JP4509506B2 - 4−アルキルフェノール類の製造方法 - Google Patents

4−アルキルフェノール類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4509506B2
JP4509506B2 JP2003295177A JP2003295177A JP4509506B2 JP 4509506 B2 JP4509506 B2 JP 4509506B2 JP 2003295177 A JP2003295177 A JP 2003295177A JP 2003295177 A JP2003295177 A JP 2003295177A JP 4509506 B2 JP4509506 B2 JP 4509506B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
phenol
alkylphenols
phenols
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003295177A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004203861A (ja
Inventor
嘉久 辻
雅義 山中
秀治 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2003295177A priority Critical patent/JP4509506B2/ja
Publication of JP2004203861A publication Critical patent/JP2004203861A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4509506B2 publication Critical patent/JP4509506B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は4−アルキルフェノール類の製造方法に関する。本発明により製造される4−アルキルフェノール類は、各種の合成原料として用いられ、特に4−tert−ブチルフェノール(以下、これを4−TBPと略称する)はポリカーボネート樹脂の分子量調節剤やフェノール樹脂、界面活性剤などの原料として有用である。
従来、4−アルキルフェノール類を製造する方法として、フェノール類とオレフィン、アルコールまたはエーテルを触媒の存在下に反応させて、フェノール類をアルキル化する方法が知られている。フェノール類とオレフィンから4−アルキルフェノール類を製造する方法として、フェノール類にオレフィンを酸触媒の存在下に付加反応させた後、不均化反応させる方法が知られている(特許文献1参照)。この方法の場合、原料のオレフィンに由来する副生成物の生成を抑制するために、高純度のオレフィンを使用する必要がある。特に、低沸点のオレフィンを使用する場合には、蒸留などの操作により高純度のオレフィンを得ることが難しいため、原料となるアルコール類またはエーテル類を精製し、それらの脱水反応または脱アルコール反応を高選択率で行い、かつ得られたオレフィンを蒸留などの精製手段を用いて所望の純度まで高める必要があり、コスト高になり経済的ではない。一方、アルコールまたはエーテルを原料とする場合には、高純度のオレフィンを使用する場合に比べ、その調製コストが安く、取扱いが容易であるなどの利点がある。その反面、アルコールを原料とする場合に生成する水またはエーテルを原料とする場合に生成するアルコールが触媒活性を低下させる場合には、それぞれ該生成する水またはアルコールを系外に除去する必要がある。
フェノール類とエーテルを触媒の存在下に反応させて4−アルキルフェノール類を製造する方法として、例えば、(1)陽イオン交換樹脂の存在下にフェノールをメチルtert−ブチルエーテル(以下、これをMTBEと略称する)でアルキル化する方法(非特許文献1参照)、(2)フェノール、ピロカテコールなどの水酸化芳香族化合物とアルキル第3級ブチルエーテルを、硫酸またはイオン交換樹脂の存在下に60〜130℃の温度で反応させ、生成したアルコールを除去し、このアルコールの不存在下に反応を完了することにより、水酸化芳香族化合物を第3級ブチル化する方法(特許文献2参照)、(3)金属含有Y型ゼオライトの存在下に液相で、好ましくは200〜320℃の温度でフェノール類をアルコールまたは/およびエーテルでアルキル化する方法(特許文献3および特許文献4参照)などが知られている。
上記の方法(1)および(2)では、陽イオン交換樹脂がエーテルを分解してオレフィンを発生させる温度において、生成したアルコールの存在下では陽イオン交換樹脂の耐久性が低いことから、生成したアルコールを系外に除去する必要がある。また、硫酸を使用する場合には、生成したオレフィンが硫酸により異性化するため、反応生成物が複雑になるなどの問題がある。上記の方法(3)では、生成する4−アルキルフェノール類の選択性が低く、分離困難な2−アルキルフェノール類が副生するという問題がある。
