JPWO2006118248A1 - 細胞増殖抑制部材、細胞転移抑制部材、細胞増殖抑制方法、細胞転移抑制方法、積層フィルムおよび医療用具 - Google Patents

細胞増殖抑制部材、細胞転移抑制部材、細胞増殖抑制方法、細胞転移抑制方法、積層フィルムおよび医療用具

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秀英 豊川
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Abstract

本発明は、(1)多孔構造を有することを特徴とする細胞増殖抑制部材、(2)前記細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする細胞増殖抑制方法、(3)第1の樹脂フィルムと、前記細胞増殖抑制部材である第2の樹脂フィルムが積層された積層フィルム、(4)多孔構造を有することを特徴とする細胞転移抑制部材、(5)前記細胞転移抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の転移を抑制することを特徴とする細胞転移抑制方法、(6)第1の樹脂フィルムと、前記細胞転移抑制部材である第2の樹脂フィルムが積層された積層フィルム、及び(7)医療用具基材の表面の全部または一部を、前記細胞増殖抑制部材、または、前記細胞転移抑制部材で被覆してなることを特徴とする医療用具である。本発明によれば、制ガン剤等の生理活性物質を使用することなくとも、優れた細胞増殖抑制効果又は細胞転移抑制効果を得ることができる。

Description

本発明は、細胞増殖抑制部材、細胞転移抑制部材、細胞増殖抑制方法、細胞転移抑制方法、積層フィルムおよび医療用具に関する。
現在のガン治療は、腫瘍を手術等により切除する外科療法や、ガン(腫瘍)細胞の増殖を選択的に阻害する制ガン剤(抗ガン剤)を用いた化学療法が主に行なわれている。
外科療法は、固形腫瘍に対する治療に有効であるが、白血病やリンパ腫、転移性のガン細胞には十分に対応できない。制ガン剤を用いる化学療法は、白血病やリンパ腫に対して有効である。しかしながら、腫瘍細胞と正常細胞は類似した性質を示すことから、優れた選択毒性を示す制ガン剤は少ない。また、制ガン剤は、患者毎にその治療効果が異なり、その効果を制ガン剤投与前に予想することが難しい。さらに制ガン剤投与による副作用が生じることが多く、制ガン剤は、患者に過度の苦痛を強いるものである。
一方、細胞と材料との相互作用において、細胞は、材料表面の化学的な性質のみならず微細な形状による影響を受けることも知られている。例えば、特許文献1には、生体分解性かつ両親媒性を有する単独のポリマー又は生体分解性ポリマーと両親媒性ポリマーとからなるポリマー混合物の疎水性有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させると同時にキャストした有機溶媒溶液(キャスト液)表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させることにより得られるハニカム構造体フィルム又はその延伸フィルムが記載されている。そして、このポリマーフィルム上でラット胎児心臓由来心筋細胞を培養すると、細胞がよく伸展したことから、このポリマーフィルムは、細胞培養用基材として有用であると考えられている。
また、特許文献2には、前記特許文献1に記載されているフィルムと同様の方法により形成される、特定の孔径と孔径バラツキをもつハニカム様構造を有する血液濾過膜が記載されている。この濾過膜は、輸血用の全血から白血球を除去するためのものである。
ところで、近年、種々の病症を治療するためにステントなどの医療用具を体内に留置することが行われている。例えば、ガンなどで狭窄・閉鎖した胆管や尿管を拡張するための医療用具として胆管ステントや尿管ステントが知られている。
これらのステントを用いる場合には、ガンの進行により、一旦拡張した胆管や尿管が再狭窄・閉鎖してしまう場合がある。そこで、これを防ぐために、特許文献3には、ステントなどの医療器具の表面に被覆層を設け、この被覆層から、経時的に制ガン剤などのガン細胞の増殖を抑制できる生理活性物質を放出するようにした医療器具が提案されている。
しかしながら、この医療器具においては、生理活性物質が人体に与える副作用が大きく、患者に与える負担も大きいという問題があった。
特開2002−335949号公報 特開2003−149096号公報 特表2001−512354号公報(WO98/36784号)
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、制ガン剤等の生理活性物質を使用することなくとも細胞増殖抑制作用又は細胞転移抑制作用を示し、医療用具を構成するために好適な材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、特許文献1および2に記載された方法と同様な方法により、1,2−ポリブタジエンなどの樹脂(なお、本明細書において、樹脂には、一般的にいう樹脂に加えてゴムも含まれる)の有機溶媒溶液を基板上にキャストして、多孔構造を有するフィルムを得た。そして、このフィルムを培地中に設置して、該フィルム上で各種腫瘍細胞の培養を試みたところ、意外にも、特許文献1の心筋細胞に対する例とは反対に腫瘍細胞の増殖が著しく抑制されることを見出した。
さらに、1,2−ポリブタジエンなどの樹脂に所定量の酸化防止剤を添加して得られる樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を、先と同様な方法により、基板上にキャストして、多孔構造を有するフィルムを得、このフィルムを培地中に設置して、該フィルム上で各種腫瘍細胞の培養を試みた。その結果、このフィルムは、腫瘍細胞の増殖を著しく抑制する上、長期間保存した場合であっても酸化劣化し難く、体内での劣化も起こり難く、医療用具を構成するために好適なものであることを見出した。
また、本発明者らは、このフィルムをステント基材などの表面に被覆して体内に設置して使用する場合に、このフィルムが破損し難くなるように、このフィルムの力学的強度(膜強度)の改良を検討したところ、他のフィルムと積層して積層フィルムとする手法が好適であることを見出した。
すなわち、前記フィルムを医療用具基材に被覆することにより、生理活性物質の副作用による患者への負担が無く、ガン細胞の増殖や転移を抑制することができ、しかも、被覆されたフィルムが破損し難い医療用具を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(9)の細胞増殖抑制部材が提供される。
(1)多孔構造を有することを特徴とする細胞増殖抑制部材。
(2)前記多孔構造が、少なくとも表面部に形成されていることを特徴とする(1)に記載の細胞増殖抑制部材。
(3)フィルムである(1)または(2)に記載の細胞増殖抑制部材。
(4)樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに、前記有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させることにより得られるフィルム、またはその延伸フィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
(5)前記フィルムは酸化防止剤を含有してなることを特徴とする(3)または(4)に記載の細胞増殖抑制部材。
(6)前記多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
(7)前記多孔構造を構成する孔の平均孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
(8)前記多孔構造を構成する孔の孔径の変動係数が30%以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
(9)前記酸化防止剤の含有量が、樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする(5)に記載の細胞増殖抑制部材。
本発明の第2によれば、下記(10)の細胞増殖抑制方法が提供される。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする細胞増殖抑制方法。
本発明の第3によれば、下記(11)の積層フィルムが提供される。
(11)第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとが積層された積層フィルムであって、前記第2の樹脂フィルムが、(1)〜(9)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材であることを特徴とする積層フィルム。
本発明の第4によれば、下記(12)〜(20)の細胞転移抑制部材が提供される。
(12)多孔構造を有することを特徴とする細胞転移抑制部材。
(13)前記多孔構造が、少なくとも表面部に形成されていることを特徴とする(12)に記載の細胞転移抑制部材。
(14)フィルムである(12)または(13)に記載の細胞転移抑制部材。
(15)樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに、前記有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させることにより得られるフィルム、またはその延伸フィルムであることを特徴とする(12)〜(14)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
(16)前記フィルムは酸化防止剤を含有してなることを特徴とする(14)または(15)に記載の細胞転移抑制部材。
(17)前記多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されていることを特徴とする(12)〜(16)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
(18)前記多孔構造を構成する孔の平均孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする(12)〜(17)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
(19)前記多孔構造を構成する孔の孔径の変動係数が30%以下であることを特徴とする(12)〜(18)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
(20)前記酸化防止剤の含有量が、樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする(16)に記載の細胞転移抑制部材。
本発明の第5によれば、下記(21)の細胞転移抑制方法が提供される。
