WO2012077232A1

WO2012077232A1 - ブラジャー

Info

Publication number: WO2012077232A1
Application number: PCT/JP2010/072261
Authority: WO
Inventors: 繁夫杏中
Original assignee: 株式会社ヤギ
Priority date: 2010-12-10
Filing date: 2010-12-10
Publication date: 2012-06-14

Abstract

　カップ部分の成形性、保形性、透湿性及び通気性に優れたブラジャーを得る。　カップ部分の芯材として３次元網状構造の芯材シートが用いられている。芯材シートは、熱可塑性弾性樹脂の多数の線条によって３次元の網目構造を形成したもので、網目の節の部分では、交差する線条相互が融着して接合されている。芯材シートの表裏面に不織布からなるクッションシートが添設され、クッションシートの外側面と肌側面に生地が面接着されている。芯材シートは、材質が熱可塑性樹脂であるので、加熱成形によって自由な曲面に成形することが容易である。クッションシートは、薄くて密度が低い不織布を用い、成形された芯材シートの曲面に倣わせて添設されており、表裏の生地は、クッションシートに面接着されている。

Description

ブラジャー

　この発明は、ブラジャーに関するもので、特にカップ部分の構造に特徴があるブラジャーに関するものである。

　従来、ブラジャーのカップ部分の形状を保持する芯材として、不織布や発泡ポリウレタンシートが用いられている。芯材として発泡ポリウレタンシートを用いたカップ部分は、表生地（表側の布地又は編地）、発泡ポリウレタンシート及び裏生地（肌側の布地）の３枚を溶着などにより貼り合わせ、貼り合わせたものを型に合せてカップ状に成型するという工程で製造している。また、芯材として不織布を用いたカップ部分は、表生地、不織布及び裏生地の３枚を溶着などにより貼り合わせ、貼り合わせたものに図９で示すようなカップの放射方向の切り込み３１を入れ、この切り込み部分を縫い合わせてカップの山を作るという工程で製作している。

　一方、座席や寝具のクッション材として、弾性を備えた線条で立体的な網を形成してなるクッション材（以下、「網状クッション材」と言う。）が使用されている。網状クッション材は、ポリエステル系エラストマーやポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性弾性樹脂を溶融して隣接する複数のノズルから押し出し、曲がりくねって不規則に押し出されてくる溶融状態の複数の線条が互いに接触してその接触点で融着することを利用して、多数の不規則なループからなる弾性を備えた３次元構造の網を形成したものである。

　この網状クッション材は、使用する樹脂の種類、溶融樹脂を線条に押し出すときに用いるノズルの孔径と孔数により、クッションとしての堅さや反発力の異なるものが得られる。また、溶融状態で立体網状となったものを両側から挟んで引き出しながら冷却することにより、所望の厚さのものを得ることができる。このような網状クッション材及びその製造方法は、下記特許文献１、２等に開示されている。

　また、網状クッション材を用いた座席用マットが特許文献３に提案されており、特許文献４には、転倒や衝突の際の衝撃を和らげて骨折などを防止するための網状クッション材を用いた衝撃吸収パッドと当該パッドを用いた衣類、保護材、保護具などの製品が提案されている。ここで提案されている製品は、人の腰回り、肘、膝、手首、指等の関節各部位に装着することにより、骨折を未然に防止すしようとする製品である。

　更に、特許文献５には、網状クッション材を用いてその全周の端部部分で線条同士が融着されている構造の車椅子用クッション材が提案されている。特許文献５によれば、当該クッション材は、熱可塑性樹脂の線条のループが弾性変形することによって柔らかさとバネ性を兼ね備えた良好なクッション性を有するものであり、その全周の端部において線条同士が融着されているため、バネ弾性が高くなると共に、圧縮されてもヘタリがより発生し難くなるものであって、長期に亘って快適な座り心地で車椅子において使用することができるものである。また熱可塑性樹脂の線条は水の作用によって変質するようなことはなく、この線条からなる３次元網状構造体で形成されたクッション材は洗うことができるものであり、清潔に使用することができるものである、とされている。

