JP4502443B2 - 対象物を連続処理する方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエーハの半導体ウエーハ等の扁平な処理すべき対象物の、特に表面処理等のために、処理装置内において該対象物を連続処理する方法に関する。ここにおいて、該対象物は直線的往復運動を行わせる第1の搬送装置によって、該処理装置を通して配置された搬送路に沿って移動させられるとともに該対象物は受渡し装置を介して該搬送路上に受渡し、あるいは該搬送路から取り出される。更に、本発明は、シリコンウエーハの半導体ウエーハ等の扁平な処理すべき対象物であって支持体上に配置された対象物の表面処理等の連続処理を行う装置であって、処理装置を通して配置された搬送路と、該支持体を該搬送路上に受渡し、あるいは該搬送路から取り出すための受渡し装置とを有する装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
処理すべき対象物の表面処理は工業技術の多くの領域において種々の製品を製造する上で不可欠の要件である。特に、薄い表面層を有する対象物のコーティング等の処理は、所望の製品品質を維持し耐久性を保証するために、広く普及している。例えば、摩耗を減少させるためにスチール工具の表面に薄い耐摩耗性層をコーティングで形成したり、あるいは、反射効果を減少させるために薄い光学的にアクティブな層をメガネ用ガラス表面にコーティングで形成する場合である。光電池産業においては、太陽電池に、例えば厚さ80mmの薄い表面層を形成する。これによって、種々の物理的効果に基づいて、太陽電池のエネルギ効率は30%程度にまで向上する。
【0003】
上記のようなコーティング層の形成等の処理は、一部においては、大気圧状態で行われるが、多くの場合、負圧状態で行われる。この場合の負圧は、例えば処理対象物の表面全体にわたってコーティング層が十分に均一になるようにするために必要である。又、一定の付着(デポジション)技術もしばしば負圧状態において可能となる。公知のコーティング処理として、低圧化学蒸着が挙げられる。この場合、表面層はプラズマ励起の形態で熱的又は電気的に活性化するガスの反応によって成長する。
【0004】
移動する対象物上に連続したコーティング処理を施すことは、層の薄板状の均一性を改善するために行われる。ここにおいて、コーティング装置によって1つの次元において、すなわち、対象物の搬送方向に対して横方向について均一に付着していれば十分である。これに対して、静止状態におかれた対象物のコーティング処理の場合には、対象物の全表面にわたって2次元の均一な付着が必要である。従って、技術的に、より多くの出費をもたらす。
【0005】
コーティング処理のための供給源に対して、連続処理に必要な対象物の一定の運動は搬送機構により行われる。この機構により、コーティング処理すべき対象物自体が直接動かされるか、あるいはその対象物を支持するワークピース支持体が動かされる。
【0006】
ワークピース支持体が設置されるのは、対象物が扁平でない場合や破損し易い場合、あるいは該対象物が搬送機構の構成材料と接触するのが望ましくない場合、更には該支持体によって大気と負圧領域との間の封止機能を果たす必要がある場合である。
【0007】
搬送機構としては、ローラ形、チェーン形及び押出ロッド形等の駆動装置を用い得る。ここにおいて、ローラ形駆動装置の場合には、プレート形状の対象物ないしは支持体が、回転駆動されるローラ機構上で走行する態様が望ましい。
【0008】
チェーン形駆動装置の場合には、対象物が係合部材を介して搬送チェーン上で駆動される。対象物ないし支持体が軽量の場合には、チェーン上に直接載置されるが、ある一定の重量を越える場合には荷重支承用の追加した従動ローラを設置すべきである。
【0009】
押出ロッド形駆動装置の場合には、対象物ないし支持体は隙間がないエンドレス列において作動装置によって押される。ここにおいて、押される対象物ないし支持体は、最も後部にあるもののみであり、この運動が、順次前列の全ての対象物ないし支持体に伝達される。但し、押出ロッド形駆動装置では、連続した運動は不可能である。これは、押出ロッドが戻る間においては、対象物ないし支持体の列は全て静止状態になるからである。しかし、押出ロッド形駆動装置は寄生的(parasitic)付着及び高温に関しては不感である。
【0010】
ローラ形又はチェーン形の駆動装置では規則的な時間サイクルの運動状態から連続した運動状態への受渡し動作が可能であり、この間においてローラないしチェーン部材は種々異なる速度で走行し得る。従って、このシステムを負圧利用の装置に適用可能である。この負圧利用の装置はエアーロック(airlock)を介して対象物ないしワークピース支持体を規則的時間サイクルで送り込んだり、送出したりすることができる。