(21)前記(12)〜(20)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする細胞転移抑制方法。
本発明の第6によれば、下記(22)の積層フィルムが提供される。
(22)第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとが積層された積層フィルムであって、前記第2の樹脂フィルムが、(12)〜(20)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材であることを特徴とする積層フィルム。
本発明の第7によれば、下記(23)の医療用号が提供される。
(23)医療用具基材の表面の全部または一部を、(1)〜(9)のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材、または、(12)〜(20)のいずれかに記載の細胞転移抑制部材で被覆してなることを特徴とする医療用具。
本発明によれば、生理活性物質を使用しなくとも優れた細胞増殖抑制作用を示し、破損し難く劣化し難い、医療用具を構成するために好適な、細胞増殖抑制部材および積層フィルムが提供される。
本発明によれば、本発明の細胞増殖抑制部材を用いた細胞増殖抑制方法と、医療用具基材にこの部材が被覆されてなる医療用具が提供される。
本発明によれば、生理活性物質を使用しなくとも優れた細胞転移抑制作用を示し、破損し難く劣化し難い、医療用具を構成するために好適な、細胞転移抑制部材および積層フィルムが提供される。
本発明によれば、本発明の細胞転移抑制部材を用いた細胞転移抑制方法と、医療用具基材にこの部材が被覆されてなる医療用具が提供される。
本発明の細胞増殖抑制部材、細胞転移抑制部材、細胞増殖抑制方法、細胞転移抑制方法、積層フィルムおよび医療用具によれば、生理活性物質を使用しなくとも、細胞増殖抑制作用および/又は細胞転移抑制作用を発揮できるので、生理活性物質による副作用を回避することができる。
多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されている細胞増殖抑制部材の光学顕微鏡写真のスケッチ図である。 実施例1において使用する腫瘍細胞培養プレートの断面図である。 実施例1において、実施例にかかる細胞増殖抑制部材の胆嚢ガン由来細胞株(GB−dl)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例2において、実施例にかかる細胞増殖抑制部材の胆嚢ガン由来細胞株(GB−dl)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例1において、細胞増殖抑制部材の総胆管ガン由来細胞株(TFK−1)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例2において、細胞増殖抑制部材の総胆管ガン由来細胞株(TFK−1)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例1において、細胞増殖抑制部材の悪性黒色腫由来細胞株(MeWo)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例2において、細胞増殖抑制部材の悪性黒色腫由来細胞株(MeWo)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例1において、細胞増殖抑制部材の乳ガン由来細胞株(MDA−MB−435S)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例2において、細胞増殖抑制部材の乳ガン由来細胞株(MDA−MB−435S)に対する増殖抑制作用を検討した結果を示すヒストグラムである。 実施例1の結果をまとめた図であり、細胞増殖抑制部材の各種腫瘍細胞(56株)に対する増殖抑制作用を示す図である。 実施例2の結果をまとめた図であり、細胞増殖抑制部材の各種腫瘍細胞(56株)に対する増殖抑制作用を示す図である。 実施例3において、PCL平膜の腫瘍細胞(SAS)に対する浸潤抑制効果を検討した結果を示す図であり、(a)は倍率100倍の顕微鏡像であり、(b)は倍率200倍の顕微鏡像である。 実施例3において、本発明にかかる細胞転移抑制部材の腫瘍細胞(SAS)に対する浸潤抑制効果を検討した結果を示す図であり、(a)は倍率100倍の顕微鏡像であり、(b)は倍率200倍の顕微鏡像であり、(c)は倍率400倍の顕微鏡像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
1)細胞増殖抑制部材
本発明の細胞増殖抑制部材は、多孔構造を有することを特徴とし、細胞増殖抑制作用を発揮するものである。
ここで、細胞増殖抑制作用とは、腫瘍細胞(ガン細胞を含む)が増殖するのを抑制する作用および/または腫瘍細胞を死滅させる作用をいう。具体的には、培地中に本発明の細胞増殖抑制部材を配置して、この部材上に腫瘍細胞の細胞株を播種して細胞の培養を行ったときに、多孔構造をもたない通常の平膜構造の部材上では細胞が正常に増殖するのに対し、本発明の細胞増殖抑制部材を用いる場合には、細胞の増殖が著しく抑制され、あるいは細胞が死滅する。従って、本発明の細胞増殖抑制部材は、医療用具を構成する材料などとして有用である。
本発明の細胞増殖抑制部材は、多孔構造を有していればよく、この際、多孔構造は少なくとも表面部に形成されていることが好ましい。また、該多孔構造の各孔同士が部材内部において連通している連続性多孔構造を有するものであるのが好ましい。
前記多孔構造を構成する孔は、貫通孔、非貫通孔のいずれであってもよい。また、前記多孔構造の各孔の開口形状に特に限定はなく、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、六角形状などのいかなる形状であってもよい。
本発明の細胞増殖抑制部材において、前記多孔構造を構成する孔の平均孔径は、通常0.05〜100μmであり、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。このような平均孔径を有する孔から多孔構造が構成されてなることにより、より優れた細胞増殖抑制作用を有する部材を得ることができる。
ここで、孔径とは孔の開口形状に対する最大内接円の直径を指し、例えば、孔の開口形状が実質的に円形状である場合はその円の直径を指し、実質的に楕円形状である場合はその楕円の短径を指し、実質的に正方形状である場合はその正方形の辺の長さを指し、実質的に長方形状である場合はその長方形の短辺の長さを指すものである。当該孔径の測定は走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて行なうことができる。
本発明の細胞増殖抑制部材において、前記多孔構造を構成する孔の孔径の変動係数〔=標準偏差÷平均値×100(%)〕が30%以下であることが好ましく、孔径の変動係数が20%以下であることがより好ましい。このような孔径の均一性が高い孔から多孔構造が構成されてなることにより、より優れた細胞増殖抑制作用を有する部材を得ることができる。
本発明の細胞増殖抑制部材において、多孔構造を構成する孔と孔との間の幅(以下「幹幅」という)は0.01〜50μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。ここで、幹幅は、細胞増殖抑制部材における多孔構造を構成する孔であって、隣接する孔同士間の最短距離の平均値をいう。当該幹幅の測定は走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて行なうことができる。
また、本発明の細胞増殖抑制部材の空孔率は、特に制限されないが、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、40〜70%であることがさらに好ましい。ここで、空孔率は、本発明の細胞増殖抑制部材の多孔構造が存在する部分の表面において、多孔構造を構成する孔の開口が占める面積の割合を意味する。この空孔率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)等の写真を公知の画像解析ソフトウエアScion Image(Scion Corporation)を用いて算出することができる。より具体的には、以下の通りである。SEM写真を用いる場合、孔は黒く丸く写り、幹は白く写る。よって、空孔率は、〔(孔の総表面積:黒い部分の総表面積)÷(細胞増殖抑制部材の表面積:白い部分と黒い部分の合計の総表面積)×100〕で求めることができる。
本発明の細胞増殖抑制部材において、多孔構造を構成する孔は規則的に配列されていることが好ましく、ハニカム様に配列されていることがより好ましい。ここで、多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されているとは、等しい径を有する円が平面状に最密充填される場合の配列と同様に、孔が細胞増殖抑制部材に配列されていることを指すものであり、各孔の大きさおよび形状や各孔同士の間隔については、何ら限定することを意図するものではない。一例として、多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されている細胞増殖抑制部材の光学顕微鏡写真のスケッチ図を図1に示す。
本発明の細胞増殖抑制部材の材質としては、多孔構造を形成できるものであれば特に制約はないが、医療用具への被覆のし易さから樹脂であるのが好ましい。また、耐久性を向上させるために、ガラス、セラミック等が含まれていてもよい。
本発明の細胞増殖抑制部材を構成する樹脂としては、特に限定されず、非生体分解性樹脂と生体分解性樹脂のいずれも使用できる。生体内において細胞増殖抑制作用を長期間持続させる観点からは、生体内で容易に分解されない非生体分解性樹脂から形成されてなるものが好ましい。また、腫瘍細胞の増殖を選択的に抑制することを考慮すれば、毒性が無い若しくは少ないものが好ましく、細胞増殖抑制部材を、特許文献1に記載されるような方法に従って作製する場合は、有機溶媒に溶解する樹脂であることが好ましい。
