JP4490623B2 - カード用シートおよびカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ストライプカード、ICカード等のプラスチックカード、およびカード用シートに関し、特に、レーザによるマーキングが可能なカード、および、このカードに用いられるカード用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ストライプカードやICカード等のプラスチックカードに、レーザビームを照射して、文字、バーコード等をマーキングすることが行われる。例えば、バーコード、顔写真等を印刷する替わりに、YAGレーザ等を用いて、カードの個別番号やロット番号、あるいは個人情報、顔写真等をカードに書き込むことが行われ、これにより、磨耗や経時的劣化で個人情報等が消失することを防ぐことができる。また、レーザを用いたマーキングは、簡単な工程で行うことができるので、工業的にも価値が高く、注目されている。
レーザビームを照射してマーキングを行うことができるカードとしては、例えば、レーザビームの照射によって容易に脱色または変色する発色剤を含有するカードが知られている。このような発色剤としては、特開昭49−82340号公報に半導体化した金属酸化物が開示されており、特開昭56−45926号公報に熱応答性染料が開示されており、特開昭56−144995号公報に染料及びそれと併用されるケイ素含有無機化合物が開示されている。
【0003】
一般に、レーザビームをレンズで集光して照射することにより、パワー密度の高いレーザ光をレンズの焦点近傍で得ることができる。パワー密度の高いレーザ光を目的物に照射すると、その光熱変換作用によって、照射された部分を溶融、蒸発させ、最終的には、切断、溶接、穴あけ、表面焼き入れ等を行うことができる。
しかしながら、発色剤を含有する樹脂層を有するカードにレーザビームを照射してマーキングを行う場合には、樹脂が変形しないような温度領域で所定の時間内に発色を行わせることが必要であるが、このようなマーキング速度で発色を行わせると、従来のカードでは、十分な発色及び良好なコントラスト状態を実現することができなかった。一方、発色した画像が十分な濃度を得るために、高い温度で発色を行わせると、カードに発泡、膨れ等の変形が生じた。
また、従来のカードの材料としては、大量生産が可能であり、印刷適性、ラミネート適性、エンボス適性等に優れることから、ポリ塩化ビニル系樹脂(以下「PVC」という)が使用されてきた。ところが、PVCにレーザビームを照射すると、照射部分の樹脂が蒸発するので人体への悪影響が懸念され、また、使用後のカードを処分する際には環境問題を引き起こす、という問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭49−82340号公報
【特許文献2】
特開昭56−45926号公報
【特許文献3】
特開昭56−144995号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、発色感度が良好であり、良好なコントラスト状態を実現でき、かつ、低温融着性、印刷適性に優れた、非PVC系のカード用シートを提供することにあり、また、このカード用シートを用いて製造されたカードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカード用シートは、支持層、および、レーザビームを照射することによって発色する発色層を有するカード用シートであって、該発色層が、カード用シートの少なくとも一方の表面に設けられており、レーザビームの未照射部分は可視光透過性を有し、かつ、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる、厚みが5〜50μmの層であることを特徴とする。
ここで、前記支持層は、白色不透明であり、かつ、厚みが50〜700μmであるか、あるいは、可視光透過性を有し、かつ、厚みが50〜100μmであることができる。
また、前記支持層を形成する樹脂の溶融温度は、前記発色層を形成するポリエステル系樹脂の溶融温度よりも高いことが好ましい。
また、前記支持層を形成する樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及び、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂とのポリマーアロイからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、カード用シートの少なくとも一方の表面は、十点平均粗さが3〜10μmであることができる。
本発明のカードは、上記カード用シートの少なくとも1種を用いて製造されたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、カード用シートとは、カードを構成するシートをいい、例えば、カードの表層に使用されるオーバーシート、中層に使用されるコアシート等が挙げられる。一般にカードは、印刷を施した白色のコアシートに、透明のオーバーシートを重ねて、熱プレスでシート間を熱融着した後、打ち抜き刃でカード形状に切断し、場合によっては最後にエンボッサーで文字刻印を施して製造される。また情報記録のための磁気ストライプやICチップ、アンテナコイル等を付与してもよい。
本発明のカード用シートは、支持体、および、レーザビームの照射によって発色する発色層を有するシートであって、オーバーシート、コアシート等のいずれのシートにも使用することができる。また、本発明のカードは、これらのカード用シートを少なくとも1種有するシートであり、例えば、コアシートおよびオーバーシートの両方に本発明のカード用シートを使用してもよい。
