JP4509729B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、毛髪にハリ・コシを付与する毛髪化粧料及び毛髪処理方法に関する。
従来、毛髪の内部に物質を浸透させて毛髪の物性や外観、感触を改質する方法として毛髪成分と類似したコラーゲン、ケラチン等の分解物及び誘導体を補充する方法が提案されているが、未だ十分な効果とはいえない。
一方、アルカリ処理した毛髪に、アルキルトリアルコキシシランを用いて、毛髪を強化する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、有機ケイ素化合物等を用い部分的又は全体的に加水分解し、部分的又は全体的に重合させることで得られる有機ケイ素化合物を、爪、毛髪等のケラチン物質に適用することで、ケラチン物質を保護および強化するための方法も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
しかしながら、これらの技術では、有機ケイ素化合物は、ケラチン表面にのみ存在するものであるため、洗浄により効果が無くなったり、ケラチン表面の感触が本来の感触でなくなったりするという問題を有する。
特開昭61-7号公報 特表2000-510167号公報 特開2002-97114号公報
本発明は、毛髪繊維、特にハリ・コシがない毛髪(化学処理等で損傷した毛髪、欧米人や高齢者の細い毛髪等)に対し、優れたハリ・コシを付与することができる毛髪化粧料及び毛髪処理方法を提供することを目的とする。ここで、ハリ・コシを付与するとは、毛髪弾性を向上させることをいう。
本発明者は、アルコキシシランを加水分解する際に、有機酸を共存させることにより、加水分解で生成したシラノール化合物の重合を適度な速度に抑制することができること、及びその結果、シラノール化合物を毛髪に浸透させ、かつ毛髪内部で重合させることができ、毛髪に優れたハリ・コシを付与できることを見出した。この技術によれば、毛髪内でシラノール化合物を重合し、毛髪内部から毛髪の改質を行うことができるため、従来の有機ケイ素化合物を用いて毛髪表面に被膜を形成させ毛髪を強化及び保護する技術に比べ、明らかに毛髪改質効果、感触及び持続性に優れている。
本発明は、第一の態様として、次の一般式(1)で表されるアルコキシシラン(以下「アルコキシシラン(1)」という)を含有する第1剤と、有機酸及び水を含有しpH2〜5である第2剤からなる毛髪化粧料、第二の態様として、アルコキシシラン(1)、有機酸及び水を配合してなり、pHが2〜5である毛髪化粧料を提供するものである。
1 pSi(OR2)4-p (1)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、p個のR1及び(4−p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは0〜3の整数を示す。〕
また本発明は、上記第一の態様の毛髪化粧料における第1剤と第2剤とを混合して得られる混合物、又は第二の態様の毛髪化粧料を毛髪に塗布し、アルコキシシラン(1)の加水分解で生成する次の一般式(2)で表されるシラノール化合物を毛髪に浸透させる毛髪処理方法を提供するものである。
1 pSi(OH)n(OR2)4-p-n (2)
〔式中、R1、R2及びpは前記と同じ意味を示し、nは1以上(4−p)以下の整数を示す。p個のR1及び(4−p−n)個のR2は同一でも異なってもよい。〕
本発明によれば、アルコキシシランの加水分解で生成したシラノール化合物を毛髪に浸透させ、かつ毛髪内部で重合させることができるため、毛髪直径が増加する。その結果として、毛髪、特に、ハリ・コシがない毛髪(損傷毛、細い毛髪等)に対し、優れたハリ・コシを付与することができる。更に、毛髪のまとまり性向上効果や、くせ毛の矯正効果も得られる。また、その効果はシャンプーを繰り返しても持続する。
本発明の毛髪処理方法における「毛髪処理」とは、毛髪をハリ・コシやまとまりのある髪質に改質することをいう。
〔アルコキシシラン(1)〕
一般式(1)中のR1及びR2において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。特に、R2としては、加水分解により生じる副生成物の安全性、加水分解反応の反応性等の点から、エチル基が好ましい。
