JP5923614B2 - 近視進行抑制能を有するコンタクトレンズおよび近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット - Google Patents

近視進行抑制能を有するコンタクトレンズおよび近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット Download PDF

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Description

本発明は、人眼における近視および近視性乱視の進行を抑制するために用いられる近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの技術に関連するものである。
人眼における近視は、生活に不都合を生ずるだけでなく、近視が高度化するにつれて網膜剥離や白内障などの病変保有の危険性が増大することも指摘されている。特に近年では、近視の有病率が増大していることから、近視進行抑制技術の社会的要求も大きくなっている。
かかる近視進行抑制技術の一つとして、コンタクトレンズを利用した調節ラグ理論や軸外収差理論に基づく近視進行抑制技術が提案されている。特に小児における近視進行は軸性近視の進行に因るものが多く、網膜より後方の外側で焦点を結ぶ遠視性の焦点誤差がトリガーとなり、この遠視性の焦点誤差を補完するように網膜が伸展して眼軸長が伸びることで近視化とその進行が生ずると考えられていることから、かかる近視進行抑制技術の効果が期待されている。なお、調節ラグ理論とは、人眼のオートフォーカス機構が、調節の必要量に対して100%応答するわけでなく、最小限の調節量で働こうとする結果、調節を必要とする近方視の状態では調節不足による遠視性の焦点誤差である調節ラグが発生することとなり、近方作業が多い程この遠視性の焦点誤差がトリガーとなって眼軸長の伸展を促して近視が進行するというものである。また、軸外収差理論とは、近視眼の眼球形状が眼軸方向に扁平な形状を示す傾向があることから、網膜中心部では網膜上で焦点が合致しても、網膜周辺では遠視性の焦点誤差が発生することとなり、これがトリガーとなって眼軸長の伸展を促して近視が進行するというものである。
このような調節ラグ理論や軸外収差理論による近視進行を抑制する具体的方法は、例えば特開2007−511803号公報(特許文献1)やWO96/16621号公報(特許文献2)に記載されているように、遠視性の焦点誤差を補正するコンタクトレンズにより、瞳孔への入射光が網膜上または網膜より手前で焦点を結ぶようにするものである。
すなわち、上記特許文献1に記載の発明は、光軸が成長した近視眼において、単焦点のコンタクトレンズを適用して、中心部分の光線が網膜上で焦点を合わせるようにレンズ度数を設定すると、網膜周辺部分では網膜より後方で焦点を結んでしまう現象に着目した。そこで、特許文献1に記載の近視進行抑制用コンタクトレンズとしては、例えば中心部分と周辺部分とに異なるレンズ度数を設定したものが採用されて、中心部分では網膜上で焦点を合わせるようにレンズ度数が設定されると共に、網膜周辺部では網膜上または網膜より手前で焦点を合わせるようにレンズ度数が設定される。
ところが、かかる従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズについて、本発明者が検討を重ねたところ、目的とする近視進行抑制効果を得るためには、網膜周辺部における遠視性の焦点誤差を補正するのに+2.0D(ディオプター)程の高い加入度数が必要とされる。そのために、遠方視に際しての網膜上での集光率が低下したり、近視性の焦点誤差が発生したりすることとなり、自覚的なQOV(見え方の質)が低下してしまうと言う問題が明らかとなった。特に、近視進行抑制用コンタクトレンズは、多くの場合に小児を対象として長期間装用されるものであるから、通常の屈折矯正用コンタクトレンズと同等なQOVが得られずに日常生活に支障が出るおそれのある従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズは、改善の余地があったのである。
また、前記特許文献2に記載の発明は、光軸上で適正な近視補正状態となる焦点に加えて、レンズ径方向の外周側に向かって次第にプラスディオプター側に移行する球面収差状の度数設定を行い、光軸上でより角膜に近い焦点を設定することにより、遠視性の焦点誤差を補正するものである。しかし、累進多焦点レンズのように明確な焦点をもたなくなってしまうこととなり、特許文献1に記載のものと同様に、QOVの大きな低下は避け難いという問題があった。特に、特許文献1に記載のものと同様、近視の抑制効果を期待して、適正な近視補正状態よりも+2.0D程の高い加入度数が設定されることから、日常生活への支障のおそれもあったのである。
特開2007−511803号公報 WO96/16621号公報
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、調節ラグ理論や軸外収差理論による近視進行の抑制効果を確保しつつ、網膜周辺部または光軸上における遠視性の焦点誤差を補正するのに必要とされる加入度数を小さく且つ適正に設定することが出来て、通常の屈折矯正用コンタクトレンズと同等で日常生活に支障がない程に良好なQOVを得ることの出来る、新規な近視進行抑制能を有するコンタクトレンズを提供することにある。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、光学部の中央領域に近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数が設定されているコンタクトレンズにおいて、前記中央領域の前記屈折矯正度数以上に近視および近視性乱視が進行するのを抑制するように、前記光学部の周辺領域には遠視性の焦点誤差を補正するために該中央領域に比してプラスの加入度数が設定されており、且つ、装用状態で周方向位置を特定するための位置決め手段が設けられていると共に、該位置決め手段による装用状態で前記光学部のレンズ光軸が、人眼の照準線と一致するように偏倚して設定されており、更に、該光学部の該周辺領域における最外周部分には、最大で且つ一定の加入度数の領域が所定幅で環状に設けられていることを特徴とする、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズである。
先ず、本発明の完成に至る段階で、本発明者が従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズについて検討した結果、前述の如き大きな加入度数の設定を必要とされることによりQOVが低下する等といった従来の問題点の主たる原因が、近視進行抑制用コンタクトレンズの装用状態における照準線とレンズ光軸とのずれにあるとの知見を得るに至った。即ち、正視眼では、図9(a)に示されるように、網膜の中心部と周辺部の何れでも網膜上に焦点位置が合わせられるが、近視眼では、図9(b)に示されるように、中心部で網膜上に焦点位置が合うように調節された単焦点レンズを装用すると、網膜の周辺部では焦点位置が網膜より後方となって遠視性のボケが発生する。そこで、従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズでは、プラスディオプターの加入度数領域を設けて網膜の周辺部の焦点位置を網膜上又は網膜より手前に設定するようになっている。ところが、本発明者が検討したところ、近視進行抑制用コンタクトレンズは、角膜等の曲率分布等により、角膜や結膜上での安定位置が偏倚しやすく、図10に示されるように眼の照準線とレンズ光軸とがずれてしまう。このずれにより、ずれ方向前方側(図10中の右側)では、焦点位置が網膜の後方側に変位してしまう。それ故、網膜の周辺部の全体に亘って、焦点位置を網膜上又は網膜より手前に設定して、目的とする近視進行抑制効果を得るためには、図10中の焦点位置aを与えるレンズでは不十分であり、同図中の焦点位置bを与えるレンズが必要とされる。一方、かかる焦点位置bを与えるレンズは、ずれ方向後方側(図10中の左側)では、焦点位置が網膜に対して過度に手前側となる。その結果、部分的に過度の加入度数の設定となってしまい、網膜の周辺部において近視性の焦点誤差が不均一に発生してコマ収差等の非対象な高次収差が発生することにより、QOVの質が低下してしまうのであろうとの、知見を得るに至ったのである。また、かくの如きレンズ装用時における眼の照準線とレンズ光軸とのずれに起因する問題は、レンズ光学部のレンズ光軸から外周に向かって度数変化が設定されることで、光軸上に多焦点が設定されるような場合でも、同様である。
このような従来技術の近視進行抑制用コンタクトレンズに関連して得られた新たな知見に基づいて為された本発明に従えば、光学部のレンズ光軸が人眼の照準線と一致するように偏倚して設定されていることにより、図1に示されているように、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10の角膜12上における安定位置が耳側等に偏倚していても、人眼14の照準線16とレンズ光軸18とのずれ量を減少させることが出来て、好適にはそれら照準線16とレンズ光軸18を一致させることが可能になる。
それ故、網膜の周辺部の全体に亘って焦点位置を網膜上又は網膜より手前に設定したり、レンズ光軸上において適正な近視補正状態となる焦点より角膜側に追加の焦点を設定するのに必要とされる加入度数を過度に高くする必要がなくなり、網膜の周辺部における焦点位置を網膜に近接した位置に均一に設定したり、レンズ光軸上で適正な近視補正度数と適切な加入度数の追加焦点を設定することが可能になる。即ち、本発明に従う構造とされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10では、従来技術の近視進行抑制用コンタクトレンズにおいて近視進行抑制効果を得るのに不十分な加入レンズ度数とされた前記図10の焦点位置aを与えるレンズと同じ加入レンズ度数を設定した場合でも、図1の焦点位置Aに示すように、網膜の周辺部の全体に亘って焦点位置を網膜上又は網膜より手前に設定することができるのである。また、レンズ光軸上で複数又は累進的な多焦点を設定する場合でも、レンズ光軸上に設定された適正な近視補正度数により、眼の照準線上で視認される適切な視力矯正による像が安定して視認されることとなり、レンズ外周側に設定された加入度数による悪影響が回避できて、光軸上で各焦点を与える光学領域に対して過度のレンズ度数設定が不要とされ得る。
