JP4493296B2 - 加工用粘着シートとその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製品や光学部品等を加工する際に使用される加工用粘着シートに関し、特に、シリコンやガリウム−ヒ素等の半導体ウエハ等の半導体製品や光学系製品等を精密加工する工程において、製品を保持したり、保護するために使用される加工用粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
光学産業や半導体産業等において、レンズ等の光学部品や半導体ウエハ等の半導体製品を精密加工する際に粘着シートが使用される。
例えば半導体チップの製造工程においては、IC回路等の所定の回路パターンを形成した半導体ウエハの裏面を研磨して所定の厚さにした後、個々のチップに切断するためにダイシング工程へ搬送される。半導体ウエハ自体が肉薄で脆く、また回路パターンには凹凸があるので、研磨工程やダイシング工程への搬送時に外力が加わると破損しやすい。また、研磨加工工程において、生じた研磨屑を除去したり、研磨時に発生した熱を除去するために精製水によりウエハ裏面を洗浄しながら研磨処理を行っており、この研削水等によって汚染されることを防ぐ必要がある。そのために、回路パターン面等を保護し、半導体ウエハの破損を防止するために、回路パターン面に粘着シートを貼着して作業を行うことが行われている。
例えば、特開昭61−10242号公報には、ショアーD型硬度が40以下である基材シートの表面に粘着層を設けたシリコンウエハ加工用フィルムが開示されている。また、特開平9−253964号公報には、ウレタンアクリラート系オリゴマーと反応性希釈モノマーとを含む配合物を放射線硬化させてなる基材に、粘着層を設けた粘着テープが開示されている。特開昭61−260629号公報には、ショアーD型硬度が40以下である基材フィルムの一方の表面に、ショアーD型硬度が40よりも大きい補助フィルムが積層されており、基材フィルムの他方の表面に粘着剤層が設けられているシリコンウエハ加工用フィルムが開示されている。特開2000−150432号公報には、引張試験において、10%伸張時の応力緩和率が、1分後で、40%以上の粘着シートが開示されている。
しかし、近年、半導体ウエハには12インチ等への大型化や、厚みが100μm以下の薄型化が要求されており、従来のフィルムでは、薄肉化した半導体ウエハの搬送や保護には不十分であった。すなわち、半導体ウエハの大型化、薄肉化により、半導体ウエハの剛性が低下し、半導体ウエハが搬送時にたるんだり、粘着シートの残留応力によって半導体ウエハに反りが生じるという問題があった。また、厚みが100μm以下の半導体ウエハでは、研削熱が粘着シートに伝達されやすく、特に、研削工程の後期においてはわずかな外力でも破損しやすいという問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−10242号公報
【特許文献2】
特開平9−253964号公報
【特許文献3】
特開昭61−260629号公報
【特許文献4】
特開2000−150432号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、例えば、研磨後の半導体ウエハが薄肉であっても、研削工程中にウエハが破損することなく、また、半導体ウエハのたるみが小さく、さらには粘着シートの残留応力によるウエハの反りが小さい、半導体ウエハ等の製品を加工する工程において使用される粘着シートとその製造方法、並びにその加工用粘着シートを用いて製品の加工を行う方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工用粘着シートは、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を有し、該中間層の基材とは反対側の面に粘着剤層を有することを特徴とする。ここで、前記中間層は、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを有効成分として含有する複合フィルムであることができる。
ここで、前記ビニル系ポリマーはアクリル系ポリマーであることができる。
また、前記中間層は、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させて、形成されることができる。
ここで、前記ラジカル重合性モノマーはアクリル系モノマーであってもよい。また、前記基材の厚さt1が10〜200μmであり、前記中間層の厚さt2が10〜300μmであり、かつ厚さの比がt1/t2=0.1〜10であることができる。
【0006】
本発明の加工用粘着シートの製造方法は、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を形成し、該中間層の表面に粘着剤層を形成することを特徴とする。
【0007】
本発明の製品の加工方法は、上記加工用粘着シートを、精密加工される製品に貼着して保持及び/又は保護した状態で、精密加工することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の加工用粘着シートは、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を有する。なお、本発明において「フィルム」という場合には、シートを含み、「シート」という場合には、フィルムを含む概念とする。
ここで、貯蔵弾性率とは、測定する対象の基材又は中間層を約50mm×5mmの大きさに切断し、これを動的熱機械測定法により、粘弾性測定装置(「DMS6100」、セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、引張りモード、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、温度領域−100℃〜+200℃、試料寸法30mm(長さ)×5mm(幅)の条件下で測定した値をいう。
本発明においては、基材の25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上であることが必要であり、2.0×10Pa〜1.0×1010Paであることが好ましく、更に好ましくは1.0×10Pa〜1.0×1010Paである。基材の25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満では、半導体ウエハにたるみが発生し、搬送時に破損する場合がある。基材の貯蔵弾性率が1.0×1010Paを超えると、粘着シートを半導体ウエハ形状等に切断する際に、切断しにくくなることがある。
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加工用粘着シートの断面図である。図1において、加工用粘着シート4は、基材1の上に中間層2が設けられており、粘着剤層3は中間層2の上に形成されている。
【0010】
