JP4500551B2 - コンタクトレンズおよびコンタクトレンズの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、そのようなシリーズ型のコンタクトレンズを有利に実現せしめ得る新規な形状のコンタクトレンズを提供することも、目的とする。
更にまた、本発明は、前述の如きシリーズ型のコンタクトレンズを効率的に製造することの出来る、コンタクトレンズの新規な製造方法を提供することも、目的とする。
先ず、レンズ後面の中央部分に後面光学部が形成されると共に、該後面光学部の外周側に後面周辺部が形成される一方、レンズ前面の中央部分に前面光学部が形成されると共に、該前面光学部の外周側に前面周辺部が形成されることにより、レンズ中央部分に光学部が形成されると共にレンズ外周部分に周辺部が形成されたコンタクトレンズを、同一のレンズ直径寸法で且つ該光学部に対して互いに異なる光学特性を設定して複数組み合わせることにより提供するシリーズ型のコンタクトレンズに関する本発明の第一の態様は、複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、何れの該コンタクトレンズの形状もレンズ中心軸回りの回転体形状とし、且つ前記レンズ後面の形状を何れも同一とすると共に、前記前面周辺部における外周部分の径方向所定幅に亘る領域の形状を何れも同一とすることにより、前記周辺部における外周部分の径方向所定幅に亘る部分を何れも同一形状とされた第二の周辺部として、該第二の周辺部の厚さを外周側に行くに従って次第に小さくする一方、前記前面光学部の形状を相互に異ならせることにより、前記光学部の光学特性をそれぞれ異ならせて該光学部に異なる屈折力を設定すると共に、該光学部の屈折力の相違に応じて該前面光学部の直径を異ならせ、更に、該光学部と該第二の周辺部との径方向間に亘る部分を何れも該レンズ後面が同一形状とされた第一の周辺部とし、且つ該第一の周辺部の前記レンズ前面において該光学部と該第二の周辺部とを屈曲点を有しない湾曲面形状をもって径方向で滑らかに繋ぐと共に、該第一の周辺部における最大厚さを何れも同一としたことを、特徴とする。
また、シリーズ型のコンタクトレンズに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズにおいて、前記前面光学部の直径を何れもφ5mm〜φ12mmの範囲内に設定したことを、特徴とする。このような本態様に従えば、一般的なサイズのコンタクトレンズにおいて、光学部による視力矯正効果と周辺部によるレンズの角膜上での安定性や涙液交換性などを何れも一層有利に確保することが可能となる。なお、光学部の直径がφ5mmより小さいと必要な光学領域の確保が難しくなって装用者に対して安定した視力矯正効果を与えることが困難になるおそれがある一方、光学部の直径がφ12mmを超えると光学部の外周側に形成される周辺部の径方向幅寸法を十分に確保し難くなって、周辺部による涙液交換性やレンズ装用位置の安定性が低下するおそれがある。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、前記光学部の屈折力の相違に応じて前記前面光学部の中心部厚さが異ならせられていることを、特徴とする。このような本態様においては、シリーズを構成する各コンタクトレンズにおいてレンズ直径寸法(DIA)と周辺部の形状を略同一としながら、光学部の屈折力、即ちレンズ度数を異ならせることが容易に実現可能となるのであり、特に光学部の屈折力の違いが比較的に小さい場合に有効である。また、光学部の屈折力の違いが大きい場合にも、本態様を採用することにより、シリーズを構成する各コンタクトレンズにおいてレンズ直径寸法(DIA)と周辺部の形状を同一としながら、光学部の屈折力、即ちレンズ度数を異ならせることが、一層容易に実現可能となる。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第四の態様は、かかる第三の態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズにおいて、前記光学部の中心部厚さを何れも0.02mm〜0.70mmの範囲内に設定したことを、特徴とする。このような本態様に従えば、一般的なサイズのコンタクトレンズにおいて、良好な視認性が確保できる程度に光学部の直径を確保すると共に、レンズの角膜上での安定性や涙液交換性などが良好に発揮される程度に周辺部の幅寸法や形状を良好に確保しつつ、光学部の中心部厚さを強度および耐久的に十分な大きさに設定することが可能となるのである。