JP4494535B2 - 可変容量形ポンプを制御する装置および方法 - Google Patents

可変容量形ポンプを制御する装置および方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、可変容量形ポンプの容量を制御する方法および装置に関し、特に、土木機械の作業サイクルに応じて可変容量形ポンプの容量を制御する方法および装置に関する。
背景技術
従来、ホイールローダ等の土木機械は、その作業具を作動させる油圧シリンダへの作動油の流量を制御するために定容量形ポンプを採用している。掘削サイクルなど、作業サイクルによりは、定容量形ポンプは、シリンダが利用し切れない流量を供給することがある。そのために、シリンダが、それ以上必要としない作動油はスプールバイパス弁または逃がし弁を介してタンクへ戻される。残念ながら、タンクへ戻された作動油は有効な仕事に利用できない。
本発明の目的は、1またはそれ以上の上記問題を克服することにある。
発明の開示
本発明の1つの特徴によれば、所要流量の作動油を供給するために、可変容量形ポンプの容量を制御する方法を開示する。この方法は、土木機械が掘削サイクルで動作しているかどうか、すなわち土木機械が掘削を行なっているかどうかを判定する段階と、最大ポンプ容量以下の所要容量を求める段階と、ポンプ容量を前記所要ポンプ容量に制御することにより所要の作動油流量を流動させる段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
添付の図面に沿って本発明の詳細を以下に説明する。
図1は土木機械の油圧装置を示すブロック図である。
図2は土木機械の前部を示す側面図である。
図3は油圧装置における可変容量形ポンプの容量を調整する制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
図4は油圧装置における可変容量形ポンプの容量を調整する制御装置の他の実施形態を示すプロック図である。
図5は油圧装置における可変容量形ポンプの容量を調整する制御装置の更に他の実施形態を示すブロック図である。
発明の好ましい実施態様
添付の図面、特に図1に例えばホイールローダのような土木機械の油圧装置10を示す。この油圧装置は、例えば可変容量形ポンプ12のような加圧流体供給源、第1と第2の回路14、16、タンク17、電子制御装置18、リフトレバー20および傾動レバー22を含む。
油圧ポンプ12は、最小容量位置から最大容量位置へ向けて動作し、容量制御装置24により制御される。ポンプ容量制御装置24は、電子制御装置18からの容量指令信号を受信して、これに応答する。
第1の回路14は、供給導管28と第1のオープンセンタ制御弁30とを介して油圧ポンプ12から作動油を供給されるリフトシリンダ26を含む。リフトシリンダ26は、導管32、34を介して第1のオープンセンター制御弁30に接続されている。第1のオープンセンタ制御弁30は、電子制御装置18からの流量指令信号を受信し、これに応答して、バネにより付勢された中立位置から第1と第2の作動位置へ移動可能な電気制御比例弁である。
第1のオープンセンタ制御弁30が中立位置にあるとき、油圧ポンプ12からリフトシリンダ26への作動油の流入が遮断され、供給導管28を介して第2の回路16へ流入自在となる。第1と第2の作動位置では、油圧ポンプ12からの作動油が、適切な導管32、34を介してリフトシリンダ26に連通し、制御弁30を通じての下流の第2の回路16への流入が遮断される。制御弁30が、中立位置と第1と第2の作動位置のいずれか一方との間で動作している間は、油圧ポンプ12からの作動油の一部が下流の第2の回路16へ流入する。
第2の回路16は、供給導管28および第2のオープンセンタ制御弁38を介して第1の回路14から作動油を供給される傾動シリンダ36を含む。傾動シリンダ36は、導管40、42を介して第2のオープンセンタ制御弁38と連通する。第2のオープンセンタ制御弁38も、電子制御装置18からの流量指令信号に応答してバネにより付勢された中立位置から第1と第2の作動位置へ移動自在な電気制御比例弁である。
第2のオープンセンタ制御弁38が中立位置にあるとき、供給導管28から傾動シリンダ36へのの作動油の流入が遮断され、タンク17への流入が絞り装置44により制御自在に制限される。第1と第2の作動位置にある間、第1の回路14から供給導管28を通過する作動油の流れが適切な導管40、42を介して傾動シリンダ36と連通し、第2の制御弁38を介してタンク17に流入する前記制限された流が遮断される。第2の制御弁38が、第1と第2の作動位置のいずれか一方で動作するとき、その初期段階では、制限された流量の作動油が絞り装置44を介してタンク17へ流入できる。初期段階を過ぎると、前記絞り装置を通過する作動油が遮断される。
