JP4499860B2 - エアーマットレス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジャー等の簡易ベットや医療用機器等の人体仰臥用マットとして使用されるエアーマットレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、合成樹脂発泡体等を芯材として使用したレジャー等の簡易ベットや医療用機器等の人体仰臥用マットはあり、その表皮材としては、合成樹脂繊維や天然繊維より成る織布や編布で作製されている。そのために、表面が汚れてしまった場合等において洗濯等を容易に行うことができないので衛生的でなかった。
【0003】
また、エアーを利用したエアーマットレスも使用されていたが、これは、単に密閉気嚢体中に空気を注入したものであって、密閉気嚢体は合成樹脂シート等で作成されているために、表面の汚れに対する清掃性等はよいが、仰臥時の体の移動とともに空気も移動し、仰臥姿勢が不安定になりやすく、さらに体の動きに伴う反動等が発生しやすいものであり使用感の良いものではなかった。
またさらに、気嚢体中に合成樹脂発泡体を入れて使用感を高めたものも使用されるようになってきている。気嚢体が合成樹脂シート等でなっており、内部のクッション性等調整でき、内部の合成樹脂発泡体により、体の移動による反動等の発生がないので、清掃性、使用感は以前のものと比較して優れたものであったが、しかし、2枚のシートを端部を接着剤等で固着し、その内部に合成樹脂発泡体を入れているために、端部の合成樹脂発泡体は潰されてしまい、部分的にクッション性が異なったり、マットレス表面部にシワが発生したりして、使用感及び外観の面では十分なものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のようなマットレスとしての問題点を解決し、しかも、使用上問題なく、心地よい使用感を得ることができ、表面外観的にもシワの発生や、端部の潰れ等のないデザイン的に優れたエーマットレスを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明のエアーマットレスの製造方法は、連続気泡を有する合成樹脂発泡体を気密性合成樹脂製シートからなる表皮材で密封し、エアー調整口を有するエアーマットレスの製造方法において、表皮材を構成する複数枚からなる気密性合成樹脂シートを所望形状に裁断し、少なくとも1枚の気密性合成樹脂シートを所望形状に附形し、予め連続気泡を有する合成樹脂発泡体を、所望形状に裁断しておき、上下型からなる高周波融着用型の下型に、附形した気密性合成樹脂製シートを載置し、この上に準備された合成樹脂発泡体を載置し、残りの気密性合成樹脂製シートを被せ、次に上型をセットし、複数の気密性合成樹脂シートの周囲を高周波融着により接合して、合成樹脂発泡体を密封状態とすると共に、エアー調整口も高周波融着により気密性合成樹脂シートの所望位置に固着した後に、高周波融着用型から、エアーマットレスを取り出し、エアー調整口を開放した状態で、アニリング処理を行うことを特徴とするものである。
【0006】
また、所望形状に裁断された連続気泡を有する合成樹脂発泡体と比較して、合成樹脂シートの周囲の高周波融着用の部分を除いた寸法が約1〜10%大きく裁断しておくことを特徴とするエアーマットレスの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で表皮材として使用される気密性合成樹脂製シートとしては、加熱または型押し等により附形可能なものであればよく、特に厚み、及び合成樹脂の種類等は制限するものではなく、使用目的や構成によって適宜決定されるものである。使用感や附形性を考慮すると、シートの厚みとしては、0.1〜2.0mmのものが好ましい。シートの厚みが0.1mm未満であると、附形時や使用時にシートの破れが発生したりする可能性が高くなり好ましくなく、また、2.0mmを超えると、附形作業性が低下し、使用時にも合成樹脂発泡体のクッション性が損なわれる可能性があり好ましくない。
【0009】
附形作業性を考慮すると、気密性合成樹脂製シートとしては、熱可塑性樹脂製シートが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニール系等の樹脂の単独、複合、共重合体樹脂等である。また、これらの樹脂にゴム配合したり、可塑剤、顔料等を添加して、所望の樹脂特性となるものを使用してもよい。
【0010】
気密性合成樹脂製シートとしては、これらの樹脂からなる単層又は複層からなるシートを使用することができる。気密性合成樹脂製シートを複層構造とすることにより、例えば、高周波融着適性のあまりよくないオレフィン系樹脂を使用する場合などは、エチレン酢酸ビニルの層と組み合わせて使用することにより高周波融着適性を向上させることができる。また、ポリ塩化ビニル系などは柔軟性を得るために可塑剤が添加されるが、この可塑剤がシートの表面にブリードしてしまうとマットレスの表面汚れ等の原因になるので、そのために複数層として、表面をブリード防止層としたものとすることで、防汚性の優れたシートとすることができる。
