JP4497677B2 - 放射線撮影装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線等の放射線を投射し放射線受像部により撮影する放射線撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から放射線撮影装置は被検者の医療診断、物質の非破壊検査等の多種の分野において使用されており、この種の撮影装置には増感紙と放射線写真フィルムを密着させて使用する所謂放射線写真法が利用されている。これらの撮影装置において、被写体を透過した放射線が増感紙に入射すると、増感紙に含まれている蛍光体が放射線のエネルギを吸収して蛍光を発生し、この蛍光により放射線写真フィルムが感光し、放射線像を可視像として記録する。
【0003】
また近年では、蓄積性蛍光体から成る放射線検出器を備えた画像記録再生装置が提案されている。この画像記録再生装置においては、放射線が被写体を透過し蓄積性蛍光体に入射すると、蓄積性蛍光体は放射線エネルギの一部を蓄積する。続いて、この蓄積性蛍光体に可視光線等を照射すると、蓄積性蛍光体は蓄積したエネルギに応じた輝尽発光を示す。つまり、この蓄積性蛍光体は被写体の放射線画像情報を蓄積し、蓄積性蛍光体をレーザー光等の励起光による走査手段を用いて走査することにより、信号読取手段が輝尽発光光を光電的に読み取り、写真感光材料等の記録材料又はCRT等の表示手段が可視像として記録又は表示する。
【0004】
また、半導体プロセス技術の進歩により、例えば特開平8−52044号公報等に示すように、放射線をリアルタイムで直接デジタル出力する放射線検出器が提案されている。この放射線デジタル検出器は、シンチレータと固体光検出器を積層した構造となっており、シンチレータは放射線を可視光線に変換し、固体光検出器はシンチレータにより変換された可視光線を光電変換する。この固体光検出器は石英ガラスから成る基板上に、透明導電膜と導電膜から成る固体光検出素子をアモルファス半導体膜により挟持してマトリクス状に配列されている。
【0005】
このような放射線検出器は厚さ数mmの平面パネル状であるため、放射線検出器を使用したX線受像部は薄型軽量化が容易となる。また、放射線受像部はフィルムや蓄積性蛍光体シート等の消耗部材を用いることなく、デジタル画像を直接に得ることができるため、従来では必要であった放射線受像部にフィルム又は蓄積性蛍光体シートを収納したカセッテを設定する作業や、撮影した後にカセッテを取り出して現像する作業等が不要となる。
【0006】
例えば、図4は被検者Sの四肢、頭部、腹部等の単純撮影する際に使用可能なブッキー撮影台の説明図であり、この撮影台における天板1は四隅の支柱2を介して支持台3により支持されている。天板1と支持台3の間の空間には、X線検出器4aが組込まれたX線受像部4が配置されている。そして、天板1上に仰臥又は伏臥した被検者Sを撮影する際には、被検者Sの上方に位置する管球TからX線を曝射し、被検者Sを透過したX線をX線受像部4により受像する。
【0007】
また、図5に示すように、天板1上に仰臥又は伏臥した被検者Sの側面を撮影する際には、天板1の下方に配置したX線受像部4を使用する代りに、フィルム又は蓄積性蛍光体シートを収納したカセッテ5を天板1の縁部に配置し、被検者Sの側方に位置する管球T’からX線を曝射し、被検者Sを透過したX線をカセッテ5により受像する。
【0008】
図6に示すように、カセッテ5の代りにX線検出器を内蔵したX線受像部4を使用し、X線受像部4の姿勢を変化させることが可能な撮影台を用いる場合もある。この撮影台はX線受像部4を天板1の短手方向に案内する図示しないガイドレールと、天板1から露出したX線受像部4を鉛直方向に回転可能とする回転軸6を有している。この撮影台においては、X線受像部4を天板1の外側まで引き出して天板1の無い水平状態4’、及びこの水平状態4’から鉛直にした状態4”に変化させることができるため、被検者Sを1つのX線受像部4によって異なる方向から容易に撮影できる。なお、天板1の無い状態4’では、被検者Sは直接にX線受像部4上に手、足等の撮影部位を置くことができるため、X線受像部4に撮影部位を近付けることができ、更に天板1によるX線の吸収、散乱が無い良好な画像を得ることが可能である。
【0009】
また、この場合に被検者Sの側方に位置する管球T’を用いて被検者Sを撮影する際に、被検者Sを仰臥又は伏臥させる場合には、被検者Sの撮影部位全体が天板1の近傍に位置し、十分にX線受像部4の撮影範囲に収まる。
【0010】
これに対し、例えば胸部に水等が溜まった被検者Sを天板1に側臥させて撮影する場合には、被検者Sの撮影部位の上端がX線受像部4の撮影範囲の上方からはみ出し、X線受像部4を上方に移動させる必要が生ずる。
【0011】