従って、本発明に従う構造とされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、加入レンズ度数による焦点位置の網膜に対する相対的なずれを考慮して、光学部のレンズ光軸を眼の照準線と合わせることが出来るのであり、それによって、従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズに比して、適正な近視補正度数及び/又は加入度数を低く設定しつつも、同等の近視進行抑制効果を享受することが可能になる。
しかも、網膜の周辺部の全体に亘って、焦点位置の網膜に対するずれ量を小さく且つ略均一に設定することが可能になる。これにより、例えば、コマ収差等の非対称な高次収差における増加の抑制等が図られ得ることから、装用状態下における見え方の質(QOV)も良好に維持され得て、装用者への負担を大幅に軽減しつつ、目的とする近視進行抑制効果を得ることができる。
また、本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、光学部の最外周部分に設けられた環状の最大加入度数の補正領域により、特定距離範囲における対象物の視認性を向上させる等のチューニングが可能となって、光学特性の設定自由度の向上が図られ得る。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズにおいて、前記光学部の前記周辺領域に設定される前記加入度数の最大値が、+0.25〜+1.00ディオプター未満の範囲内とされているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、一般に+2.0ディオプター程度の加入度数が設定される従来技術のものに比して、良好な近視進行抑制効果を得ることの出来る範囲で十分に小さな加入度数が採用されることとなり、装用時のQOVも通常の屈折矯正用コンタクトレンズと同程度に、良好に維持され得る。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記周辺領域に設定される前記加入度数により該光学部に対して正の球面収差が付与されていると共に、前記位置決め手段と前記光学部のレンズ光軸の偏倚構造とにより装用状態で該光学部のレンズ光軸が前記人眼の照準線と一致するように偏倚設定されていることにより、コマ収差等の非対称な高次収差の増加に伴う自覚的QOVの低下を招くことなく焦点深度が増大されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、装用状態におけるレンズ光軸の偏倚構造により光学部のレンズ光軸と人眼の照準線とのずれが抑えられる。これにより、コマ収差等の非対称な高次収差も抑えられるから、プラスの加入度数の設定によって正の球面収差が付与されている光学特性のみを焦点深度として巧く利用することが可能になる。その結果、大きな焦点深度を調節ラグの軽減に効果的につなげることが出来て、例えば網膜の周辺部で多少の焦点位置のばらつきがあっても良好なQOVを得ることができると共に、網膜の中心窩付近や周辺部でも焦点深度の深さを利用して遠視性焦点誤差の補正効果の更なる向上が図られ得る。
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数が、該光学部の中央側から外周側に向かって無段階で漸次変化して焦点誤差の補正量が大きくなるように設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、プラスの加入度数が光学部の中央側から外周側に向かって連続的に変化して設定されることから、人眼の網膜位置に対して焦点位置を一層精度良く合わせることが可能になる。
本発明の第の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数が、該光学部の中央側から外周側に向かって段階的に変化して焦点誤差の補正量が大きくなるように設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、光学部の周辺領域において同心環状に形成された補正領域に対して、それぞれ特定の加入度数が設定されることから、光学特性の設計や測定などを容易に行なうことが出来る。また、同心環状に形成された複数の補正領域における各別の加入度数値や、それぞれの径方向幅寸法や面積などを調節することにより、光学特性について大きな設定自由度も確保され得る。
本発明の第の態様は、前記第一〜の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数を与える光学面が、レンズ前面とレンズ後面との少なくとも一方に設定されているものである。
本発明に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、加入度数の設定光学面をレンズ前後面の何れかに特定するものでなく、要求される光学特性や各寸法、採用される製造方法等を考慮して、加入度数の設定光学面をレンズ前後面に選択設定することができる。例えば、レンズ前面に加入度数を設定することにより、レンズ後面を角膜形状に相当する湾曲面形状とすることが可能であるし、レンズ後面に加入度数を設定することにより、レンズ前面用の成形型の種類を少なくして製造を容易にすることも可能になる。また、レンズ前面とレンズ後面とに加入度数を分担設定することも可能であり、加入度数が高い場合にもレンズ前面やレンズ後面における形状変化を小さく抑えることが可能になる。
本発明の第の態様は、前記第一〜の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記レンズ前面と前記レンズ後面との少なくとも一方に乱視矯正用の円柱レンズ度数を与える光学面が設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、装用眼が乱視眼である場合に、装用することで乱視矯正効果も発揮されて、装用状態でのQOVの更なる向上が図られ得る。
本発明の第の態様は、前記第一〜の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記中央領域には、レンズ光軸上となる網膜の中心部分で適正視力を与える前記屈折矯正度数が設定されていると共に、前記周辺領域には、網膜付近に焦点を与える前記加入度数が設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、焦点位置を網膜付近に設定するのに必要とされる加入度数を過度に高くする必要がなくなる。特に、コンタクトレンズの光学中心軸を積極的に偏倚させることにより、適切な屈折矯正度数の設定されたレンズ光軸を眼の照準軸に合わせた状態でコンタクトレンズの幾何中心が装用眼の眼軸からずれて装用されることを許容してコンタクトレンズの無理のない安定した装用状態を許容しつつ、周方向の位置決め手段と協働して、良好なQOVと近視抑制効果との両立が達成され得る。
本発明の第の態様は、前記第一〜の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記中央領域には、遠方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で適正視力を与える実質的に一定の適正視力矯正度数が設定された適正視力矯正領域が設けられていると共に、前記周辺領域には、近方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で調節不足を補填する実質的に一定の調節不足補填度数が前記加入度数として設定された調節不足補填領域が設けられているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、レンズ光軸上において適正な近視補正状態となる焦点より角膜側に追加の焦点を設定するのに必要とされる加入度数を過度に高くする必要がなくなる。特に、コンタクトレンズの光学中心軸を積極的に偏倚させることにより、適切な屈折矯正度数の設定されたレンズ光軸を眼の照準軸に合わせた状態でコンタクトレンズの幾何中心が装用眼の眼軸からずれて装用されることを許容してコンタクトレンズの無理のない安定した装用状態を許容しつつ、周方向の位置決め手段と協働して、良好なQOVと近視抑制効果との両立が達成され得る。
本発明の第の態様は、前記第の態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記調節不足補填度数が、前記適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内に設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、レンズ光軸が眼の照準軸に精度良く合わされた状態下で、良好なQOVを維持しつつ、有効な近視抑制効果を得るのに一層適した調節不足補填度数が設定され得る。特に、+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内の調節不足補填度数を採用することにより、日常生活で発生頻度の高い眼前40cm程度の近方視認に際して、調節ラグ理論における人眼の調節不足に起因する調節ラグ等が効果的に補償され得ることとなる。
