JP4505287B2 - マイクロチップ並びにその製造方法及びそれを用いた検査方法 - Google Patents

マイクロチップ並びにその製造方法及びそれを用いた検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、DNAチップ、タンパク質チップ等の各種マイクロチップに使用する基板、その製造方法並びにその基板を用いた検査方法に関する。
近年、病気の診断や予防、創薬等を目的とした遺伝子解析の新たなツールとして、DNAチップやDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」という)が広く実用化されている。DNAチップとしては、一般に、ガラス基板上に既知遺伝子配列のDNAプローブを含むDNA溶液の液滴をスポットして、多種のDNAプローブを高密度に固定化したものや、ガラス基板上でDNAを合成することによってDNAプローブを固定化したもの等がある。
このようなDNAチップは、反応場(試料溶液の液滴)の微細化、高密度化を更に進めるための様々な検討が行われている。
DNAチップは、例えば、検査対象から採取したmRNAから逆転写した相補的DNA(cDNA)を、DNAプローブを固定化した分析部にアプライし、cDNAと基板上のDNAプローブとのハイブリッド形成を検出することによって、目的遺伝子の発現の有無を検出できる。また、このようなDNAチップによれば、例えば、少量の試料でも有効に分析が可能である。更に、このようなDNAチップによれば、多種のDNAプローブを一つの基板に固定化できるため、一つのDNAチップにおいて同一検体につき、多項目の分析を行うことができる。
前述のようなハイブリッド形成等を検出する際には、一般に蛍光標識等が利用されている。
上記の発光(又は発色)を検出するための検出手段としては、DNAチップにおける発光状態(又は発色状態)を2次元的なマップとして認識し、一度に多くの情報を得ることを意図して、CCDが一般に使用されている。CCDを発光検出手段として備える従来の検出装置は、検出対象遺伝子と固定化プローブとのハイブリッド形成を行ったDNAマイクロチップを装置内部に配置し、その発光を検出する構成を有する(例えば、非特許文献1参照)。
また、検出感度の向上を意図して、発光検出手段としてフォトダイオードを使用し、このフォトダイオードの上に蛍光反応の反応場となる蛍光反応槽を形成した構成の蛍光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、基板上に、金属やプラスチックポリマー製のマトリクスパターンを形成することにより、試料等の液溶媒に対して非親和性を示す凸部を設け、隣りあう反応場同士を隔離する構成を有する反応場アレーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この反応場アレーは、基板上での試料溶液の液滴の拡散による、隣接する反応場同士の混合(コンタミネーション)の発生を防止することを意図したものである。
また、遺伝子検査を安価、簡便に行うための装置として、生体試料が収納される複数の反応槽が1次元又は2次元に配列される試料プレートと、それに対応する光センサアレイ及び信号読み出しのためのピクセル選択回路が形成される光センサアレイ基板とし、上記ピクセルに対応する上記反応槽内で、上記生体試料と試薬との反応により生成する光を、選択された上記ピクセルの上記光センサにより受光して、選択された上記ピクセルから信号を読み出す構成を有する生体試料検査装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
松永是(監修)、ゲノム工学研究会「DNAチップ応用技術」、株式会社シーエムシー、2000年7月31日、p.45〜p.49 特開2002−350346号公報 特開平11−99000号公報 特開2003−329681号公報
しかしながら、上述の技術をはじめとする従来技術では、DNAチップとして、分析感度、分析精度に未だ十分なものが得られていないのが現状である。これは、溶媒に通常水性の溶液が用いられること、基板がガラス基板などの水性溶液がなじみ易いこと、微細な反応場を形成していることによる。また、最近では、滴下する液滴の体積を更に微量化し、かつ、その数を更に増加させることにより、反応場の微細化、高密度化を更に進め、分析効率の更なる向上、分析コストの更なる低減、分析装置の更なる小型化を同時に図る場合には、分析感度、分析精度の低下が起こり易くなり、その実現が極めて困難となっていた。
例えば、非特許文献1に記載のDNAチップ及び検出装置は、基板表面が親水性の材料(例えば、ガラス等)からなる。そのため、滴下された液滴の面上での拡がりの進行を十分に防止することには限界がある。また、高いレベルを目指して基板表面上の反応場の微細化、高密度化を試みる場合には、コンタミネーションの発生を十分に防止することが極めて困難である。
更に、このDNAチップ及び検出装置で発光や発色の信号が微弱な場合、信号をCCDで受けることが困難になり、分析感度が低下するという問題がある。また、DNAチップの大きさと比較した場合、装置の暗室は極めて大きく設計することが必要であるため、装置の小型化を試みる場合にも限界がある。
また、特許文献1に記載の検出装置は、透明基板上に立設した透明材料からなる容器を蛍光反応槽とする構成、又は、表面透明基板の表面を加工して形成した凹部を蛍光反応槽とする構成としているため、微小なスケールの凹部を透明基板表面に高密度で形成することは容易でない。
また、特許文献2に記載の反応場アレーにおいて、試料の液滴が水系の場合には、基板表面に形成する凸状マトリクスパターンは感光性樹脂等の樹脂材料から形成されている。基板上に形成される感光性樹脂等の樹脂材料や、蒸着法を用いた成膜技術により形成される金属からなる凸状マトリクスパターンは、基板から剥離しやすく、十分な信頼性を得ることが困難である。特に、基板からの凸状マトリクスパターンの全て又は部分的な剥離を十分に防止することが困難であり、長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合に、十分な信頼性を得ることが困難となる。この凸状マトリクスパターンが基板から剥離しやすいことについての理由については明確に解明されていないが、凸状マトリクスパターンは、物理吸着、分子間力、又は水素結合などの弱い結合で基板表面に固定されていることが要因の一つとなっていると本発明者らは考えている。
また、金属製の凸状マトリクスパターンとする場合、この凸状マトリクスパターン表面は、金属酸化物からなる親水性の膜が形成され易く、水系の試料の液滴を使用すると、コンタミネーションが発生し易くなる。
また、特許文献3に記載の生体試料検査装置は、反応槽の容積が大きい。これに対して、遺伝子や固定化DNAなどの分析対象は、ナノメートルオーダーである。このため、分析対象の遺伝子や固定化DNAの大きさに対して、反応場が極めて大きいため、1つの反応槽に対して大量の試料溶液が必要となる。また、試料が不足すると、ハイブリッド形成が効率よくできず検出精度が低下するおそれもある。
また、上述の課題は何れもDNAチップを用いる分析に関する技術分野にのみ生じるものではなく、液相中に含まれる物質の定性又は定量分析を行う技術分野、並びに、液相を反応場とする化学反応及び生化学反応に関する反応開発やその反応解析を行う技術分野においても、高いレベルでの基板表面上の反応場の微細化、高密度化を試みる場合には、同様に生じるものである。
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、第一の目的は、反応場の微細化、高密度化を図る場合であっても十分な分析感度を確保することができるマイクロチップを提供することである。
また、本発明の第二の目的は、上記のような反応場の微細化、高密度化を図った場合の、隣接する反応場とのコンタミネーションの発生を防止し、高い分析精度が得られるマイクロチップを提供することである。
そして、本発明の第三の目的は、マイクロチップの小型化のために、機器厚を薄くすることが可能な反応場を提供することである。
さらに、本発明の第四の目的は、水性溶液による液滴を用いる場合にも、基板の劣化を低減したマイクロチップを提供することである。
本発明のマイクロチップは、基板と、前記基板上には試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を有し、前記基板の表面における前記液体を収容し得る領域の周囲は、前記液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性を示す単分子膜からなる層で被覆されており、前記単分子膜は前記基板と共有結合により固定されており、前記単分子膜は、基板と結合していない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、前記共有結合と、前記末端基との間に、一般式(2)で表される2価の特性基を有する有機基からなることを特徴とする。
上記のようなマイクロチップの構造とすることにより、前記液体を収容して反応場を形成した時に、隣接する反応場間でのコンタミネーションを防止するのに十分なマイクロチップとすることができる。
また、本発明のマイクロチップの製造方法は、基板の表面の活性水素を有する領域に、一方の末端に前記活性水素と共有結合を形成可能な末端結合官能基を含み、他方の末端に前記液体に非親和性を示す末端基を有する有機分子を接触させ、前記有機分子の末端結合官能基と前記基板表面の活性水素とを反応させて共有結合を形成することによって、前記基板表面における前記液体を収容し得る領域の周囲に、非親和性を示す単分子膜からなる層を選択的に固定し、前記有機分子は、前記基板と共有結合を形成可能な末端結合官能基として、一般式(1)で表される特性基を有し、前記基板と結合しない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、前記両特性基との間に、一般式(2)で表される2価の特性基を有し、前記基板上に試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を形成することを特徴とするものである。
このような製法で単分子膜を形成することにより、液体に非親和性の有機分子が基板と共有結合し、非親和性の有機基として基板表面に選択的に形成されるため、厚みが均一で、耐久性のあるマイクロチップとすることが可能となる。
そして、本発明は上記のようして作製されるマイクロチップを用いて、予め調整されたプローブを含有する水溶液を高密度スポットで上記のようにして作製されるマイクロチップ上に滴下することによって生体高分子を検査する検査方法において、前記基板表面の単位面積当たりに形成される前記液体を収容し得る領域の数が1万個/cm2以上とし、前記液滴を収容し得る領域に、反応場となる液滴を全量で0.01pL〜1000pL滴下することにより検査を行うことを好ましい態様とするものである。
このように高密度で分析を行っても、疎水性の単分子膜で液体を収容し得る領域を隔離しているため、前記領域以外に反応場が広がっていかず、そのため、反応場間のコンタミネーションを生ぜず、高い分析精度を維持することができる。
ここで、本発明において上記「単分子膜」とは、基板と共有結合により固定されている膜をいう。従って、前記基板は、単分子膜を除いた部分を意味するものであり、基板自体には液体を収容しうる領域となる凹部が予め形成されていなくてもよい。すなわち、基板表面を単分子膜からなる層で選択的に被覆することにより凹部を形成して、前記凹部を液体を収容しうる領域としてもよい。また、予め凹部が形成されている基板を用い、前記凹部の基板表面周囲を単分子膜からなる層で選択的に被覆して、液体を収容しうる領域としてもよい。本発明の単分子膜は、上記液体を収容し得る領域の容積と、その領域の密度を同時に達成することが可能であれば、単一の膜(1層)から構成されているものであってもよく、単一の膜が複数積層された積層体からなる膜であってもよい。また、単分子膜は1種のみからなる場合だけでなく、構造、形状、寸法、非親和性などの観点において異なる種類の単分子膜を形成することも可能である。
なお、単分子膜は、上記液体を収容し得る領域の容積と、その領域の密度を同時に達成することが可能であれば、上記の単一の膜からなる部分と上記の積層体からなる部分とが混在する膜であってもよい。このような膜は、基板表面上の複数の液体を収容し得る領域を2以上のグループに分けて、各グループの領域の容積に差異を設ける必要がある場合などに使用可能である。
また、液体を収容し得る領域とは、所望の量の液滴を保持できる凹部が形成されていれば足り、「収容」された状態とは、凹部中に液滴の全てが入っている状態の他に、凹部に液滴の一部が収容されていれば凹部の開口部から液滴の一部がはみ出している状態も含まれる。なお、試料、試薬はそれ自体が液体である場合がある。
本発明のマイクロチップによれば、前述のような液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性を示す単分子膜からなる層が前記基板表面の前記液体を収容しうる領域の周囲に選択的に被覆されているため、例えば、マイクロチップ作製時における各種試薬溶液や溶媒、マイクロチップの使用時における液体試料や試薬溶液もしくは溶媒が、前記領域のみに収容され、その周囲の領域に拡散することが防止され、微小な領域としても高い分析感度を得ることができる。
