JP4508780B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
この種の座椅子型マッサージャーは、その概略構成として、使用者が着座する座部、この座部の後ろ側に設けられる背もたれ部、さらに座部の両側に設けられるひじかけ部を備えて構成される。ある種のものでは、足乗せ用の足乗せ部を備えたものもある。
この種の浸漬型のものにあっても、背もたれ部の内部に押圧機能を発揮できる押圧具が備えられ、この押圧具の先端が流体圧等により、使用者側に押し出されて所定のマッサージ機能を果たす。この種の浸漬型の座椅子型マッサージャー全体の外装材としても、例えば、合成皮革、ウエットスーツ用の材料等を使用することが考えられている。
合成皮革では、例えば、40℃の湯中で300時間連続的に浸漬状態で使用すると、表面にひび割れが発生する。この原因を発明者らは、以下のように考えている。
浸漬型のマッサージャーにあっては、押圧具により外装材が繰り返し変形を受けるとともに、湯内に含有されている塩素によりその繰り返し変形を受ける部位の劣化が進む。結果、これら脱衣場では起こらない要因により、合成皮革の劣化が比較的早く進むためと考えられる。
そこで、外装材として、所謂ウエットスーツに使用される材料(主には発泡クロロプレンゴムからなる)を採用することが考えられる。この種のウエットスーツ材は、身体との密着性や接触感覚には優れている。また、プール等に投入されるカルキ(次亜塩素酸ナトリウム)等との関係で、ある程度の塩素に対する耐久性はある。しかしながら、発明者らの実験では、押圧具、あるいはローラ等により繰り返して変形を受けると、疲労によるクラックの発生が見られ、実際上、例えば、毎日連続して使用される業務用や家庭用の浸漬型のマッサージャーには採用できない。
さらに、外装材として、通用のゴム材を無差別に使用することも発明者は検討した。
ゴム材は、ウエットスーツ材と同様に、身体との密着性や接触感覚には優れ、ある程度の対塩素耐久性を得ることができる。但し、NBRのようなゴム材にあっては、黒水とよばれる湯内への補強材であるカーボンブラックの漏出が発生することが判明した。この問題は、40℃近くの温水に接触して使用され、比較的長期に亘って繰り返し変形を受ける外装材特有の問題であると考えられる。
使用者が着座した着座状態で使用者の身体に接触するとともに、使用者を押圧するように繰り返し変形される押圧部を備えた椅子であって、
支持構造体としての椅子本体と、前記椅子本体に周部を固定支持され、前記押圧部を成すシート材とを備え、
繰り返し変形される前記シート材が、ショアー硬さ(Dタイプ)が30〜60の範囲内にある発泡形態のポリエチレン、デュロメータ硬さ(Aタイプ)が30〜50である発泡シリコンゴム、発泡形態のクロロプレンゴム、又はカーボンブラックを含まないEPDMからなる柔軟層を、前記使用者に接触する接触面に備え、
減菌用の塩素が含まれる40℃の温水中で使用するものとすることにある。
補強層を備えることで、シート材の強度を上げることが可能となるとともに、疲労に対しても耐久性を増すことができる。この種の補強層としては布状体から構成することが好ましい。
さらに具体的には、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維等の織物、編物等を使用してシートの複合構造化を図ることができる。
発泡材料層は、使用者の身体が接触した場合に適度な弾力性を発揮し、良好な感触を与える。さらに、その内側もしくは裏面側に非発泡材料層を設けることで、この層でシートの強度を確保することができる。
エンボス加工を施すことで、皮膚への密着性の改善やすべりを防止することができる。
図1は使用状態にある椅子1の外観視図であり、図2は椅子1の概略分解構成を示したものであり、図3は、内部に備えられるマッサージ機構2を構成するローラ2a、その駆動機構20を示した図である。さらに、図4は、背もたれ部4の中央に設けられる押圧部40の取り付け構造を示したものであり、図5はシート41の装着状態を示す図である。