本発明の第十一の態様は、前記第又はの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記適正視力矯正領域が、前記光学部のレンズ光軸を中心として直径が0mmを越え且つ5mm未満の大きさで設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、人眼における視覚について網膜上の中央部分に位置する中心窩での光線刺激が支配的であるという特性も考慮して、レンズ光軸が照準軸に略一致する本発明のコンタクトレンズにおいて適正視力矯正域を中心のφ5mm未満の領域で効率的に確保することができる。なお、人眼の平均的な瞳孔径を考慮した場合に、適正視力矯正域がφ5mmを越えると、その外周に設けられる調節不足補填領域が装用状態で安定して機能し難くなるおそれがある。
本発明の第十二の態様は、前記第十一の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記調節不足補填領域が、前記光学部のレンズ光軸を中心として直径が2mm以上の領域で周方向に所定幅の環状をもって設定されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、屋内での読書等の近方視の状況を考慮すると、人眼の平均的な瞳孔径を考慮した場合に、φ2mm以上の領域で調節不足補填領域を設けることにより、遠方視の状況において適正視力矯正領域による見え方を大きく阻害することなく、近方視の状況における調節不足の補填による近視進行抑制機能が良好に発揮され得ることとなる。
本発明の第十三の態様は、前記第一〜十二の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高い程、該光学部の前記周辺領域におけるプラスの加入度数が高くなるように設定されていることを、特徴とする。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットでは、近視の進行によって眼軸長が伸展して眼球形状の扁平化が進行する傾向を考慮して、光学部の中央領域における近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高い程、即ち近視および近視性乱視の進行が進んでいる程、光学部の周辺領域における加入度数が高くされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズが準備されることとなる。それ故、患者毎の近視および近視性乱視の進行程度に対して、適合する加入度数の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズを効率的に提供することが可能になる。
なお、本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットでは、光学部の中央領域における屈折矯正度数のディオプター値に対応して、光学部の周辺領域におけるプラスの加入度数が一種類だけに特定して準備されるものでなく、複数種類の加入度数が組み合わされて準備され得る。その場合には、例えば光学部の中央領域における屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高くなるのに対応して、光学部の周辺領域に設定される加入度数の最大値や加入度数の平均値がプラス側に高くなるようにして複数種類の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズが組み合わされることとなる。
本発明の第十四の態様は、前記第十三の態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットであって、前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数が−0.25〜−10ディオプターの範囲で、且つ、該光学部の前記周辺領域における前記加入度数の上限値が+0.25〜+1.00ディオプター未満の範囲に、それぞれ設定されたものの複数種類の光学特性を有する前記コンタクトレンズを含んで構成されているものである。
本態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットでは、一般に+2.0ディオプター程度の高い加入度数が設定される従来技術の近視進行抑制用コンタクトレンズに比して、良好な近視進行抑制効果を得ることの出来る範囲で十分に低い加入度数を有するものが、各患者に対して選択採用されることとなり、近視進行抑制処置に際しての近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの装用時におけるQOVが良好に確保され得る。
本発明の第十五の態様は、前記第十二の何れかの態様に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数の値に拘わらず、前記調節不足補填領域における前記調節不足補填度数が、該適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で一定の値に設定されていることを、特徴とする。
本発明の第十六の態様は、光学部の中央領域に近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数が設定されているコンタクトレンズにおいて、前記中央領域の前記屈折矯正度数以上に近視および近視性乱視が進行するのを抑制するように、前記光学部の周辺領域には遠視性の焦点誤差を補正するために該中央領域に比してプラスの加入度数が設定されており、且つ、装用状態で周方向位置を特定するための位置決め手段が設けられていると共に、該位置決め手段による装用状態で前記光学部のレンズ光軸が、人眼の照準線と一致するように偏倚して設定されており、更に、前記中央領域には、遠方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で適正視力を与える実質的に一定の適正視力矯正度数が設定された適正視力矯正領域が設けられていると共に、前記周辺領域には、近方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で調節不足を補填する実質的に一定の調節不足補填度数が前記加入度数として設定された調節不足補填領域が設けられている近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数の値に拘わらず、前記調節不足補填領域における前記調節不足補填度数が、該適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で一定の値に設定されていることを、特徴とする。
本発明の第十五および第十六の態様の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットでは、光学部の中央領域における適正視力矯正度数のディオプター値に拘わらず、光学部の周辺領域における調節不足補填度数が一種類だけに特定して準備される。即ち、本発明に係るコンタクトレンズでは、装用状態でレンズ光軸が眼の照準軸に位置合わせされることから、遠方視に対して適切な視力矯正状態が安定して発現されるのであり、その結果、予め想定される40cm程度の近方視に対して調節ラグを効果的に補償せしめ得る調節不足補填度数が、+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内の一定の値をもって効果的に設定可能となるのである。
また、このように人眼の近視等の程度に応じて各種設定される適正視力矯正度数のディオプター値に拘わらず、光学部の周辺領域における調節不足補填度数が一種類だけに特定して準備され得ることから、コンタクトレンズセットの設計が容易となるだけでなく、各個人への適合措置の作業も容易となり、且つ、目的とする近視進行抑制能も安定して得ることが可能になる。
本発明の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズまたはコンタクトレンズセットによれば、装用状態において人眼の照準線とレンズ光軸とのずれ量を小さくすることで、網膜の周辺部における焦点位置を網膜に近接した位置に均一に設定したり或いはレンズ光軸上で適正な近視補正度数と適切な加入度数の追加焦点を設定することが可能になる。それ故、装用状態で良好なQOVを確保して装用者への負担を軽減しつつ、目的とする近視進行抑制効果を得ることが可能になるのである。
本発明に従う構造とされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの人眼への装用状態を示す縦断面説明図。 本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズの正面図。 図2におけるIII−III断面図。 図2に示された第一の実施形態としてのコンタクトレンズにおいて光学部に設定された加入度数を説明するためのグラフであり、無段階で変化する例(実線)と段階的に変化する例(破線)を示す。 本実施形態のコンタクトレンズの人眼への装用状態を示す正面説明図。 本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズの光学特性と近視抑制作用を説明するための縦断面説明図。 図6に示された第二の実施形態としてのコンタクトレンズにおいて光学部に設定された加入度数を説明するためのグラフ。 図2に示されたコンタクトレンズにおいて光学部に設定された加入度数による焦点深度の増大効果を表す説明図であって、比較例1は従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズの説明図であり、実施例1は本実施形態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの説明図。 背景技術としての軸外収差理論を説明するための縦断面説明図であって、(a)は正視眼における焦点位置の説明図であり、(b)は単焦点レンズで矯正した近視眼における焦点位置の説明図。 従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズの人眼への装用状態下での焦点位置を説明するための縦断面説明図。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図2には、本発明の第一の実施形態としての近視および近視性乱視の進行を抑える近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10の正面図が示されていると共に、図3には、かかるコンタクトレンズ10の縦断面図が示されている。このコンタクトレンズ10は、全体として略球冠形状を有しており、その装用状態をモデル的に表す図1に示されているように、人眼14における角膜12の表面に重ね合わされることで装用されて使用されるようになっている。なお、以下の説明において、図1,2,8中の人眼14およびコンタクトレンズ10は、全て左眼および左眼用コンタクトレンズであり、かかる図中の左方を鼻側、右方を耳側として示す。
