JP4504042B2 - 車両用開閉体開閉装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用開閉体開閉装置に係り、特に、手動と自動とに切り替えて開閉体を開閉させることが可能な車両用開閉体開閉装置に関する。
従来から、車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置として、車両用ドア開閉装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この車両用ドア開閉装置では、手動と自動とに切り替えてドアを開閉させることが可能な構成となっている。特許文献1に記載の例では、ドア開閉用モータとドア開閉機構との間に電磁クラッチ機構が備えられている。そして、電磁クラッチ機構の接合状態が解除された状態では、ドアに接続されるドア開閉機構に負荷が掛からないため、ドアを自由に開閉することが可能である。また、特許文献2に記載の例では、ドア開閉用モータとドア開閉機構との間に遊星歯車機構が備えられている。そして、遊星歯車機構の内歯歯車の回転が許容された状態では、ドア開閉用モータによって回転される太陽歯車に対して中間歯車が回転自在な状態となり、この中間歯車に接続されるドア開閉機構に負荷が掛からなくなるため、ドアを自由に開閉することが可能である。
特開昭58−76671号公報(第1−3頁、第1図、第2図) 実用新案第2528411号公報(第2−4頁、図3、図4)
しかしながら、特許文献1に記載の例において、電磁クラッチ機構の接合状態が解除された場合には、ドアに対して保持力が作用しないため、手動開閉時にドアを任意の開度で保持することは不可能である。同様に、特許文献2に記載の例においても、遊星歯車機構の内歯歯車の回転が許容された状態では、ドアに対して保持力が作用しないため、手動開閉時にドアを任意の開度で保持することは不可能である。このように、この特許文献1および特許文献2に記載の例では、手動開閉時にドアを任意の開度で保持することができないので、例えば、坂道や風が強い日などは、乗員の意志に反してドアが勝手に動いてしまうなどの不都合がある。また、ドアの開方向におけるスペースが狭い場合には、上述のようにドアが自由に開閉してしまう構成では乗降車しにくいという問題がある。
さらに、この特許文献1および特許文献2に記載の例では、手動開閉時においてドアに操作力(抵抗力)を作用させることができないので、ドアを勢い良く押して(引いて)開けた場合には、ドアが全開位置で跳ね返ってしまい、ドアを全開位置に保持させることができないという不都合がある。また、ドアを勢い良く押して(引いて)閉めた場合には、そのままの勢いでドアが全閉されるため、すでに乗車している者に振動等が伝わりたいへん煩わしいものとなる。さらに、上記特許文献1および特許文献2に記載の例では、手動開閉時においてドアに操作力(抵抗力)を作用させることができないので、ドアを手動で開閉するときにおける重厚感、高級感に乏しいという不都合もある。一方、手動開閉時においてドアに操作力(抵抗力)を作用させる構成とした場合には、半ドアやドアの開度不足などが生じないようにするためにも、ドアの全開位置又は全閉位置の手前で必要以上にドアにブレーキ力が掛からないようにする必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、開閉体を勢い良く押して(引いて)開けた場合でも、開閉体を全開位置へしずかに移動させることが可能であると共に、また、開閉体を勢い良く押して(引いて)閉めた場合でも、開閉体を全閉位置へしずかに移動させることが可能な車両用開閉体開閉装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、開閉体がゆっくりと押されて(引かれて)開けられた場合でも、開閉体を全開位置へ確実に移動させることが可能であると共に、開閉体がゆっくりと押されて(引かれて)閉められた場合でも、開閉体を全閉位置へ確実に移動させることが可能な車両用開閉体開閉装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、手動開閉時に開閉体を任意の開度で保持可能であり、従来よりも使い勝手を向上させることが可能であると共に、開閉体を手動で開閉するときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能な車両用開閉体開閉装置を提供することにある。
前記課題は、請求項1に記載の車両用ドア開閉装置(1,101)によれば、車体に対して回動可能な開閉体(51)を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、自動開閉時に前記開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、前記制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段(40)の保持力を制御し、開閉体(51)の開方向への回動により開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度を上回ったときに当該開閉体(51)の開速度が予め定めた基準速度よりも高いと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を増加させるようにすること、により解決される。
このように、本発明の車両用開閉体開閉装置(1,101)によれば、自動開閉時に開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて開閉駆動手段(40)の保持力を制御するように構成されているので、手動開閉時に開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じたきめ細かい保持力の制御が可能となる。従って、例えば、開閉体(51)が勢い良く押されて(引かれて)開けられた場合でも、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を増加させることにより、開閉体(51)を全開位置へしずかに移動させることが可能となる。同様に、開閉体(51)が勢い良く押されて(引かれて)閉められた場合でも、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を増加させることにより、開閉体(51)を全閉位置へしずかに移動させることが可能となる。
また、例えば、開閉体(51)がゆっくりと押されて(引かれて)開けられた場合においても、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を低減させることにより、開閉体(51)を全開位置へ確実に移動させることが可能である。同様に、開閉体(51)がゆっくりと押されて(引かれて)閉められた場合においても、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を低減させることにより、開閉(51)を全閉位置へ確実に移動させることが可能である。
また、上述のように、開閉駆動手段(40)は、乗員による手動開閉時に保持力を発生し開閉体(51)を任意の開度で保持可能に構成されているので、手動開閉時に開閉体(51)を停止させたときには、その任意の開度で開閉体(51)を保持することが可能となる(すなわち手動開閉時に無段階チェック機能を付与できる)。これにより、乗員が開閉体(51)から手を離したときに乗員の意志に反して開閉体(51)が勝手に動いてしまうなどの不都合を防止できるので、従来よりも使い勝手を向上させることが可能となる。さらに、手動開閉時に開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて保持力を制御することにより、手動開閉時に開閉体(51)に適度な操作力(抵抗力)を作用させることが可能となるので、開閉体(51)を手動で開閉するときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。
また、開閉体(51)の開方向への回動により開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度を上回ったときに当該開閉体(51)の開速度が予め定めた基準速度よりも高いと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を増加させるような構成にすると、例えば、開閉体(51)の開方向への回動により開閉体(51)が全開位置側に移動したときに開閉体(51)の開速度が予め定めた基準速度よりも高い場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が増加されるので、開閉体(51)に作用するブレーキ力を増加させることが可能となる。従って、開閉体(51)が勢い良く押されて(引かれて)開けられた場合でも、開閉体(51)を全開位置へしずかに移動させることが可能となる。
前記課題は、請求項2に記載の車両用ドア開閉装置(1,101)によれば、車体に対して回動可能な開閉体(51)を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、自動開閉時に前記開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、前記制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段(40)の保持力を制御し、開閉体(51)の開方向への回動により開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度を上回ったときに当該開閉体の開速度が予め定めた基準速度よりも低いと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を低減させるようにすること、により解決される。
このような構成によれば、上述の作用効果に加え、例えば、開閉体(51)の開方向への回動により開閉体(51)が全開位置側に移動したときに開閉体(51)の開速度が予め定めた基準速度よりも低い場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が低減されるので、開閉体(51)に作用するブレーキ力を低減させることが可能となる。従って、開閉体(51)がゆっくりと押されて(引かれて)開けられた場合でも、開閉体(51)を全開位置へ確実に移動させることが可能となる。
前記課題は、請求項3記載の車両用ドア開閉装置(1,101)によれば、車体に対して回動可能な開閉体(51)を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、自動開閉時に前記開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、前記制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段(40)の保持力を制御し、制御手段(30)は、より好適には、開閉体(51)の閉方向への回動により開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度を下回ったときに当該開閉体(51)の閉速度が予め定めた基準速度よりも高いと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を増加させるようにすること、により解決される。
