JP4492110B2 - インクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、インクが吐出されるノズルが形成されたノズルプレートの製造方法に関する。
特許文献1には、シリコン基板からなるノズル形成部材にノズル孔を形成し、そのノズル形成部材のインク吐出面に撥水膜が形成されたインクジェットヘッドのノズル形成部材及びその製造方法について記載されている。ノズル形成部材の製造方法においては、ノズル形成部材にエッチング法によりインク吐出面に向かって先細りテーパ形状のノズル孔を形成した後、ノズル形成部材を熱酸化してノズル形成部材全体にシリコン酸化膜を形成する。そして、ノズル形成部材のインク吐出面の撥水膜を形成する領域(インク吐出面におけるノズル孔近傍領域)を除いたパターンにレジストを形成し、レジストをマスクとしたエッチングによってインク吐出面側のシリコン酸化膜を除去する。シリコン酸化膜が除去された領域のシリコン基板にイオン注入によって導電層を形成し、電解メッキにより導電層に撥水性皮膜を形成する。こうして、インク吐出面におけるノズル孔近傍領域に撥水膜が形成されたノズル形成部材が製造される。この製造方法によると、ノズル形成部材をシリコン酸化膜(絶縁膜)で覆って、撥水膜を形成する領域だけ絶縁膜を除去した後、その除去された部分に導電層を形成することができ、選択的に必要な領域のみに撥水膜を形成することが可能になる。また、撥水膜がインク吐出面におけるノズル孔近傍領域に形成されているので、その部分にインクが付着せず、インク滴の吐出方向、吐出速度のバラツキを抑えることができると記載されている。
特開2000−203033号公報(図7)
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、インク吐出面におけるノズル孔近傍領域に形成された導電層上に電解メッキで撥水膜が形成されるが、ノズル孔の内面に連続する導電層の側面からも、ノズル孔の径方向に撥水膜が成長する。その結果、撥水膜はノズル孔のインク吐出面に近いインク吐出口付近においてノズル孔に覆い被さるように、いわゆるオーバーハング形状に形成され、ノズルのインク吐出口の形状を画定することになる。このオーバーハング部はそのほとんどが導電層の側面から成長した部分によって形成されることから、薄肉の脆いものであり、インクの吐出圧によって破損されやすいものである。そして、オーバーハング部の一部が破損すると、ノズルのインク吐出口の形状が乱れ、ノズル毎のインクの吐出方向と吐出速度がばらつき、画質が劣化するという問題が生じる。
そこで、本発明の目的は、ノズル毎のインク吐出方向と吐出速度のバラツキを抑え、画質の劣化を防止するインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法は、インクを吐出するノズルとなる孔が形成されたインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法において、インク吐出面となる金属基板の一面に垂直な中心軸を有するように、前記孔を前記金属基板に形成する工程と、前記インク吐出面から前記孔の内周面に掛けての領域が被覆されるように、前記金属基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記孔の中心軸に対して傾斜した方向から前記インク吐出面に向けて導電性粒子を直進飛翔させることによって、前記絶縁膜上の前記インク吐出面と前記孔の内周面の少なくとも一部とに対応する領域に導電膜を堆積させる工程と、前記導電膜上に電解メッキ法で撥水膜を形成する工程とを備えている。そして、前記導電膜を堆積させる工程において、前記中心軸と導電性粒子の直進飛翔方向とが傾斜した状態を維持しつつ、前記中心軸と平行に延びた軸を回転軸として前記金属基板を自転させる
これにより、インク吐出面から孔の内周面の所望深さの位置にまで連続して撥水膜を形成することができる。その結果、薄肉のオーバーハング部が形成されることはなくノズルのインク吐出口付近における撥水膜の損傷が起こりにくくなるため、画質の劣化を防止することができる。また、ノズルとなる孔の内周面の所望深さの位置にまで連続して撥水膜を形成することができるために、メニスカスが安定して形成される撥水膜と絶縁膜の境界線をインク吐出面から比較的離れた位置に形成することができる。その結果、インク吐出面に付着したインクなどによってメニスカスが破壊されるのを効果的に抑制することが可能となって、インク吐出性能を安定化させることができる。また、直進飛翔する導電性粒子数の分布に偏りがあっても、撥水膜を形成するのに適した厚みの導電膜をノズルとなる孔の所望の深さ位置にまで形成することができる。
また、本発明において、前記導電膜を堆積させる工程において、前記直進飛翔方向と平行な軸を回転軸として前記金属基板を公転させることが好ましい。これにより、直進飛翔する導電性粒子数の分布に偏りがあっても、絶縁膜上に堆積される導電膜をより均一な厚みにすることができる。
また、本発明において、前記絶縁膜を形成する工程において、前記金属基板の前記インク吐出面と前記孔の内周面と前記インク吐出面の反対面とのすべての領域に前記絶縁膜を形成することが好ましい。これにより、金属基板のインク吐出面の反対面にも絶縁膜が形成されるので、ノズルプレートの反対面に他のプレートを接着する際において、他のプレートとの密着性が向上し、ノズルプレートと他のプレートとの接着性が向上する。また、ノズル内にも絶縁膜が形成されるので、撥水膜との境界にメニスカスが形成されやすくなる。
また、本発明において、前記孔は、円柱形状の内面を有し一端が前記インク吐出面に繋がるストレート孔部と、円錐台形状の内面を有し大径端が前記金属基板の前記インク吐出面の反対面に繋がるテーパ孔部と、前記ストレート孔部の他端と前記テーパ孔部の小径端とを繋ぐ屈曲点とを有して構成されている。そして、前記導電膜を堆積される工程においては、前記導電性粒子を直進飛翔させる方向が前記孔の前記中心軸に対してなす角度を、前記導電性粒子が前記ストレート孔部には堆積し前記テーパ孔部には堆積しないように設定することが好ましい。これにより、ストレート孔部にだけ導電膜を形成することが可能となる。そのため、製造されたノズルプレートにおいて、撥水膜はインク吐出面からストレート孔部まで連続して形成されるため、インクのメニスカスはストレート孔部に安定して形成されやすくなる。よって、インク吐出の際において、メニスカスはストレート孔部において変位することになるため、その径が大きく変化することはなく、安定したインクの吐出特性を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
[ヘッド全体構造]
本実施の形態は、用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドのノズルプレートに本発明を適用したものである。図1は、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。インクジェットヘッド1は、用紙に対してインクを吐出するための主走査方向に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体70と、ヘッド本体70の上方に配置され且つヘッド本体70に供給されるインクの流路である2つのインク溜まり3が形成されたリザーバユニットであるベースブロック71と、これらヘッド本体70とベースブロック71とを保持するホルダ72とを含んで構成されている。
ヘッド本体70は、インク流路が形成された流路ユニット4と、流路ユニット4の上面にエポキシ系の熱硬化性接着剤によって接着された複数のアクチュエータユニット21とを含んでいる。アクチュエータユニット21は、複数の薄板を積層して互いに接着させた構成である。また、ヘッド本体70の底面は微小径を有する多数のノズル8(図5参照)が配列されたインク吐出面70aとなっている。また、アクチュエータユニット21の上面には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)50が半田によって接着され、左又は右に引き出されている。