【0011】
連続搬送に適した駆動システムであるローラ形ないしチェーン形の駆動装置は、寄生的(parasitic)付着及び高温下での適用には問題がある。寄生的付着は、例えば気相からのプラズマによる低圧化学蒸着の場合に生じる。ここにおいて、相当に大きな出費なしではローラベアリングやチェーンがコーティングされることを阻止することができず、又、短時間での移動が困難となる。対象物を処理している間に高温を適用する場合に駆動するローラ又はチェーンは過熱しないように十分保護されねばならない。しかし、このためには費用のかかる措置が必要となる。
【0012】
現今において見られる公知のワークピース支持体では、高温及び高い処理速度で動作する装置においては種々の問題がある。高温の場合に十分な曲がりに対する抵抗力を得るために、ワークピース支持体は、頑丈に設計されねばならない。これにより高い熱容量を有するので、より大きなエネルギ消費を導く。それは特に、支持体が短時間で加熱されるとともにコーティング領域外で再び冷却されねばならない場合である。負圧を用いた装置において、より高い処理速度を得るためには、支持体が内部にあるエアーロック室は出来るだけ早く負圧状態に脱気されねばならない。しかし、エアーロック室が、例えば技術的理由により単に1つの排出ポンプ口しか備えていない場合には、これが難しい。そして、この場合には、流出するエアーが支持体のまわりに流れるので、脱気処理が遅れることとなる。複数の流通開口を設けることは、強度安定の条件の下においてのみ可能である。又、対象物が扁平形状のものの場合には、個々の対象物の間隔が増大することとなる。しかし、これは処理速度の観点から望ましくない。
【0013】
ドイツ特許第4303462号には、多室形のコーティング装置が開示されている。ここにおいて、基板は平坦なガラスのように取扱われる。ここにおいて基板はコーティング装置によって、支持体に対して離間した状態に配置される。これに対し、ローラ等の滑動部材が設けられ、これは複数のコーティング室を通して一定速度での搬送を可能とする。
【0014】
米国特許第3,973,665号には、例えばスパッタリングによって半導体基板を処理するための搬送装置が開示されている。処理対象物を送るために該対象物は支持体により支持され、該支持体は互いに離間した状態で規則的時間サイクルで搬送される。ここにおいて、支持体を処理ステーションの一方から他方へ送るために、送りバーが設けられている。又、該バーの戻り運動の際に該支持体を該バーに係合させるために、該支持体をバーの運動に対して垂直に動作可能なリフトに把持させる必要がある。エアーロックによる搬送は不可能である。
【0015】
英国特許公開第2143910号には、対象物を支持するために互いに隣接して配列された支持体を備えたシステムが開示されている。そして、この対象物は、負圧室内で処理し得る。該支持体自体は幾何学的に対応して相互に係合する端縁を有し、該端縁は負圧室への導入の際に封止機能を果たす。この支持体の封止効果は、温度を一定にするには十分でないので、当該システムは高温には向かない。
【0016】
日本特許公開、特開平10−67429号から基板搬送装置が公知である。該搬送装置は支持体上に配置可能であり、その支持体はスピンドルによってレールに沿って移動可能となっている。処理すべきウエーハを搬送するためのスピンドル駆動装置は米国特許第4,947,784号にも開示されている。支持体を受けるスライドにはスピンドルが通っている。又、ドイツ特許公開第19745646号からは、半導体を検査ステーションに通すためのシャトルコンベア及び支持体リフト機構を有する搬送装置が公知である。
【0017】
本発明は、上記従来構成における種々の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は寄生的(parasitic)付着(デポジション)も高温度も一連の処理工程に悪い影響を与えることなく、特に扁平な2次元的対象物のコーティング等の連続処理を行う構造が簡単な処理装置及び処理方法を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明における方法において処理すべき対象物が支持体上に配置され、該支持体が直線的往復運動を行う少なくとも2つの第1の搬送装置によって搬送路上に列装(ラインアップ)されるとともに処理装置に連続して搬送され、該支持体の列装及び連続搬送は、前記一方の第1の搬送装置が該搬送路上に受け渡された1つの支持体を該搬送路上にすでにある支持体に対して列装させるとともに他方の第1の搬送装置が該列装された複数の支持体を連続して搬送するようにして遂行されるのである。対象物又は支持体は、おおむね一定の速度で処理装置を通して搬送される。