また、この種の撮影では、被検者Sにおいて発生した散乱X線がX線受像部4に入射することを減少させるために、X線受像部4の前方にグリッドを配置する場合が多い。この場合に、グリッドは焦点を有しているため、X線受像部4を鉛直状態に変化させて撮影する場合においても、管球T’とX線受像部4の撮影範囲の中心とを合致させる必要が生ずる。
【0012】
しかしながら、図7に示すように撮影範囲を広く取るために、X線受像部4の上端を高い位置に設定し、管球T’の高さhを撮影範囲の中心に合致させた場合には、側臥している被検者S’の撮影を満足させることができても、仰臥又は伏臥した低い位置の被検者Sの撮影は満足に実施できない。
【0013】
また、図8に示すように仰臥又は伏臥している被検者Sの撮影を満足させるために、X線受像部4の上端を低く設定し、管球Tの高さh’を撮影範囲の中心に合致させた場合には、側臥した被検者S’の高い部位の撮影を満足させることができない。
【0014】
このために、図9に示すようにX線受像部4の位置を変更する手段を備えた撮影台が考案されている。この撮影台においては、天板1の上方に配置した管球により被検者を撮影する際に、X線受像部4を水平状態として天板1の下面に配置し、被検者を天板1上に仰臥又は伏臥させ、管球TからX線を投射してX線受像部4により受像する。
【0015】
一方、天板1の側方に配置した管球T’により被検者Sを撮影する際には、先ずX線受像部4を第1の案内部材11に沿って第1の摺動部材12を水平方向に摺動させ、更に第2の摺動部材13を第1の摺動部材12に沿って同方向に摺動させることにより、X線受像部4を天板1の側方に引き出して水平状態に露出させることができる。続いて、回転連結部材14を第2の摺動部材13に対して回動させることにより、X線受像部4を鉛直状態に向きを変化させることができる。
【0016】
図10はX線受像部4の位置を調整する機構の要部拡大図を示している。X線受像部4の両側面にはラック15がそれぞれ固定されていると共に、回転連結部材14に固定された箱状の第3の摺動部材16が摺動自在に連結されている。なお、この第3の摺動部材16は例えばX線受像部4に設けられたあり溝17に、ありを嵌合することにより、X線受像部4に摺動自在に取り付けられている。
【0017】
また、ラック15には第3の摺動部材16内に設けられたギア軸18を介して支持されているピニオン19が噛合されている。また、ギア軸18にはホイールギア20が同軸に支持されており、このホイールギア20はギア軸21を介して支持されているウォームギア22に噛合されている。更に、このギア軸21には第3の摺動部材16の外部において、ノブ23が取り付けられている。
【0018】
従って、天板1とX線受像部4との鉛直方向に対する相対距離を調整する際には、ノブ23を回転操作すると、ウォームギア22が回転しホイールギア20とピニオン19とが一体に回転し、ラック15を上下に移動させることによりX線受像部4が上下方向に移動する。
【0019】
このように、天板1に対するX線受像部4の鉛直方向の設置位置を変更可能とし、更にX線受像部4を水平に移動したり、鉛直状態に姿勢を変化させたり、その後に鉛直方向の位置を変化させたりすることにより、X線受像部4の撮影範囲を被検者に合わせて設定可能となり、1つのX線受像部4を用いて最適な状態で被検者を撮影でき、診断に有効なX線画像を得ることができる。このように、1つのX線受像部4を要求される様々な撮影姿勢に対して、最適の位置に設定することが可能となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例においては、様々な撮影姿勢を行う場合において、X線の発生源であるX線管球の位置及び角度を最適な位置に合わせる必要がある。従来の天板1の高さが可変できる昇降撮影台においては、天板1の高さに応じて、管球の高さが変化し、管球と天板1の下のX線受像部4との距離が一定に保たれる手段を有した撮影装置が使用されている。これにより、撮影技師は天板1の高さにおいて、任意の位置で撮影することが可能となる。
【0021】
しかし、X線受像部4の天板1の短手方向への移動、その位置で鉛直状態への姿勢変更、更には鉛直状態における鉛直方向への移動に対しては対応されておらず、X線受像部4の移動の度に撮影技師が手動で位置合わせを行う煩雑さが生ずる。
【0022】
特に、この位置合わせはグリッドを用いた撮影においては正確に行う必要がある。これはグリットが固有の焦点を有しており、管球の位置を撮影範囲の中心に合わせるだけでなく、グリッドの焦点距離分、正確に離して合致させる必要がある。このため、撮影技師はこの作業を撮影姿勢をとる被検者に配慮しながら、迅速かつ正確に行う必要がある。