【0008】
以下に、本発明のカード用シートを、コアシートまたはオーバーシートとして使用した場合のカードの層構成について、図面を用いて具体的に説明する。なお、同一の構成要素については同一の参照番号を付して、これらの説明を省略する。
【0009】
図1(a)に、本発明の第1の実施形態に係るカードの層構成を模式的に示す。本実施形態においては、本発明のカード用シートをコアシートとして使用している。図1(a)において、コアシート1は、支持層4と発色層3とからなる。コアシート1の上側と下側のそれぞれに、オーバーシート2を重ねて、例えば加熱加圧プレス等することにより、カードを製造することができる。ここでは、支持層4と発色層3との2層構成のコアシート1を示したが、支持層4の一方の面に発色層3を有し、他方の面に接着層を有する3層構成でもよい。このように、接着層を有する構成にすれば、下側に配置されるオーバーシート2との接着性も良好になる。接着層を形成する樹脂としては、特に限定されることなく任意のものを使用することができるが、接着性が良好であること、カール等が生じないように、コアシートの表面層と裏面層のバランスが良いこと等を考慮すると、発色層を形成する樹脂と同種類の樹脂であることが好ましい。
【0010】
あるいはまた、コアシートは、両表面に発色層3を有していてもよい。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係るカードの層構成を示す図であり、コアシートの両表面に発色層を有する場合である。すなわち、コアシート21は、発色層3、支持層4、発色層3をこの順に有する3層構成である。本実施形態の層構成では、コアシートの両表面の発色層3とオーバーシート2とがそれぞれ熱融着されて、カードが形成される。
【0011】
なお、本発明のカード用シートをコアシートとして用いる場合に、発色層の少なくとも一方の面の少なくとも一部に印刷層を設けてもよい。例えば、印刷層を発色層の外表面側に設ける場合には、発色層に形成された発色部分(文字、記号、図形等)を意図的に隠すように、隠蔽性のある印刷層を部分的に設けてもよいし、あるいは、印刷層を通して発色部分が重なって見えるように、非隠蔽性の印刷層、例えば、編目模様の印刷層を形成してもよい。また、印刷層は、発色層裏面側、すなわち発色層と支持体との間に設けてもよい。発色層に印刷層を設ける場合、発色層は印刷適性に優れていることが好ましいが、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成されるならば、印刷適性に優れた層が得られる。
印刷層は、印刷インキや塗料等を使用して、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、ドライオフセット印刷法、凸版印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種の印刷方法や塗装方法等により設けることができる。使用される印刷インキのビヒクルとしては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
【0012】
次に、本発明のカード用シートをオーバーシートとして使用する場合について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第3の実施形態に係るカードの層構成を示す図である。図2において、オーバーシート32は、支持層4と発色層3とからなる。発色層3がコアシート31と接するように、コアシート31の上にオーバーシート32を配置し、また、コアシート31の下側に単層のオーバーシート2を重ねて、例えば加熱加圧プレスすることにより、カードを製造することができる。なお、ここでは、下側に配置されるオーバーシート2を単層構成としたが、発色層を有する2層構成のオーバーシートとしてもよい。この場合には、下側に配置されるオーバーシートは、コアシートと接する側が発色層となるように配置することが好ましい。あるいはまた、オーバーシートは3層構成とすることもでき、例えば、支持層の一方の面に発色層、他方の面に保護層とすることができる。なお、保護層を形成する樹脂としては、特に限定されることなく任意のものを使用することができ、カードの用途等に応じて適宜選択し、目的に即した層を形成することができる。
【0013】
また、本発明のカード用シートをオーバーシートとして用いる場合にも、コアシートとして用いる場合と同様に、発色層の少なくとも一方の面に印刷層を設けることができる。例えば、印刷層を発色層のコアシート面側に設ける場合には、コアシート面を隠すようにベタ印刷層を施して下地着色層としてもよいが、白色コアシートが透けて見えるように可視光透過性になっていて、白地コアシートを背景に、発色部分の下に印刷層の図柄等が重なって見えるように印刷層を形成してもよい。このように印刷層を設けることにより、カードデザインの幅が広がる。また、発色層の上側、すなわち支持層と発色層との間に印刷層を設ける場合には、発色層に形成された発色部分の一部、あるいは全部を、意図的に隠すように、隠蔽性のある印刷層としてもよい。
【0014】
既述したように、本発明のカード用シートは、少なくとも一方の表面に発色層を有する。本発明において発色層とは、レーザビームの照射により、発色する層である。発色層は、例えば、レーザビームを吸収して、光熱変換により発熱し、有色を呈する発色剤を含有することができる。
