JP4509484B2 - ダイナミックダンパの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナミックダンパは、質量部をゴム弾性部を介して振動体に支持して副振動系を構成することにより、振動体の所定振動数における振動レベルを低減させるものとして知られている。具体的には、振動体に取り付けられる取付部と、この取付部に相対して配置される質量部と、取付部と質量部との間で、これらの両部材を互いに連結するゴム弾性部とから構成されたダイナミックダンパが広く知られている。
【0003】
こうしたダイナミックダンパは、自動車のエンジンや排気装置等の近傍に配置される一方で、上記ゴム弾性部が露出しているため、このゴム弾性部が熱により劣化し易い。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、ゴム弾性部を、内部弾性部と、この内部弾性部を覆う外部弾性部とから構成し、外部弾性部を、耐熱性に優れたゴム材料により形成することで、ゴム弾性部の熱劣化を防止するように構成されたダイナミックダンパが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、金属ばねにより弾性部を構成したダイナミックダンパが知られている。
【0006】
また、ダイナミックダンパの質量部は金属により形成されるが、この金属製質量部の防錆の観点から、この質量部をゴム材料や樹脂材料によって覆ったダイナミックダンパも知られている(例えば特許文献3,4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−230250号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−4466号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平8−135732号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平9−317817号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献2に記載されているように、弾性部を金属ばねにより構成したダイナミックダンパは、ゴム弾性部からなるダイナミックダンパに比べて減衰特性が劣ってしまうという問題がある。
【0012】
また、特許文献1に記載されているように、ゴム弾性部を内部弾性部と外部弾性部とから構成したものにあっては、外部弾性部が、内部弾性部に密着した状態にあることで、内部弾性部の弾性変形が妨げられる。また、外部弾性部は、取付部と質量部とを互いに接合するように構成されているため、この外部弾性部もばね要素となる。ここで、外部弾性部は、耐熱性に優れている一方で、減衰特性は比較的劣ることから、特許文献1に記載されたダイナミックダンパは、防振特性の低下を招く虞がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダイナミックダンパの防振特性を低下させることなく、熱耐久性を向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法に係るダイナミックダンパは、振動体に取り付けられて、該振動体の振動を抑制するものである。
【0015】
そして、上記ダイナミックダンパは、上記振動体に結合される取付部と、上記取付部に相対して配置される質量部と、上記質量部と取付部との間で、該質量部と取付部とを互いに連結するゴム弾性部と、上記質量部の周側面を覆うカバー部とを備え、上記カバー部を、上記質量部の周側面に対して接した状態で当該面を覆うように構成すると共に、上記取付部側まで延びて、上記ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むように構成される。
【0016】
この構成により、取付部と、質量部と、ゴム弾性部とによって、振動体に支持される副振動系が構成される。
【0017】
質量部の周側面はカバー部によって覆われているため、この質量部の防錆が図られる。また、ゴム弾性部の周囲は、カバー部によって囲まれているため、このカバー部によって熱が遮断され、ゴム弾性部に与えられる熱量が抑制される。その結果、ダイナミックダンパの耐熱性が向上する。
【0018】
そして、上記カバー部は、ゴム弾性部から離れた位置で、このゴム弾性部を囲む。このため、ゴム弾性部の弾性変形が妨げられることがなく、ゴム弾性部の減衰特性が低下しない。