【0023】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、管球の位置を撮影状態に応じて容易に調整できる放射線撮影装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る放射線撮影装置は、被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球保持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とする移動機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る放射線撮影装置は、被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球保持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とすると共に前記天板の短手側方において前記放射線受像部を鉛直状態に姿勢変換する機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記放射線受像部の姿勢を検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記2つの受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る放射線撮影装置は、被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球支持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とすると共に、前記天板の短手側方において前記放射線受像部を鉛直状態に姿勢変換し鉛直状態にした前記放射線受像部を略鉛直方向に移動可能とする機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記放射線受像部の姿勢を検出する受像部検出手段と、鉛直状態にある前記放射線受像部の高さを検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記3つの受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明を図1〜図3に図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態における放射線撮影装置の概略図を示しており、被検者を横臥させるアクリル板、カーボン板、木材等から成る天板31は四隅の支柱32を介して支持台33により略水平状態に支持されている。また、天板31と支持台33の間には、X線デジタル検出器を内蔵したX線受像部34が配置されている。更に、X線受像部34を天板31の短手方向に沿って移動するための案内機構35が設けられ、この案内機構35には、天板31の短手方向に移動するX線受像部34の位置を検出する水平位置検出手段36と、X線受像部34が水平状態又は鉛直状態にあるのか、その姿勢を検出するための姿勢検出手段37と、鉛直状態にあるX線受像部34の位置を検出する鉛直位置検出手段38が備えられている。
【0028】
一方、天板31の上方には、X線管球41が管球保持部42により支持されており、この管球保持部42はX線管球41の向きを変更可能とする回転部43、上下動を行う昇降部44、天板31の短手方向への移動を可能とするスライド部45、天板31の長手方向への移動を可能とするスライド部46から構成されている。更に、回転部43、昇降部44、スライド部45には、それぞれモータ及びこれらのモータを駆動するドライバ等の駆動手段47、48、49が組み込まれており、検出手段36、37、38から送られてくる信号が管球位置制御手段50を介して送られ、X線管球41を任意の位置に移動するようになっている。
【0029】
図2は案内機構35の要部拡大図であり、X線受像部34を鉛直方向に向けた状態を示している。X線受像部34の両側面には、ラック51がそれぞれ固定されていると共に、箱状の摺動部材52が摺動自在に連結されており、摺動部材52は回転連結部材53に固定されている。なお、X線受像部34と摺動部材52は、例えばX線受像部34に設けられたあり溝54と摺動部材52に設けられたありにより相互に摺動自在に嵌合されている。
【0030】
ラック51には、摺動部材52に設けられたギア軸55を介して支持されたピニオン56が噛合されている。また、ギア軸55にはホイールギア57が同軸に支持されており、このホイールギア57は摺動部材52にギア軸58を介して支持されているウォームギア59に噛合されている。そして、このギア軸58には摺動部材52の外部において、ノブ60が取り付けられている。また、摺動部材52内ではピニオン56にギア61が嵌合されており、ギア61にはポテンショメータ等の可変抵抗器62が軸支されている。
【0031】
X線受像部34の位置を検出する水平位置検出手段36は案内機構35における支持台33に固定された案内部材71等に取り付けられている。この水平位置検出手段36はワイヤ72、ギア列73、ポテンショメータから成る可変抵抗器74により構成されており、ワイヤ72の一端72aはX線受像部34と共に移動し、回転連結部材53を固定した摺動部材75に取り付けられている。