発色剤としては、レーザ光線を吸収し光熱変換による発熱によって有色になる金属酸化物等が好ましく用いられる。具体的には、良好なコントラストを示す黒色系の酸化物を形成する金属として、銅、鉄、ニッケル、マンガン、チタン、鉛、クロム、コバルト、スズ、タリウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、ビスマス、パラジウム、銀、白金、金等が挙げられる。
発色層に、カーボンブラックや、レーザ光線の波長を吸収する光吸収剤を含有させてもよい。このような発色層にレーザビームを照射すると、光吸収剤等の周辺のバインダー樹脂が炭化し、この炭化した部分が黒色を呈する。あるいはまた、金属酸化物等の発色剤と光吸収剤とを併用してもよい。本発明に好ましく用いられる光吸収剤としては、使用するレーザの波長域に吸収ピークを有するシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
【0015】
本発明において発色層は、レーザビームの照射前に可視光透過性を有しており、レーザビームを照射した後は、レーザビームの未照射部分が可視光透過性を有する。本発明において「可視光透過性」とは、裏面に積層された支持層面を視覚的に識別することができるような透明性をいう。
【0016】
発色層を形成する樹脂の屈折率と、混合する発色剤等の屈折率との差は小さいことが好ましく、屈折率の差が小さくなるように組み合わせて使用することにより、発色層の可視光透過性を実現することができる。例えば、発色層を形成する樹脂(バインダー)としてポリエステル系樹脂を選択し、発色剤としてスズ系の化合物を選択した組合せが好ましく使用できる。
【0017】
発色剤は、微細粒子の状態で分散されていることが好ましい。このように微細粒子を分散させることにより、全光線透過率をさらに高くすることができ、また、発色感度を高くすることができる。したがって、画像がより一層鮮明になるので、微細な文字等のマーキングにも対応でき、マイクロ文字によるセキュリティ付与等を実現できる。発色剤等の微細粒子を、発色層中に均一に分散させれば、発色層自体が凝集破壊を生じたり、剥離することを防止することができるので、強度の高いカードを得ることができる。また、微細粒子を均一に分散させた発色層は、低温融着性を有し、所定の温度で他のシートに熱融着させても、十分な接着強度を示すことができる。
【0018】
本発明に係る発色層は、熱融着性に優れていることが好ましく、ポリエステル系樹脂を主成分とする。ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として使用することにより、樹脂の加熱流動性が良好となり、効率よく、発色させることができる。特に、バインダー樹脂としてポリエステル系樹脂、発色剤としてスズ系化合物を組み合わせて使用することが好ましく、効率よく、発色させることができる。
ここでポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体をいい、その中でも結晶性が低く、プレス融着等の実用上頻繁に行われる熱加工を行っても、結晶化による白濁や融着不良を起さないものをいう。
【0019】
本発明に好ましく用いられるジカルボン酸成分の代表的なものとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、用いられる他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
【0020】
本発明に好ましく用いられるジオール成分の代表的なものとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、エチレングリコールの一部を他のジオール成分で置換してもよい。他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、用いられる他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
【0021】
本発明に用いられるポリエステル系樹脂としては、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させたポリエチレンテレフタレートがコストの観点から好ましいが、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することができる。
【0022】
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。
【0023】
本発明においては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG」を商業的に入手することができる。
【0024】
本発明のカード用シートは、支持層を有する。支持層を形成する樹脂は、発色層を形成する樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有するものが好ましい。支持層の少なくとも一方の表面に、支持層を形成する樹脂より溶融温度の低い樹脂からなる発色層を有する積層体を、発色層が他のシートと接するように配置して、熱プレス等を行えば、他のシートとの熱融着性に優れ、かつ、耐熱性に優れたカードを実現することができるのである。
【0025】
支持層を形成する樹脂としては、例えば、日本工業規格 JIS K 6734に基づいて測定した軟化温度が、約90℃〜約160℃である、非結晶性の熱可塑性樹脂等が好ましいものとして挙げられる。具体的には、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート樹脂、耐熱アクリル樹脂、透明な耐熱ABS樹脂等が挙げられる。