【0019】
従って、前記のダイナミックダンパは、防振特性を低下させることなく、熱耐久性を向上させたダイナミックダンパである。
【0020】
上記カバー部は、上記質量部におけるゴム弾性部の接合面とは逆側の端面をさらに覆うように構成している。こうすることで、質量部は、その周側面と、ゴム弾性部の接合面とは逆側の端面とがそれぞれカバー部によって覆われるため、質量部の防錆がより確実になる。
【0021】
また、上記ダイナミックダンパは、上記質量部内を貫通してカバー部とゴム弾性部とを結合する結合部をさらに備えている。
【0022】
さらに、上記ダイナミックダンパは、上記カバー部を介して質量部に外嵌された環状の第2質量部をさらに備えていてもよい。
【0023】
このときは、上記カバー部は、例えばゴムによって形成することが好ましく、こうすることで、このカバー部によって覆われた質量部に、環状の第2質量部を外嵌したときに、この第2質量部を、質量部に対して固定することが可能になる。
【0024】
そしてこうして第2質量部を取り付けることによって、ゴム弾性部によって支持される質量が変更されるため、ダイナミックダンパの固有振動数を変更することが可能になる。また、上記第2質量部の固定位置を調整することで、ゴム弾性部によって支持される質量部の重心位置が変更されるため、ダイナミックダンパにおけるゴム弾性部の伸縮方向とせん断方向との、直交する2方向についての固有振動数比を変更することが可能になる。
【0025】
ダイナミックダンパの製造方法としては、上記振動体に結合される取付部と、該取付部の振動体の結合側とは逆側に接合されるゴム弾性部と、該ゴム弾性部を介して上記取付部に連結される質量部と、該質量部における上記ゴム弾性部の接合側とは逆側の端面に基端が接合されると共に、該ゴム弾性部とは離れる方向に延びる先端開口のゴム製筒状部と、からなる前駆体を、加硫一体化成形により作成するステップと、上記筒状部を裏返すことによって、上記質量部の周側面に対して接した状態で当該面を覆いかつ、上記ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むカバー部を形成するステップと、を含むとしてもよい。
【0026】
この構成によると、前駆体の筒状部を裏返すことだけで、上記振動体に結合される取付部と、上記取付部に相対して配置される質量部と、上記質量部と取付部との間で、該質量部と取付部とを互いに連結するゴム弾性部と、上記質量部の周側面を覆うカバー部とを備え、上記カバー部が上記取付部側まで延びて、上記ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むように構成されたダイナミックダンパを製造可能である。
【0027】
また、上記前駆体は加硫一体化成形によって作成されるため、製造工程が少なくなり、防振特性を低下させることなく熱耐久性を向上させたダイナミックダンパを低コストで製造可能になる。
【0028】
本発明によるダイナミックダンパの製造方法は、上記振動体に結合される取付部と、該取付部の振動体の結合側とは逆側に接合されるゴム弾性部と、該ゴム弾性部に相対して配置されかつ、該ゴム弾性部とは離れる方向に延びる先端開口のゴム製筒状部と、上記ゴム弾性部と筒状部とを結合する結合部と、からなる前駆体を、加硫一体化成形により作成するステップと、上記ゴム弾性部と筒状部との間に、上記結合部が内部を貫通するように質量部を取り付けるステップと、上記筒状部を裏返すことによって、上記質量部の周側面に対して接した状態で当該面を覆いかつ、上記ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むカバー部を形成するステップと、を含む。このように、質量部を前駆体に対して後付けするようにしても、この質量部の周側面を覆うカバー部が取付部側まで延びて、ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むように構成されたダイナミックダンパを製造可能である。
【0029】
ここで、上記カバー部に覆われた質量部に対して、環状の第2質量部を外嵌するステップをさらに含んでもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法に係るダイナミックダンパは、ゴム弾性部の周囲が、カバー部によって囲まれているため、このカバーによって熱が遮断され、ゴム弾性部に与えられる熱量を抑制することができる。その結果、ダイナミックダンパの耐熱性を向上させることができる。このとき、上記カバー部は、ゴム弾性部とは離れた位置で、このゴム弾性部を囲むため、ゴム弾性部の弾性変形を妨げることがなく、ゴム弾性部の減衰特性に影響を与えない。その結果、ダイナミックダンパの防振特性が低下することを阻止することができる。さらに、質量部の周側面がカバー部によって覆われているため、質量部の防錆を図ることができる。