また、単分子膜が前記液体を収容し得る領域よりも非親和性を示すため、単分子膜の層の上には溶液が拡散せず、他の領域にスポットした溶液とのコンタミネーションを十分防止することができる。また、単分子膜からなる層で被覆しているため、均一な厚さの層とすることができ、各凹部の容積のバラツキを低減できるため、分析精度の向上に寄与することができる。
また、基板上に積層しているのは単分子膜であるため、その厚さはナノオーダーの厚みであることから、樹脂製マトリクスとは異なり、極めて薄型化が可能となる。また、単分子膜であるため、目視や光学分析における支障もない。さらに、基板表面に、蒸着等で成膜を行う金属製マトリクスや、固化により成膜を行う樹脂製マトリクスとは異なり、基板と単分子膜とが共有結合によって結合しているため、極めて強固な結合であり、取り扱い時において剥離の問題もない。
本発明の製造方法によれば、前述のような有機分子を活性水素を有する基板と接触させることによって、基板と単分子膜との共有結合を形成できる。本発明において、前記単分子膜はこのような効果を奏するため、基板に前述のような非親和性を示す単分子膜を形成すれば、例えば、極めて微細な分析部や流路等の形成も可能となり、かつ、微細化によるコンタミネーションや膜厚のバラツキ等が原因となる前述のような問題も解消できる。
したがって、本発明のマイクロチップを、DNAチップや集積型マイクロチップ等に使用すれば、各種マイクロチップの微細化を実現し、かつ、微量検体を効率良く使用することも可能となるため、医療や創薬、分析等の各種分野において極めて有用である。
本発明のマイクロチップは、例えば、第1の形態として、いわゆるDNAチップに代表されるマイクロチップ、ならびに第2の形態として、いわゆる集積型マイクロチップに代表されるマイクロチップがあげられる。
前記第1の形態としては、前記基板表面に、プローブを固定化する分析部となる液体を収容しうる領域を少なくとも2箇所以上含み、前記基板表面であって、領域の周囲または前記領域以外の全ての領域に前記単分子膜が積層されているマイクロチップがあげられる。
このように基板上における複数の液体を収容しうる領域以外の領域に、前記単分子膜を形成することによって、各試料を検査する領域にそれぞれ異なるDNAプローブを固定化する場合または各領域において直接DNAプローブを合成する場合、隣り合う領域において前記DNAプローブやプローブ合成材料のコンタミネーションの発生を防止できる。また、単分子膜のパターニングによって領域を小さくしても、分析感度の低下を防止することもできる。
このような形態の基板は、その大きさが、通常、縦1〜100mm、横1〜200mm、厚み500〜5000μmである。また、分析部の数は、例えば、10〜1000,000個であり、凹部底面の一個当たりの大きさ(面積)は、例えば、0.001〜0.1mm2である。
前記第2の形態としては、前記基板表面に、試料の添加部、試薬を配置する試薬部および溶媒を配置する溶媒部となる複数の液体を収容しうる領域及びこの液体を収容しうる複数の領域の少なくとも一部を連結する流路となる溝が形成されており、前記基板表面であって、前記液体を収容しうる領域および溝の周囲、または、前記液体を収容しうる領域および溝以外の全ての領域に、前記単分子膜が積層されているマイクロチップがあげられる。
このように液体を配置したり、液体が通過する領域以外に単分子膜を形成することによって、前記液体を収容しうる領域や溝から液体が出て行くことを防止できるため、微細化に伴う問題を解消できる。
このような形態の基板は、その大きさが、通常、縦5〜100mm、横5〜100mm、厚み500〜5000μmであり、流路の幅は、例えば、0.5〜0.005mm、流路および凹部の深さは、例えば、0.5〜0.005mmである。
本発明に用いられる基板は、例えば、ガラス基板、石英基板、合成石英基板、シリコン基板、アクリル製基板、ポリスチレン製基板、塩化ビニル製基板、エポキシ樹脂製基板、シリコーン樹脂(ポリジメチルシリコーン)製基板、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)製基板、ポリカーボネート製基板等の各種ポリマー製基板、セラミック製基板、金属製基板等、従来公知の基板が使用できる。中でも、ガラス基板や石英基板は、その表面に水酸基を多く有する構造を有しているため好ましい。なお、マイクロチップ用の基板では、上記のような基板の下部に他の基板を接着あるいは固定する場合もある。
本発明の反応場となる各液体を収容しうる領域は、上記のような基板に、液体を収容しうる領域もしくは溝となる領域の周囲に、前記液体を収容しうる領域よりも収容される液体に非親和性を示す単分子膜からなる層で基板表面を被覆することにより形成される。
ここで、親和性、非親和性の区別はそれぞれの領域での液体に対する親和性の差により定められる。例えば、液体を収容しうる領域及びその周囲がいずれも親水性であっても、液体を収容しうる領域の親水性が、その周囲の領域より、その液体に対して親水性の程度が大きければ、前記周囲の領域はより低い親水性を示すこととなる。
図1は、上記第1の形態のマイクロチップ101を示す概略図であり、液体を収容しうる領域となる凹部を除いて、基板表面の全面を単分子膜からなる層で被覆することによって作成したマイクロチップである。図1において、1は基板であり、2が単分子膜からなる層の表面である。そして、複数の液体を収容しうる領域3が凹部として形成されている。なお、この図1も含めて、マイクロチップを表す図面は、本発明を分かりやすく説明するためにいずれも模式的に表したものであり、その大きさ、形状などは実際のものを反映するものでない。
前記マイクロチップの凹部3は図2(A)の断面図に示すように、第1の形態では、基板1の基板表面F1の周囲が単分子膜からなる層2で被覆されることで、内壁F2が形成される。従って、この形態においては、凹部内部において、単分子膜が形成されていない凹部の底面F1が前記単分子膜と液体に対して異なる親和性を示す。
図2(B)は前記の形態と異なり、基板が予め所定容積の凹部を有するものである。図2(B)の断面図に示すように、基板表面の凹部開口部の周囲を非親和性の単分子膜2で被覆してもよい。従って、本形態においては、凹部内部の底面と凹部の周壁の一部が液体に対して単分子膜とは異なる非親和性を示す。なお、この場合、基板表面の凹部開口部と接するようにして単分子膜を設けても良いし、一部基板表面が残る形態で単分子膜を形成することも可能である。
図3は、図2(A)のマイクロチップに前記単分子膜に非親和性を示す液体を滴下し、反応場4を形成した状態を示す図である。このように液体を収容しうる領域3の基板表面における周囲を、液体を収容しうる領域3の一部よりも、前記液体に非親和性の単分子膜からなる層2で囲むことで、滴下される液滴4は、凹部の開口部を超えて、略半球状又は先端部が略半球状の略柱状の形状を呈した状態で収容され、一旦収容された後は、単分子膜が凹部内部よりも液滴に対して低い親和性を有するため、この領域以外に広がっていくことがない。
そのため、凹部の幾何学的容積に比較して、実際に凹部に収容される液滴の体積を非常に大きくすることができる。従って、幾何学的容積の小さな凹部を形成しても、十分な分析感度を得られるだけの量の液滴を使用することができる。そして、凹部に固定された液滴は、反応の検知に有利な形状を呈していることになり、この観点からも本発明のマイクロチップは十分な分析感度を容易に得ることが可能となる。
例えば、凹部の底面を円形近似した場合、凹部の底面上には、その半径rにほぼ匹敵する高さ(凹部の底面から液滴の頂点までの距離)の大きさの液滴を保持できる。例えば、単分子の膜厚の1000倍以上の高さの液滴を凹部に固定できることを本発明者らは確認した。このように、極めて小さな領域に上記のように十分な量の液滴を固定することは、先に述べた従来技術の構成では実現することが極めて困難である。
例えば、先に述べた特許文献2には、凸状マトリクスパターンの高さを1μm以上とすることでコンタミネーションの発生を抑えることができる旨が記載されているが、本発明では、上記凸状マトリクスパターンの高さに相当する単分子膜の厚さを50nm以下としても十分にコンタミネーションが防止可能であることを発明者らは確認した。
ここで、本発明のマイクロチップを用いて、DNAプローブを凹部に固定し、この凹部に滴下した液滴を反応場とする生体高分子の検査装置においては、その反応場の密度、形状などは、従来公知のマイクロチップ構造と同じ構造を利用することもできるが、従来よりも反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る場合に、本発明を有利に使用することができる。
好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、凹部に収容される液滴の体積は、0.01pL〜1000pLであることが好ましく、0.01pL〜35pLであることがより好ましく、0.01pL〜1.2pLであることが更に好ましい。なお、凹部に収容される液滴の体積が0.01pL未満となると、十分な分析感度を得ることが困難となる傾向が大きくなる。
また、凹部に収容される液滴の体積が1000pLを超えると、反応場の微細化、高密度化を図ることが困難となる傾向が大きくなる。更に、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとすると、反応場の密度を容易に10万個/cm2以上とすることができる。また、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとすると、反応場の密度を容易に100万個/cm2以上とすることができる。
先にも述べたように本発明においては、凹部に収容される液滴の体積に比べて凹部の容積(幾何学的容積)を十分に小さくすることができる。そのため、本発明においては、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとする場合、凹部の容積はこれよりも十分に小さくすることができる。具体的には、この場合、凹部の容積は2×10-6pL〜1pLであることが好ましい。
上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜1×10-1pLであることが好ましい。更に、上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜2×10-3pLであることが好ましく、2×10-6pL〜7×10-4pLであることがより好ましい。
また、本発明の検査装置においては、反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る観点、好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、基板表面の単位面積当たりに形成される凹部の数が1万個/cm2以上であることが好ましい。
ここで、本発明において、「基板表面の単位面積当たりに形成される凹部(液体を収容しうる領域)の数」を決定する場合の「基板表面の単位面積」とは、基板表面中に凹部底面の面積と単分子膜の層が被覆されている領域面積の総和から算出される値を意味する。従って、これら以外に他の領域が含まれる場合には、当該他の領域を除外して基板表面の単位面積が算出される。なお、本明細書においては、「基板表面の単位面積当たりに形成される凹部の数」を必要に応じて「基板表面の凹部の密度」ともいう。
また、本発明においては、反応場の密度を10万個/cm2以上とすることもできる。この観点からは、基板表面の単位面積当たりに形成される凹部の数が10万個/cm2以上であることが好ましい。更に反応場の密度を100万個/cm2以上とする観点からは、基板表面の単位面積当たりに形成される凹部の数が100万個/cm2〜800万個/cm2であることが更に好ましい。
なお、凹部の数が800万個/cm2を超えると、凹部に収容される液滴の体積も小さくなる傾向にあり、蛍光で検知する場合の発光量も少なくなって分析感度が低下し、この低下分を補うために、受光時間(分析時間)を長くする、サンプリング回数を多くするなどの対処が必要になる傾向にある。
本発明において、単分子膜の厚さは、反応場の微細化、高密度化が可能となる厚さ、特に基板表面の凹部の容積を0.01pL〜1pLの範囲とし、かつ、基板表面上に形成される凹部の密度を、1万個/cm2以上とすることが可能となる厚さであれば特に限定されない。例えば、基板表面に共有結合した後の有機分子1つ(単分子)の大きさ(長さ)と等しくてもよく、1つの有機分子の大きさを超える厚さを有していてもよい。ただし、本発明の効果をより確実に得る観点からは、1層の単分子膜からなる層が好ましく、厚さは、0.5nm〜50nmであることが好ましく、0.5nm〜10nmであることがより好ましく、0.5nm〜5nmであることが更に好ましい。
より具体的には、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとし、かつ、基板表面上に形成される凹部の密度を1万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜1pLとすることが好ましく、凹部の底面の面積を4μm2〜17500μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さは、上記凹部の容積の大きさと面積の大きさを実現するように調節することが好ましい。