本発明においては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂とのポリマーアロイも好ましく使用される。かかる樹脂アロイを採用することにより、相溶性、非反応性を有し、発色層との接着性に優れ、耐熱性及びエンボス適性を有するシートが得られる。
【0026】
本発明においてポリカーボネート系樹脂とは、主成分がポリカーボネートである樹脂組成物を意味する。ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールとアセトンから合成されるビスフェノールAから、界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体、例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体、例えばテトラメチルビスフェノールA等の重合により得られるものを例示することができる。
【0027】
支持層を形成するポリエステル系樹脂としては、PETG、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を使用することができる。ポリブチレンテレフタレートは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの脱水縮合体であり、ホモポリマーでも共重合体でもどちらでもよい。共重合体としてはテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換したものを商業的に入手することができ、これが好適に使用される。
ポリブチレンテレフタレートのホモポリマーを用いる場合には、その混合量が多いと熱プレス融着工程で支持層の結晶化が進み、層間の融着強度が低下したり、カードが割れ易くなることがあるので、混合量は50質量%以下であることが好ましい。ポリブチレンテレフタレートの共重合体を用いれば、熱プレス融着工程で、支持層の結晶化が起こりにくくなる。例えば、テレフタル酸の約30モル%をイソフタル酸で置換した共重合体を用いれば、支持層の結晶化をほぼ防止することができる。ただし、その混合量が多いとシートの腰が弱くなったり、インキの密着性が低下することがあるので、その混合量は約40質量%以下であることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との組成比は、シートの使用目的等に応じて任意に設定することができるが、シートの種類(コアシート、オーバーシート等)、シートの総厚み、各層の厚み比率等を考慮して設計することが好ましい。
【0028】
本発明のカード用シートをコアシートとして用いる場合、レーザビーム照射前の発色層は可視光透過性を有し、支持層は白色不透明であることが好ましい。レーザビームの照射によって発色層の一部が発色すると、未発色部分は可視光透過性を維持するので、発色層から下地の白色支持層が透けて見えて、白地に発色部分(文字、記号、図形等)が表示されることになる。従って、白地と発色部分とのコントラストがはっきりしたカードが得られる。ところが、例えば図3に示すように、コアシート41が単層シートであり、白色の発色層である場合には、白色層の内部で発色が起こって、発色部分(文字等)が白色のベールで覆われたような状態となるので、鮮明な画像が得られない。また、単層コアシートの底部分まで最大限発色させようとすると、過加熱部分が発生し、シートの変形が生じる。これに対し、白色の支持層に可視光透過性の発色層を重ねた本発明の構成のカードでは、白色の支持層は発色層の裏側に位置し、発色部分を遮蔽することはないので、また、相対的に厚みの薄い発色層で発色が起こるため、鮮明な画像を得ることができる。さらにまた、相対的に薄い発色層のみを加熱すればよいので、過加熱部分が発生せず、シートに変形が生じない。
【0029】
上述したように、支持層は白色不透明であることが好ましいが、発色部分の境界をより鮮明にするためには、白色度および不透明の度合いは可能な限り高いことが好ましい。支持層に白色顔料等を混合させることにより、支持層を白色不透明にすることができる。用いられる白色顔料としては、従来からカード用コアシート等に使用される白色顔料が挙げられ、具体的には、酸化チタン、硫酸バリウム等が挙げられる。白色顔料の添加量は、支持層中、7〜30質量%の範囲であることが好ましい。添加量が7質量%より少ないと、十分な白色度が得られない場合があり、30質量%より多いと、カードが割れやすくなることがある。
【0030】
本発明のカード用シートをオーバーシートとして用いる場合、発色層の未発色部分、および支持層は、いずれも可視光透過性を有していることが好ましい。オーバーシートは白色コアシートに重ねられて、白色コアシートが白地背景となるので、オーバーシートを透かして白色コアシートが見えるとよいからである。
ここで、支持層の可視光透過性は、裏面に積層された発色層の発色部分(可視画像等)を視覚的に識別することができるような透明性であることが好ましい。
【0031】
本発明のカード用シートは、発色層の厚さが5〜50μmである。発色層の厚みが5μmより薄いと、十分な発色が得られず、50μmより厚いと、過加熱部分が発生し、シートに変形が生じるからである。
本発明のカード用シートをコアシートとして用いる場合に、支持層の厚みは、最終的な製品であるカードの総厚みや、カードを構成する層の数を考慮して任意に設定することができるが、50〜700μmであることが好ましい。50μmより薄いと、白色不透明の隠蔽効果が得られにくく、またシートを取り扱う際に問題が生じることがある。700μmより厚いと、カードの製造工程において取扱いにくいことがある。