なお、かかる近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、ソフトタイプおよびハードタイプの何れのレンズタイプであっても良い。その材質も限定されるものでなく、例えばソフトタイプの近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、公知のPHEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)やPVP(ポリビニルピロリドン)等の含水性材料の他、アクリルゴムやシリコーン等の非含水性材料等も採用可能である。また、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)やSiMA/MMAポリマー等のガス透過性レンズ(RGPレンズ)などの材質を採用して、ハードタイプの近視進行抑制能を有するコンタクトレンズとすることも可能である。
より詳細には、本実施形態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、図2に示された正面視において円形状とされており、図2〜3に示されているように、略凸形の球冠形状面とされたレンズ前面20と、略凹形の球冠形状面とされたレンズ後面22を有している。
また、かかるコンタクトレンズ10は、構造上、中央部分において正面視で略円形に広がる光学部24と、光学部24の周囲を取り囲むようにして正面視で略円環形状に広がる周辺部26と、周辺部26の周囲でレンズ最外周縁部に位置してレンズ前後面を接続するエッジ部28とによって構成されている。
光学部24は、装用者の瞳孔を通じて入射される光を網膜へ投射する光路上に位置せしめられて、人眼14への入射光に所定の屈折力を及ぼす光学領域である。即ち、光学部24は、装用者の瞳孔を覆い得る大きさをもって形成されることとなり、一般に、人眼における拡大された瞳孔径を考慮すると、5〜8mmの外径寸法をもって形成されることが望ましい。そして、この光学部24には、装用者における眼光学系の光学特性に応じて、近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数と近視進行抑制用の加入度数が設定されている。
すなわち、かかる光学部24には、その光軸中心30を有する中央領域32において、近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数が設定されている。例えば装用者が乱視矯正を必要としない近視眼である場合には、裸眼での近視性のボケを解消するように、近視の程度に応じたマイナスディオプターの近視矯正用レンズ度数が、光学部24の中央領域32に球面レンズ度数として設定される。本実施形態では、中央領域32において、かかる屈折矯正度数が設定されることにより、レンズ光軸18上となる網膜の中心部分で、遠方視に際して適切な視力が与えられるようにされている。
また、光学部24において中央領域32の外周側に位置する環状の周辺領域34には、近視進行抑制用の加入度数が設定されている。この加入度数は、装用者の眼軸長の伸展等の影響を受けた網膜周辺部の形状を考慮して、網膜の周辺部における焦点位置が網膜上または網膜より前方側の網膜に近い位置となるように設定される。一般に、近視進行抑制処置の対象眼では、網膜の周辺部が眼軸方向に伸びるように扁平した略卵形状となることから、かかる周辺領域34の加入度数は、遠視性の焦点誤差を補正するために中央領域32に対してプラスディオプターとなり、更に好適には、光学部24の中央側から外周側に向かって高くなるように変化した加入度数が設定される。本実施形態では、周辺領域34において、かかる加入度数が設定されることにより、網膜付近、即ちレンズ光軸18外となる網膜の周辺部分の網膜よりも角膜12側の位置で焦点を与えるようにされている。なお、このような加入度数の最大値は、好適には+0.25〜+1.00未満のディオプターの範囲内に設定される。
具体的には、例えば図4に実線で示されているように、光学部24の中央である光軸中心30側から外周側である周辺領域34に向かって径方向で無段階で漸次に連続して変化する加入度数が設定される。これにより、光学部24には正の球面収差が付与されている。その結果、加入度数のない単焦点レンズの焦点位置に比して、外周側に行くに従って前方側に向かって焦点誤差の補正量が大きくなるようにされて、中心から外周に向かって連続的に非球面状に変化する網膜の位置に対して、焦点位置を精度よく合わせることが可能になる。
なお、光学部24の屈折矯正度数が設定された中央領域32には、装用者の生活環境や好み、加入度数の程度などに応じて、任意の外径寸法が設定され得る。例えば、光学部24の光軸中心30を始点として、外周側に向かって次第に増大する加入度数を設定することにより、加入度数が付加されていない中央領域32が光軸中心30上にだけ形成されていても良い。
また、図4に示されているように、光学部24の周辺領域34における最外周部分に、最大で且つ一定の加入度数が設定されて径方向所定幅で広がる環状の最大加入部36が設けられていても良い。このような最大の加入度数の領域を、所定面積で設けることにより、例えば特定の距離領域の対象物に対する視認性を向上させる等のチューニングも可能になる。なお、この環状の最大加入部36は、φ2mm以上の領域に形成されることが望ましく、それによって、中央領域32による上述の如き焦点誤差の補正効果が、良好に確保され得る。
なお、上述の説明から明らかなように、図4における縦軸の「光学部の半径」は、網膜上で網膜の中心から外れた位置で焦点を与える光線の入射位置を示すものである。一般に、かかる光線は、光軸に対して傾斜した光線となることから、図4中の横軸の「レンズ度数差」も、レンズ中心軸上の光線に対するレンズ度数を基準として、傾斜光線に対するレンズ度数の差を表したものとなる。
また、周辺領域34における加入度数の設定態様は、上述の如き、中心から外周に向かって連続的に無段階に変化するものに限定されない。例えば、図4に破線で示されているように、中央側から外周側に向かって段階的に高くなる加入度数の設定態様も採用可能である。なお、段階的な加入度数の設定に際しては、各加入度数のステージ間において、隣り合う加入度数の間を滑らかにつなぐように加入度数が変化する領域を設けても良い。このように加入度数を段階的に設定しても、無段階に設定される際と同様の効果が発揮され得る。
加えて、装用者における眼光学系の光学特性が乱視を含む場合には、上述の如き球面レンズ度数が設定された中央領域32と加入度数が設定された周辺領域34からなる光学部24に対して、かかる乱視を矯正するための円柱レンズ度数が設定され得る。即ち、装用者の乱視を矯正するのに必要とされる円柱レンズ度数が、所定の円柱軸角度をもって、光学部24に対して設定されることとなる。
なお、光学部24において、上述の如き球面レンズ度数や加入度数、円柱レンズ度数を与える光学面は、レンズ前面20とレンズ後面22の何れに設定することも可能であり、それらレンズ前後両面20,22において協働して所定の光学特性が発揮されるように設定しても良い。
具体的に例示すると、光学部24のレンズ前面20とレンズ後面22の一方の面が角膜曲率半径等を考慮した曲率半径の球面形状とされると共に、他方の面が必要とされる球面レンズ度数を与える曲率半径の球面形状とされる。更に、それらレンズ前後面20,22の少なくとも一方において、加入度数を与える非球面が付加されると共に、必要に応じて、特定の径方向軸をもつトーリック面も付加される。そして、これらレンズ前面20とレンズ後面22が同じ光軸中心30上で形成されることによって、上述の如き光学特性を備えた光学部24が実現され得る。
一方、光学部24の周囲に形成された周辺部26は、光学部24から滑らかに繋がったレンズ前後面20,22をもって形成されているが、眼光学系の光学特性に影響を及ぼさない領域とされている。また、かかる周辺部26は、径方向幅寸法が周方向で変化しており、図2の左側の狭幅部分と右側の広幅部分との間で径方向幅寸法が連続的に変化している。
すなわち、周辺部26の外周縁部に位置するエッジ部28によりレンズ外形が規定されることとなるが、本実施形態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、レンズ外形の中心であるレンズ幾何中心38を中心とした円形の外周形状を有している。一方、光学部24の光軸中心30は、レンズ幾何中心38に対して、所定の偏心量:δ(δ≠0)だけずれている。なお、光学部24の外形は、光軸中心30を幾何中心とする必要はないが、本実施形態では、光軸中心30を中心とする略円形の外形をもって光学部24が設けられている。