【0019】
本発明の具体例において、処理装置から出た対象物ないし該対象物を支持する支持体は、第2の搬送装置によって残っている列装された対象物ないし支持板から分離されるとともに該搬送路から対象物ないし支持板を取り出す受渡し装置上に向けられる。
【0020】
直線的運動を行う前記第1の搬送装置として、一対の押出しロッドが望ましい。又、第2の搬送装置としては、一対の引張りロッドが望ましい。
【0021】
本発明における装置においては、直線的往復運動を行う少なくとも2つの第1の搬送装置が処理装置の前側において、対象物を受ける支持体を搬送するための搬送路に対して対応配置され、個々の支持体を該搬送路上で規則的に順次列装(ラインアップ)するとともに、これら列装された支持体を処理装置へと連続して搬送する構成であり、又、処理された対象物を受ける支持体の搬送のために第2の搬送装置が搬送路に対応配置され、該第2の搬送装置が搬送路から支持体を取り出すための受渡し装置に向けて列装された支持体を分離する構成である。
【0022】
各支持体は搬送路を構成するガイドレール上に設けられたフレームを有する。
【0023】
特に、本発明においては、搬送路上に連続して列装された支持体に第1の搬送装置と係合する係合受部が設けられ、該第1の搬送装置は支持体と整合して、該支持体が一方の第1の搬送装置によって把持されると他方の第1の搬送装置によっては把持されない状態を維持し、又、逆に他方の第1の搬送装置が該支持体を把持すると、一方の第1の搬送装置はこれを把持しない状態となる。このように、第1の搬送装置は支持体に対して選択的に対応ないし非対応となる構成である。
【0024】
第1の搬送装置は、プランジャー又はロッド等よりなる押圧体をなす押出し部材により構成されるのが望ましく、又、これら押出し部材はその前側の自由端部において支持体の係合受部と係合する構成が望ましい。
【0025】
特に、搬送方向に沿って見て、連続した支持体の内の最初の第1の支持体は、搬送方向に対して平行をなす溝等で形成された開口ないし凹所を有し、これに対して第1の搬送装置が挿通可能に構成される。又、該開口ないし凹所は搬送方向において前側の支持体の係合受部に整合する構成となっている。
【0026】
本発明の更なる具体例において、第2の搬送装置は、プランジャー又はロッド等よりなる引張り部材で構成される。ここにおいて、第2の搬送装置は、例えば、つめ部片や掛け金等で構成された機械的連結部材あるいはマグネットなどの磁気的連結部材を用いて支持体を把持する。
【0027】
第1ないし第2の搬送装置は、スピンドル駆動体を介してスライド移動可能なスライダを有する。又、第1ないし第2の搬送装置は、負圧領域において調整可能なロッド又はプランジャー等の部材を有する。該部材は真空シールを介してシリンダ又はスピンドルで構成された駆動体に連結される構成である。
【0028】
又、本発明においては、対象物を受ける支持体はフレームを有し、該フレームは複数の角隅部片とこれらを連結するフレーム部材を有し、相互に対角線をなす角隅部片どうしが張設部材によって連結される構成である。
【0029】
前記フレーム部材自体は搬送路を構成するレール上で滑動自在にスライドするように支持される。
【0030】
少なくとも1つの対象物のための支持体として、バネによって付勢されたワイヤ等よりなる互いに平行をなす張設部材がフレーム自体から延出した構成となっている。この構成において、対象物の位置ずれを防止するために、プレス加工された金属球等よりなる固定部材が張設部材に設けられる。
【0031】
対象物を搬送路に対して配置又は取り出すための受渡し装置は、例えば押出しロッドや引張りロッド等よりなる直線移動の往復運動をなすコンベア装置で構成し得る。
【0032】
すなわち、本発明における装置においては、特に、3組の押出しロッドと、2組の引張りロッドと複数のワークピース支持体とよりなり、押出しロッドと引張りロッドを介して、規則的な時間サイクルで搬入されたワークピース支持体を連続した運動に変換するとともに、該連続した運動から規則的な時間サイクルの受渡しの動作に変換することができる。この場合、ワークピース支持体は一対の引張りロッドによって搬送セクションへ横方向に取り出すことができ、2対の互いに平行に動作する押出しロッドによって少なくとも2つのワークピース支持体を搬送路上において隙間のない列状態で連続的に移動させることができる。そして、該支持体は処理装置におおむね一定の速度で通される。そして、該支持体は処理装置を通過した後、一対の引張りロッドによって搬送路の終端位置まで引き出され、その位置から該搬送路の横方向に取り出される。