図3は、ヘッド本体70を上面から見た平面図である。図3に示すように、流路ユニット4は、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状を有している。図3において、流路ユニット4内に設けられた共通インク室であるマニホールド流路5が破線で描かれている。マニホールド流路5には、ベースブロック71のインク溜まり3に貯溜されていたインクが複数の開口3aを通じて供給される。マニホールド流路5は、流路ユニット4の長手方向(主走査方向)と平行に延在する複数の副マニホールド流路5aに分岐している。
流路ユニット4の上面には、平面形状が台形である4つのアクチュエータユニット21が、開口3aを避けるように、千鳥状になって2列に配列されており、流路ユニット4の上面に接着されている。各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺(上辺及び下辺)が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。複数の開口3aは流路ユニット4の長手方向に沿って2列に配列されており、各列5個、計10個の開口3aがアクチュエータユニット21と干渉しない位置に設けられている。そして、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向(副走査方向)に部分的にオーバーラップしている。
アクチュエータユニット21の接着領域に対応する流路ユニット4の下面の領域は、多数のノズル8(図5参照)がマトリクス状に配列されたインク吐出領域となっている。アクチュエータユニット21が接着される流路ユニット4の上面には、多数の圧力室10(図5参照)がマトリクス状に配列された圧力室群9が形成されている。言い換えると、アクチュエータユニット21は、圧力室群9を構成する多数の圧力室10に跨る寸法を有している。
図2に戻って、ベースブロック71は、例えばステンレスなどの金属材料からなる。ベースブロック71内のインク溜まり3は、ベースブロック71の長手方向(主走査方向)に沿って延在する略直方体の中空領域である。インク溜まり3は、その一端に設けられた開口(図示せず)を通じて外部に設置されたインクタンク(図示せず)からインクが供給され、常にインクで満たされている。インク溜まり3には、インクを流出するための開口3bが、その延在方向に沿って2列に計10個設けられており、流路ユニット4の開口3aと接続されるように千鳥状に設けられている。すなわち、インク溜まり3の10個の開口3bと流路ユニット4の10個の開口3aは同じ位置関係となるように設けられている。
ベースブロック71の下面73は、開口3bの近傍部分73aにおいて周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック71は、下面73の開口3bの近傍部分73aにおいてのみ流路ユニット4の上面における開口3aの近傍部分と接触している。そのため、ベースブロック71の下面73の開口3bの近傍部分73a以外の領域は、流路ユニット4から離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。
ホルダ72は、ベースブロック71を把持する把持部72aと、副走査方向に間隔をおいて設けられ把持部72aの上面から上方に向けて突出する一対の突出部72bとを含んでいる。ベースブロック71は、ホルダ72の把持部72aの下面に形成された凹部内に接着固定されている。アクチュエータユニット21に接着されたFPC50は、スポンジなどの弾性部材83を介してホルダ72の突出部72b表面に沿うようにそれぞれ配置されている。そして、ホルダ72の突出部72b表面に配置されたFPC50上にドライバIC80が設置されている。すなわち、FPC50は、ドライバIC80から出力された駆動信号をヘッド本体70のアクチュエータユニット21に伝達するものであり、アクチュエータユニット21及びドライバIC80とはハンダ付けによって電気的に接合されている。
ドライバIC80の外側表面には略直方体形状のヒートシンク82が密着配置されているため、ドライバIC80で発生した熱を効率的に散逸させることができる。ドライバIC80及びヒートシンク82の上方においては、FPC50の外側に接続された基板81が配置されている。ヒートシンク82の上面と基板81との間、および、ヒートシンク82の下面とFPC50との間は、それぞれシール部材84で接着されており、インクジェットヘッド1の本体にゴミやインクが侵入することを防いでいる。
図4は、図3内に示す流路ユニット4の上面における一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図4に示すように、流路ユニット4内のアクチュエータユニット21と重複する領域には、流路ユニット4の長手方向と平行に4本の副マニホールド流路5aが延在している。各副マニホールド流路5aには、ノズル8の各々に通じる多数の個別インク流路が接続されている。図5は、個別インク流路を示す断面図である。図5から分かるように、各ノズル8は、圧力室10及びアパーチャすなわち絞り13を介して副マニホールド流路5aと連通している。このようにして、ヘッド本体70には、副マニホールド流路5aの出口からアパーチャ13、圧力室10を経てノズル8に至る個別インク流路7が圧力室10ごとに形成されている。
[ヘッド断面構造]
ヘッド本体70は、図5からも分かるように、上から順に、アクチュエータユニット21、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29及びノズルプレート30の合計10枚のシート材が積層された積層構造を有している。これらのうち、アクチュエータユニット21を除いた9枚のプレートから流路ユニット4が構成されている。
アクチュエータユニット21は、後で詳述するように、4枚の圧電シート41〜44(図8参照)が積層され且つ電極が配されることによってそのうちの最上層だけが電界印加時に活性部となる部分を有する層(以下、単に「活性部を有する層」というように記する)とされ、残り3層が活性部を有しない非活性層とされたものである。キャビティプレート22は、圧力室10の空隙を構成するほぼ菱形の孔が、アクチュエータユニット21の貼付範囲内に多数設けられた金属プレートである。ベースプレート23は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10とアパーチャ13との連絡孔23a及び圧力室10からノズル8への連絡孔23bがそれぞれ設けられた金属プレートである。
アパーチャプレート24は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13となる孔と圧力室10からノズル8への連絡孔とがそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート25は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ13と副マニホールド流路5aとの連絡孔及び圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート26、27、28は、副マニホールド流路5aを構成する孔と、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔とがそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート29は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からノズル8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート30は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、ノズル8がそれぞれ設けられた金属プレートである。