【0032】
ワイヤ72の他端は、ギア列73内のプーリ76に複数回巻き付けられている。更に、ギア列73には可変抵抗器74の軸が連結されており、X線受像部34の移動により、ワイヤ72が矢印方向に引っ張られプーリ76を回転させ、ギア列73を介して可変抵抗器74の軸を回転させる。これにより、X線受像部34の移動を可変抵抗器74の抵抗値の変化として求めることができる。
【0033】
また、回転連結部材53の近傍には、マイクロスイッチ77、フォトインタラプタ等から構成される姿勢検出手段37が取り付けられている。更に、回転連結部材53には突起部53aが設けられており、X線受像部34が水平状態にあるとき、この突起部53aがマイクロスイッチ77のレバー77aを押し、X線受像部34が鉛直状態になったとき、突起部53aがレバー77aから離れるようにマイクロスイッチ77が配置されていて、X線受像部34が水平状態にあるのか、鉛直状態にあるのかを検出できるようになっている。
【0034】
このような構成の放射線撮影装置の使用に際しては、先ず天板31上に横臥した被検者を上方から撮影する場合には、X線受像部34を水平状態として天板31の下面に配置し、天板31の上方に位置させたX線管球41からのX線を下方の被検者に照射する。
【0035】
次に、天板31の無い状態で撮影を行う場合には、先ずX線受像部34を天板31の下面から天板31の側方に引き出し、X線受像部34の受像面が露出した状態にする。X線受像部34が引き出された引出量に応じてプーリ76、ギア列73を介して可変抵抗器74の軸が回転し、この軸の回転量は可変抵抗器74の内部の電気抵抗の変化として管球位置制御手段50に出力される。管球位置制御手段50はX線受像部34の移動量と同じ距離だけX線管球41が駆動するように駆動手段49に信号が出力され、X線管球41は水平方向にX線管球41とX線受像部34との距離Lvを維持したまま移動し、X線受像部34の撮影中心と一致した位置で停止する。
【0036】
なお、X線受像部34が任意の量だけ引き出されても検出できるように構成したが、撮影位置を天板31の下の位置と引き出した位置の2個所に限定することにより、その何れかの位置にあるかを1つ又は2つのマイクロスイッチ等のセンサにより検出するように構成することができる。この場合には、X線管球41の移動機構も2個所で自動的に停止するように構成すればよい。
【0037】
一方、被検者を側方から撮影をする場合においては、X線受像部34を天板31から引き出し、回転連結部材53により鉛直状態に回転する。X線受像部34の水平状態から鉛直状態への姿勢変更は姿勢検出手段37により検出され、その情報は管球位置制御手段50に出力される。管球位置制御手段50はX線管球41の方向を変更する駆動手段47には、X線の照射方向が下方から水平方向を向くように、X線管球41の方向を回転させる信号が送出する。
【0038】
また、X線管球41を天板31の短手方向へ移動させる駆動手段49には、X線管球41が任意の水平距離Lbだけ離れた位置に移動するように信号が送られる。更に、X線管球41を昇降させる駆動手段48には、鉛直状態にあるX線受像部34の撮影中心の高さまでX線管球41が下降するように信号が送られる。これにより、X線管球41はX線受像部34の撮影中心と対向合致する位置に移動する。
【0039】
天板31とX線受像部34との鉛直方向に対する相対距離を調整する際には、ノブ60を矢印方向に回転操作する。これにより、ウォームギア59が回転してホイールギア57とピニオン56とが一体に回転し、ラック51を移動させてX線受像部34が上下方向に移動する。また、ピニオン56の回転がギア61にも伝達され、可変抵抗器62の軸を回転させる。これにより、X線受像部34の鉛直方向の位置変化を可変抵抗器62の抵抗値の変化として求めることができる。
【0040】
このようにして、鉛直状態にあるX線受像部34の高さを変更した場合は、その移動量は可変抵抗器62内部の電気抵抗の変化として管球位置制御手段50に出力されるので、管球位置制御手段50からは、X線受像部34の移動量と同じ距離だけX線管球41が移動するように駆動手段48に信号が出力され、X線管球41はX線管球41からX線受像部34までの距離Lhを維持したまま上下方向に移動し、X線受像部34の撮影中心と一致した位置で停止する。
【0041】
図3は第2の実施の形態の説明図である。第1の実施の形態においては、回転部43、昇降部44、スライド部45に、それぞれモータ及びこれを動かすドライバ等の駆動手段47、48、49が組み込まれており、管球位置制御手段50からの信号で自動的に管球の位置を制御したが、この第2の実施の形態においては、回転部43、昇降部44、スライド部45にはモータ等の駆動手段が組み込まれておらず、代りにそれぞれ管球位置検出手段81、82、83が組み込まれ、これらの出力は位置比較手段84に接続されている。