アルコキシシラン(1)は、本発明の毛髪化粧料が二剤式の場合には、水を含有しない第1剤に配合され、水を含有する第2剤と混合後、加水分解によって水溶性のシラノール化合物(2)となり、毛髪内への浸透が可能になる。生成するシラノール化合物(2)の物性、毛髪内への浸透性の点から、一般式(1)中のpは0〜2が好ましい。アルコキシシラン(1)としては、アルキル(炭素数1〜6)トリメトキシシラン、アルキル(炭素数1〜6)トリエトキシシラン、ジアルキル(炭素数1〜6)ジエトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシラン(1)の含有量は、架橋反応による反応性の点から、本発明の毛髪化粧料中(二剤式の場合には第1剤と第2剤を合わせた全組成中;以下同じ)の4重量%以上、特に12重量%以上が好ましく、また82重量%以下、特に58重量%以下が好ましい。また、第1剤中のアルコキシシラン(1)の含有量は、保存安定性の点から、70〜100重量%、更には80〜100重量%、特に90〜100重量%が好ましい。
〔有機酸〕
有機酸としては、シュウ酸(pKa=1.04,3.82)、マレイン酸(pKa=1.75,5.83)、アスパラギン酸(pKa=1.93,3.70)、サリチル酸(pKa=2.81)、酒石酸(pKa=2.82,3.96)、フマル酸(pKa=2.85,4.10)、クエン酸(pKa=2.90,4.34)、リンゴ酸(pKa=3.24,4.71)、コハク酸(pKa=4.00,5.24)、蟻酸(pKa=3.55)、乳酸(pKa=3.66)、グルタル酸(pKa=4.13,5.01)、アジピン酸(pKa=4.26,5.03)、酢酸(pKa=4.56)、プロピオン酸(pKa=4.67)等を例示することができるが、pH調整が容易な点から、第1解離指数(pKa1)が2.9〜5.0、特に3.5〜5.0の範囲にある有機酸が好ましい。なかでも、シラノール化合物(2)の重合反応の制御が容易であるグルタル酸、アジピン酸、酢酸及びプロピオン酸が好ましく、特に、臭気が少ないアジピン酸が好ましい。
有機酸は、本発明の毛髪化粧料が二剤式の場合には、第1剤に配合されるアルコキシシラン(1)とは別個に第2剤に配合することが溶解性、保存安定性の点から好ましい。有機酸の含有量は、重合反応の抑制の点から、本発明の毛髪化粧料中の0.001〜5重量%、特に0.001〜1重量%が好ましい。
〔水〕
水は、本発明の毛髪化粧料が二剤式の場合には、第1剤に配合されるアルコキシシラン(1)とは別個に、第2剤に配合され、その含有量は、毛髪を十分に膨潤させ、加水分解で生成するシラノール化合物(2)を毛髪へ十分浸透させる観点から、本発明の毛髪化粧料中の20〜95重量%、特に30〜86重量%が好ましい。
〔pH〕
本発明の毛髪化粧料は、アルコキシシラン(1)を加水分解させ、シラノール化合物(2)を生成させる必要性、及びシラノール化合物(2)を毛髪内に浸透させて毛髪内で重合反応をさせるために、重合反応を遅らせる必要がある。このためにpH(20℃)は2〜5に調整されるが、3〜4が好ましい。なお、二剤式の場合には第2剤のpH(20℃)が上記範囲に調整される。
〔その他の成分〕
また、シラノール化合物(2)を溶解する目的で、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級1級アルコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤を使用することもできるが、その量が多すぎると、本発明の毛髪化粧料を毛髪に塗布した際に、毛髪が十分に膨潤せず、シラノール化合物(2)が十分に浸透し難くなる。そのため、水溶性有機溶剤の使用量は、本発明の毛髪化粧料中の35重量%以下、特に20重量%以下とすることが好ましい。なお、これ以外に、アルコキシシラン(1)の加水分解後の毛髪化粧料には、副生物としてのR2OHが含有されることになる。
本発明の毛髪化粧料には、その他、界面活性剤、油剤、シリコーン誘導体、カチオン性ポリマー、保湿剤、粘度調整剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤等を、目的に応じて適宜配合することができる。
〔毛髪化粧料の形態〕
本発明の毛髪化粧料の形態は、長期間安定である点から、好適には、アルコキシシラン(1)を含有する第1剤と、有機酸及び水を含有しpH2〜5である第2剤からなるものであるが、使用直前にアルコキシシラン(1)、有機酸及び水、並びにその他任意成分を混合し、pHを2〜5とすることによって調製されたものであってもよい。
本発明の毛髪化粧料を、使用直前にアルコキシシラン(1)、有機酸及び水、並びにその他任意成分を混合することによって調製する場合、混合する順序は、特に限定されないが、加水分解によって生成したシラノール化合物(2)は、即座に重合反応を開始するので、これを抑制するため、有機酸と水を混合した後にアルコキシシラン(1)を混合することが好ましい。
本発明の二剤式毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を使用直前に混合することにより、又はアルコキシシラン(1)、有機酸及び水、並びにその他任意成分を混合することにより、アルコキシシラン(1)は、加水分解によって水溶性のシラノール化合物(2)となり、毛髪内への浸透が可能になる。シラノール化合物(2)の物性、毛髪内への浸透性の点から、一般式(2)中のpは0〜2が好ましく、nは2〜4が好ましく、(4−p−n)は0が好ましい。また、シラノール化合物(2)の分子量は、毛髪内への浸透のし易さから、300以下、特に90〜200が好ましい。