これら10枚のシート21〜30は、図5に示すような個別インク流路7が形成されるように、互いに位置合わせして積層されている。この個別インク流路7は、副マニホールド流路5aからまず上方へ向かい、アパーチャ13において水平に延在し、それからさらに上方に向かい、圧力室10において再び水平に延在し、それからしばらくアパーチャ13から離れる方向に斜め下方に向かってから垂直下方にノズル8へと向かう。なお、流路ユニット4を構成する9枚のプレートは、本実施の形態においては、同一金属材料から構成されており、SUS430が使用されているが、SUS316や42合金などの金属材料であってもよい。また、各プレート22〜30が異なる金属材料から構成されていても良い。
図5から明らかなように、圧力室10とアパーチャ13は各プレートの積層方向において異なるレベルに設けられている。これにより、図4に示すように、アクチュエータユニット21に対向した流路ユニット4内において、1つの圧力室10と連通したアパーチャ13を、当該圧力室に隣接する別の圧力室10と平面視で重複する位置に配置することが可能となっている。この結果、圧力室10同士が密着して高密度に配列されるため、比較的小さな占有面積のインクジェットヘッド1により高解像度の画像印刷が実現される。
ベースプレート23及びマニホールドプレート28の上下面と、サプライプレート25及びマニホールドプレート26、27の上面と、カバープレート29の下面には、余分な接着剤を流すための逃し溝14が、各プレートの接合面に形成された開口を取り囲むように設けられている。この逃し溝14があることによって、プレートどうしを接着する際の接着剤が個別インク流路内にはみ出して流路抵抗が変動することが防止される。
[ノズルプレートの詳細]
図6は、図5に示すノズルプレートの拡大断面図である。図6に示すようにノズルプレート30には、直径が20μmのノズル出口8aを有するノズル8が形成されている。ノズル8は、ノズルプレート30の厚み方向に平行な中心軸Dを有するとともに円柱形状の内面を有する孔(ストレート孔部)121と、円錐台形形状の内面を有する孔(テーパ孔部)125とを備えており、孔121の上部側の端部と孔125の下部側(小径側)の端部とが繋がって連通している。孔121と孔125とが繋がった部分には、ノズル8の内周面が屈曲する屈曲点138が形成されている。孔125は、インク吐出圧を高める絞りとして機能し、これによりインク吐出速度が速められている。孔121はインクの吐出方向を中心軸Dに沿った方向に規制する機能を有しており、これによりインク吐出方向のバラツキが抑えられ、中心軸Dに沿った方向に吐出される。したがって、ノズル8がストレート孔部又はテーパ孔部のいずれかだけで形成されている場合に比べて、インクの高速吐出と吐出方向の安定性の両方に優れたノズルプレートとなっている。また、孔121の内周面は、ノズルプレート30の厚み方向(孔121の中心軸D方向)に平行になっているとともに、ノズル8の中心軸Dに沿う長さが40μmとなっている。孔121の内径は20μmに成るように形成されている。また、孔125の中心軸Dに平行な長さは40μmとなっており、ノズルプレート30の厚みが80μmになっている。
また、ノズルプレート30には、インク吐出面70aとインク吐出面70aの反対面であるカバープレート29と対向する面(上面141)とノズル8の内周面との全体に絶縁膜131としてのシリコン酸化膜(SiO2)が形成されている。このように絶縁膜131がノズル8の内周面にも形成されているので、孔121及び孔125の形成時に生じるノズル8の内周面の微小な凹凸がコーティングされその平坦性が向上する。そのため、個別インク流路7を通ってノズル8から吐出されるインクの流路抵抗が小さくなり、ノズル8から吐出されるインクが滑らかに吐出される。
ノズルプレート30の絶縁膜131上であって、インク吐出面70aとインク吐出面70aからノズル8の孔121にかけての領域(孔121のインク吐出面70a側の端部領域)とにはクロム膜とニッケル膜とが積層されて構成された導電膜133が連続して形成されている。このようにノズルの孔121の内周面に至るまで導電膜133を形成する方法については後述する。そして、導電膜133上には、フッ素樹脂含有のニッケル撥水膜135が均一の厚みを有するように形成されている。導電膜133がインク吐出面70a全体とノズル8の孔121にかけての領域とに形成されているので、撥水膜135も導電膜133とほぼ同じ領域に形成されている。そのため、ノズル8から吐出されたインクがインク吐出面70aに付着しにくくなっている。
[流路ユニットの詳細]
図4に戻って、アクチュエータユニット21の貼付範囲内には、多数の圧力室10からなる圧力室群9が形成されている。圧力室群9は、アクチュエータユニット21の貼付範囲とほぼ同じ大きさの台形形状を有している。圧力室群9は、各アクチュエータユニット21について1つずつ形成されている。
図4から明らかなように、圧力室群9に属する各圧力室10は、その長い対角線の一端においてノズル8に連通されていると共に、長い対角線の他端においてアパーチャ13を介して副マニホールド流路5aに連通されている。後述するように、アクチュエータユニット21上には、平面形状がほぼひし形で圧力室10よりも一回り小さい個別電極35(図7及び図8参照)が、圧力室10と対向するようにマトリクス状に配列されている。なお、図4において、図面を分かりやすくするために、流路ユニット4にあって破線で描くべき、ノズル8、圧力室10及びアパーチャ13等を実線で描いている。
圧力室10は、配列方向A(第1の方向)及び配列方向B(第2の方向)の2方向にマトリクス状に隣接配置されている。配列方向Aは、インクジェットヘッド1の長手方向、すなわち流路ユニット4の延在方向であって、圧力室10の短い方の対角線と平行である。配列方向Bは、配列方向Aと鈍角θをなす圧力室10の一斜辺方向である。そして、圧力室10の両方の鋭角部は、隣接する別の2つの圧力室の間に位置している。
配列方向A及び配列方向Bの2方向にマトリクス状に隣接配置された圧力室10は、配列方向Aに沿って37.5dpiに相当する距離ずつ離隔している。また、圧力室10は、1つのアクチュエータユニット21内において、配列方向Bに16個並べられている。
マトリクス状に配置された多数の圧力室10は、図4に示す配列方向Aに沿って、複数の圧力室列を形成している。圧力室列は、図4の紙面に対して垂直な方向(第3の方向)から見て、副マニホールド流路5aとの相対位置に応じて、第1の圧力室列11a、第2の圧力室列11b、第3の圧力室列11c、及び、第4の圧力室列11dに分けられる。これら第1〜第4の圧力室列11a〜11dは、アクチュエータユニット21の上辺から下辺に向けて、11c→11d→11a→11b→11c→11d→…→11bという順番で周期的に4個ずつ配置されている。
第1の圧力室列11aを構成する圧力室10a及び第2の圧力室列11bを構成する圧力室10bにおいては、第3の方向から見て、配列方向Aと直交する方向(第4の方向)に関して、ノズル8が図4の紙面下側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の下端部付近と対向している。一方、第3の圧力室列11cを構成する圧力室10c及び第4の圧力室列11dを構成する圧力室10dにおいては、第4の方向に関して、ノズル8が図4の紙面上側に偏在している。そして、ノズル8が、それぞれ対応する圧力室10の上端部付近と対向している。第1及び第4の圧力室列11a、11dにおいては、第3の方向から見て、圧力室10a、10dの半分以上の領域が、副マニホールド流路5aと重なっている。第2及び第3の圧力室列11b、11cにおいては、第3の方向から見て、圧力室10b、10cのほぼ全領域が、副マニホールド流路5aと重なっていない。そのため、いずれの圧力室列に属する圧力室10についてもこれに連通するノズル8が副マニホールド流路5aと重ならないようにしつつ、副マニホールド流路5aの幅を可能な限り広くして各圧力室10にインクを円滑に供給することが可能となっている。