【0011】
この気密性合成樹脂製シートの附形方法としては、シートも所望の大きさに裁断し、シートを合成樹脂の軟化温度付近に加熱し、その後に真空成形や型押し成形等で附形する方法である。また、成形後の柔軟性が問題なければ、射出成形、注入成形、スラッシュ成形等で樹脂より直接成形し、附形された気密性合成樹脂製シートとしてもよい。
この附形された合成樹脂シートとしては、エアーマットレスの表皮材を構成する他の合成樹脂シートと高周波融着や接着剤を使用して接合するために、周囲に接合代が設けられている。この接合代としては、1〜5mm程度設けられている。
さらに、附形されたシートは、加熱履歴を経ているために、附形後に収縮が発生する可能性が高い。そのため、附形されたシートは、所望の大きさに裁断された合成樹脂発泡体より、約1〜10%大きくしておくことが好ましい。これにより、エアーマットレスとして完成時に、シートの収縮による、エアーマット表面のシワの発生や、エアーマットレス自体の変形を防止することができる。
【0012】
本発明に使用される合成樹脂発泡体としては、例えばポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等を使用することができる。エアーマットレスとして、ポリウレタンフォームのような通気性のあるものが好ましいが、通気性のないフォームを使用する場合は、少なくとも厚み方向に小さな連通孔を設けて、通気性を有する合成樹発泡体としてもよい。合成樹脂発泡体は、クッション性を考慮すると密度は、JIS−K6400の試験方法で30kg/m3以下のものが好ましく、硬度として30kg以下のものが好ましい。
この合成樹脂発泡体は、2次元カッターなどを使用して所望形状に裁断される。この場合の形状としては、マットレスとして通常の直方体形状でも、コーナー部をR形状して面取りしてもよい。R形状とすることで、表皮材で密封されたときにコーナー部が変形し難いものとなる。また、必要に応じて仰臥面に凹凸形状を着けてもよく、この形状に合成樹脂製シートの附形が概略一致していても、一致していなくともよく、所望形状や機能によって適宜決定される。
【0013】
表皮材として附形された合成樹脂製シートとその他の合成樹脂シートを接合して、この予め準備された合成樹脂発泡体を表皮材に被覆された状態で密封状体としてエアーマットレスを作成する。この時に、任意の位置に、エアーマットレスの内部と外部との空気の流通の為の空気流通管を設け、その空気流通管の外部側先端にエアー調整開閉バルブ等をつけ、エアー調整口とする。
【0014】
表皮材を構成する附形された合成樹脂製シートとその他の合成樹脂製シートとの接合方法は、予め設けられた接合代部分を空気漏れが発生しないように接着剤や高周波融着にて接合する。本発明においては、作業性の容易な点及び空気漏れが発生し難い、高周波融着を使用することが好ましい。
【0015】
高周波融着を利用した本発明のエアーマットレスの製造方法の場合は、例えば、上下型よりなり下型部分は、所望のエアーマットレス形状に近似した凹部を有し、上型と下型とを嵌合させたときに内部の空隙部がエアーマットレスの所望形状に近似した形状となり、エアーマットレスの周辺部が高周波融着可能となるような高周波融着用型を使用する。まず、附形された合成樹脂製シートを下型にセットした後、内部に所望形状に裁断された合成樹脂発泡体を載置し、次に残りの合成樹脂製シートを上に被せ、上型をセットし、合成樹脂製シートの周辺部を高周波融着して、合成樹脂発泡体を密封状態とする。このとき、エアー調整口用の空気流通管を合成樹脂製シートの所望位置に仮着しておき、この空気流通管の先端が、外部にでるように合成樹脂製シートの高周波融着を行うようにしてもよい。高周波融着を完了した後型から、取り出して、本発明のエアーマットレスを得ることができる。
【0016】
好ましくは、この得られたエアーマットレスは、所望の大きさに裁断された合成樹脂発泡体が、該合成樹脂発泡体より約1〜10%大きくなっている合成樹脂製シートよりなる表皮材によって密閉されてなる。このエアーマットレスの空気調整口を開放状態として、約70〜100℃、約1〜10時間程度のアニリング処理をおこなう。これにより、合成樹脂製シートの歪みがとれ、エアーマットレスの表皮材にシワ等が発生する可能性が減少し、エアーマットレス自体の変形防止となる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のエアーマットレスは、空気調整口を最初の使用時に開放しておき、寝た状態で調整口を閉じることにより、マットレスの表面形状が体にフィットした形状となり使用感の優れたものである。さらに、表皮材が附形されているためにどのような使用状態であっても、エアーマットレス自体の変形する可能性が少なく、いつでも当初の形状を保つことができるものである。
通常に使用しても、一般のエアーのみを使用したものより使用感に優れ、発泡体のみを使用したものと異なり、空気の調整により硬さの調整等が可能となる。また、裏面に滑り止め等の部材を取り付けることにより、医療診断用のMRI、CTスキャン用の寝台用マットと使用して、ズレも防止できる。