〔毛髪処理方法〕
本発明の毛髪化粧料を用いて毛髪を処理するには、本発明の二剤式毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を使用直前に混合後、又はアルコキシシラン(1)、有機酸及び水、並びにその他任意成分を使用直前に混合後、振とう攪拌して、目視で混合溶液が均一な1相になったことを確認した後に、得られた混合物を毛髪に塗布するのが好ましい。第1剤と第2剤の混合割合(第1剤/第2剤の重量比)は、好ましくは80/20〜1/99、更に好ましくは60/40〜20/80である。混合直後はお互いに相溶しない状態であったのが、振とう攪拌を継続するうちに均一な1相となることで、アルコキシシラン(1)が加水分解し、シラノール化合物(2)が生成したことを確認することができる。
得られた混合物を放置すれば、シラノール化合物(2)の重合反応が進むので、30分以内、特に15分以内に、得られた混合物を毛髪に塗布することが好ましい。これにより、シラノール化合物(2)を毛髪内に浸透させることができる。塗布する毛髪は、濡れていてもよく、乾いていてもよい。乾燥した毛髪1gに対して、前記混合物を、0.5g〜3g塗布することが好ましい。塗布する対象は、人の頭髪であってもよく、かつら等の毛髪であってもよい。
シラノール化合物(2)を毛髪に十分に浸透させるために、毛髪に塗布しておく時間は、15〜90分、特に20〜60分が好ましい。塗布後一定時間放置することで、シラノール化合物(2)の浸透及び重合反応を進める。この際、毛髪の塗布部を40〜90℃、好ましくは40〜60℃に加温してもよい。場合によっては酸、塩基などを毛髪に塗布し、シラノール化合物(2)の重合反応を促進してもよい。重合反応後に毛髪表面に付着しているシラノール化合物、及びその重合物は、毛髪乾燥後に被膜となり、毛髪感触の悪化を引き起こす原因になるため、シャンプー等で十分に除去することが好ましい。
試験例1
300mLナス型フラスコに、イオン交換水74.9gを量り取り、表1に示す各種添加剤(有機酸、無機酸又はアルカリ剤)0.1gを添加し、室温で攪拌して溶解させ、これにメチルトリエトキシシラン25.0gを混合した。この混合物を、40℃恒温水槽中で7cmの半月形テフロン(登録商標)製の攪拌羽根を備えた攪拌棒を用いて200rpmの攪拌速度で攪拌した。当初静置すると2相分離するが、加水分解反応によって生成するメチルシラントリオールは水溶性であるため、反応終了後は透明な均一水溶液(メチルシラントリオール、エタノール、水を含む)となる。
更に攪拌を続けると、メチルシラントリオールが重合して分子量が増加し、水−エタノール溶液に不溶となるため、溶液が白濁する。この透明溶液が白濁するまでの時間が短いと、メチルシラントリオールが毛髪に十分に浸透せず、毛髪表面近傍で重合してしまうため、毛髪に対する優れたハリ・コシ付与効果が得られない。この加水分解後の透明溶液が白濁するまでの時間を測定し、表1に示した。
表1から明らかなように、添加剤として無機酸又はアルカリ剤を用いた場合には、加水分解後、シラノール化合物の重合が速く、毛髪内に浸透させることができない。なお、添加剤を添加しない場合及びアルカリ剤を用いた場合には、加水分解の終了までに5時間以上を要した。
実施例1
300mLナス型フラスコに、イオン交換水75.0gを量り取り、アジピン酸0.01gを添加し、室温で攪拌して溶解させて第2剤(pH4.0)を製造し、メチルトリエトキシシラン25.0gからなる第1剤と混合した。この混合物を、40℃恒温水槽中で7cmの半月形テフロン(登録商標)製の攪拌羽根を備えた攪拌棒を用いて200rpmの攪拌速度で3時間攪拌した。当初静置すると2相分離するが、反応終了後は均一水溶液となり、目的とするシラノールを含む水溶液が得られた。得られた水溶液中には、29Si-NMRによりメチルシラントリオールが14重量%含有されていることを確認した。また、得られた水溶液のpHは、4.0であった。
一人の欧米人から採取した化学処理履歴のない毛髪を用いて、5gの毛束を作製した。次いで、この毛束に上記のシラノールを含む水溶液10gをむらなく塗布した。室温で1時間静置し、15分間熱風ドライヤーを用いて乾燥硬化させた。その後、表2に示す組成のシャンプーで洗髪し、表3に示す組成のヘアリンスで処理してから乾燥した。