特開平8−12610号公報(第2頁) 特開昭57−67529号公報(第1頁および第2頁) 特開昭62−240637号公報(第1頁および第4頁) 特開昭62−246532号公報(第1頁および第4頁) キャタリシス レターズ(Catalysis Letters)、第19巻(1993年)、第316頁(テーブル6)
本発明の目的は、4−アルキルフェノール類を高選択率および高収率で製造し得る工業的に有利な方法を提供することにある。
本発明は、合成ゼオライトの存在下、4位未置換フェノール類とアルキルエーテルを50〜110℃の温度で反応させ(第一工程)、得られた反応混合物において液相中に含まれる生成した水を除去し(第二工程)、次いで、生成した水の除去後の反応混合物において90〜150℃の温度で、酸触媒の存在下に転位反応を行う(第三工程)ことを特徴とする4−アルキルフェノール類の製造方法であって、該4位未置換フェノール類が、フェノール、2−クレゾール、3−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノールから選ばれ、該アルキルエーテルがメチルtert−ブチルエーテルである4−アルキルフェノール類の製造方法である。

本発明の好ましい実施形態においては、第三工程において、反応混合物の液相中のアルコール濃度を0.5重量%以下に調整し、さらに4位未置換フェノール類の量を、第一工程でアルキル化反応に消費されたアルキルエーテルに対して、1〜10倍モルの範囲に調整して転位反応を行う。さらに、4位未置換フェノール類としてフェノールを用い、かつアルキルエーテルとしてMTBEを用いて4−TBPを製造する。
本発明は、合成ゼオライトの存在下、4位未置換フェノール類とアルキルエーテルを50〜110℃の温度で反応させ(第一工程)、得られた反応混合物において液相中に含まれる生成した水を除去し(第二工程)、次いで、生成した水の除去後の反応混合物において90〜150℃の温度で、酸触媒の存在下に転位反応を行う(第三工程)ことを特徴とする4−アルキルフェノール類の製造方法であって、該4位未置換フェノール類が、フェノール、2−クレゾール、3−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノールから選ばれる4−アルキルフェノール類の製造方法である。
上記の特徴により、上記の方法(1)および(2)で見られるような触媒の劣化を抑制することができると共に、酸性成分が反応液中に含まれることがないため、中和操作などの煩雑な操作を回避することができる。また、上記の特徴により、4−アルキルフェノール類の選択性が高く、上記の方法(3)で見られるような分離困難な2−アルキルフェノール類の副生を抑制することができる。さらにまた、第二工程で生成したアルコールを除去することにより、第三工程における酸触媒の活性低下が抑制され、2,4−ジアルキル化フェノール類、2,6−ジアルキル化フェノール類、2,4,6−トリアルキル化フェノール類などから4−アルキルフェノール類へのアルキル基の転位反応が選択性よく短時間で進行する。そして、酸触媒として酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合でも、選択性よく4−アルキルフェノール類を製造することができ、しかも、この場合には転位反応の温度を90℃まで下げることができ、生成したアルコールが存在しないため、酸性成分の流出、イオン交換樹脂の劣化を抑制することができる。
まず、第一工程について説明する。
第一工程では、合成ゼオライトの存在下、4位未置換フェノール類とアルキルエーテルを50〜110℃の温度で反応させて、4位未置換フェノール類のアルキル化を行う。
4位未置換フェノール類としては、例えばフェノール、2−クレゾール、3−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。
アルキルエーテルとしては、導入するアルキル基に合わせたアルキルエーテルが使用され、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、MTBE、エチルtert−ブチルエーテル、n−プロピルtert−ブチルエーテル、イソプロピルtert−ブチルエーテル、n−ブチルtert−ブチルエーテル、イソブチルtert−ブチルエーテルなどが挙げられる。アルキルエーテルの使用量は、4位未置換フェノール類1モルに対して0.1〜2モルの範囲であるのが好ましく、0.2〜1モルの範囲であるのがより好ましい。
合成ゼオライトとしては、例えばX型、Y型、β型、L型、モルデナイトなどの大口径ゼオライト、ZSM、SAPOなどに代表される中口径ゼオライト、MCMなどに代表されるメソポーラスシリケートなどが挙げられる。これらの中でも、Y型、β型、L型およびモルデナイトが好ましい。通常、合成ゼオライトはゼオライト中にアルカリ金属、アルカリ土類金属などをイオン形態として有しており、本発明においては、これらの少なくとも一部を、遷移金属イオン、アルミニウムイオンおよびプロトンからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと交換したものが用いられる。