特開平７－１８９１０４号公報特開平７－２３８４５７号公報特開２０００－３００３９５号公報特開２００４－１４９９５９号公報特開２０１０－２４６５９８号公報

　ブラジャーは肌に直接着用されるものであるから、透湿性及び適度な通気性と保温性が要求される。また、清潔を維持するために頻繁に洗濯されるから、耐洗濯性が要求され、家庭用洗濯機で簡易に洗濯できるものが望まれている。

　また、ブラジャーは、衣服のバストラインを整える役目を持っているので、カップ部分を美しい形状の曲面に成形することができ、かつ成形した曲面の形状が保持されること、特に繰り返し洗濯した後においても型崩れをすることなく、初期の形状が保持されること、すなわち洗濯によっても損なわれない保形性が要求される。

　芯材として発泡ポリウレタンシートを用いた従来のブラジャーは、カップ部分の曲面を自由に作るための成形性には優れているが、通気性及び透湿性の点で劣り、蒸れやすく着用感に劣るという欠点がある。また、保形性が十分でなく、繰り返し洗濯することにより型崩れが起りやすい。

　一方、カップ部分の芯材として不織布を用いた従来のブラジャーは、発泡ポリウレタンシートを芯材としたものに比較すると、成形性の点で劣り、通気性及び透湿性は備えているが、十分であるとまでは言えない。また、繰り返し洗濯したときの保形性についても十分とは言えず、特に家庭用洗濯機で繰り返し洗濯すると、型崩れを起こしやすい。

　この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、カップ部分の成形性、保形性、透湿性及び通気性に優れたブラジャーを得ることを課題としている。

　この発明のブラジャーは、カップ部分２の芯材として、従来、座席のクッションや緩衝材として利用されていた網状クッション材と同様な構造の３次元網状構造の芯材シート１１が用いられていることを最大の特徴とするものである。すなわち、この発明のブラジャーのカップ部分２の芯材シート１１は、ポリエステル系エラストマーやポリエチレン系エラストマーなどの熱可塑性弾性樹脂の多数の線条によって３次元の網目構造を形成したもので、網目の節の部分では、交差する線条相互が融着して接合された構造をしている。

　座席のクッション材や緩衝材として用いられている網状クッション材は、一枚の厚さが５～１０ｃｍで密度が４０～４５ｋｇ／ｍ³程度のものを用いて、その厚さ方向の弾発力を利用して座席等に面加重の均一な支持力や緩衝性を付与している。

　これに対してこの発明のブラジャーのカップ部分の芯材として用いる芯材シート１１は、網状クッション材より線材の経を細くすると共に網目を小さくし、更に加熱成形の課程で圧縮されることで、厚さを２～１０ｍｍとして、３次元網目構造体が有する保形性を維持しつつ、肌の曲面にフィットする柔軟性を付与している。線材の経を細くして網目を小さくし、更に加熱成形することにより、加熱成形時に圧縮される程度により異なるが、密度は６０～２００ｋｇ／ｍ³程度に増加する。

　このブラジャーのカップ部分２は、上記構造の芯材シート１１によって、繰り返しの洗濯にも耐える十分な保形性が得られる。また、芯材シート１１は、従来の発泡ポリウレタンシートや不織布の芯材に比べて、より優れた通気性及び透湿性を備えている。しかし、肌や指に触れたときの感触を向上させるためには、芯材シート１１の表裏面に不織布からなるクッションシート１２ａ、１２ｂを添設するのが好ましい。不織布のクッションシート１２ａ、１２ｂは、通気性及び透湿性の阻害要因となり得るが、保形性を要求されないので、カップ部分の芯材として従来用いられていた不織布より柔軟で密度の小さい不織布を用いることができ、芯材として発泡ポリウレタンシートを用いたものに比べれば勿論、不織布を用いたものに比べても、より優れた通気性及び透湿性を付与できる。また、このクッションシート１２ａ、１２ｂの密度や厚さにより、カップ部分の通気性、透湿性及び保温性を調整することができる。

　芯材シート１１は、材質が熱可塑性樹脂であるので、加熱成形によって自由な曲面に成形することが容易である。クッションシート１２ａ、１２ｂは、保形性を必要としないので、薄くて密度が低い、従って柔らかい不織布を用いることができ、成形された芯材シート１１の曲面に倣わせて添設することができる。