なお、光学部の中心部厚さが0.02mmより小さいと強度や耐久性が十分に確保され難くなり、光学部の中心部厚さが0.70mmを超えると前面ジャンクションを含む周辺部の厚さが大きくなり過ぎるおそれがある。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、前記光学部における屈折力が−25ディオプタ〜+25ディオプタの範囲内で、5ディオプタ以上の差をもって設定されていることを、特徴とする。このような本態様に従えば、5ディオプタ以上、好ましくは10ディオプタ以上の広い範囲に亘って互いに異なるレンズ度数が設定されたコンタクトレンズの何れにおいても、シリーズ型コンタクトレンズに共通した良好な装用感が安定して発揮され得るのであり、優れた製品価値が実現され得ることとなる。なお、本態様は、特に前記第三の態様と組み合わせることによって有利に採用され得ることとなり、それによって、5ディオプタ以上、好ましくは10ディオプタ以上の広い屈折力の設定範囲に亘るシリーズ型のコンタクトレンズが、互いに同一の周辺部形状をもって実現可能となるのであり、以て、前述の如き優れたコンタクトレンズの製造や製造コストが実現され得ると共に、良好な装用感と視認性が安定して発揮され得るのである。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズにおいて、複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記前面周辺部が内周側に位置する第一の前面周辺部と外周側に位置する第二の前面周辺部から構成されて、該第一の前面周辺部と前記レンズ後面の間に前記第一の周辺部が形成されていると共に、該第二の前面周辺部と該レンズ後面の間に前記第二の周辺部が形成されており、該第二の周辺部が外周側に行くに従って厚さが次第に小さくなる形状とされて且つかかる複数組み合わせた該コンタクトレンズの相互間において該第二の周辺部が何れも同一形状とされていると共に、該第一の周辺部を形成する該第一の前面周辺部が径方向において前記前面光学部と該第二の前面周辺部の両者に対して共通接線を有する連続面で接続された滑らかな面で且つ前記光学部の屈折力の相違に応じて異ならされていることを、特徴とする。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第七の態様は、前記第六の態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、前記第一の前面周辺部が、径方向において、3次曲線で表されていることを、特徴とする。本態様においては、比較的容易に且つ大きな自由度をもって、第一の前面周辺部を設計することが可能であると共に、切削等で実際のレンズを加工することも可能となる。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第八の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズにおいて、複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記前面光学部の直径が前記後面光学部の直径よりも小さくされている一方、前記前面周辺部が内周側に位置する第一の前面周辺部と外周側に位置する第二の前面周辺部から構成されており、該第一の前面周辺部が該後面光学部に略対応位置せしめられて該後面光学部をオフセットした形状とされていることを、特徴とする。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第九の態様は、上記第八の態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記第一の前面周辺部と前記後面光学部によって厚さが略一定とされた前記第一の周辺部が形成されていると共に、前記第二の前面周辺部が前記後面周辺部に略対応位置せしめられてそれら第二の前面周辺部と後面周辺部によって厚さが外周側に行くに従って小さくなる前記第二の周辺部が形成されて、該第一の周辺部と該第二の周辺部で前記周辺部が構成されており、更に、かかる複数組み合わせた該コンタクトレンズの相互間において、該第二の周辺部が何れも同一形状とされていると共に、該第一の周辺部の厚さが何れも同一とされており、且つ該第一の周辺部における径方向の幅寸法を互いに異ならせたことを、特徴とする。このような本態様においては、シリーズを構成する各コンタクトレンズで第二の周辺部の形状が同一とされて周辺部の共通化が一層進められるのであり、その結果、コンタクトレンズの設計および製造が一層容易になると共に、第二の周辺部によって実現される角膜上でのコンタクトレンズの安定性や涙液交換性がより安定して発揮されることとなる。