【0033】
ワークピース支持体はスライドフレームを有し、該フレームは交互に搬送される2つの異なる形状のスライドフレームよりなる。
【0034】
搬送路はガイドレール機構を有し、該機構はスライドフレームとともにスライド機構を構成する。
【0035】
ワークピース支持体のスライドフレームの内側には、互いに平行をなすワイヤがバネによって張設されるとともにウエーハ等の処理対象物を支持する機能を果たす。このワイヤに対して金属球がプレスによって押圧固定され、これが板状の対象物をワイヤ平面内で位置決めするとともに該対象物の不用意な移動を防止する。
【0036】
本発明においては、極めて簡単な構造の搬送システムが得られ、これによって、複数のワークピース支持体を隙間なく連続した、ギャップフリー状態で搬送路上で処理装置に一定の速度で送り込むことができる。該搬送路はガイドレール機構により構成される。かかる搬送システムは高温度に対しても、又、寄生的(parasitic)付着(デポジション)に対しても影響がない。これは、コーティング領域において、搬送機構の可動部分がないからである。直線的往復運動を行う押出しロッドよりなる2つの搬送装置と2つの異なる形状のワークピース支持体との共働によって、例えば、真空エアロックシステムに通すために必要な規則的なワークピース支持体の運動が対象物の処理のための一定の搬入速度での連続運動に変換される。
【0037】
更に、本発明においては、ワークピース支持体は最小の熱キャパシティ及び該支持体に対して垂直方向に流れるガスに対する最大のコンダクタンスを有する。スライドフレーム内で張設されたワイヤは、その径が小さいので、最小の質量を有する。従って、ワークピース支持体の質量を通して放出される熱エネルギ損失は最小となる。バネ手段を用いたワイヤの張設によって、高温においてもワイヤ部分に全く捻じれが生じない。ガスは配置された対象物の側部にワイヤ間の隙間を通して流れる。このガス流の流通(コンダクション)値は殆ど配置された対象物のスペースにより決まり、どの設定されたスペースについても最大となる。これによって、ワークピース支持体は一側でポンプ給送されるエアーロック室における使用に最適であり、高い処理能率を得ることができる。扁平な対象物の不用意な位置ずれは、例えばワイヤ上にプレス固定した金属球による簡単な手段で阻止することができる。
【0038】
本発明の更なる詳細、利点及び特徴は、特許請求の範囲の記載のみならず、以下、図面を参照して説明する本発明の実施形態からも理解される。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、特にシリコンウエーハなどの処理すべき扁平な対象物を搬送する装置が示されている。この対象物は処理装置10において、例えばコーティング等の処理が施される。処理装置10は、例えば、低圧化学蒸着装置により構成され、ここにコーティング領域が形成されている。本発明の装置は、搬送用ガイドレール12,14によって構成された搬送路16を有し、該搬送路16は処理装置10を貫通して配置されるとともにワークピース支持体18,20に沿って搬送動作可能となっている。これによって、処理装置10内で連続的な搬送が行われる。ワークピース支持体18,20上には、シリコンウエーハ等の処理すべき扁平な対象物が少なくとも1つ、好ましくは複数個、取り付けられコーティング領域を形成する処理装置10内においてコーティング処理が施される。
【0040】
更に本発明の装置は、引張りロッド22,24により構成された受渡し装置を有し、これを用いて支持体26は、1つの搬送位置28から搬送路16上に受渡され、該搬送路16上の位置(スタート位置)30を占める。このために、支持体26はガイドレール32,34上で移動し、その結果、搬送路16、すなわちガイドレール12,14との整合が確実に行われる。これにより、ガイドレール12,14,32,34は支持体18,20,26を側方においても、又、上下方向に沿う必要な範囲においても支持することとなる。
【0041】
ワークピース支持体26がスタート位置30に達するや否や、2つの第1の搬送装置の内の一方の搬送装置によって把持される。これら2つの第1の搬送装置は、対をなす押出しロッド36,38;40,42で押圧体として構成され直線的往復運動を行う。そして、支持体26は搬送路16上にすでに配置された支持体18,20と該搬送路16に沿って列装(ラインアップ)状態に置かれる。このために、押出しロッド36,38;40,42は、最初、短い時間急速な搬入動作を行うとともに、次いで長い時間低速で一定の搬入速度を維持する。これにより、全ての支持体26,18,20が互いに隣接した列装状態で処理装置10へと搬入される。対をなす押出しロッド36,38;40,42の低速搬入動作の間、搬送方向に沿って最も後位置の支持体26がその前側の支持体18,20を押す態様で搬送路16上を移動する。