【0042】
また、位置比較手段84には、第1の実施の形態と同様に天板31の短手方向に移動するX線受像部34の位置を検出する水平位置検出手段36、姿勢検出手段37、鉛直位置検出手段38からの信号が入力されている。
【0043】
このような構成により、X線受像部34の位置が変化した場合に、撮影技師は手動でX線管球41の位置を移動させる。その移動量は各管球位置検出手段81、82、83により検出され、位置比較手段84に送られる。そして、X線受像部34側の検出手段36、37、38から算出される必要移動量と比較され、一致した場合にその位置でX線管球41が固定されるようにロック信号が各保持部、即ち回転部43、昇降部44、スライド部45に送られ、図示しないロック機構が作動しX線管球41を固定する。
【0044】
この場合に、第1の実施の形態に比べて、撮影技師が管球を移動させる手間を生ずるが、管球移動機構が不要であり、装置全体の簡略化が行えコストを抑えられる利点がある。
【0045】
なお、これらの実施の形態ではX線受像部に放射線検出器を用いた例を示したが、これに限定されるわけではない。例えば、X線受像部にフィルム又は蓄積性蛍光体シートを入れたカセッテを用いても同様の効果を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る放射線撮影装置は、被検者に対して最適な撮影が行えるように水平状態又は鉛直状態に設定された放射線受像部に対し、管球の位置を移動させる手段を有することにより、撮影技師の負担を軽減し、また位置合わせの不具合による撮影の失敗を未然に防ぐことができ、診断に有効な放射線像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線撮影装置の第1の実施の形態の構成図である。
【図2】案内機構の要部拡大斜視図である。
【図3】第2の実施の形態の構成図である。
【図4】従来例の説明図である。
【図5】従来例の説明図である。
【図6】従来例の説明図である。
【図7】従来例の説明図である。
【図8】従来例の説明図である。
【図9】従来例の一部を切欠した斜視図である。
【図10】従来例の要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
31 天板
32 支柱
33 支持台
34 X線受像部
35 案内機構
36、37、38 検出手段
41 X線管球
42 管球保持部
47、48、49 管球駆動手段
50 管球位置制御手段
52、75 摺動部材
53 回転連結部材
81、82、83 管球位置検出手段
84 位置比較手段

Claims (3)

  1. 被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球保持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とする移動機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球保持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とすると共に前記天板の短手側方において前記放射線受像部を鉛直状態に姿勢変換する機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記放射線受像部の姿勢を検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記2つの受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
  3. 被検者に放射線を照射するX線管球と、該X線管球を自動及び手動で移動可能に支持する管球支持部と、前記X線管球の位置を検出する管球位置検出部と、被検者を横臥させる天板と、該天板の下方に配置した放射線受像部と、該放射線受像部を支持する支持台と、前記放射線受像部を前記天板の短手方向に配置可能とすると共に、前記天板の短手側方において前記放射線受像部を鉛直状態に姿勢変換し鉛直状態にした前記放射線受像部を略鉛直方向に移動可能とする機構と、前記放射線受像部の前記天板の短手方向での位置を検出する受像部検出手段と、前記放射線受像部の姿勢を検出する受像部検出手段と、鉛直状態にある前記放射線受像部の高さを検出する受像部検出手段と、前記X線管球を手動で移動する場合に、前記管球位置検出部により得られた前記X線管球の位置が前記3つの受像部検出手段の出力により算出された前記X線管球の必要移動量と一致すると、前記X線管球をその位置で固定するロック機構とを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
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