本発明のカード用シートをオーバーシートとして用いる場合に、支持層の厚みは、最終製品のカードの総厚み、層構成、印刷の有無、磁気ストライプの有無等を考慮して、適宜設定することが好ましいが、50〜100μmであることが好ましい。支持層の厚みが50μmより薄いと、シートを取り扱う際に問題が生じることがある。100μmより厚いと、貼り合せるコアシートの厚みを薄くしなければならないことがあるので、カードの層構成のバランスを考慮すると100μm以下であることが好ましい。
【0032】
本発明のカード用シートは、少なくとも一方の表面の十点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmであることが好ましい。特に、発色層側の表面の十点平均粗さ(Rz)が3μm〜10μmであり、他方の側の表面の十点平均粗さ(Rz)が15μm〜40μmであることが好ましい。発色層側の表面のRzが3〜10μmであれば、発色層の上に印刷層を設けても、インキの密着性が良好であり、プレス後に絵柄が歪んだり、輪郭が滲むことはない。他方の側の表面のRzが15〜40μmであれば、例えばスクリーン印刷を施したシートを多数枚積み重ねても、印刷層が隣接するシートに貼りつくことがない。また、プレス融着する際に、シートとシー卜との間、およびシートとプレス板との間の空気を容易に排出することができるので、得られたカードに欠陥が生じることもない。
【0033】
本発明のカード用シートを構成する各層には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、静電剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、衝撃改良剤、フィラー、香料、抗菌剤、あるいは、耐熱性等の物性を改良する物質を含有させることができる。
【0034】
本発明のカード用シートを構成する各層の積層方法としては、各層の樹脂組成物を共押出しして積層する共押出法、各層を予めフィルム上に形成し、これをラミネートする方法等、周知の方法を任意に適用することができる。生産性、コストの面からは、共押出し法を用いることが好ましい。そのため、発色層と支持層とが、熱融着によって十分な接着強度を有する積層体を形成することができるような樹脂を用いることが好ましい。本発明のように、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いて発色層を形成することにより、熱融着によって十分な接着強度を有する積層体を形成することができる。
【0035】
本発明のカードは、本発明のカード用シートを、オーバーシート、コアシート等のカードを構成するシートの少なくとも1枚として用いて形成する。オーバーシート、コアシート等は、接着剤を介して貼り合せることもできるが、各層を重ねた後、加熱加圧プレス等を行って、熱融着することにより形成することが好ましい。
【0036】
なお、シートとは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。ところで、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K 6900)。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確に区別しにくいので、本願においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例では、以下の方法で評価を行った。
《評価方法》
(1)印刷接着性の評価
カード用シートに形成された印刷層について、クロスカットテープ剥離方法を実施し、印刷層の接着性の評価を行った。評価基準は、印刷層に剥がれが生じた場合には記号「×」、印刷層に剥がれが生じなかった場合には記号「○」で示した。
【0038】
(2)低温融着性の評価
オーバーシートAとコアシートとの間が強固に接着しているか否か、また、カード形状に打ち抜く際に、カードの端面に剥がれが生じなかったか否かを確認した。評価基準は、オーバーシートAとコアシートとの間が、強固に接着されており、カードの端面に剥がれが生じなかったものを記号「○」、シート間に剥がれが生じていたり、全く融着していなかったもの、あるいは、端面に剥がれが生じたものを記号「×」で示した。
【0039】
(3)マーキング性の評価
カードのオーバーシートA側から、波長1.06μmのマーキング用YAGレーザ(キーエンス社製)を用いて、レーザビームを照射し、所定の画像パターンをマーキングした。但し、レーザビームの照射は、所定の画像パターンに対し、レーザパワー(W)を固定した状態で、マーキング速度を変化させて行った。発色した画像の濃度を、マクベス反射濃度計(RD−918S)を用いて測定した。飽和発色濃度(最大限に発色した状態の画像の濃度)が得られる最適条件を探し、そのときの発色感度、画像のコントラスト、画像の解像度、及び、膨れについて、下記基準に基づき評価を行った。
評価基準:
「発色性」については、マーキング速度が速くても、飽和発色濃度に達したものを記号「○」、マーキング速度を遅くしないと飽和発色濃度に達しないものを記号「×」で示した。
「コントラスト」については、発色した画像の濃度と、下地の濃度との差が大きく、視認性が十分であったものを記号「○」、濃度差が小さいか、あるいは、視認性が不十分であったものを記号「△」、濃度差が小さく、かつ、視認性が不十分であったものを記号「×」で示した。
「解像度」については、発色した画像を肉眼で観察し、画像の境界がシャープで、画像自体が鮮明に見えるものを記号「○」、画像の境界がシャープでないか、あるいは、画像自体が鮮明でないものを記号「△」、画像の境界がシャープでなく、画像が鮮明に見えないものを記号「×」で示した。