【0031】
また、本発明のダイナミックダンパの製造方法によると、加硫一体化成形によって作成した前駆体において、筒状部を裏返すことだけでダイナミックダンパを製造することができるため、製造コストの低減化を図ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0033】
−参考形態−
図1及び図2は、参考形態に係るダイナミックダンパ1を示しており、このものは、例えば自動車の各種振動体に取り付けられるものである。このダイナミックダンパ1は、図示省略の振動体に取り付けられる取付部11と、この取付部11を挟んだ振動体とは逆側位置で、上記取付部11に相対して配置された質量部12と、この取付部11と質量部12との間で、これら取付部11と質量部12とを互いに連結するゴム弾性部13と、を備えている。つまり、このダイナミックダンパ1は、上記ゴム弾性部13の伸縮方向(図2の上下方向)の一方の側に取付部11が、伸縮方向の他方の側に質量部12が、それぞれ配設された構造となっている。尚、以下の図2〜図10において、図面の上側を「上側」と称し、図面の下側を「下側」と称する。
【0034】
上記取付部11は、略円形状に形成された金属製プレートで構成されており、例えば、その下面側(振動体に対する取付面側)に固定された取付ボルト(図示省略)によって、上記振動体に取付固定されるようになっている。
【0035】
上記質量部12は、所定の質量を有する円柱状に形成されている。この質量部12は、例えば鋼により形成すればよい。
【0036】
上記ゴム弾性部13は、上記質量部12よりも小径の略円柱状に形成されている。このゴム弾性部13は、上記取付部11の上面及び質量部12の下面に対してそれぞれ接着されている。これによって、上記質量部12は、ゴム弾性部13を介して取付部11(振動体)に支持されることになる。
【0037】
そして、上記ダイナミックダンパ1はさらに、カバー部14を備えている。このカバー部14は、比較的薄肉のゴムにより形成されていて、上記質量部12の上面(ゴム弾性部13の伸縮方向の上面)及び周側面(ゴム弾性部13の伸縮方向に直交するせん断方向の側面)に接した状態でこれらの面を覆うと共に、その下端が、ゴム弾性部13の伸縮方向に上記取付部11側まで延びて、上記ゴム弾性部13の周囲を、このゴム弾性部13とは径方向(ゴム弾性部13のせん断方向)に離れた位置で囲むように構成されている。このカバー部14は、質量部12の上面に対しては接着されている一方、その周側面に対しては未接着にされている。また、このカバー部14の下端は、図2に示すように、取付部11とは僅かな隙間を空けた状態にさせてもよいし、上記取付部11に接触させてもよい。尚、ダイナミックダンパ1の振幅は、0.01〜2.0mm程度であるため、質量部12の振動に伴いカバー部14の下端が取付部11と接触したとしても、大きな異音が発生することはない。
【0038】
次に、このダイナミックダンパ1の製造方法について、図3を参照しながら説明する。先ず、加硫一体化成形により前駆体2を作成する。この前駆体2は、図3に示すように、金属製プレート材である取付部11と、金属製円柱材である質量部12と、この取付部11と質量部12とを互いに連結するゴム弾性部13と、上記質量部12上面に接合される底壁部15aとこの底壁部15aの周縁部から上方に延びる側壁部15bとからなりかつ、その上端が開口したゴム製筒状部15と、から構成される。この筒状部15は、ダイナミックダンパ1においてカバー部14となるものである。
【0039】
この前駆体2は、上述したように、加硫一体化成形によって作成され、具体的には、上記取付部11と質量部12とをそれぞれ用意し、これらを金型にセットすると共に、ゴム弾性部13及び筒状部15となる所定量の未加硫ゴム組成物を金型にセットする。そしてこれらを加熱及び加圧して加硫一体化成形をする。このとき、上記ゴム弾性部13と、取付部11及び質量部12との接触部分、並びに、筒状部15(底壁部15a)と質量部12との接触部分には、それぞれ加硫接着剤を塗布しておく。
【0040】