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂等が使用される。中でもPETは、精密部品の加工に使用する場合には適度な固さを有しているので好適であり、さらにまた、品種の豊富さやコスト面からも有利であるので、好ましく使用される。基材の種類は、用途や粘着剤層の種類等に応じて、適宜決定することが好ましく、例えば紫外線硬化型粘着剤を設ける場合には、紫外線透過率の高い基材が好ましい。なお、基材は単層であってもよいが、2層以上の積層体であってもよい。積層体の場合には、同一種類の材料からなる複数層の積層体であっても、少なくとも1層が異なる材質の積層体であってもよい。
【0011】
本発明においては、基材の一方の面に中間層を有する。中間層は、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、好ましくは3.0×10Pa以上、2.0×10Pa未満、更に好ましくは1.0×10Pa〜1.0×10Paである。また中間層は、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上であり、好ましくは3.0×10Pa以上、2.0×10Pa未満、更に好ましくは1.0×10Pa〜1.0×10Paである。25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である中間層を有する粘着シートは、シートの剛性が大きくなりすぎ、半導体ウエハ等の製品を研削加工する工程において製品が破損することがある。また、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満である中間層を有する粘着シートは、例えば半導体ウエハを薄く研削する際に、研削熱によって中間層の温度が上昇しやすく、弾性率の低下が生じて半導体ウエハ保持能力が低下し、半導体ウエハが破損することがある。
【0012】
本発明においては、中間層をウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを含む複合フィルムとすることができる。ウレタンポリマーの組成、ビニル系ポリマーの種類や組成、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとの配合比等を適宜選択することによって、また、さらに架橋剤等を適宜組合せることによって、様々な貯蔵弾性率を有する中間層を得ることができる。
中間層がウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを含む複合フィルムの場合には、高い貯蔵弾性率を有する基材と、ウレタンポリマーを構成するウレタン結合の凝集力との相互作用、あるいはウレタン結合とビニル系ポリマーのエステル結合との相互作用により、半導体ウエハ等の製品が薄肉であったとしてもたるみや反りが小さくなる。また、かかる相互作用により、中間層の100℃における貯蔵弾性率の低下が小さくなり、半導体ウエハの保持能力の低下も小さくなる。
本発明において複合フィルムは、例えば、ウレタンポリマーの存在下で、ビニル系モノマーを溶液重合やエマルジョン重合することによって得ることができる。複合フィルムを構成するビニル系ポリマーは、アクリル系ポリマーであることが好ましく、この場合には、アクリル系モノマーを溶液重合等することによってウレタン−アクリル複合材料を形成することができる。
【0013】
本発明において中間層は、ラジカル重合性モノマーを希釈剤として、このラジカル重合性モノマー中でウレタンポリマーを形成し、ラジカル重合性モノマーとウレタンポリマーとを主成分とする混合物を基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより、形成してもよい。ここで、ラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するものが使用され、ビニル系モノマー等が使用されるが、反応性の点からは、アクリル系モノマーが好ましい。
【0014】
具体的には、
(a)ポリオールとジイソシアネートとを反応させ、この反応生成物をアクリル系モノマーに溶解させて粘度調整を行い、これを基材に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることができる。
(b)ポリオールをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネートを反応させて粘度調整を行い、これを基材に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることもできる。この方法では、アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートをアクリル系モノマーに溶解させた後、ポリオールを反応させてもよい。
ここで、(a)の方法によれば、ポリオールとジイソシアネートとの反応により生成するポリウレタンの分子量が高くなると、アクリル系モノマーに溶解させることが困難になるので、ポリウレタンの分子量が必然的に限定されてしまう、という欠点がある。一方、(b)の方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。
また、(c)予め、別途入手したウレタンポリマーをアクリル系モノマー中に溶解し、これを基材に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることもできる。
【0015】
本発明に好ましく用いられるアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、等を挙げることができる。これらのエステルと共に、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するモノマーを用いることができる。
また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、及びその誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等のモノマーを用いてもよい。
本発明においては、必要に応じて、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能モノマーを架橋剤として用いてもよい。これらのモノマーも、本発明に係るラジカル重合性モノマーに含まれる。
【0016】
これらのラジカル重合性モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
【0017】
ウレタンポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる。イソシアネートとポリオールの水酸基との反応には、触媒を用いても良い。例えば、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン等の、ウレタン反応において一般的に使用される触媒を用いることができる。
【0018】