電子制御装置18は、リフトレバー20および傾動レバー22からリフト制御信号と傾動制御信号とを受信する。電子制御装置18は上記信号を処理し、ポンプ容量制御装置24および該当する制御弁30、38に指令信号を送出する。流量指令信号を受信すると、これに応答して油圧ポンプ12の容量がリフトレバー20および傾動レバー22が要求する入力を満たすのに必要な流量を提供できる位置まで移動する。同様に、流量指令信号を受信した第1と第2のオープンセンタ制御弁30、38は、リフトレバー20および傾動レバー22からの制御信号の要求に従って、連携のアクチュエーター26/36に必要流量を供給できる位置へ移動する。
電子制御装置は、機械エンジン60と、トランスミッション62とを含む駆動系(図示せず)に関する幾つかの信号を自動的に受信する。エンジン速度センサ50は、エンジン60のフライホイールの回転に応答するエンジン速度信号を生成する。トランスミッション62の動作を選択的に制御するため、トランスミッション制御レバー52が組み込まれている。このトランスミッション制御レバー52は、所要のギヤ比および/または土木機械の方向を示すトランスミッション制御信号を電子制御装置18に送出する。走行速度センサ53はトランスミッション出力速度に応答する機械走行速度信号を生成する。
電子制御装置18は、リフトシリンダ26と傾動シリンダ36の位置を示す位置センサ54からの位置信号を受信することができる。例えば、位置センサ54はリフトおよび傾動油圧シリンダにおけるシリンダ伸張量を感知する変位センサを含むことができる。このような位置信号は、図2に示す土木機械の作業具107の位置を示す。作業具107の位置は連接部の角度を測定することにより求めるてもよい。すなわち、位置信号を生成する装置として、回転ポテンシオメータのような回転角度センサなども含まれ、例えば、リフトアーム回動ピンの1つの回転を測定し、この測定結果からリフトアーム集成体の幾何的形態またはリフトシリンダの伸張量を求めることができる。作業具の位置は油圧シリンダの伸張量を測定することにより、或は、三角法により連接部の角度の測定値から算出することができる。
図2に、土木機械100、特に作業具107を有するホイールローダの前部105を示す。但し、図示のホイールローダは土木機械の一例に過ぎない。作業具107は、2基の油圧リフトシリンダ26(1基のみ図示されている)により、機械フレームに取り付けられた1対のリフトアーム回動ピン125(一方のみ図示されている)を中心に回動するリフトアーム集成体またはリンク機構115に連結されたバケット110を含む。リフトアーム集成体およびリフトシリンダには、1対のリフトアーム荷重支持回動ピン130(一方のみ図示されている)が取り付けられている。バケットは、また、1対のバケット回動ピン135(一方のみ図示されている)を中心に、バケット傾動シリンダ36により傾動させられたり、引き寄せられたりする。
本発明は、マイクロプロセッサに基づくシステムとして実施され、該システムはコンピュータを利用することによりソフトウェアプログラムに従って動作プロセスを制御する。多くの場合、プログラムは、読み取り専用メモリーやランダムアクセスメモリーなどに記憶させてある。添付の各ブロック図に沿って以下にプログラムを説明する。
先ず、図3に示す実施形態を参照して説明する。本発明はポンプの容量を所定量を以て低減することにより、掘削サイクル中の油圧装置10の余剰流量を低減する。そのため、以下の3つの状態に応答して、土木機械が掘削サイクルで動作していることを電子制御装置18が検知する。
1)操作者が、トランスミッションの第1の前進ギヤ比を表わす第1ギヤ前進シフト位置を選択したこと。
2)作業具が掘削位置にあること。
3)土木機械の走行速度が所定値以下であること。
作業具が掘削位置にあるか否かを判断する1つの方法として、リフトシリンダの位置を測定することにより、リフトリンク機構が水平基準線に等しいか、或は、それ以下の高さにあるかを確かめるという方法がある。このような水平基準線は、例えば、図2に仮想線で示すように、リフト回動ピン125およびバケット回動ピン135により定義することができる。
