さらに、本発明の体内埋め込み医療器具
は、体内埋め込み医療材料を保持する保持体を備えてい
るので、体内埋め込み医療材料を長期間、安定的に血管
等の傷害部位に適用することができ、オールトランスレ
チノイン酸を長期間、傷害部位に放出することができ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0045】1.体内埋め込み医療器具の製造 (実施例1)オールトランスレチノイン酸5mgをエタ
ノール1mlに溶解した溶液と、ポリ乳酸40mgをジ
クロロエタン4mlに溶解した溶液とを混合した。そし
て、この混合した溶液を、直径50μmのステンレスワ
イヤーを編むことによって作製した内径2mm、長さ1
cmの円筒径のメッシュステントに噴霧して、オールト
ランスレチノイン酸を含有するポリ乳酸とメッシュステ
ントとを一体化させ、本発明の体内埋め込み医療材料と
それを保持する保持体とを備える本発明の体内埋め込み
医療器具を得た(図1および図2)。
【0046】(比較例1)エタノール1mlと、ポリ乳
酸40mgをジクロロエタン4mlに溶解した溶液とを
混合した。そして、この混合した溶液を、直径50μm
のステンレスワイヤーを編むことによって作製した内径
2mm、長さ1cmの円筒径のメッシュステントに噴霧
して、ポリ乳酸とメッシュステントとを一体化させた。
【0047】2.ウサギ腸骨動脈バルーン擦過による血
管傷害モデルを用いた治療効果についての試験 Kbs:JWウサギ3匹の筋肉内に、ケタミン30mg
/kgとキシラジン3mg/kgを投与して、麻酔を行
った。そして、左右両大腿動脈を組織より剥離し、耳介
動脈よりヘパリンを約150U/kg導入した。その
後、X線透視下にて、セルディンガー法により、予めガ
イドワイヤを装填したPTCAバルーンを血管内に挿入
して腸骨動脈近位部まで運び、腸骨動脈近位部でバルー
ンを規定圧まで拡張させた。そして、バルーンを拡張さ
せたままの状態で腸骨動脈遠位部まで押し進め、血管内
を擦過させた。尚、このバルーンによる擦過は3回繰り
返し実施した。また、バルーンによる擦過は、一匹のウ
サギにつき、左右腸骨動脈の両血管行った。バルーンを
血管より抜去した後、大腿動脈を結紮し、3層縫合し
た。そして、その後2週間、1%コレステロール添加食
をウサギに給餌し続けて、腸骨動脈内に内膜肥厚を誘導
した。血管を擦過させて2週間経った後、再び筋肉内に
ケタミン30mg/kgとキシラジン3mg/kgを投
与して、麻酔を行った。そして、右総顎動脈を組織より
剥離し、耳介動脈よりヘパリンを約150U/kg導入
した。その後、セルディンガー法により、予めガイドワ
イヤを装填したPTCAバルーンを血管内に挿入して腸
骨動脈遠位部まで運び、腸骨動脈遠位部でバルーンを規
定圧まで拡張させた。そして、バルーンを拡張させたま
まの状態で腸骨動脈近位部まで引き、血管内を擦過させ
た。尚、この時もバルーンによる擦過は3回繰り返し実
施した。続いて、実施例1で得られた、オールトランス
レチノイン酸を含有するポリ乳酸と一体化させたメッシ
ュステントを右腸骨動脈に導入し、留置した。さらに、
比較例1で得られた、ポリ乳酸と一体化させたメッシュ
ステントを左腸骨動脈に導入し、留置した。そして、ス
テント留置後4週間、0.5%コレステロール添加食を
ウサギに給餌し続けた。メッシュステントを留置して4
週間経った後、左顎動脈から血管へ造影カテーテルを挿
入し、左右腸骨動脈を造影して状態を確認した。その
後、腹部を開腹して腹部大動脈を露出させた。そして、
頚動脈シースラインより2U/mlのヘパリン加生理食
塩水による灌流を開始し、同時に腹部大動脈を切除して
脱血死させた。ヘパリン加生理食塩水による全身灌流
後、10%中性緩衝ホルマリン液にて全身を灌流し、標
的血管を固定した。そして、固定した資料を定法に従い
樹脂包埋し病理切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジ
ン染色を施した。さらに、これを光学顕微鏡による観察
に供し、内膜厚を測定した。
【0048】3.結果 比較例1で得られた、ポリ乳酸と一体化させたメッシュ
ステントを留置した左腸骨動脈の内膜厚は654±11
4μm(n=3)であったのに対し、実施例1で得られ
た、オールトランスレチノイン酸を含有するポリ乳酸と