ポリオールとしては、1分子中に2個またはそれ以上の水酸基を有するものが望ましい。低分子量のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の3価のアルコール、またはペンタエリスリトール等の4価のアルコール等が挙げられる。また、高分子量のポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール、あるいは上述の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールや、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、エポキシポリオール、カプロラクトンポリオール等が挙げられる。これらの中では、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。アクリルポリオールとしてはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物とアクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂等がある。
これらのポリオール類は単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、トリオールによる架橋構造を導入したり、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ポリオールの種類や量を自由に選択することができ、また、ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点からもポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
【0019】
ポリイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、三量体等が挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの二量体、三量体や、ポリフェニルメタンポリイソシアネートが用いられる。三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられ、適宜、使用することができる。
これらのポリイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点から、ポリイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。
【0020】
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのポリオール成分とポリイソシアネート成分の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール成分の使用量は、ポリイソシアネート成分に対し、NCO/OH(当量比)が0.8以上であることが好ましく、0.8以上、3.0以下であることがさらに好ましい。NCO/OHが0.8未満では、ウレタンポリマーの分子鎖長を充分に延ばすことができず、フィルム強度や、伸びが低下しやすい。また、NCO/OHが3.0以下であれば、柔軟性を十分確保することができる。
【0021】
中間層には、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ポリイソシアネートとポリオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーと反応性モノマーとを重合させる前に、添加してもよい。
また、塗工の粘度調整のため、少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、上述したように、例えば、ラジカル重合性モノマー中でポリオールとイソシアネートの反応を行い、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物を基材上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射することにより、光硬化して中間層を形成することができる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、基材上に塗布したウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物の上に、剥離処理したシートをのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
本発明においては、放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプや、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ等を用いることができる。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cmより多いと、劣化の原因となることがある。
また、紫外線照射する際の温度については特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、温度が高すぎると重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすいので、通常は70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
【0023】
ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール、2−ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフォニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等の光活性オキシムが好ましく用いられる。
本発明においては、分子内に水酸基を有する光重合開始剤を用いることが特に望ましい。ポリオールとポリイソシアネートを反応させてウレタンポリマーを形成する際に、分子内に水酸基を有する光重合開始剤を共存させることで、ウレタンポリマー中に光重合開始剤を採り込ませることができる。これにより、放射線を照射して硬化させるときにウレタン−アクリルのブロックポリマーを生成することができる。この効果によって伸びと強度を向上させることができるものと推定される。
【0024】
本発明の加工用粘着シートにおける基材と中間層の厚みは、目的等に応じて、適宜選択することができる。一般的には、基材の厚み(t1)が10〜200μmの範囲であり、中間層の厚み(t2)が10〜300μmの範囲であることが好ましい。また、基材の厚みと中間層の厚みとの比(t1/t2)が0.1〜10の範囲であることが好ましい。厚み比(t1/t2)が0.1未満であると、粘着性シートとしての弾性率が低下し、ウエハ保持能力が低下してウエハが破損するおそれがある。一方、厚み比t1/t2が10より大きいと、粘着シートの剛性が大きくなりすぎて研削工程の際にウエハ等の製品が破損することがある。
【0025】
