JP4505917B2 - 新規微生物およびそれを用いるl−アミノ酸の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェニルアラニン・トランスアミナーゼ生産能を有する新規組換え微生物および該微生物を用いるL-アミノ酸の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性を有するパラコッカス属等の微生物を利用して、L−アミノ酸をオキソ酸化合物から酵素的に製造する方法が知られていた。具体的には例えば、L−フェニルアラニンをフェニルピルビン酸から製造する方法(Applied Biochemistry and Biotechnology、第11巻、第367頁、1985年)や医薬として有用な2−オキソイミダゾリジン誘導体(塩酸イミダプリルなど)の製造中間体であるL−2−アミノ−4−フェニル酪酸を、2−オキソ−4−フェニル酪酸から製造する方法(特開昭60−156394号)が知られていた。
【0003】
また、パラコッカス・デニトリフィカンスからフェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードする遺伝子が単離されており、これを含む組換えプラスミドを宿主大腸菌に導入した組換え微生物が報告されている(Oueら、J.Biochem.、第121巻、第161−171頁、1997年;Takagiら、Biotechnology and Applied Biochemistry、第13巻、第112-119頁、1991年;特開平1−153084号)。前記組換え微生物は、親株であるパラコッカス・デニトリフィカンスよりも高いフェニルアラニン・トランスアミナーゼ生産能を有していた。
【0004】
しかしながら、L−アミノ酸類の工業的製造に利用するためには、さらに高いフェニルアラニン・トランスアミナーゼ生産能を有する微生物の育種が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高いフェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性を有する、新規組換え微生物を提供することにある。また該微生物を用いた工業的有利なL-アミノ酸の製法を提供することにある。さらに、これらを利用したN−アルキル化アミノ酸エステルおよび2−オキソイミダゾリジン誘導体の製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、トランスアミナーゼ発現プラスミドから、パラコッカス・デニトリフィカンスに由来するフェニルアラニン・トランスアミナーゼ翻訳領域の上流域に存在したロダニース様蛋白質翻訳領域を除去するとともに特定塩基配列に置きかえることにより、組換え微生物のトランスアミナーゼ生産能が顕著に高まることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
宿主微生物中で機能するプロモータの下流に、パラコッカス属に属する微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAが組込まれた組換えプラスミドを、エシェリシア・コリである宿主微生物中に含有せしめた組換え微生物であって、該プロモータとフェニルアラニン・トランスアミナーゼの翻訳開始コドンとの間の塩基配列が配列番号5に示された配列である、組換え微生物である。
【0008】
また、前記微生物又は該微生物の処理物を、アミノ供与体の存在下に一般式(II)
【0009】
【化7】
【0010】
(但し、式中、nは1または2を表す。)
で示されるオキソ酸化合物に作用させることを特徴とする、一般式(I)
【0011】
【化8】
【0012】
(但し、nは前記と同一意味を有する。)
で示されるL-アミノ酸(L−2−アミノ−4−フェニル酪酸等)の製法である。
【0013】
さらに、前記製法により得たL−2−アミノ−4−フェニル酪酸から、N−置換アミノ酸誘導体、さらに2−オキソイミダゾリジン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩を製造する方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の微生物は、パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼを発現するためのプラスミド(以下、トランスアミナーゼ発現プラスミドと称する)を、エシェリシア・コリの宿主微生物中に導入することにより得られる。
【0015】
トランスアミナーゼ発現プラスミドは、フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAが、プロモータの下流に機能的に連結されており、フェニルアラニン・トランスアミナーゼが該プロモータの調節の下に発現する。
【0016】
本発明の微生物の含有するトランスアミナーゼ発現プラスミドは、パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAがプロモータの下流に組込まれた組換えプラスミドであって、該プロモータとフェニルアラニン・トランスアミナーゼの翻訳開始コドンとの間の領域は配列番号5に示された塩基配列を有する。
【0017】