また、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとし、かつ、基板表面上に形成される凹部の密度を10万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜1×10-1pLとすることが好ましく、凹部の底面の面積を4μm2〜1600μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さを0.5nm〜50nmとすることが好ましい。
更に、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとし、かつ、基板表面上に形成される凹部の密度を100万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜2×10-3pLとすることが好ましく、凹部の底面の面積を4μm2〜155μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さを0.5nm〜10nmとすることが好ましい。また、この場合、凹部の容積を更に小さくし、2×10-6pL〜7×10-4pLとすることも好ましく、凹部の底面の面積を上記と同一の範囲として単分子膜の厚さは0.5nm〜5nmとすることが好ましい。
また、コンタミネーションをより確実に防止する観点から、隣り合う凹部間の間隙は、0.1μm以上であることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。
次に本発明の単分子膜について説明する。
本発明においては、単分子膜形成のため、基板として、有機分子と結合する−OH、−NH2、=N−H、4級アンモニウムイオン、−PO3H、−SO3H、−SHなどの構造からなる活性水素を有する特性基をもつ基板が使用される。そして、有機分子として、この基板の活性水素と反応して共有結合可能な特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、他端に収容される液体に非親和性の特性基に有する有機分子を使用し、前記有機分子を前記基板と接触させ、縮合反応を進行させる単分子膜形成工程を経て形成されていることが好ましい。
上記において、活性水素以外の部分が基板の内部に含まれている状態であってもよい。例えば、活性水素以外の部分が基板の内部に含まれていて、活性水素以外の部分が基板の構成元素と結合していてもよい。より具体的には、例えば、基板が金属酸化物を構成材料として構成されている場合であって、活性水素を有する基が−PO3Hの場合、−PO3H全体が露出していてもよく、−PO3Hのうちの−OHのみ露出していてもよい。基板内部に含まれる−PO2−の部分は−PO2−の状態のままでもよく、Pに結合した酸素が金属酸化物バルク中の金属原子(金属イオン)Mと結合して、例えば、−P−O−M−のような構造を有した状態となっていてもよい。
基板は、単分子膜の形成時において活性水素を有していれば足り、予め単分子膜形成に十分な前記活性水素を有しているものでなくてもよく、単分子膜形成工程の前において、基板に活性水素を付与した基板であってもよい。
上記活性水素と後述する有機分子の末端官能基との縮合反応により形成される共有結合は、基板に存在する活性水素を有する特性基の構造と、単分子膜の原料となる有機分子の種類によるが、M−O、M−N及びM−S結合(Mは、Si,Ti、AlまたはSn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの共有結合を挙げられる。製造の容易さの観点から、Si−O、Si−N、及び、Si−S結合からなる群より選択される少なくとも1種の構造が含まれている結合であることが好ましく、より好ましくは、Si−O、Si−N結合であり、最も好ましくはSi−O結合である。
本発明において、前記単分子膜を形成する有機分子は、前述のように、一方の末端に前記基板表面と共有結合を形成可能な末端結合官能基を含み、他方の末端に、前記液体に非親和性の特性を示す特性基を含んでいればよい。「前記液体に非親和性の特性」とは、液体の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、DNAプローブなどを固定する場合で、溶液が水性の場合には疎水性であることが好ましい。
ここで前記末端とは、有機分子が分岐を有し、3以上の末端を有する場合には少なくとも1つの末端を意味する。
なお、上記疎水性の程度は、収容される液体との関係において相対的に定まるものである。例えば、液体が水を主体とする溶液の場合には、20℃での臨界表面エネルギーが25mN/m以下とすることが好ましく、より好ましくは8mN/m以上である。
上記臨界表面エネルギーは、静的接触角計を用いて、臨界表面エネルギー測定用標準液による接触角を測定して求められるものであり、接触角の余弦値に対する標準液のエネルギーをプロットし、余弦値を0に外挿した時のエネルギー値をいう。
また、液体が水性溶液である場合の上記臨界表面エネルギーにおける親水性と疎水性の差としては、凹部間の距離、単分子膜が形成される基板及び使用される水性溶液の種類などに応じて適宜選択され、20mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。一方、上記のような有機分子を用いて単分子膜を形成する場合、前記の差は、75mN/m以下であり、より好ましくは、65mN/m以下である。
また、疎水性の程度は、20℃で、5.3μLの水滴を単分子膜からなる層の表面に滴下した際、当該表面に対する水滴の接触角が、80〜180°であることが好ましく、90〜180°であることがより好ましく、100〜160°であることが更に好ましい。上記接触角は、例えば、JIS R3257:1999に規定の測定方法により測定することができる。
本発明の上記疎水性の単分子膜を形成するために用いられる有機分子としては、以下の(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有するものであることが好ましい。
有機分子(i):
基板と共有結合を形成可能な末端結合官能基として、下記一般式(1)で表される特性基を有し、
[式(1)中、Mは、Si,Ti、AlまたはSnであり、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示す]、
基板と結合しない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、
前記両特性基との間に、下記一般式(2)
−C2b− (2)
[式(2)中、EはH及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、bは2〜22の整数を示す]
からなる特性基を有する有機化合物を挙げることができる。
有機分子(ii):
前記一般式(1)で表されるMが、Siであり、
上記一般式(2)で表される2価の特性基の炭素骨格を構成する炭素間に、下記一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有する有機分子が好ましい。ここで、下記一般式式(3)中、g及びhはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
有機分子(iii):
基板と共有結合する末端官能基として、下記一般式(4)で表される特性基を有しており、共有結合しない末端の特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される1価の基を2つ有しており、かつ、両特性基の間に、下記一般式(5)で表される3価の特性基が結合した構造を有する有機分子が好ましい。
[式(4)は先の有機分子(i)の式(1)と同じである。また、式(5)中、Cj2jは共有結合する末端官能基に結合する特性基である。Cm2m及びCn2nは共有結合しない側の末端基に結合する特性基である。G、J及びLはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示す。jは1〜18の整数を示す。m及びnはそれぞれ独立に0〜7の整数を示す。]
上記の各構造を有する有機分子において、(1)で表現される共有結合する末端官能基としては、例えば、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネートシリル基、アルコキシアルミニウム基、ハロゲン化チタン基、ハロゲン化スズ基等の各種基があげられる。特にa=3のものが好ましく、トリハロゲン化シリル基、トリアルコキシシリル基、トリイソシアネートシリル基が好ましい例としてあげられる。
上記トリハロゲンシリル基中に含まれるハロゲンとしては、F、Cl、Br、Iがあげられる。トリハロゲンシリル基の中でもクロロシリル基が好ましい。また、上記トリアルコキシシリル基におけるアルコキシ基は、その炭素数が、特に1〜3のものが好ましい。具体的には、メトキシシリル基、エトキシシリル基、ブトキシシリル基があげられる。
このような各種置換シリル基を末端に有する有機シラン化合物であれば、前述のように基板と共有結合を形成でき、形成された単分子膜は基板に強固に固定されることとなる。具体的には、ハロゲン化シリル基の場合には、脱ハロゲン化水素反応を、アルコキシシリル基の場合には、脱アルコール反応を、イソシアネートシリル基の場合には、脱イソシアネート反応が生じ、それぞれ有機分子と基板との間がシロキサン結合(−Si−O−)により共有結合する。なお、前記有機分子と基板との共有結合は、前記基板表面の活性水素を有する基の種類によって異なり、例えば、活性水素を有する基が−NH基の場合には、共有結合として−SiN結合が形成される。
また、上記末端結合官能基が複数置換のシリル基である場合、1つの置換基で基板上の活性水素と縮合反応し、1つの共有結合を形成するだけでなく、下記式(6)に示すように、他の置換基も結合可能な基板上の活性水素と縮合反応し、2箇所以上で共有結合しうる。また、基板表面に結合可能な活性水素が十分な数存在しない場合には、隣接する有機分子同士が結合することもできる。
[式中、Qは、O,N及びSから選ばれる少なくとも1種を示し、上記Siは各元素を介して基板または隣接する有機シラン基と共有結合している。]
また、上記有機分子において、前記一般式(2)の2価の特性基または前記一般式(5)の3価の特性基は、主鎖の総炭素数が8以上、22以下が好ましく、特に、生体高分子の検査装置として用いる場合には、炭素数8以上、18以下が好ましい。
このような総炭素数の特性基を中間に有することにより、単分子膜が基板上で直立し、疎水性を示す共有結合していない末端の特性基が最表面に存在しやすくなり、親水性の差を高くすることができる。なお、主鎖とは通常の有機化合物と同様に、分岐の側鎖がある場合には、炭素数の多い長鎖側を意味する。
上記中間に介在する特性基としてあげたもののうち、炭素数が2〜4の環状エーテル基としてはC24O基が好ましい。C24O基である場合には、そのエポキシ基の開環(付加)反応を利用して、単分子膜の厚さを増大させることが容易にできる。その際、膜厚の均一性も十分に確保することが容易にできる。
例えば、C24O基を有する場合、一端形成した単分子膜に対してアルコールを更に接触させることによりエポキシ基の開環(付加)反応を進行させ、末端のアルコールの−OH以外の部位(炭化水素基)を結合させ、単分子膜の厚さを増大させることができる。
上記有機シラン化合物における共有結合しない末端の特性基としてあげたもののうち、ハロゲン置換メチル基としては、十分な疎水性を有する単分子膜をより確実に得る観点から、CF3−、CH2Br−、CH2Cl−が好ましく、CF3−がより好ましい。末端の特性基がCF3−である有機分子は配向性が高く、単分子膜の形成時において基板上に配列される際の有機分子の分子密度が高くなる傾向にある。そのため、疎水性を有する単分子膜をより確実に得ることができる。
本発明において、(i)の構造を有する有機分子としては、下記一般式(20)〜(29)またはこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機分子であることが好ましい。
ここで、式(20)〜(29)中、M、Z,Z及びaは、先の有機分子(i)の式(1)と同じである。qは2〜22の整数を示す。m及びnはそれぞれ下記式(I)〜(III)で表される条件;0≦m≦14…(I)、0≦n≦15…(II)、2≦(m+n)≦22…(III)を同時に満たす整数を示す。
(ii)の構造を有する有機分子としては、下記一般式(30)〜(39)またはこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機分子であることが好ましい。