合成ゼオライトとしては、反応効率を高めるために、ゼオライトが有する酸性度、すなわちシリカ/アルミナ比率が小さく、しかもゼオライトが有するアルカリ金属、アルカリ土類金属などが水素原子に置換されたものが好ましい。また、4−アルキルフェノール類の選択性を向上させるために、該4−アルキルフェノール類の分子サイズにあった細孔を有するゼオライトを使用するのが好ましい。例えば、4−TBPを製造する場合には、ゼオライト種として、モルデナイト、β型ゼオライトを使用するのが好ましく、シリカ/アルミナ比率が1〜200の範囲であるものが好ましく、5〜150の範囲であるものがより好ましく、5〜50の範囲であるものが特に好ましい。
合成ゼオライトの形状は、特に制限されるものではなく、粉末状、顆粒状、塊状などのものを使用することができる。また、粉末状、顆粒状のものを成形して用いてもよく、成形品の形状としては、例えば球状、円筒状、リング状、星型状などが挙げられる。また、合成ゼオライトの粒子の大きさは特に限定されるものではなく、粒子が小さいほど表面積は大きくなり、反応活性が高くなることは言うまでも無いが、通常操作に影響を与えない範囲、1〜800ミクロンの粒子を使用する。
合成ゼオライトの使用量は、反応方式により異なり、例えばバッチ式の場合、4位未置換フェノール類に対して1〜100重量%の範囲であるのが好ましく、反応効率を考慮すれば、5〜25重量%の範囲であるのがより好ましい。合成ゼオライトの使用量が少ない場合には、反応速度が遅くなる傾向となり、多い場合には、経済的に不利であり、いずれの場合も好ましくない。
アルキル化反応は溶媒の存在下または不存在下で行う。溶媒としては、反応に不活性であれば特に制限はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが使用される。これらの中でも、トルエンを使用するのが好ましい。溶媒を存在させる場合、その使用量は特に限定されないが、反応効率、操作性、経済性などの観点より、4位未置換フェノール類に対して1〜20倍重量の範囲であるのが好ましい。
アルキル化反応は、50〜110℃の範囲の比較的低い温度で実施する。反応温度が50℃未満の場合には、反応の進行が極めて遅くなり、反応効率が悪くなる。また、反応温度が110℃を超える場合には、目的とする4−アルキルフェノール類の選択率が低下するだけでなく、原料のアルキルエーテルや4位未置換フェノール類が高分子量化して、高沸点を有する化合物の副生が増大する。
アルキル化反応は常圧、減圧、加圧のいずれの圧力下でも実施できる。反応様式はバッチ式でも連続式でもよい。合成ゼオライトを充填した層に、4位未置換フェノール類およびアルキルエーテルを通過させる固定床方式でも、また流動床方式、移動床方式でも実施することができる。
アルキル化反応時間は、1〜30時間の範囲であるのが好ましく、5〜10時間の範囲であるのがより好ましい。反応時間が1時間未満の場合には、反応が十分に進行せず、反応効率が低くなる傾向にあり、また30時間を超える場合には、高沸点を有する化合物の副生が増大する傾向にあり、いずれの場合も好ましくない。
アルキル化反応により得られた反応混合物は、必要に応じて該反応混合物より合成ゼオライトが除去された後に、第二工程に付される。
次に、第二工程について説明する。
第二工程では、第一工程で得られた反応混合物の液相中から生成したアルコールを除去する。
アルコールを除去する方法としては、蒸留により除去する方法、反応混合物中に窒素、アルゴンなどの不活性ガスを吹き込む方法、アルコール吸着剤、例えばモレキュラーシーブ、ゼオライト、アルミナ、活性炭などにより吸着除去する方法などが挙げられる。後述する第三工程において使用する酸触媒の活性を有意に保持するためには、転位反応に付される反応混合物の液相中に残留するアルコールの濃度を0.5重量%以下に調整するのが好ましい。0.5重量%を越える場合には、酸触媒の活性が十分に発揮されず、第三工程における転位反応速度が著しく低下する。
次に、第三工程について説明する。
第三工程では、第一工程で生成した2−アルキル化フェノール類、3−アルキル化フェノール類、2,4−ジアルキル化フェノール類、2,6−ジアルキル化フェノール類、2,4,6−トリアルキル化フェノール類などからアルキル基が脱離し、4位未置換フェノール類の4位に付加する「アルキル基の転位反応」を生起させ、4−アルキルフェノール類を得る。
酸触媒としては、例えば、合成ゼオライト、酸性陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
合成ゼオライトとしては、4位未置換フェノール類の4位にアルキル基を導入するために、目的とする4−アルキルフェノール類の分子サイズにあった細孔を有するゼオライトを使用するのが好ましい。また、ゼオライトが有する酸性度(シリカ/アルミナ比率)が小さく、しかもゼオライトが有するアルカリ金属、アルカリ土類金属などが水素原子に置換されたものが好ましい。合成ゼオライトの酸性度が高すぎる場合、目的とする4−アルキルフェノール類の分解反応を促進し、4−アルキルフェノール類の選択率が低くなる傾向にあるので好ましくない。例えば、4−TBPを製造する場合には、ゼオライト種として、β型またはY型ゼオライトを使用するのが好ましく、シリカ/アルミナ比率が1〜200の範囲であるものが好ましく、5〜150の範囲であるものがより好ましく、5〜50の範囲であるものが特に好ましい。