図1に示すように、装置1は、使用者が着座する座部3、この座部3の後ろ側に設けられる背もたれ部4、ひじかけ部5、さらに足乗せ部6を備えて構成される。図示するように、座部3、背もたれ部4の下側部位、ひじかけ部5、さらに足乗せ部6が温水W内に浸漬されて使用される。
背もたれ部4内には、図3、4に示すように(図4では二点鎖線でローラ2aの位置を示している)、左右一対のローラ2aを有するローラ機構21が、上下方向に配設されたガイドレール22に沿って移動することがきるように構成されている。
前後揺動機構25は、前側に設けられたガイドレール22bに案内されて、ローラ支持ブラケット23と一体に、背もたれ上下方向に移動する。
図4に示すように、前記背もたれ部4の中央部位は本願にいう押圧部40として構成されており、この部位40に本願独特の材料からなるシート41を備えた構成とされている。
第一実施例(A)は図6(イ)に示す例であり、柔軟層41aと強化層41bとを備えた例である。
第二実施例(B)は図6(ロ)に示す例であり、柔軟層41aと補強層41cとを備えた例である。
また、第三実施例(C)は図6(ハ)に示す例であり、柔軟層41d単一層で構成されている例である。
以下、シート41の各実施例(A〜F)、比較例(X、Y)について説明するが、英大文字符号は、下記する表1で使用するための識別文字符号である。
この例にあっては、図6(イ)に示すように、柔軟層41aと強化層41bとを備えて構成される。さらに具体的は、柔軟層41a及び強化層41bは以下のように構成される。
シート41 厚み 8mm
構造 柔軟層と強化層とを備えた複合層構造
柔軟層41a 厚み 6mm
材料 デュロメータ硬さ(Aタイプ)30の発泡シリコンゴム
強化層41b 位置 使用者が接触する側に対して反対側となる柔軟層の背面
厚み 2mm
材料 デュロメータ硬さ(Aタイプ)45のシリコンゴム
このシリコンゴムは発泡していない。
この例にあっては、図6(ロ)に示すように、柔軟層41aと補強層41cとを備えて構成される。さらに具体的は、柔軟層41a及び補強層41cは以下のように構成される。
シート41 厚み 8mm
構造 柔軟層と補強層とを備えた複合層構造
柔軟層41a 厚み 6mm
材料 デュロメータ硬さ(Aタイプ)30の発泡シリコンゴム
補強層41c 位置 使用者が接触する側に対して反対側となる柔軟層の背面
厚み 2mm
材料 ポリエステル繊維の織布層
繊維太さ 50デニール
織布構造 平織り
この例にあっては、図6(ハ)に示すように、柔軟層41d単層から構成される。
シート41 厚み 6mm
構造 柔軟層41dの単一構造
材料 デュロメータ硬さ(Aタイプ)30の発泡シリコンゴム
この例は、第三実施例(C)との関係で、構成材料のみを発泡形態のポリエチレンとしたものである。この樹脂の発泡倍率は約2であり、その硬度は、ショアー硬さ(Dタイプ)で40であった。
このシート41を使用して、300Hrの連続運転をしたところ、クラック、黒水等の問題は発生しなかった。
この例は、第三実施例(C)との関係で、構成材料のみを発泡形態のクロロプレンゴムとしたものである。このゴムの硬度は、デュロメータ硬さ(Aタイプ)で30であった。このシート41を使用して、300Hrの連続運転をしたところ、クラック、黒水等の問題は発生しなかった。但し、押圧部にローラの跡が残り、ゴムの永久変形が見られる場合もあった。
この例は、第三実施例(C)、第四実施例(D)との関係で、構成材料のみを発泡形態のEPDM(但し、カーボンブラックを含有しないもの)としたものである。このゴムの硬度は、デュロメータ硬さ(Aタイプ)で30であった。
このシート41を使用して、300Hrの連続運転をしたところ、クラック、黒水等の問題は発生しなかった。
比較例は、共に、上記第三実施例(C)に対して比較できるものであり、特定の材料を単一層として備えたものである。