こうして、振動体に結合される取付部11と、該取付部11の振動体の結合側とは逆側に接合されるゴム弾性部13と、該ゴム弾性部13を介して上記取付部11に連結される質量部12と、該質量部12における上記ゴム弾性部13の接合側とは逆側の端面に基端が接合されると共に、該ゴム弾性部13とは離れる方向に延びる先端開口のゴム製筒状部15と、からなる前駆体が作成される(P11参照)。
【0041】
次に、上記前駆体2の筒状部15を裏返す。すなわち、筒状部15の側壁部15bの内周面が外周面となるようにする(同図の矢印参照)。こうすることで、裏返された筒状部15(カバー部14)によって質量部12の周側面が覆われると共に、ゴム弾性部13の周囲が囲まれた状態となる。こうして、取付部11と、質量部12と、ゴム弾性部13と、カバー部14とからなるダイナミックダンパ1が製造される(P12参照)。
【0042】
このように、本参考形態に係るダイナミックダンパ1は、ゴム弾性部13の周囲がカバー部14によって囲まれているため、このカバー部14によって熱が遮断され、ゴム弾性部13に与えられる熱量が抑制される。その結果、ダイナミックダンパ1の耐熱性及び耐久性を向上させることができる。
【0043】
また、上記カバー部14は、ゴム弾性部13に対して径方向に離れた位置に配設されているため、このゴム弾性部13の弾性変形を妨げることがない。さらに、このカバー部14は、取付部11や、質量部12の周側面に対しては非接着にされていると共に、比較的薄肉のゴム材料によって構成されているため、ダイナミックダンパ1のばね要素としてはほとんど機能しない。その結果、ダイナミックダンパ1の減衰特性が低下してしまうことを防止することができる。
【0044】
ここで、上記ゴム弾性部13には、耐熱特性及び減衰特性が特に要求され、このゴム弾性部13に用いることができる材料としては、NR、NR/SBR(ブレンドゴム)、及びIIR等が挙げられる。特に好ましくはNR/SBRである。これに対し、上記カバー部14には、耐熱特性及び耐候特性が特に要求され、カバー部14に用いることができる材料としては、NR/SBR、CR、EPDM、及びシリコンゴム等が挙げられる。特に好ましくはNR/SBRである。
【0045】
また、上記ダイナミックダンパ1の質量部12は、カバー部14によってその上面と周側面とが覆われているため、この質量部12の防錆を図ることができる。
【0046】
さらに、例えば図4に示すように、この質量部(第1の質量部)12の上側から環状の第2の質量部3を外嵌すれば、第1の質量部12がカバー部14によって覆われていることで、この第2の質量部3を第1の質量部12に対して固定することが可能になる。こうして、ゴム弾性部13によって支持される質量を容易に変更することができ、これにより、ダイナミックダンパ1の固有振動数を容易に変更することができる。また、上記第2の質量部3の取付位置を変更することによって、ゴム弾性部13によって支持される質量部の重心位置が変更される。これにより、ゴム弾性部13のせん断方向(図4の紙面左右方向又は紙面に直交する方向)の固有振動数を変更することができ、その結果、ゴム弾性部の伸縮方向(図4の紙面上下方向)とせん断方向との固有振動数比を容易に変更することができる。
【0047】
さらに、こうして、第2の質量部3を第1の質量部12に対して外嵌することによってカバー部14が押さえられるため、例えば故意にカバー部14を裏返されることが防止される。
【0048】
上記ダイナミックダンパ1は、前駆体2を加硫一体化成形によって作成すると共に、この前駆体2の筒状部15を裏返すことだけで製造可能である。このため、製造工程数が少なく、ダイナミックダンパ1を低コストで製造することができる。
【0049】
(変形例1)
上記カバー部14の下端部、詳しくは、質量部12の周側面を覆う部分よりも下側であって、ゴム弾性部13の周囲を囲む部分は、図5に示すように、上下方向に伸縮する蛇腹部16としてもよい。こうすることで、質量部12の振動に伴いカバー部14の下端が取付部11と接触したときでも、異音の発生をより一層抑制することができる。また、カバー部14が、ダイナミックダンパ1の減衰特性に与える影響がより一層小さくなり、ダイナミックダンパ1の減衰特性の低下をより一層抑制することができる。
【0050】