土木機械が掘削サイクルで動作しているかどうかを決定するのが図3のブロック305である。土木機械が掘削を行なっていることを検知すると、電子制御装置18は以下の式に従って、図3のブロック310に示すように適正なポンプ容量を決定する。
DISPDESIRED=α×DISPMAX
ここで、
DISPMAXはポンプ12の最大容量、
αは好ましくは0.5から1.0に相当するポンプ容量に対する乗数、
DISPDESIREDはポンプ12の所要容量である。
所要ポンプ容量を決定すると、電子制御装置は次に、図3のブロック315に示すように、レバーのオーバーライド状態が存在するかどうかを判定する。本発明においては、リフト制御信号および傾動制御信号で表わされるリフトレバーと傾動レバーの合計角度が所定値を超えるか、或は、リフトレバーと傾動レバーのいずれか一方の角度が所定値を超えると、レバーのオーバーライド状態が発生する。レバーのオーバーライド状態発生に呼応して、前記所要ポンプ容量が最大容量以下にデフォルト設定される。
所要のポンプ容量を決定した電子制御装置18は、容量制御装置24に対するポンプ容量指令信号を生成し、該指令信号は可変容量形ポンプ12のポンプ容量を制御することにより所要の流体流量を発生させる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と共通する要素には第1の実施形態と同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
本発明の他の実施形態を図4に示す。図4の実施形態は、ポンプ容量の上限を決定するために操作ダイヤル405を利用する。操作者は、操作ダイヤル405を利用して土木機械が処理すべき土壌の状態を特定することによりポンプ容量の上限を決定することができる。例えば、操作ダイヤル405が低(Easy Material)、中(Moderate Material)および高(Hard Material)の標識が施された3位置式回転スイッチを有し、ダイヤルのそれぞれの設定位置が特定のポンプ容量乗数αに対応する。操作者が操作ダイヤル405を設定すると、電子制御装置18が、これに応答して対応のポンプ容量乗数αを決定する。例えば、図示する実施形態の場合、制御装置18はルックアップ表から、「低」に対しては0.85、「中」に対しては0.75、「高」に対しては0.06のポンプ容量乗数αを選択する。ポンプ容量乗数αが決定されると、制御装置18は第1の実施形態の場合と同様に所要のポンプ容量を決定する。
図5に示す本発明の更に他の実施形態を説明する。ブロック505に示すように、電子制御装置18は、例えば、傾動シリンダ26とリフトシリンダ36の位置を表わす位置信号を微分することにより個々のシリンダの速度を測定する。測定された傾動シリンダとリフトシリンダの速度は各々のシリンダの作動油利用量を表わす。傾動シリンダとリフトシリンダの速度が測定されると、制御装置18は、ブロック510にて示すように、必要なポンプ容量を算出する。必要なポンプ容量は以下の式により算出される。
FLOW=VELCYLINDER×AREACYLINDER
DISPREQUIRED=FLOW/SPEEDPUMP
α=DISPREQUIRED/DISPMAX
DISPDESIRED=α×DISPMAX
ここで、
VELCYLINDERは位置信号を微分することにより求められ、
AREACYLINDERは一定であり、
SPEEDPUMPはエンジンの速度から得られ、
DISPREQUIREDはポンプ12の必要容量であり、
DISPMAXはポンプ12の最大容量であり、
αはポンプ容量乗数を表わし、
DISPDESIREDはポンプ12の所要容量である。
所要のポンプ容量が決定されたら、電子制御装置18はポンプ制御装置24に対するポンプ容量指令信号を生成し、この指令信号は可変容量形ポンプ12のポンプ容量を制御して所要の油圧を発生させる。
図示の実施形態に関して本発明の詳細を以上に説明したが、当業者には明白なように、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、更に多様な実施態様が可能である。
産業上の利用可能性
本発明は所要のポンプ容量を自動的に決定する方法を提供し、これにより油圧ポンプが送り出す作動油の流量の大部分が作業に有効に利用可能になる。本発明は、既に述べたように、土木機械の作業具が掘削中であればこれを検知し、これに呼応して、可変容量形ポンプの容量を低減することにより、作動油流量の大部分が油圧シリンダに供給され作業に活用されるように、所要流量を設定する方法と装置を提供する。これにより、作動油の余剰分をタンクへ直接戻すことによる作動油の浪費が回避される。