パラコッカス属に属する微生物は、フェニルアラニン・トランスアミナーゼを産生する能力を有する微生物であれば限定されず、例えば、パラコッカス・デニトリフィカンス等が挙げられる。
【0018】
フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAとしては、パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子の中のフェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードする翻訳領域を用いることができる。
【0019】
パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子は、例えば、文献(タカギら、Biotechnology and Applied Biochemistry、第13巻、第112−119頁、1991年)記載の方法と同様に、ショットガンクローニングによりパラコッカス属微生物から以下のようにして単離することができる。
【0020】
まずパラコッカス属微生物から染色体DNAを調製する。これを適当な制限酵素で処理(Sau3AIによる部分切断等)した後、適当なベクタープラスミドのプロモータ下流(pLG339のBamHI切断部位、pUC18のマルチクローニングサイト等)に連結する。ついで、得られた組換えプラスミドを用いて、宿主大腸菌を形質転換する。宿主大腸菌として、例えばアスパラギントランスアミナーゼ酸及び芳香族アミノ酸トランスアミナーゼの同時欠損変異を有し、該欠損変異に基いてフェニルアラニン要求性を示す菌株(例えばエシェリシア・コリDG30株(Journal of Bacteriology、第130巻、第441−444頁、1987年)を用いれば、目的遺伝子を含む組換えプラスミドが導入された菌株は、L−フェニルアラニンを含まない最小培地で、L−フェニルアラニン要求性が相補された菌株として容易に選択できる。
【0021】
選択された形質転換株を培養し、得られた菌体を用いて、フェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性を測定することにより、組換えプラスミド上に目的遺伝子が含まれていることを確認することができる。
【0022】
パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子は、上記のような方法により単離できるほか、既知の塩基配列情報を利用して、取得することもできる。
【0023】
例えば、オウエらの文献(J.Biochem.、第121巻、第161−171頁、1997年)及び後記配列表の配列番号1には、パラコッカス・デニトリフィカンス(パラコッカス・デニトリフィカンス IFO12442)から単離したフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子を含む染色体断片の塩基配列が開示され、同文献及び後記配列表の配列番号2には、当該フェニルアラニン・トランスアミナーゼのアミノ酸配列が開示されている。
【0024】
開示された塩基配列の情報をもとにプライマーやプローブを設計し、これらを用いるPCR(Polymerase chain reaction)法、コロニーハイブリダイゼーション法などを適宜組み合わせて、DNAライブラリーから、パラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子を取得できる。
【0025】
DNAライブラリーは、パラコッカス属微生物の染色体DNAを用い、例えば、「Molecular Cloning」(Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T.著、Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により調製できる。
【0026】
かくして単離されたパラコッカス属微生物由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子の塩基配列を決定し、翻訳領域を同定できる。この翻訳領域を含むDNA断片を切り出して、フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAとして用いることができる。
【0027】
フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAとしては、具体的には、例えば配列番号1の第1024〜2205番目の塩基からなる塩基配列を含むDNAが挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
このほか、配列番号1の第1024〜2205番目の塩基で示される塩基配列を有するDNAと、ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーション(すなわち6×SSCまたはこれと同等の塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、50〜60℃の温度条件下、約16時間ハイブリダイゼーションを行い、6×SSCまたはこれと同等の塩濃度の溶液等で必要に応じて予備洗浄を行った後、1×SSCまたはこれと同等の塩濃度の溶液中で洗浄を行うこと)によりハイブリダイズし得るDNAであって、フェニルアラニントランスアミナーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAが挙げられる。