本発明の細胞増殖抑制部材を構成する樹脂の具体例としては、ポリブタジエン(1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系高分子;ポリε−カプロラクトン;ポリウレタン;酢酸セルロース、セルロイド、硝酸セルロース、アセチルセルロース、セロファンなどのセルロース系高分子;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド46などのポリアミド系高分子;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体などのフッ素系高分子;ポリスチレン、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系高分子;ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系高分子;フェノール樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのホルムアルデヒド系高分子;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系高分子;エポキシ樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体などの(メタ)アクリル系高分子;ノルボルネン系樹脂;シリコン樹脂;ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体;などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、優れた細胞増殖抑制作用を有する細胞増殖抑制部材を得ることができることから、共役ジエン系高分子、スチレン系高分子またはポリウレタンの使用がより好ましく、1,2−ポリブタジエンの使用が特に好ましい。
また、本発明の細胞増殖抑制部材を構成する樹脂には、両親媒性物質を添加してもよい。添加する両親媒性物質としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体;アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とし疎水性側鎖としてドデシル基と親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を併せ持つ両親媒性樹脂;ヘパリンやデキストラン硫酸、核酸(DNAやRNA)などのアニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのイオンコンプレックス;ゼラチン、コラーゲン、アルブミンなどの水溶性タンパク質を親水性基とした両親媒性樹脂;ポリ乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリε−カプロラクトン−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリリンゴ酸−ポリリンゴ酸アルキルエステルブロック共重合体などの両親媒性樹脂;などが挙げられる。
本発明の細胞増殖抑制部材は、生理活性物質を添加しなくとも細胞増殖抑制作用を示すので、副作用を回避する観点から、細胞増殖抑制作用を有する生理活性物質を添加しないことが好ましい。ただし、より強い細胞増殖抑制作用を得る目的で、細胞増殖抑制作用を有する生理活性物質を添加しても良い。この場合でも、従来に比して少ない添加量で、十分な細胞増殖抑制作用を得ることができるので、生理活性物質による副作用を大幅に低減することができる。
本発明の細胞増殖抑制部材は、上記樹脂に加えて酸化防止剤を含有する樹脂組成物よりなることが好ましい。多孔構造を有する部材は比表面積が大きく、構造上劣化し易いものであるが、酸化防止剤を添加することにより酸化劣化が防止され、長期保存が可能となり、また、体内での劣化も起こりにくくすることができる。
用いる酸化防止剤は特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等を用いることができる。これらのなかでも、フェノール系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を用いることが好ましく、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することが特に好ましい。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−第3ブチル−6−(3−第3ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−第3アミル−6−〔1−(3,5−ジ−第3アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレートなどのアクリレート系フェノール化合物;2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−第3ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス{2−〔3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス〔3−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トコフェノールなどのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−第3ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン系化合物;などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−第3ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−第3ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−第3ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−第3ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−第3ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェニルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。
これらの中でも、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェニルホスファイト)を用いることが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げることができる。
用いる酸化防止剤の量(2種以上用いる場合にはその総量)は、特に限定されないが、用いる樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜2重量部であることがより好ましい。
本発明の細胞増殖抑制部材の形状は、特に限定されるものではないが、フィルム状であるのが好ましい。本発明の細胞増殖抑制部材がフィルム状物である場合、単層からなるフィルムであっても、複数層からなる積層フィルムであってもよく、基板(例えば、プラスチック、ガラスなど)上にフィルム状の材料が積層されたものであってもよい。
本発明の細胞増殖抑制部材がフィルム状物である場合、その膜厚は特に制限されないが、0.05〜100μmであるのがより好ましく、0.5〜20μmであるのが更に好ましい。
また、本発明の細胞増殖抑制部材は、多孔構造を有する樹脂フィルム(第2の樹脂フィルム)と他の樹脂フィルム(第1の樹脂フィルム)との積層フィルムであってもよい。第1の樹脂フィルムを第2の樹脂フィルムに積層することによって、フィルムの力学的強度(膜強度)が高められ、フィルムが破損し難くなる。従って、本発明の積層フィルムである本発明の細胞増殖抑制部材を、ステント基材などの医療用具基材表面に被覆するなどして、体内に設置して使用する場合であっても、フィルムが破損し難く、細胞増殖抑制作用を長期間維持することが可能となる。
前記第1の樹脂フィルムは、多孔構造を有する第2の樹脂フィルムに積層される樹脂フィルムであって、第2の樹脂フィルムを補強する役割を有する。
第1の樹脂フィルムの形態は、第2の樹脂フィルムを補強する役割を有していれば、特に限定されない。第1の樹脂フィルムは、例えば孔を有しないフィルム(平膜)であってもよいし、多孔構造が形成されたフィルムであってもよい。また、第1の樹脂フィルムとして、多孔構造を有するフィルムを用いる場合には、第1の樹脂フィルムは、後述するような多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されているフィルムを用いてもよいし、第2の樹脂フィルムとして用いるフィルムと同じ形態のフィルムを用いてもよい。
また第1の樹脂フィルムは、単層からなるフィルムであっても、複数の層からなるフィルムであってもよい。第1の樹脂フィルムが複数の層からなるフィルムである場合、これらの層を同一形態の層により構成してもよいし、相異なる形態の層により構成してもよい。
第1の樹脂フィルムとして、多孔構造が形成されたフィルムを用いる場合の多孔構造を形成する孔の孔径は、特に限定されないが、0.1〜500μmの範囲にあることが好ましく、0.1〜100μmの範囲にあることがより好ましい。
第1の樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されず、非生体分解性樹脂と生体分解性樹脂のいずれも使用できる。
その具体例としては、ポリブタジエン(1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系高分子;ポリε−カプロラクトン;ポリウレタン;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド46などのポリアミド系高分子;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系高分子;酢酸セルロース、セルロイド、硝酸セルロース、アセチルセルロース、セロファンなどのセルロース系高分子;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体などのフッ素系高分子;ポリスチレン、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系高分子;ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系高分子;フェノール樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのホルムアルデヒド系高分子;エポキシ樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体などの(メタ)アクリル系高分子;ノルボルネン系樹脂;シリコン樹脂;ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体;などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、共役ジエン系高分子、ポリウレタン、ポリアミド系高分子、ポリエステル系高分子を用いることが好ましく、ポリウレタンを用いることが特に好ましい。