図4に示すように、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの長辺に沿って、圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する多数の周縁空隙15が長辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙15は、キャビティプレート22に形成された圧力室10と同じ形状及び同じ大きさを有する孔がアクチュエータユニット21及びベースプレート23によって塞がれることによって画定されている。つまり、周縁空隙15にはインク流路が接続されておらず、しかも周縁空隙15には対向する個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15はインクで満たされることがない。
また、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の対となる平行辺のうちの短辺に沿って、多数の周縁空隙16が短辺の全域に亘って一直線状に配列されている。さらに、ヘッド本体70には、台形である圧力室群9の両斜辺に沿って、多数の周縁空隙17が両斜辺の全域に亘って一直線状に配列されている。周縁空隙16、17は、共に平面視正三角形の領域においてキャビティプレート22を貫通している。周縁空隙16、17にはインク流路が接続されておらず、しかも周縁空隙16、17には対向する個別電極35が設けられていない。つまり、周縁空隙15と同様、周縁空隙16、17はインクで満たされることがない。
[アクチュエータユニットの詳細]
次に、アクチュエータユニット21の構成について説明する。アクチュエータユニット21上には、圧力室10と同じパターンで多数の個別電極35がマトリクス状に配置されている。各個別電極35は、平面視において圧力室10と対向する位置に配置されている。
図7は個別電極35の平面図である。図7に示すように、個別電極35は、圧力室10と対向する位置に配置されて平面視において圧力室10内に収容される主電極領域35aと、主電極領域35aにつながっており且つ圧力室10外に対向する位置に配置された補助電極領域35bとから構成されている。
図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。図8に示すように、アクチュエータユニット21は、それぞれ厚みが15μm程度で同じになるように形成された4枚の圧電シート41、42、43、44を含んでいる。これら圧電シート41〜44は、ヘッド本体70内の1つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室10に跨って配置されるように連続した層状の平板(連続平板層)となっている。圧電シート41〜44が連続平板層として多数の圧力室10に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより圧電シート41上に個別電極35を高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極35に対応する位置に形成される圧力室10をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。圧電シート41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなるものである。
最上層の圧電シート41上に形成された個別電極35の主電極領域35aは、図7に示すように、圧力室10とほぼ相似である略菱形の平面形状を有している。略菱形の主電極領域35aにおける下方鋭角部は延出されて、圧力室10外に対向する補助電極領域35bにつながっている。補助電極領域35bの先端には、個別電極35と電気的に接続された円形のランド部36が設けられている。図8に示すように、ランド部36は、キャビティプレート22において圧力室10が形成されていない領域に対向している。ランド部36は、例えばガラスフリットを含む金からなり、図7に示すように、補助電極領域35bにおける延出部表面上に接着されている。図8ではFPC50の図示を省略しているものの、ランド部36は、FPC50に設けられた接点と電気的に接合されている。この接合を行う際に、FPC50の接点を、ランド部36に対して押圧する必要がある。ランド部36に対向するキャビティプレート22の領域に、圧力室10が形成されていないため、十分な押圧により確実な接合を行うことができる。
最上層の圧電シート41とその下側の圧電シート42との間には、圧電シート41と同じ外形及び略2μmの厚みを有する共通電極34が介在している。個別電極35及び共通電極34は共に、例えばAg−Pd系などの金属材料からなる。
共通電極34は、図示しない領域において接地されている。これにより、共通電極34は、すべての圧力室10に対応する領域において等しく一定の電位、本実施の形態ではグランド電位に保たれている。また、個別電極35は、各圧力室10に対応するものごとに電位を制御することができるように、各個別電極35ごとに独立した別のリード線を含むFPC50及びランド部36を介してドライバIC80に接続されている。
[アクチュエータユニットの駆動方法]
次に、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。アクチュエータユニット21における圧電シート41の分極方向はその厚み方向である。つまり、アクチュエータユニット21は、上側(つまり、圧力室10とは離れた)1枚の圧電シート41を活性部が存在する層とし且つ下側(つまり、圧力室10に近い)3枚の圧電シート42〜44を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。従って、個別電極35を正又は負の所定電位とすると、圧電シート41中の電極に挟まれた電界印加部分が活性部(圧力発生部)として働き、例えば電界と分極とが同方向であれば圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
本実施の形態では、圧電シート41において主電極領域35aと共通電極34とによって挟まれた部分は、電界が印加されると圧電効果によって歪みを発生する活性部として働く。一方、圧電シート41の下方にある3枚の圧電シート42〜44は、外部から電界が印加されることが無く、そのために活性部としてほとんど機能しない。したがって、圧電シート41において主に主電極領域35aと共通電極34とによって挟まれた部分が、圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。
一方、圧電シート42〜44は、電界の影響を受けないため自発的には変位しないので、上層の圧電シート41と下層の圧電シート42〜44との間で、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、圧電シート41〜44全体が非活性側に凸となるように変形しようとする(ユニモルフ変形)。このとき、図8に示したように、圧電シート41〜44で構成されたアクチュエータユニット21の下面は圧力室を区画する隔壁(キャビティプレート)22の上面に固定されているので、結果的に圧電シート41〜44は圧力室側へ凸になるように変形する。このため、圧力室10の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、ノズル8からインクが吐出される。その後、個別電極35を共通電極34と同じ電位に戻すと、圧電シート41〜44は元の形状になって圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インクを副マニホールド流路5a側から吸い込む。