【0029】
フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAは、自然界に存在するフェニルアラニン・トランスアミナーゼ遺伝子の翻訳領域を用いることもできるが、その一部の塩基配列を改変したものであってもよい。ひとつのアミノ酸をコードするコドンは各々1〜6種類知られており、塩基配列を改変する際は、通常、コードするアミノ酸配列に変更が生じないように設計される。設計した塩基配列を持つDNAは、化学合成したDNAの連結、DNAの断片化と結合、部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)(Proceedings of National Academy of Sciences、第81巻、第5662〜5666頁、1984年)等を組み合わせることによって取得できる。
【0030】
フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAを、適当なベクタープラスミド中のプロモータ下流に連結することにより、トランスアミナーゼ発現プラスミドを得ることができる。この際、該プロモータとフェニルアラニン・トランスアミナーゼの翻訳開始コドンとの間の塩基配列が、特定の配列、すなわち後記配列表の配列番号5に示された配列となるようにすればよい。
【0031】
プロモータとフェニルアラニン・トランスアミナーゼの翻訳開始コドンとの間の塩基配列は、フェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAの制限酵素処理などによるDNA断片化、断片化したDNAの結合、化学合成したリンカーDNAの連結、部位特異的変異導入法、PCR法等を適宜組合わせることによって、後記配列表の配列番号5に示された塩基配列となるように構築することができる。
【0032】
プロモータは、宿主微生物である大腸菌(エシェリシア・コリ)中で機能し得るプロモータであればよく、特に限定されない。このようなプロモーターとしては、例えばlacプロモーター(大腸菌ラクトースオペロンのプロモーター)が挙げられる。lacプロモーターの塩基配列を後記配列表の配列番号3に示した。
【0033】
ベクタープラスミドは、宿主微生物である大腸菌(エシェリシア・コリ)中で複製可能なプラスミドであれば特に限定されない。このようなベクタープラスミドとしては、例えばpBluescriptSK(+)(Stratagene社製)、pLG339(Gene、第18巻、第335頁、1982年、ATCC37131)、pUC18(Gene、第33巻、第103頁、1985年、ATCC37253)等が挙げられる。このうち、pUC18がとりわけ好ましい。
【0034】
トランスアミナーゼ発現プラスミドを、通常の形質転換法により宿主微生物となるエシェリシア・コリに導入することにより、本発明の組換え微生物を取得できる。このような宿主微生物は特に限定されないが、例えば、エシェリシア・コリDH5株、エシェリシア・コリJM109株、エシェリシア・コリHB101株(Journal of molecular biology、第41巻、第459頁、1969年、ATCC33694)、エシェリシア・コリJM109株(蛋白質・核酸・酵素、第29巻、第294頁、1981年)等が挙げられる。このうち、エシェリシア・コリHB101株が好ましい。
【0035】
本発明の組換え微生物において、フェニルアラニン・トランスアミナーゼの高発現が実現する。フェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性は、フェニルピルビン酸、2−オキソ−4−フェニル酪酸などを基質とし、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸などをアミノ供与体として含む反応溶液中、微生物菌体を酵素源として添加し、公知の方法により測定できる。
【0036】
本発明の組換え微生物もしくは該微生物の処理物を利用した酵素反応により、オキソ酸化合物(フェニルピルビン酸または2−オキソ−4−フェニル酪酸)からL−アミノ酸(L−フェニルアラニンまたはL−2−アミノ−4−フェニル酪酸)を製造することができる。
【0037】
すなわち、本発明の組換え微生物もしくは該微生物の処理物を、アミノ供与体の存在下に、一般式(II)
【0038】
【化9】
【0039】
(但し、式中、nは1または2を表す。)
で示されるオキソ酸化合物に作用させることにより、一般式(I)
【0040】
【化10】
【0041】
(但し、nは前記と同一意味を有する。)
で示されるL-アミノ酸を製造できる。
【0042】
酵素反応に用いる微生物(生菌体、培養物等)及びそれらの処理物(洗浄菌体、乾燥菌体、培養上清、菌体破砕物、菌体自己消化物、菌体抽出物等)は、フェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性を有するものであればよく、その形態は特に限定されない。
【0043】