ここで、式(30)〜(39)中、Z,Z及びaは、先の有機分子(i)の式(1)と同じである。Aは一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基を示す。tは1〜10の整数を示す。pは1〜18の整数を示す。r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;0≦r≦14…(IV)、0≦s≦15…(V)、2≦(r+s)≦22…(VI)を同時に満たす整数を示す。
(iii)の構造を有する有機分子としては、下記一般式(40)〜(49)またはこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機分子であることが好ましい。
ここで、式(40)〜(49)中、M、Z,Z及びaは、先の有機分子(i)の式(1)と同じである。tは1〜10の整数を示す。pは1〜18の整数を示す。r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;0≦r≦14…(IV)、0≦s≦15…(V)、2≦(r+s)≦22…(VI)を同時に満たす整数を示す。
一般式(20)〜(29)で表される有機分子の中では、単分子膜の均一性を十分に確保する観点及び単分子膜を形成する際に液体を収容し得る領域の周囲に配列される有機分子の分子密度を十分に確保する観点から、一般式(20)及び一般式(21)で表される有機分子が好ましい。
ここで、一般式(20)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記(201)〜(203)で表される有機分子が好ましい。
CF3(CF27(CH22SiCl3 ・・・(201)
CF3(CF27(CH22Al(OCH33・・・(202)
CF3(CF27(CH22TiCl(CH32・・・(203)
また、一般式(21)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記(211)〜(214)で表される有機分子が好ましい。
CH3(CH27(CH22SiCl3 ・・・(211)
CH3(CH27AlCl(OC252 ・・・(212)
CH3(CH27TiCl(C ・・・(213)
CH3(CH24SnCl(C ・・・(214)
更に、一般式(30)〜(39)で表される有機分子の中では、単分子膜の均一性を十分に確保する観点及び単分子膜を形成する際に有機分子の分子密度を十分に確保する観点から、一般式(30)及び一般式(31)で表される有機分子が好ましい。
ここで、一般式(30)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記(301)〜(306)で表される有機分子が好ましい。
CF3(CF23(CH22O(CH215SiCl3 ・・・(301)
CF3COO(CH215SiCl3 ・・・(302)
CF3(CF23(CH22Si(CH32(CH29SiCl3
・・・(303)
CF3(CF27Si(CH32(CH29SiCl3 ・・・(304)
CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3・・・(305)
CF3CH2O(CH215SiCl3 ・・・(306)
また、一般式(31)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記(307)〜(312)で表される有機分子が好ましい。
CH3(CH23(CH22O(CH215SiCl3 ・・・(307)
CH3COO(CH215SiCl3 ・・・(308)
CH3(CH23(CH22Si(CH32(CH29SiCl3
・・・(309)
CH3(CH27Si(CH32(CH29SiCl3 ・・・(310)
CH3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 ・・・(311)
CH3CH2O(CH215SiCl3 ・・・(312)
なお、上記の(201)〜(203)、(211)〜(214)、(301)〜(312)で表される有機分子の中では、(201)で表される有機分子が最も好ましい。
上述した有機分子の他の有機分子としては、本発明の効果を得ることが可能な範囲で、特開平4−13267号公報、特開平4−236466号公報、特開平10−180179号公報、及び、特開平4−359031号公報に記載の有機分子を使用することができる。
これらは基本的に市販の試薬を使用してもよいし、以下のような方法によっても容易に合成することができる。
入手可能な市販の試薬としては、例えば、アルドリッチ社製のデシルトリクロロシランなどを挙げることができる。
代表的な合成法としては、特開平2−138286号や、特開平4−120082号に記載されている方法が挙げられる。
具体的には、一般式(20)で表される有機シラン化合物としては、
一般式F(CFα(CHβ ……(20a)
(ただし式中、α=1〜8、β=0〜2の各整数、XはI、Br又はClのハロゲン原子)で表わされる末端パーフルオロアルキルハロゲン化合物と、
一般式X(CHγCH=CH……(20b)
(ただし式中、γ=8〜17の整数、XはI、Br又はClのハロゲン原子)で表わされる末端アルケニルハロゲン化物より合成されたグリニヤール試薬
Mg(CHγCH=CH……(20c)
とを反応させ、
一般式F(CFα(CHβ+γCH=CH……(20d)
で表わされる末端パーフルオロアルケン化合物を合成する工程、および一般式(20d)に示された末端パーフルオロアルケン化合物と、
一般式HSi(CHδ3 3-δ ……(20e)
(ただし式中、δ=0〜2の整数、X3はI、Br又はClのハロゲン原子、若しくはアルコキシ基)で表わされるハイドロジェンシランとをハイドロシリレーション反応させる工程により得られる。
上記ハイドロシリレーション反応は白金触媒の存在下で行なうことが好ましい。
また、一般式(21)のトリフルオロアルキルシラン化合物は、
一般式CF3(CH2εCH=CH2 ……(21a)
(式中、ε=7〜16の整数)で表わされるω−トリフルオロアルケン化合物と、前記の一般式HSi(CHδ3 3-δ……(21e)
で表わされるハイドロジェンシランとをハイドロシリレーション反応させる工程で得られる。
上記一般式(20a)に示される末端パーフルオロアルキルハロゲン化合物は入手可能な短鎖な化合物であり、例えばF(CF22CH2Cl、F(CF22CH2I、F(CF23I、F(CF23CH2Brがある。
上記一般式(20b)式に示される末端アルケニルハロゲン化物は、例えばCl(CH210CH=CH2、Cl(CH214CH=CH2、Br(CH217CH=CH2がある。上記一般式(20e)に示されるハイドロジェンシランには、例えばHSiCl3、HSi(CH3)Cl2、HSi(CH32Cl、HSi(OCH3、HSiCH3(OC2H5がある。
上記一般式(20c)に示されるグリニヤール試薬は、例えば反応溶媒としてジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等を用意したなかに金属マグネシウムを投入しておく。そこに一般式(20b)の末端アルケニルハロゲン化物を、例えば50〜60℃で供給してゆくと合成される。なお金属マグネシウムの量は、末端アルケニルハロゲン化物と同モルかまたは僅かに過剰であることが好ましい。
合成された一般式(20c)のグリニヤール試薬は、室温下で一般式(20a)の末端パーフルオロアルキルハロゲン化合物とのグリニヤール反応により一般式(20d)の末端パーフルオロアルケン化合物が合成される。上記と同じように、反応溶媒であるジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等に一般式(20a)の末端パーフルオロアルキルハロゲン化合物を入れておき、そこに前記のグリニヤール試薬をゆっくりと添加してゆく。逆に反応溶媒にグリニヤール試薬を入れておき、そこに末端パーフルオロアルキルハロゲン化合物を添加することも可能である。なお触媒としてCuを入れておいてもよい。反応終了後、反応系に水を添加して、生成しているマグネシウム塩を溶解させた後、有機層と水層を分離する。その有機層から反応溶媒等の低沸物を除去することにより一般式(20d)の末端パーフルオロアルケン化合物が合成される。なお蒸留可能なものであれば、蒸留精製をしてもよい。
一般式(20d)の末端パーフルオロアルケン化合物と一般式(20e)のハイドロジェンシランとを例えば100℃付近でハイドロシリレーション反応させて、目的物である末端パーフルオロアルキルシラン化合物が得られる。
また、一般式(30)で表される有機シラン化合物を得るための具体例としては、以下の工程が挙げられる。
例えば、工業的に比較的安価な下記一般式(30a)、
L-C2b−Si(C2g+1)(C2h+1)−Z・・・(30a)
[Lは末端基で、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、C2bは一般式(2)と同じである。C2g+1、C2h+1は一般式(3)と同じである。ZはClもしくはOCHである。]
と、一般式(30b)
CH=CH(CHθ・・・(30b)
[θは1〜16の整数であり、Xはハロゲンである。]
のグリニャール試薬を反応させ、一般式(30c)
L-C2b−Si(C2g+1)(C2h+1)−(CHθCH=CH・・・(30c)
を合成する。
これに一般式(30d)
HSi(Z(Z3−a・・・(30d)
[Z、Z及びaは、一般式(1)と同じである。]
で表わされるハイドロジェンシランとをハイドロシリレーション反応させる工程で得られる。
一般式(30a)で表されるシラン化合物としては、例えば、CF(CH(CHSiCl、CF(CH(CHSiOCHがある。
上記のハイドロシリレーション反応は、反応温度50〜150℃において、末端パーフルオロアルケン化合物とケイ素化合物とを、等モルあるいは必要に応じ、末端パーフルオロアルケン化合物は一般に高価であるのでこれを完全に反応させる為にも、ケイ素化合物を過剰の条件で、触媒の存在下で、常圧反応においては還流下、又は、加圧反応においてはオートクレーブ中、密閉下で反応させてもよい。
また、本反応においては、必要に応じて反応に不活性なn−ヘキサン、イソオクタン、トルエンもしくはキシレン等の炭化水素系溶媒を使用してもかまわない。
反応終了後、未反応物あるいは反応溶媒等の低沸物をストリップしたのみで、十分純度があり使用可能であるが、蒸留可能なものであれば蒸留精製を行なってもよい。
次に、上記のような基板及び有機分子を用いて、本発明のマイクロチップを作製する方法について説明する。
基板には、予め活性水素を有する特性基が存在する基板を用いてもよく、あるいは活性水素が十分に存在しない基板であれば、その表面を表面処理することにより活性水素を付与してもよい。特に緻密な単分子膜からなる層を被覆する場合には、以下のような表面処理を施すことが好ましい。
活性水素を基板に付与する方法については、例えば、表面を化学的に酸化処理する方法、酸素存在下においてプラズマ処理する方法、オゾン処理する方法があげられる。また、基板を、例えば、SiCl4、HSiCl3、SiCl3O−(SiCl2−O)η−SiCl3(但し、ηは0〜6の整数)、Si(OH)4、HSi(OH)3、Si(OH)3O−(Si(OH)2−O)η−Si(OH)3(但し、ηは0〜6の整数)等によって親水化処理する方法もあげられる。
表面の酸化処理についてより具体的に説明する。例えば、酸化処理は、酸素及び水素原子供給物質の存在下で表面にエネルギー照射することにより行うことができる。例えば、紫外線照射により気相中の酸素が分解されてオゾンが生成し、このオゾンが水素原子供給物質と反応して、活性水素を有する活性種が生成する。また、表面に紫外線が照射されると、表面近傍を構成する材料の原子間の共有結合が切断され、未結合手が形成される。この未結合手に活性水素を含む活性種が作用することにより、活性水素を有する基板が得られることになる。
水素原子供給物質としては、例えば、入手容易性、取り扱い容易性の観点から、水、アンモニアなどを好ましく使用することができる。例えば、水素原子供給物質として水を用いた場合、−OHで表される構造を少なくとも含む特性基として存在させることができる。また、アンモニアを用いた場合は、−NHで表される構造を少なくとも含む特性基として存在させることができる。なお、紫外線照射処理に代えて、コロナ処理、プラズマ処理等を採用することもできる。
次に、単分子膜形成工程において、単分子膜からなる層で基板上の所定の領域を被覆することにより、液体に非親和性を有する領域と、親和性を有する領域を形成する。
単分子膜は、前記有機分子を上記のように活性水素を有する基板に接触させることにより形成することができる。この場合、気相、液相いずれによる接触処理でもよいが、製造の容易さからは液相処理が好ましい。
液相処理による場合には、有機分子を溶媒に溶解あるいは懸濁し、この有機分子含有液と基板を接触させればよい。上記溶媒としては、非プロトン性溶媒を用いることが好ましく、また、有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下となるように調節することが好ましい。
また、極めて薄くかつ均一な厚さを有する単分子膜を更に確実に得る観点から、気相中の水分量は、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合に25%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