【0042】
対をなす押出しロッド36,38;40,42の一方がスタート位置にある支持体26をすでに搬送路16上で列装された状態にある支持体18,20に合わせて列装する前に、他方の対をなす押出しロッド40,42;36,38がそれ以前に係合していた最後の支持体、すなわち本実施形態では支持体18を一定速度で移動させる。しかし、支持体26が支持体18に接触し、対をなす押出しロッド36,38;40,42の一方によって更なる搬送が遂行されるや否や、対をなす他方の押出しロッド40,42;36,38が引き込まれ、前述したように引張りロッド22,24により搬送路16上に移動された次位の支持体を押し出すために準備される。
【0043】
図2により明確に示すように、押出しロッド36,38;40,42はワークピース支持体26の位置する面よりも下方に位置し、これにより、ワークピース支持体が搬送路16に沿って移動する動作に支障を与えないので、支持体はスタート位置30に動かされるとともに搬送路16に沿って所定の範囲を確実に移動することができる。
【0044】
図2及び図3に示すように、尖端係合部として尖端部片で形成された作動部材44,46;48,50は対をなす押出しロッド36,38;40,42の自由端から一体に延出した態様をなし、図2に示すように、ワークピース支持体によって形成された面内に突出しており、該支持体の下面に形成された係合受部に係合可能となっている。これにより支持体には作動部材44,46;48,50と係合受部との係合により、押出しロッド36,38;40,42からの搬送力が伝達される。この係合受部は凹陥状あるいは貫通孔状等、適宜選択可能である。
【0045】
本発明においては、搬送路16に沿って交互に移動する2つの異なるワークピース支持体が用いられる。例として、ワークピース支持体26は孔を有し、この孔に対をなす押出しロッド36,38の作動部材44,46が係合可能となっている。これにより、対をなす一方の押出しロッド36,38が処理装置10の方向へ移動中、支持体26が把持されて搬送路16に沿って動かされる。これと同時に対をなす他方の押出しロッド40,42は該支持体26の下方をこれに対して干渉することなく移動して支持体28が支持体18と整合したときに引き戻される。すなわち、他方の押出しロッド40,42は、一方の押出しロッド36,38による支持体26の規則的な時間サイクルでの搬入動作の間、相互に列装された支持体18,20を一定の速度で搬送路16に沿って移動させる。支持体26は作動部材48,50の作動軌跡内に、溝等で形成された対応する凹所ないし凹陥部を有する。この凹陥部は、前方の支持体、すなわち、本実施形態における支持体18に関して、押出しロッド40,42の作動部材48,50のための対応する係合受部に移行する。
【0046】
ワークピース支持体26,18,20の適切な構成により、上述したように搬送路16に沿ってこれら支持体26,18,20を、まず、スタート位置30から比較的、高速度で搬送路16上を移動させてすでに列装された支持体と隣接するように列装させ、次いで、これら支持体を一定の速度で移動させることが可能である。そして、一定の搬送速度を生じさせた対をなす押出しロッドは、搬送方向において最後の支持体に干渉することなく通過することができる。そして、勿論、定速運動の間の速度は、規則的な時間サイクルでの搬入動作時の速度よりも低い。
【0047】
この実施形態においては、対をなす押出しロッド36,38;40,42に尖端部片で形成された作動部材44,46;48,50を設けた態様を示したが、これと同じ機能を果たす他の構成も可能である。例えば、上述のように支持体に対して所定範囲で係脱させるために搬送方向に沿って折りたたみ可能なつめ部片又は回転可能な作動部片を設けてもよい。
【0048】
ワークピース支持体52が処理装置10を完全に通過するや否や、第2の搬送装置を構成する引張りロッド56,58の手段によって取出し位置54へ移動させられるために、この引張り動作によって他の列装した支持体18,20から分離される。そして、受渡し装置を構成する押出しロッド60,62によって支持体52は搬送路16から真空エアーロックを配置し得る位置64へと取出される。これによって取り出された支持体上の対象物を更に他の処理に向けることができる。
【0049】