また、このように、カバー部14の下端部を蛇腹部16としたときには、図5に一点鎖線で示すように、カバー部14の下端は、取付部11の周縁を通ってその下面側に回りこむようにしてもよい。こうすることで、カバー部14の内部の気密性が高まり、ゴム弾性部13に与えられる熱量をより一層抑制することができる。また、この場合でも、カバー部14の下端部が蛇腹部16であることで、ダイナミックダンパ1の減衰特性の低下を抑制することができる。尚、図2に示すように、カバー部14の下端部が蛇腹部でないダイナミックダンパ1においても、その下端を取付部11の周縁を通ってその下面側に回りこむようにしてもよいが、この場合は、ダイナミックダンパ1の減衰特性に若干の影響を及ぼす虞がある。
【0051】
(変形例2)
図6に示すように、前駆体2では、その筒状部15の周壁部15bにおける所定位置に上下方向に延びるひだを有するひだ部18,18を設けてもよい。こうすることで筒状部15の径を容易に大きくすることができ、この筒状部15を容易に裏返すことができる。これは特に、質量部12の上下方向長さが長く、これに伴い筒状部15の筒軸方向長さが長い場合に、効果的である。尚、図6では、周壁部15bに、一対のひだ部18,18を径方向に相対向する位置に設けているが、ひだ部18は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、周壁部15bの全周に亘ってひだ部を設けてもよい。
【0052】
また、図7に示すように、前駆体2では、その筒状部15の周壁部15bの上端に、切り込み(スリット)19を設けてもよい。こうすることでも、筒状部15の裏返しが容易に行い得る。
【0053】
−実施形態−
図8は、実施形態に係るダイナミックダンパ4を示している。参考形態に係るダイナミックダンパ1と同一の部材については同一の符号を付す。
【0054】
この実施形態に係るダイナミックダンパ4は、ゴム弾性部13と、カバー部14とが、質量部6の内部をゴム弾性部13の伸縮方向に延びる結合部41によって連結されている点が、参考形態に係るダイナミックダンパ1と異なる。
【0055】
また、ダイナミックダンパ4の質量部6は、略円柱状である点は参考形態と同じであるが、図9に示すように、その周面から内方に延びる挿入溝62が形成されている点が参考形態と異なる。この挿入溝62は、質量部6の上面及び下面にもそれぞれ開口している。また、上記質量部6の中心位置には、貫通孔61が形成されており、この貫通孔61と質量部6の外部とが上記挿入溝62によって径方向に互いに連通されるようになっている。尚、この貫通孔61や挿入溝62の各開口部分は、上記ゴム弾性部13、筒状部15(カバー部14)及び結合部41を傷つけないように、丸みを帯びた形状にすることが好ましい。
【0056】
次に、この実施形態に係るダイナミックダンパ4の製造方法について、図10を参照しながら説明する。先ず、加硫一体化成形により前駆体5を作成する。この前駆体5は、図10に示すように、取付部11と、ゴム弾性部13と、筒状部15と、この筒状部15の底壁部15aとゴム弾性部13とを互いに結合する結合部41と、から構成される。この結合部41は、ゴム弾性部13上面の中心位置と、底壁部15b下面の中心位置とを互いに連結するように形成される。
【0057】
一方で、図9に示すように、貫通孔61と挿入溝62とが形成された質量部6を用意する。
【0058】
そして、上記前駆体5を上下方向に引き伸ばし、これにより、結合部41の径を細くする。この状態で、この結合部41が質量部6の挿入溝62を通って、貫通孔61内に位置するように、上記ゴム弾性部13と筒状部15との間に、上記質量部6を前駆体5の側方位置から挿入する(P21参照)。
【0059】
次いで、上述したように、筒状部15を裏返す(P22参照)。こうして、取付部11と、質量部6と、ゴム弾性部13と、カバー部14と、結合部41とからなるダイナミックダンパ4が製造される(P23参照)。
【0060】
ここで、この前駆体5においては、ゴム弾性部13と筒状部15との間隔L1は、質量部6の高さをL2としたときに、L1≦L2を満たすことが好ましい。こうすることで、質量部6を、ゴム弾性部13と筒状部15(カバー部14)との間に挿入したときに、このゴム弾性部13とカバー部14とで質量部6が挟持される。
【0061】
また、上記前駆体5において、結合部41の径D1は、質量部6の挿入溝62の溝幅をL3としたときに、L3≦D1を満たすように設定することが好ましい。つまり、この結合部41を引き伸ばした状態にしてやっと、この結合部41が挿入溝62を通過可能にすることで、結合部41が挿入溝62を通過した後には、この結合部41が挿入溝62から抜け難くすることが好ましい。
【0062】