さらに、周辺部26には、装用状態下でかかるコンタクトレンズ10を周方向に位置決めする位置決め手段が設けられており、この位置決め手段により、レンズ幾何中心38に対する光学部24の光軸中心30の偏心方向が、装用状態で略水平方向となるように設定されている。即ち、図2中に示された光学部24の偏心方向線40が略水平方向となり、レンズ幾何中心38や光軸中心30を通り偏心方向線40に直交してのびる直交方向線42,44が略鉛直方向となる状態で、本実施形態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10が装用状態で位置決めされるようになっている。
ここにおいて、位置決め手段としては、従来から公知の各種構造が採用可能である。具体的に例示すると、実開昭48−13048号公報等に開示の「トランケーション法」や、特開平11−258553号公報等に開示の「プリズムバラスト法」、特開平8−304745号公報等に開示の「スラブオフ法(ダブルシン法)」が良く知られており、その他、米国特許第5100225号明細書等に開示された「ペリバラスト法」等も採用可能である。即ち、「トランケーション法」は、レンズ下端外周を弦方向に直線形状として下眼瞼で支持させることでコンタクトレンズを周方向に位置決めするものである。「プリズムバラスト法」は、レンズ全体にプリズムを設定して下方に向かって厚肉とさせることで重力作用を利用してコンタクトレンズを周方向に位置決めするものである。「スラブオフ法」は、レンズ上下に向けて薄肉部を設けて、レンズ上下部分への眼瞼による銜え込み作用やレンズ上下部の傾斜面への眼瞼圧作用を利用してコンタクトレンズを周方向に位置決めするものである。「ペリバラスト法」は、レンズ周辺部の左右両側で下方に偏倚した位置に一対の厚肉部を形成して、これら一対の厚肉部による重量バランスを利用してコンタクトレンズを周方向に位置決めするものである。
特に図2では、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10においてスラブオフ法による周方向の位置決め手段を適用した例が図示されている。即ち、水平方向にのびる偏心方向線40を挟んで光学部24の上下両側に位置する部分において、周辺部26には、中央から上下両側に向かって次第に薄肉となる上下一対のスラブオフ領域46,46が形成されている。なお、スラブオフ領域46,46を与える薄肉面は、レンズ前後面20,22の何れか一方又は両方に対して形成することが可能であり、本実施形態では、図2,3に示されているように、レンズ前面20にのみ形成されている。
特に本実施形態では、上下一対のスラブオフ領域46,46が、偏心方向線40に関して線対称形状をもって形成されている。これにより、かかるコンタクトレンズ10は、人眼14への装用状態下で、偏心方向線40が略水平方向となり、直交方向線42,44が略鉛直方向となる状態に、角膜12上で位置決めされるようになっている。
また、本実施形態では、周辺部26において、周方向位置を目視等で認識可能とするマーク48が設けられている。このマーク48は、例えば周辺部26に設けられた刻印や着色等の認識可能な構造をもって形成されており、文字や記号を構成していても良い。周辺部26の周上におけるマーク48の位置が予め特定されること等により、マーク48に基づいて、レンズ幾何中心38に対する光軸中心30の相対的な偏倚方向を認識することができるようになっている。
例えば、偏心方向線40上で光学部24を挟んだ何れか一方の側にマーク48を付することにより、または、直交方向線42上で光学部24を挟んだ何れか一方の側にマーク48を付することにより、かかるマーク48の位置に基づいて光軸中心30の偏心方向を認識することが可能とされる。因みに、図2に示された本実施形態では、偏心方向線40上で光軸中心30の偏心側と反対の側に位置して、着色された円形のマーク48が設けられている。
上述の如き構造とされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、適当な材料で予め重合成形されたブロックを直接に切削加工することで形成することも可能であるが、良好な量産性と優れた品質安定性の実現には、モールド成形によって製造することが望ましい。何れの製造方法も公知の手法で実施可能であることから詳細な説明は省略するが、例えば、レンズ前面20に対応した略凹形球冠形状の成形面を有する雌型と、レンズ後面22に対応した略凸形球冠形状の成形面を有する雄型とを用い、それら雌雄両型を相互に型合わせすることによって両型の成形面間に画成された略密閉状の成形キャビティ内で、所定の重合用モノマーを重合成形することによって、目的とするレンズ前後面20,22を備えた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10をモールド成形することが可能である。
このような構造とされた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、図1に示すように、人眼14の角膜12の表面に重ね合わされて装用される。かかる装用状態では、周辺部26に設けられたスラブオフ領域46,46からなる位置決め手段により周方向に位置決めされて、レンズ幾何中心38に対する光軸中心30の偏心方向が水平方向とされることとなる。そして、かかる装用状態下におけるコンタクトレンズ10は、光軸中心30の偏心方向が、装用者の鼻側となる顔中心側となるように左右位置決めされる。この左右位置決めは、周辺部26に付されたマーク48を目印として、かかるマーク48が装用者の耳側となる顔外側となるように設定されることで実現可能である。また、周方向の位置合わせが一旦行なわれた後は、位置決め手段によって周方向位置が保たれることとなる。
而して、このようにして装用された近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、光軸中心30がレンズ幾何中心38に対して鼻側に偏心量:δだけ偏倚した状態とされるが、この偏倚の結果、装用者の照準線16に対するレンズ光軸18(光軸中心30)のずれ量が効果的に抑えられるのである。
すなわち、図5に示されているように、人眼14に装用した近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10は、角膜12や結膜の曲率半径が鼻側と耳側で異なることや、作用する眼瞼圧の方向や分布が鼻側と耳側で異なることなどから、角膜12の中心から耳側にずれた位置で安定し易い。それ故、この安定位置における瞳孔中心とレンズ幾何中心38とのずれ量に対応して、光軸中心30の偏心量:δを設定することにより、装用状態下でかかるコンタクトレンズ10の光軸中心30が、照準線16の軸上に位置せしめられることとなる。
なお、図5は、図面代用写真であるが、装用状態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10を確認し易くするために、かかるコンタクトレンズ10のエッジ部28と光学部24の外縁および光軸中心30が設定された中央領域32の外縁等を、図中でそれぞれ強調する線をもって表している。また、かかるコンタクトレンズ10は、一般に、装用者の左右両眼にそれぞれ装用されて使用されることとなるが、図5では、左眼だけを示す。右眼では、図5から180度回転させた状態でコンタクトレンズ10が装用されることにより、光軸中心30の偏心方向が鼻側となる状態で周方向に位置合わせされて用いられ、それによって、光軸中心30が右眼の照準線16の軸上に位置せしめられることとなる。
従って、本実施形態の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10では、図1に示されているように、かかるコンタクトレンズ10の角膜12上における安定位置が耳側に偏倚した状態下においても、人眼14の照準線16とレンズ光軸18(光軸中心30)とのずれ量を減少させることが出来て、好適には、装用状態下において、それら照準線16とレンズ光軸18(光軸中心30)を一致させることが可能になる。それ故、網膜の周辺部の全体に亘って焦点位置を網膜上又は網膜より手前に設定するのに必要とされる加入度数を過度に高くせずとも、網膜の周辺部における焦点位置を網膜に近接した位置へ均一に設定することが可能になる。その結果、従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズに比して、加入度数を小さく設定しつつも、同等の近視進行抑制効果を享受することが可能になるのである。即ち、中央領域32に比してプラスの加入度数が周辺領域34に設定されることにより、中央領域32に設定される屈折矯正度数以上の近視および近視性乱視の進行が抑制され得るのである。
しかも、人眼14の照準線16とレンズ光軸18(光軸中心30)とのずれ量を減少させることで、加入度数を低く設定できることに加えて、コマ収差等の非対称な高次収差を抑えることが可能になる。それ故、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ10の装用状態下における見え方の質(QOV)が通常の屈折矯正用コンタクトレンズと同程度に良好に維持され得て、装用者への負担を大幅に軽減しつつ、目的とする近視進行抑制効果を得ることが可能になる。
加えて、人眼14の照準線16とレンズ光軸18(光軸中心30)とのずれ量が小さくされることにより、コマ収差などの非対称な高次収差の発生が抑えられると、加入度数の設定で光学部24に与えられる球面収差のみが効果的に発揮される。これにより、焦点位置に多少のずれがあっても見え方の質(自覚的QOV)が良好に維持された焦点深度として利用できることとなる。このように焦点深度の増大によって良好な見え方の範囲が広くなることにより、特に網膜の中心窩付近でも遠視性焦点誤差の補正効果の更なる向上が期待され得る。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズ10は、有効な近視進行抑制能を有すると共に、良好なQOVを併せて有するものである。それ故、本発明に係るコンタクトレンズは、その用途が近視進行抑制用に限定されるものではなく、例えば、近視進行抑制用を目的としない一般的な近視や近視性乱視を矯正する屈折矯正用コンタクトレンズとしても用いることが可能である。