合成ゼオライトは、水分を吸着しているため、予め脱水処理して使用するのが好ましい。脱水処理は、例えば、100〜300℃の温度で数時間加熱することにより行われる。脱水処理は、窒素や空気などの気流下に実施してもよい。また、合成ゼオライトは、アルキル化反応に用いたものと同じでもよいし、異なっていてもよい。転位反応を行うに際しては、アルキル化反応で用いた合成ゼオライトを除去してもよいし、除去することなく転位反応を行ってもよい。
合成ゼオライトの使用量は、反応方式により異なり、例えばバッチ式の場合、原料である4位未置換フェノール類および生成物である4−アルキルフェノール類の合計重量に対して、1〜100重量%の範囲であるのが好ましく、反応効率を考慮すれば、5〜25重量%の範囲であるのがより好ましい。合成ゼオライトの使用量が少ない場合には、反応速度が遅く、多い場合には、経済的に不利であり、いずれの場合も好ましくない。
酸性陽イオン交換樹脂としては、酸性を示す陽イオン交換樹脂であればよく、例えばスチレン系スルホン酸型樹脂などが挙げられる。
酸性陽イオン交換樹脂の形状は、触媒としての機能が発揮できる形状であれば、特に制限されるものではなく、通常は平均粒子径0.01〜10mmの微粒子または球形、円柱形などの粒子を用いることができる。
酸性陽イオン交換樹脂の使用量は、反応方式により異なり、例えばバッチ式の場合、原料である4位未置換フェノール類および生成物である4−アルキルフェノール類の合計重量に対して、1〜100重量%の範囲であるのが好ましく、反応効率を考慮すれば、5〜25重量%の範囲であるのがより好ましい。酸性陽イオン交換樹脂の使用量が少ない場合には、反応速度が遅く、多い場合には、経済的に不利であり、いずれの場合も好ましくない。
転位反応は溶媒の存在下または不存在下で行う。溶媒としては、反応に不活性であれば特に制限はなく、例えば、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが使用される。これらの中でも、トルエンを使用するのが好ましい。溶媒を存在させる場合、その使用量は特に限定されないが、反応効率、操作性、経済性などを考慮すれば、原料である4位未置換フェノール類および生成物である4−アルキルフェノール類の合計重量に対して、1〜20倍重量の範囲であるのが好ましい。
転位反応は、90〜150℃の範囲の温度で実施する。反応温度が高すぎる場合には、導入されたアルキル基が分解して原料に戻るため、アルキル化フェノール類の転化率が低下し、4−アルキルフェノール類の選択率が低下する。また、反応温度が低すぎる場合には、転位反応の速度が著しく遅く、経済的に不利となる。
転位反応は常圧、減圧、加圧のいずれの圧力下でも実施できる。反応様式はバッチ式でも連続式でもよい。酸触媒に第二工程で得られた反応混合物を通過させる固定床方式でも、また流動床方式、移動床方式でも実施することができる。
転位反応時間は、反応における副生物の生成を抑制し、目的とする4−アルキルフェノール類の選択率を高める観点から、1〜20時間の範囲であるのが好ましい。
転位反応を行うに際し、4位未置換フェノール類を反応液に加える等の操作により、反応混合物中の4位未置換フェノール類の比率を特定の範囲に調整し、4−アルキルフェノール類の選択性を向上させ、反応速度を高めることができる。反応混合物中の4位未置換フェノール類の量は、第一工程で導入されたアルキル基量、すなわち、第一工程でアルキル化反応に消費されたアルキルエーテルに対して、1〜10倍モルの範囲であるのが好ましい。その量が1倍モル未満の場合には、2,4−ジアルキル化フェノール類、2,6−ジアルキル化フェノール類、2,4,6−トリアルキル化フェノール類などからのアルキル基の転位反応を生起させることが困難となり、10倍モルを越える場合には、4位未置換フェノール類の転化率が低くなる傾向となる。
第一工程から第三工程の反応および操作は、同一の反応器内で行うことも可能であり、また連続する反応器内で行うこともできる。
本発明により製造される4−アルキルフェノール類は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、反応混合物より必要に応じて酸触媒を濾別し、濾液を蒸留、再結晶、クロマトグラフィーなどの操作に付して4−アルキルフェノール類を単離・精製する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。表中、2−TBPは2−tert−ブチルフェノールを表し、2,4−DTBPは2,4−ジ−tert−ブチルフェノールを表す。反応後の組成(%)は、ガスクロマトグラフィー分析[カラム:G−100(財団法人化学物質評価研究機構)、検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、検出器・気化室温度:270℃、昇温パターン:80℃で3分間保持→10℃/分で250℃に昇温→250℃で15分間保持]で得られた各成分の面積を百分率で表したものである。4−TBPの選択率(%)はフェノール基準で表し、4−TBPの収率(%)はMTBE基準で表す。