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第十の態様は、上記第一乃至第九の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、複数組み合わせた前記コンタクトレンズの形成材料がシリコン含有の軟質材であることを、特徴とする。シリコン含有の軟質材は、例えば酸素透過性等に関して有効であることが報告されているが、本発明者等が検討したところ、そのような酸素透過性の高いシリコン含有の軟質材は、一般に眼瞼等への摩擦係数や球結膜への吸着性が大きくなって瞬目に際してのタックや角膜への吸着や圧迫等が発生し易い傾向にある。そこにおいて、そのようなシリコン含有の軟質材からなるシリーズ型のコンタクトレンズに対して本発明を適用することにより、光学部の屈折力の大きさに拘わらず周辺部の厚さ寸法が小さく抑えられると共に、周辺部による涙液交換や位置安定等の作用効果が安定して発揮されることにより、タックや吸着等が抑えられて良好な装用感が有利に実現可能となるのである。なお、本態様におけるシリコン含有の軟質材としては、シリコン含有の含水コンタクトレンズも非含水コンタクトレンズも同様に対象となる。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第十一の態様は、上記第一乃至第十の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、その形成材料のヤング率:yの値が、0.2MPa≦y≦2.0MPaであり、前記周辺部の平均厚さ:Tm の値を、0.05mm≦Tm ≦0.30mmとしたことを、特徴とする。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第十二の態様は、上記第一乃至第十一の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、その形成材料のヤング率:yの値が、300MPa≦y≦1500MPaであり、前記周辺部の平均厚さ:Tm の値を、0.08mm≦Tm ≦0.50mmとしたことを、特徴とする。
また、シリーズ型コンタクトレンズに関する本発明の第十三の態様は、上記第一乃至第十二の何れかの態様に係るシリーズ型のコンタクトレンズであって、前記後面周辺部が、径方向において前記後面光学部よりも曲率半径の大きい湾曲面形状とされていることを、特徴とする。このような本態様においては、コンタクトレンズの装用状態下で、後面周辺部が角膜から浮いた状態に有利に保持され得ることとなり、エッジ部による球結膜圧迫が緩和されると共に、涙液交換も促進され得ることとなる。特に、かかる後面周辺部の湾曲面としては、径方向において円弧形状や楕円弧形状等が採用され得、それによって設計が容易となる。
このような構造とされたコンタクトレンズにおいては、光学部の径寸法やレンズ外径寸法(DIA)が異なる複数種類のレンズを製造する場合等においても、第二の周辺部の形状を同一に設定することが可能となり、レンズの設計や製造が容易となると共に、特定形状の第二の周辺部による装用時のレンズ安定性や涙液交換性が安定して発揮され得ることとなり、品質の安定性や信頼性の向上が図られ得る。また、本構造に従えば、一定の厚さ寸法で径方向に広がる第一の周辺部を設けたことにより、光学部のレンズ度数等に拘わらず周辺部の最大厚さ寸法を小さく設定することが可能となるのであり、それによって、特にシリコン含有の軟質材からなるソフトタイプのコンタクトレンズ等も、良好な装用感をもって、各種の屈折力で有利に提供可能とされる。更にまた、特に本構造とされたコンタクトレンズによって、前述の如き本発明に従うシリーズ型のコンタクトレンズが有利に実現可能となる。
また、このような構造とされたコンタクトレンズにおいては、第二の周辺部の厚さ寸法を、径方向外方に行くに従い、後面ジャンクションからの径方向距離に対して略一定の割合で小さくなるように設定することが望ましく、そのように第二の周辺部の厚さを径方向外方に向かって略一定の絞り込み比率で設計することにより、眼瞼での引っ掛かりが一層有利に回避されて装用感の更なる向上が図られ得る。なお、第二周辺部におけるレンズ中心軸方向での厚さ寸法を、その最大厚さ寸法を抑えつつ、径方向外方に向かって小さくなるように設計するために、レンズ中心軸からの径方向位置において、第一の周辺部と第二の周辺部の境界である第二前面ジャンクションと、後面ジャンクションとの相対位置は、コンタクトレンズの度数や材質等を考慮して適宜に設定されることとなり、好適には後面ジャンクションから径方向で3.0mm以内の位置、更に好適には後面ジャンクションから径方向で2.0mm以内の位置に第二前面ジャンクションが設定される。これにより、一定の厚さ寸法を有する第一周辺部と、径方向外方に行くに従って略一定の割合で厚さ寸法が小さくなる第二周辺部を実現せしめ得る後面周辺部と第二前面周辺部の形状を容易に設計することが可能となり、例えば、後面光学部や後面周辺部,第一前面周辺部,第二前面周辺部を、何れも、レンズ中心軸上に曲率中心を持つ球面(縦断面においては円弧面)として形成することも可能となる。