「膨れ」については、レーザビームを照射した部分及びその周辺に、膨れや変形がほとんど認められなかったものを記号「○」、膨れや変形が認められ、それが実用不可能なレベルのものである場合を記号「△」、かなり大きな膨れや変形が認められたものを記号「×」で示した。
【0040】
(4)カードの耐熱性評価
カードの長辺が水平面に対して斜め45度となるように立て掛けた状態で、所定の温度のオーブン中に6時間、放置した後、室温まで冷却してから取り出し、カードの湾曲の程度を観察した。但し、オーブンの温度を順次上げていき、その状態で同様の観察を行い、湾曲が生じたときのオーブンの温度を調べた。通常のカードとして実用上問題のないレベルの温度に達する前に湾曲が認められたものを記号「×」、実用上問題のないレベルの温度に達するまで湾曲が認められなかったものを記号「○」、さらに高温にまで上げても湾曲が生じなかったものを記号「◎」とで示した。
【0041】
(5)総合評価
上記(1)〜(4)の各評価が、すべて「○」であったものを記号「○」、上記(1)〜(4)の評価のうち、1つでも「◎」があったものを記号「◎」、1つでも「×」があったものを記号「×」で示した。
【0042】
(実施例1)
<コアシートの作製>
発色層として、ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」、イーストマンケミカル社製、表中「PETG」と表記する)90質量%に、スズ系発色剤(東洋インキ製造(株)製の試作品)を10質量%混合した樹脂組成物を用い、支持層として、ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」、イーストマンケミカル社製)80質量%に、酸化チタンを20質量%混合した樹脂組成物を用いた。これらの樹脂組成物を押出機の各ホッパーにそれぞれ供給し、加熱溶融させた。その後、Tダイを用いて2種2層となるように押出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、発色層の厚みが5μm、支持層の厚みが555μmの積層構成のシートを得た。次いで、1対のマットロール間を通過させて、両表面にマット処理を行った。その後、得られた積層シートの発色層の面上に、紫外線硬化性のインクを用いてオフセット印刷を行った。なお、表面の十点平均粗さ(Rz)は発色層側が5μmであり、支持層側が20μmであった。
<オーバーシートAおよびCの作製>
ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」、イーストマンケミカル社製)を用いて、厚さ100μmの単層のオ−バーシートを作製した。なお、オーバーシートCは、カードの層構成のバランスをよくするために便宜上設けたものであり、以下の評価に直接関係するものではない。
<カードの作製>
作製したコアシー卜、オーバーシートA、およびオーバーシートCを用いて、図1(a)に示す層構成となるように、上からオーバーシートA/コアシート/オーバーシートCの順に重ねた後、プレス温度110℃、シートの面圧10kgf/cm2、加熱時間10分の条件で、オーバーシートとコアシートを融着一体化して、厚み760μmの積層体を得た。得られた積層体をカード形状に打ち抜いてカードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートAについて、印刷接着性の評価を行い、得られたカードについて、低温融着性、発色部分(可視画像)の発色感度、コントラスト、解像度、膨れ、および、耐熱性について評価を行った。また、これら評価を総合して、総合評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】
(実施例2)
実施例1において、コアシートの発色層の厚さを50μm、コアシートの支持層の厚さを510μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートAについて、印刷接着性の評価を行い、得られたカードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
実施例1におけるコアシートの作製において、支持層の樹脂としてポリカーボネート系樹脂(表1中「PC」と表記する)を用い、発色層の厚さを20μm、支持層の厚みを540μmに変更した以外は実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートAについて、印刷接着性の評価を行い、得られたカードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
(実施例4)
実施例1におけるコアシートの作製において、支持層の樹脂として、ポリエステル系樹脂とポリカーボネート系樹脂との配合比が35:43のポリマーアロイ(表1中「PETG/PC」と表記する)を用い、発色層の厚さを20μm、支持層の厚みを540μmに変更した以外は実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートAについて、印刷接着性の評価を行い、得られたカードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5)
実施例1において、オーバーシートAを下記に示すものに変更し、コアシートを下記に示すものに変更した。
<オーバーシートAの作製>