このような構成によれば、上述の作用効果に加え、例えば、開閉体(51)の閉方向への回動により開閉体(51)が全閉位置側に移動したときに開閉体(51)の閉速度が予め定めた基準速度よりも高い場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が増加されるので、開閉体(51)に作用するブレーキ力を増加させることが可能となる。従って、開閉体(51)が勢い良く押されて(引かれて)閉められた場合でも、開閉体(51)を全閉位置へしずかに移動させることが可能となる。
前記課題は、請求項4記載の車両用ドア開閉装置(1,101)によれば、車体に対して回動可能な開閉体(51)を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、自動開閉時に前記開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、前記制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段(40)の保持力を制御し、制御手段(30)は、より好適には、開閉体(51)の閉方向への回動により開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度を下回ったときに当該開閉体(51)の閉速度が予め定めた基準速度よりも低いと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を低減させるようにすること、により解決される。
このような構成によれば、上述の作用効果に加え、例えば、開閉体(51)の閉方向への回動により開閉体(51)が全閉位置側に移動したときに開閉体(51)の閉速度が予め定めた基準速度よりも低い場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が低減されるので、開閉体(51)に作用するブレーキ力を低減させることが可能となる。従って、開閉体(51)がゆっくりと押されて(引かれて)閉められた場合でも、開閉体(51)を全閉位置へ確実に移動させることが可能となる。
前記課題は、請求項5に記載の車両用ドア開閉装置(1,101)によれば、車体に対して回動可能な開閉体(51)を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、自動開閉時に前記開閉体(51)に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体(51)を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段(40)と、該開閉駆動手段(40)を制御する制御手段(30)と、前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段(30)へ出力する開閉状況検出手段(27)と、を備え、前記制御手段(30)は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段(27)から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体(51)の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段(40)の保持力を制御し、開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度よりも小さいときに当該開閉体(51)が停止したと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を低減させ、開閉体(51)の開度が予め定めた基準開度よりも大きいときに当該開閉体(51)が停止したと判断した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力を増加させるようにすること、により解決される。
このような構成によれば、上述の作用効果に加え、例えば、開閉体(51)が全閉位置側にあるときに開閉体(51)が停止した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が低減されるので、乗員にとっては少ない操作力で開閉体(51)を開けることが可能となる。また、開閉体(51)を閉める場合には、全閉位置までの距離が短くても、乗員にとっては少ない操作力で開閉体(51)を閉めることが可能となる。さらに、上記構成によれば、例えば、開閉体(51)が全開位置側にあるときに開閉体(51)が停止した場合には、開閉駆動手段(40)の保持力が増加されるので、開閉体(51)を大きく開いた状態で保持することが可能となる。このように、開閉体(51)の停止位置に応じて開閉体(51)を保持する保持力が最適に制御されるので、従来よりも開閉体(51)の開閉時における利便性を向上させることが可能である。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
(第一実施形態)
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示す図で、図1は車両用ドア開閉装置の構成を示す図、図2はドア開閉用モータおよび駆動力伝達機構の構成を示す図、図3は図2のA−A線断面図、図4は車両用ドア開閉装置の全体構成を示すブロック図、図5は車両用ドア開閉装置の動作(ドア自動開動作)の流れを説明する図、図6はドアの開度を説明する図(ドア手動開操作時)、図7は車両用ドア開閉装置の動作(ドア自動閉動作)の流れを説明する図、図8はドアの開度を説明する図(ドア手動閉操作時)である。
はじめに、図1乃至図4を参照しながら、本発明の車両用開閉体開閉装置の一例である車両用ドア開閉装置1の構成について説明する。本発明の一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1は、乗用自動車等の車両に好適に配設され、この車両に設けられた開閉体としてのドア51を手動と自動とに切り替えて開閉させるものである。この車両用ドア開閉装置1は、図4に示すように、操作部10と、検出部20と、制御部30(制御手段に相当)と、ドア開閉駆動部40(開閉駆動手段に相当)を有して構成されている。
操作部10は、車両用ドア開閉装置1を操作するためのものであり、内側操作ボタン11、外側操作ボタン12、内側ドアハンドル13、外側ドアハンドル14を有して構成されている。内側操作ボタン11は、図1に示すように、ドア51の車内側で内側ドアハンドル13の近傍に設けられ、自動開扉ボタン11aおよび自動閉扉ボタン11bを有して構成されている。一方、外側操作ボタン12は、ドア51の車外側で外側ドアハンドル14と一体に設けられ、自動開扉ボタン12aおよび自動閉扉ボタン12bを有して構成されている。
そして、本例では、後述するように、自動開扉ボタン11a,12aを操作すると、ドア開閉用モータ42が回転してドア51が自動的に開き、自動閉扉ボタン11b,12bを操作すると、ドア開閉用モータ42が上記と逆方向に回転してドア51が自動的に閉まる。内側ドアハンドル13は、図1に示すように、ハンドルレバー13aを有して構成されており、外側ドアハンドル14は、ハンドルレバー14aを有して構成されている。内側ドアハンドル13のハンドルレバー13aもしくは外側ドアハンドル14のハンドルレバー14aを引くと、ロック部材52とストライカ部材53の係合が解除され、ドア51を手動で開くことができる。
図4に示すように、検出部20は、操作部10の上記各操作状況を検出するためのものであり、開扉ボタン操作検出器21,22、閉扉ボタン操作検出器23,24、ドアハンドル操作検出器25,26、ドア開閉状況検出手段としてのロータリーエンコーダ27を有して構成されている。開扉ボタン操作検出器21は、内側操作ボタン11のうち自動開扉ボタン11aが操作されたことを検出して制御回路31に開扉ボタン操作信号を出力するものであり、閉扉ボタン操作検出器23は、自動閉扉ボタン11bが操作されたことを検出して制御回路31に閉扉ボタン操作信号を出力するものである。同様に、開扉ボタン操作検出器22は、外側操作ボタン12のうち自動開扉ボタン12aが操作されたことを検出して制御回路31に開扉ボタン操作信号を出力するものであり、閉扉ボタン操作検出器24は、自動閉扉ボタン12bが操作されたことを検出して制御回路31に閉扉ボタン操作信号を出力するものである。
ドアハンドル操作検出器25は、内側ドアハンドル13が操作されたことを検出して制御回路31にドアハンドル操作信号を出力するものであり、ドアハンドル操作検出器26は、外側ドアハンドル14が操作されたことを検出して制御回路31にドアハンドル操作信号を出力するものである。ロータリーエンコーダ27は、図1に示すように、例えば、後述するセクター歯車44aの回動軸44gに配設され、セクター歯車44aの揺動角度に応じたパルス信号(A相、B相)を制御回路31に出力するものである。そして、本例では、後述するように、ロータリーエンコーダ27から出力されたパルス信号が制御回路31にてカウントされることにより、制御回路31においてドア51の開閉方向、開度、開閉速度が検出される。なお、ロータリーエンコーダ27の配設位置は、上記に限られるものではなく、ロータリーエンコーダ27からのパルス信号に基づいてドア51の開閉方向、開度、開閉速度を算出することが可能であれば何処でも良い。
制御部30は、検出部20から出力された上記各信号に基づいて演算を行い、これら得られた演算結果に基づいてドア開閉駆動部40を駆動制御するものである。本実施形態に係る制御部30は、制御回路31および駆動回路32を有して構成されている。制御回路31は、各種演算を行うためのCPUと、このCPUを動作させるためのプログラムが格納されたROMと、CPUによって処理された情報を一時的に保存するRAM(いずれも不図示)等を備えた電気回路により構成されている。この制御回路31は、検出部20から得られる上記各検出信号に基づいて、駆動回路32に所定の駆動信号を出力する。制御回路31のROMには、ドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じたドア保持力に関する情報(ドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じたドア開閉用モータ42の回転方向および回転速度に関する情報並びに電磁クラッチ45へ供給する電流量に関する情報)が記憶されている。なお、制御回路31の動作詳細については後述する。駆動回路32は、制御回路31から出力された各駆動信号に応じて、ドアロック解除用モータ41、ドア開閉用モータ42、電磁クラッチ45に必要な電力を供給し、これらを駆動させるものである。
ドア開閉駆動部40は、図1に示すように、ドア51の内部に形成された空間部51aに配設されており、ドアロック解除用モータ41(図1において不図示)、ドア開閉用モータ42、駆動力伝達機構43、ドア開閉機構44を有して構成されている。ドアロック解除用モータ41は、ロック部材52とストライカ部材53による係合状態を解除するためのものである。内側ドアハンドル13もしくは外側ドアハンドル14を操作すると、ドアロック解除用モータ41が作動し、ロック部材52とストライカ部材53とによる係合状態が解除される。
ドア開閉用モータ42は、駆動回路32によって印加されたモータ電圧に基づいて回転軸を正逆方向に回転させる。図2に示すように、ドア開閉用モータ42の回転軸42aには、ウォームギア42bが配設されており、このウォームギア42bには、駆動力伝達機構43のウォームホイール43dが歯合されている。駆動力伝達機構43は、ドア開閉用モータ42の駆動力をドア開閉機構44に伝達するものであり、図2,図3に示すように、取付板43a、軸受43b、回転軸43c、ウォームホイール43d、回転軸43e、ケース43f、軸受43g、出力ギア43h、電磁クラッチ45を有して構成されている。取付板43aはドア51に固定され、取付板43aの中央には、軸受43bが配設されている。軸受43bには、回転軸43cが回転自在に軸支され、回転軸43cには、ウォームホイール43dが固設されている。回転軸43eは、ケース43fの中央に配設された軸受43gによって回転自在に軸支されており、回転軸43eの突出端には、後述するセクター歯車44aと歯合される出力ギア43hが配設されている。
電磁クラッチ45は、磁界を形成する電磁石45aと、回転板45bと、固定板45cと、金属製の吸着板45dと、バネ45eを有して構成されている。電磁石45aは、回転軸の周りに形成された環状のヨーク45fと、このヨーク45fの内部に巻装されたコイル45gからなる。電磁石45aから発せられる磁界は、供給される電流量が増加するに従って増加する。回転板45bは、ウォームホイール43dの上面に固設され、ウォームホイール43dと共に回転する。固定板45cは、回転軸43eに固設されており、固定板45cの裏面には、バネ45eが配設されている。吸着板45dは、回転軸43eに対して軸方向に移動自在となっており、バネ45eによって電磁石45a側へ付勢され回転板45bに押し付けられている。
そして、本例の電磁クラッチ45では、電磁石45aに供給する電流量が増加することにより吸着板45dと回転板45bとの接合力を増加させることができる。すなわち、電磁石45aに供給する電流量が“ゼロ”である場合には、電磁石45aによって磁界が形成されず、バネ45eによる付勢力によって吸着板45dが回転板45bに押し付けられる。このとき、電磁クラッチ45における接合力は“小”となる。また、電磁石45aに供給する電流量が“小”である場合には、電磁石45aによって弱い磁界が形成され、この磁界とバネ45eによる付勢力によって吸着板45dが回転板45bに吸着される。このとき、電磁クラッチ45における接合力は“中”となる。さらに、電磁石45aに供給する電流量が“大”である場合には、電磁石45aによって強い磁界が形成され、この磁界とバネ45eによる付勢力によって吸着板45dが回転板45bに吸着される。このとき、電磁クラッチ45における接合力は“大”となる。
ドア開閉機構44は、図1に示すように、セクター歯車44a、リンク部材44b、押引部材44c、自在継手44d,44eを有して構成されている。セクター歯車44aは、略扇状に形成されており、セクター歯車44aの円弧部44fには、出力ギア43hに歯合されるギアが形成されている。また、セクター歯車44aは、回転軸44gを中心に揺動自在となっており、セクター歯車44aの揺動端には、リンク部材44bの一端が自在継手44dを介して接続されている。リンク部材44bの他端には、自在継手44eを介して押引部材44cの一端が接続されており、押引部材44cの他端は、車体に取り付けられたヒンジ機構54に接続されている。ヒンジ機構54は、車両上下方向に沿って回動軸を有して構成されており、これにより、押引部材44cは、ヒンジ機構54の回動軸を中心に回動自在となっている。なお、車両50には、ドアヒンジ55,56が設けられており、ドア51は、ドアヒンジ55,56によって回動自在となっている。
次に、本発明の一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1の動作について説明する。
1.自動ドア開動作
自動開扉ボタン11aもしくは自動開扉ボタン12aが押し操作されると、この押し操作が開扉ボタン操作検出器21もしくは開扉ボタン操作検出器22によって検出され、開扉ボタン操作検出器21もしくは開扉ボタン操作検出器22から制御回路31へ開扉ボタン操作信号が出力される。制御回路31では、開扉ボタン操作検出器21もしくは開扉ボタン検出器22から出力された開扉ボタン操作信号が検出され、自動でドア51を開けるための要求操作(以下、自動ドア開要求操作と言う)が行われたことが検出される。なお、上記自動ドア開要求操作は、上述の自動開扉ボタンを押し操作することに限られず、内側ドアハンドル13もしくは外側ドアハンドル14が所定時間内に続けて2回操作されることや、内側ドアハンドル13もしくは外側ドアハンドル14を引いた状態で所定開度だけドア51が開けられること等であっても良い。
ここで、ドア51が半開きの状態にあるときに上記自動ドア開要求操作が行われた場合には、制御回路31から駆動回路32へドアロック解除用モータ41を駆動させるための駆動信号が出力されずに、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を駆動させるための駆動信号と、電磁クラッチ45を作動させるための励磁信号が出力される。一方、ドアが全閉の状態にあるときに上記自動ドア開要求操作が行われた場合には、制御回路31から駆動回路32へドアロック解除用モータ41を駆動させるための駆動信号が出力され、駆動回路32からドアロック解除用モータ41に所定の電圧が印加される。これにより、ドアロック解除用モータ41が駆動し、ロック部材52とストライカ部材53とによる係合状態が解除されてドア51がハーフラッチ状態となる。続いて、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を駆動させるための駆動信号と、電磁クラッチ45を作動させるための励磁信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42および電磁クラッチ45に所定の電圧が印加される。このとき、電磁クラッチ45に供給される電流量は“大”である。
このようにして、駆動回路32からドア開閉用モータ42および電磁クラッチ45に所定の電圧が印加されると、吸着板45dが回転板45bに強固に吸着されて電磁クラッチ45の接合力が“大”となり、ドア開閉用モータ42が回転する。ドア開閉用モータ42が正方向に回転すると、ウォームホイール43dと共に吸着板45dが回転し、この回転力がバネ45eを介して固定板45cに伝達される。これにより、固定板45cの回転と共に回転軸43eおよび出力ギア43hがR1方向へ回転する。出力ギア43hがR1方向へ回転すると、これに伴ってセクター歯車44aがR3方向に回動し、セクター歯車44aおよびリンク部材44bによって押引部材44cに対してH1方向に力が加わりドア51が開く。
そして、ドア51が自動で開いているときに、ドア51の開度がロータリーエンコーダ27によって検出され、制御回路31においてドア51の開度が検出される。制御回路31においてドア51が全開となったことが検出されると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を停止させるための停止信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42への電圧の印加が停止される。これにより、ドア51の回動が停止される。このとき、電磁クラッチ45の接合力は“大”に維持され、これにより、ドア保持力“大”によりドア51が全開状態に保持される。
2.自動ドア閉動作
ドア51が開いた状態で乗員によって自動閉扉ボタン11bもしくは自動閉扉ボタン12bが押し操作されると、この押し操作が閉扉ボタン操作検出器23もしくは閉扉ボタン操作検出器24によって検出され、閉扉ボタン操作検出器23もしくは閉扉ボタン操作検出器24から制御回路31へ閉扉ボタン操作信号が出力される。制御回路31では、閉扉ボタン操作検出器23もしくは閉扉ボタン検出器24から出力された閉扉ボタン操作信号が検出され、自動でドア51を閉めるための要求操作(以下、自動ドア閉要求操作と言う)が行われたことが検出される。なお、上記自動ドア閉要求操作は、上述の自動閉扉ボタン11b,12bを押し操作することに限られず、内側ドアハンドル13もしくは外側ドアハンドル14を引いた状態で所定開度だけドア51が閉められること等であっても良い。
このようにして、自動ドア閉要求操作が行われると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を駆動させるための駆動信号と、電磁クラッチ45を作動させるための励磁信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42および電磁クラッチ45に所定の電圧が印加される。このとき、電磁クラッチ45に供給される電流量は“大”である。これにより、電磁クラッチ45の接合力が“大”となり、ドア開閉用モータ42が回転する。ドア開閉用モータ42が逆方向に回転すると、回転軸43eおよび出力ギア44hがR2方向へ回転する。出力ギア43hがR2方向へ回転すると、これに伴ってセクター歯車44aがR4方向に回動し、セクター歯車44aおよびリンク部材44bによって押引部材44cに対してH2方向に力が加わりドア51が閉まる。
そして、ドア51が自動で閉まるときに、ドア51の開度がロータリーエンコーダ27によって検出され、制御回路31においてドア51の開度が検出される。制御回路31においてドア51が全閉となったことが検出されると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を停止させるための停止信号と、電磁クラッチ45の作動を停止させるための停止信号が出力され、ドア51の回動が停止される。このとき、ロック部材52とストライカ部材53が係合され、これにより、ドア51が全閉状態に保持される。
3.手動ドア開動作
次に、図5,図6を適宜参照しながらドア51を手動で開ける場合の動作について説明する。本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1では、上記自動ドア開要求操作が行われる以外は、ドア51を手動で開閉可能な状態にある。ドア51が閉じている状態から、内側ドアハンドル13のハンドルレバー13aもしくは外側ドアハンドル14のハンドルレバー14aを引くと、ロック部材52とストライカ部材53の係合が解除され、ドア51がハーフラッチ状態となる。このとき、電磁クラッチ45には電流が供給されず、電磁クラッチ45における接合力は“小”となる。これにより、ドア51の保持力は“小”となるので、乗員は少ない力で容易にドア51を開けることができる。
そして、乗員がドア51を手動で開けると、押引部材44c、リンク部材44bを介してセクター歯車44aがR3方向へ回動し、出力ギア43h、回転軸43e、固定板45c、吸着板45dがR1方向へ回動する。このとき、回転板45bは、ドア開閉用モータ42の停止に伴って停止状態となる。そして、セクター歯車44aの回動に伴ってロータリーエンコーダ27から制御回路31にパルス信号(A相、B相)が出力され、制御回路31においてドア51の開閉方向が検出される(ステップS1)。続いて、制御回路31においてパルス信号(A相、B相)に基づいてドア51の開閉方向が判断される(ステップS2)。
上記ステップS2の処理において、開方向であると判断された場合(ステップS2:YES)には、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開度が検出される(ステップS3)。なお、上記ステップS2の処理において、ドア51が停止していた場合には、一応、ドア51が開方向であると判断し、ステップS3に移行する。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開度が予め定めた基準開度より“小”であるか判断される(ステップS4)。このとき、図6に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α1よりも小さければ、“小”と判断される。そして、このステップS4の処理において、ドア51の開度が“小”ではないと判断された場合(ステップS4:NO)には、後述するステップS9の処理に移行する。
これに対し、ステップS4の処理において、ドア51の開度が“小”であると判断された場合(ステップS4:YES)には、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の開速度が検出される(ステップS5)。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開速度が予め定めた基準開度より“遅い”か否か判断される(ステップS6)。このとき、例えば、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以下であれば、“遅い”と判断され、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以上であれば“速い”と判断される。そして、上記ステップS6の処理において、ドア51の開速度が“遅い”と判断された場合(ステップS6:YES)には、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される(ステップS7)。
ここで、本例では、ドア開閉用モータ42を所定の回転速度で所定の方向にアシスト回転させることにより、電磁クラッチ45における吸着板45dと回転板45bとの回転速度差を小さくし、これによって電磁クラッチ45における接合力を低減させて、ドア51に対する保持力を調節する。このとき、ドア51の開速度が“遅い”ときにドア51に対する保持力が“特小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が設定される。このときのドア開閉用モータ42の回転速度は、吸着板45dの回転速度の方が回転板45bの回転速度よりも若干上回るように設定される。
そして、制御回路31から上記のようにして設定された回転速度に基づく駆動信号が駆動回路32に出力されると、駆動回路32から所定の電圧がドア開閉用モータ42に印加され、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。このようにして、ドア開閉用モータ42が所定の回転速度で所定の方向(正方向)に回転すると、ウォームホイール43dと共に回転板45bがR5方向に回転する。ウォームホイール43dと共に回転板45bがR5方向に回転すると、ドア51の手動開操作に伴って回転する吸着板45dと回転板45bとの回転方向が一致し、さらに吸着板45dと回転板45bとの回転速度差が小さくなる。これにより、電磁クラッチ45における吸着板45dと回転板45bとの接合力が低減され、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される。このように、ドア51の開度が小さい場合には、ドア51に対する保持力が“特小”に設定されるので、乗員は少ない力で容易にドア51を開けることが可能である。
一方、上記ステップS6の処理において、ドア51の開速度が“速い”と判断された場合(ステップS6:NO)にも、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される(ステップS8)。このように、上記ステップS6の処理において、ドア51の開速度が“速い”と判断された場合にも、ドア51に対する保持力を“特小”に設定するのは、ドア51の開度が“小”のときには、ドア51が全開にされるまでの残移動量が多いので、乗員にとっては、ドア51に対する保持力が“特小”である方がドア51の開操作を容易に行うことができるからである。このとき、ドア51の開速度が“速い”場合にドア保持力が“特小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。これにより、電磁クラッチ45における吸着板45dと回転板45bとの接合力が低減され、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される。このようにして、ドア51に対する保持力が“特小”に設定された状態では、ドア51の開度が小さい場合でも、乗員が少ない力で容易にドア51を開けることが可能である。
これに対し、上記ステップS4の処理において、ドア51の開度が“小”ではないと判断された場合(ステップS4:NO)には、ドア51の開度が“中”であるか判断される(ステップS9)。このとき、図6に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α1より大きく基準開度α2より小さければ、“中”と判断され、ドア51の開度が予め定めた基準開度α2より大きく基準開度α3より小さい範囲にあれば、“大”と判断される。そして、このステップS4の処理において、ドア51の開度が“中”ではないと判断された場合(ステップS9:NO)には、ドア51の開度が“大”であると判断され、後述するステップS14の処理に移行する。
一方、ステップS9の処理において、ドア51の開度が“中”であると判断された場合(ステップS9:YES)には、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の開速度が検出される(ステップS10)。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開速度が“遅い”か否か判断される(ステップS11)。このとき、例えば、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以下であれば、“遅い”と判断され、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以上であれば“速い”と判断される。
そして、上記ステップS11の処理において、ドア51の開速度が“遅い”と判断された場合(ステップS11:YES)には、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS12)。このとき、ドア51の開速度が“遅い”場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。一方、上記ステップS11の処理において、ドア51の開速度が“速い”と判断された場合(ステップS11:NO)にも、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS13)。このとき、ドア51の開速度が“速い”場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。
このようにして、ドア51に対する保持力が“小”に設定された状態で、乗員がドア51を手動で開くと、乗員はドア51に弱い操作力を感じることができる。このように、ドア51に適度なドア操作力を作用させることにより、ドア51に全く負荷が掛からない構成に比して、ドア51を手動で開けるときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。また、このときのドア保持力は“小”であるので、依然として、乗員は少ない力で容易にドア51を開けることができる。
これに対し、上記ステップS9の処理において、ドア51の開度が“中”ではないと判断された場合(ステップS9:NO)には、ドア51の開度が“大”であると判断される。このとき、図6に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α2より大きく基準開度α3より小さければ、“大”と判断される。そして、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の開速度が検出される(ステップS14)。続いて、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開速度が“遅い”か否か判断される(ステップS15)。このとき、例えば、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以下であれば、“遅い”と判断され、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以上であれば“速い”と判断される。
そして、上記ステップS15の処理において、ドア51の開速度が“遅い”と判断された場合(ステップS15:YES)には、ドア51に対する保持力が“小”に維持される(ステップS16)。このように、ドア51の開度が“大”となったときで、ドア51の開速度が“遅い”場合には、ドア51に対する保持力が“小”に維持されるので、ドア51に対してブレーキ力が強く作用せず、ドア51を全開位置にまで移動させることが可能である。
これに対し、上記ステップS15の処理において、ドア51の開速度が“速い”と判断された場合(ステップS15:NO)には、ドア51に対する保持力が“大”に設定される(ステップS17)。このとき、ドア51の開速度が“速い”場合にドア保持力が“大”となるように、電磁クラッチ45に所定の電流が供給される。これにより、電磁クラッチ45における接合力が増大してドア保持力が“大”となり、ドア51の移動方向に対するブレーキ力が増大される。従って、ドア51が乗員によって勢い良く開けられても、全開位置の手前でドア51にブレーキ力が作用するので、ドア51の勢いを緩めることができ、これにより、ドア51を全開位置へしずかに移動させることが可能となる。
そして、制御回路31においてドア51の開度がロータリーエンコーダ27からのパルス信号に基づいて検出され(ステップS18)、ドア51が全開となったことが判断される(ステップS19)。このとき、制御回路31においてドア51が全開ではないと判断された場合(ステップS19:NO)には、上記ステップS1の処理に戻り、上記ステップS1〜ステップS19の処理が繰り返し行われる。なお、ドア51が手動で開けられている状態から閉められたときには、ステップS2の処理において閉方向であると判断され(ステップS2:NO)、ステップS21の処理に移行してドア開閉用モータ42が停止される。その後、後述するステップS101の処理に移行する。
一方、制御回路31においてドア51が全開であると判断された場合(ステップS19:YES)には、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を停止させるための停止信号が出力される。これにより、駆動回路32からドア開閉用モータ42への電圧の印加が停止され、ドア開閉用モータ42の回転が停止される。このとき、駆動回路32から電磁クラッチ45へ供給される電流量は“大”にされる。これにより、電磁クラッチ45の接合力は“大”となり、ドア51が保持力“大”により全開状態に保持される(ステップS20)。このように、第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1では、電磁クラッチ45における接合力と、ドア開閉用モータ42の回転速度を調節することにより、ドア51の保持力を“特小”、“小”、“大”に設定することができる。
なお、上記各処理においてドア51を任意の開度で停止させた場合には、ドア51は次のような保持力により保持される。すなわち、ドア51が基準開度α1より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ電流が供給されず、電磁クラッチ45における接合力は“小”となる。これにより、ドア51は保持力“小”により保持される。このように、ドア51が全閉位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア保持力が低減されるので、乗員にとっては少ない操作力でドア51を開けることが可能となる。また、ドア51を閉める場合には、全閉位置までの距離が短くても、乗員にとっては少ない操作力でドア51を閉めることが可能となる。
また、ドア51が基準開度α1より大きく基準開度α2より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ供給される電流量が“小”となり、電磁クラッチ45における接合力は“中”となる。これにより、ドア51は保持力“中”により保持される。これにより、手動開閉時にドア51に適度な操作力(抵抗力)を作用させることが可能となるので、ドア51を手動で開けるときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。
さらに、ドア51が基準開度α2より大きく基準開度α3より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ供給される電流量が“大”となり、電磁クラッチ45における接合力は“大”となる。これにより、ドア51は保持力“大”により保持される。このように、ドア51が全開位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア保持力が増加されるので、ドア51を大きく開いた状態で保持することが可能となる。
このように、本実施形態の車両用ドア開閉装置1は、電磁クラッチ45の接合力が調節されることにより、手動操作時に任意の開度でドア51を保持可能な無段階ドアチェック機能を備える。これにより、乗員がドア51から手を離したときに乗員の意志に反してドア51が勝手に動いてしまうなどの不都合を防止できるので、従来よりも使い勝手を向上させることが可能となる。また、上述のように、ドア51の停止位置に応じてドア51を保持する保持力が最適に制御されるので、従来よりもドア51の開閉時における利便性を向上させることが可能である。
4.手動ドア閉動作
次に、図7,図8を適宜参照しながらドア51を手動で閉める場合の動作について説明する。ドア51が開いている状態から、乗員がドア51を手動で閉めると、押引部材44c、リンク部材44bを介してセクター歯車44aがR4方向へ回動し、出力ギア43h、回転軸43e、固定板45c、吸着板45dがR2方向へ回動する。このとき、セクター歯車44aの回動に伴ってロータリーエンコーダ27から制御回路31にパルス信号(A相、B相)が出力され、制御回路31においてドアの開閉方向が検出される(ステップS101)。続いて、制御回路31においてパルス信号(A相、B相)に基づいてドア51の開閉方向が判断される(ステップS102)。
上記ステップS102の処理において、閉方向であると判断された場合(ステップS102:YES)には、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開度が検出される(ステップS103)。なお、上記ステップS102の処理において、ドア51が停止していた場合には、ドア51が閉方向であると判断しても良い。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の開度が予め定めた基準開度より“大”であるか判断される(ステップS104)。このとき、図8に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α2より大きく基準開度α3より小さい範囲にあれば、“大”と判断される。そして、このステップS104の処理において、ドア51の開度が“大”ではないと判断された場合(ステップS104:NO)には、後述するステップS109の処理に移行する。
これに対し、ステップS104の処理において、ドア51の開度が“大”であると判断された場合(ステップS104:YES)には、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が検出される(ステップS105)。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が“遅い”か否か判断される(ステップS106−1)。このとき、例えば、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた基準以下であれば、“遅い”と判断される。そして、上記ステップS106−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”と判断された場合(ステップS106−1:YES)には、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS107)。
このとき、ドア51の閉速度が“遅い”場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。このようにして、ドア51に対する保持力が“小”に設定された状態で、乗員がドア51を手動で閉めると、乗員はドア51に弱い操作力を感じることができる。このように、ドア51に適度なドア操作力を作用させることにより、ドア51に全く負荷が掛からない構成に比して、ドア51を手動で閉めるときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。また、このときのドア保持力は“小”であるので、乗員は少ない力で容易にドア51を閉めることができる。
一方、上記ステップS106−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”ではない判断された場合(ステップS106−1:NO)には、ドア51の閉速度が“速い”か否か判断される(ステップS106−2)。このとき、例えば、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた第一基準以上第二基準以下であれば、“速い”と判断され、単位時間当りに制御回路31に入力されるパルス信号数が予め定めた第二基準以上であれば“特速”と判断される。そして、ドア51の閉速度が“速い”と判断された場合(ステップS106−2:YES)にも、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS108−1)。このとき、ドア51の閉速度が“速い”場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。
また、上記ステップS106−2の処理において、ドア51の閉速度が“速い”ではない判断された場合(ステップS106−2:NO)には、ドア51の閉速度が“特速”と判断され、この場合にも、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS108−2)。このとき、ドア51の閉速度が“特速”の場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。このようにして、ドア51に対する保持力が“小”に設定された状態では、乗員は少ない力で容易にドア51を閉めることが可能である。
これに対し、上記ステップS104の処理において、ドア51の開度が“大”ではないと判断された場合(ステップS104:NO)には、ドア51の開度が“中”であるか判断される(ステップS109)。このとき、図8に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α1より大きく基準開度α2より小さければ、“中”と判断され、ドア51の開度が予め定めた基準開度α2より大きく基準開度α3より小さい範囲にあれば、“大”と判断される。そして、このステップS104の処理において、ドア51の開度が“中”ではないと判断された場合(ステップS109:NO)には、ドア51の開度が“大”であると判断され、後述するステップS114の処理に移行する。
一方、ステップS109の処理において、ドア51の開度が“中”であると判断された場合(ステップS109:YES)には、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が検出される(ステップS110)。そして、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が“遅い”か否か判断される(ステップS111−1)。そして、上記ステップS111−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”と判断された場合(ステップS111−1:YES)には、ドア51に対する保持力が“小”に維持される(ステップS112)。
このようにして、ドア51に対する保持力が“小”に維持された状態で、乗員がドア51を手動で閉めると、乗員はドア51に弱い操作力を感じることができる。このように、ドア51に適度なドア操作力を作用させることにより、ドア51に全く負荷が掛からない構成に比して、ドア51を手動で閉めるときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。また、このときのドア保持力は“小”であるので、依然として、乗員は少ない力で容易にドア51を閉めることができる。
一方、上記ステップS111−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”ではない判断された場合(ステップS111−1:NO)には、ドア51の閉速度が“速い”か否か判断される(ステップS111−2)。そして、ドア51の閉速度が“速い”と判断された場合(ステップS111−2:YES)には、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される(ステップS113−1)。このように、上記ステップS111−1の処理において、ドア51に対する保持力を“特小”に設定するのは、乗員の手がドア51から離れた場合に、ドア51に作用するブレーキ力を低減させて、ドア51が半ドアになるのを防止するためである。このとき、ドア51の閉速度が“速い”場合にドア保持力が“特小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。
一方、上記ステップS111−2の処理において、ドア51の閉速度が“特速”と判断された場合(ステップS111−2:NO)には、ドア51に対する保持力が“小”に設定される(ステップS113−2)。このように、上記ステップS111−2の処理において、ドア51に対する保持力を“小”に設定するのは、ドア51に対してある程度のブレーキ力を作用させて、ドア51が勢い良く全閉位置に移動することを防止するためである。このとき、ドア51の閉速度が“特速”の場合にドア保持力が“小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。
これに対し、上記ステップS109の処理において、ドア51の開度が“中”ではないと判断された場合(ステップS109:NO)には、ドア51の開度が“小”であると判断される。このとき、図8に示すように、ドア51の開度が予め定めた基準開度α1より小さければ、“小”と判断される。そして、制御回路31においてロータリーエンコーダ27から出力された上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が検出され(ステップS114)、制御回路31において上記パルス信号に基づきドア51の閉速度が“遅い”か否か判断される(ステップS115−1)。
そして、上記ステップS115−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”と判断された場合(ステップS115−1:YES)には、ドア51に対する保持力が“特小”に設定される(ステップS116)。このように、上記ステップS115−1の処理において、ドア51に対する保持力を“特小”に設定するのは、ドア51の勢いが弱い場合に、ドア51が全閉位置にまでたどり着けず、半ドアとなってしまうことを防止するためである。このとき、ドア51の閉速度が“遅い”場合にドア保持力が“特小”となるように、ドア開閉用モータ42の回転速度が調節される。
これに対し、上記ステップS115−1の処理において、ドア51の閉速度が“遅い”ではない判断された場合(ステップS115−1:NO)には、ドア51の閉速度が“速い”か否か判断される(ステップS115−2)。そして、ドア51の閉速度が“速い”と判断された場合(ステップS115−2:YES)には、ドア51に対する保持力が“無し”に設定される(ステップS117−1)。このように、ステップS117−1の処理において、ドア51に対する保持力を“無し”に設定するのは、ドア51の開度が“小”のときにドア51の閉速度が“速い”状態であれば、ドア51が全閉位置に移動するのにちょうど良い条件であるから、そのままの閉速度を保てるようにドア51に対してブレーキ力が作用しないようにするためである。
このとき、ドア51の閉速度が“速い”場合にドア保持力を“無し”に設定するためには、回転板45bの回転に吸着板45dの回転を同期させ、吸着板45dと回転板45bとの回転速度差を無くす必要がある。従って、このときのドア開閉用モータ42の回転速度は、回転板45bの回転が吸着板45dの回転に同期されるように、上記ステップS114にて検出されたドア閉速度に応じて調節される。
一方、上記ステップS115−2の処理において、ドア51の閉速度が“特速”と判断された場合(ステップS115−2:NO)には、ドア51に対する保持力が“大”に設定される(ステップS117−2)。このとき、ドア51の閉速度が“特速”の場合にドア保持力が“大”となるように、電磁クラッチ45に所定の電流が供給される。これにより、電磁クラッチ45における接合力が増大しドア保持力が“大”となり、ドア51の移動方向に対するブレーキ力が増大される。このように、ステップS117−2の処理において、ドア51に対する保持力を“大”に設定するのは、ドア51に対してある程度のブレーキ力を作用させて、ドア51が勢い良く全閉位置に移動することを防止するためである。従って、ドア51が乗員によって勢い良く閉められても、全閉位置の手前でドア51にブレーキ力が作用するので、ドア51の勢いを緩めることができ、これにより、ドア51を全閉位置へしずかに移動させることが可能となる。
そして、制御回路31においてドア51の開度がロータリーエンコーダ27からのパルス信号に基づいて検出され(ステップS118)、ドア51が全閉となったことが判断される(ステップS119)。このとき、制御回路31においてドア51が全閉ではないと判断された場合(ステップS119:NO)には、上記ステップS1の処理に戻り、上記ステップS1〜ステップS19の処理が繰り返し行われる。なお、ドア51が手動で閉められている状態から開けられたときには、ステップS102の処理において開方向であると判断され(ステップS102:NO)、ステップS121の処理に移行してドア開閉用モータ42が停止される。その後、上述のステップS1の処理に移行する。
一方、制御回路31においてドア51が全閉であると判断された場合(ステップS119:YES)には、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を停止させるための停止信号と、電磁クラッチ45の作動を停止させるための停止信号が出力され、ドア51の回動が停止される。このとき、ロック部材52とストライカ部材53が係合され、これにより、ドア51が全閉状態に保持される(ステップS120)。このように、第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1では、電磁クラッチ45における接合力と、ドア開閉用モータ42の回転速度を調節することにより、ドア51の保持力を“無し”、“特小”、“小”、“大”に設定することができる。
なお、上記各処理においてドア51を任意の開度で停止させた場合には、ドア51は次のような保持力により保持される。すなわち、ドア51が基準開度α2より大きく基準開度α3より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ供給される電流量が“大”となり、電磁クラッチ45における接合力は“大”となる。これにより、ドア51は保持力“大”により保持される。このように、ドア51が全開位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア保持力が増加されるので、ドア51を大きく開いた状態で保持することが可能となる。
また、ドア51が基準開度α1より大きく基準開度α2より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ供給される電流量が“小”となり、電磁クラッチ45における接合力は“中”となる。これにより、ドア51は保持力“中”により保持される。これにより、手動開閉時にドア51に適度な操作力(抵抗力)を作用させることが可能となるので、ドア51を手動で閉めるときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。
さらに、ドア51が基準開度α1より小さい範囲で停止された場合には、電磁クラッチ45へ電流が供給されず、電磁クラッチ45における接合力は“小”となる。これにより、ドア51は保持力“小”により保持される。このように、ドア51が全閉位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア保持力が低減されるので、乗員にとっては少ない操作力でドア51を閉めることが可能となる。また、全閉位置までの距離が短くても、乗員にとっては少ない操作力でドア51を閉めることが可能となる。
(第二実施形態)
図9乃至図12は本発明の第二実施形態を示す図で、図9はドア開閉用モータおよび駆動力伝達機構の構成を示す図、図10は図9のB−B線断面図、図11はブレーキの構成を示す図、図12は車両用ドア開閉装置の全体構成を示すブロック図である。
本発明の第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101は、上記第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1に備えられたドア開閉駆動部40の駆動力伝達機構43の代わりに遊星歯車機構からなる駆動力伝達機構143を備えたドア開閉駆動部140を搭載したものである。本発明の第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101において、駆動力伝達機構143以外の構成については、上記第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1と同一であるので、その説明は省略する。
本発明の第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101において、駆動力伝達機構143は、取付板143a、軸受143b、回転軸143c、ウォームホイール143d、内歯歯車143e、太陽歯車143f、中間歯車143g、遊星歯車143h、ブレーキ145、ロータリーダンパ146、不図示のケース等を有して構成されている。取付板143aは、ドア51に固定され、取付板143aの中央には、軸受143bが配設されている。軸受143bには、回転軸143cが回転自在に軸支され、回転軸143cには、ウォームホイール143dが固設されている。
内歯歯車143eは、軸受143iを介して回転軸143cに固定されており、回転軸143cに対して回転自在となっている。内歯歯車143eの内側には、内側ギアが形成されており、この内側ギアには、遊星歯車143hが歯合されている。また、内歯歯車143eの外周には、外側ギアが形成されており、この外側ギアは、後述するブレーキ145に形成されたストッパギア145eに歯合される。太陽歯車143fは、回転軸143cに固設されており、回転軸143cと共に回転する。
中間歯車143gは、軸受143jを介して回転軸143cに固定されており、回転軸143cに対して回転自在となっている。また、中間歯車143gには、上記セクター歯車44aが歯合される。中間歯車143gの裏面には、回転軸143cを中心として周方向にピン143kが配設(3箇所)されており、このピン143kには、軸受143lを介して遊星歯車143h(合計3個)がそれぞれ固定されている。この遊星歯車143hは、太陽歯車143fにそれぞれ歯合されている。
ブレーキ145は、内歯歯車143eの回転を阻止するためのものであり、ブレーキモータ145a、ウォームギア145b、ウォームホイール145c、連結棒145d、ストッパギア145eを有して構成されている。ブレーキモータ145aの出力軸には、ウォームギア145bが配設され、ウォームギア145bにはウォームホイール145cが歯合されている。ウォームホイール145cには、連結棒145dが配設され、連結棒145dには、ストッパギア145eが配設されている。
そして、ブレーキ145は、ブレーキモータ145aによってストッパギア145eをR7方向に移動させ、ストッパギア145eを内歯歯車143eの外側ギアに歯合させることによって、内歯歯車143eの回転を阻止する構成となっている。ロータリーダンパ146は、手動操作時にドア51に対して抵抗感を付与すると共にドア51を任意の開度で保持可能にするためのもので、歯車146aと、回転軸146bと、ダンパ本体146cを有して構成されている。歯車146aは、回転軸146bに固設されると共に、中間歯車143gに歯合されている。ダンパ本体146cは、マグネットダンパにより構成され、供給される電流量に応じて回転軸146bの回転方向に抵抗力を発生する。
ここで、本例のロータリーダンパ146では、供給される電流量が増加することにより回転軸146bに対する抵抗力を増加させることができる。すなわち、供給される電流量が“小”である場合には、抵抗力は“小”となり、供給される電流量が“中”である場合には、抵抗力は“中”となる。また、供給される電流量が“大”である場合には、抵抗力は“大”となる。
なお、制御部30は、上記第一実施形態に係る構成と同一であるが、本発明の第二実施形態では、乗員による手動開閉時に、ブレーキ145を非作動状態として内歯歯車143eの回転を許容すると共に、ドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じて、ドア開閉用モータ42を、太陽歯車143fが中間歯車143gの回転方向と同一方向に回転するようにアシスト回転させる構成である。
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101の動作について説明する。
1.自動ドア開動作
自動開扉ボタン11aもしくは自動開扉ボタン12aが押し操作されることによって自動ドア開要求操作が行われると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を駆動させるための駆動信号と、ブレーキモータ145aを作動させるための駆動信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42およびブレーキモータ145aに所定の電圧が印加される。これにより、ブレーキ145が作動し、ストッパギア145eが内歯歯車143eに歯合されて、内歯歯車143eの回転が阻止される。この状態でドア開閉用モータ42が正方向に回転すると、ウォームホイール143dと共に太陽歯車143fが回転し、遊星歯車143hが太陽歯車143fの回りを遊星回転運動する。
このようにして、遊星歯車143hが太陽歯車143fの回りを遊星回転運動すると、中間歯車143gがR8方向へ回転する。中間歯車143gがR8方向へ回転すると、これに伴ってセクター歯車44aがR3方向に回動し、セクター歯車44aおよびリンク部材44bによって押引部材44cに対してH1方向に力が加わってドア51が開く。そして、制御回路31においてドア51が全開となったことが検出されると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を停止させるための停止信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42への電圧の印加が停止される。これにより、ドア51の回動が停止され、ドア51が全開状態に保持される。
2.自動ドア閉動作
自動閉扉ボタン11bもしくは自動閉扉ボタン12bが押し操作されると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42を駆動させるための駆動信号と、ブレーキモータ145aを作動させるための駆動信号が出力され、駆動回路32からドア開閉用モータ42およびブレーキモータ145aに所定の電圧が印加される。これにより、ブレーキ145が作動し、ドア開閉用モータ42の逆方向に伴ってウォームホイール143dと共に太陽歯車143fが上記と逆方向に回転し、遊星歯車143hが太陽歯車143fの回りを上記と逆方向に遊星回転運動する。
このようにして、遊星歯車143hが太陽歯車143fの回りを遊星回転運動すると、中間歯車がR9方向へ回転する。中間歯車がR9方向へ回転すると、これに伴ってセクター歯車44aがR4方向に回動し、セクター歯車44aおよびリンク部材44bによって押引部材44cに対してH2方向に力が加わってドア51が閉まる。そして、制御回路31においてドア51が全閉となったことが検出されると、制御回路31から駆動回路32へドア開閉用モータ42およびブレーキモータ145aを停止させるための停止信号が出力され、ドア51の回動が停止される。このとき、ロック部材52とストライカ部材53が係合され、これにより、ドア51が全閉状態に保持される。
3.手動ドア開動作
本実施形態に係る車両用ドア開閉装置101では、上記自動ドア開要求操作が行われる以外は、ドア51を手動で開閉可能な状態にある。すなわち、ブレーキ145は非作動状態にあり、これにより、内歯歯車143eの回転が許容され、ドア開閉用モータ42によって回転される太陽歯車143fとドア開閉機構44に接続される中間歯車143gとの接続状態が解除される。このとき、ロータリーダンパ146の抵抗力により、乗員がドア51を開けようとすると乗員はドア51に適度な抵抗感を感じることができる。また、ロータリーダンパ146の抵抗力により、手動操作の際においてドア51を途中で離したときには、その任意の開度でドア51が保持される。
そして、乗員がドア51を手動で開けると、押引部材44c、リンク部材44bを介してセクター歯車44aがR3方向へ回動し、中間歯車143gがR8方向へ回動する。このとき、ドア開閉用モータ42を所定の方向(正方向)にアシスト回転させると、ドア51の手動開操作に伴って回転する中間歯車143gの回転方向(遊星歯車143hの遊星回転運動方向)と太陽歯車143fの回転方向が一致し、これによって、中間歯車143gに作用するロータリーダンパ146の抵抗力とドア開閉用モータ42の回転力が相殺され、結果として、中間歯車143gに作用するロータリーダンパ146の抵抗力が低減される。このように、第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101では、上記第一実施形態と同様に、ロータリーダンパ146の抵抗力と、ドア開閉用モータ42の回転速度を調節することにより、ドア51の保持力を“特小”、“小”、“大”に設定することができる。なお、第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101の手動開動作については、上記第一実施形態と同様であるので(図5,図6参照)、その説明は省略する。
4.手動ドア閉動作
乗員が手動でドア51を閉めようとすると、ロータリーダンパ146の抵抗力により、乗員はドア51に適度な抵抗感を感じることができる。また、ロータリーダンパ146の抵抗力により、手動操作の際においてドア51を途中で離したときには、その任意の開度でドア51が保持される。そして、ドア51が開いている状態から、乗員がドア51を手動で閉めると、押引部材44c、リンク部材44bを介してセクター歯車44aがR4方向へ回動し、中間歯車がR9方向へ回動する。
このとき、ドア開閉用モータ42を所定の方向(逆方向)にアシスト回転させると、ドア51の手動開操作に伴って回転する中間歯車143gの回転方向(遊星歯車143hの遊星回転運動方向)と太陽歯車143fの回転方向が一致し、これによって、中間歯車143gに作用するロータリーダンパ146の抵抗力とドア開閉用モータ42の回転力が相殺され、結果として、中間歯車143gに作用するロータリーダンパ146の抵抗力が低減される。このように、第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101では、上記第一実施形態と同様に、ロータリーダンパ146の抵抗力と、ドア開閉用モータ42の回転速度を調節することにより、ドア51の保持力を“無し”“特小”、“小”、“大”に設定することができる。なお、第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101の手動閉動作については、上記第一実施形態と同様であるので(図7,図8参照)、その説明は省略する。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、ドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じてドア開閉駆動部40(140)のドア保持力を制御するように構成されているので、手動開閉時にドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じたきめ細かいドア保持力の制御が可能となる。従って、例えば、ドア51が勢い良く押されて(引かれて)開けられた場合でも、当該ドア51の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を増加させることにより、ドア51を全開位置へしずかに移動させることが可能となる。同様に、ドア51が勢い良く押されて(引かれて)閉められた場合でも、当該ドア51の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を増加させることにより、ドア51を全閉位置へしずかに移動させることが可能となる。
(ロ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、ドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じてドア開閉駆動部40(140)のドア保持力を制御するように構成されているので、例えば、ドア51がゆっくりと押されて(引かれて)開けられた場合においても、当該ドア51の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を低減させることにより、ドア51を全開位置へ確実に移動させることが可能である。同様に、ドア51がゆっくりと押されて(引かれて)閉められた場合においても、当該ドア51の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、これに応じて保持力を低減させることにより、回動体を全閉位置へ確実に移動させることが可能である。
(ハ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、ドア開閉駆動部40(140)は、乗員による手動開閉時にドア保持力を発生しドア51を任意の開度で保持可能に構成されているので、手動開閉時にドア51を停止させたときには、その任意の開度でドア51を保持することが可能となる(すなわち手動開閉時に無段階ドアチェック機能を付与できる)。これにより、乗員がドア51から手を離したときに乗員の意志に反してドア51が勝手に動いてしまうなどの不都合を防止できるので、従来よりも使い勝手を向上させることが可能となる。さらに、手動開閉時にドア51の開閉方向、開度、開閉速度に応じてドア保持力を制御することにより、手動開閉時にドア51に適度な操作力(抵抗力)を作用させることが可能となるので、ドア51を手動で開閉するときにおける重厚感、高級感を向上させることが可能となる。
(ニ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、例えば、ドア51が全閉位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が低減されるので、乗員にとっては少ない操作力でドア51を開けることが可能となる。また、ドア51を閉める場合には、全閉位置までの距離が短くても、乗員にとっては少ない操作力でドア51を閉めることが可能となる。さらに、上記構成によれば、例えば、ドア51が全開位置側にあるときにドア51が停止した場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が増加されるので、ドア51を大きく開いた状態で保持することが可能となる。このように、ドア51の停止位置に応じてドア51を保持する保持力が最適に制御されるので、従来よりもドア51の開閉時における利便性を向上させることが可能である。
(ホ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、例えば、ドア51の開方向への回動によりドア51が全開位置側に移動したときにドア51の開速度が予め定めた基準速度よりも高い場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が増加されるので、ドア51に作用するブレーキ力を増加させることが可能となる。従って、ドア51が勢い良く押されて(引かれて)開けられた場合でも、ドア51を全開位置へしずかに移動させることが可能となる。
(ヘ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、例えば、ドア51の開方向への回動によりドア51が全開位置側に移動したときにドア51の開速度が予め定めた基準速度よりも低い場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が低減されるので、ドア51に作用するブレーキ力を低減させることが可能となる。従って、ドア51がゆっくりと押されて(引かれて)開けられた場合でも、ドア51を全開位置へ確実に移動させることが可能となる。
(ト)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、例えば、ドア51の閉方向への回動によりドア51が全閉位置側に移動したときにドア51の閉速度が予め定めた基準速度よりも高い場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が増加されるので、ドア51に作用するブレーキ力を増加させることが可能となる。従って、ドア51が勢い良く押されて(引かれて)閉められた場合でも、ドア51を全閉位置へしずかに移動させることが可能となる。
(チ)本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1(101)によれば、例えば、ドア51の閉方向への回動によりドア51が全閉位置側に移動したときにドア51の閉速度が予め定めた基準速度よりも低い場合には、ドア開閉駆動部40(140)の保持力が低減されるので、ドア51に作用するブレーキ力を低減させることが可能となる。従って、ドア51がゆっくりと押されて(引かれて)閉められた場合でも、ドア51を全閉位置へ確実に移動させることが可能となる。
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。
(1)上記実施形態に係る車両用ドア開閉装置1では、手動開閉時にドア51を任意の開度で保持可能であった(すなわち無段階ドアチェック機能を備えていた)が、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、ドア開閉用モータ42を断続的に制御することより、段階的ドアチェック機能を付与しても良い。このとき、ドア開閉用モータ42を制御することにより、1段階、2段階、3段階等に自在に設定ことが可能である。また、ドアチェックする開度も自由に設定することが可能である。
(2)上記第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置1では、手動開閉時にドア開閉用モータ42を回転制御することにより、ドア保持力を低減させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、手動開閉時にドア開閉用モータ42を回転制御する代わりに、電磁石45aの磁力を制御することのみにより、ドア保持力が制御される構成であっても良い。
(3)上記第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101では、手動開閉時にドア開閉用モータ42を回転制御することにより、ドア保持力を低減させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、手動開閉時にドア開閉用モータ42を回転制御する代わりに、ロータリーダンパ146の磁力を制御することのみにより、ドア保持力が制御される構成であっても良い。
(4)上記第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置101では、駆動力伝達機構143に遊星歯車機構が用いられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他にも、差動ギア機構が用いられていても良い。
(5)上記実施形態では、回転体がフロントドアであるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他にも、回転体はリアドア、バックドア、トランクリッドであっても良い。
本実施形態に係る車両用ドア開閉装置の構成を示す図である。 本発明の第一実施形態に係るドア開閉用モータおよび駆動力伝達機構の構成を示す図である。 図2のA−A線断面図である。 本発明の第一実施形態に係る車両用ドア開閉装置の全体構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る車両用ドア開閉装置の動作(ドア自動開動作)の流れを説明する図である。 本実施形態に係るドアの開度を説明する図(ドア手動開操作時)である。 本実施形態に係る車両用ドア開閉装置の動作(ドア自動閉動作)の流れを説明する図である。 本実施形態に係るドアの開度を説明する図(ドア手動閉操作時)である。 本発明の第二実施形態に係るドア開閉用モータおよび駆動力伝達機構の構成を示す図である。 図9のB−B線断面図である。 本発明の第二実施形態に係るブレーキの構成を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用ドア開閉装置の全体構成を示すブロック図である。
符号の説明
1,101 車両用ドア開閉装置、10 操作部、11 内側操作ボタン、11a,12a 自動開扉ボタン、11b,12b 自動閉扉ボタン、12 外側操作ボタン、13 内側ドアハンドル、13a,14a ハンドルレバー、14 外側ドアハンドル、20 検出部、21,22 開扉ボタン操作検出器、23,24 閉扉ボタン操作検出器、25,26 ドアハンドル操作検出器、27 ロータリーエンコーダ(開閉状況検出手段)、30 制御部(制御手段)、31 制御回路、32 駆動回路、40,140 ドア開閉駆動部(開閉駆動手段)、41 ドアロック解除用モータ、42 ドア開閉用モータ、42a 回転軸、42b ウォームギア、43 駆動力伝達機構、43a 取付板、43b 軸受、43c 回転軸、43d ウォームホイール、43e 回転軸、43f ケース、43g 軸受、43h 出力ギア、44 ドア開閉機構、44a セクター歯車、44b リンク部材、44c 押引部材、44d,44e 自在継手、44f 円弧部、44g 回動軸、44h 出力ギア、45 磁クラッチ、45a 電磁石、45b 回転板、45c 固定板、45d 吸着板、45e バネ、45f ヨーク、45g コイル、50 車両、51 ドア、51a 空間部、52 ロック部材、53 ストライカ部材、54 ヒンジ機構、55,56 ドアヒンジ、143 駆動力伝達機構、143a 取付板、143b 軸受、143c 回転軸、143d ウォームホイール、143e 内歯歯車、143f 太陽歯車、143g 中間歯車、143h 遊星歯車、143i 軸受、143j 軸受、143k ピン、143l 軸受、145 ブレーキ、145a ブレーキモータ、145b ウォームギア、145c ウォームホイール、145d 連結棒、145e ストッパギア、146 ロータリーダンパ、146a 歯車、146b 回転軸、146c ダンパ本体

Claims (5)

  1. 車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、
    自動開閉時に前記開閉体に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段と、
    該開閉駆動手段を制御する制御手段と、
    前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段へ出力する開閉状況検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段の保持力を制御し、前記開閉体の開方向への回動により前記開閉体の開度が予め定めた基準開度を上回ったときに当該開閉体の開速度が予め定めた基準速度よりも高いと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を増加させることを特徴とする車両用開閉体開閉装置。
  2. 車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、
    自動開閉時に前記開閉体に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段と、
    該開閉駆動手段を制御する制御手段と、
    前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段へ出力する開閉状況検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段の保持力を制御し、前記開閉体の開方向への回動により前記開閉体の開度が予め定めた基準開度を上回ったときに当該開閉体の開速度が予め定めた基準速度よりも低いと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を低減させることを特徴とする車両用開閉体開閉装置。
  3. 車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、
    自動開閉時に前記開閉体に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段と、
    該開閉駆動手段を制御する制御手段と、
    前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段へ出力する開閉状況検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段の保持力を制御し、前記開閉体の閉方向への回動により前記開閉体の開度が予め定めた基準開度を下回ったときに当該開閉体の閉速度が予め定めた基準速度よりも高いと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を増加させることを特徴とする車両用開閉体開閉装置。
  4. 車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、
    自動開閉時に前記開閉体に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段と、
    該開閉駆動手段を制御する制御手段と、
    前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段へ出力する開閉状況検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段の保持力を制御し、前記開閉体の閉方向への回動により前記開閉体の開度が予め定めた基準開度を下回ったときに当該開閉体の閉速度が予め定めた基準速度よりも低いと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を低減させることを特徴とする車両用開閉体開閉装置。
  5. 車体に対して回動可能な開閉体を自動と手動とに切り替えて開閉させる車両用開閉体開閉装置において、
    自動開閉時に前記開閉体に対して開閉力を付与すると共に、乗員による手動開閉時に保持力を発生し前記開閉体を任意の開度で保持可能な開閉駆動手段と、
    該開閉駆動手段を制御する制御手段と、
    前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出し、当該開閉状況に応じたドア開閉状況検出信号を前記制御手段へ出力する開閉状況検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、乗員による手動開閉時に、前記開閉状況検出手段から出力された開閉状況検出信号に基づいて前記開閉体の開閉方向、開度、開閉速度を検出すると共に、当該開閉体の開閉方向、開度、開閉速度に応じて前記開閉駆動手段の保持力を制御し、前記開閉体の開度が予め定めた基準開度よりも小さいときに当該開閉体が停止したと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を低減させ、前記開閉体の開度が予め定めた基準開度よりも大きいときに当該開閉体が停止したと判断した場合には、前記開閉駆動手段の保持力を増加させることを特徴とする車両用開閉体開閉装置。
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