第1の樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されず、従来公知の成形方法が採用できる。例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法などが挙げられる。また、第1の樹脂フィルムは、延伸したものであってもよい。
また、第1の樹脂フィルムとして多孔構造が形成されたフィルムを用いる場合は、後述する、フィルム状物である本発明の細胞増殖抑制部材を製造する方法と同様の方法を採用して、第1の樹脂フィルムを製造することもできる。
以上のようにして得られる第1の樹脂フィルムの厚さ(複数の層からなるフィルムである場合には、その総厚さ)は、特に限定されないが、通常、1〜500μm、好ましくは1〜100μmである。
なお、本発明の細胞増殖抑制部材が積層フィルムである場合、第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムのみで構成されるものに限定されるものではなく、例えば、別のフィルムなどの他の構成要素を有したものであってもよい。
(細胞増殖抑制部材の作製)
本発明の細胞増殖抑制部材を作製する方法は特に限定されない。例えば、フィルム状の本発明の細胞増殖抑制部材を製造する場合には、前記樹脂および所望により酸化防止剤を含有する樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに前記キャストした有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させることにより、多孔構造を有する細胞増殖抑制部材を得る方法が挙げられる。
より具体的には、(1)樹脂および所望により酸化防止剤を含有する樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、高湿度ガスを吹き付けることで該有機溶媒を徐々に蒸散させるとともに該キャスト液表面で、該高湿度ガス中の水分を結露させ、該結露により生じた水滴を蒸発させる方法、または、(2)樹脂および所望により酸化防止剤を含有する樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を、相対湿度50〜95%のガス下で基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに該キャスト液表面でガス中の水分を結露させ、該結露により生じた水滴を蒸発させる方法である。これらの方法によれば、比較的容易に、所望の孔径を有し、しかも孔径の均一性が高い孔からなり、孔がハニカム様に配列されてなる多孔構造を有するフィルム状の細胞増殖抑制部材(以下、「細胞増殖抑制フィルム」ということがある。)を得ることができる。
これらの方法により本発明の細胞増殖抑制フィルムを作製するにあたっては、キャスト液表面上に水滴粒子を形成させる必要があることから、使用する有機溶媒は非水溶性であることが好ましい。
用いる有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの飽和炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;二硫化炭素;などが挙げられる。これらの有機溶媒は1種単独で、あるいはこれらの2種以上からなる混合溶媒として使用することができる。
有機溶媒に溶解する樹脂の濃度は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。樹脂濃度が0.01重量%より低いと得られるフィルムの力学的強度が不足し望ましくない。また、樹脂濃度が10重量%以上では、所望の多孔構造が得られなくなるおそれがある。
上述した方法により多孔構造を有する細胞増殖抑制フィルムを作製する場合は、前述の両親媒性物質を樹脂組成物中に添加することが好ましい。なかでも、水に対して溶解性が低く、有機溶媒に可溶である、下記に示す両親媒性樹脂(以下「Cap樹脂」という。)を添加することが好ましい。
Figure 2006118248
(上記式中、m、nはそれぞれ任意の自然数を表す。)
このような両親媒性物質を添加することで、水滴の融合が抑えられ安定化するので、孔径の均一性がさらに向上した多孔構造を有する部材を得ることができる。両親媒性物質を添加する量は、樹脂:両親媒性物質の重量比で99:1〜50:50であることが好ましい。
前記樹脂や樹脂組成物を含む有機溶媒溶液をキャストする基板としては、ガラス基板、金属基板、シリコン基板などの無機基板;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトンなどの高分子からなる有機基板;水、流動パラフィン、液状ポリエーテルなどの液状物からなる液状基板;などが挙げられる。
孔の孔径は、キャストする液の樹脂濃度および液量を調節してシャーレなどの支持層に供給し、雰囲気あるいは吹き付けるガスの温度および/または湿度と吹き付けるガスの流量を制御することにより、或いは溶媒の蒸発スピードおよび/または結露スピードを制御することによって、制御することができる。
キャスト液に吹き付ける高湿度ガスは、キャスト液表面にガス中の水分を結露させることができる湿度であればよいが、相対湿度が20〜100%のものが好ましく、30〜80%のものがより好ましい。また、ガスとしては、空気;窒素、アルゴンなどの不活性なガス;等を用いることができる。
キャスト液に吹き付ける高湿度ガスの流量は、キャスト液面にガス中の水分を結露させることができ、キャストに用いた溶媒を蒸発させることができる流量であればよく、例えば、直径10cmのガラスシャーレ上でフィルムを作製する場合は、1〜5L/minであることが好ましい。
高湿度ガスを吹き付ける時間は、キャストに用いた溶媒が蒸発し、フィルムが成膜されるまでであり、通常、1〜60分である。
高湿度ガスを吹き付けるときの雰囲気の温度は、キャストに用いた溶媒が蒸発することができる温度であればよいが、5〜80℃の温度であることが望ましい。
また、本発明の細胞増殖抑制部材が、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとの積層フィルムである場合、この積層フィルムを作製する方法は特に限定されない。例えば、(a)第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとを別々に製造し、両者を重ね合わせる方法、(b)第1の樹脂フィルム上に、第2の樹脂フィルムを構成するために用いる樹脂を含む有機溶媒溶液(以下、「樹脂溶液」ということがある。)をキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに前記キャストした有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させる方法、などが挙げられ、簡便性の観点から(a)の方法が好ましい。
本発明においては、上記のようにして作製した少なくとも表面部に多孔構造を有するフィルムをそのまま細胞増殖部材として用いることができるが、このフィルムを延伸することにより得られる延伸フィルムを細胞増殖抑制部材として用いることもできる。
フィルムを延伸する方法は特に限定されず、例えば、多孔構造を有するフィルムの2以上の端を把持して、伸長方向に引っ張ることにより行うことができる。また延伸は、一軸延伸、または二軸延伸であってもよい。延伸方向の伸長率は特に限定されないが、好ましくは1.1〜10倍の範囲内である。
また延伸は、後述するように、本発明の細胞増殖抑制フィルムを医療用具基材に被覆し、該医療用具基材を拡張させることによっても行うことができる。すなわち、本発明の細胞増殖抑制フィルムで被覆した医療用具基材を拡張させることにより、延伸された細胞増殖抑制フィルムが得られる。
また、本発明の細胞増殖抑制フィルムを形成するために、インクジェット方式またはスクリーン方式のような印刷法を用いて樹脂組成物を所望の形状およびサイズにペーストしてもよいし、フォトリソグラフィー法などを用いてさらに表面を成形してもよい。
2)細胞増殖抑制方法
本発明の細胞増殖抑制方法は、上記した本発明の細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする。本発明の細胞増殖抑制部材が、少なくとも表面部に多孔構造が形成されているものである場合には、本発明の細胞増殖抑制部材の表面部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することができる。本発明の方法によれば、生理活性物質を使用しなくとも優れた細胞増殖抑制効果を得ることができる。
本発明の細胞増殖抑制方法の適用対象は、細胞であれば特に限定されないが、腫瘍細胞が好ましい。腫瘍細胞は、良性腫瘍細胞であっても、悪性腫瘍細胞(ガン細胞)であってもよい。
上記腫瘍は、扁平上皮・腺上皮の腫瘍である上皮性腫瘍であっても、結合組織・血管・造血組織・筋組織・神経組織の腫瘍である非上皮性腫瘍であってもよい。悪性の上皮性腫瘍としてはガン腫、悪性の非上皮性腫瘍は肉腫、白血病等が挙げられる。より具体的には、口腔扁平上皮ガン(例えば歯肉、舌)、扁平上皮ガン(例えば食道ガン、肺ガン、子宮頚ガン、皮膚ガン)、腺ガン(例えば肝内胆管ガン、総胆管ガン、胆嚢ガン、乳ガン、腎ガン、胃ガン、膵ガン、甲状腺ガン、前立腺ガン、大腸ガン、肺ガン)、肝細胞ガン、膀胱ガン(移行上皮ガン)、卵巣ガン、神経膠芽腫、悪性黒色腫、骨肉腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、絨毛ガン等が挙げられる。
3)細胞転移抑制部材
本発明の細胞転移抑制部材は、多孔構造が形成されていることを特徴とし、細胞転移抑制作用を発揮するものである。この際、細胞転移抑制部材は、少なくとも表面部に多孔構造が形成されていることが好ましい。
ここで、細胞転移とは、細胞、特に腫瘍細胞が原発部位から離れた場所に運ばれ、その場所で定着し増殖する現象のことを言う。転移は、腫瘍細胞の主腫瘍からの遊離、脈管内への浸潤と運搬、脈管壁への定着と管外への脱出、およびその部位での増殖等の工程を経て起こることが知られている。
本発明の細胞転移抑制部材は、上記工程のうち、特に腫瘍細胞が脈管等の周辺組織への浸潤を抑制することができるものであり、かかる作用によって、腫瘍、特に悪性腫瘍の転移を抑制することができるものである。
細胞転移抑制とは、転移を100%抑制する、すなわち阻止することも意図される。
本発明の細胞転移抑制部材が、腫瘍細胞の転移を抑制する機能を有するか否かを評価する方法としては、例えば、ヒト胎児線維芽細胞を含有するコラーゲンゲル上に、腫瘍細胞を重層し、細胞転移抑制部材を腫瘍細胞に接触させて培養を行なった場合と、細胞転移抑制部材を腫瘍細胞に接触させずに培養を行なった場合とにおいて、腫瘍細胞のコラーゲンゲルへの浸潤の程度を比較する方法が挙げられる。
