JP2005202107A - 2焦点コンタクトレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 円形状の中央光学部が遠方視矯正度数を持ち, その外周に位置する円環状の周辺光学部が近方矯正度数を持つ一方、さらに外周に位置する非光学領域であるレンズ外周部分に、変曲部を設けたことを特徴とし、前記周辺光学部と前記レンズ外周部の接続部の曲率方向の厚みTj (mm)が、各々の屈折度数P(D;ジオプトリー)の範囲において、次式
0.15≦Tj ≦0.25
P≧−6.00
−0.018×P+0.0432≦Tj ≦−0.018×P+0.1432
P<−6.00
で規定される範囲にあることを特徴とする2焦点コンタクトレンズ。
【選択図】 図1
Description
それらのレンズには、レンズの上部に遠方視矯正度数を設け、下部に近方視矯正度数を設けることにより、視線移動によって、遠方と近方を見分ける交替視タイプの物や、同心円状に別々の度数を設け装用者の脳での知覚判断によって遠方と近方とを見分ける同時視タイプのものがある。同時視タイプのレンズには、同心円状の円環部を多数設けることや光学部を非球面加工することで多焦点化したものや、回折格子を利用することで2焦点もしくは多焦点レンズとして提案されたものもある。
多焦点化したものについても基本的に同様であり、視点の領域を増やしているためそれぞれの矯正領域での光線入射量が減ることにより、視界や見え方の質が下がる結果となってしまっている。また、回折格子のものは高次回折による光線損失によってコントラスト感度低下があり、全体に薄暗く感じることになり実用には適していない。
したがって、同時視タイプ全般に、視界や見え方の質については実用範囲にはありながらも、妥協を必要とされ、交替視タイプを越えることはできていなかった。
即ち本発明は、円形状の中央光学部とその外周に位置する円環状の周辺光学部および、さらに外周に位置する非光学領域であるレンズ外周部分からなり、前記中央光学部が遠方視矯正度数を持ち、前記周辺光学部が近方矯正度数を持つ一方、前記レンズ外周部分内に、変曲部を設けたことを特徴とする2焦点コンタクトレンズに関するものである。
また、前記周辺光学部と前記レンズ外周部の接続部の曲率方向の厚みTj (mm)が、各々の屈折度数P(D;ジオプトリー)の範囲において、次式
0.15≦Tj ≦0.25
P≧−6.00
−0.018×P+0.0432≦Tj ≦−0.018×P+0.1432
P<−6.00
で規定される範囲にあることを特徴とする2焦点コンタクトレンズに関するものである。
本発明のコンタクトレンズは図1に示すように、大きく分けて、中央部分に配置される光学部とその周辺に配置される非光学部領域であるレンズ外周部分12からなり、光学部は更に円形状の遠方視矯正度数を持つ中央光学部10とその外周に配置された円環状の近用矯正度数を持つ周辺光学部11よりなる。中央光学部径は、近方視に影響を与えない最大の径を選択することができる。具体的には3.0〜4.5mmの径である場合に良好な視界および視力を得ることができる。3.0mmよりも小さい場合は、遠方を見る際の視野が狭くなり実用上不便を感じるようになる。また、4.5mmよりも大きい場合は、近方を見た場合に、遠方視領域が影響し視界が狭くなり、近方視に不都合を感じるようになる。3.5〜4.0mmの径である時に、遠方視と近方視のバランスが良好になりより好ましい。
レンズ外周部分内の変曲部は、遠方視と近方視をより良くコントロールするために設けられ、装用感に影響を及ぼさない範囲で、レンズ外周部分に下眼瞼等と接触ないし影響を受けやすくする部分である。この変曲部は、レンズ外周部分に任意に設けることができるが、レンズパラメータに対し曲率方向の厚みを一定とすることで、装用感を統一でき、左右で矯正度数の異なるコンタクトレンズを装用した場合でも違和感を低減させられる。また、設計を簡便にでき、生産の効率も上がる。
この変曲部の厚みTm は、0.12〜0.20mmの範囲での一定値とすることが好ましく、より好ましくは0.14〜0.18mmの範囲である。また、変曲部を設ける位置は、コンタクトレンズの直径や内面曲率、患者の眼の形状によって変更することができるが、一般的には外周部分の中間点よりも外側に設ける。外周部分外側3分の1から4分の1の領域に配置すると、近方視時の瞬目後の見え、視界の安定性等が優れるため好ましい。ただし、患者の眼の形状は千差万別であり、この例に限定されるわけではない。
0.15≦Tj ≦0.25
P≧−6.00
−0.018×P+0.0432≦Tj ≦−0.018×P+0.1432
P<−6.00
となっていることがより好ましい。
特にP>0では、凸レンズになるため、周辺部分の厚みが薄くなる傾向にあり、単焦点レンズの加工を行う際には、レンズ中心の曲率よりも周辺部分の曲率を大きくしたレンチキュラー形状を採用することが多いが、本発明のコンタクトレンズにその形状をそのまま当てはめると、上眼瞼でレンズをくわえ込みやすくなり、角膜中心へ戻るまでの時間がかかるようになる。そのため、周辺光学部と外周部分の接続部分の厚みを一定以上確保し、レンチキュラーが極端にならないようにすることで、瞬目から視力が安定するまでの時間を短くすることができる。また、P<−6.00においては、凹レンズとなるため、周辺光学部と周辺部分の接続部の厚みが厚くなっていくが、装用感と交替視を両立させるためには、前記範囲内で、全体の厚みを薄くすることでより好ましい効果が得られる。