発色層として、ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」、イーストマンケミカル社製)90質量%に、スズ系発色剤(東洋インキ製造(株)製の試作品)を10質量%混合した樹脂組成物を用い、支持層として、ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」)を用いた。これら樹脂組成物を押出機の各ホッパーにそれぞれ供給し、加熱溶融させた。その後、Tダイを用いて2種2層となるように押出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、発色層の厚みが20μm、支持層の厚みが80μmの積層構成のシートを得た。次いで、1対のマットロール間を通過させて、両表面にマット処理を行った。発色層面の十点平均粗さ(Rz)は5μmであり、支持層面のRzは15μmであった。
<コアシートの作製>
支持層として、ポリエステル系樹脂(商品名「PETG6763」)80質量%に、酸化チタンを20質量%混合した樹脂組成物を用い、これを押出機のホッパーに供給し、加熱溶融させた。その後、Tダイを用いて単層シートを押出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、支持層のみからなる厚みが540μmの単層シートを得た。次いで、1対のマットロール間を通過させて、両表面にマット処理を行った。その後、単層シートの一方の面上に、紫外線硬化性のインクを用いてオフセット印刷を行った。なお、印刷層表面の十点平均粗さ(Rz)は15μmであった。
<カードの作成>
作製したコアシート、オーバーシートA、および、実施例1と同様のオーバーシートCを用いて、図2に示すような層構成となるように、オーバーシートA/コアシート/オーバーシートCの順に重ねた後、プレス温度110℃、シートの面圧10kgf/cm2、加熱時間10分の条件で、オーバーシートとコアシートを融着一体化して、厚み760μmの積層体を得た。得られた積層体をカード形状に打ち抜いてカードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
(実施例6)
実施例5において作製したオーバーシートAの発色層面に、紫外線硬化性のインクを用いてオフセット印刷を行ったものをオーバーシートAとして用いた。また、実施例5におけるコアシートの作製において、印刷層を設けなかったものをコアシートとして用いた。さらに、実施例5と同様のオーバーシートCを用い、実施例5と同様にしてカードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
(実施例7)
実施例6において、オーバーシートの支持層として、PETGの替わりにPCを用いた以外は実施例6と同様にして、オーバーシートA、コアシート、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
(実施例8)
実施例6において、オーバーシートの支持層として、PETGの替わりにPETG/PCを用いた以外は実施例6と同様にして、オーバーシートA、コアシート、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
(比較例1)
実施例1において、コアシートを下記に示すものに変更した。
<コアシートの作製>
発色層として、ポリカーボネート系樹脂70質量%に、スズ系発色剤(東洋インキ製造(株)製の試作品)を10質量%、および、酸化チタンを20質量%混合した樹脂組成物を用い、これを押出機のホッパーに供給し、加熱溶融させた。その後、Tダイを用いて単層シートを押出した後、冷却ロールに接触させて冷却固化させて、発色層のみからなる厚みが560μmの単層シートを得た。次いで、1対のマットロール間を通過させて、両面にマット処理を行った。その後、単層シートの一方の面上に、紫外線硬化性のインクを用いてオフセット印刷を行った。なお、印刷層表面の十点平均粗さ(Rz)は15μmであった。
<カードの作製>
作製したコアシートを用い、また、オーバーシートAとして、実施例1のオーバーシートAの作製におけるPETGの替わりにPCを用いて製造されたものを用い、さらに、オーバーシートCとして、実施例1におけるPETGの替わりにPCを用いて製造されたものを用いて、カードを作製した。ただし、カードは、図3に示すような層構成となるように、オーバーシートA/コアシート/オーバーシートCの順に重ねた後、プレス温度110℃、シートの面圧10kgf/cm2、加熱時間10分の条件で、オーバーシートとコアシートを融着一体化して、厚み760μmの積層体を得た。得られた積層体をカード形状に打ち抜いてカードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0051】
(比較例2)
比較例1において、コアシートの発色層を形成する樹脂をPCからPETGへ変更し、オーバーシートA及びオーバーシートCとして、実施例1と同様のオーバーシートA及びオーバーシートCを用いた以外は比較例1と同様にして、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0052】
(比較例3、4)
実施例1において、コアシートの発色層の厚みと支持層の厚みを、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0053】
(比較例5)
実施例1において、コアシートの発色層の厚みと支持層の厚みを、表2に示すように変更し、発色層を形成する樹脂をPCに変更した以外は、実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0054】
(比較例6、7)