以上、第一の実施形態であるコンタクトレンズ10として、軸外収差理論を考慮した近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの具体的構成を例示したが、本発明は、調節ラグ理論を考慮した近視進行抑制能を有するコンタクトレンズに適用することも可能であり、以下に第二の実施形態としてその具体的構成を例示する。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の部位については、図中に、前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
本実施形態のコンタクトレンズの基本的な構造は、第一の実施形態と同じであり、材質の他、図2,3に示されている如き基本形状やレンズ幾何中心から偏倚した光学中心をもって形成された光学部、更に装用状態での周方向の位置決め手段などを、第一の実施形態のコンタクトレンズ10と同様に備えている。
一方、図6に示されているように、本実施形態のコンタクトレンズ50は、その光学部における光学特性が、第一の実施形態とは異ならされている。具体的には、図7に例示されているように、遠方視用の矯正度数を与える中央領域32において、そのレンズ光軸18上の中央部分には、遠方視に際して適正視力を与える一定の適正視力矯正度数が設定された適正視力矯正領域52が設けられている。なお、適正視力矯正度数とは、図6中、近視眼の裸眼において光学特性を示す破線での光軸上焦点の位置を矯正して、網膜上の略中心窩に焦点を設定することで適正視力矯正状態と為し得るのに必要なレンズ度数をいう。
また、適正視力矯正領域52は、装用者の生活環境や裸眼視力等を考慮して適宜の大きさで設定可能であり、好適には光学部24のレンズ光軸18を中心として直径が0mmを越え且つ5mm未満の大きさで設定される。かかる適正視力矯正領域が、φ0mmを超えた直径をもって形成されることで、適正視力矯正領域による視力矯正効果が有利に発揮される。また、適正視力矯正領域は、φ5mm未満の直径をもって形成されることが望ましく、それによって、遠方視に際しての見え方を過度に阻害することが回避される。なお、適正視力矯正領域52に設定されるレンズ度数は実質的に一定であれば良く、単焦点レンズにおいて現れる球面収差程度の度数変化は、光学的に悪影響がなく十分に許容され得る。
ところで、適正視力矯正領域52に設定される適正視力矯正度数による視力矯正状態では、遠方視を想定した平行光線の入射時において、レンズ光軸18上の焦点が網膜上に位置する状態となり、この「適正視力矯正状態」では、図6中破線で示される裸眼焦点が、図6中実線で示されるように網膜上の適正矯正焦点の位置に矯正される。ところが、読書などの近方視を想定した眼前40cmの視認状態では、図6中二点鎖線で示されるように、「適正視力矯正状態」のCL装用時に、近視の過矯正となり、レンズ光軸18上において網膜よりも後方で焦点を結ぶ。この網膜より後方の焦点は、装用眼に残された調節能力によって網膜位置に調節されることで、明瞭視の状態とされる。
しかしながら、近方視に際しての眼の焦点位置の調節は、一般に適正位置に達しない量で調節される(調節ラグ理論)ことから、図6中に二点鎖線で示されるように、レンズ光軸18上において、網膜上まで達せずに、網膜よりも後方に焦点を位置せしめるに止まる。これを「調節ラグ」といい、眼前40cmに指標を設定した調節刺激に対して、20〜25歳の若年者で平均的に0.50〜0.75ディオプターの調節不足が認められている。因みに、調節ラグ理論では、このような近方視に際しての人眼の調節不足を、眼軸長の成長による近視進行の一因と考えている。
ここにおいて、本実施形態のコンタクトレンズでは、図7に示されているように、光学部24の周辺領域34に、近方視に際して調節不足を補填する、実質的に一定の調節不足補填度数が設定された調節不足補填領域54が設けられている。なお、調節不足補填度数とは、図6中、コンタクトレンズ50の中央領域32に設定された適正視力矯正度数による適正視力矯正状態下での近方視で現れる過矯正状の焦点を、調節ラグに相当する分だけ調節不足を補填的に補って網膜上の略中心窩に焦点を設定することで、近方視でも適正な矯正状態と為し得るのに必要なレンズ度数をいう。
また、調節不足補填領域54は、装用者の生活環境等を考慮して適宜の大きさで設定可能であり、好適には光学部24のレンズ光軸18を中心として直径が2mm以上の領域において、0.10mm以上の径方向幅寸法をもって環状に設定される。なお、かかる調節不足補填領域54に設定されるレンズ度数は実質的に一定であれば良く、単焦点レンズにおいて現れる球面収差程度の度数変化は、光学的に悪影響がなく十分に許容され得る。
特に本実施形態では、中央領域32における適正視力矯正領域52の外周側と、周辺領域34における調節不足補填領域54との間に、移行領域56が設定されている。この移行領域56は、中央領域32と周辺領域34の両者間に跨がっており、適正視力矯正度数から調節不足補填度数にまで漸次に変化するレンズ度数をもって形成されている。このような移行領域56は必須でないが、移行領域56を設けることにより、第一実施形態にも記載のように焦点深度の増大や、イメージジャンプ等の不具合防止によるQOVの向上などの効果が達成される。
このように調節不足補填領域54が設けられていることで、本実施形態のコンタクトレンズ50では、レンズ光軸および眼の照準軸上における焦点位置の設定に際して、適正視力矯正状態による遠方視焦点で屋外活動時等の視力を確保しつつ、読書等の眼前40cm程度の近方視での調節刺激に対して調節不足を補うように、近方視時の光軸上の焦点位置が+0.5ディオプター前方に設定されている。
そして、本実施形態のコンタクトレンズ50では、屋外での遠方視を考慮して中央領域32に適正視力を与える適正視力矯正領域52を設けたことにより、昼間の活動など瞳孔が小さい場合でも遠方視焦点が明瞭に得られることとなる。一方、屋内での読書やゲーム、モバイル、パソコン等を考慮して、周辺領域34に近方視時の調節不足を補填し焦点が過度な近視矯正にならないように、適正視力矯正度数に拘らず、適正視力矯正度数に比してプラスディオプターとなる一定の付加度数領域として調節不足補填領域54を与えた。このように、本実施形態のコンタクトレンズ50では、近方視時の光軸上での焦点位置の調節により、特に近方視の多い現代の子供や青少年の生活状況を考慮して、新規な近視抑制理論を構築し得たのであり、以下の実施例に示すように、その効果も確認済みである。
図8は、調節不足補填領域に+0.5Dの加入度数が設定された第二の実施形態に従う構造の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ(実施例1)について、+0.25Dおよび+0.50Dの焦点誤差が発生した場合のランドルト環の見え方を、網膜光学像のシミュレーション結果として表示したものである。また、同じ加入度数が設定された近視進行抑制用コンタクトレンズであって、光軸中心が偏心設定されておらずに照準線とレンズ光軸とが0.5mmずれている場合を、比較例1として、図8に併せ示す。これらのシミュレーション結果の取得には、ZEMAX Development Corporation製の光学設計ソフトZEMAX Engineering Editionを用いた。
次に、[表1]には、第二の実施形態に従う構造の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ(実施例2)と従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズ(比較例2,3)における近視進行抑制効果の効果試験の結果が示されている。なお、比較例2の試験結果は、Sankaridurgらによる非特許文献1「Investigative Ophthalmology & Visual Science,2011;52:9362−9367」に基づくものである。また、比較例3の試験結果は、Ansticeらによる非特許文献2「Ophthalmology,2011;118:1152−1161」に基づくものである。
本効果試験では、試験レンズを装用する被験者と対照レンズを装用する被験者の各々の眼軸長の変化量と眼の屈折力(他覚的屈折値)の変化量を測定した。即ち、先ず、試験前に各被験者の眼軸長の長さおよび眼の屈折力を光干渉式眼軸長測定装置や波面センサーまたは両眼開放型オートレフラクトメーターで測定した。その後、各被験者は所定の期間において試験レンズまたは対照レンズを装用して、試験期間後に再び眼軸長の長さおよび眼の屈折力を測定した。このようにして、試験期間前後における各被験者の眼軸長の長さの変化量および眼の屈折力の変化量を算出した。なお、本効果試験では7〜16歳の児童を対象とした。
実施例2、比較例2,3の効果試験のそれぞれにおいて、眼軸長および眼の光屈折力の測定の際に用いられる光干渉式眼軸長測定装置や波面センサーまたは両眼開放型オートレフラクトメーターには以下の機器を使用した。
[実施例2]
・眼軸長測定 「Carl Zeiss社製 IOLMaster」
・屈折力測定 「株式会社トプコン社製 KR−9000PW」
[比較例2]
・眼軸長測定 「Carl Zeiss社製 IOLMaster」
・屈折力測定 「株式会社レクザム製 SHIN−NIPPON NVision−K5001」
[比較例3]
・眼軸長測定 「Carl Zeiss社製 IOLMaster」
・屈折力測定 「Carl Zeiss社製 HARK−599」