この評価方法は、本発明者らが鋭意検討の上、独自に考案した方法である。従来法では、腫瘍細胞は培地内に浸っているため、腫瘍細胞と細胞転移抑制部材(被験物)との間に培地(液体)が介在してしまい、両者を密着させることができず、被験物の浸潤抑制能を評価することができなかった。上記評価方法によれば、腫瘍細胞層の表面が空気(厳密には5%(v/v)CO、95%(v/v)空気)に接しており、被験物を腫瘍細胞へ直接接触させることができるため、本発明の細胞転移抑制部材のごとく腫瘍細胞と接触させることが必要な被験物について、in vitroで簡便に腫瘍細胞の浸潤抑制能を評価することができる。
in vitroで腫瘍細胞の浸潤を評価する方法は、上記方法以外にも従来から知られる方法があった(例えばAlbini A,Iwamoto Y,Kleinman HK,Martin GR,Aaronson SA,Kozlowski JM,McEwan RN.“A rapid invitro assay for quantitating the invasive potential of tumor cells.”Cancer Res.1987 Jun 15;47(12):3239−45.、Miyazaki YJ,Hamada J,Tada M,Furuuchi K,Takahashi Y,Kondo S,Katoh H,Moriuchi T.“HOXD3 enhances motility and invasiveness through the TGF−beta−dependent and−independent pathways in A549 cells.”Oncogene.2002 Jan 24;21(5):798−808.、およびShindoh M,Sun Q,Pater A,Pater MM:“Prevention of carcinoma in situ of human papillomavirus type 16−immortalized human endocervical cells by retinoic acid in organotypic raft culture.Obstet Gynecol 1995,85:721−728等参照)。
また、in vivoにおいて腫瘍細胞の転移を抑制するか否かを評価する方法としては、例えば細胞転移抑制部材を接触させた腫瘍細胞と、接触させていない腫瘍細胞とをそれぞれマウス、ラット等の実験動物の体内(皮下、腹腔あるいは胸腔内)に移植し、一定期間経過後、移植した周辺組織を摘出し腫瘍細胞の周囲への浸潤ならびにリンパ節および隔臓器への転移の有無を染色法等により評価するという方法、腫瘍が生じた患部に細胞転移抑制部材を導入し、一定期間経過後の周辺組織を、細胞転移抑制部材を導入していない患部の周辺組織と比較するという方法が挙げられる。
本発明の細胞転移抑制部材を構成する材料や形態としては、前述した細胞増殖抑制部材と同様のものを好適に挙げることができ、同様の製造方法により製造することができる。
4)細胞転移抑制方法
本発明の細胞転移抑制方法は、上記した本発明の細胞転移抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の転移を抑制することを特徴とする。本発明の細胞転移抑制部材が、少なくとも表面部に多孔構造が形成されているものである場合には、本発明の細胞転移抑制部材の表面部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の転移を抑制することができる。本発明の方法によれば、生理活性物質を使用しなくとも優れた細胞転移抑制効果を得ることができる。
細胞転移抑制方法の適用対象は、細胞であれば特に限定されないが、腫瘍細胞が好ましい。腫瘍細胞は、良性腫瘍細胞であっても、悪性腫瘍細胞(ガン細胞)であってもよい。
また上記腫瘍は、扁平上皮・腺上皮の腫瘍である上皮性腫瘍であっても、結合組織・血管・造血組織・筋組織・神経組織の腫瘍である非上皮性腫瘍であってもよい。悪性の上皮性腫瘍としてはガン腫、悪性の非上皮性腫瘍は肉腫、白血病等が挙げられる。より具体的には、口腔扁平上皮ガン(例えば歯肉、舌)、扁平上皮ガン(例えば食道ガン、肺ガン、子宮頚ガン、皮膚ガン)、腺ガン(例えば肝内胆管ガン、総胆管ガン、胆嚢ガン、乳ガン、腎ガン、胃ガン、膵ガン、甲状腺ガン、前立腺ガン、大腸ガン、肺ガン)、肝細胞ガン、膀胱ガン(移行上皮ガン)、卵巣ガン、神経膠芽腫、悪性黒色腫、骨肉腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、絨毛ガン等が挙げられる。
5)医療用具
本発明の医療用具は、医療用具基材の表面の全部または一部を、本発明の細胞増殖抑制部材または細胞転移抑制部材で被覆してなることを特徴とする。
ここで、医療用具基材とは、本発明の細胞増殖抑制部材または細胞転移抑制部材を被覆することで医療用具として用いることができる基材であるが、単体であっても医療用具として用いることができるものであってもよい。
本発明の医療用具は、腫瘍細胞に対し細胞増殖抑制作用および/または細胞転移抑制作用を示す部材で被覆されてなるので、該部材の接触部においてガンの進行を抑制することができる。また、この細胞増殖抑制作用および/または細胞転移抑制作用は、制ガン剤などの生理活性物質を必要とすることなく発揮されるので、生理活性物質による副作用を回避することができる。
本発明の医療用具としては、例えば、ステント、カテーテル、医療用チューブなどが挙げられるが、ステントであるのが好ましく、特に腫瘍細胞により狭窄または閉塞した体内管腔に留置されるステントであるのが好ましい。
そのようなステントとしては、尿管ステント、胆管ステント、気道ステント、食道ステント、大腸ステントなどが挙げられる。
また、本発明の医療用具が、胆管、食道、十二指腸、大腸などの消化器系体内管腔に留置される消化器系ステントである場合には、被覆に用いる部材には、多孔構造が貫通孔からなり、平均孔径が0.1〜20μmで、孔径の変動係数が30%以下であるものを用いることが好ましい。このような部材を被覆することで、細胞増殖抑制作用のみならず、消化液およびそれに含まれる消化酵素を透過させ、腫瘍細胞は透過させない機能をも備えた消化器系ステントが得られる。
前記医療用具基材に本発明の細胞増殖抑制部材または細胞転移抑制部材(以下、「本発明部材」ということがある。)を被覆する方法は特に限定されない。例えば、(α)本発明部材を作製する方法と同様に、本発明部材を製造した後に、医療用具基材に被覆する方法が挙げられる。また、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムからなる本発明部材を用いる場合には、(β)第1の樹脂フィルムおよび第2の樹脂フィルムを別々に製造しておき、医療用具基材上に第2の樹脂フィルムを被覆させ、さらに該第2の樹脂フィルム上に第1の樹脂フィルムを被覆させる方法、(γ)医療用具基材上で第2の樹脂フィルムを被覆し、該第2の樹脂フィルム上に第1の樹脂フィルムを成膜する方法などが挙げられる。これらの場合は、作製した本発明部材を医療用具基材の表面に接触させるのみで接着力が得られるが、必要に応じて、接着剤、溶媒による融着、熱による融着などの手段を用いてもよい。
次に、本発明の医療用具の一例として、ステント基材を本発明部材で被覆してなるステントについて説明する。
ステント基材の形状は、管状体であれば特に限定されないが、通常、線状体または帯状体が網目状に連なって周壁を形成する管状体である。
ステント基材を線状体で構成する場合の線径は、0.05〜1mmであることが好ましい。また、ステント基材を帯状体で構成する場合、その幅が0.1〜10mmであることが好ましく、厚さが0.05〜5mmであることが好ましい。
このステント基材の管状体としての大きさは、留置される体内管腔の大きさにより異なるが、通常、外径が2〜30mm、内径が1〜29mm、長さが5〜200mmである。特に、胆管ステントを構成するために用いる場合は、外径が5〜20mm、内径が4〜19mm、長さが10〜100mmであることが好ましい。
ステント基材の材料としては、合成樹脂または金属が使用される。合成樹脂はある程度、硬度と弾性があるものが使用され、生体適合性樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン、ポリエステル、フッ素樹脂などがある。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられ、ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。また、金属としては、ニッケルチタン(Ti−Ni)合金のような超弾性合金、ステンレス鋼、タンタル、チタン、コバルトクロム合金などが使用できるが、特に、超弾性合金が好ましい。
なかでも、49〜53原子%NiのTi−Ni合金を用いることが特に好ましい。また、Ti−Ni合金中の原子の一部を0.01〜10.0%の他の原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Co、Fe、Mn、Cr、V、Al、Nb、W、Bなど)とするか、またはTi−Ni−X合金の一部を0.01〜30.0%の他の原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu、Pb、Zr)として、冷却加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、超弾性合金の機械的特性を適宜変更することができる。
ステント基材の成形は、例えば、レーザー加工(例えばYAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工などにより、パイプを加工することで行うことができる。
ステント基材には、体内管腔に留置した際にX線透視により位置を確認できるようにX線マーカーを設けることが好ましい。X線マーカーは、X線造影性材料(X線不透過材料)により形成されている。これにより、X線造影下でステント基材の位置を把握することができる。
X線不透過材料としては、例えば、金、プラチナ、プラチナイリジウム合金、白金、銀、ステンレス、あるいはそれらの合金などのX線造影性金属が好適である。さらに、X線マーカーは、X線造影物質粉末を含有する樹脂成型物であってもよい。X線造影物質粉末としては、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、タングステン粉末、上記した金属粉末などが使用できる。
本発明部材をステント基材に被覆する方法は、特に限定されず、本発明部材をステント基材に巻きつける方法が挙げられる。また、第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムからなる本発明部材を用いる場合には、ステント基材表面に第2の樹脂フィルムを被覆し、ついで、該第2の樹脂フィルム上に第1の樹脂フィルムを被覆する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、接着剤、溶媒による融着、熱による融着などの手段を用いてもよい。