本発明の加工用粘着シートは、中間層の上に粘着剤層を有する。粘着剤層は、半導体ウエハ等の製品を加工する際には適度な粘着力を有して確実に保持することができ、加工後には製品等に負荷をかけずに容易に剥離することができるような粘着力が必要である。このため、加工後に剥離する時の180度ピール粘着力は0.01N/20mm〜1N/20mmの範囲である粘着剤層であることが好ましい。かかる粘着剤層を構成する粘着剤組成としては特に限定されず、半導体ウエハ等の接着固定に使用される公知の粘着剤等を使用することができ、例えば、天然ゴムやスチレン系共重合体等のゴム系ポリマーをベースポリマーとするゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中では、半導体ウエハへの接着性、剥離後の半導体ウエハの超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の観点からは、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0026】
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、へプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分とし、これらを重合して得られたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルをいい、本発明において(メタ)の如く表示した場合には、全て同様の意味である。
【0027】
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含むことができる。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−ト等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上を使用することができる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下であることが好ましい。
【0028】
さらに、アクリル系ポリマーには、架橋させるために、多官能性モノマー等を含むことができる。このような多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上を使用することができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下であることが好ましい。
【0029】
アクリル系ポリマーを形成するための重合方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方法でもよい。粘着剤層は半導体ウエハ等の製品の貼着面を汚さないように、低分子量物質の含有量が小さいものが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
【0030】
また、アクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるために、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等を添加してもよい。その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、ベースポリマー100重量部に対して、1〜5重量部程度配合することが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分の他に、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0031】
本発明においては、粘着剤として放射線硬化型の粘着剤を用いることが好ましい。放射線硬化型の粘着剤は、例えば、粘着性物質に、放射線等を照射することによって硬化して低接着性物質を形成するオリゴマー成分を配合することにより得られる。放射線硬化型の粘着剤を用いて粘着剤層を形成すれば、シートの貼り付け時には、オリゴマー成分により粘着剤に塑性流動性が付与されるため容易に貼付することができ、シート剥離時には、放射線を照射すれば低接着性物質が形成されるため、半導体ウエハ等の製品から容易に剥離することができる。
【0032】
放射線硬化型粘着剤としては、分子内に炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを使用することができる。例えば、一般的な粘着剤に放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤や、ベースポリマーが、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有する内在型の放射線硬化型粘着剤等を使用することができる。なお、粘着剤層を硬化させるために使用される放射線としては、例えば、X線、電子線、紫外線等が挙げられ、取り扱いの容易さから紫外線を使用することが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0033】
添加型の放射線硬化型粘着剤を構成する一般的な粘着剤としては、上述のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の感圧性粘着剤を使用することができる。
放射線硬化性の官能基を有するモノマーとしては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分としては、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等の種々のオリゴマーが挙げられ、その分子量が100〜30,000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性の官能基を有するモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば、5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは40〜150重量部程度である。
【0034】
内在型の放射線硬化型粘着剤は、低重合成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動する事態は生じず、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる。
【0035】
内在型の放射線硬化型粘着剤においてはベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限されることなく使用することができる。このようなベースポリマーは、その基本骨格がアクリル系ポリマーであることが好ましい。ここで用いられるアクリル系ポリマーとしては、アクリル系粘着剤の説明において既に例示したアクリル系ポリマーと同一のものが挙げられる。
【0036】