更に、上記工程で使用する反応容器としてはグローブボックスなどの密閉系が好ましい。水分量を上記の範囲に調節した気相を構成する構成成分ガスとしては、希ガス及び窒素ガスからなる群より選択される少なくとも1種のガスであることが好ましい。ただし、有機分子又は非プロトン性溶媒の酸化反応の進行、単分子膜の酸化による劣化の進行を十分に抑制することが可能な条件の下であれば、空気を使用してもよい。例えば、単分子膜作成工程を行う際の気相の温度、有機分子含有液の温度、有機分子の濃度、有機分子と基板の接触時間等を調整することにより空気を使用することもできる。
このような接触工程を経て、単分子膜からなる層が形成されるが、この工程において採用可能な好適な方法の一例について説明する。
先ず、領域の底面となる範囲を被覆するためのレジストパターンを形成する。このレジストパターン形成は、半導体薄膜製造技術により容易に行うことができる。次に、レジストパターンを形成した後の基板に有機分子を接触させることにより、レジストのない領域にのみ単分子膜を選択的に被覆し、次いで、レジストパターンを除去することにより、2以上の領域を形成する。ここで、レジストパターンは、ポジ型のレジストパターンであってもよく、ネガ型のレジストパターンであってもよい。
また、上記工程において基板に有機分子を接触させる方法としては、以下の方法が好ましい。即ち、先ず、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加し有機分子含有液を調製する。次に、有機分子含有液とレジストパターンを形成した後の基板とを、グローブボックスなどの内部の気相中の水分量を先に述べた範囲に容易に制御することのできる容器中に入れ、先に述べた縮合反応を進行させる。
ここで、有機分子含有液の調製に使用する非プロトン性溶媒は、レジストパターンを溶解させない溶媒であれば有機分子の種類に応じて適宜決定できるが、膜厚が薄く(0.5nm〜50nm)かつ膜厚の均性に優れた単分子膜を容易かつ確実に得る観点から、フッ素系溶剤であることが好ましい。フッ素系溶剤としては、住友スリーエム社製のパーフルオロカーボン性液体、ハイドロフルオロエーテル性液体が好ましい。具体的には、工程を実施する温度条件に見合う沸点を有している等の諸物性の観点から、住友スリーエム株式会社製の、商品名:「HFE−7200」、商品名:「PF−5080」、及び、「FC−77」が好ましい。なお、有機分子含有液における有機分子の濃度は、特に制限されないが、例えば、吸着液の濃度は、10−4mol/L 程度以上あれば充分であり、好ましくは10−3mol/L以上が適当である。上限は10−1mol/L程度が好ましい。基板と有機分子含有液との接触時間は、特に制限されないが、例えば、数秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間である。また、有機分子含有液の温度は、例えば、10〜80℃であり、好ましくは20〜30℃の範囲である。
水分量を上記の範囲に調節した気相を構成する構成成分ガスとしては、希ガス及び窒素ガスからなる群より選択される少なくとも1種のガスであることが好ましい。ただし、本工程で、有機分子又は非プロトン性溶媒の酸化反応の進行、単分子膜の酸化による劣化の進行を十分に抑制することが可能な条件の下であれば、空気を使用してもよい。
次に、単分子膜を形成した後のレジストパターンの除去は、例えば、アセトンを使用することにより行うことができる。
上記の方法において、レジストパターンを形成した後における基板上に単分子膜を形成する方法は、上述の方法に特に限定されず、例えば、印刷法、転写法、スクリーン法、吐液法、インクジェット法、スタンプ法等の方法を採用することができる。
単分子膜作製工程において採用可能な他の好適な方法の一例について説明する。
先ず基板に単分子膜を形成する。この際の単分子膜の形成方法は、前述の工程と同一の条件で行うことが好ましい。即ち、グローブボックスなどの容器中において、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、基板とを接触させて縮合反応を進行させる工程が含まれていることが好ましい。
ここで、この製造方法においてはレジストパターンを用いないため、有機分子含有液の調製に使用する非プロトン性溶媒は、有機分子の種類に応じて適宜決定できるが、膜厚が薄く(0.5nm〜50nm)かつ膜厚の均性に優れた単分子膜を容易かつ確実に得る観点から、当該有機分子を十分に溶解できる溶媒であることが好ましい。例えば、ヘキサデカン、クロロホルム、四塩化炭素、シリコーンオイル、ヘキサン、トルエン等の有機溶剤が使用できる。これらの溶剤は、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
この中でも、ヘキサデカン、クロロホルム及び四塩化炭素を含む混合溶剤が非プロトン性溶媒として好ましい。このように有機溶剤を使用すれば、例えば、水分が介在することによる有機分子の重合(ポリマー化)を十分に防止できる。そのため、有機分子の末端結合官能基と、基板の活性水素との縮合反応を効率よく行うことができる。これにより、基板に有機分子が共有結合{例えば、シロキサン結合(−Si−O−)}により結合され、単分子膜が形成される。
次に、被覆している単分子膜にエネルギー、例えば紫外線から選択的に保護するためのフォトマスクを供給する。このフォトマスクは、紫外線の光源と、単分子膜を形成した基板との間に配置された際に、基板の凹部となるべき領域を被覆している単分子膜のみに選択的に紫外線が照射される構成を有している。次に、このフォトマスクを使用し、このフォトマスクを介して単分子膜を形成した後の基板に紫外線を照射し、液体を収容する領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去する。これにより、2以上の凹部を形成する。
なお、紫外線照射の手段として、例えば、エキシマレーザー等のレーザーを用いる場合は、フォトマスクを使用せずに、単分子膜の特定領域に紫外線をスポット照射する方法を採用することもできる。更に、紫外線照射を行うかわりに、電子線照射処理、コロナ処理、プラズマ処理などにより液体を収容する領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去する方法を採用してもよい。また、これらの処理は、酸素の存在下で実施することが好ましい。
また、単分子膜は1層だけから形成されている場合だけでなく、複数層を積層することもできる。例えば、前述のようにして基板上に1層目の単分子膜を形成した後、2層目の単分子膜を形成してもよい。この場合、当該単分子膜の表面に結合可能な特性基がない場合には、上述の表面処理により活性水素を付与すればよい。
より具体的に説明すると、基板上に形成した1層目の単分子膜の表面にビニル基等の不飽和結合を有する基を含む特性基が結合されている場合には、水分が存在する雰囲気中で、電子線やX線などのエネルギー線を当該単分子膜の表面に照射することにより、不飽和結合を有する基の部分を変化させ、−OHの構造を少なくとも有する特性基を導入することができる。また、ビニル基等の不飽和結合を有する基を含む特性基が結合されている場合、例えば、過マンガン酸カリウム水溶液に浸漬することにより、不飽和結合を有する基の部分を変化させ−COOHの構造を少なくとも有する特性基を導入することができる。
単分子膜の厚さは、有機分子の種類(長さ)の選択、上述の積層体とすることなどで適宜設定できるが、例えば、単分子膜を構成する有機分子の末端の特性基の先端に、更に非親和性を示す分子を結合させる方法によっても調整できる。
また、単分子膜を構成する有機分子が、式(24)で示したように、末端の特性基の先端に2重結合又は3重結合を有する場合、単分子膜を形成した後、例えば、単分子膜にグリニャール試薬(RMgX)を更に接触させればよい。この接触によって末端の特性基とRMgXとの付加反応を進行させ末端の特性基の先端にRMgXの炭化水素基(R−)を結合させることができる。なお、RMgXは、Rが、炭素数1〜23のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、ハロゲン化アルケニル基のいずれでもよく、Xは、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)である。
また、単分子膜を構成する有機分子が、式(26)に示すように、末端の特性基にエポキシ基を有する場合、単分子膜を形成した後、単分子膜にアルコール(ROH)を更に接触させればよい。この接触によってエポキシ基の開環(付加)反応が進行し、第3特性基にアルコール(ROH)の「R基」を結合させることができる。なお、ROHは、Rが、炭素数1〜23のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、ハロゲン化アルケニル基のいずれでもよく、Xは、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)である。
上記のようにして単分子膜を形成した後、基板が親水性を有している場合には、マイクロチップが完成する。また、先に述べたような親水性が十分でない場合、あるいは親水性をさらに向上させたい場合には、例えば、表面処理を液体を収容しうる領域に選択的に施すことにより、親水性を付与することができる。
ここで、親水性の表面処理を行うために、液体を収容し得る領域の内部に親水性の単分子膜を形成することも本発明の好ましい態様である。
すなわち、前述の疎水性の単分子膜形成工程と同様にして、基板上の液体を収容し得る領域内に、親水性の単分子膜を形成することができる。この親水性の単分子膜により、液体を収容しうる領域と、その周囲に形成される疎水性の単分子膜との親水性の差がさらに大きくなるため、好ましい。さらに、液滴内の試料と親水性の単分子膜が化学結合して試料を固定することができるため、好ましい。
本形態においては、基板上の活性水素と共有結合した際に、他方の末端に、親水性基を有するか、あるいは単分子膜を形成した後に、親水性基を付与し得る有機分子が用いられる。
上記のような親水性の末端基を有する第1の態様の有機分子としては、下記一般式(50)で表される末端基に親水性基を有する有機分子を挙げることができる。
−(Cλ2λ)−Si−(Zφ(Z3−φ・・・(50)
[Tは、CHO基,COOH基,OH基,NH基,COOR基,PO(OH)基,PO(OH)基,SOH基,SOH基またはSH基を表す。λは基板表面の液滴を収容する領域の周囲に形成された疎水性の単分子膜を形成する有機基の分子長よりも上記末端の官能基の長さを加えても短くなるもしくは同じになるために必要な数である。Zは、炭素数が1〜5のアルコキシ基を示し、Zは、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、φは1〜3の整数を示す。]
上記有機分子の共有結合しない側の末端基には、水酸基やアミノ基などのように活性水素を有する基で置換されているものが挙げられる。このような有機分子は、基板と接触させることにより、共有結合を形成し、基板に強固に固定される。また、共有結合と反対側の末端基が親水性基であるため、水溶性溶液を滴下した際に、親水性の単分子膜からなる層が形成された領域のみに固定される。
そして、その周囲が疎水性の単分子膜からなる層で被覆されているため、液滴の拡散がさらに抑制される。上記の親水性の単分子膜形成工程は、前述の疎水性単分子膜形成工程と同様の方法を用いることができる。
上記の親水性の末端基を有する有機分子としては、以下の(501)〜(508)の化合物が挙げられる。
N(CHSi(OCH・・・(501)
OHC(CHSi(OCHCH・・・(502)
HOOC(CHSi(OCH・・・(503)
HO(CHSi(OCH・・・(504)
COOC(CHSi(OCHCH・・・(505)
(OH)OP(CHSi(OCH・・・(506)
HOS(CHSi(OCH・・・(507)
HS(CHSi(OCH・・・(508)
また、親水性を付与する単分子膜の第2の態様としては、前述の単分子膜形成工程では疎水性であるが、その末端基を親水性基に変える方法が挙げられる。例えば、末端に二重結合を有する有機分子であれば、水分が存在する雰囲気中で、電子線やX線などのエネルギー線を照射することによって、水酸基(−OH)を導入できる。また、例えば、過マンガン酸カリウム水溶液に浸漬すれば、カルボニル基(−COOH)を導入できる。また、例えばシアノ基(−CN基)を有していれば、リチウムアルミニウムハイドライド溶液によって還元すれば、アミノ基に変換することが可能である。また、エポキシ基の開環反応を利用することもできる。
このような有機分子としては、下記一般式(60)で表される有機分子を挙げることができる。
−(Cν2ν)−Si−(Zρ(Z3−ρ・・・(60)
[Tは、ビニル基,メチル基、ハロゲン化メチル基、エポキシ基またはシアノ基を表す。νは基板表面の液滴を収容する領域の周囲に形成された疎水性の単分子膜を形成する有機基の分子長よりも上記末端の官能基の長さを加えても短くなるもしくは同じになるために必要な数である。ZはF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Zは、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、ρは1〜3の整数を示す。]