　ブラジャーのカップ部分２の表裏面、すなわち肌に当る裏面と、その反対側の外面とは、表裏の生地１３ａ、１３ｂによって形成される。表裏のクッションシート１２ａ、１２ｂは、それぞれ表裏の生地１３ａ、１３ｂに予め面接着して、その後成形された芯材シート１１に添着するのが製造工程上便利である。表裏の生地１３ａ、１３ｂがクッションシート１２ａ、１２ｂに面接着されることにより、外観的にも優れたカップ部分を作ることができる。クッションシート１２ａ、１２ｂとして熱可塑性繊維の不織布を用いれば、表裏の生地１３ａ、１３ｂとの面接着を加熱による融着によって行うことができる。

　この発明のブラジャーのカップ部分に用いた３次元網目構造の芯材シート１１は、優れた成形性、保形性、透湿性、及び通気性を備えており、家庭用洗濯機で繰り返し洗濯しても変形したり型崩れすることがなく、水切れが良く乾きも早い。そして、材料とする樹脂の種類、網目構造を形成する線材の太さ、網目の大きさ及びシートの厚さにより、柔軟性を調整できるので、成形性、保形性、透湿性、通気性、水切れ性、速乾性などの優れた性質を損なうことなく、ブラジャーのカップ部分に要求される柔軟性を備えた芯材シートを製作することができる。そして、この芯材シート１１の表裏面にクッションシート１２ａ、１２ｂを添設し、更にその外側に肌触りや外観に優れた生地１３ａ、１３ｂを添設することにより、肌触りや外観に優れたブラジャーを得ることができる。

この発明のブラジャーのカップ部分の縦断面図図１のカップ部分の上辺部の裁断形状を示す図図１のカップ部分の下辺部の裁断形状を示す図上辺部と可変部を接合してカップとした状態の正面図図４の縦断面図肌側のカップに芯材シートを縫着した状態の正面図図６の縦断面図ブラジャーの斜視図不織布を芯材とするブラジャーの裁断形状を示す図

　図１は、この発明のブラジャーのカップ部分の断面構造の一例を示した図で、１１は芯材シート、１２ａ及び１２ｂは表側及び裏側のクッションシート、１３ａ及び１３ｂは表裏の生地である。芯材シート１１は、熱可塑性弾性樹脂の線条からなる３次元網目構造体で、この実施例のものでは、東洋紡績株式会社のブレスエアー（登録商標）Ｃタイプ（ソフト）の厚さ１０ｍｍのものを所定の曲面に成形したものを用いている。成形後の厚さは２～５ｍｍである。表側と肌側のクッションシート１２ａ、１２ｂは、熱可塑性樹脂の不織布からなり、それぞれが表裏の生地１３ａ、１３ｂに熱融着により面接着されている。

　図１では、図示の都合上、実際のものより各シート及び生地の厚さを厚くして示している。製品としての実際の厚さは、芯材シート１１が２～１０ｍｍ、クッションシート１２ａ、１２ｂがそれぞれ２～５ｍｍ、生地１３ａ、１３ｂは１ｍｍ以下である。また、図では各シートや生地の厚さが周縁部で薄く示されているが、これは熱融着の際に押しつぶされて厚さが薄くなっているものである。芯材シート１１は、その周縁部がクッションシートと生地とが面接着されてなる積層シート１４ａ、１４ｂの一方（この例では肌側の積層シート１４ｂ）に縫着されており、芯材シート１１とクッションシート１２ａ、１２ｂの面相互は、接着されていない。また、表側のクッションシート１２ａと肌側のクッションシート１２ｂとは、中央部に芯材シート１１を包み込んだ状態でその周縁部相互が面接着されている。

　次に、図２ないし７を参照して、図１に示したブラジャーのカップ部分２の製造手順を説明する。

　まず、表生地１３ａと不織布からなる表側のクッションシート１２ａとを重ね合わせて熱融着し、表側の積層シート１４ａを得る。得られた積層シート１４ａを裁断して、図２に示すカップ上辺側の裁断地２１及び図３に示す下辺側の裁断地２２を得る。同様に、裏生地１３ｂと不織布からなる肌側のクッションシート１２ｂとを熱融着して、肌側の積層シート１４ｂを得る。裏側の積層シート１４ｂも表側と同様な形状に裁断して上辺側と下辺側の裁断地を得る。そして、表裏の積層シート１４ａ、１４ｂそれぞれについて、上辺側の裁断地２１と下辺側の裁断地２２とを３点千鳥ミシンで接ぎ合わせ２３して山形の表側と肌側のカップ２５ａ、２５ｂを作る（図４、５）。ここまでの加工は、カップの外側も肌側も同じ加工である。