また、本構造とされたコンタクトレンズにおいて後面周辺部は、曲率中心をレンズ中心軸上に持ち、且つ曲率半径が後面光学部よりも大きな曲面形状とすることが望ましく、それによって、後面周辺部が後面光学部の延長線に比して、角膜から離れる方向に浮いた形状となり、エッジ部(コンタクトレンズの外周縁部)による球結膜圧迫が緩和され得る。
さらに、前述の如き本発明に係るシリーズ型のコンタクトレンズを構成する各コンタクトレンズの製造方法に関する本発明の特徴とするところは、前記後面光学部と前記後面周辺部を含む前記レンズ後面の全体と、前記前面周辺部における少なくとも外周部分の径方向所定幅に亘る領域とを、モールド成形するようにしたことにある。
このような方法に従えば、前面光学部の切削パターンを変更して前面光学部の形状を適当に変更設定することにより、各種の光学特性を容易に設定することが可能となる。しかも、前面光学部を除く領域、即ち後面光学部や後面周辺部および前面周辺部が、何れもモールド成形されることから、その製造が容易であり、特に、前面光学部の形状で光学特性が決定されることから、異なる光学特性が要求されるコンタクトレンズにおいてもモールド成形型を共通化することが可能となって、製造コストの向上が図られ得る。また、前面光学部と前面周辺部の両方を切削成形する場合に比して、前面光学部だけを切削成形することにより、切削バイトの制御が容易となり、製造コストの更なる向上と、製造に要する時間の短縮が可能となる。
なお、このようなコンタクトレンズの製造方法においては、前記レンズ前面の前記光学部における切削形成前の最小レンズ厚さを0.05mm〜1.0mmの範囲内に設定することが望ましい。蓋し、最小レンズ厚さが0.05mmより小さいと、レンズ材質によっては光学部の切削加工に際して十分な部材強度が発揮されずに変形による加工精度の低下や破損等の問題が発生するおそれがあり、一方、最小レンズ厚さが1.0mmを超えると、切削加工に要する時間が長くなると共に、切削量が多くなって切削工具への負担が大きくなる等の問題が発生するおそれがあるからである。
Rate = (T1−T2)/(X2−X1)
但し、T1は第二周辺部44の内周縁部の厚さ寸法であり、T2は第二周辺部44の外周縁部の厚さ寸法である。また、X1は第二周辺部44の内周縁部のレンズ中心軸12からの径方向距離であり、X2は第二周辺部44の外周縁部のレンズ中心軸12からの径方向距離である。
(i)前面光学部22の形状
前面光学部22を、下記(1)式で表される球面とする。
X2 +(Y−K)2 =FC2 ・・・ (1)式
FC:フロントカーブの曲率半径(球面)
K :フロントカーブのY切片
これらFC及びKの値は、光学計算(光線追跡等)より、予め算出される。
(ii)前面光学部22の外周側(終点側)の端部座標
前面光学部22の外周縁部(終点)の座標を(X1 ,Y1 )とする。
これらX1 ,Y1 の値は、前面光学部22の外径寸法を考慮して、予め算出される。
(iii)第二前面周辺部40の形状
第二前面周辺部40を、下記(2)式で表される楕円面とする。
X2 /M2 +(Y−L)2 /N2 =1 ・・・(2)式
L :楕円中心のY切片
M :楕円軸(X軸方向)
N :楕円軸(Y軸方向)
L,M及びNの値は、周辺部30の厚さの設定値に基づいて予め算出される。
(iv)第二前面周辺部40の内周側(開始点側)の端部座標
第二前面周辺部40の内周縁部(開始点)の座標を(X2 ,Y2 )とする。
これらX2 ,Y2 の値は、〔第二前面ジャンクション36の位置での半径寸法:X2 /コンタクトレンズ120の外周半径寸法:DIA/2〕の値が、0.5〜0.9となる範囲内で、適当な設定値が予め算出される。
(v)求める第一前面周辺部38の径方向における形状を表す三次式
求めるべき第一前面周辺部38の形状を表す三次式は、前面光学部22の外周縁部(終点)と第二前面周辺部40の内周縁部(開始点)とに両端縁部(開始点および終点)で、共通接線をもって接することとなり、下記(3)式で表される。