上記のような末端基を有する有機分子を、基板と接触させることにより、共有結合を形成して、単分子膜を形成する。そして、例えば、末端基が二重結合である場合には、過マンガン酸カリウム水溶液と接触させることにより、末端の二重結合を親水性のカルボキシル基に変換することができる。
上記の末端に親水性基を付与しうる有機分子としては、下記(601)〜(603)のような有機分子を挙げることができる。
CH=CH(CHSi(OCH・・・(601)
CHSi(OCH・・・(602)
ClCHSi(OCH・・・(603)
上記の有機分子の共有結合可能な末端結合官能基と、親水性の末端基の中間に介在する特性基の総炭素数としては、当該有機分子が単分子膜として形成される部分の周囲の非親和性の単分子膜の分子長よりも短くなるような数とする必要がある。
また、上記のような親水性の単分子膜を形成した場合、その親水性の程度は周囲の疎水性の単分子膜との相対的な関係で定まるものであり、疎水性の単分子膜より大きな臨界表面エネルギーを有するものであればよい。例えば、水を含有する液体を用いる場合には、その臨界表面エネルギーは、好ましくは、20mN/mより大きく、60mN/m以上であり、より好ましくは、75mN/m以下である。
上記のような有機分子を用いて、表面処理する場合、疎水性の単分子膜を形成後に親水性の単分子膜を形成してもよいし、疎水性の単分子膜形成前に、予め親水性の単分子膜を形成し、その上に疎水性の単分子膜を形成することもできる。
このことは換言すると、本発明の単分子膜は収容される液体の性質に応じて、適宜その液体を収容しうる領域の周囲を、その液体に非親和性の単分子膜からなる層で被覆できることを意味する。従って、収容される液体が水性溶液以外の場合でも、同様にその液体に対する親和性の差を利用して、液体を一定の領域に固定するために本発明を使用することができる。
なお、上記いずれの工程においても、プローブを固定するために、液体を収容する領域の底面には従来公知のリンカーを形成することもできる。
以上のような工程により、収容する液体に疎水性の単分子膜からなる層で所定の周囲が被覆された本発明のマイクロチップを作製することができる。
製造方法としては、以上説明したように基板に直接単分子膜を形成する方法だけでなく、予めプローブを固定化する層を、単分子膜を形成した後に液体を収容し得る領域に形成し、その基板表面の周囲を同様に単分子膜からなる層で被覆することもできる。また、上記のようにして作製された基板を最上部としてのみ使用し、他の基板と貼り合せる方法によりマイクロチップとすることもできる。
次に、本発明のマイクロチップを使用して、検出対象遺伝子と相補的配列の1本鎖DNA(プローブ)を予め固定し、検査を行う方法を以下に示す。
本発明において、「プローブ」とは、例えば、JIS K 3600 2392に規定されるプローブを挙げることができる。具体的には、目的遺伝子のmRNAから作成したcDNAやタンパク質のアミノ酸配列をもとにしてデザインされ、合成されたものが挙げられる。
上記プローブは、測定対象物とハイブリッドを形成するものが好ましい。このようなプローブとしては、例えば、オリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、1本鎖DNA、RNA、これらを標識化したもの、抗原、抗体、オリゴペプチド、ポリペプチドがあげられる。
その中でも、プローブが、ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種のプローブとしては、純化学的手法により合成された高分子であってもよく、生化学的手法により合成された高分子であってもよい。
上記の他のプローブとしては、例えば、検査対象項目が酵素である場合には、それに対する基質であってもよいし、検査対象項目が基質である場合には、それを基質とする酵素であってもよい。なお、測定対象物の種類としては、特に制限されず、例えば、DNAやRNA等の核酸、タンパク質、脂質等があげられ、また、分析すべき測定対象物としては、例えば、血液や細胞等の生体検体、核酸やタンパク質等の合成検体等があげられる。
測定に際して、先ず、1本鎖DNAを各所定の領域に固定する。この固定方法は、特に制限されず、DNA分析で使用される公知の技術が適用できる。例えば、固定される領域の底面に直接DNA(オリゴヌクレオチド)を合成する方法(例えば、Affimetrix法)、底面に予めリンカーを結合しておき、このリンカーに一本鎖DNAを結合させる方法、一本鎖DNAの末端に表面に固定化するための官能基を結合しておき、この固定化するための官能基を表面に結合する方法等が挙げられる。リンカーとしては、特に制限されないが、アミノ基、カルボキシル基等があげられる。なお、リンカーや固定化官能基は従来公知の方法によって、プローブや表面に結合させることができる。
上記のようなDNAプローブの検査に本発明のマイクロチップを利用する場合、前記各凹部の容積は、2×10-6pL〜1pLとすることもできる。このような微細な凹部であっても、本発明では疎水性の単分子膜で周囲が被覆されているため、十分な分析感度を得ることができる。
次に、凹部に分析すべき測定対象物を含む液滴を入れる。この場合、反応場となるプローブを含有する水性溶液、検体試料などを含有する水性溶液は、全量で0.01pL〜1000pLとすることが好ましい。このような液滴量とすることにより、凹部の密度を1万個/cm以上としても、隣接凹部とのコンタミを低減することができ、分析精度を向上することができる。なお、上記のような微量の液滴を滴下するためには高密度スポッタを用いることが好ましい。
図4は、本発明の基板に高密度スポットで上記プローブを含有する液滴を滴下する装置の概略を示す図である。
図4に示すように、検査装置101の液滴供給部40は、マイクロチップに2次元配列された凹部3のうちの、同一の列に属する凹部3に対して同時に液滴を滴下可能な構成を有している。即ち、液滴供給部40には5つのノズルが凹部3の列に平行になるように直線状に配置されている。5つのノズルの中心軸の間隔は、同一の列に属する5つの凹部3の底面の中心の間隔と同一となるように調節されている。これにより、5つのノズルのそれぞれの吐出孔(図示せず)から吐出される液滴は、凹部3の底面の中央に滴下されることになる。
また、図示していないが、CPUが液滴供給部40に電気的に接続されており、位置決めのための基準データに基づき、凹部3に対する液滴供給部40のノズルの位置を調節し、制御部は、各ノズルから吐出される液滴の液量を調節する。
液滴に含まれるターゲットDNA自身をCy3等で蛍光標識しておいてもよいし、SYBR−Green等の蛍光インターカレータを、液滴又は凹部に添加しておいてもよい。そして、励起光を凹部中に照射する。このとき、凹部の底面に固定された一本鎖DNAとターゲットDNAがハイブリダイズして2本鎖が形成されている場合には、この中に入り込んだ蛍光インターカーレータ又はターゲットDNAの蛍光標識によって蛍光が発生する。
例えば、SYBR−Greenを使用する場合は、波長473nmのSHGレーザーを照射すればよい。発生した蛍光が光電変換部で検出される。先に述べたように、検査装置は、凹部を極めて高密度で形成できるため、従来の検査装置と同じ大きさであっても、基板で1度に分析できるサンプル数を格段に向上させることができる。
固定化するプローブとして、検出対象遺伝子と相補的配列の1本鎖核酸を例示したが、これらには制限されず、先に述べたものがあげられる。例えば、抗原抗体反応により蛍光を発する機能を付与した抗原(又は抗体)をプローブとすれば、サンプル試料中の抗体(又は抗原)との反応をセンシングすることができる。
凹部に、分析すべき測定対象物を含む液滴を供給する方法としては、微量の液滴の供給の容易さ、液滴の供給量の精度及び液滴の供給スピードの観点から、インクジェットを用いた方法(たとえば、圧電素子を使用する方法、または加熱による気体の膨張を利用する方法)が好ましい。例えば、インクジェットを用いた方法であっても、DNA遺伝子解析やタンパク質解析に使用するような高価で希少な測定対象物を取り扱う分析の場合、測定対象物を含む液の使用量を十分に低減する必要がある場合がある。この場合、インクジェットに液貯めを設けずに、分析を行うごとに測定対象物を含む液中にインクジェットのノズルの先端を挿入し、測定対象物を含む液の必要量のみをノズルの先端部分に吸引させて、ノズルから凹部に液滴を滴下する方法も採用可能である。この他に、マイクロディスペンサーやマイクロピペットを用いた方法も採用可能である。
その他の本発明の実施の形態としては、上記のようなマイクロチップを従来公知の検知手段と組み合わせることにより、マイクロチップモジュールとすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は構造、製造工程、及び材料を適宜変えられるので、ここに開示された特定の構造、製造工程、及び材料に制限されるものでないことを理解するべきである。また、ここで使用された用語は、単に特定の実施態様を説明する目的で使用されており、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲およびその均等物に制限されるため、制限的なものと意図してはならない。
実施例1
縦横30mmの化学実験用途の株式会社大興製作所製の硬質ガラス基板を準備した。純水による洗浄と空気乾燥を行い、次に、エタノールによる有機洗浄と空気乾燥をし、さらに紫外線オゾンによる洗浄を行なって、デシケータにガラス基板を保管した。
乾燥窒素ガスを導入したグローブボックス内で、十分に乾燥した反応容器を用い、有機シラン化合物CF(CF(CHSiClを住友スリーエム社製ハイドロフルオロエーテル(商品名HFE7100))に1.0重量パーセントの濃度で溶解させ、溶液を準備した。
反応溶液作製を行ったグローブボックス内に上記の洗浄したガラス基板、単分子膜形成後の洗浄液(住友スリーエム社製ハイドロフルオロエーテル(商品名HFE7100))を入れて、それぞれを30分間乾燥状態に曝し、十分に乾燥させた。但し、この条件は一例であり、製作現場の環境やグローブボックスの状態、導入ガスなどによって変化することを経験的に確認している。
ビーカに上記有機シラン化合物を含有する溶液を注ぎ、相対湿度5%RH下、常温で30分、上記ガラス基板を浸漬し、ガラス基板に溶液を接触させた。
浸漬後は反応溶液を撹拌して反応を促進させても良いが、ガラス基板に傷がつくことを配慮しなければならない。
グローブボックス内に準備した上記洗浄液に、常温で、上記ガラス基板を浸漬し、ガラス基板を遥動させ、上記ガラス基板に付着した反応溶液を取り除いた。洗浄は、洗浄液を撹拌させるなどすることによっても可能である。
本実施例では洗浄液の入った容器を2つ用意し、洗浄によって取り除かれた有機シラン化合物の再付着を防止するため、洗浄容器を変えて2度洗浄を行った。洗浄時間は各10分づつ行った。
洗浄後、グローブボックス内でガラス基板を十分に乾燥させた後、ガラス基板をグローブボックスから取り出した。
ガラス基板上に上記有機シラン化合物が結合して、単分子膜が形成されていることをフーリエ変換赤外吸収分光法(測定機器:島津製作所社製FTIR-5000、分光法:多重外部反射方式、分解能:4cm−1、検出器:高感度MCT、積算回数:5000回)により確認した。この測定チャートを図5に示す。
図5に示すように、2930cm−1と2860cm−1に、−CH基−におけるC−H結合の逆対象伸縮振動と対象伸縮振動が確認されたことから、所定の単分子膜からなる層で、ガラス基板が被覆されていることを確認した。
次に、凹部形成のために、縦60μm、横20μmの抜きパターン(パターン密度:37,000個/cm)が配列した松下電器産業株式会社製のパターンテスト用フォトマスクを用意し、上記単分子膜を形成したガラス基板の上にフォトマスクを置いた。フォトマスク上から、紫外線(ウシオ電機株式会社製の光源:95Wランプ、波長:245nm)を、温度22℃で、2分間照射した。
上記のようして作製したマイクロチップに市販のDNA水溶液(和光純薬製の蛍光標識付き一本鎖オリゴヌクレオチド、濃度:20重量%)を900pL滴下し、その状態を確認した。その顕微鏡写真を図6に示す。図6に示すように、同溶液は基板表面に形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることが確認された。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、単分子膜が形成されている個所に同溶液が付着していることは確認されなかった。
このことより、反応場である液滴を多くしても、均一な反応場が出来ることが確認され、また反応場が広がっていくようなことは生じないことが確認された。さらに、非親和部(疎水部)には同溶液が付着することがないことより、隣接する反応場間でコンタミネーションが発生せず、分析精度の低下を防ぐことができることを確認できた。
実施例2
実施例1と同様にして洗浄、乾燥したガラス基板と、有機シラン化合物を含有する溶液を用意した。
ガラス基板上に東京応化工業株式会社製ポジレジスト(商品名OFPR5000)をスピンコータで塗布し、厚み1.0μmのレジスト膜を形成した。
