JP4511986B2 - ファンクラッチ制御方法及び装置 - Google Patents

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本発明はファンクラッチ制御方法及び装置に関するものである。
車両用エンジンに付帯する冷却ファンは、ラジエータ越しに外気を強制的に吸引して、冷却媒体であるクーラントの放熱を助け、ノッキングや潤滑不良の要因となるエンジンの過熱を防ぐ役割を果たしているが、充分な送風量が期待できる車両高速走行時などには、冷却ファンを駆動する分だけエンジン出力の損失が発現し、この結果、燃料消費率の悪化を招く。
そこで、エンジンのクランクシャフトと冷却ファンとの間に電子制御ファンクラッチを介在させ、エンジンの回転が冷却ファンに伝わる接状態、あるいはエンジンの回転が冷却ファンに伝わらない断状態を、車両の運転状況に基づいて選択することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図5はクーラント温度許容範囲に応じたファンクラッチの断接を例示するものであり、クーラント温度が許容範囲を上回った際にファンクラッチを接状態としてエンジンの過熱を防ぎ、また、クーラント温度が許容範囲を下回った際にファンクラッチを断状態としてエンジンの過冷を抑え、a地点出発時からb地点到着時までの間、クーラント温度の変動に見合うようにファンクラッチの断接を多数回にわたってきめ細かく行ない、冷却ファンの累計作動時間を短くしている。
特表2002−519982号公報
しかしながら、実測値を元にしてクーラント温度が許容範囲を外れたか否かだけを判断基準とするファンクラッチの断接手法では、例えば、車両が長い上り勾配に差し掛かってエンジン負荷が急増した場合などに、クーラント温度が許容範囲上限を上回ってから冷却ファンを起動させたのでは放熱が追いつかなくなることが想定される。
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、エンジン負荷の急増に対処できるファンクラッチ制御方法及び装置を提供することを目的している。
上記目的を達成するため本発明は、エンジンと冷却ファンの間に介在させてあるファンクラッチを、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わる接状態とし、クーラント温度が前記許容範囲を下回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするファンクラッチ制御方法であって、クーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを接状態に切り換え、エンジン冷却系の放熱量を先行的に増やす。
また、クーラント温度の下降率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを断状態に切り換え、エンジン冷却系の放熱量を先行的に抑える。
より具体的には、クーラント温度を計測する温度センサ、及びファンクラッチに対してオン信号あるいはオフ信号を送信するコントローラを有する構成を採り、前記温度センサから得た温度信号に基づいて、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際にエンジン回転が冷却ファンに伝わる接状態とするオン信号をファンクラッチへ送り且つクーラント温度が予め設定してある許容範囲を下回った際にエンジン回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするオフ信号をファンクラッチへ送る機能と、クーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを接状態に切り換える機能の双方を、コントローラに具備させる。
これに加えて、クーラント温度の下降率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを断状態に切り換える機能を、コントローラに具備させる。
本発明のファンクラッチ制御方法及び装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
(1)クーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった際に、直ちにファンクラッチを接状態として冷却ファンを起動させ、エンジン冷却系の放熱量を先行的に増やすので、負荷急増に起因したエンジンの過熱を避けることができる。
(2)また、クーラント温度の下降率が予め設定してある値よりも大きくなった際に、直ちにファンクラッチを断状態として冷却ファンを停止させるので、更なる燃料消費率の向上が達成できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は本発明のファンクラッチ制御装置の一例を示すもので、クーラント温度を計測する温度センサ1と、エンジンと冷却ファンの間に介在させてあるファンクラッチ2に対してオン信号3あるいはオフ信号4を送信するコントローラ5とを有している。
コントローラ5は、
A.温度センサ1から得た温度信号6に基づいて、現時点でのクーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際に、エンジン回転が冷却ファンに伝わる接状態とするオン信号3をファンクラッチ2へ送信し、現時点でのクーラント温度が予め設定してある許容範囲を下回った際に、エンジン回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするオフ信号4をファンクラッチ2へ送信する機能と、
B.温度センサ1から得た温度信号6に基づいて、クーラント温度の変化率を求め、現時点のクーラント温度が予め設定してある制御開始温度以上となり且つ温度上昇率が予め設定してある値(エンジン機種ごとに異なる)よりも大きくなった際に直ちにオン信号3をファンクラッチ2へ送信し、温度下降率が予め設定してある値(エンジン機種ごとに異なる)よりも大きくなった際に直ちにオフ信号4をファンクラッチ2へ送信する機能と、
を具備している。
図3はクーラント温度の上昇率や下降率が大きくない(温度線の傾きが急にならない)場合を例示するもので、前述のA項の機能によって、クーラント温度が許容範囲を上回るとファンクラッチ2が接状態となって冷却ファンが起動し、反対にクーラント温度が許容範囲を下回るとファンクラッチ2が断状態となって冷却ファンが停止する。
また、図4はクーラント温度の上昇率や下降率が大きい(温度線の傾きが急になった)場合を例示するもので、前述のB項の機能によって、クーラント温度の上昇率が予め設定した値よりも大きくなると、クーラント温度が許容範囲を上回っているか否に係わらずにファンクラッチ2が接状態となって冷却ファンが起動し、反対にクーラント温度の下降率が予め設定した値よりも大きくなると、クーラント温度が許容範囲を下回っているか否かに係わらずにファンクラッチ2が断状態となって冷却ファンが停止する。
つまり、車両が長い上り勾配に差し掛かるなどしてクーラント温度の上昇が著しい運転状況では、冷却ファンを先行的に起動させてエンジン冷却系の放熱量を増やすので、負荷急増に起因したエンジンの過熱を回避できる。
クーラント温度が許容範囲を上回る前からの冷却ファンの起動は、一見、エンジン出力の浪費のようにも思えるが、このような手法を採用することによってクーラント温度許容範囲を高めに設定できる。
すなわち、エンジン負荷が高い状態が続く場合に、コントローラ5のA項の機能だけに頼って冷却ファンの起動と停止を繰り返したところで、燃料消費量の効果的な削減は期待できないが、コントローラ5のB項の機能によってクーラント温度が許容範囲を上回る前から冷却ファンを先行的に起動させれば、冷却ファンの起動回数が少なくなった分に相応の燃料消費率の向上が期待できる。
また、車両が長い下り勾配に差し掛かるなどしてエンジン冷却系の放熱が過剰となり、クーラント温度の下降が著しい状況運転では、冷却ファンを先行的に停止させて当該冷却ファンの駆動に必要な燃料の削減を図るので、更なる燃料消費率の向上が達成できる。
なお、本発明のファンクラッチ制御方法及び装置は、上述の実施の形態のみに特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
本発明のファンクラッチ制御方法及び装置は、様々な車種に適用できる。
本発明のファンクラッチ制御装置の実施の形態の一例を示す概念図である。 図1に関連した制御フローチャートである。 図1に関連したクーラント温度の変化が急にならない場合のファンクラッチの断接を例示する線図である。 図1に関連したクーラント温度の変化が急になった場合のファンクラッチの断接を例示する線図である。 一定のクーラント温度許容範囲に基づいたファンクラッチの断接を例示する線図である。
符号の説明
1 温度センサ
2 ファンクラッチ
3 オン信号
4 オフ信号
5 コントローラ
6 温度信号