実施例1
(第一工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、フェノール50.0g(531mmol)およびプロトンで置換されたβ型ゼオライト(ズード・ケミー社製、H−BEA−25)12.5gを仕込み、攪拌した。温度を100℃に昇温し、シリンジよりMTBE24.2g(266mmol)を3時間かけて滴下した。同温度で5時間撹拌、アルキル化反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比、フェノールの転化率と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表1に示す。
(第二工程)
第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。得られた濾液を減圧蒸留[26.7kPa(200mmHg)、内温30〜40℃]することにより、メタノールを除去した。メタノール除去後の混合物のメタノール濃度を測定したところ、0.1重量%であった。また、フェノールの量は、第一工程でアルキル化反応に消費されたMTBEに対してモル比で1.1であった。
(第三工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、第二工程で得られたメタノール除去後の混合物およびプロトンで置換されたY型ゼオライト(東ソー株式会社製、HSZ−360HUA)12.5gを仕込み、120℃まで昇温し、1時間撹拌して転位反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0004509506
実施例2
(第二工程)
実施例1の第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。得られた濾液を減圧蒸留[26.7kPa(200mmHg)、内温30〜40℃]することによりメタノールを除去した。メタノール除去後の混合物のメタノール濃度を測定したところ、0.1重量%であった。また、フェノールの量は、第一工程でアルキル化反応に消費されたMTBEに対してモル比で1.1であった。
(第三工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積200mLの四ツ口フラスコに、第二工程で得られたメタノール除去後の混合物およびフェノール100gを添加した。これにより、フェノールの量を、第一工程でアルキル化反応に消費されたMTBEに対してモル比で6に調整した。そこに、プロトンで置換されたY型ゼオライト(前記のとおり)12.5gを仕込み、120℃まで昇温した後、1時間撹拌して転位反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0004509506
実施例3
(第二工程)
実施例1の第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。得られた濾液を減圧蒸留[26.7kPa(200mmHg)、内温30〜40℃]することによりメタノールを除去した。メタノール除去後の混合物のメタノール濃度を測定したところ、0.1重量%であった。また、フェノールの量は、第一工程でアルキル化反応に消費されたMTBEに対してモル比で1.1であった。
(第三工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、第二工程で得られたメタノール除去後の混合物およびβ型ゼオライト(ズード・ケミー社製、H−BEA−25)12.5gを仕込み、120℃まで昇温し、1時間撹拌して転位反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0004509506
実施例4
(第二工程)
実施例1の第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。得られた濾液を減圧蒸留[26.7kPa(200mmHg)、内温30〜40℃]することによりメタノールを除去した。メタノール除去後の混合物のメタノール濃度を測定したところ、0.1重量%であった。また、フェノールの量は、第一工程でアルキル化反応に消費されたMTBEに対してモル比で1.1であった。
(第三工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、第二工程で得られたメタノール除去後の混合物および酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーリスト15E)12.5gを仕込み、90℃まで昇温し、1時間撹拌して転位反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0004509506
実施例5