微生物の培養は常法により行うことができる。例えば、炭素源、窒素源、有機栄養源、無機塩類などを含む通常の栄養培地のpHを5.0〜9.0に調整し、これに微生物を接種したのち10〜45℃、好ましくは28〜37℃で、好気的に培養すればよい。本発明の微生物の含有する発現プラスミドにおいて、トランスアミナーゼがlacプロモータの制御下に発現するよう構築されている場合には、培地中にラクトース、IPTG(イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド)などの酵素誘導物質を添加することが、トランスアミナーゼ発現を高めるために望ましい。
【0044】
微生物の培養液から遠心分離またはろ過等により生菌体を得ることができる。また、生菌体を生理食塩水等で洗浄することにより洗浄菌体を得ることができ、生菌体や洗浄菌体等を凍結乾燥またはアセトン乾燥することにより乾燥菌体を得ることができる。また、生菌体、洗浄菌体等を種々の物理化学的方法(例えば、超音波、フレンチプレス、浸透圧、凍結融解、アルミナ破壊、溶菌酵素、界面活性剤または有機溶媒等で処理)で処理することにより、菌体の破砕物を得ることができ、これら菌体や細胞の破砕物からろ過または遠心分離などにより固形物を除去することによって菌体の抽出物を得ることができる。
【0045】
基質とするオキソ酸化合物およびアミノ供与体は、遊離の形でも塩の形でも反応系に供することができる。
【0046】
アミノ供与体としては、例えばL−アスパラギン酸、L−グルタミン酸が挙げられ、L−グルタミン酸が好ましい。アミノ供与体は、オキソ酸化合物1モルに対して通常1〜3モル、とりわけ1.3〜1.5モル使用するのが好ましい。
【0047】
酵素反応は、フェニルアラニン・トランスアミナーゼの安定性を考慮して40℃未満で行うのが好ましいが、とりわけ28〜37℃で実施するのが好ましく、また、そのpHは7〜9となるよう調整するのが好ましい。また、上記酵素反応に際しては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム等の界面活性剤を反応液中に0.001〜0.1%程度になるよう添加しておくことにより酵素反応を促進させることもできる。
【0048】
本酵素反応は反応時間を適当に調整することにより反応進行率を100%にまで高めることができる。反応液中に生成した目的L−アミノ酸の分離精製は、通常のイオン交換樹脂法やその他の公知方法を単独で、或いは組合せて容易に行うことができる。
【0049】
上記のようにして得たL−アミノ酸(L−2−アミノ−4−フェニル酪酸)から、既知の方法(米国特許第4542234、同第4344949、特開昭59−181247、特開昭60−13715、特開昭63−174955および特開昭63−174956記載の方法等)により、N−置換アミノ酸誘導体へ導くことができる。
【0050】
すなわち、上記のようにして得たL−2−アミノ−4−フェニル酪酸をエステル化した後、α位に脱離基を有するα−置換カルボン酸又はα−置換カルボン酸エステル化合物と反応させて、
一般式(III)
【0051】
【化11】
【0052】
(但し、式中、R1は、低級アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。R2は、低級アルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。R3は、水素原子、低級アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。)
で示される化合物を得、ついでR3が水素原子でない場合には、所望により、該化合物を接触還元及び/又は酸処理(好ましくは接触還元)することにより置換基R3を除去することにより、N−置換アミノ酸誘導体を得ることができる。
【0053】
一般式(III)で示される化合物において、R1、R2又はR3で示される低級アルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アリール基としては、無置換フェニル基、アルキル基置換フェニル基(トリル基等)、ハロゲン原子・ニトロ基置換フェニル基などが挙げられる。
【0054】
一般式(III)で示される化合物において、R1がエチル基、R2がメチル基であることが好ましい。
【0055】
α−置換カルボン酸又はα−置換カルボン酸エステル化合物がα位に有する脱離基としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、スルホニルオキシ基(脂肪族置換スルホニルオキシ基、芳香族置換スルホニルオキシ基、ハロスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
【0056】
かくして、各種アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の共通な合成中間体として有用なN−置換アミノ酸誘導体であるN−〔(1S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル〕−L−アラニンなどを製造できる。
【0057】
得られたN−〔(1S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル〕−L−アラニンはさらに、特開昭62−48696記載の方法により、酸塩化物(例えば、塩化ギ酸の反応性誘導体(ホスゲンなど))と反応させることによって、下式
【0058】
【化12】
【0059】
で示される化合物に変換することができる。
【0060】