Claims (5)

  1. エンジンと冷却ファンの間に介在させてあるファンクラッチを、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わる接状態とし、クーラント温度が前記許容範囲を下回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするファンクラッチ制御方法であって、クーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを接状態に切り換えることを特徴とするファンクラッチ制御方法。
  2. クーラント温度の下降率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを断状態に切り換える請求項1に記載のファンクラッチ制御方法。
  3. エンジンと冷却ファンの間に介在させてあるファンクラッチを、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わる接状態とし、クーラント温度が前記許容範囲を下回った際にエンジンの回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするコントローラを有し、クーラント温度が予め設定してある制御開始温度以上になり且つクーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを接状態に切り換えることを特徴とする機能を、コントローラに具備させたことを特徴とするファンクラッチ制御装置。
  4. クーラント温度を計測する温度センサと、エンジンと冷却ファンの間に介在させてあるファンクラッチに対してオン信号あるいはオフ信号を送信するコントローラを有し、前記温度センサから得た温度信号に基づいて、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を上回った際にエンジン回転が冷却ファンに伝わる接状態とするオン信号をファンクラッチへ送り、クーラント温度が予め設定してある許容範囲を下回った際にエンジン回転が冷却ファンに伝わらない断状態とするオフ信号をファンクラッチへ送る機能と、クーラント温度の上昇率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを接状態に切り換える機能の双方を、コントローラに具備させたことを特徴とするファンクラッチ制御装置。
  5. クーラント温度の下降率が予め設定してある値よりも大きくなった場合に直ちにファンクラッチを断状態に切り換える機能を、コントローラに具備させた請求項3または請求項4のいずれかに記載のファンクラッチ制御装置。
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