レジスト塗布面にフォトマスクを介して紫外線露光を行い、次いで東京応化工業株式会社指定の現像液(商品名:NMD−3)で処理し、レジストパターンを形成した。レジストパターンは、形成される凹部底面の大きさが直径6.0μm、各凹部間の距離が、4.0μmで、凹部の密度が100万個/cmとなるようにした。
このレジストパターン付ガラス基板を、実施例1と同様にして、有機シラン化合物を含有する溶液に浸漬して、常温で30分溶液に接触させ、基板上に単分子膜を形成した。
洗浄、乾燥後、レジストパターンをアセトンにより除去することによって、凹部を有するマイクロチップを作製した。
実施例1と同様に、フーリエ変換赤外吸収スペクトルで、単分子膜が基板上に固定されていることが確認された。
なお、上記ではポジレジストを用いたが、接触させる溶液に溶解、膨潤しなければ、ネガレジストも使用できる。また、レジストの種類や、レジストパターン形成プロセスによっては、通常のフォトプロセスに用いられるベーキング工程の条件を適宜変更する必要がありうる。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例3
基板として、予め基板に所定パターンの凹部(直径400μm、各凹部間の距離が730μmで、凹部の密度が78個/cm)が形成されているガラス基板を用いた。
次に、このガラス基板を用い、実施例1と同様にして単分子膜を凹部も含めて全面に形成した。
基板の凹部と同じ大きさのパターンを有するフォトマスクを単分子膜の上に配置し、実施例1と同様にして紫外線を照射して、所定領域の単分子膜を取り除き、マイクロチップを作製した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例4
実施例1で作製したマイクロチップを用いて、凹部内部の親水化処理を行った。
実施例1で作製した基板表面に単分子膜を形成したマイクロチップを用意し、実施例1のガラス基板と同様に、洗浄、乾燥した。
次に、実施例1で使用した有機シラン化合物代わりに、CH=CH(CHSiClを用いた以外は実施例1と同様にして、凹部に前記単分子膜からなる層を被覆した。
次に、上記のようにして作製した単分子膜からなる層を有する基板を、セパラブルフラスコ内で過マンガン酸カリウム水溶液(濃度:45.6mmol/L)に浸漬し、30℃から80℃に昇温して、18時間反応させ、酸化処理した。
このようにして、単分子膜の末端の二重結合部分にカルボキシル基を導入し、親水性の単分子膜を凹部内部に形成した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記親水性の単分子膜で被覆された個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例5
実施例4と同様に、実施例1で作製したマイクロチップを用いて、凹部底面の親水化処理を行った。
実施例4で使用した有機シラン化合物代わりに、NC(CHSiClを用いた以外は実施例4と同様にして、凹部底面に、前記単分子膜からなる層を被覆した。
次に、上記のようにして作製した単分子膜からなる層を有する基板を、セパラブルフラスコ内に設置し、これにLiAlHのジエチルエーテル溶液(濃度:100mmol/L)を氷冷下で撹拌しながら加えた。HSO(100mmol)をゆっくりと滴下し、その後室温で1時間撹拌して、還元処理した。
このようにして、末端のシアノ基をアミノ基に変換し、親水性の単分子膜を凹部内部に形成した。親水性の単分子膜が凹部内部に形成されたされたことは、処理前のガラス基板よりも臨界表面エネルギーが向上されたことから確認した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記親水性の単分子膜で被覆された個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例6
実施例1のマイクロチップの作製において、有機シラン化合物としてCH(CHSiClを用いた以外は、実施例1と同様にしてマイクロチップを作製した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例7
実施例2のマイクロチップの作製において、有機シラン化合物としてCH(CH20SiClを用いた以外は、実施例2と同様にしてマイクロチップを作製した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例8
実施例1のガラス基板の代わりにポリプロピレン製の基板を用意した。
この基板を、春日電機株式会社製の常圧プラズマ放電装置を用い、0.5kWで6秒処理した後、表面を空気に触れさせて水酸基、カルボキシル基の活性水素を付与した。
この表面処理したガラス基板自体の臨界表面エネルギーを測定した結果、処理前が30mN/mであり、処理後に54mN/mに親水性が向上していたことから、活性水素量が変化したことを確認した。
上記の基板を用いた以外は、実施例1と同様にして、マイクロチップを作製した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記疎水性の単分子膜で被覆されていない個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
実施例9
実施例4と同様に、実施例1で作製したマイクロチップを用いて、凹部内の親水化処理を行った。
実施例4で使用した有機シラン化合物代わりに、HN(CHSi(OCHを用いた以外は実施例4と同様にして、凹部内に、前記単分子膜からなる層を被覆した。
このようにして、親水性の単分子膜を凹部底面に形成した。親水性の単分子膜が凹部底面に形成されたことは、処理前のガラス基板よりも臨界表面エネルギーが向上されたことから確認した。
上記のマイクロチップに、実施例1と同様にして、DNA水溶液を滴下し、その状態を確認した。同溶液は形成した上記親水性の単分子膜で被覆された個所のみに設置されており、その溶液の形状はパターンによって定められていることを確認した。また、滴下した液滴は、形成した凹部の開口部を超えて略半球状に収容されていた。また、凹部以外には同溶液が付着していることは確認されなかった。
本実施例は、親水性を付与するために、酸化あるいは還元処理を必要としない点でも優れている。
以上のようにして作製した各マイクロチップの評価結果を表1に示す。なお、臨界表面エネルギーの測定は、以下により行った。
[臨界表面エネルギー]
ナカライテスク株式会社製のぬれ指数標準液No.31、No.36、No.41、No.46、No.54及びイオン交換水を用い、室温で各標準液0.4mlを試料に滴下し、協和界面化学株式会社製の自動接触角計により静的接触角を測定し、X軸として接触角の余弦値を、Y軸として標準液のエネルギーをプロットし、余弦値を0に外挿した時の値を臨界表面エネルギーとした。測定は、同一のマイクロチップの8箇所の接触角を測定し、最大値と最小値を除いた値の平均値を用いた。なお、凹部内に形成した親水性膜の臨界表面エネルギーは、凹部が非常に微細であるため、別途形成した親水性の単分子膜のみからなる試料から求めたものである。
本発明のマイクロチップの一実施形態を示す斜視図である。 図2(A)は、本発明のマイクロチップの一実施形態の基本構成を概略的に示す部分断面図である。図2(B)は、本発明のマイクロチップの他の実施形態の基本構成を概略的に示す部分断面図である。 図2(A)のマイクロチップの各領域に液滴を収容した状態を概略的に示す断面図である。 本発明のマイクロチップに液滴を供給する基本構成を示す斜視図である。 本発明の実施例1における単分子膜のフーリエ変換赤外吸収スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1におけるマイクロチップに、液滴を滴下した状態を観察した顕微鏡写真である。
符号の説明
1 基板
2 単分子膜からなる層
3 液体を収容しうる領域
4 液滴
40 液滴供給部
101 マイクロチップ

Claims (30)

  1. 基板と、
    前記基板上に試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を有し、
    前記基板の表面における前記液体を収容し得る領域の周囲は、単分子膜からなる層で被覆されており、
    前記単分子膜は、前記液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性を示し、
    前記単分子膜は前記基板と共有結合により固定されており、
    前記単分子膜は、
    基板と結合していない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、
    前記共有結合と、前記末端基との間に、一般式(S1)
    −C 2b − (S1)
    (式中、EはH及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、bは2〜22の整数を示す)で表される2価の特性基を有する、
    有機基からなることを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記基板表面の前記液体を収容し得る領域を除く全ての領域が、前記単分子膜からなる層で被覆されている請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記基板表面の単位面積当たりに形成される前記液体を収容し得る領域の数が1万個/cm2以上である請求項1または2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記単分子膜からなる層が2層以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  5. 前記液体はプローブを含有する溶液であり、前記基板表面における前記プローブを含有する溶液を固定する領域の周囲または前記プローブを含有する溶液を固定する領域以外の全ての領域が前記単分子膜で被覆されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  6. 前記基板上に、前記液体を収容し得る複数の領域及び前記液体を収容し得る複数の領域の少なくとも一部を連結する流路となる溝が形成されており、前記基板表面の前記液体を収容し得る領域及び前記溝の周囲が前記単分子膜からなる層で被覆されている請求項1に記載のマイクロチップ。
  7. 前記液体を収容し得る領域および前記溝以外の全ての領域が、前記単分子膜からなる層で被覆されている請求項6に記載のマイクロチップ。
  8. 前記単分子膜と前記基板との間で形成される共有結合が、M−O結合、M−N結合及びM−S結合(Mは、Si、Ti、AlまたはSn)からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合である請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  9. 前記単分子膜は、
    前記単分子膜と前記基板との間の共有結合が、Si−O結合、Si−N結合及びSi−S結合からなる群より選ばれる少なくとも一つの共有結合であり、
    前記一般式(S1)で表される2価の特性基の炭素骨格を構成する炭素間に、下記一般式(S2)で表される特性基、−O−、−COO−、−C64−もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有する有機基からなる請求項に記載のマイクロチップ。

    [式(S2)中、g及びhはそれぞれ独立であり、1〜3の整数を示す。]
  10. 基板と、
    前記基板上に試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を有し、
    前記基板の表面における前記液体を収容し得る領域の周囲は、単分子膜からなる層で被覆されており、
    前記単分子膜は、前記液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性を示し、
    前記単分子膜は、
    前記単分子膜と前記基板との間で、M−O結合、M−N結合及びM−S結合(Mは、Si、Ti、AlまたはSn)からなる群より選ばれる少なくとも一つの共有結合を形成して固定されており、
    前記基板と結合していない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、
    前記共有結合と、前記基板と結合していない側の末端基の間に、下記一般式(S3)で表される3価の特性基を有する、
    有機基からなることを特徴とするマイクロチップ。

    [式(S3)中、Cj2jは前記Mで表される原子に結合する特性基であり、Cm2m及びCn2nは前記基板と結合していない側の末端基に結合する特性基であり、G、J及びLはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、jは1〜18の整数を示し、m及びnはそれぞれ独立に0〜7の整数を示す。]