また、本発明の製法において得られる生成化合物(L−アミノ酸、N−置換アミノ酸誘導体)は、遊離の形であってもよく、或いは塩の形であってもよい。かかる塩としては、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)および有機酸塩(コハク酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩等)が挙げられる。
【0061】
さらに、上記で得られたN−置換アミノ酸誘導体から、既知の方法(特開昭58−203971記載の方法等)により、2−オキソイミダゾリジン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩へ導くことができる。
【0062】
すなわち、上記で得られたN−〔(1S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル〕−L−アラニンを、その活性エステル体に変換した後、一般式(IV)
【0063】
【化13】
【0064】
(但し、R4は低級アルキル基又はフェニル基置換低級アルキル基を表す。)で示される2−オキソイミダゾリジン−4−カルボン酸誘導体と縮合反応させ、得られた化合物をさらに、酸処理及び/又は接触還元(好ましくは酸処理)して置換基R4を除去して、下式
【0065】
【化14】
【0066】
で示される化合物を得、所望により、該化合物をその薬理的に許容し得る塩とすることにより、2−オキソイミダゾリジン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩を製造できる。かかる塩としては、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、有機酸塩(コハク酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩など)、有機塩基との塩(リジン塩、オルニチン塩等)が挙げられる。
【0067】
N−〔(1S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル〕−L−アラニンの活性エステル体とは、そのカルボキシル基における反応性誘導体を意味する。このような活性エステル体は、例えば前記化合物を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は1−ヒドロキシコハク酸イミドと、縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド等)の存在下で反応させることにより得られる。
【0068】
一般式(IV)においてR4で示される低級アルキル基としては、tert−ブチル基などが挙げられる。フェニル基置換低級アルキル基としては、ベンジル基などが挙げられる。このうちR4は、ベンジル基であることが好ましい。
【0069】
かくして、塩酸イミダプリル(化学名:(4S)−1−メチル−3−{(2S)−2−〔N−((1S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)アミノ〕プロピオニル}−2−オキソイミダゾリジン−4−カルボン酸塩酸塩)など、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤として有用な2−オキソイミダゾリジン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩を製造することができる。
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
なお、下記実施例において、各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T. 著、Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により行うか、または、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。
【0072】
【実施例】
実施例1 トランスアミナーゼ高発現プラスミドpPAP243及びこれを含む大腸菌形質転換株の取得
(1)発現プラスミドpPAP142の調製
タカギらの文献(Biotechnology and Applied Biochemistry、第13巻、112-119頁、1991年;特開平1−153084)記載の方法に従って、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans IFO12442)の染色体DNAからトランスアミナーゼ遺伝子(フェニルアラニントランスアミナーゼ遺伝子)を含むDNA断片を単離し、これを含む組換え発現プラスミドpPAP142を得た。
【0073】
pPAP142は、トランスアミナーゼ遺伝子を含むパラコッカス・デニトリフィカンス染色体DNA断片(約2.2kb)が、ベクタープラスミドpUC18のlacプロモータ下流に連結されている。この染色体DNA断片の塩基配列を後記配列表の配列番号1に示し、この染色体DNA断片にコードされるトランスアミナーゼのアミノ酸配列を後記配列表の配列番号2に示した。この染色体DNA断片中、トランスアミナーゼ遺伝子翻訳領域(配列番号1の第1024〜2205番目の塩基に相当する塩基配列を有する)の上流には、パラコッカス・デニトリフィカンス由来の、プロモータ領域と、ロダニース様蛋白質をコードする領域(配列番号1の第166〜927番目の塩基に相当する塩基配列を有する)が存在する。