なお、他の駆動方法として、予め個別電極35を共通電極34と異なる電位にしておき、吐出要求があるごとに個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位とし、その後所定のタイミングにて再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にすることもできる。この場合は、個別電極35と共通電極34とが同じ電位になるタイミングで、圧電シート41〜44が元の形状に戻ることにより、圧力室10の容積は初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加し、インクが副マニホールド流路5a側から圧力室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にしたタイミングで、圧電シート41〜44が圧力室10側へ凸となるように変形し、圧力室10の容積低下によりインクへの圧力が上昇し、インクが吐出される。
[印字時の動作例]
再び図4に戻って、配列方向Aに37.5dpiに相当する幅(678.0μm)を有し、配列方向Aと直交する方向(第4の方向)に延在する帯状領域Rについて考える。この帯状領域Rの中では、16列の圧力室列11a〜11dの内の何れの列についても、ノズル8が1つしか存在していない。すなわち、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内の任意の位置に、このような帯状領域Rを区画した場合、この帯状領域R内には、常に16個のノズル8が分布している。そして、これら16個の各ノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した点の位置は、印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ離隔している。
1つの帯状領域Rに属する16個のノズル8を配列方向Aに延びる直線上に射影した位置が左にあるものから順に、これら16個のノズル8を(1)〜(16)と記することにしたとき、これら16個のノズル8は、下から、(1)、(9)、(5)、(13)、(2)、(10)、(6)、(14)、(3)、(11)、(7)、(15)、(4)、(12)、(8)、(16)の順番に並んでいる。このように構成されたインクジェットヘッド1において、アクチュエータユニット21内を印字媒体の搬送に合わせて適宜駆動させると、600dpiの解像度を有する文字や図形等を描画することができる。
例えば、600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を印字する場合について説明する。まず、ノズル8が圧力室10の同じ側の鋭角部に連通している参考例の場合について簡単に説明する。この場合には、印字蝶体が搬送されるのに対応して、図4中一番下に位置する圧力室列中のノズル8からインクの吐出を始め、順次上側に隣接する圧力室列に属するノズル8を選択してインクを吐出する。これにより、インクのドットが配列方向Aに向かって600dpiの間隔で隣接しながら形成されていく。最終的には、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線が描かれることになる。
一方、本実施の形態では、図4中一番下に位置する圧力室列11b中のノズル8からインクの吐出を始め、印字媒体が搬送されるのに伴って順次上側に隣接する圧力室に連通するノズル8を選択してインクを吐出していく。このとき、下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の配列方向Aへの変位が同じでないので、印字媒体が搬送されるのに伴って配列方向Aに沿って順次形成されるインクのドットは、600dpiの間隔で等間隔にはならない。
すなわち、図4に示したように、印字媒体が搬送されるのに対応して、まず図中一番下の圧力室列11bに連通するノズル(1)からインクが吐出され、印字媒体上に37.5dpiに相当する間隔でドット列が形成される。この後、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から2番目の圧力室列11aに連通するノズル(9)の位置に達すると、このノズル(9)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の8倍だけ配列方向Aに変位した位置に2番目のインクドットが形成される。
次に、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から3番目の圧力室列11dに連通するノズル(5)の位置に達すると、ノズル(5)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分の4倍だけ配列方向Aに変位した位置に3番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から4番目の圧力室列11cに連通するノズル(13)の位置に達すると、ノズル(13)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドットの位置から600dpiに相当する間隔分の12倍だけ配列方向Aに変位した位置に4番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から5番目の圧力室列11bに連通するノズル(2)の位置に達すると、ノズル(2)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分のだけ配列方向Aに変位した位置に5番目のインクドットが形成される。
以下同様にして、順次図中下側から上側に位置する圧力室10に連通するノズル8を選択しながらインクドットが形成されていく。このとき、図4中に示したノズル8の番号をNとすると、(倍率n=N−1)×(600dpiに相当する間隔)に相当する分だけ、始めに形成されたドット位置から配列方向Aに変位した位置にインクドットが形成される。最終的に16個のノズル8を選択し終わったときには、図中一番下の圧力室列11b中のノズル(1)により37.5dpiに相当する間隔で形成されたインクドットの間が600dpiに相当する間隔毎に離れて形成された15個のドットで繋げられ、全体で600dpiの解像度で配列方向Aに延びる直線を描くことが可能になっている。
なお、各インク吐出領域の配列方向Aについての両端部(アクチュエータユニット21の斜辺)近傍では、ヘッド本体70の幅方向に対向する別のアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域の配列方向Aについての両端部近傍と相補関係となることで600dpiの解像度での印刷が可能となっている。
[インクジェットヘッドの製造方法]
次に、上述したインクジェットヘッド1の製造方法について、図9を参照しつつ説明する。図9は、インクジェットヘッド1の製造工程図である。
