JP4499956B2 - スチールコードの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度のPC鋼線、PWS鋼線、ピアノ線、スチールコード、ホースワイヤ、ビードワイヤ、コントロールケーブル、釣り糸、カットワイヤ、ソーワイヤなどに使用される高強度鋼線を製造可能とする線材で、特にスチールコードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にスチールコードなどに用いる0.6%以上の炭素を含む高炭素鋼からなるワイヤは、熱間圧延により直径 5〜16mmに加工された後に、調整冷却により組織調整され線材とされる。一般に線材はコイル状に巻き取られ搬送される。
【0003】
例えば、特開昭60−204865号公報には、Mn含有量を0.3%未満に規制して鉛パテンティング後の過冷組織の発生を抑え、C、Si、Mn等の元素量を規制することによって、撚り線時の断線が少なく高強度および高靭延性の極細線およびスチールコード用高炭素鋼線材が開示されており、また、特開昭63−24046号公報には、Si含有量を1.00%以上とすることによって鉛パテンティング材の引張強さを高くして伸線加工率を小さくした高靭性高延性極細線用線材が開示されている。
【0004】
このような高強度に用いられる線材は、より高強度のワイヤを製造する技術が必要とされているが、このような線材を用いた場合には、最低1回のパテンティング処理が必要とされており、より安価にスチールコードを製造するための技術が必要とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記要求に合致する熱間圧延された線材から製造されるスチールコードの製造をより簡単かつ安価にできる技術を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)質量%で、C:0.4〜0.8%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間線材圧延後、
750℃以上の温度から、溶融塩に浸漬し、少なくとも3秒以上の等温保持を含む直接パテンティングを行い、
線径が3.5〜5.5mmの直径で、線径が±0.1mm以内の高炭素鋼線材とし、
次に当該線材を伸線加工し、伸線加工の途中でパテンティングなしで、拡散めっきによるブラスめっきを行い、再度伸線加工を行うことにより0。3mm以上の線径のワイヤとすることを特徴とするスチールコードの製造方法。
【0008】
(2)前記高炭素鋼線材が、さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.5%を含むことを特徴とする(1)に記載のスチールコードの製造方法。
【0009】
(3)前記パテンティング実施後、デスケーリングを行い、燐酸塩被膜処理、ボラックス処理、電解ボンデ処理のいずれかの処理を行い、次いで伸線加工を行うことを特徴とする(1)又は(2)に記載のスチールコードの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、鋼組成の限定理由について説明する。成分は全て質量%である。
Cは、強化に有効な元素であり、高強度の鋼線を得るためにはC量を0.4%以上とすることが必要であるが、高すぎると強加工できなくなるためその上限を伸線性が劣化しない0.8%以下とする。
【0011】
Siは、鋼の脱酸のために必要な元素であり、従ってその含有量があまりに少ないとき、脱酸効果が不十分になるので0.1%以上添加する。また、Siは熱処理後に形成されるパーライト中のフェライト相に固溶しパテンティング後の強度を上げるが、反面、熱処理性を阻害するので1.0%以下とする。
Mnは、鋼の焼き入れ性を確保するために小量のMnを添加することが望ましい。しかし、多量のMnの添加も溶融亜鉛めっきの際の延性の回復を遅らすので1.0%以下とする。
【0012】
Crは、パテンティング後の強度ならびに伸線加工後の強度を向上するために添加する。従って、Crの添加量はその効果が期待できる0.1%以上とし、パテンティング時の変態遅延による熱処理性が悪化することの無い0.5%以下とする。
【0013】
次にこれらの本発明の製造方法について説明する。