瞬目後の見え方は、それぞれ5m視力表と30〜50cmにある指標を観察しながら瞬目し、開眼後すぐに読取れる場合は普通とし、少しタイムラグは感じるが実用上問題のない範囲であれば不満のないレベル、上眼瞼に引っ張られて視力の安定に時間がかかり不満を感じるレベルとして、5回試行を繰り返し、被験者4名による平均の自覚的所見で判断を行なった。
また、視界の安定性は、レンズが安定し視力が得られた後、開眼したままの状態で次の自然な瞬目まで安定して指標が判別できる場合を普通とし、意図して開眼時間を長くしても問題ない場合を良好とした。レンズがずれて読取りが困難になる場合を不満の感じるレベルとして5回試行を繰り返し、被験者4名による平均の自覚的所見で判断を行なった。
装用感および装着の容易さは、ハードレンズ初心者の被験者に対し、初期装用感および30分経過後の装用感の両方で判断してもらい、脱着に付いては、1回で楽に外せるものを良好とし、数回試行しても外しづらいものを不満を感じるレベルとし処方初日と7日後に試行を繰り返し、被験者の自覚的所見で判断を行なった。
基本パラメータが内面曲率7.90mm、直径9.60mm、遠方矯正度数+0.50、加入度数1.5Dであり、中央光学部径を4.0mm、周辺光学部径を8.0mm、Tj =0.2mmに設定し、変曲部の様態を図3の形状とし、その数値をR1 =7.92mm、R2 =6.22mm、Rm =0.5mm、Tm =0.16mmである2焦点コンタクトレンズを設計、超精密旋盤にて切削、研磨を行なうことで装用可能なレンズとして仕上げた。その後、装用試験を行ない、瞬目後の見え方、視界の安定性、装用感、脱着の容易さを確認したところ、下記表1の結果が得られた。
[実施例2]
実施例1と同じ基本パラメータを持ち、中央光学部径4.0mm、周辺光学部径8.0mmに設定し、Tj を0.15mmにした、変曲部形状がR1 =8.63mm、R2 =6.22mm、Rm =0.8mm、Tm =0.16mmとして設計した2焦点コンタクトレンズを前記手法と同一の加工方法で作製、装用した結果を実施例2として下記表1に併せて記載した。
図2の周辺形状を持つ、周辺部分以外は実施例1と同じデザインの2焦点コンタクトレンズを比較対象として下記表1に併せて記載した。
[比較例2]
実施例1と同じ矯正度数を持つ上下分割形状の交替視タイプ2焦点コンタクトレンズを比較対象として下記表1に併せて記載した。
図3の変曲部を持つ内面曲率7.90mm、直径9.80mm、遠方矯正度数−4.50、加入度数1.5D、であり、周辺光学部径を8.0mm、Tj =0.2mm、R1 =7.72mm、R2 =6.31mm、Rm =0.8mm、Tm =0.16として変曲部を設計、このときの中央光学部径を3.2mm、3.6mm、4.0mm、4.4mmとして4種類のレンズ設計を行ない、超精密旋盤にて切削、研磨を行なうことで装用可能なレンズとして仕上げた。装用試験において、見え方を確認したところ、下記表2の結果が得られた。
[比較例3]
また、実施例3と同じパラメータを持つ、中央光学部径2.8mm、4.8mmとしたものを比較として下記表2に併せて記載した。
11 円環状の周辺光学部
12 レンズ外周部分
13 変曲部
14 瞳孔位置
21 円環状周辺光学部と外周部分の接続部
31 タンジェンシャルカーブ
Rp 周辺曲率
R1 外周部分の曲率(大)
R2 外周部分の曲率(小)
Rm R1 とR2 を補間する曲率
Tj 接続部でのレンズ厚み
Tm 変曲部のレンズ厚み
Claims (5)
- 円形状の中央光学部とその外周に位置する円環状の周辺光学部、およびさらに外周に位置する非光学部領域であるレンズ外周部分からなるコンタクトレンズにおいて、前記中央光学部が遠方視矯正度数を持ち、前記周辺光学部が近方矯正度数を持つ一方、前記レンズ外周部分内に変曲部を設けたことを特徴とする2焦点コンタクトレンズ。
- 変曲部がレンズパラメータに対し曲率方向の厚みを一定としたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
- 周辺光学部と前記レンズ外周部の接続部の曲率方向の厚みTj (mm)が、中央光学部の屈折度数P(D;ジオプトリー)の範囲において、次式で規定される範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトレンズ。
0.15≦Tj ≦0.25
P≧−6.00
−0.018×P+0.0432≦Tj ≦−0.018×P+0.1432
P<−6.00 - 中央光学部の径が3.0〜4.5mmであることを特徴とする請求項1〜3に記載のコンタクトレンズ。
- 変曲部の曲率方向の厚みが0.12〜0.20mmであることを特徴とする請求項1〜4に記載のコンタクトレンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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