上記処理後の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図を図1に示す。また、未処理の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図を図2に示す。ここで、FE-SEM-EDSケイ素元素マッピングとは、FE-SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)にEDS(エネルギー分散型X線分光装置)が付属した装置で、毛髪断面のケイ素元素のマッピングを行ったものである。
このケイ素元素マッピングから、化粧料処理後の毛髪内へのケイ素化合物の浸透を評価したところ、毛髪中心部まで浸透していることが確認された。
更に、下記方法により、毛髪へのケイ素化合物の収着量(ケイ素元素収着量)を測定したところ、毛髪重量に対して2.5〜3.0重量%であった。
また化粧料処理後の毛髪について、下記方法で曲げ弾性試験を行った結果、未処理毛に対して曲げ弾性で40〜50%の増加を示した。更に、化粧料処理後の毛髪の毛束は、手の感触により、ハリ・コシが増加しているのが感じられた。この感触は、シャンプーを3〜5回繰り返しても持続した。
<毛髪へのケイ素化合物の収着量評価方法>
毛髪へのケイ素化合物の収着量評価には「ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置(堀場製作所,JY238ULTRACE)」を用いた。ケイ素化合物の収着量は、灰化/アルカリ溶融/ICP法を用いて測定したケイ素元素の量に基づき、ケイ素元素収着量として求めた。
試料0.1gを白金坩堝に採取し、ヒーターで煙が出なくなるまで炭化後、550℃の電気炉に2時間入れ灰化させる。冷却後、残った灰分上にアルカリ融剤(Na2CO3:H3BO3=5:2)1gを加え、950℃電気炉30分でアルカリ溶融し、冷却後、6N塩酸4mLで溶解して純水で50mLにメスアップしたものを試料溶液とした。吸収波長251.612nm、積分時間3秒で3回測定し、その平均値から、検量線を使用してケイ素元素量を求めた。毛髪へのケイ素元素収着量の計算法は次のとおりである。
ケイ素元素収着量(%)=〔ケイ素元素量(mg)/毛髪重量(g)〕×0.1
<曲げ弾性試験方法>
曲げ弾性試験には「純曲げ試験機(カトーテック,KES-FB2-S)」を使用し、毛髪の曲げに要する力(曲げ弾性)の測定を行った。
毛髪は、両端をそれぞれ3cm切り落とし、長さが5cm以上の毛髪のみを評価試験に用いた。また、測定に先立ち少なくとも24時間、65%の相対湿度中に置いた。図3に示すように、10mm間隔で並べた長さ51mm、幅15mmの方眼紙2枚に、50本の人毛を貼り付けたものを測定サンプルとした。これを純曲げ試験機に取り付け、曲げ弾性測定を行った。測定条件は、20℃、相対湿度65%、感度:2×1、最大曲げ曲率:2.5cm-1とした。曲げ弾性は、曲率1.0〜2.0cm-1の間の毛髪1本あたりの曲げに必要な力を直線近似したときの直線の勾配から求めた。
実施例2
一人の欧米人から採取した化学処理履歴のない毛束(20cm,10g)に、ラビナスハイブリーチ(花王)を塗布し60℃で30分の加温処理を行った後、エマール20CM-S(花王,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム25重量%品)にて洗浄後、自然乾燥させた。それぞれ所定の回数ブリーチ処理を繰り返し、化学処理履歴毛髪を得た。
その後実施例1と同様の毛髪化粧料を用い、同様の方法で毛髪を処理した。処理後のケイ素元素収着量を実施例1と同様に測定した。また、毛髪化粧料処理前後の毛髪のまとまり性を下記方法で評価した。これらの結果を表4に示す。
また、ブリーチ処理3回後の毛髪を本発明の毛髪化粧料で処理して得られた毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図を図4に示す。このケイ素元素マッピング図から、ケイ素化合物が毛髪中心部まで浸透していることが確認された。
表4から明らかなように、本発明の化粧料処理によるケイ素元素収着量は、ブリーチ回数と共に増加した。
比較例1
0.1mo1/L塩酸75.0gを第2剤、メチルトリエトキシシラン25.0gを第1剤とし、これらを300mLナス型フラスコに入れ、室温で7cmの半月形テフロン(登録商標)製の攪拌羽根を備えた攪拌棒を用いて200rpmの攪拌速度で攪拌した。当初静置すると2相分離するが、攪拌を続けるうちに均一水溶液となり、目的とするシラノール水溶液(pH1)からなる毛髪化粧料を得た。
得られた毛髪化粧料により、実施例1と同様の方法で毛髪を処理し、処理毛髪を得た。得られた毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図を図5に示す。このマッピング図から、ケイ素化合物は毛髪表面に存在し、内部まで浸透していないことがわかった。またケイ素元素収着量を実施例1と同様の方法で測定したところ、3500ppmであり、内部まで浸透している実施例1に比べ少なかった。
比較例2