　芯材シート１１は、３次元網目構造のシートを上記で製作した外側及び肌側のカップより小さく截断し、その材質により定まる所定の温度で加圧加熱して、山形のカップ形状の曲面体に成形する。成形した芯材シート１１を肌側のカップ２５ｂの外面に１本針ミシンで縫い付ける（図６、７）。そして、外側のカップ２５ａと芯材シート１１を縫い付けた肌側のカップ２５ｂを重ね合わせて加熱成形し、この成形時に表側と肌側のカップ２５ａ、２５ｂの周縁部（芯材シートが添設されていない部分）を加熱溶着して一体化し、ブラジャーのカップ部分２を完成する。

　なお、芯材シート１１を挟んで外側のカップ２５ａと肌側のカップ２５ｂの周縁部を溶着する前に、芯材シート１１を肌側のカップ２５ｂに縫い付けているのは、成型する時に芯材シート１１がずれないようにするとともに、着用時及び洗濯時に芯材シート１１が表裏のクッションシート１２ａ、１２ｂの間で動くことがないようにするためである。

　以上のようにして得られた左右のカップ部分２を飾り紐２７で繋ぎ、背紐２８及び肩紐２９を取り付けることによって、この発明のブラジャーが得られる（図８）。

　上記実施例では、芯材シート１１としてブレスエアー（登録商標）を用いているが、これに限定されるものではなく、３次元網目構造を形成する線条の樹脂の種類や太さ、網目構造の目の粗さやシートの厚さを、補完的に変更、すなわち線条の径を細くして網目を小さくするとか、線条の径を太くして網目を大きくするなどにより、保形性及び柔軟性の異なるものを得ることができる。

　クッションシート１２としては、熱可塑性樹脂、例えばポリエステルなどの繊維からなる不織布を用いるのが好ましいが、ナイロン、レーヨン、ポリウレタン等の不織布を用いることもできる。クッションシート１２は、保形性を考慮する必要がなく、柔軟性、触感、通気性、透湿性、保温性などを考慮して選択されるものである。表生地１３ａ及び裏生地１３ｂは、従来のブラジャーの生地として一般に用いられているものを用いればよく、例えば表生地としてはナイロンやレーヨン、裏生地としては綿やナイロンを用いる。

　また、図の実施例では、長手中央部が幅方向（着用時の上下方向）に膨らんだ横長矩形状の芯材シート１１を、カップ部分２全体の形状を保持するように、カップ部分の中央から少し下の位置に設けているが、半円形の芯材シートをカップ部分の下半部にのみ設けるなど、製作するブラジャーのカップ部分のどの部分に成形性と保形性を付与するかに応じて、種々の形状のものを種々の位置にして設ければ良いものである。

　２　カップ部分
　１１　芯材シート
　１２ａ、１２ｂ　クッションシート
　１３ａ、１３ｂ　表裏の生地

Claims

　カップ部分に、それぞれが不規則に曲がりくねっている複数の熱可塑性弾性樹脂の線条がそれらの接触点において融着して一体化されて立体的な網を形成している３次元構造体のシートをカップ状に成形してなる芯材シートを備えている、ブラジャー。
　カップ部分に、前記芯材シートと、この芯材シートの表裏面に添着されたクッションシートとを備えている、請求項１記載のブラジャー。
　芯材シートが、その周縁部を表又は裏側のクッションシートに周縁を縫着して添着されている、請求項２記載のブラジャー。
　カップ部分に、前記芯材シートと、前記クッションシートと、それぞれのクッションシートの反芯材シート側に面全体が融着された表裏の生地とを備えている、請求項２又は３記載のブラジャー。
　前記クッションシートが熱可塑性樹脂繊維の不織布である、請求項２、３又は４記載のブラジャー。