【0074】
pPAP142中、lacプロモータ(配列番号3で示した塩基配列を有する)とパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子翻訳領域(配列番号1の第1024〜2205番目の塩基に相当する塩基配列を有する)との間の塩基配列は、後記配列表の配列番号4に示した通りである。配列番号4の第237〜998番目の塩基に相当する塩基配列は、ロダニース様蛋白質をコードする領域の塩基配列である。
【0075】
pPAP142を導入した大腸菌中では、パラコッカス・デニトリフィカンス由来のトランスアミナーゼ遺伝子はベクター中のlacプロモータによって発現すると考えられる。
【0076】
(2)発現プラスミドpPAP243の調製
前記(1)で得たプラスミドpPAP142から、パラコッカス(パラコッカス・デニトリフィカンス)由来染色体DNA断片中の、遺伝子源本来のプロモータ領域とロダニース様蛋白質をコードする領域を欠失させ、大腸菌でのトランスアミナーゼの発現に必要な領域のみを残したプラスミドを、以下のようにして構築した。(構築方法の概略図を図1に示した。)
まず、pPAP142を鋳型とするPCR(polymerase chain reaction)により、pPAP142中のトランスアミナーゼ翻訳域N末端側(177bp)とその上流非翻訳域の一部(95bp)を含む断片を増幅した。
【0077】
PCRのためのプライマーとしては、後記配列表の配列番号9及び配列番号10に示した塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドを各々センスプライマー及びアンチセンスプライマーとして用いた。
【0078】
センスプライマーの配列は、上流非翻訳域部分配列(配列番号1の第929〜958番目の塩基に相当)のN末側を一部改変してKpnI認識部位が生成されるように設計した。また、アンチセンスプライマーの配列は、トランスアミナーゼ翻訳域中の部分配列(配列番号1の第1171〜1200番目の塩基に相当)に基づいて設計した。
【0079】
PCRの反応は、5μl(0.09μg)のプラスミド pPAP142、各4μMのプライマー、1.0単位のDNAポリメラーゼ、5μlの10倍緩衝液、各5μl(2mM)のデオキシNTPおよび30.5μlの水からなる混合液を用いて、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分の工程を、30回繰り返すことにより行った。反応後、反応液をアガロースゲル電気泳動に供し、目的とするPCR産物のDNA断片(約300bp)をゲル中から回収した。
【0080】
得られたDNA断片をベクタープラスミドpBluescriptSK(+)(Stratagene社製)のEcoRVで切断部位に挿入し、プラスミドpBSK1を得た。pBSK1中のEcoRI−KpnI−EcoRI断片の塩基配列を決定し、PCRで得たDNAが目的とする正しい配列を有していることを確認した。
【0081】
プラスミドpBSK1をさらにEcoRIで切断し、得られた約150bpのDNA断片をpPAP142のEcoRI切断断片(約3800bp:アンピシリン耐性遺伝子、lacプロモータ及びトランスアミナーゼ遺伝子の3’末端側を含む)と連結して、組換え発現プラスミドpPAP243を得た。
【0082】
pPAP243は、lacプロモータの下流にパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子の翻訳領域及び3’非翻訳領域が正方向に連結されており、pPAP142におけるパラコッカス由来のプロモータ領域とロダニース様蛋白質をコードする領域が欠失している。
【0083】
pPAP243において、lacプロモータ(配列番号3で示した塩基配列を有する)とパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子翻訳領域(配列番号1の第1024〜2205番目の塩基に相当する塩基配列を有する)との間の塩基配列は、配列番号5で示した通りである。
【0084】
(3)発現プラスミドpPAP243を含む大腸菌形質転換株の取得
前項(2)で得た発現プラスミドpPAP243を、エシェリシア・コリ(Escherichia coli) HB101株に導入し、形質転換株 HB101(pPAP243)を得た。
【0085】
実施例2 トランスアミナーゼ発現プラスミドpPAP243を含む大腸菌形質転換株の培養物のトランスアミナーゼ活性
前記実施例1(3)で得たトランスアミナーゼ発現プラスミドpPAP243を導入した形質転換株HB101(pPAP243)(実施例1(3))のトランスアミナーゼ活性を測定した。
【0086】
また、ロダニース様蛋白質をコードする領域などを除く前の発現プラスミドpPAP142(実施例1(1))、ロダニース様蛋白質をコードする領域などは除かれているがプロモータ(lac)とトランスアミナーゼ翻訳領域との間の配列がpPAP243とは異なる対照発現プラスミドpPAP1416(後記参考例1(1))、pPAP1417(後記参考例1(2))及びpPAPSD61(後記参考例1(3))について、これらを導入した形質転換株のトランスアミナーゼ活性を測定・比較した。