Y=AX3 +BX2 +CX+D ・・・(3)式
そして、かかる(3)式におけるA,B,C,Dが、求めるべき変数である。
ここにおいて、上記(3)式におけるA,B,C,Dを算出して、第一前面周辺部38の形状を決定することは、例えば以下のようにして行うことが出来る。
先ず、前記(1)式,(2)式,(3)式をそれぞれ微分して下記(4)式,(5)式,(6)式を得る。
dY/dX=−X/(Y−K) ・・・(4)式
dY/dX=−N2 X/(M2 (Y−L)) ・・・(5)式
dY/dX=3AX2 +2BX+C ・・・(6)式
次に、点(X1 ,Y1 )において共通接線を持つから、(4)式で表される前面光学部22の傾きの値(dY/dX)と、(6)式で表される第一前面周辺部38の傾きの値(dY/dX)が等しいという条件から、下記(7)式が導かれる。
−X1 /(Y1 −K)
=3AX1 2 +2BX1 +C ・・・(7)式
(但し、Y1 −K≠0)
また、点(X2 ,Y2 )において共通接線を持つから、(5)式で表される第二前面周辺部40の傾きの値(dY/dX)と、(6)式で表される第一前面周辺部38の傾きの値(dY/dX)が等しいという条件から、下記(8)式が導かれる。
−N2 X2 /(M2 (Y2 −L))
=3AX2 2 +2BX2 +C ・・・(8)式
(但しY2−L≠0)
さらに、(3)式で示される第一前面周辺部38は、点(X1 ,Y1 )を通ることから、下記(9)式が導かれる。
Y1 =AX1 3 +BX1 2 +CX1 +D ・・・(9)式
また、(3)式で示される第一前面周辺部38は、点(X2 ,Y2 )を通ることから、下記(10)式が導かれる。
Y2 =AX2 3 +BX2 2 +CX2 +D ・・・(10)式
従って、上記(7),(8),(9),(10)の4つの式から、下記の(11)〜(14)に示す四次元連立一次方程式が決まる。
3X1 2 ×A+2X1 ×B+1×C+0×D
=−X1 /(Y1 −K) ・・・(11)式
3X2 2 ×A+2X2 ×B+1×C+0×D
=−N2 X2 /(M2 (Y2 −L)・・・(12)式
X1 3 ×A+X1 2 ×B+X1 ×C+1×D
=Y1 ・・・(13)式
X2 3 ×A+X2 2 ×B+X2 ×C+1×D
=Y2 ・・・(14)式
それ故、得られた連立方程式を解くことにより、前記(3)式における各変数:A,B,C,Dを求めることが出来、以て、第一前面周辺部38の形状を特定することが出来るのである。なお、連立方程式の解法には、例えばクラメルの公式等を利用して容易に行うことが出来る。
Claims (14)
- レンズ後面の中央部分に後面光学部が形成されると共に、該後面光学部の外周側に後面周辺部が形成される一方、レンズ前面の中央部分に前面光学部が形成されると共に、該前面光学部の外周側に前面周辺部が形成されることにより、レンズ中央部分に光学部が形成されると共にレンズ外周部分に周辺部が形成されたコンタクトレンズを、同一のレンズ直径寸法で且つ該光学部に対して互いに異なる光学特性を設定して複数組み合わせることにより提供するシリーズ型のコンタクトレンズであって、
複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、何れの該コンタクトレンズの形状もレンズ中心軸回りの回転体形状とし、且つ前記レンズ後面の形状を何れも同一とすると共に、
前記前面周辺部における外周部分の径方向所定幅に亘る領域の形状を何れも同一とすることにより、前記周辺部における外周部分の径方向所定幅に亘る部分を何れも同一形状とされた第二の周辺部として、該第二の周辺部の厚さを外周側に行くに従って次第に小さくする一方、
前記前面光学部の形状を相互に異ならせることにより、前記光学部の光学特性をそれぞれ異ならせて該光学部に異なる屈折力を設定すると共に、該光学部の屈折力の相違に応じて該前面光学部の直径を異ならせ、更に、
該光学部と該第二の周辺部との径方向間に亘る部分を何れも該レンズ後面が同一形状とされた第一の周辺部とし、且つ該第一の周辺部の前記レンズ前面において該光学部と該第二の周辺部とを屈曲点を有しない湾曲面形状をもって径方向で滑らかに繋ぐと共に、該第一の周辺部における最大厚さを何れも同一とした