実施例5において、オーバーシートAの支持層と発色層の厚みを表2に示すように変更し、コアシートとして、PETG80質量%に酸化チタンを20質量%混合した樹脂組成物から形成された、厚み560μmの単層シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0055】
(比較例8)
実施例7において、オーバーシートAの発色層を形成する樹脂をPCに変更した以外は、実施例7と同様にして、コアシート、オーバーシートA、オーバーシートC、および、カードを作製した。
得られたコアシート、オーバーシートA、および、カードについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
表1及び表2から明らかなように、本発明のカード用シート、及び、本発明のカード用シートをコアシート又はオーバーシートとして用いて形成されたカードは、全ての評価において良好であり、総合評価が「○」以上であった。特に、実施例3、4、7、8は、耐熱性についても良好であった。また、実施例1〜8のカード用シートは、カード製造工程中、ブロッキングを起こすことなく、スムーズにカードを製造することができた。
一方、比較例1〜8は、いずれか1以上の評価項目で「×」であり、実用上問題があった。発色層を形成する樹脂がポリエステル系樹脂でない、比較例1、5、8は、低温融着性や発色感度において不良の結果が得られた。発色層の厚みが5μmより薄い比較例3、6は、コントラストが悪く、一方、厚みが50μmより厚い比較例4、7は、解像度が不良であり、また、飽和発色濃度までレーザビームを照射すると、照射部分に変形や膨れが発生した。
なお、実施例1〜8は、オーバーシート又はコアシートのいずれか一方に、本発明のカード用シートを用いたものであるが、オーバーシート及びコアシートの両方に本発明のカード用シートを用いても良好な結果が得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、発色感度が良好であり、発色が十分で良好なコントラスト状態を実現でき、かつ、低温融着性、印刷適性、取り扱い性に優れた、非PVC系のカード用シートを提供することができる。
すなわち、本発明のカード用シートを用いることによって、低温融着性が可能となり、例えば、110℃程度のプレス温度でカードを作製することができる。したがって、生産サイクルを短くすることができ、また、プレスの熱によるシートの劣化や印刷層の変色も少なくすることができる。また、印刷適性にも優れているので、印刷層を形成することができ、デザインの自由性が確保される。さらにまた、マット加工を施すことにより、シートのブロッキング等を防ぐことができ、良好な取り扱い性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るカードの層構成を模式的に示す図であり、(b)は本発明の第2の実施形態に係るカードの層構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第3の実施形態に係るカードの層構成を模式的に示す図である。
【図3】比較のためのカードの層構成を模式的に示す図である
【符号の説明】
1,21,31,41 コアシート
2,32 オーバーシート
3 発色層
4 支持層
Claims (7)
- 支持層、および、レーザビームを照射することによって発色する発色層を有するカード用シートであって、該発色層が、カード用シートの少なくとも一方の表面に設けられており、レーザビームの未照射部分は可視光透過性を有し、かつ、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる、厚みが5〜50μmの層であって、カード用シートの発色層側の表面の十点平均粗さが3〜10μmであることを特徴とするカード用シート。
- 支持層、および、レーザビームを照射することによって発色する発色層を有するカード用シートであって、該発色層が、カード用シートの少なくとも一方の表面に設けられており、レーザビームの未照射部分は可視光透過性を有し、かつ、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる、厚みが5〜50μmの層であって、カード用シートの発色層側の表面の十点平均粗さが3〜10μmであり、他方の側の表面の十点平均粗さが15〜40μmであることを特徴とするカード用シート。
- 前記支持層は、白色不透明であり、かつ、厚みが50〜700μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のカード用シート。
- 前記支持層が、可視光透過性を有し、かつ、厚みが50〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のカード用シート。
- 前記支持層を形成する樹脂の溶融温度が、前記発色層を形成するポリエステル系樹脂の溶融温度よりも高いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカード用シート。
- 前記支持層を形成する樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及び、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂とのポリマーアロイからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカード用シート。
- 請求項1から6に記載のカード用シートを1種以上用いて製造されたことを特徴とするカード。
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