インクジェットヘッド1を製造するには、流路ユニット4及びアクチュエータユニット21などの部品を別々に作製し、それから各部品を組み付ける。まず、ステップ1(S1)では、流路ユニット4を作製する。流路ユニット4を作製するには、これを構成する各プレート22〜30のうち、ノズルプレート30を除く各プレート22〜29に、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図5に示すような孔を各プレート22〜29に形成する。そして、後述するようにパンチ155で複数のノズル8をノズルプレート30に形成し、ノズルプレート30のインク吐出面70a及びノズル8の内周面の一部に撥水膜を形成した後、個別インク流路7が形成されるように位置合わせされた9枚のプレート22〜30を、エポキシ系の熱硬化性接着剤を介して重ね合わせる。そして、9枚のプレート22〜30を熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、熱硬化性接着剤が硬化して9枚のプレート22〜30が互いに固着され、図5に示すような流路ユニット4が得られる。このとき、各プレート22〜30が同一の金属材料で形成されているので、各プレート22〜30の線膨張係数が同じになるため、流路ユニット4が一方に反らない。
一方、アクチュエータユニット21を作製するには、まず、ステップ2(S2)において、圧電セラミックスのグリーンシートを複数用意する。グリーンシートは、予め焼成による収縮量を見込んで形成される。そのうちの一部のグリーンシート上に、導電性ペーストを共通電極34のパターンにスクリーン印刷する。そして、治具を用いてグリーンシート同士を位置合わせしつつ、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートの下に、共通電極34のパターンで導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを重ね合わせ、さらにその下に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを2枚重ね合わせる。
そして、ステップ3(S3)において、ステップ2で得られた積層体を公知のセラミックスと同様に脱脂し、さらに所定の温度で焼成する。これにより、4枚のグリーンシートが圧電シート41〜44となり、導電性ペーストが共通電極34となる。その後、最上層にある圧電シート41上に、導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷する。そして、積層体を加熱処理することによって導電性ペーストを焼成して、圧電シート41上に個別電極35を形成する。しかる後、ガラスフリットを含む金を個別電極35上に印刷して、ランド部36を形成する。このようにして、図8に描かれたようなアクチュエータユニット21を作製することができる。
変形例として、個別電極35及びランド部36が形成されていないアクチュエータユニット(本明細書において、このようなものを便宜上アクチュエータユニットということがある)と流路ユニット4との加熱接着後に、アクチュエータユニット上に導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷し、さらに加熱処理を行ってもよい。また、導電性ペーストを個別電極35のパターンにスクリーン印刷したグリーンシートを用意し、その下に、共通電極34のパターンで導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを重ね合わせ、さらにその下に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを2枚重ね合わせた積層体に加熱処理を施してもよい。
なお、ステップ1の流路ユニット作製工程と、ステップ2〜3のアクチュエータユニット作製工程は、独立に行われるものであるため、いずれを先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
次に、ステップ4(S4)において、ステップ1で得られた流路ユニット4の圧力室に相当する凹部が多数形成された面に、熱硬化温度が80℃程度であるエポキシ系の熱硬化性接着剤を、バーコーターを用いて塗布する。熱硬化性接着剤としては、例えば二液混合タイプのものが用いられる。
続いて、ステップ5において、流路ユニット4に塗布された熱硬化性接着剤層状に、アクチュエータユニット21を載置する。このとき、各アクチュエータユニット21は、活性部と圧力室10とが対向するように流路ユニット4に対して位置決めされる。この位置決めは、予め作製工程(ステップ1〜ステップ3)において流路ユニット4及びアクチュエータユニット21に形成された位置決めマーク(図示せず)に基づいて行われる。
次に、ステップ6(S6)において、流路ユニット4と、流路ユニット4とアクチュエータユニット21との間の熱硬化性接着剤と、アクチュエータユニット21との積層体を図示しない加熱・加圧装置で熱硬化性接着剤の硬化温度以上に加熱しながら加圧する。そして、ステップ7(S7)において、加熱・加圧装置から取り出された積層体を自然冷却する。こうして、流路ユニット4とアクチュエータユニット21とで構成されたヘッド本体70が製造される。
しかる後、FPC50の接着工程を行った後、ベースブロック71の接着工程などを経ることによって、上述したインクジェットヘッド1が完成する。
続いて、上述した流路ユニット4の一部を構成するノズルプレート30の製造方法の詳細について以下に説明する。図10は、本実施の形態によるインクジェットヘッドのノズルプレート30の製造工程を示しており、(a)は金属プレートにノズルを形成する前の状況を示す図であり、(b)は金属プレートにノズルとなるノズル穴が形成された状況を示す図であり、(c)は金属プレートにノズルが形成された状況を示す図であり、(d)は金属プレートに絶縁膜が形成された状況を示す図である。
まず、ノズルプレート30を製造するには、図10(a)に示す金型部品のパンチ155をSUS430からなる矩形平板状の金属プレート151に打ち込む。パンチ155は基端側に形成された先細りの円錐台形状のテーパ部156と、先端側の円柱部157と、これらテーパ部156と円柱部157とを繋ぐ屈曲部158とを有する。
そして、図10(a)に示すように金属プレート151を貫通しないストロークでパンチ155を金属プレート151の上面141側から打ち込むことにより、図10(b)に示すように、金属プレート151にノズル穴148を形成する。ノズル穴148は、パンチ155のテーパ部156と円柱部157と屈曲部158とにそれぞれ対応した、孔(ストレート孔部)121と孔(テーパ孔部)125とこれら孔121及び孔125を繋ぐ屈曲点138とを有している。
図10(b)に示すように、パンチ155を金属プレート151の上面141側から打ち込んだことにより、必然的に金属プレート151の下面に凸部151aが形成されるため、図10(c)に示すように、凸部151aを研削盤による研磨などにより除去して金属プレートの下面を平坦化させるとともに、金属プレート151の下面にインク出口8aを形成する。その際、同時に、金属プレート151のパンチ155の円柱部157により形成された孔の先端部分が存在する下部151b(図10(b)における破線で示す部分より下側の金属プレート部分)を除去し、孔(ストレート孔部)121に対応する部分だけが金属プレート151に残るようにする。こうして、図10(c)に示すようなノズル8が金属プレート151に形成される。これにより、全てのノズル8は孔(ストレート孔部)121を残して形成されているので、インク出口8aの開口径はほぼそろったものとなり、インクの吐出速度のバラツキも少なくなる。
次に、ノズル8が形成された金属プレート151をドライ洗浄(その他、超音波等)によりノズル8の内周面及び金属プレート151の上面141及び下面(インク吐出面70a)を洗浄して脱脂する。そして、図10(d)に示すように金属プレート151のノズル8の内周面、上面141及びインク吐出面70aにPVD(Physical Vapor Deposition;物理蒸着)法のドライ成膜法で膜厚が0.3〜5μmの絶縁膜131となるシリコン酸化膜(SiO2)を形成する。このとき、ドライ成膜法のCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)法やウエット成膜法のゾルゲル法などで同様な絶縁膜131を形成してもよい。