また、質量部6の貫通孔61の径D2は、L3≦D2≦D1を満たすように設定することが好ましい。こうすることで、結合部41が貫通孔61内に位置した後には、この貫通孔61と結合部41とが互いに係合し、これにより、上記質量部6が径方向に移動することが防止される。
【0063】
こうして、質量部6をゴム弾性部13に接着させなくても、この質量部6をゴム弾性部13によって支持した状態にすることができ、その結果、質量部6とゴム弾性部13とからなる副振動系が構成されることになる。
【0064】
この実施形態に係るダイナミックダンパ4においても、ゴム弾性部13がカバー部14によって囲まれているため、ゴム弾性部13に与えられる熱量が抑制され、ダイナミックダンパ4の耐熱性が向上する。また、カバー部14がゴム弾性部13に対して径方向に離れた位置に配設されているため、ダイナミックダンパ4の減衰特性が低下してしまうことを防止することができる。
【0065】
さらに、実施形態に係るダイナミックダンパ4も、比較的少ない製造工程で、製造可能であるため、製造コストの低減化を図ることができる。また、実施形態に係るダイナミックダンパ4は、質量部6が前駆体5に対して後付けされるため、質量部6の大きさを調整することによって、固有振動数の異なるダイナミックダンパ4を製造することが可能になる。
【0066】
尚、実施形態に係るダイナミックダンパ4においても、図4に示すように、環状の第2質量部3を取り付けてもよい。また、図5に示すように、カバー部14の下端部を蛇腹部16としてもよいし、その下端を取付部11の周縁を通ってその下面側に回りこむようにしてもよい。さらに、前駆体5の筒状部15に、図6に示すように、ひだ部18を設けてもよく、図7に示すように、筒状部15の上端に、切り込み(スリット)19を設けてもよい。
【0067】
−他の実施形態−
尚、上記の実施形態では、カバー部14を、質量部12,6の上面を覆うものに構成しているが、カバー部14は、少なくとも質量部12,6の周側面を覆うものに構成してもよい。
【0068】
また、カバー部14をゴムによって構成するのではなく、例えば金属や樹脂によって構成してもよい。この場合、カバー部14を、その一端開口が閉止された有底筒状の部材に構成して、質量部12,6の上側から、この質量部12,6に対して被せるようにしてもよい。さらに、カバー部14を筒状の部材に構成して、質量部12,6に外挿するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ダイナミックダンパの斜視図である。
【図2】 参考形態に係るダイナミックダンパを示す断面図である。
【図3】 参考形態に係るダイナミックダンパの製造手順を示す説明図である。
【図4】 ダイナミックダンパに第2の質量部を取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】 変形例1に係るダイナミックダンパを示す断面図である。
【図6】 (a)は変形例2に係る前駆体を示す平面図であり、(b)はその正面図である。
【図7】 変形例2に係る別の前駆体を示す正面図である。
【図8】 実施形態に係るダイナミックダンパを示す断面図である。
【図9】 質量部を示す斜視図である。
【図10】 実施形態に係るダイナミックダンパの製造手順を示す説明図である。
【符号の説明】
1,4 ダイナミックダンパ
11 取付部
12 質量部
13 ゴム弾性部
14 カバー部
15 筒状部
2,5 前駆体
3 第2質量部
41 結合部
Claims (2)
- 振動体に取り付けられて、該振動体の振動を抑制するダイナミックダンパの製造方法であって、
上記振動体に結合される取付部と、該取付部の振動体の結合側とは逆側に接合されるゴム弾性部と、該ゴム弾性部に相対して配置されかつ、該ゴム弾性部とは離れる方向に延びる先端開口のゴム製筒状部と、上記ゴム弾性部と筒状部とを結合する結合部と、からなる前駆体を、加硫一体化成形により作成するステップと、
上記ゴム弾性部と筒状部との間に、上記結合部がその内部を貫通するように質量部を取り付けるステップと、
上記筒状部を裏返すことによって、上記質量部の周側面に対して接した状態で当該面を覆いかつ、上記ゴム弾性部の周囲を該ゴム弾性部から離れた位置で囲むカバー部を形成するステップと、を含むことを特徴とするダイナミックダンパの製造方法。 - 請求項1において、
カバー部に覆われた質量部に対して、環状の第2質量部を外嵌するステップをさらに含むことを特徴とするダイナミックダンパの製造方法。
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