前述の鋼成分に調整された鋼は、溶製された後にブルームあるいはビレットに連続鋳造される。ブルームに鋳造されたものはビレットに圧延される。ビレットは加熱されて熱間圧延される。熱間圧延によって仕上げされる線材の線径は、生産能力が落ちるため少なくとも3.5mm以上に圧延する。また、線径が大きくなり過ぎると最終線径のワイヤを得るまでの加工量が大きく成りすぎ、断線が発生するので5.5mm以下とする。この時、熱間圧延による線径の変化が大きければ、加工量が変化するので線径は±0.1mmの範囲に精密圧延する。次に、熱間圧延されて750℃以上の温度から直接パテンティング処理を行う。直接パテンティング処理は線材での各部位での強度変化が大きくないものであれば良いが、溶融塩に浸漬する方法の方が望ましい。また、線材の各部位での強度変化が小さくなるようにするため、3秒以上等温保持する。
【0014】
次にこれらの線材は、デスケーリング後、表面に潤滑剤が引き込まれやすいように燐酸塩被膜処理、ボラックス処理、電解ボンデ処理のいずれかの処理を行う。その後、伸線加工を行い、最終線径となる前に拡散めっきによるブラスめっきを行う。拡散めっきを行うのは、伸線加工の途中で350℃以上に加熱されるので、線材表面の疵による延性の低下を軽減してくれるからである。このあと0.3mm以上の線径に伸線加工を行う。0.3mm未満の線径とするには、3.5mmの熱間圧延線材でも加工が難しくなるからである。
【0015】
このように製造すれば、熱間圧延後に直接パテンティングを行うだけで0.3mm以上のスチールコード用のワイヤを製造することが可能になる。
【0016】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。表1に試作に用いた本発明鋼の化学成分を示す。
本発明鋼ならびに比較鋼を転炉で溶製したのち連続鋳造により500mm×300mmのブルームとした。その後、熱間圧延で122mm角のビレットとした。その後、1100〜1200℃で加熱した後、熱間圧延で直径3.5〜4.0mmの線材とした。この際、線径のばらつきが小さくなるように精密圧延を行ない公差が±0.05mmとなるように調整した。その後、550℃に調整された溶融塩に浸漬してパテンティング処理を行った。その後、デスケーリングを行い、ボラックス処理を行った後、伸線加工で2mmの線径に加工し、この線径で拡散めっき法のブラスめっきを行った。その後、さらに伸線加工を行い0.3〜0.4mmのワイヤとした。表2に本発明による製造条件と伸線加工後の特性を示した。
【0017】
表2に示すように本発明法に従ってスチールコード用のワイヤを製造した場合には問題なく0.3mmのワイヤの製造が可能であった。また、表3に本発明によるスチールコードの初期の強度と伸線加工後の強度を示した。比較法1は、熱間圧延した線径を6mmとした場合である。それ以外は本発明法と同じであるが、加工量が大きすぎ、ブラスめっき後に2mmから0.3mmに伸線する際に断線が多発した。比較法2は、熱間圧延した4.5mm線材から0.1mmに伸線加工をした場合で、それ以外は本発明法と同じである。しかし、この場合も加工減面率が大きくなり過ぎ断線が多発した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】
本発明を用いることで、伸線加工途中でのパテンティングなしで高強度スチールコードを安価で得ることができる。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.4〜0.8%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間線材圧延後、
750℃以上の温度から、溶融塩に浸漬し、少なくとも3秒以上の等温保持を含む直接パテンティングを行い、
線径が3.5〜5.5mmの直径で、線径が±0.1mm以内の高炭素鋼線材とし、
次に当該線材を伸線加工し、伸線加工の途中でパテンティングなしで、拡散めっきによるブラスめっきを行い、再度伸線加工を行うことにより0.3mm以上の線径のワイヤとすることを特徴とするスチールコードの製造方法。 - 前記高炭素鋼線材が、さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.5%を含むことを特徴とする請求項1に記載のスチールコードの製造方法。
- 前記パテンティング実施後、デスケーリングを行い、燐酸塩被膜処理、ボラックス処理、電解ボンデ処理のいずれかの処理を行い、次いで伸線加工を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のスチールコードの製造方法。
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