(第一工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積200mLの四ツ口フラスコに、フェノール125.0g(1.33mol)およびプロトンで置換されたβ型ゼオライト(ズード・ケミー社製、H−BEA−25)12.5gを仕込み、攪拌した。温度を100℃に昇温し、シリンジよりMTBE24.2g(266mmol)を3時間かけて滴下した。同温度で5時間撹拌、アルキル化反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比、フェノールの転化率と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表5に示す。
(第二工程)
第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。得られた濾液を減圧蒸留[26.7kPa(200mmHg)、内温30〜40℃]することによりメタノールを除去した。メタノール除去後の混合物のメタノール濃度を測定したところ、0.15重量%であった。
(第三工程)
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、第二工程で得られたメタノール除去後の混合物およびプロトンで置換されたY型ゼオライト(前記のとおり)12.5gを仕込み、120℃まで昇温し、1時間撹拌して転位反応を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、各化合物の生成比と4−TBPの選択率および収率を求めた。結果を表5に示す。
Figure 0004509506
比較例1
(第二工程)
実施例1の第一工程で得られた反応混合物より、β型ゼオライトを濾過により除去した。反応液のメタノール濃度を測定したところ、5.0重量%であった。
攪拌器、冷却管および温度計を装着した内容積100mLの四ツ口フラスコに、上記で得られた濾液およびプロトンで置換されたY型ゼオライト(前記のとおり)12.5gを仕込み、120℃まで昇温し、5時間撹拌したが、転位反応は進行しなかった。
本発明によれば、4−アルキルフェノール類を高選択率および高収率で工業的に有利に製造することができる。その結果、高純度の4−アルキルフェノール類を製造することができる。

Claims (4)

  1. 合成ゼオライトの存在下、4位未置換フェノール類とアルキルエーテルを50〜110℃の温度で反応させ(第一工程)、得られた反応混合物において液相中に含まれる生成したアルコールを除去し(第二工程)、次いで、生成したアルコールの除去後の反応混合物において90〜150℃の温度で、酸触媒の存在下に転位反応を行う(第三工程)ことを特徴とする4−アルキルフェノール類の製造方法であって、該4位未置換フェノール類が、フェノール、2−クレゾール、3−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノールから選ばれ、該アルキルエーテルがメチルtert−ブチルエーテルである4−アルキルフェノール類の製造方法。
  2. 第三工程において、反応混合物の液相中のアルコール濃度を0.5重量%以下に調整して転位反応を行う請求項1に記載の4−アルキルフェノール類の製造方法。
  3. 第三工程において、反応混合物中の4位未置換フェノール類の量を、第一工程でアルキル化反応に消費されたアルキルエーテルに対して、1〜10倍モルの範囲に調整して転位反応を行う請求項1または2に記載の4−アルキルフェノール類の製造方法。
  4. 4位未置換フェノール類がフェノールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の4−アルキルフェノール類の製造方法。
JP2003295177A 2002-12-09 2003-08-19 4−アルキルフェノール類の製造方法 Expired - Fee Related JP4509506B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003295177A JP4509506B2 (ja) 2002-12-09 2003-08-19 4−アルキルフェノール類の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002356559 2002-12-09
JP2003295177A JP4509506B2 (ja) 2002-12-09 2003-08-19 4−アルキルフェノール類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004203861A JP2004203861A (ja) 2004-07-22