イオン交換水(pH6.6)75.0gにメチルトリエトキシシラン25.0gを添加し、7cmの半月形テフロン(登録商標)製の攪拌羽根を備えた攪拌棒を用いて200rpmの攪拌速度で室温攪拌した。2相分離状態から均一水溶液を得るために攪拌を続けたが目的とする均一透明な水溶液は得られず、ケイ素化合物が部分重合したと思われる白濁水溶液が得られた。
この白濁水溶液で実施例1と同様の方法で毛髪を処理し、処理毛髪を得た。またケイ素元素収着量を実施例1と同様の方法で測定したところ、ケイ素元素収着量は50ppm以下で未処理毛と差が見られなかった。
比較例3
メチルトリエトキシシラン25.0gにエタノール75.0gを加えて毛髪処理溶液を得た。この溶液を用い、実施例1と同様の方法で毛髪を処理し、処理毛髪を得た。得られた毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図を図6に示す。このマッピング図から、毛髪の表面および内部でのケイ素化合物の存在が確認できなかった。またケイ素元素収着量を実施例1と同様の方法で測定したところ、ケイ素元素収着量は50ppm以下で未処理毛と差が見られなかった。
実施例1における毛髪処理後の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図である。 未処理毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図である。 曲げ弾性試験に用いた測定サンプルを示す図である。 実施例2における毛髪処理後の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図である。 比較例1における毛髪処理後の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図である。 比較例3における毛髪処理後の毛髪断面のFE-SEM-EDSケイ素元素マッピング図である。

Claims (4)

  1. 次の一般式(1)
    1 pSi(OR2)4-p (1)
    〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、p個のR1及び(4−p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは0〜の整数を示す。〕
    で表されるアルコキシシランを含有する第1剤と、有機酸及び水を含有しpH2〜5である第2剤からなる毛髪化粧料の第1剤と第2剤とを、使用直前に混合して、混合溶液が均一な1相になったことを確認した後30分以内に毛髪に塗布し、15〜90分間放置することによって、一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解で生成する次の一般式(2)
    1 pSi(OH)n(OR2)4-p-n (2)
    〔式中、R1、R2及びpは前記と同じ意味を示し、nは1以上(4−p)以下の整数を示す。p個のR1及び(4−p−n)個のR2は同一でも異なってもよい。〕
    で表される分子量300以下のシラノール化合物を毛髪に浸透させ、毛髪内部で重合させる毛髪処理方法。
  2. 第1剤と第2剤を合わせた全組成中の水の含有量が、20〜95重量%である請求項1記載の毛髪処理方法。
  3. 次の一般式(1)
    1 pSi(OR2)4-p (1)
    〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、p個のR1及び(4−p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは0〜の整数を示す。〕
    で表されるアルコキシシラン、有機酸及び水を使用直前に混合して、pHが2〜5である毛髪化粧料を調製し、混合溶液が均一な1相になったことを確認した後30分以内に毛髪に塗布し、15〜90分間放置することによって、一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解で生成する次の一般式(2)
    1 pSi(OH)n(OR2)4-p-n (2)
    〔式中、R1、R2及びpは前記と同じ意味を示し、nは1以上(4−p)以下の整数を示す。p個のR1及び(4−p−n)個のR2は同一でも異なってもよい。〕
    で表される分子量300以下のシラノール化合物を毛髪に浸透させ、毛髪内部で重合させる毛髪処理方法。
  4. 毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、塗布部を加温する、請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理方法。
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