この例は、第三実施例(C)との関係で、構成材料のみをNBRとしたものであり、ゴムの硬度はデュロメータ硬さ(Aタイプ)で40であった。
このシート41を使用して、300Hrの連続運転をしたところ、黒水の問題が発生した。
この例は、第三実施例(C)との関係で、構成材料のみをカーボンブラックを含有するEPDMとしたものであり、ゴムの硬度はデュロメータ硬さ(Aタイプ)で40であった。
このシート41を使用して、300Hrの連続運転をしたところ、黒水の問題が発生した。
実動試験の実験条件は、下記条件とした。
試験時間 300Hr
温水条件 湯温 40℃
塩素濃度 0.4%
負荷条件 使用者の代わりに砂袋を置き、ローラ2aを上下方向移動させるとともに、押圧動作として前後方向に周期的に移動させる。この条件におけるシートの変形量は、縦長さ2cm×横幅2cmのシートの押圧部で、このシートの厚み方向の突出量が0.5〜1.5cm程度である。シート41は、ローラ2aがその原点位置にある状態で、フランジ44による止め付けにより、たるみ等なく止め付けられる。
ローラの上下方向移動周期 16秒 移動ストローク 400mm
ローラの前後方向移動周期 1.2秒 移動ストローク 30mm
評価は以下の基準に従うものとした。
耐熱性:300時間の実動で温水による変性等が見られないこと
防水性:300時間の実動でフランジ止め状態で漏水が見られないこと
肌触り:使用者が着座した状態で、不要なぬめり感が無く同時にざらざらした感触がないこと
脱色 :300時間の実動で温水の色が変色しないこと、更には、ローラに色移りしないこと。特に黒水の発生がないこと
ひび :300時間の実動で表面にひび割れが発生しないこと
強度 :300時間の実動で材料がもろくなる等、疲労による著しい強度劣化が発生しないこと、さらに減肉しないこと
結果が良好な場合は○、不良な場合は×、その中間の場合は△とした。
〔別実施の形態〕
・ マッサージ機構の駆動用の流体圧としては、水等を媒体とする液体圧を利用するほか、空気等の気体圧を使用できる。
・ マッサージ動作としては、人の背中に対するもみ、たたき、押圧動作のほか、ふくらはぎに対する適度な締め付け動作によるものとすることもできる。
2 マッサージ機構
2a ローラ
3 座部
4 背もたれ部
5 ひじかけ部
6 足乗せ部
20 駆動機構
21 ローラ機構
22 ガイドレール
23 ローラ支持ブラケット
24 摺動ローラ対
40 押圧部
41 シート
41a 柔軟層
41b 強化層
41c 補強層
41d 柔軟層
42 孔
43 ボルト
44 フランジ
Claims (6)
- 使用者が着座した着座状態で使用者の身体に接触するとともに、使用者を押圧するように繰り返し変形される押圧部を備えた椅子であって、
支持構造体としての椅子本体と、前記椅子本体に周部を固定支持され、前記押圧部を成すシート材とを備え、
繰り返し変形される前記シート材が、ショアー硬さ(Dタイプ)が30〜60の範囲内にある発泡形態のポリエチレン、デュロメータ硬さ(Aタイプ)が30〜50である発泡シリコンゴム、発泡形態のクロロプレンゴム、又はカーボンブラックを含まないEPDMからなる柔軟層を、前記使用者に接触する接触面に備え、
減菌用の塩素が含まれる40℃の温水中で使用される椅子。 - 前記柔軟層が前記発泡シリコンゴムから成り、前記接触面とは反対側の面、若しくは、前記柔軟層内に、前記柔軟層より伸度が低い補強層を設けてある請求項1記載の椅子。
- 前記補強層が布状体からなる請求項2記載の椅子。
- 前記柔軟層が前記発泡シリコンゴムから成り、前記接触面とは反対側の面、若しくは、前記柔軟層内に、当該柔軟層より硬い強化層を設けてある請求項1記載の椅子。
- 前記強化層が発泡していない材料からなる非発泡材料層である請求項4記載の椅子。
- 前記強化層が非発泡のシリコンゴム層である請求項5記載の椅子。
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