基本骨格としてのアクリル系ポリマーへ、炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に制限されず様々な方法を採用することができる。本発明においては、分子設計が容易になるので、炭素−炭素二重結合をアクリル系ポリマーの側鎖に導入して炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーを形成することが好ましい。具体的には、例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基と炭素−炭素二重結合とを有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させて、アクリル系ポリマーの側鎖に、炭素−炭素二重結合を導入することができる。
【0037】
アクリル系ポリマーに共重合されるモノマーの官能基と、この官能基と反応しうる官能基との組合せ例を以下に示す。例えば、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せの中でもヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが、反応追跡の容易さから好適である。また、これら官能基の組合せにおいて、いずれの官能基が基本骨格のアクリル系ポリマーの側にあってもよいが、例えばヒドロキシル基とイソシアネート基の組合せでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、官能基と反応しうる官能基を含む化合物がイソシアネート基を有することが好ましい。この場合、イソシアネート基を有する前記化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、官能基(ここでは、ヒドロキシル基)を有するアクリル系ポリマーとしては、既にアクリル系粘着剤の説明において例示したヒドロキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル系化合物、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル系化合物、ジエチレングリコールモノビニルエーテル系化合物等をアクリル系ポリマーに共重合したものが挙げられる。
【0038】
内在型の放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーを単独で使用することができるが、特性を悪化させない範囲内で、上述した放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合してもよい。放射線硬化性のオリゴマー成分等の配合量は、通常、ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0039】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等によって硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば1〜10重量部、好ましくは3〜5重量部程度である。
【0040】
本発明において粘着剤層は、上述の粘着剤を必要に応じて溶剤等を使用し、中間層上に直接塗布することにより形成してもよいし、粘着剤を剥離ライナー等に塗布して、予め粘着剤層を形成してから、この粘着剤層を中間層に貼り合わせて形成してもよい。
また、粘着剤層の厚みについては、特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、通常は3〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
【0041】
本発明の加工用粘着シートは、例えば半導体ウエハ等の製品を加工する際の常法に従って用いられる。ここでは、半導体ウエハの裏面を研削加工する際に使用する例を示す。まず、テーブル上にIC回路等のパターン面が上になるように半導体ウエハを載置し、そのパターン面の上に、本発明の加工用粘着シートを、その粘着剤層が接するように重ね、圧着ロール等の押圧手段によって押圧しながら貼付する。あるいは、加圧可能な容器(例えばオートクレーブ)内に、上記のように半導体ウエハと粘着シートとを重ねたものを置いた後、容器内を加圧して半導体ウエハと粘着シートとを貼着してもよいし、これに押圧手段を併用してもよい。また、真空チャンバー内で半導体ウエハと粘着シートとを貼着してもよいし、粘着シートの基材の融点以下の温度で加熱することにより貼着してもよい。
【0042】
半導体ウエハの裏面研磨加工方法としては、通常の研削方法を採用することができる。例えば、上記のようにして粘着シートを貼着した半導体ウエハの裏面を、研磨するための加工機として研削機(バックグラインド)、CMP(Chemical Mechanical Polishing)用パッド等を用いて所望の厚さになるまで研削を行う。放射線硬化型の粘着剤を使用して粘着剤層を形成した粘着シートを用いた場合には、研削が終了した時点で放射線等を照射し、粘着剤層の粘着力を低下させてから剥離する。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を意味する。
《ウレタンポリマーとアクリル系モノマーを含む混合物の作成》
(1)合成例1:混合物1の作成
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸イソボルニル75.0部、アクリル酸25.0部と、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。これに、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。得られた複合フィルムの25℃における貯蔵弾性率は3.8×10Pa、100℃における貯蔵弾性率は1.2×10Paであった。
【0044】
(2)合成例2:混合物2の作成
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸メチル75.0部、アクリル酸75.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.15部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。これに、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。得られた複合フィルムの25℃における貯蔵弾性率は5.3×10Pa、100℃における貯蔵弾性率は1.9×10Paであった。
【0045】
(3)合成例3:混合物3の作成
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸t−ブチル50.0部、アクリル酸50.0部と、多官能モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.1部、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.15部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。これに、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。得られた複合フィルムの25℃における貯蔵弾性率は3.2×10Pa、100℃における貯蔵弾性率は1.9×10Paであった。