次に、絶縁膜131が形成された金属プレート151を図11に示す蒸着装置にセットして、所定領域に導電膜133を形成する。図11は、本実施の形態に係るインクジェットヘッドのノズルプレートに導電膜133を形成する装置の概略図である。導電膜133の形成にはイオンプレーティング法や蒸着法を用いることができるが、本実施の形態では蒸発粒子の直進性に優れる蒸着法を選んだ。図11に示すように、蒸着装置171は、クロム(Cr)又はニッケル(Ni)の成膜用金属材料が入った2つの坩堝175を支持する支持台176と、金属プレート151を傾斜させつつ回転可能に支持する回転治具178と、回転治具178が固定されたターンテーブル179とが備えられた装置本体172と、装置本体172の上部に設けられターンテーブル179を軸173aを介して回転させるモータ173とを含んでなる。なお、回転治具178には図示しないモータが接続されており、そのモータによって回転駆動される。
図11に示すように絶縁膜131が形成された金属プレート151を蒸着装置171の回転治具178に傾斜させて取り付けるとともに、クロム(Cr)又はニッケル(Ni)の成膜用金属材料が入った2つの坩堝175を支持台176上に載置する。そして、金属プレート151を支持した回転治具178を図11中矢印A方向に回転させながら、モータ173を駆動し軸173aを介してターンテーブル179を図11中矢印B方向に回転させる。つまり、金属プレート151は、回転治具178によって自転しつつ、ターンテーブル179によって公転することになる。なお、回転方向Aはノズル8の中心軸Dに平行な軸を中心に回転する方向である。次に、図示しない電子銃から放出された電子をクロム金属の入った坩堝175内に照射し、クロム金属を溶解・蒸発させて金属プレート151に向けて図11中矢印C方向にクロム金属の蒸発粒子を直進飛翔させる。坩堝175から直進飛翔したクロム金属の蒸発粒子はターンテーブル179に設けられた開口窓179aを通過して金属プレート151に付着して、金属プレート151にクロム膜の薄膜を堆積成膜する。このとき、クロム膜の厚さを0.05〜0.1μmの厚みに調整して金属プレート151に形成する。
次いで、同様にニッケル金属の入った坩堝175内に電子を照射し、ニッケル金属を溶解、蒸発させて金属プレート151に向けて直進飛翔させる。坩堝175から直進飛翔したニッケル金属の蒸発粒子はターンテーブル179に設けられた開口窓179aを通過して金属プレート151のクロム膜上に付着して、金属プレート151のクロム膜にニッケル膜を堆積成膜する。このとき、ニッケル膜の厚さをクロム膜より厚い0.1〜1μmの厚みに調整して金属プレート151に形成する。こうして、クロム−ニッケル膜からなる導電膜133が金属プレート151の絶縁膜131上に形成される。クロムは電気抵抗が高く電解メッキには不向きであるが、堆積された膜の密着性がよい。一方、ニッケルは電気抵抗が低く電解メッキに適する。そこで、本実施の形態においては、金属プレート151に密着性のよいクロム膜を形成し、次に電解メッキに適したニッケル膜を形成するようにしている。
ここで、金属プレート151の絶縁膜131上に形成された導電膜133の形成位置について説明する。図12は、図11に示す金属プレートの拡大断面図である。図12に示すように金属プレート151は、そのインク吐出面70aが直進飛翔する蒸発粒子の飛翔方向(図12中矢印C方向)から約30°傾けられた状態であって、ノズル8の中心軸Dが蒸発粒子の飛翔方向に対して傾斜した状態で回転治具178に固定されている。このように傾けて金属プレート151を固定することで、直進飛翔する蒸発粒子が付着するインク吐出面70a及びノズル8の孔121の内周面の一部に導電膜133が形成される。ノズル8の孔121に形成される導電膜133は、図12に示すように、直進飛翔する蒸発粒子がノズル出口8aの図12における一端部分によって遮られるため、インク吐出面70aから蒸発粒子の飛翔方向に対する金属プレート151の傾斜角に応じた所望深さの位置にまで亘って形成される。つまり、金属プレート151を回転治具178に固定するときに、図12中の2点鎖線で示す金属プレート151´のように傾斜角度を変化させると、直進飛翔した蒸発粒子がノズル8の孔121の奥に入り込んで前述した導電膜133よりインク吐出面70aからの深さが長い導電膜を得ることができる。そのため、金属プレート151を固定する傾斜角度によってインク吐出面70aからノズル8の孔121の所望深さの位置にまで亘って導電膜133を形成することが可能になる。なお、本実施の形態においては、回転治具178に固定する金属プレート151の傾斜角度は、図12に示すようにインク吐出面70aと蒸発粒子の飛翔方向とでなす角度が30°〜60°の範囲内としている。このように傾斜角度を設定することで、ノズル8の孔125を除きインク吐出面70aから孔121の内周面の所望深さ位置にまで亘って導電膜133を形成することができる。
また、金属プレート151を回転治具178で回転させることで、ノズル8の円柱形状を有する孔121の内周面に均一な厚みに導電膜133を形成することができる。さらに、ターンテーブル179で金属プレート151を回転させることで、装置本体172内における導電膜133を形成する蒸発粒子数が偏って金属プレート151に向かって直進飛翔しても、インク吐出面70a及びノズル8の孔121の内周面とに形成される導電膜133の厚みをより均一に形成することができる。
なお、本実施の形態においては、導電膜133は、絶縁膜131と密着性に優れたクロム膜を形成した後、電気抵抗の低いニッケル膜を形成して構成されているが、絶縁膜131と密着性が良ければ、どのような金属材料からなる導電膜でも良く、例えば、アルミニウム、銅、タンタル、チタンなどの導電膜であっても良い。また、クロム膜を積層せずニッケル膜だけを積層してもよい。
次に、金属プレート151を公知の電解メッキ法で導電膜133上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系高分子材料を含有したニッケル撥水膜135を形成する。こうして、図6に示すように撥水膜135は電解メッキ法で導電膜133上にだけ等方成長して形成される。つまり、撥水膜135は導電膜133が形成されたインク吐出面70a全体とノズル8の孔121の内周面であってインク出口8aから所望の深さ位置までの領域に形成される。こうして、ノズルプレート30が完成する。なお、電解メッキ法で撥水膜135が形成されると、撥水膜135が導電膜133上にだけ等方成長するので、厚みが均一となる。
以上のようなインクジェットヘッド1のノズルプレート30の製造方法によると、ノズル8の孔121の内周面の所望深さの位置にまで導電膜133を形成することができるので、撥水膜135の厚さを過大にしなくても撥水膜135をインク吐出面70aから孔121の内周面の所望深さの位置にまで亘って連続した滑らかな面として形成することができる。その結果、従来のように、撥水膜135がノズル8の孔121のインク出口8a付近においてノズル孔に覆い被さるようなオーバーハング形状に成長することはなく、従来におけるオーバーハング部の破損による画質劣化の問題も生じない。すなわち、本実施の形態においては、撥水膜135は、孔121の内周面においては、所望の深さ位置にまで亘って形成された導電膜133の面上において等方成長することで形成されるが、この面は、孔121の深さ方向において導電膜の厚み以上のある程度の幅を有しているため、従来のように部分的に突出するオーバーハング形状にならず、起伏のない滑らかな面として成長する。したがって、オーバーハング部の破損によるノズルのインク吐出口(インク出口8a)の形状が乱れるという問題もなく、画質劣化の虞はないのである。