第2の搬送装置をなす引張りロッド56,58は、支持体52を把持するために、例えば、マグネット又はつめ部片等の機械的カップリング57,59によって、該支持体により形成された面内で移動し得る。これと同様の連結方法は、受渡し装置をなす引張りロッド22,24にも適用し得、これにより、支持体26を位置28で示したエアーロックから搬送路16上のスタート位置30へ受渡すことができる。
【0050】
引張りロッド56,58は、その前端部に電磁石を有し、これに対し、支持体52の対応フレーム側に埋設したフエライトが対応する。
【0051】
図1に示す実施形態において押出しロッド及び引張りロッド36,38,40,42はスピンドル駆動体74,76,78,80とともに直動スライダ66,68,70,72上に設けられている。スピンドル駆動体74,76,78,80は、電動モータ(図示せず)により駆動し得る。押出しロッド60,72及び引張りロッド22,24,56,58は直動スライダ(図示せず)によって必要な直線往復運動可能に作動する。
【0052】
もしワークピース支持体18,20,26,52の運動が低圧システムを介してなされる場合、直動駆動装置も低圧で動作しなければならない。この場合、スピンドル駆動体74,76,78,80は筒状ハウジング82内に収容される。スピンドル駆動体74,76,78,80は更に真空型回転リードスルー84,86に連結されているので、駆動モータは大気圧状態で動作可能である。
【0053】
電動モータによってスピンドル駆動体74,76,78,80を駆動する構成に代えて、ポジションコントロール空気圧又は油圧シリンダを押出しロッド及び引張りロッド36,38,40,42,60,62,22,24,56,58を駆動するために用いることもできる。
【0054】
ワークピース支持体は、図2,3に例として支持体26を示してある通り、ブロック状の角隅部材88,90,92,94を有し、これら角隅部材は前述したように対をなす押出しロッド36,38,40,42の作動部材44,46,48,50と係合する溝等で構成された凹陥部などの係合受部を有する。各角隅部材88,90,92,94からスパイク96,98が延出し、セラミックのロッド100,102,104,106を含むフレーム部材を支承し、角隅部材とともにワークピース支持体38のフレームを構成する。フレーム自体は張設部材108,110によって保持され、該張設部材は、対角線上に対向する両角隅部材88,92;90,94に連結されている。
【0055】
フレーム部材をなすセラミックのロッド100,102,104,106は、角隅部材88,90,92,94を越えて、少なくとも外方、下側及び上側に突出した形状及び直径を有しているので、これらのロッドよりなるフレームは、図1に示すごとき構成の搬入/搬出用の軌道を形成するガイドレール上でスライド自在に支持される。上記ロッドの材質としてセラミック以外の材質のものも用い得る。
【0056】
図3に示すワークピース支持体26の平面図からわかるように、該支持体26上には多数の扁平な対象物11を載置することができ、これら対象物は処理装置10内で同時にコーティング等の処理が施される。
【0057】
図4には図3に示したワークピース支持体26の一部を拡大し、同じ構成部分に同一の参照番号を付して示してある。
【0058】
バネ112によって付勢されたワイヤ114は、支持体のための支承手段として、両フレーム部材102,104の間に張設され、張設部材を構成する。バネ112は角隅部片88,94;90,92に連結されたロッド116から延出している。ワイヤ114上には金属球よりなる点状の固定部材120,122が所定の間隔をおいてプレス加工により取り付け固定されている。これによって、対象物111,124の位置が決められる。従って、扁平な対象物111,124がワイヤ114によって形成された支持体26の載置面上で、不用意にずれることが阻止され各対象物どうしの間隔が維持される。
【0059】
ワークピース支持体は、上記実施形態のごとく、2つの異なる支持体を用いる代わりに、単一の支持体でも可能である。この場合、押出しロッドには、折りたたみ可能なつめ部材あるいは回転型の作動部材を備えるようにすればよい。これによって解放され、復帰する押出しロッドと対をなす第2の押出しロッドによって押し出された後端の支持体との相互干渉を回避することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、種々の変形構成を含み得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】扁平な処理対象物を処理する本発明の装置の原理的構成を示す平面図である。
【図2】ワークピース支持体を前側から見た側面図である。
【図3】ワークピース支持体を上面より見た平面図である。