ここにおいて、実施例2、比較例2,3の効果試験においては、対照レンズとしてそれぞれ、単焦点ソフトコンタクトレンズ、単焦点眼鏡、単焦点ソフトコンタクトレンズを使用した。また、前述のように実施例2の試験レンズは第二の実施形態に従う構造の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであり、かかる試験レンズの最大加入度数である調節不足補填度数は+0.5Dとされている。そして、比較例2,3の試験レンズは従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズである。具体的には、比較例2の試験レンズは、中央に屈折異常を補正する領域を有すると共に、かかる中央領域の外周に加入度数を+2.0Dまで徐々に上昇させた領域を有している。また、比較例3の試験レンズは、中央に屈折異常を補正する補正領域(C1)を有すると共に、かかる中央領域の外周には、+2.0Dの加入度数を有する領域(T1,T2)と補正領域(C2,C3)が交互に設けられている(非特許文献2Fig1.A参照)。
かかる試験後に、実施例2、比較例2,3のそれぞれについて、眼軸長の変化量および眼の屈折力の変化量におけるそれぞれの平均値を算出して、抑制率(((対照レンズの変化量−試験レンズの変化量)/対照レンズの変化量)×100)を算出した。
その結果、実施例2の試験レンズの最大加入度数が+0.5Dであるのに対して、比較例2,3の試験レンズの最大加入度数が何れも+2.0Dとされているに拘わらず、眼軸長変化量および眼の屈折力変化量の抑制率には大きな差異が認められなかった。このことから、第二の実施形態に従う構造の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズでは、従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズよりも加入度数を抑えつつ、従来構造の近視進行抑制用コンタクトレンズと同等な近視進行抑制効果が得られることが確認できた。
さらに、第二の実施形態に従う構造とされたコンタクトレンズにおいて、調節不足補填度数として+0.50〜0.75ディオプターの範囲内の設定値が好適に採用されることは、前述のように眼前40cmに指標を設定した調節刺激に対して、20〜25歳の若年者で平均的に0.50〜0.75ディオプターの調節不足が測定される事実から明らかであるが、かかる調節不足補填度数は、以下の演算から求めることもできる。即ち、調節ラグである調節不足量は、「実際の調節刺激量に対する実際に使われた調節力の差分」で表されることから、眼前40cmの調節刺激は100/40=2.5Dで表され、これを注視したときに使われた調節力が2.0Dであったとすると、2.5−2.0=0.5Dが調節不足量となるのである。なお、調節力については、例えば適正視力矯正度数が−2Dの近視の人が、眼前40cmを注視している時の屈折力を測定すると−4Dであった場合には、−2D−(−4D)=2Dとなり、実際に使われた調節力は2Dということになる。
また、調節不足補填度数として+0.50〜0.75ディオプターが一層好適であることは、実施例2の試験レンズと同様に第二の実施形態に従う構造を有するコンタクトレンズであって、最大加入度数である調節不足補填度数として+0.50D、+0.75D、+1.0Dを設定した各実施例3〜5のコンタクトレンズレンズについて、調節力不足の補填状況を自覚的測定すると共に、遠方視および近方視での見え方の鮮明度およびコントラスト感度を主観的測定した結果を表す以下の[表2]の実験結果からも明らかである。
なお、[表2]中、「N.S.」は「対照レンズとして用いた単焦点コンタクトレンズと比較して統計的有意差を認めなかった測定結果」を表す。また、「×」は「対照レンズとして用いた単焦点コンタクトレンズと比較して統計的有意差に劣った測定結果」を表し、「○」は「対照レンズとして用いた単焦点コンタクトレンズと比較して統計的有意差に優った」測定結果を表す。ここで、本実験において、対照レンズである単焦点コンタクトレンズとしては、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社製「2ウィークアキュビュー」(登録商標)を採用した。また、本実験は22人、44眼を対象に実施した。なお、[表2]中、「CL矯正視力」は、実施例3〜5のコンタクトレンズと対照レンズである単焦点コンタクトレンズをそれぞれ装用した際の視力の比較を示しており、「調節力不足の補填」は、実施例3〜5のコンタクトレンズを装用した際において、近方視側への明視域が拡大するかを、対照レンズである単焦点コンタクトレンズを装用した場合と比較したものである。また、「見え方の鮮明性」は、実施例3〜5のコンタクトレンズと対照レンズである単焦点コンタクトレンズをそれぞれ装用した際に、ボケ等がなく像が見えるかを比較したものである。更に、「コントラスト感度」は、実施例3〜5のコンタクトレンズと対照レンズである単焦点コンタクトレンズをそれぞれ装用して、所定の距離に配置したコントラストが100%の像と10%の像をそれぞれ視認した際の、見え方を比較したものである。
以上、本発明について詳述してきたが、本発明は、上述の実施形態および実施例の記載によって、限定的に解釈されるものでない。一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。
例えば、本発明に係るコンタクトレンズにおいて採用される光学部の外形やレンズ外形は、実施形態に記載の如き円形である必要はなく、例えば楕円形状なども採用可能である。
また、本発明に係るコンタクトレンズにおいて、多くの場合には、各種設定値を適当な間隔で変更設定した複数種類を組み合わせてシリーズとして市場に提供されることとなる。具体的には、装用者毎の近視の程度に対応するために、光学部24に設定される近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数として互いに異なる値が設定された複数種類の光学特性を有するものを互いに組み合わせて、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットとして、市場に提供され得る。一方、光学部24に設定される加入度数の大きさも、装用者毎の網膜形状等に対応するために、光学部24に設定される加入度数として互いに異なる値が設定された複数種類の光学特性を有するものを提供することが必要となる。
ここにおいて、全ての屈折矯正度数毎に、全ての加入度数を準備することも可能であるが、特に前記第一の実施形態に記載のコンタクトレンズ10の如き軸外収差理論に基づく近視抑制能を有するコンタクトレンズでは、かかる屈折矯正度数の大きさに応じて必要とされる加入度数の大きさの程度が異なる傾向にある。一般に、屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高い程、必要とされる加入度数のディオプター値もプラス側に高くなる。それ故、屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高い程、加入度数のディオプター値がプラス側に高くなるように設定されて、複数種類の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズが組み合わされたセットを市場に提供することにより、患者毎の近視の進行程度に対して、適合する加入度数のコンタクトレンズを効率的に提供することが可能になる。
特に、本発明に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズの適用者を考慮すると、屈折矯正度数が−0.25〜−10ディオプターの範囲で、且つ、加入度数の最大値が+0.25〜+1.00未満のディオプターの範囲にそれぞれ設定されたものの複数種類の光学特性を有するコンタクトレンズを、少なくとも含むように組み合わされて近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットとして市場に提供されることがより効率的である。
一方、前記第二の実施形態に記載のコンタクトレンズ50の如き調節ラグ理論に基づく近視抑制能を有するコンタクトレンズでは、遠方視に際して適正視力を与えるように矯正された状態を基準として特定距離の近方視に際しての調節不足補填度数を設定するものであることから、適正視力矯正領域に設定される適正視力矯正度数の大きさに拘わらず、必要とされる加入度数の大きさは略一定に設定され得る。一般に、装用者の生活環境等を考慮して近方視の距離が40cm程度に設定されることから、調節不足補填度数としては、適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で設定され、より好適には適正視力矯正度数の大きさに拘わらず一定の調節不足補填度数が設定される。
従って、前記第二の実施形態に記載のコンタクトレンズ50を含んだコンタクトレンズセットにおいては、適正視力矯正領域に設定される適正視力矯正度数として相互に異なる値のものを組み合わせて採用する一方、それぞれのレンズにおける調節不足補填領域に設定される調節不足補填度数は、各適正視力矯正度数の値に拘らず、各適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で一定の値が設定されることがより効率的である。
また、本発明に係る近視進行抑制能を有するコンタクトレンズは、装用時における人眼14の照準線16に対してレンズ光軸18(光軸中心30)が完全に一致していなくても、前述の如き技術的効果が発揮されるが、人眼14の照準線16とレンズ光軸18(光軸中心30)のずれ量を十分に小さくすることが望ましく、好適には0.5mm以下のずれ量に抑えられる。かかるずれ量を抑えるには、統計上、レンズ幾何中心38に対する光軸中心30の偏心量:δを、0.25〜1.25mmの範囲内に設定することが望ましく、より好適には0.25〜0.75mmの範囲内に設定される。なお、装用状態での安定位置におけるレンズ偏倚量の個人差を考慮して、レンズ幾何中心38に対する光軸中心30の偏心量:δを互いに異なる値に設定した複数種類の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズを、上記シリーズ中に含ませて市場に提供することも可能である。