  11. 前記一般式(S1)の2価の特性基または前記一般式(S3)の3価の特性基の主鎖中の炭素数が、8以上18以下である請求項10のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  12. 記単分子膜は、前記液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性が高く、
    前記単分子膜と前記液体を収容し得る領域の親和性の差は、前記液体を収容して反応場を形成した時に、隣接する反応場間でのコンタミネーションを防止するのに十分大きい請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  13. 記単分子膜は、前記液体を収容し得る領域よりも前記液体に非親和性が高く、
    前記単分子膜は、一方の末端に前記基板表面の活性水素と共有結合を形成可能な末端結合官能基を含み、他方の末端に前記液体に非親和性を示す末端基を有する有機分子を前記基板に接触させ、共有結合を形成することにより前記基板に固定されてなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  14. 基板と、前記基板上に試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を有するマイクロチップの製造方法であって、
    前記基板の表面の活性水素を有する領域に、一方の末端に前記活性水素と共有結合を形成可能な末端結合官能基を含み、他方の末端に前記液体に非親和性を示す末端基を有する有機分子を接触させ、
    前記有機分子の末端結合官能基と前記基板表面の活性水素とを反応させて共有結合を形成することによって、前記基板表面における前記液体を収容し得る領域の周囲に、前記液体に非親和性を示す単分子膜からなる層を選択的に固定し、
    前記有機分子は、
    前記基板と共有結合を形成可能な末端結合官能基として、下記一般式(S4)で表される特性基を有し、

    [式(S4)中、Mは、Si、Ti、AlまたはSnであり、Z 1 はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z 2 は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示す]、
    前記基板と結合しない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、
    前記両特性基との間に、下記一般式(S5)
    −C 2b − (S5)
    [式(S5)中、EはH及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、bは2〜22の整数を示す]で表される2価の特性基を有していることを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  15. 前記基板上に、前記単分子膜からなる層を選択的に形成するためのパターンをレジストパターンにより形成し、前記レジストパターンが形成された基板に、前記有機分子を接触させた後、前記レジストパターンを除去することにより、前記基板表面における前記液体を収容し得る領域の周囲に、前記液体に非親和性の単分子膜からなる層を選択的に形成する請求項14に記載のマイクロチップの製造方法。
  16. 前記基板表面に単分子膜からなる層を固定し、前記形成された単分子膜にエネルギーを照射し、照射領域の単分子膜のみを除去することにより、前記液体に非親和性の単分子膜からなる層を選択的に形成する請求項14に記載のマイクロチップの製造方法。
  17. 前記基板上に、前記液体を収容し得る複数の領域及び前記液体を収容し得る領域の少なくとも一部を連結する流路となる溝が形成されており、前記基板表面の前記液体を収容し得る領域及び溝の周囲の両方を、前記有機分子と接触することにより単分子膜からなる層で被覆する請求項14に記載のマイクロチップの製造方法。
  18. 前記単分子膜の固定が、化学吸着法により実施される請求項1417のいずれか1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  19. 前記有機分子は、前記一般式(S4)で表されるMが、Siであり、
    前記一般式(S5)で表される2価の特性基の炭素骨格を構成する炭素間に、下記一般式(S6)で表される特性基、−O−、−COO−、及び−C64−もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有している請求項14〜18のいずれか1項に記載のマイクロチップの製造方法。

    [式(S6)中、g及びhはそれぞれ独立であり、1〜3の整数を示す。]
  20. 基板と、前記基板上に試料、試薬および溶媒のうち少なくとも一つを含む液体を収容し得る複数の領域を有するマイクロチップの製造方法であって、
    前記基板の表面の活性水素を有する領域に、一方の末端に前記活性水素と共有結合を形成可能な末端結合官能基を含み、他方の末端に前記液体に非親和性を示す末端基を有する有機分子を接触させ、
    前記有機分子の末端結合官能基と前記基板表面の活性水素とを反応させて共有結合を形成することによって、前記基板表面における前記液体を収容し得る領域の周囲に、前記液体に非親和性を示す単分子膜からなる層を選択的に固定し、
    前記有機分子は、
    前記基板と共有結合を形成可能な末端結合官能基として、下記一般式(S7)で表される特性基を有し、

    [式(S7)中、Mは、Si、Ti、AlまたはSnであり、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示す]、
    基板と結合しない側の末端基が、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、シアノ基もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1つの特性基であり、
    前記両特性基との間に、下記一般式(S8)で表される3価の特性基が結合した構造を有していることを特徴とするマイクロチップの製造方法。

    [式(S8)中、Cj2jは前記Mに結合する特性基であり、Cm2m及びCn2nは前記基板と結合しない側の末端基に結合する特性基であり、G、J及びLはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、jは1〜18の整数を示し、m及びnはそれぞれ独立に0〜7の整数を示す。]
  21. 前記有機分子の前記基板と共有結合する末端結合官能基が、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基またはイソシアネートシリル基であり、前記末端結合官能基と前記基板表面の活性水素との反応が、脱ハロゲン化水素反応、脱アルコール反応または脱イソシアネート反応である請求項1420のいずれか1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  22. 前記有機分子が、下記一般式(S20)〜(S29)またはこれらの誘導体の群から選ばれる少なくとも1種で表される有機分子である請求項14に記載のマイクロチップの製造方法。

    [式(S20)〜(S29)中、Mは、Si、Ti、AlまたはSnであり、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、
    qは2〜22の整数を示し、m及びnはそれぞれ下記式(I)〜(III)で表される条件;
    0≦m≦14…(I)
    0≦n≦15…(II)
    2≦(m+n)≦22…(III)
    を同時に満たす整数を示す。]
  23. 前記有機分子が、下記一般式(S30)〜(S39)またはこれらの誘導体の群から選ばれる少なくとも1種で表される有機分子である請求項19に記載のマイクロチップの製造方法。

    [式(S30)〜(S39)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、
    Aは下記一般式(S9)

    [式(S9)中、g及びhはそれぞれ独立であり、1〜3の整数を示す。]
    で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−もしくはこれらの置換体からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基を示し、tは1〜10の整数を示し、pは1〜18の整数を示し、r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;
    0≦r≦14…(IV)
    0≦s≦15…(V)
    2≦(r+s)≦22…(VI)
    を同時に満たす整数を示す。]
  24. 前記有機分子が、下記一般式(S40)〜(S49)またはこれらの誘導体の群から選ばれる少なくとも1種で表される有機分子である請求項20に記載のマイクロチップの製造方法。

    [式(S40)〜(S49)中、Mは、Si、Ti、AlまたはSnであり、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、
    tは1〜10の整数を示し、pは1〜18の整数を示し、r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;
    0≦r≦14…(IV)
    0≦s≦15…(V)
    2≦(r+s)≦22…(VI)
    を同時に満たす整数を示す。]
  25. 前記有機分子が、下記有機分子からなる群から選択された少なくとも一つである請求項14または19に記載のマイクロチップの製造方法。
    CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3
    F(CF2)4(CH2)2O(CH2)15SiCl3
    CF3COO(CH2)15SiCl3
    F(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
    F(CF2)8Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
    CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
    CF3CH2O(CH2)15SiCl3
    CH3(CH2)7(CH2)2SiCl3
    H(CH2)4(CH2)2O(CH2)15SiCl3
    CH3COO(CH2)15SiCl3
    H(CH2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
    H(CH2)8Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
    CH3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
    CH3CH2O(CH2)15SiCl3
    CF3(CF2)7(CH2)2TiCl(CH3)2
    CF3(CF2)7(CH2)2TiCl(C3H7)2
    CH3(CH2)7AlCl(OC2H5)2
    CF3(CF2)2(CH2)2Al(OC2H5)3
    CF3(CF2)7(CH2)2Al(OCH3)3
    CF3(CH2)4SnCl(C3H7)2
  26. 前記単分子膜形成前に、前記基板を表面処理することによって活性水素を付与する請求項14、19または20に記載のマイクロチップの製造方法。
  27. 前記活性水素を付与する表面処理が、エネルギー照射による請求項26に記載のマイクロチップの製造方法。
  28. 予め調整されたプローブを含有する水溶液を高密度スポットで請求項1、9または10に記載のマイクロチップ上に滴下することによって生体高分子を検査する検査方法であって、
    前記マイクロチップは、基板上に水溶液を含有する液滴を収容して反応場となる複数の領域を有し、
    前記基板の表面における液滴を収容し得る領域の周囲は、前記液滴に疎水性を示す単分子膜からなる層で被覆されており、
    前記単分子膜は、前記基板と共有結合により固定されており、
    前記基板表面の単位面積当たりに形成される前記液体を収容し得る領域の数が1万個/cm2以上であり、
    前記液滴を収容し得る領域に、反応場となる液滴を全量で0.01pL〜1000pL滴下することにより検査を行う生体高分子の検査方法。
  29. 前記基板表面の単位面積当たりに形成される前記液体を収容し得る領域の数が100万個/cm 〜800万個/cm である請求項1〜13のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  30. 前記液体を収容し得る領域の容積が2×10 −6 pL〜2×10 −3 pLであり、単分子膜の厚さが0.5nm〜10nmであり、前記領域に収容される液滴の体積が0.01pL〜1.2pLである請求項29に記載のマイクロチップ。
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