【図4】図3に示すワークピース支持体の要部拡大図である。
【符号の説明】
10 処理装置
16 搬送路
18,20,26,52 ワークピース支持体
22,24 引張りロッド(受渡し装置)
36,38,40,42 押出しロッド(第1の搬送装置)
44,46,48,50 作動部材
56,58 引張りロッド(第2の搬送装置)
60,62 押出しロッド(受渡し装置)
74,76,78,80 スピンドル駆動体
88,90,92,94 角隅部材
111,124 処理対象物

Claims (23)

  1. シリコンウエーハの半導体ウエーハ等の扁平な対象物の表面処理のために、処理装置内において該対象物を連続処理する方法であって、該対象物を直線的往復運動を行わせる第1の搬送装置によって、該処理装置を通して配置された搬送路に沿って移動させるとともに、該対象物を受渡し装置を介して該搬送路上に受渡し、あるいは該搬送路から取り出してなる方法において、
    前記対象物を支持体上に配置し、該支持体を前記少なくとも2つの直線的往復運動を行わせる第1の搬送装置によって、該搬送路上に列装するとともに、次いで処理装置に連続して搬送し、前記支持体の列装及び連続した搬送において、該第1の搬送装置の一方が該搬送路上に受け渡された支持体を該搬送路上にある支持体に対して列装させる一方、該第1の搬送装置の他方の搬送装置が、その前に列装された支持体を連続して搬送し、これら複数の支持体が列装された後、前記一方の第1の搬送装置が相互に列装されたこれらの支持体を更に連続して搬送するとともに、前記他方の第1の搬送装置が、次位の支持体をすでに列装された複数の支持体に対して列装させるために引き込まれてなることを特徴とする方法。
  2. 該処理装置から離れた支持体を、第2の搬送装置によって、列装状態で残されている他の支持体から分離するとともに該搬送路から該支持体を取り出す受渡し装置上に向けてなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 該支持体を該処理装置を通して、おおむね一定の速度で搬送することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記直線的往復運動を行わせる第1の搬送装置として、対をなす押出しロッド等の押圧体を用いてなる請求項1に記載の方法。
  5. 前記第2の搬送装置として、対をなす押出しロッド等の押圧体で構成され直線的往復運動を行わせる搬送装置を用いてなることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 複数の対象物を1つの支持体上に配置して搬送路に沿って搬送することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. シリコンウエーハの半導体ウエーハ等の扁平な対象物(111,124)であって支持体(18,20,26,52)上に配置された処理対象物の表面処理等の連続処理を行う装置であって、処理装置(10)を通して配置された搬送路(16)と、該支持体を該搬送路上に受渡し、あるいは該搬送路から取り出すための受渡し装置(22,24,60,62)とを有するものにおいて、
    対象物を支持する支持体(26)を搬送するために、搬送路(16)に対して、前記処理装置(10)の前側において、直線的往復運動を行わせる少なくとも2つの第1の搬送装置(36,38;40,42)が対応配置され、該第1の搬送装置は個々の支持体(26)を搬送路上に列装された支持体(18,20)に対して順次規則的に列装させるとともに、列装されたこれら支持体を処理装置に連続して搬送し、処理された対象物を支持する支持体(52)の搬送のために、該搬送路に対して少なくとも1つの第2の搬送装置(56,58)が対応配置され、該第2の搬送装置は該支持体を搬送路から取り出して前記受渡し装置(60,62)に対して向けるために列装された支持体を分離してなることを特徴とする装置。
  8. すでに列装された支持体(52)を分離するために該搬送路(16)に対して対応配置された第2の搬送装置は、直線的往復運動を行う搬送装置(56,58)よりなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 前記第1の搬送装置は、スピンドル駆動体又は空気圧ないし油圧作動のシリンダ等を介して駆動される対をなす押出しロッド(36,38;40,42)を含んでなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  10. 前記第2の搬送装置は、スピンドル駆動体又は空気圧ないし油圧作動のシリンダ等を介して駆動される対をなす引張りロッド(56,58)を含んでなることを特徴とする請求項8に記載の装置。