また、孔121の内周面の所望深さの位置にまで亘って撥水膜135を形成することができるために、インクのメニスカスをインク吐出面70aから比較的離れた位置に安定して形成されやすくすることができる。すなわち、インクのメニスカスがノズル8のインク出口8a付近に形成されようとしても、そこにはインクをはじく撥水膜135が形成されているため、メニスカスの位置は安定せず、メニスカスが孔121の撥水膜135が形成されていない位置に変位したときに初めて安定するからである。このようにして、メニスカスがインク吐出面70aから離れると、インク吐出面70aに付着したインクなどによってメニスカスが破壊されるのを防ぐことができる。なお、インク吐出面70aは撥水膜135が形成されているため、インクは付着しにくいのであるが長時間の使用により、インク吐出面70aの撥水膜135が剥がれたとしても、メニスカスの破壊は防止される。そのため、インク吐出方向が乱れないのでインク吐出性能を安定化させることができる。
また、ノズル8の内周面全体にも絶縁膜131が形成されているので、ノズル8の孔121に形成された撥水膜135と絶縁膜131との境界において特にメニスカスが安定して形成されやすくなる。つまり、絶縁膜131は金属表面よりも濡れ性(親水性)が良いので絶縁膜131と撥水膜135との境界がハッキリして、メニスカスが確実にその境界部分に形成される。そのため、撥水膜135をノズル8内に形成することで、メニスカスが形成されやすい位置を所望位置にすることが可能となる。
また、撥水膜135をノズル8ののうち孔121の内周面にだけ形成しているので、メニスカスがノズル8の孔(ストレート孔部)121に形成されることになるので、インク吐出時においては、メニスカスは孔121において変位し、メニスカスが屈曲点138を通過することはない。したがって、インク吐出時において、メニスカスの径が大きく変化しないので、ノズルから吐出されるインクの着弾精度が低下しない。本実施の形態においては、ノズル8は、円柱形状の内面を有する孔(ストレート孔部)121と、円錐台形形状の内面を有する孔(テーパ孔部)125と、これらが繋がる屈曲点138とを有して構成されることで、先に説明したように、インク吐出速度の高速化とインク吐出方向の安定性の両方を実現しているが、その一方で、インクのメニスカスが通過するときのその径を大きく変化させる屈曲点138を有しており、メニスカスを不安定にさせる要因を含んだ構成となっている。すなわち、インク吐出時にメニスカスが屈曲点138を通過すると、メニスカスの径が変動し、それに伴いメニスカスの対象性が乱れ、これが吐出特性に悪影響を及ぼすのである。しかし、上述したように、メニスカスが孔121の内周面に安定して形成され、インク吐出時におけるメニスカスの変位が孔121の範囲内でなされるので、屈曲点138による不具合を生じることなく、インク吐出速度の高速化とインク吐出方向の安定性が実現されるのである。
また、ノズルプレート30は、上面141にも絶縁膜131が形成されているので、流路ユニット4を作製する際に、接合されるカバープレート29との密着性が向上する。そのため、ノズルプレート30とカバープレート29との接着剤を用いたときの接着性も向上する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述した本実施の形態におけるノズルプレート30の製造方法において、ノズルプレート30を自転及び公転させずに導電膜133を形成しても良い。また、ノズル8に導電膜133を形成する場合において、直進飛翔する導電性微粒子によって導電膜が堆積成膜されるのであれば、適宜の堆積方法で上述のようにノズルプレートを傾斜させた状態、又は導電性微粒子がノズル8の中心軸に対して傾斜した方向から直進飛翔された状態で導電膜を形成してもよい。また、ノズルプレート30に撥水膜135を形成した後であれば、絶縁膜131を除去してもよい。
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 図1に示すインクジェットヘッドに含まれるヘッド本体の平面図である。 図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図3に示すヘッド本体の圧力室に対応した部分断面図である。 図5に示すノズルプレートの拡大断面図である。 図3に描かれたアクチュエータユニット上に形成された個別電極の平面図である。 図3に描かれたアクチュエータユニットの部分断面図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドのノズルプレートの製造工程を示しており、(a)は金属プレートにノズルを形成する前の状況を示す図であり、(b)は金属プレートにノズルとなるノズル穴が形成された状況を示す図であり、(c)は金属プレートにノズルが形成された状況を示す図であり、(d)は金属プレートに絶縁膜が形成された状況を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドのノズルプレートに導電膜を形成する装置の概略図である。 図11に示す金属プレートの拡大断面図である。
1 インクジェットヘッド
8 ノズル
8a ノズル出口
30 ノズルプレート
70 ヘッド本体
70a インク吐出面
121 孔(ストレート孔部)
125 孔(テーパ孔部)
131 絶縁膜
133 導電膜
135 撥水膜
138 屈曲点
141 上面
151 金属プレート(金属基板)

Claims (4)

  1. インクを吐出するノズルとなる孔が形成されたインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法において、
    インク吐出面となる金属基板の一面に垂直な中心軸を有するように、前記孔を前記金属基板に形成する工程と、
    前記インク吐出面から前記孔の内周面に掛けての領域が被覆されるように、前記金属基板上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記孔の中心軸に対して傾斜した方向から前記インク吐出面に向けて導電性粒子を直進飛翔させることによって、前記絶縁膜上の前記インク吐出面と前記孔の内周面の少なくとも一部とに対応する領域に導電膜を堆積させる工程と、
    前記導電膜上に電解メッキ法で撥水膜を形成する工程とを備えており、
    前記導電膜を堆積させる工程において、前記中心軸と導電性粒子の直進飛翔方向とが傾斜した状態を維持しつつ、前記中心軸と平行に延びた軸を回転軸として前記金属基板を自転させることを特徴とするインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法。
  2. 前記導電膜を堆積させる工程において、前記直進飛翔方向と平行な軸を回転軸として前記金属基板を公転させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法。
  3. 前記絶縁膜を形成する工程において、前記金属基板の前記インク吐出面と前記孔の内周面と前記インク吐出面の反対面とのすべての領域に前記絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法。
  4. 前記孔は、円柱形状の内面を有し一端が前記インク吐出面に繋がるストレート孔部と、円錐台形状の内面を有し大径端が前記金属基板の前記インク吐出面の反対面に繋がるテーパ孔部と、前記ストレート孔部の他端と前記テーパ孔部の小径端とを繋ぐ屈曲点とを有して構成され、
    前記導電膜を堆積される工程においては、前記導電性粒子を直進飛翔させる方向が前記孔の前記中心軸に対してなす角度を、前記導電性粒子が前記ストレート孔部には堆積し前記テーパ孔部には堆積しないように設定することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法。
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