エアーマットレス内部の空気を抜くことによってコンパクトとなり、収納が容易である。さらに、これを復元した場合、表皮材が附形されているためにシワ、変形の発生する可能性が少ないものである。
【0018】
(実施例)
図面をもとに本発明の実施例を説明する。
【0019】
合成樹脂製シートとして、厚さ0.35mmのポリ塩化ビニール製フィルムを所望形状に裁断し、一方の合成樹脂製シートを通常使われている真空成形機を使用して附形し、合成樹脂製シート11とし、もう一方の合成樹脂製シート12とし、また、合成樹脂発泡体として、密度30.0kg/m3、硬さ25.0kgのポリウレタンフォーム(アキレス(株)製タイプKC)を所望形状に裁断して合成樹脂発泡体2として、図1(A)のように準備した。また、図には記載されていないが、ポリ塩化ビニール製のエアー調整口を準備し、合成樹脂製シート11の端部に仮着して、合成樹脂製シート11,12を高周波融着で一体化したときに内部に空気が、調整口の開閉により流入が調整できるような位置とした。
合成樹脂製シート11,12は、附形による収縮、シートの自体及び附形による収縮考慮して、収納する合成樹脂発泡体より約1.5%全体的に大きくしてある。
つぎに、附形された合成樹脂製シート11を上型3、下型4からなる高周波融着型の、下型3に図1(B)のようにセットし、その凹部に合成樹脂発泡体2を載置する。この時に、合成樹脂製シート11と合成樹脂発泡体2を接着させても良いが、合成樹脂製シート11等の収縮を考慮すると接着しない方が最終製品としての外観仕上がりを考慮すると好ましい。
【0020】
次に、合成樹脂製シート12を図1(C)のように合成樹脂発泡体の上に載置する。このときに、合成樹脂製シート11と合成樹脂シート12のそれぞれの接合代がうまく重なるように注意する。接合代としては1〜5mm程度それぞれの合成樹脂製シートに設けておくことが好ましい。図1(D)のように、上型を閉じ、高周波融着により、合成樹脂製シート11,12を接合代によって接合一体化し、表皮材によって合成樹脂発泡体を密封状態とする。このときに同時に、仮着しておいたエアー調整口を一体化する。高周波融着型よりとりだして、本発明のエアーマットレス1を得る。この得られたエアーマットレスをエアー調整口を開放状態にして、約70℃で、2時間アニリング処理を行い、合成樹脂製シート11,12により構成された表皮材の歪みを取り除く、これにより、エアーマットレスの表皮材に発生するシワやエアーマットレス自体の反り等を防止することが可能となる。図2において(E)がアニリング前の状態で、(F)がアニリング後の状態である。必要に応じて、このエアーマットレスの合成樹脂製シート12の部分に、滑り止め用の発泡体製やゴム製の部材等を貼着して使用してもよい。
【0021】
この得られたエアーマットレスは、硬度の調整が可能で、エアー調整口を使用して調整することで、仰臥時の体型を保持させることが可能となるので、従来のエアーマットレスとは異なり、使用感の優れたものであった。
また、合成樹脂製シートを予め附形しておこくことで、形状保持性に優れたものであった。また、成形後に、アニリング処理を行っていることにより、エアーマットレスの表皮材にシワ等の発生がなく、全体的な反り等も発生のない外観の優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の製造工程図
【図2】実施例におけるアニリング前後のエアーマットの断面図
【符号の説明】
1:エアーマットレス
11:附形された合成樹脂製シート
12:合成樹脂製シート
2:合成樹脂発泡体
3:高周波融着型の下型
4:高周波融着型の上型
Claims (2)
- 連続気泡を有する合成樹脂発泡体を気密性合成樹脂製シートからなる表皮材で密封し、エアー調整口を有するエアーマットレスの製造方法において、
表皮材を構成する複数枚からなる気密性合成樹脂シートを所望形状に裁断し、少なくとも1枚の気密性合成樹脂シートを所望形状に附形し、
予め連続気泡を有する合成樹脂発泡体を、所望形状に裁断しておき、
上下型からなる高周波融着用型の下型に、附形した気密性合成樹脂製シートを載置し、この上に準備された合成樹脂発泡体を載置し、残りの気密性合成樹脂製シートを被せ、次に上型をセットし、複数の気密性合成樹脂シートの周囲を高周波融着により接合して、合成樹脂発泡体を密封状態とすると共に、エアー調整口も高周波融着により気密性合成樹脂シートの所望位置に固着した後に、高周波融着用型から、エアーマットレスを取り出し、エアー調整口を開放した状態で、アニリング処理を行うことを特徴としたエアーマットレスの製造方法 - 所望形状に裁断された連続気泡を有する合成樹脂発泡体と比較して、合成樹脂シートの周囲の高周波融着用の部分を除いた寸法が約1〜10%大きく裁断しておくことを特徴とする請求項1記載のエアーマットレスの製造方法。
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