JP4509506B2 true JP4509506B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=32828506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003295177A Expired - Fee Related JP4509506B2 (ja) 2002-12-09 2003-08-19 4−アルキルフェノール類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4509506B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010229104A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Mitsubishi Chemicals Corp アルキル芳香族化合物の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1132537B (it) * 1980-08-06 1986-07-02 Anic Spa Procedimento per la terbutilazione di composti idrossiaromatici
JPS62246532A (ja) * 1986-04-16 1987-10-27 Maruzen Petrochem Co Ltd フエノ−ル類のアルキル化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004203861A (ja) 2004-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5161565B2 (ja) カルボン酸およびその誘導体の製造方法
RU2518086C2 (ru) Способ карбонилирования с использованием морденитного катализатора, нанесенного на неорганические оксиды
US7193093B2 (en) Process for producing alkylene oxide
TW201113250A (en) Process for the production of acetic acid and dimethyl ether
GB2083816A (en) Process for hydroxylating aromatic hydrocarbons
KR20140127265A (ko) 아세트산 및 디메틸 에테르의 제조 방법
RU2673463C2 (ru) Способ совместного получения уксусной кислоты и диметилового эфира
KR20170020327A (ko) 아세트산 제조 공정에서의 개선된 촉매 성능
KR20140127263A (ko) 아세트산 및 디메틸 에테르의 제조를 위한 촉매 및 방법
KR20170023804A (ko) 메틸 아세테이트 혼합물의 정제 방법
CA2048772A1 (en) One step synthesis of methyl t-butyl ether from t-butanol using fluorosulfonic acid-modified zeolite catalysts
KR100618367B1 (ko) 4-알킬페놀류의 제조방법
JP4509506B2 (ja) 4−アルキルフェノール類の製造方法
JP4435518B2 (ja) 4−アルキルフェノール類の製造方法
Bayguzina et al. Alkylation of phenols with tert-butanol catalyzed by H-form of Y zeolites with a hierarchical porous structure
RU2739320C2 (ru) Способ карбонилирования для получения метилацетата
JP2007521298A (ja) アルキルベンゼンの生成方法
JP4326759B2 (ja) 4−アルキルフェノール類の製造方法
US6844454B2 (en) Process
JPH0244820B2 (ja)
JPH07258133A (ja) 粗アセトンからのイソプロピル−tert−ブチルエーテルの製造方法
US20090143626A1 (en) Process for preparing an arylalkyl compound
JP2007522089A (ja) ジフェニルアルカンの水素化分解
JP5619753B2 (ja) 2−第二級−アルキル−4,5−ジ−(直鎖−アルキル)フェノール類を製造する方法
JPH0320369B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091109

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100305

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100413

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100428

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees