JP4503154B2 - 描画データ作成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジストが塗布された半導体ウェーハなどの露光対象物に描画されるパターンのデータ作成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の描画パターンデータ作成手順を示す概略フローチャートである。
【0003】
(S1)レイアウトが完成していなければステップS2へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0004】
(S2)画面上で描画パターンの図形を追加、変更又は修正することにより、描画パターンデータファイル10内の図形データを編集し、ステップS1へ戻る。
【0005】
図7は、描画パターンデータファイル10に基づいて露光処理を行う場合の概略工程図である。
【0006】
(S3)描画パターンデータファイル10内から、1ショットでブロック露光を行う図形を切り出し、この図形の繰り返し回数を調べ、繰り返し回数の多い順に所定数、ブロック露光パターンとしてマスクパターンデータファイル11に登録し、さらに、描画パターンデータファイル10及びマスクパターンデータファイル11に基づいて、レジストが塗布されたウェーハ上に描画パターンを露光するための電子ビーム露光装置用走査制御データファイル12を作成する。
【0007】
マスクパターンデータファイル11に基づいてマスクブランクを露光し、さらに現像することにより、ステンシルマスク13を作製する。
【0008】
ステンシルマスク13を電子ビーム露光装置に取り付け、この装置に走査制御データファイル12を読み込ませて、レジストが塗布されたウェーハ上に描画パターンを露光する。
【0009】
図8は、簡単な描画パターンを用いた、図7の処理説明図である。
【0010】
描画パターンデータファイル10内のパターンP1に対応したパターンQ1が、ステンシルマスク13上に形成される。パターンQ1は、パターンP1の領域A1〜A4にそれぞれ対応した領域B1〜B4に、ショット上分割される。そして、領域B1〜B4の順に電子ビームが走査され、それぞれ半導体ウェーハ14上の領域C1〜C4に対しショットが行われて、パターンP1に対応した露光パターンR1が露光される。
【0011】
図7の走査制御データファイル12は、領域B1〜B4の各々の位置及び範囲のデータと、領域B1〜B4の各々に電子ビームを照射するときの半導体ウェーハ14上でのショット位置データと、領域B1〜B4の走査順のデータとを含んでいる。
【0012】
図8では、ステンシルマスク13上の領域B1〜B4がそれぞれ1回しか使用されないので、パターンの利用効率が悪く、ステンシルマスク13のサイズが大きくなる原因となる。このサイズは、露光パターンの精度上、制限される。
【0013】
そこで、パターンの利用効率を向上させてステンシルマスク13のサイズを小さくするために、例えば図9に示すようなパターンQ2が形成されたステンシルマスク13Aが作製される。パターンQ2は、次のような図形処理により形成される。すなわち、描画パターンデータファイル10上のパターンP1を、互いに共通部分を有する領域A5及びA6と、互いに共通部分を有する領域A7及びA8とに分割し、領域A5とA6の論理和図形と、領域A7とA8の論理和図形とを組み合わせることにより、パターンQ2が形成される。
【0014】
パターンP1の領域A5〜A8はそれぞれ、パターンQ2の領域B5〜B8に対応している。パターンQ2の領域B5〜B8でそれぞれ露光パターンR1の領域C5〜C8が露光される。
【0015】
パターンQ2が部分的に複数回使用されるので、このデータは、パターンP1のデータを圧縮した形になっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような図形処理を自動的に行うことにより圧縮率の高いステンシルマスク13Aを得ることは困難である。
【0017】
このため、露光パターンを得るのに必要なステンシルマスクの面積が増えたり、ステンシルマスクの枚数が増えたりして、マスク作製コストが増大すると共に、電子ビーム走査時間やマスク交換時間が増大し、露光のスループットが低下する原因となる。また、図7のステップS3の処理結果が不満足である場合に、描画パターンデータファイル10内の図形を修正したりステップS3のアルゴリズムを変更したりする必要があるので、作業効率が悪くなる。
【0018】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、圧縮率の高いマスクパターンデータを作成して露光のスループットを向上させることが可能な描画データ作成方法及び装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段及びその作用効果】
本発明は、マスクパターンデータからブロック露光用図形データを抽出し、該図形データを参照して描画パターンデータを作成する描画データ作成方法であって、
抽出されたブロック露光用図形の領域のマスク上の位置及び範囲を示す参照データと、描画対象物上に配置される該ブロック露光用図形の位置データとに基づいて、該描画パターンデータを作成する。
【0020】
この描画データ作成方法によれば、予めマスクパターンの全部又は一部が作成され、このパターンから図形が抽出され、この抽出図形を参照して描画パターンが作成されるので、圧縮率の高いパターンをマスク上に形成することができ、これにより、従来よりもマスク上のパターン面積が減少し又はマスクの枚数が少なくなって、露光の走査時間またはマスクの取替時間が短縮され、露光のスループットが向上する。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。複数の図中の対応する同一又は類似の構成要素には、同一又は類似の符号を付している。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態の描画データ作成装置のハードウエア構成を示す概略ブロック図である。
【0024】
この描画データ作成装置は、コンピュータ本体20に、外部記憶装置21、入力装置22及び表示装置23が接続されたコンピュータシステムである。外部記憶装置21には、描画パターンデータファイル10A、マスクパターンデータファイル11A、走査制御データファイル12及びマスク用蓄積図形データファイル15が格納される。表示装置23には、第1のウインドウ内にマスクパターンが表示され、第2のウインドウ内に描画パターンが表示される。以下、これらが表示されたウインドをそれぞれマスクパターンウインド及び描画パターンウインドと称す。
【0025】
設計者は、描画パターンデータ作成前に、表示装置23の表示を見ながら入力装置22を操作して、マスク用として過去に使用され蓄積されている図形のデータファイル15内から図形を選択し、又は、新たな図形をマスク用として作成する。コンピュータ本体20は、この選択され又は作成された図形のデータをマスクパターンデータファイル11Aに登録する。設計者は、レイアウト設計中においても必要に応じこのような処理を行うことにより、コンピュータ本体20を介しマスクパターンデータファイル11A内に図形データを追加登録する。
【0026】
図2は、描画パターンデータファイル10A及びマスクパターンデータファイル11Aの作成手順を示す概略フローチャートである。
【0027】
(S10)描画パターンのレイアウトが完成していなければステップS11へ進む。
【0028】
(S11)レイアウト設計で使用したい図形がマスクパターンデータファイル11A内に有ればステップS12へ進み、無ければステップS13へ進む。
【0029】
(S12)例えば図4において、マスクパターンデータファイル11A内のパターンQ2が表示装置23に表示されている。設計者は、マスクパターンウインド内で例えば領域D5をブロック露光用として設定することによりその始点位置S1及び範囲(X方向幅及びY方向幅)を参照データとして指定し、描画パターンウインド内にこの領域D5を配置することにより半導体ウェーハ14上の位置データを指定する。コンピュータ本体20により、これら参照データ及び位置データが描画パターンの図形データとして描画パターンデータファイル10A内に追加される。次に、ステップS10へ戻る。
【0030】
(S13)設計者は、入力装置22を操作して、上述のように蓄積図形データファイル15内の図形を選択し又は新たな図形をマスク用として作成し、これをマスクパターンウインド内に配置する。コンピュータ本体20は、この配置された図形のデータをマスクパターンデータファイル11Aに登録する。次にステップS11へ戻る。
【0031】
このような処理により、描画パターンデータファイル10A及びマスクパターンデータファイル11Aが完成する。
【0032】
完成したマスクパターンデータファイル11A内のデータは、蓄積図形データファイル内に格納される。
【0033】
図3は、描画パターンデータファイル10A及びマスクパターンデータファイル11Aに基づいて露光処理を行う場合の概略工程図である。
【0034】
ステンシルマスク13は、マスクパターンデータファイル11Aに基づいて作製される。
【0035】
上述のように、描画パターンデータファイル10Aにはステンシルマスク13上に設定された領域の位置及び範囲を示す参照データと半導体ウェーハ14上の位置データとが含まれている。図1のコンピュータ本体20は、このファイルとマスクパターンデータファイル11Aとを参照して、露光処理時間が最小になるように各ショットの順番を定めることにより、走査制御データファイル12を作成する。
【0036】
なお、設計者による描画パターンのショット図形配置順にショットの順番を定めてもよく、この場合には、描画パターンデータファイル10Aが完成したときに走査制御データファイル12も完成する。
【0037】
ステンシルマスク13を電子ビーム露光装置に取り付け、走査制御データファイル12をこの装置に読み込ませることにより、半導体ウェーハ14上に描画パターンの露光が行われる。
【0038】
図4では、図9の処理と対比して図2及び図3の処理をイメージで説明するために、図9のパターンQ2と同じパターンが形成されたステンシルマスク13Aを用いた場合を説明している。従来法では図9のようなパターンQ2を自動作成するのは困難であるが、本実施形態によればこれが比較的容易に手動作成される。
【0039】
まず、マスクパターンデータファイル11AにパターンQ2が登録される。次に、パターンQ2の領域D5〜D8をそれぞれ描画パターンウインド内の領域A5〜A8に配置することにより、描画パターンデータファイル10Aが作成される。ステンシルマスク13は、マスクパターンデータファイル11Aに基づいて作製される。半導体ウェーハ14上の露光パターンR1は、ステンシルマスク13上の領域B5〜B8の各々で成形した電子ビームを半導体ウェーハ14上のショット領域C5〜C8に照射させることにより得られる。
【0040】
各領域のエッジがパターンエッジより少し外側になっている理由は、電子ビームのエネルギーがほぼガウシアン分布であるのでそのエッジ部分をステンシルマスク13で遮断することにより、露光量プロファイルのエッジを急峻にして描画パターン精度を向上させるためである。
【0041】
図5は、従来技術では得られない本実施形態特有のマスクパターンデータファイル11Bを用いて描画パターンデータファイル10Bを作成する場合の、図2及び図3の処理のイメージ説明図である。
【0042】
まず、マスクパターンデータファイル11BにパターンQ3及びQ4が登録される。次に、パターンQ3の領域D10〜D13及びパターンQ4の領域D14をそれぞれ描画パターンウインド内の領域A10〜A14に配置することにより、描画パターンデータファイル10Bが作成される。なお、パターンQ4は、描画パターン設計中に追加登録してもよい。ステンシルマスク13は、マスクパターンデータファイル11Bに基づいて作製される。半導体ウェーハ14上の露光パターンR1は、上記同様にして得られる。
本実施形態によれば、マスクパターンデータファイル11B内の図形データを参照して描画パターンデータファイル10Bが上述のように作成されるので、圧縮率の高いパターンをステンシルマスク13上に形成することができ、これにより、従来よりもステンシルマスク上のパターン面積が減少し又はステンシルマスクの枚数が少なくなって、露光の走査時間またはステンシルマスクの取替時間が短縮され、露光のスループットが向上する。
【0043】
本実施形態は、手動設計であるので、メモリなどのようにショット図形の繰り返し数が多い場合に特に有効である。
【0044】
なお、本発明には外にも種々の変形例が含まれる。
【0045】
例えば、マスクパターンデータファイル11A内に上述の領域の位置及び範囲を示す被参照データをその識別コードと共に含ませておき、この識別コードを上記参照データとして描画パターンデータファイル10Aに含ませてもよい。また、これらファイルを1つに纏めてもよい。
【0046】
さらに、描画すべきパターンをモジュールに分割し、モジュール毎に本実施形態を適用するか従来法を適用するかを選択してもよい。
【0047】
また、描画パターンデータファイル10Aの作成において、設計済みの描画パターンブロックを単位として繰り返し配置したり、これをさらに別の位置に配置したり、階層構造化してもよい。
【0048】
ステップS12で設定及び指定される領域は、露光装置で実現可能な、ステンシルマスクに入射させるビーム形状であればよく、矩形以外であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の描画データ作成装置のハードウエア構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1中の描画パターンデータファイル10A及びマスクパターンデータファイル11Aの作成手順を示す概略フローチャートである。
【図3】図2中の描画パターンデータファイル10A及びマスクパターンデータファイル11Aに基づいて露光処理を行う場合の概略工程図である。
【図4】図2及び図3の処理のイメージ説明図である。
【図5】図2及び図3の処理の他のイメージ説明図である。
【図6】従来の描画パターンデータ作成手順を示す概略フローチャートである。
【図7】従来の、図6中の描画パターンデータファイル10に基づいて露光処理を行う場合の概略工程図である。
【図8】簡単な描画パターンを用いた、図7の処理のイメージ説明図である。
【図9】簡単な描画パターンを用いた、図7の処理の他のイメージ説明図である。
【符号の説明】
10、10A、10B 描画パターンデータファイル
11、11A、11B マスクパターンデータファイル
12 走査制御データファイル
13 ステンシルマスク
14 半導体ウェーハ
15 蓄積図形データファイル
20 コンピュータ本体
21 外部記憶装置
22 入力装置
23 表示装置
P1〜P3、Q1〜Q4 パターン
R1 露光パターン
A1〜A8、A10〜A14、B1〜B8、C1〜C8、D5〜D8、D10〜D14 領域
Claims (4)
- コンピュータが、入力装置からの対話的指示に基づいて、マスクパターンデータからブロック露光用図形データを抽出し、該図形データを参照して描画パターンデータを作成する描画データ作成方法であって、該コンピュータが、
該描画パターンデータの作成前に該入力装置を介し指示されたことに応じて、マスク用として過去に使用され蓄積されている図形データを記憶装置に登録しておき、
該入力装置を介した指示入力に応じて、該記憶装置から該マスクパターンデータ及び該描画パターンデータの対応する部分を読み出して表示装置にマスクパターン及び描画パターンを表示させ、
該入力装置を介して該マスクパターンの表示画面上で指定された、該マスクパターンの一部領域であるブロック露光用図形のマスクパターン配置面上の位置及び範囲を示す参照データと、該入力装置を介して該描画パターンの表示画面上で指定された、この一部領域の描画パターン配置面上の位置を示すデータとに基づいて、該参照データ及び該位置を示すデータを新たな描画パターンデータとして、該記憶装置内の描画パターンデータに追加し、
該描画パターンデータの作成中に該入力装置を介し指示されたことに応じて、作成したブロック露光用図形を該マスクパターンの一部として該記憶装置に追加登録する、
ことを特徴とする描画データ作成装置。 - 上記コンピュータが、上記マスクパターンデータ内に、上記領域のマスク上の位置及び範囲を示す被参照データをその識別コードと共に含ませ、
上記参照データは該識別コードである、
ことを特徴とする請求項1記載の描画データ作成方法。 - マスクパターンデータからブロック露光用図形データを抽出し、該図形データを参照して描画パターンデータを作成する描画データ作成装置であって、
該マスクパターンデータ及び該描画パターンデータ並びにプログラムが格納される記憶装置と、
表示装置と、
入力装置と、
プロセッサとを有し、該プログラムはプロセッサに対し、
該描画パターンデータの作成前に該入力装置を介し指示されたことに応じて、マスク用として過去に使用され蓄積されている図形データを該記憶装置に登録させ、
該入力装置を介した指示入力に応じて、該記憶装置から該マスクパターンデータ及び該描画パターンデータの対応する部分を読み出させて該表示装置にマスクパターン及び描画パターンを表示させ、
該入力装置を介して該マスクパターンの表示画面上で指定された、該マスクパターンの一部領域であるブロック露光用図形のマスクパターン配置面上の位置及び範囲を示す参照データと、該入力装置を介して該描画パターンの表示画面上で指定された、この一部領域の描画パターン配置面上の位置を示すデータとに基づいて、該参照データ及び該位置を示すデータを新たな描画パターンデータとして、該記憶装置内の描画パターンデータに追加させ、
該描画パターンデータの作成中に該入力装置を介し指示されたことに応じて、作成したブロック露光用図形を該マスクパターンの一部として該記憶装置に追加登録させる、
ことを特徴とする描画データ作成装置。 - コンピュータに対し、入力装置からの指示に基づいて、マスクパターンデータからブロック露光用図形データを抽出させ、該図形データを参照させて描画パターンデータを作成させるプログラムが格納された記録媒体であって、該プログラムは、コンピュータに対し、
該描画パターンデータの作成前に該入力装置を介し指示されたことに応じて、マスク用として過去に使用され蓄積されている図形データを記憶装置に登録させ、
該入力装置を介した指示入力に応じて、該記憶装置から該マスクパターンデータ及び該描画パターンデータの対応する部分を読み出させて表示装置にマスクパターン及び描画パターンを表示させ、
該入力装置を介して該マスクパターンの表示画面上で指定された、該マスクパターンの一部領域であるブロック露光用図形のマスクパターン配置面上の位置及び範囲を示す参照データと、該入力装置を介して該描画パターンの表示画面上で指定された、この一部領域の描画パターン配置面上の位置を示すデータとに基づいて、該参照データ及び該位置を示すデータを新たな描画パターンデータとして、該記憶装置内の描画パターンデータに追加させ、
該描画パターンデータの作成中に該入力装置を介し指示されたことに応じて、作成したブロック露光用図形を該マスクパターンの一部として該記憶装置に追加登録させる、
ことを特徴とする記録媒体。
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