  11. 搬送路(16)上に支持体(26)を受渡し、ないしは該搬送路から支持体を取り出すために、前記受渡し装置は、押出しロッド又は引張りロッド等の直線的往復運動を行わせる搬送装置(22,24,60,62)よりなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  12. 前記支持体(26)は、該搬送路(16)を構成するガイドレール(12,14)によって支承されるフレームを備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  13. 前記フレームは、角隅部材(88,90,92,94)と、これら部材を連結するフレーム部材(100,102,104,106)を含み、対角線上に対向配置された角隅部材が張設部材(108,110)を介して相互に連結されてなることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  14. 前記フレーム部材(100,102,104,106)は、搬送路(16)を構成するガイドレール(12,14)上で滑動自在に支承されてなることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 対象物(111,124)の支承手段として、互いに平行をなすとともにバネ(112)を介して張設された複数のワイヤ(114)等よりなる張設部材が前記フレームから延出してなることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  16. 対象物(124)を固定するためにプレス加工で取り付けられた金属球等よりなる固定部材(120,122)が張設部材(114)から突出してなることを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 前記搬送路(16)上で列装された支持体(18,20)は、前記第1の搬送装置(36,38;40,42)と係合するために対応した係合受部を備えてなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  18. 前記一方の第1の搬送装置により把持された支持体が、該他方の第1の搬送装置によっては把持されない状態を維持するとともに、該他方の第1の搬送装置により把持された場合には該一方の第1の搬送装置により把持されない状態を維持するように、該第1の搬送装置(36,38;40,42)が支持体(18,20)に対して対応ないし非対応となるように構成されてなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  19. 前記第1の搬送装置は、プランジャー又はロッド等で構成された少なくとも1つの押圧体(36,38;40,42)を備え、該押圧体は係合部材を有し、該係合部材はその自由端に尖端係合部を有し、該尖端係合部は支持体の係合受部に係合してなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  20. 互いに列をなす支持体(18,20)の内、搬送方向に沿って見て第1の支持体は、搬送方向に対して平行で前記第1の搬送装置(36,38;40,42)の1つによって、貫挿可能な溝等で構成された凹所を有し、該凹所は搬送方向において先行した支持体の係合受部に整合してなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  21. 前記第2の搬送装置(56,58)は、つめ部片等で構成された磁気的又は機械的連結部材を介して支持体(52)と解離可能に連結し得ることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  22. 前記第2の搬送装置(56,58)は、支持体(52)と共働する領域において電磁石を備え、該電磁石は、支持体側に設けられたフエライト部材と共働してなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  23. 前記複数の支持体は同一に構成され、押圧体として構成された第1の搬送装置は、順次列装された複数の支持体を交互に把持するために、可動のつめ部片又は回転可能な係合部材を備えてなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
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