ステントを体内管腔に留置するには、従来のステントと同様の方法を用いればよい。例えば、ステント基材が超弾性合金などの弾性に富んだ材料で構成されている場合には、ステント周壁を収縮させた状態でデリバリーカテーテルに挿入して留置する箇所まで運び、それから、ステントをデリバリーカテーテルから出すことでステントの周壁を拡張させて留置する方法が挙げられる。また、ステント基材がステンレス鋼などの弾性の乏しい材料で構成されている場合には、バルーンカテーテルのバルーンにステントを外嵌して、留置する箇所まで運び、それから、バルーンを拡張させることでステントの周壁を拡張させて留置する方法が挙げられる。なお、ステントを消化器系体内管腔に留置させる際には、通常、ステント基材が拡張されるが、このステント基材の拡張を利用して被覆された部材(フィルム)の延伸を行ってもよい。
本発明の医療用具の一例であるステントは、ステント基材を本発明部材で被覆してなるので、このステントを腫瘍細胞により狭窄または閉塞した体内管腔に留置することで、腫瘍細胞がステントの周壁を超えて成長して生じる体内管腔の狭窄を防止することができる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(細胞増殖抑制部材の作製)
本発明にかかる細胞増殖抑制部材を以下のようにして作製した。
ポリ(ε−カプロラクトン)(Poly(ε−caprolactone);(株)和光純薬工業、重量平均分子量:70,000〜100,000、以下「PCL樹脂」という。)と、Cap樹脂(重量平均分子量:62,000、数平均分子量:21,000)とを重量比10:1の割合で混合した後にクロロホルムに溶解し、濃度5.0mg/mLの樹脂溶液(1)を調製した。
調製した樹脂溶液(1)をガラスシャーレ(直径9cm)にキャストし、次いで、23℃、相対湿度35%の雰囲気下で、相対湿度80%の高湿度空気を2.0L/minの流量で、ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることにより、多孔構造を有する細胞増殖抑制部材(フィルムA〜G)を作製した。
フィルムA〜Gは、上記においてキャストする樹脂溶液(1)の量を4〜20mLの範囲で変えることにより作製したものである。
作製した各フィルムの多孔構造(を構成する孔)の孔径、幹幅および空孔率を、走査型電子顕微鏡(SEM)(HITACHI,S−3500)を用いて測定し求めた。
孔径は、合計5枚の画像を用いて、画像1枚あたり任意の5個の孔を選択し、合計25個の孔の直径の平均値を計算することにより求めた。また幹幅は、合計5枚の画像を用いて、画像1枚あたり任意の5箇所、合計25箇所について孔同士間の最短距離を測定し、その平均値を計算することにより求めた。
また空孔率は、SEM写真を用い、画像解析用ソフトウエアScion Image(Scion Corporation製)により算出して求めた。
上記の操作によって得られた細胞増殖抑制部材の、多孔構造を構成する孔の孔径、幹幅、空孔率、変動係数は、それぞれ下記第1表に示す通りであった。
また、上記樹脂溶液(1)を18mm角のカバーガラス上に滴下し、1000rpm、30秒の条件でスピンコーター(MIKASA製)を用いることにより、多孔構造を有さないPCL樹脂製のフィルム(以下、「PCL平膜(1)」という。)を作製した。
(実施例2)
(細胞増殖抑制部材の作製)
本発明にかかる細胞増殖抑制部材を以下のようにして作製した。
PCL樹脂とCap樹脂(重量平均分子量:62,000、数平均分子量:21,000)とを重量比10:1の割合で混合した後にクロロホルムに溶解し、濃度5.0mg/mLの混合溶液を調製した。
この混合溶液に、PCL樹脂100重量部に対して、1重量部のサイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェニルホスファイト)を添加して樹脂溶液(2)を得た。得られた樹脂溶液(2)をガラスシャーレ(直径9cm)にキャストし、次いで、23℃、相対湿度35%の雰囲気下で、相対湿度80%の高湿度空気を2.0L/minの流量で、ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることにより、多孔構造を有する細胞増殖抑制部材(フィルムH〜N)を作製した。
フィルムH〜Nは、上記においてキャストする樹脂溶液(2)の量を4〜20mLの範囲で変えることにより作製したものである。
作製した各フィルムの、多孔構造を構成する孔の孔径、幹幅および空孔率を、走査型電子顕微鏡(SEM)(HITACHI,S−3500)を用いて測定し求めた。
孔径は、合計5枚の画像を用いて、画像1枚あたり任意の5個の孔を選択し、合計25個の孔の直径の平均値を計算することにより求めた。また幹幅は、合計5枚の画像を用いて、画像1枚あたり任意の5箇所、合計25箇所について孔同士間の最短距離を測定し、その平均値を計算することにより求めた。
また空孔率は、SEM写真を用い、画像解析用ソフトウエアScion Image(Scion Corporation製)により算出して求めた。
上記の操作によって得られた細胞増殖抑制部材の、多孔構造を構成する孔の孔径、幹幅、空孔率、変動係数は、それぞれ下記第1表に示す通りであった。
Figure 2006118248
また、上記樹脂溶液(2)を18mm角のカバーガラス上に滴下し、1000rpm、30秒の条件でスピンコーター(MIKASA製)を用いることにより、多孔構造を有さないPCL樹脂製のフィルム(以下、「PCL平膜(2)」という。)を作製した。
(腫瘍細胞培養プレートの作製)
上記で作製した細胞増殖抑制部材(フィルムA〜N)、またはPCL平膜(1)、(2)を切り取り、直径約14mmの円型カバーガラス(MATSUNAMI製)に密着させた。その後、24−well tissue culture plate(ファルコン社製)のウェル内に敷いた。当該カバーガラスを固定するため、外径約14mmのガラスシリンダーをウェルの内側にセットした。なお、コントロールの場合は上記カバーガラスを敷かずに、上記ガラスシリンダーのみをセットした。
上記で作製した腫瘍細胞培養プレートの断面図を図2に示す。
(腫瘍細胞の培養)
上記腫瘍細胞培養プレートのウェル内に100%(v/v)エタノールを0.1mLずつ注入した。エタノールが蒸発する前に、DME/F12培地(ダルベッコ改変MEM培地(入手先:日水製薬社)とハムF12培地(入手先:シグマ社)を1:1の容量で混合した培地)をウェルあたり1mLずつ注入し、アスピレータを用いて当該培地を除去した。
DME/F12培地をウェルあたり1mLずつ再度注入し、アスピレータを用いて当該培地を除去した。その後、10%ウシ胎児血清(featal bovine serum(FBS):ケンブレックス社製)を含んだDME/F12培地(以下「DME/F12−10%FBS」と表記する)をウェルあたり0.95mLずつ注入した。
1×10個/mLとなるように、DME/F12−10%FBSで調製した各種腫瘍細胞浮遊液を、0.05mL/ウェルずつ添加し、37℃、2〜4日間培養を行なった(CO濃度5%v/v)。
なお、腫瘍細胞は以下の細胞株を用いた。
Ca9−22(口腔扁平上皮ガン(歯肉)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HSC−3(口腔扁平上皮ガン(舌)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、KYSE−110(食道ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、Li−7(肝細胞ガン、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、HuH−28(肝内胆管ガン(腺ガン)、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、TFK−1(総胆管ガン(腺ガン)、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、GB−dl(胆嚢ガン(腺ガン)、入手先:福岡大学医学部志村英生氏)、A549(肺ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、Lu99(肺ガン(扁平上皮ガン)、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、MDA−MB−435S(乳ガン(腺ガン)、入手先:American Type Culture Collection)、RXF−631L(腎ガン(腺ガン)、入手先:National Cancer Institute,USA)、EJ−1(膀胱ガン(移行上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HeLa(子宮頚ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、SK−OV−3(卵巣ガン、入手先:National Cancer Institute,USA)、SF295(神経膠芽腫、入手先:National Cancer Institute,USA)、SF539(神経膠芽腫、入手先:National Cancer Institute,USA)、SNB75(神経膠芽腫、入手先:National Cancer Institute,USA)、SNB−78(神経膠芽腫、入手先:National Cancer Institute,USA)、T98G(神経膠芽腫、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、
AKI(悪性黒色腫、入手先:理研細胞バンク)、A375M(悪性黒色腫、入手先:富山医科薬科大学和漢薬研究所済木育夫氏)、SaOS−2(骨肉腫、入手先:American Type Culture Collection)、HT−1080(線維肉腫、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HSC−2(口腔扁平上皮ガン、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HSC−4(口腔扁平上皮ガン(舌)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、KATO−III(胃ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、MKN−1(胃ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、AZ−521(胃ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、OCUG−1(胆嚢ガン(腺ガン)入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、MIAPaCa−2(膵ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、8505C(甲状腺ガン、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、TCO−1(甲状腺ガン、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、MCF−7(乳ガン(腺ガン)、入手先:American Type Culture Collection)、ACHN(腎ガン(腺ガン)、入手先:National Cancer Institute,USA)、LNCap(前立腺ガン(腺ガン)、入手先:American Type Culture Collection)、OVCAR−3(卵巣ガン、入手先:National Cancer Institute,USA)、OVCAR−5(卵巣ガン、入手先:National Cancer Institute,USA)、HKA−1(皮膚ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、