本発明のその他の特徴、目的および利点は図面、開示内容および以下に記載する請求の範囲に照らして明らかになるであろう。

Claims (8)

  1. エンジンとトランスミッション(62)とを備えた土木機械(100)の作業具(107)を作動させるための油圧シリンダ(26、36)に所要流量の作動油が供給されるように可変容量形ポンプ(12)の容量を制御する方法において、
    土木機械(100)が掘削を行なっていることを検知する段階であって、トランスミッション(62)が第1前進ギヤ比に設定されていることを確認する段階と、作業具(107)が掘削位置にあることを確認する段階と、土木機械(100)の走行速度が所定の速度以下であることを確認する段階と、を含む段階と、
    土木機械が掘削を行なっていることが検知されたときに、ポンプ(12)の最大容量よりも小さい所要のポンプ容量を決定する段階と、
    所要流量の作動油が供給されるようにポンプの容量を前記所要のポンプ容量に制御する段階とを含んで成ることを特徴とする制御方法。
  2. 所要のポンプ容量を以下の式に従って求めることを特徴とする請求項1に記載の方法。
    DISPDESIRED=α×DISPMAX
    ここで、
    DISPMAXはポンプ(12)の最大容量であり、
    αはポンプ容量乗数であり、
    DISPDESIREDはポンプ(12)の所要の容量である。
  3. 土木機械(100)が、該土木機械(100)により処理すべき土壌の状態を特定することにより所要のポンプ容量を選択するための操作ダイヤル(405)を含み、前記所要のポンプ容量を決定する段階が操作ダイヤルの設定値に応じて所要のポンプ容量を決定する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記所要のポンプ容量を決定する段階が、
    油圧シリンダ(26、36)の速度を測定する段階と、
    エンジン(60)の速度を測定する段階と、
    シリンダ速度およびエンジン速度とに応じて所要のポンプ容量を求める段階を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  5. エンジンとトランスミッション(62)とを備えた土木機械(100)の作業具(107)を作動させるための油圧シリンダ(26、36)に所要流量の作動油が供給されるように可変容量形ポンプ(12)の容量を制御する装置において、
    トランスミッション(62)が第1前進ギヤ比に設定され、作業具(107)が掘削位置にあり、かつ土木機械(100)の走行速度が所定の速度以下である場合に土木機械(100)が掘削を行なっている検知する手段(18)と、
    土木機械が掘削を行なっていることが検知されたときに、最大ポンプ容量よりも小さい所要のポンプ容量を求める手段(18)と、
    所要流量の作動油を流動させるため、ポンプ容量を前記所要のポンプ容量に制御する手段(24)とを具備することを特徴とする制御装置。
  6. 前記所要のポンプ容量を求める手段(18)が土木機械(100)により処理すべき土壌の状態を特定することにより所要のポンプ容量を選択するための操作ダイヤル(405)を含み、操作ダイヤル(405)の設定値に応じて所要のポンプ容量を決定することを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. 前記所要のポンプ容量を求める手段(18)が、シリンダ(26、36)の位置を表わす位置信号を出力する位置センサ(54)と、
    前記位置信号を受信し、該位置信号を微分し、シリンダ(26、36)の移動速度を表わす速度信号を出力する手段と、
    エンジン速度を表わすエンジン速度信号を出力するエンジン速度センサ(50)とを具備することを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 前記所要のポンプ容量を求める手段(18)が更に、前記シリンダ速度信号およびエンジン速度信号に応答して所要のポンプ容量を決定する手段(18)を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
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