【0087】
形質転換株の培養及びトランスアミナーゼ活性の測定は、以下のように行った。LBG寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%NaCl、2%グルコース、2%寒天)で前培養した菌を一白金耳、生理食塩水4.5mlに懸濁した後0.5mlを生産用培地(1%乳糖、0.2%ブドウ糖、0.5%L−グルタミン酸ナトリウム、2%コーンスチープリカー、2%ミーストN、0.3%リン酸第1カリウム、0.7%リン酸第2カリウム、0.1%硫酸アンモニウム、0.025%硫酸マグネシウム・7水和物、0.03%カラリン、アンピシリン200μg/mlを含む培地(pH7.0))50mlに植菌し、37℃にて26.5時間振とう培養した。培養後、培養液0.2mlを採取し、洗浄用液(0.01%臭化セチルトリメチルアンモニウム、0.9%塩化ナトリウム)4mlに添加して30℃、30分間インキュベートした。これを遠心分離した後上清4mlを除去し、残った菌体について、トランスアミナーゼ活性を測定した。
【0088】
トランスアミナーゼ活性(フェニルアラニン・トランスアミナーゼ活性)は、2−オキソ−4−フェニル酪酸を基質とし、L−グルタミン酸をアミノ供与体として、以下のように測定した。
【0089】
前記被験菌体(0.2ml)に基質溶液(0.25M 2−オキソ−4−フェニル酪酸カリウム、0.375M L−グルタミン酸ナトリウムおよび0.125M ピリドキサール−5’−リン酸)0.8mlを添加し、30℃で30分反応させた後、1N塩酸4mlを添加して反応停止させた。これを蒸留水で適宜希釈した後、HPLC(Nucleosil 10C18カラム(4×250mm、MACHEREY−NAGEL社製)、移動相40mMリン酸カリウム(pH2.5)/CH3CN[9/1]、流速1ml/分、検出波長254nm)にて、反応生成物L−2−アミノ−4−フェニル酪酸を測定・定量した。
【0090】
測定結果を下記表1に示した。
【0091】
【表1】
【0092】
表1に示した通り、pPAP243をHB101株に導入した形質転換株は、ロダニース様蛋白質をコードする領域などを除く前の発現プラスミドpPAP142を導入した株の約2.1倍の高い活性を示した。
【0093】
また、pPAP243と同様にロダニース様蛋白質をコードする領域などは除かれているがプロモータとトランスアミナーゼ翻訳領域との間の配列がpPAP243とは異なる発現プラスミド、pPAP1416、pPAP1417及びpPAPSD61を各々導入した形質転換株では、pPAP243を導入した株の約1/2以下の活性しか認められなかった。
【0094】
実施例3 L−2−アミノ−4−フェニル酪酸の製造
生産用培地(1%乳糖、0.2%ブドウ糖、0.5%L−グルタミン酸ナトリウム、2%コーンスチープリカー、2%ミーストN、0.3%リン酸第1カリウム、0.7%リン酸第2カリウム、0.1%硫酸アンモニウム、0.025%硫酸マグネシウム・7水和物、0.03%カラリンを含む培地(pH7.0))100mlに、前記実施例1の(3)で得た大腸菌形質転換株HB101(pPAP243)を1白金耳植種し、37℃で26時間培養する。この培養液に2−オキソ−4−フェニル酪酸カリウム4.33g、L−グルタミン酸ナトリウム5.07gおよびピリドキサルリン酸2.65mgを添加後、アンモニア水でpH8.8に調整し、更に30℃で26.5時間静置して酵素反応を行う。2時間および5時間反応後に、それぞれ2−オキソ−4−フェニル酪酸カリウム2.16gとL−グルタミン酸ナトリウム2.54g(pH8.8)を添加して反応を行う。反応後、コットンフィルターでろ過を行い、HClで溶解後、活性炭処理して、5N NaClでpH5.5に調整する。かくして収率約88%で光学活性体L−2−アミノ−4−フェニル酪酸の結晶を得ることができる。
【0095】
参考例1 対照トランスアミナーゼ発現プラスミドの調製
プロモータとトランスアミナーゼ翻訳領域との間の配列がpPAP143とは異なる発現プラスミドpPAP1416、pPAP1417及びpPAPSD61を以下のように調製した。
【0096】
(1)pPAP1416の調製
実施例1(1)で取得した発現プラスミドpPAP142を、制限酵素KpnIおよびMluIで切断し、得られたDNA断片(3890bp:アンピシリン耐性遺伝子、lacプロモータ及びトランスアミナーゼ翻訳領域を含む)にリンカーDNA(KpnI−MluIリンカーDNA:配列番号6の第70〜84番目の塩基に相当)を連結して閉環し発現プラスミドpPAP1416を得た(調製方法の概略を図2に示した。)。リンカーDNAは、381A型DNA合成機(アプライドバイオシステム社製)を用いてホスホアミダイト法によって合成したものを用いた(以下、同)。
【0097】
得られた発現プラスミドpPAP1416は、プロモータ(lac)及びパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子の翻訳領域を含み、プロモータ(lac)とトランスアミナーゼ翻訳領域との間の塩基配列は、配列番号6で示した通りである。
【0098】
(2)pPAP1417の調製