IMR−32(神経芽細胞腫、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、GOTO(神経芽細胞腫、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、SF268(神経膠芽腫、入手先:National Cancer Institute,USA)、MeWo(悪性黒色腫、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、SAS(口腔扁平上皮ガン(舌)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、KYSE−140(食道ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、DLD−1(大腸ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、PC−3(lung)(肺ガン(腺ガン):ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HSC−1(皮膚ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HSC−5(皮膚ガン(扁平上皮ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、C8161(悪性黒色腫、入手先:ノバルティスファーマ中島元夫氏)、SW480(大腸ガン(腺ガン)、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、LoVo(大腸ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HLE(肝細胞ガン、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、HuCCT−1(肝内胆管ガン(腺ガン)、入手先:東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、SUIT−2(膵ガン(腺ガン)、入手先:宮崎医科大学岩村威志氏)、ABC−1(肺ガン(腺ガン)、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、BeWo(絨毛ガン、入手先:ヒューマンサイエンス研究資源バンク)。
(腫瘍細胞の増殖の評価方法)
培養した腫瘍細胞の細胞数は、Cell Counting Kit−8(Dojindo社)を用いて測定した。
当該Cell Counting Kit−8は、水溶性ホルマザンを生成する4{3−(2−methoxy−4−nitrophenyl)−2−(4−nitrophenyl)−2H−5−tetrazolio}−1,3−benzene disulfonate sodium salt(以下「WST−8」という。Dojindo社)を発色質として利用するものであり、WST−8は細胞内の脱水素酵素によって還元され、水溶性ホルマザンを生成する。細胞数と水溶性ホルマザンとの間には、直線的な比例関係があることが分かっており、ホルマザンの吸光値を測定することによって、細胞数を簡単に測定することができる。
上記Cell Counting Kit−8を用いた細胞数の測定は、簡単には以下のようにして行なった。培養終了後の各ウェルに0.08mLのWST−8を添加し、37℃で1時間、COインキュベーター(CO5%v/v)内で培養し、450nm(参考波長:655nm)の吸光度を測定した。
(結果)
胆嚢ガン由来細胞株(GB−dl)の結果を図3および図4に、総胆管ガン由来細胞株(TFK−1)の結果を図5および図6に、悪性黒色腫由来細胞株(MeWo)の結果を図7および図8に、乳ガン由来細胞株(MDA−MB−435S)の結果を図9および図10にそれぞれ示した。
図3〜図10において、縦軸は吸光度(450nm)を示しており、当該吸光度が高いほど細胞数が多いことを示している。また横軸は、各ウェルの結果を示し、左からコントロール(図中C)で示す)、PCL平膜上における培養(図中、PCL平膜(1)を用いた場合を「FL1」、PCL平膜(2)を用いた場合を「FL2」で示す。)、フィルムA〜N上における培養(図中フィルムAを単に「A」と表記する。以下フィルムB〜Nについて同じである。)の結果を示す。
図3および図4の結果より、細胞増殖抑制部材上で培養した場合の胆嚢ガン由来細胞株(GB−dl)の増殖は、コントロールおよびPCL平膜上で培養した場合に比べ、著しく(約80%)抑制されていた。なお、上記「約80%」は、フィルムA、B、C、EおよびG、並びにH、I、J、LおよびNそれぞれについてのPCL平膜に対する腫瘍細胞の増殖抑制率(増殖抑制作用)の平均値である。
図5および図6の結果より、細胞増殖抑制部材上で培養した場合の総胆管ガン由来細胞株(TFK−1)の増殖は、PCL平膜上で培養した場合に比べ、著しく(約60%)抑制されていた。なお上記「約60%」は、フィルムB、DおよびF、並びにI、KおよびMそれぞれについてのPCL平膜に対する腫瘍細胞の増殖抑制率(増殖抑制作用)の平均値である。
図7および図8の結果より、細胞増殖抑制部材上で培養した場合の悪性黒色腫由来細胞株(MeWo)の増殖は、PCL平膜上で培養した場合に比べ、約40%抑制されていた。なお上記「約40%」は、フィルムB、DおよびF、並びにI、KおよびMそれぞれについてのPCL平膜に対する腫瘍細胞の増殖抑制率(増殖抑制作用)の平均値である。
図9および図10の結果より、細胞増殖抑制部材上で培養した場合の乳ガン由来細胞株(MDA−MB−435S)の増殖は、PCL平膜上で培養した場合に比べ、約50%抑制されていた。なお、上記「約50%」は、フィルムB、DおよびF、並びにI、KおよびMそれぞれについてのPCL平膜に対する腫瘍細胞の増殖抑制率(増殖抑制作用)の平均値である。
また、本発明にかかる細胞増殖抑制部材の各種腫瘍細胞に対する増殖抑制作用の検討結果を図11、図12に示した。図11がフィルムA〜Gを用いた場合、図12がフィルムH〜Nを用いた場合である。なお、図11、図12における増殖抑制作用の評価は、フィルムA〜NそれぞれについてのPCL平膜に対する腫瘍細胞の増殖抑制率(増殖抑制作用)の平均値を用いて行なった。
図11、図12中の増殖抑制作用の欄における◎は、細胞増殖抑制部材上で培養した場合の細胞増殖が、PCL平膜上での培養の細胞増殖に対して60%以上の細胞増殖抑制作用が見られた細胞の結果を示し、○は細胞増殖抑制部材上で培養した場合の細胞増殖が、PCL平膜上での培養の細胞増殖に対して30%以上60%未満の増殖抑制作用が見られた細胞の結果を示し、△は細胞増殖抑制部材上で培養した場合の細胞増殖が、PCL平膜上での培養の細胞増殖に対して10%以上30%未満の増殖抑制作用が見られた細胞の結果を示し、▲は細胞増殖抑制部材上で培養した場合の細胞増殖が、PCL平膜上での培養の細胞増殖に対して10%未満の増殖抑制作用が見られた細胞の結果を示した。
図11、図12より、検討した56細胞株のうち49株、すなわち87.5%の株について、10%以上の増殖抑制作用が見られた。また検討した56細胞株のうち42株、すなわち75%の株について、30%以上の増殖抑制作用が見られた。また検討した56細胞株のうち23株、すなわち41%の株について、60%以上の増殖抑制作用が見られた。
以上の結果より、実施例1、2にかかる細胞増殖抑制部材上で腫瘍細胞を培養することにより、通常の平膜上で培養した場合に比して顕著にその増殖を抑制することができるということがわかった。また、腫瘍細胞の種類によらず、細胞増殖抑制作用を示すということもわかった。したがって、本発明の細胞増殖抑制部材は、特に腫瘍細胞の増殖抑制に利用することができる材料であるといえる。
また、実施例1と実施例2とは、実施例1が酸化防止剤を使用しないのに対し、実施例2が酸化防止剤(サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−第3ブチル−4−メチルフェニルホスファイト))を使用する点で相違しているが、実施例1と実施例2とは、ほぼ同等の細胞増殖抑制効果が得られた。実施例2の細胞増殖抑制フィルムにおいては、樹脂に酸化防止剤が添加されているので、酸化劣化が防止され、長期保存が可能となり、また、体内での劣化も起こりにくくすることが期待される。
(実施例3)
(細胞転移抑制部材の作製)
PCL樹脂とCap樹脂(重量平均分子量:62,000、数平均分子量:21,000)とを重量比10:1の割合で混合した後にクロロホルムに溶解し、濃度5.0mg/mLの樹脂溶液を調製した。この溶液をガラスシャーレ(直径9cm)にキャストし、次いで、23℃、相対湿度35%の雰囲気下で、相対湿度80%の高湿度空気を2.0L/minの流量で、ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることにより、多孔構造を有する細胞転移抑制部材(フィルム(O))を作製した。
実施例1、2と同様の方法により、フィルム(O)の多孔構造(を構成する孔の)孔径、幹幅、空孔率、および変動係数を測定した結果、孔径は12.5μm、幹幅は5.3μm、空孔率は49.2%、変動係数は7%であった。
(腫瘍細胞の転移の評価方法)
(a)コラーゲン溶液(Cellmatrix type IA,Nitta Gelatin)、中和緩衝液(0.05N NaOH,2.2%NaHCO,200mM HEPES)、10倍濃縮のDulbcco’s modified Eagle’s培地(DEM培地、インビトロゲン社製)、およびヒト胎児線維芽細胞浮遊液を8:1:1:0.5の割合で混合し、6−well tissue culture plate(ファルコン社)に3mL/ウェルずつ注入した。
(b)30分間、COインキュベーター内(CO5%v/v)で静置し、コラーゲンのゲル化を行なった。
(c)腫瘍細胞(SAS:口腔扁平上皮ガン(舌))浮遊液を上記コラーゲンゲルの上に重層した。