なお、前記実施形態では、レンズ幾何中心38に対する光学部24の光軸中心30の偏心方向が装用状態で略水平とされていたが、必ずしもその必要はない。すなわち、本発明においては、レンズ幾何中心38に対して光学部24のレンズ光軸18(光軸中心30)が人眼14の照準線16と一致するように偏倚していればよく、光学部24の光軸中心30がレンズ幾何中心38を通る水平な直線上から外れていても良い。要するに、偏心方向線40は、装用状態で水平に延びている必要はなく、水平軸に対して傾斜していても良い。かかる傾斜角度は、例えば装用者毎の角膜形状やレンズ安定位置などに応じて設定されても良いし、複数の装用者における角膜形状やレンズ安定位置などの平均等から設定されても良い。
また、前記実施形態では、マーク48は偏心方向線40または直交方向線42上に設けられていたが、必ずしもその必要はなく、コンタクトレンズ10における光軸中心30の偏心方向に対応した特定の周方向位置が判別可能であれば、マーク48は偏心方向線40や直交方向線42上から外れていても良い。
10,50:(近視進行抑制能を有する)コンタクトレンズ、14:人眼、16:照準線、18:レンズ光軸、20:レンズ前面、22:レンズ後面、24:光学部、30:光軸中心、32:中央領域、34:周辺領域、36:最大加入部、38:レンズ幾何中心、46:スラブオフ領域、52:適正視力矯正領域、54:調節不足補填領域

Claims (16)

  1. 光学部の中央領域に近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数が設定されているコンタクトレンズにおいて、
    前記中央領域の前記屈折矯正度数以上に近視および近視性乱視が進行するのを抑制するように、前記光学部の周辺領域には遠視性の焦点誤差を補正するために該中央領域に比してプラスの加入度数が設定されており、且つ、
    装用状態で周方向位置を特定するための位置決め手段が設けられていると共に、該位置決め手段による装用状態で前記光学部のレンズ光軸が、人眼の照準線と一致するように偏倚して設定されており、更に、
    該光学部の該周辺領域における最外周部分には、最大で且つ一定の加入度数の領域が所定幅で環状に設けられていること
    を特徴とする、近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  2. 前記光学部の前記周辺領域に設定される前記加入度数の最大値が、+0.25〜+1.00ディオプター未満の範囲内である請求項1に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  3. 前記光学部の前記周辺領域に設定される前記加入度数により該光学部に対して正の球面収差が付与されていると共に、前記位置決め手段と前記光学部のレンズ光軸の偏倚構造とにより装用状態で該光学部のレンズ光軸が前記人眼の照準線と一致するように偏倚設定されていることにより、コマ収差等の非対称な高次収差の増加に伴う自覚的QOVの低下を招くことなく焦点深度が増大されている請求項1又は2に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  4. 前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数が、該光学部の中央側から外周側に向かって無段階で漸次変化して焦点誤差の補正量が大きくなるように設定されている請求項1〜3の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  5. 前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数が、該光学部の中央側から外周側に向かって段階的に変化して焦点誤差の補正量が大きくなるように設定されている請求項1〜3の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  6. 前記光学部の前記周辺領域における前記加入度数を与える光学面が、レンズ前面とレンズ後面との少なくとも一方に設定されている請求項1〜の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  7. 前記光学部の前記レンズ前面と前記レンズ後面との少なくとも一方に乱視矯正用の円柱レンズ度数を与える光学面が設定されている請求項1〜の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  8. 前記中央領域には、レンズ光軸上となる網膜の中心部分で適正視力を与える前記屈折矯正度数が設定されていると共に、
    前記周辺領域には、網膜付近に焦点を与える前記加入度数が設定されている
    請求項1〜の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  9. 前記中央領域には、遠方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で適正視力を与える実質的に一定の適正視力矯正度数が設定された適正視力矯正領域が設けられていると共に、
    前記周辺領域には、近方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で調節不足を補填する実質的に一定の調節不足補填度数が前記加入度数として設定された調節不足補填領域が設けられている
    請求項1〜の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  10. 前記調節不足補填度数が、前記適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内である請求項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  11. 前記適正視力矯正領域が、前記光学部のレンズ光軸を中心として直径が0mmを越え且つ5mm未満の大きさで設定されている請求項又は10に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  12. 前記調節不足補填領域が、前記光学部のレンズ光軸を中心として直径が2mm以上の領域で周方向に所定幅の環状をもって設定されている請求項11の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズ。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、
    前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数のディオプター値がマイナス側に高い程、該光学部の前記周辺領域におけるプラスの加入度数が高くなるように設定されていることを特徴とする近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット。
  14. 前記光学部の前記中央領域における前記屈折矯正度数が−0.25〜−10ディオプターの範囲で、且つ、該光学部の前記周辺領域における前記加入度数の上限値が+0.25〜+1.00ディオプター未満の範囲に、それぞれ設定されたものの複数種類の光学特性を有する前記コンタクトレンズを含んで構成されている請求項13に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット。
  15. 請求項12の何れか1項に記載の近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、
    前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数の値に拘わらず、前記調節不足補填領域における前記調節不足補填度数が、該適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で一定の値に設定されていることを特徴とする近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット。
  16. 光学部の中央領域に近視および近視性乱視を矯正する屈折矯正度数が設定されているコンタクトレンズにおいて、前記中央領域の前記屈折矯正度数以上に近視および近視性乱視が進行するのを抑制するように、前記光学部の周辺領域には遠視性の焦点誤差を補正するために該中央領域に比してプラスの加入度数が設定されており、且つ、装用状態で周方向位置を特定するための位置決め手段が設けられていると共に、該位置決め手段による装用状態で前記光学部のレンズ光軸が、人眼の照準線と一致するように偏倚して設定されており、更に、前記中央領域には、遠方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で適正視力を与える実質的に一定の適正視力矯正度数が設定された適正視力矯正領域が設けられていると共に、前記周辺領域には、近方視に際して前記光学部のレンズ光軸上で調節不足を補填する実質的に一定の調節不足補填度数が前記加入度数として設定された調節不足補填領域が設けられている近視進行抑制能を有するコンタクトレンズであって、前記光学部の前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数として相互に異なる値が設定された複数種類の光学特性を有する該コンタクトレンズを、互いに組み合わせた近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセットにおいて、
    前記適正視力矯正領域における前記適正視力矯正度数の値に拘わらず、前記調節不足補填領域における前記調節不足補填度数が、該適正視力矯正度数に対して+0.5〜+0.75ディオプターの範囲内で一定の値に設定されていることを特徴とする近視進行抑制能を有するコンタクトレンズセット。
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