【0046】
(4)合成例4:混合物4の作成
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸ブチル75.0部、アクリル酸25.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.15部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。これに、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。得られた複合フィルムの25℃における貯蔵弾性率は6.4×10Pa、100℃における貯蔵弾性率は2.3×10Paであった。
【0047】
(実施例1)
基材として、表1に示すように、50μm、100μm、150μmの3種類の異なる厚さのフィルムを用意した。すなわち、25℃における貯蔵弾性率が4.0×10Paであるポリプロピレンフィルム(厚み50μm、100μm、150μm)を用意した。このポリプロピレンフィルムの一方の面に、合成例1で得られたウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物1を、硬化後の厚みが表1に示すように、50μm、100μm、150μmとなるようにそれぞれ塗布し、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して、硬化させ、中間層を形成した。
次に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、アセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを、中間層の上に塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0048】
(実施例2)
基材として、表1に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。ただし、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。これらのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、合成例2で得られたウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物2を、硬化後の厚みがそれぞれ50μm、100μm、150μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して、硬化させ、中間層を形成した。
次に、中間層の上に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに対し、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、アセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0049】
(実施例3)
基材として、表1に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。ただし、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。これらのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、合成例3で得られたウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物3を、硬化後の厚みがそれぞれ50μm、100μm、150μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して、硬化させ、中間層を形成した。
次に、中間層の上に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、アセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0050】
(比較例1)
基材として、表2に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。ただし、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。
このポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに対し、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、及びアセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0051】
(比較例2)
基材として、表2に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のエチレン−酢酸ビニルフィルムを用意した。ただし、これらのエチレン−酢酸ビニルフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が9.5×10Paであった。このエチレン−酢酸ビニルフィルムの一方の面に、比較例1と同様に、実施例1で作成したアクリル系粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、粘着シートを作成した。
【0052】
(比較例3)
基材として、表2に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。ただし、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。このポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、Tダイ法により軟質塩化ビニルフィルム層(表2参照:厚み50μm、100μm、150μm)を設けた。但し、軟質塩化ビニルフィルムの25℃における貯蔵弾性率は、2.8×10Paであり、100℃における貯蔵弾性率が2.3×10Paであった。
次に、軟質塩化ビニルフィルム上に、比較例1と同様に、実施例1で作成したアクリル系粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、粘着シートを作成した。
【0053】
(比較例4)
合成例3で得られたウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物3を、剥離処理されたポリエステルシート(剥離ライナー)上に塗布し、厚み50μm、100μm、150μmの中間層のみからなるシートを形成した。
次に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、及びアセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したもの(実施例1で作成したアクリル系粘着剤と同じ)を、形成したシートの上に塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0054】