(d)COインキュベーター内(CO5%v/v)で、37℃、1日間培養を行なった。
(e)その後、コラーゲンゲルをウェルから剥離し、DEM液体培地上に当該コラーゲンゲルを浮遊させ、さらにCOインキュベーター内(CO5%v/v)で、37℃、2日間培養を行なった(この培養方法を「ラフトカルチャー」と称する)。
(f)6−well tissue culture plate(ファルコン社)のウェル内にセットしたセルストレイナー(ファルコン製)上に、ラフトカルチャー後のコラーゲンゲルを載置し、コラーゲンゲルの最上面が浸らない程度のDEM液体培地を添加した。
(g)コラーゲンゲルの最上面(腫瘍細胞側の面)に、フィルムHまたは実施例1で作製したPCL平膜(1)を載せ、COインキュベーター内(CO5%v/v)で、37℃、7日間培養を行なった。
(h)培養後のコラーゲンゲルを、10%ホルマリンで固定を行ない、パラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行なった。ヘマトキシリン・エオジン染色は、常法に従い行なった。
(i)ヘマトキシリン・エオジン染色を行なったパラフィン切片を顕微鏡により観察を行ない、腫瘍細胞がコラーゲンゲル内に浸潤しているか否かを評価した。
(結果)
PCL平膜(1)を腫瘍細胞(SAS)側の面に載せた場合の顕微鏡像を図13に示した。図13(a)は倍率100倍で観察したもの、図13(b)は倍率200倍で観察したものである。なお、図13において、矢印より左側の領域がPCL平膜(1)で覆われていた領域であり、右側がPCL平膜(1)で覆われていなかった領域(すなわちコントロール領域)を示している。
一方、フイルム(O)を腫瘍細胞(SAS)側の面に載せた場合の顕微鏡像を図14に示した。図14(a)は倍率100倍で観察したもの、図14(b)は倍率200倍で観察したもの、図14(c)は倍率400倍で観察したものである。なお、図14において矢印より右側の領域が多孔性フイルム(O)で覆われていた領域であり、左側が多孔性フイルム(O)で覆われていなかった領域(すなわちコントロール領域)を示している。
図13および図14に示す観察結果から、腫瘍細胞(SAS)にPCL平膜を載せた領域、および腫瘍細胞(SAS)にフイルムHを載せた領域はいずれにおいても、コントロール領域に比べて明らかに腫瘍細胞の浸潤が抑制されていた。特に、図14(c)に示すように、腫瘍細胞と多孔性フィルム(フィルムE(孔径12.5μm、幹幅5.3μm、空孔率49.2%、変動係数7%))とが接触していた部分は、細胞の形状が凸凹になっていた。
以上のことから、腫瘍細胞とPCL平膜(1)または多孔性フィルムとを接触させることによって、腫瘍細胞の浸潤を抑制する、すなわち転移を抑制することができるということがわかった。
(実施例4)
(積層型の細胞増殖抑制フィルムまたは細胞転移抑制フィルムの製造)
(製造例1)
1,2−ポリブタジエン(商品名:RB820、JSR社製)とCap樹脂(重量平均分子量:62,000、数平均分子量:21,000)を、10:1の重量比でクロロホルムに溶解した樹脂溶液(1,2−ポリブタジエンの濃度:0.27重量%)6mlを、直径10cmのガラスシャーレ上に一様に展開した。
次いで、23.0℃、相対湿度40%の雰囲気下、相対湿度70%の高湿度空気を2L/minの流量で、1分間ガラスシャーレ上の液面に吹き付けることにより、膜厚3〜5μmフィルム(P)を得た。
フィルム(P)を光学顕微鏡(BH2、オリンパス社製)を用いて、100倍の倍率で観察した結果、孔がハニカム様に配列されている多孔構造が形成されていることが確認された。その多孔構造を構成する孔の平均孔径は3.5μm、孔径の変動係数は7%であった。なお、平均孔径および孔径の変動係数は、実施例1と同様の方法により求めたものである。
フィルム(P)の膜厚および多孔構造を構成する孔の平均孔径、孔径の変動係数を第2表に示す。
(製造例2)
24.0℃、相対湿度40%の雰囲気下、相対湿度70%の高湿度空気を2L/minの流量で、1分間ガラスシャーレ上の液面に吹き付けたこと以外は前記(1)と同様にして、フィルム(Q)を得た。
得られたフィルム(Q)の膜厚および多孔構造を構成する孔の平均孔径、孔径の変動係数を前記と同様に測定した。測定結果を第2表に示す。
(製造例3、4)
樹脂として、1,2−ポリブタジエンに代えて、ポリウレタン(商品名:ミラクトランE385、日本ミラクトラン社製)を使用し、溶媒として、クロロホルムに代えて、クロロホルムとテトラヒドロフランとの混合溶媒(混合比は重量比で、クロロホルム10に対してテトラヒドロフラン1)を使用すること以外は、それぞれ製造例1、2と同様にして、フィルム(R)、(S)を得た。
得られたフィルム(R)、(S)を光学顕微鏡で観察した結果、孔がハニカム様に配列されている多孔構造が形成されていることが確認された。フィルム(R)、(S)の膜厚および多孔構造を構成する孔の平均孔径、孔径の変動係数を第2表に示す。
Figure 2006118248
(強度試験方法)
得られたフィルム(P)とフィルム(R)を重ね合わせたもの(このものを「フィルムT」とする)、フィルム(Q)とフィルム(S)を重ね合わせたもの(このものを「フィルムU」とする)、フィルム(P)、およびフィルム(Q)のそれぞれを直径10cmの円形に切り取った。フィルム(T)、(U)、(P)および(Q)のそれぞれを、幅10cm、チャック間距離1cmのチャックで両側から挟んで、引張試験機にセットした。この際、チャックとフィルムの間には、1mm厚シリコーンゴム製シートを挟み、フィルムの中心がチャック間に位置するようにした。そして、30mm/minの引張速度で、フィルムを両側から引張り、フィルムが破断したとき(フィルムを重ねた場合は、どちらか一方でも破断したとき)の荷重を記録した。試験結果を第3表に示す。
Figure 2006118248
第3表から、積層フィルム(T)は、単層の樹脂フィルム(P)と比較して破断時荷重が著しく大きく、破れ難いものとなっていた。また、積層フィルム(U)も単層の樹脂フィルム(Q)と比較して破断時荷重が著しく大きく、破れ難いものとなっていた。
従って、積層フィルム(T)、(U)を体内に設置して使用する場合においては、破損し難く、細胞増殖および/または細胞転移を抑制する作用が長期間維持されることが期待される。

Claims (23)

  1. 多孔構造を有することを特徴とする細胞増殖抑制部材。
  2. 前記多孔構造が、少なくとも表面部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞増殖抑制部材。
  3. フィルムである請求項1または2に記載の細胞増殖抑制部材。
  4. 樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに、前記有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させることにより得られるフィルム、またはその延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
  5. 前記フィルムは酸化防止剤を含有してなることを特徴とする請求項3または4に記載の細胞増殖抑制部材。
  6. 前記多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
  7. 前記多孔構造を構成する孔の平均孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
  8. 前記多孔構造を構成する孔の孔径の変動係数が30%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材。
  9. 前記酸化防止剤の含有量が、樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする請求項5に記載の細胞増殖抑制部材。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする細胞増殖抑制方法。
  11. 第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとが積層された積層フィルムであって、前記第2の樹脂フィルムが、請求項1〜9のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材であることを特徴とする積層フィルム。
  12. 多孔構造を有することを特徴とする細胞転移抑制部材。
  13. 前記多孔構造が、少なくとも表面部に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の細胞転移抑制部材。
  14. フィルムである請求項12または13に記載の細胞転移抑制部材。
  15. 樹脂組成物を含む有機溶媒溶液を基板上にキャストし、該有機溶媒を蒸散させるとともに、前記有機溶媒溶液表面で結露を起こさせ、該結露により生じた水滴を蒸発させることにより得られるフィルム、またはその延伸フィルムであることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
  16. 前記フィルムは酸化防止剤を含有してなることを特徴とする請求項14または15に記載の細胞転移抑制部材。
  17. 前記多孔構造を構成する孔がハニカム様に配列されていることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
  18. 前記多孔構造を構成する孔の平均孔径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
  19. 前記多孔構造を構成する孔の孔径の変動係数が30%以下であることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の細胞転移抑制部材。
  20. 前記酸化防止剤の含有量が、樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする請求項16に記載の細胞転移抑制部材。
  21. 請求項12〜20のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材の多孔構造が形成されている部分を細胞に接触させることにより、該接触部における細胞の増殖を抑制することを特徴とする細胞転移抑制方法。
  22. 第1の樹脂フィルムと第2の樹脂フィルムとが積層された積層フィルムであって、前記第2の樹脂フィルムが、請求項12〜20のいずれかに記載の細胞転移抑制部材であることを特徴とする積層フィルム。
  23. 医療用具基材の表面の全部または一部を、請求項1〜9のいずれかに記載の細胞増殖抑制部材、または、請求項12〜20のいずれかに記載の細胞転移抑制部材で被覆してなることを特徴とする医療用具。
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