ことを特徴とするシリーズ型のコンタクトレンズ。 - 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記前面光学部の直径がφ5mm〜φ12mmの範囲内に設定されている請求項1に記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、前記光学部の屈折力の相違に応じて前記前面光学部の中心部厚さが異ならせられている請求項1又は2に記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記光学部の中心部厚さが0.02mm〜0.70mmの範囲内に設定されている請求項3に記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、前記光学部における屈折力が−25ディオプタ〜+25ディオプタの範囲内で、5ディオプタ以上の差をもって設定されている請求項1乃至4の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記前面周辺部が内周側に位置する第一の前面周辺部と外周側に位置する第二の前面周辺部から構成されて、該第一の前面周辺部と前記レンズ後面の間に前記第一の周辺部が形成されていると共に、該第二の前面周辺部と該レンズ後面の間に前記第二の周辺部が形成されており、該第二の周辺部が外周側に行くに従って厚さが次第に小さくなる形状とされて且つかかる複数組み合わせた該コンタクトレンズの相互間において該第二の周辺部が何れも同一形状とされていると共に、該第一の周辺部を形成する該第一の前面周辺部が径方向において前記前面光学部と該第二の前面周辺部の両者に対して共通接線を有する連続面で接続された滑らかな面で且つ前記光学部の屈折力の相違に応じて異ならされている請求項1乃至5の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 前記第一の前面周辺部が、径方向において、3次曲線で表される請求項6に記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記前面光学部の直径が前記後面光学部の直径よりも小さくされている一方、前記前面周辺部が内周側に位置する第一の前面周辺部と外周側に位置する第二の前面周辺部から構成されており、該第一の前面周辺部が該後面光学部に略対応位置せしめられて該後面光学部をオフセットした形状とされている請求項1乃至5の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの何れにおいても、前記第一の前面周辺部と前記後面光学部によって厚さが略一定とされた前記第一の周辺部が形成されていると共に、前記第二の前面周辺部が前記後面周辺部に略対応位置せしめられてそれら第二の前面周辺部と後面周辺部によって厚さが外周側に行くに従って小さくなる前記第二の周辺部が形成されて、該第一の周辺部と該第二の周辺部で前記周辺部が構成されており、更に、かかる複数組み合わせた該コンタクトレンズの相互間において、該第二の周辺部が何れも同一形状とされていると共に、該第一の周辺部の厚さが何れも同一とされており、且つ該第一の周辺部における径方向の幅寸法が互いに異ならせられている請求項8に記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズの形成材料がシリコン含有の軟質材である請求項1乃至9の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、その形成材料のヤング率:yの値が、0.2MPa≦y≦2.0MPaであり、前記周辺部の平均厚さ:Tm の値を、0.05mm≦Tm ≦0.30mmとした請求項1乃至10の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 複数組み合わせた前記コンタクトレンズにおいて、その形成材料のヤング率:yの値が、300MPa≦y≦1500MPaであり、前記周辺部の平均厚さ:Tm の値を、0.08mm≦Tm ≦0.50mmとした請求項1乃至9の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 前記後面周辺部が、径方向において前記後面光学部よりも曲率半径の大きい湾曲面形状とされている請求項1乃至12の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズ。
- 請求項1乃至13の何れかに記載のシリーズ型のコンタクトレンズを構成するコンタクトレンズの製造方法であって、
前記後面光学部と前記後面周辺部を含む前記レンズ後面の全体と、前記前面周辺部における少なくとも外周部分の径方向所定幅に亘る領域とを、モールド成形することを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
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