(比較例5)
基材として、表2に示すような3種類の厚さ(50μm、100μm、150μm)のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。ただし、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムは、25℃における貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。このポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、合成例4で得られたウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物4を、硬化後の厚みがそれぞれ50μm、100μm、150μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm、光量2100mJ/cm)を照射して、硬化させ、中間層を形成した。
次に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いてこのアクリル系共重合体ポリマーに、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、及びアセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを、形成された中間層上に塗布して、厚み30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。
【0055】
《評価試験》
実施例1〜3、及び比較例1〜5において得られた各粘着シートについて、評価試験を行った。すなわち、厚さ625μmの8インチウエハを20枚用意し、これに作成した粘着シートを日東精機(株)製のDR−8500IIIを用いて貼り合わせた後、ディスコ(株)製のシリコンウエハ研削機により厚さ50μmになるまで研削を行った。なお、評価試験を行った結果は、表1又は表2に示す。
・ 反り量の評価
厚さ50μmまで研削した粘着シート付きウエハを、平板上に粘着シート面を上にして静置した。平板を基点として、ウエハの高さが最大となる点間の距離を反り量として測定した。ただし、ウエハ20枚の測定値を平均した平均値で示す。
・ たるみ量の評価
研削後の粘着シートを付けたままのシリコンウエハを、8インチウエハ収納用カセットにウエハ面を上にして収納した。自重によって湾曲したシリコンウエハについて、最も高い部分の位置と、最も垂れ下がって低い部分の位置との間の距離をたるみ量とした。たるみ量が10mm未満のものを記号「○」、10mm以上、20mm未満であるものを記号「△」、20mm以上であるものを記号「×」で示す。
・ ウエハ破損
研削中にウエハに割れが発生した枚数をカウントした。
・ 水の浸入の有無
研削した後のシリコンウエハを、粘着シートから剥離し、粘着シートを貼着していたシリコンウエハ面を、光学顕微鏡(倍率100倍と200倍の2種類)で観察した。シリコンウエハ20枚のうち1枚でも水の浸入が認められた場合には、水の浸入が「あり」と表示し、1枚も水の浸入が認められなかった場合には「なし」と表示した。
【0056】
【表1】
Figure 0004493296
【0057】
【表2】
Figure 0004493296
【0058】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜3の粘着シートを用いて加工を行ったシリコンウエハは、反り量が5mm以下、たるみ量が20mm未満であり、水の浸入がなく、かつ、厚み50μmまで研磨加工しても1枚も割れが生じなかった。一方、表2から明らかなように、比較例1〜5の粘着シートを用いてシリコンウエハの薄膜加工を行った場合には、1枚以上の破損が生じた。すなわち、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を有する粘着シートを用いてシリコンウエハの研磨加工を行えば、シリコンウエハを1枚も損傷させずに研磨することができることが分かった。
また、PET基材に粘着剤層を設けた比較例1の粘着シート、及び、比較例3の一部のシートについては、水の浸入が認められ、中間層又は基材のいずれか一方が欠けている比較例2、比較例4の粘着シートの場合には、シリコンウエハの反り量が大きく、たるみ量も大きかった。よって、反り量、たるみ量及びウエハ破損の評価のうち、1つ以上において問題があるものであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体製品や光学系製品等の製品を加工する際に、製品の破損や汚染等を防ぎ、かつ製品に大きな撓みや反りを生じさせない加工用粘着シートを提供することができる。例えば、半導体ウエハに本発明の加工用粘着シートを貼着し、半導体ウエハを薄膜研磨しても破損することがない。また、半導体ウエハに生じる撓みが小さく、かつ、粘着シートの残留応力によるウエハの反りを小さくすることができるので、一般的に使用されている専用収納ケースに収納することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る加工用粘着シートの断面図である。

Claims (5)

  1. 25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を有し、該中間層が、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させて、形成され、かつ、該中間層の基材とは反対側の面に粘着剤層を有することを特徴とする加工用粘着シート。
  2. 前記ラジカル重合性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする請求項記載の加工用粘着シート。
  3. 前記基材の厚さt1が10〜200μmであり、前記中間層の厚さt2が10〜300μmであり、かつ厚さの比がt1/t2=0.1〜10であることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項記載の加工用粘着シート。
  4. ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である基材の片面に、25℃における貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満であり、100℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上である中間層を形成し、該中間層の表面に粘着剤層を形成することを特徴とする加工用粘着シートの製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の加工用粘着シートを、精密加工される製品に貼着して保持及び/又は保護した状態で、精密加工することを特徴とする製品の加工方法。
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