一体化させたメッシュステントを留置した右腸骨動脈の
内膜厚は89±35μm(n=3)であった。この結果
より、オールトランスレチノイン酸をポリ乳酸に含有さ
せることによって、有意(p<0.05)に血管内膜の
肥厚を抑制できることが確認された。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の体内埋め込
み医療材料は、オールトランスレチノイン酸を含有する
生体適合性材料もしくは生分解性材料で構成されている
ことを特徴とするため、血管等の傷害部位に直接適用す
ることが可能であり、なおかつ平滑筋細胞の増殖を確実
に抑制し、血管等の再狭窄を防止することができる。
【0050】また、前記生体適合性材料が、アクリルア
ミド類もしくはアクリレート類であることを特徴とする
場合は、生体内に対して優れた安全性を示す。
【0051】また、前記生分解性材料が、ポリ乳酸、ポ
リグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ
ヒドロキシ酪酸のいずれかであることを特徴とする場合
は、生体内に対して優れた安全性を示すと共に、長期間
にわたってオールトランスレチノイン酸を放出すること
が可能である。
【0052】さらに、本発明が前記体内埋め込み医療材
料と、前記体内埋め込み医療材料を保持する保持体とを
備えていることを特徴とする場合は、体内埋め込み医療
材料を長期間、安定的に血管等の傷害部位に留置するこ
とが可能であるため、オールトランスレチノイン酸を確
実に傷害部位に放出することができる。
【0053】また、前記体内埋め込み医療材料と前記保
持体との間に、アンダーコート層を有することを特徴と
する場合は、保持体と体内埋め込み医療材料との結合性
を上げることができる。
【0054】また、前記体内埋め込み医療材料の外側に
トップコート層を有することを特徴とする場合は、オー
ルトランスレチノイン酸が血管等の傷害部位に放出され
る際の、放出速度を制御することが可能となる。
【0055】さらに、前記保持体が、ステントであるこ
とを特徴とする場合は、生体埋め込み医療材料を血管等
の傷害部位に確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血管内治療用器具の一態様を示す側面
図である。
【図2】本発明の血管内治療用器具の一態様を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 保持体(メッシュステント) 2 生分解性材料(ポリ乳酸) 3 オールトランスレチノイン酸

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オールトランスレチノイン酸を含有する生
    体適合性材料もしくは生分解性材料で構成されているこ
    とを特徴とする体内埋め込み医療材料。
  2. 【請求項2】前記生体適合性材料が、アクリルアミド類
    もしくはアクリレート類であることを特徴とするとする
    請求項1に記載の体内埋め込み医療材料。
  3. 【請求項3】前記生分解性材料が、ポリ乳酸、ポリグリ
    コール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリヒドロ
    キシ酪酸のいずれかであることを特徴とする請求項1に
    記載の体内埋め込み医療材料。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の体内埋め
    込み医療材料と、前記体内埋め込み医療材料を保持する
    保持体とを備えていることを特徴とする体内埋め込み医
    療器具。
  5. 【請求項5】前記体内埋め込み医療材料と前記保持体と
    の間に、アンダーコート層を有することを特徴とする請
    求項4に記載の体内埋め込み医療器具。
  6. 【請求項6】前記体内埋め込み医療材料の外側にトップ
    コート層を有することを特徴とする請求項4に記載の体
    内埋め込み医療器具。
  7. 【請求項7】前記保持体が、ステントであることを特徴
    とする請求項4〜6のいずれかに記載の体内埋め込み医
    療器具。
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