実施例1(1)で取得した発現プラスミドpPAP142を、制限酵素KpnIおよびMluIで切断した後、MBヌクレアーゼ(Mung bean nuclease)で処理して末端平滑化した。得られたDNA断片(約3890bp:アンピシリン耐性遺伝子、lacプロモータ及びトランスアミナーゼ翻訳領域を含む)にリンカーDNA(KpnI−平滑末端リンカーDNA:配列番号7の第70〜88番目の塩基に相当)を連結して閉環し発現プラスミドpPAP1417を得た(調製方法の概略を図2に示した。)。
【0099】
得られた発現プラスミドpPAP1417は、プロモータ(lac)及びパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子の翻訳領域を含み、プロモータ(lac)とトランスアミナーゼ翻訳領域との間の塩基配列は、配列番号7に示した通りである。
【0100】
(3)pPAPSD61の調製
実施例1(1)で取得した発現プラスミドpPAP142を、制限酵素KpnIおよびMluIで切断し、得られたDNA断片(約3.9kb:アンピシリン耐性遺伝子、lacプロモータ及びトランスアミナーゼ翻訳領域を含む)にリンカーDNA(KpnI−MluIリンカーDNA:配列番号8の第69〜78番目の塩基に相当)を連結して閉環し発現プラスミドpPAPSD61を得た。
【0101】
得られた発現プラスミドpPAPSD61は、プロモータ(lac)及びパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子の翻訳領域を含み、プロモータ(lac)とトランスアミナーゼ翻訳領域との間の塩基配列は、配列番号8で示した通りである。
【0102】
【発明の効果】
本発明の微生物は、従来のトランスアミナーゼ発現組換え微生物と比較して顕著に高いトランスアミナーゼ発現能及び生産能を有する。また、本発明の微生物は、トランスアミナーゼ以外のパラコッカス・デニトリフィカンス由来蛋白質を発現しない点でも有利である。
【0103】
本新規微生物を用いることにより、L-アミノ酸(L−2−アミノ−4−フェニル酪酸など)を工業的有利に製造できる。また、本新規微生物を用いることにより、L-アミノ酸を経由してN−置換アミノ酸誘導体アルキル及び2−オキソイミダゾリジン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩を工業的有利に製造できる。
【0104】
「配列表フリーテキスト」
配列番号5のフリーテキスト
<223> ベクターの一部分とパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子翻訳領域の5’上流の一部分が融合した配列(Sequence of the fusion of a portion of a vector and 5' upstream part of the Paracoccus transaminase gene coding region)
【0105】
配列番号6、7及び8のフリーテキスト
<223> ベクターの一部分とリンカーとパラコッカス由来トランスアミナーゼ遺伝子翻訳領域の5’上流の一部分が融合した配列(Sequence of the fusion of a portion of a vector,a linker,and 5' upstream part of the Paracoccus transaminase gene coding region)
【0106】
配列番号9及び10のフリーテキスト
<223> 人工的に合成されたプライマーの配列(Artificially synthesized primer sequence)
【0107】
【配列表】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【図面の簡単な説明】
【図1】トランスアミナーゼ高発現プラスミドpPAP243の作製方法概略を示す模式図。
【図2】対照トランスアミナーゼ発現プラスミドpPAP1416及びpPAP1417の作製方法概略を示す模式図。
Claims (10)
- lacプロモータの下流に、パラコッカス・デニトリフィカンス由来のフェニルアラニン・トランスアミナーゼをコードするDNAであって、配列番号1の第1024〜2205番目の塩基からなる塩基配列を含むDNAが組込まれた組換えプラスミドを、エシェリシア・コリ(宿主微生物)に含有せしめた組換え微生物であって、lacプロモータとフェニルアラニン・トランスアミナーゼの翻訳開始コドンとの間の塩基配列が配列番号5に示された配列である、組換え微生物。
- 請求項1記載の微生物を用いて、フェニルアラニン・トランスアミナーゼを生産する方法。
- アミノ供与体がL−アスパラギン酸又はL−グルタミン酸である請求項3記載の製法。
- オキソ酸化合物が2−オキソ−4−フェニル酪酸であり、L−アミノ酸がL−2−アミノ−4−フェニル酪酸である、請求項3記載の製法。
- 請求項5記載の製法によりL−2−アミノ−4−フェニル酪酸を得、該化合物をエステル化した後、α位に脱離基を有するα−置換カルボン酸又はα−置換カルボン酸エステル化合物と反応させて、一般式(III)
- R1がエチル基、R2がメチル基である請求項6記載の製法。
- N−置換アミノ酸誘導体が、N−〔(1S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル〕−L−アラニンである請求項7記載の製法。
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