JP5344750B2 - レーザーマーキング顔料含有ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
本発明における着色性能を持つポリエステルフィルムを構成する、ポリエステルフィルムは、機能性や価格の面を考慮した時に、多層構成が望ましく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
株式会社 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
ポリエステル1gに対し、フェノール/テトラクロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒を100mlの比で加えて溶解させ、30℃で測定した。
小坂研究所製のサーフコーダSE3500を用いて、RaおよびRzを測定した。下記の条件でサンプルの片面(キャスト面)につき12回測定し、最大最小の2点を除いた十点の平均値をとった。
触針先端径:5ミクロン
測定力:30mgf
測定長:2.5mm
カットオフ値:0.08mm
本発明の実施例、比較例において、得られたポリエステルフィルムについて、Raによる判断を行った。次のような基準で判断する。
○:0.30〜1.00以上
×:0.30より低いもしくは1.00より大きい
レーザー照射による不可逆的なカラーチェンジ(着色)性能を有するポリエステルフィルムにおいて、本発明は将来的には工業的生産を目的としていて、目視で綺麗なマット調が表現されたポリエステルフィルムである事が第一条件となるため、得られたポリエステルフィルムについて、目視による外観の判断を行った。次のような基準で判断する。
○:外観良し
△:外観悪くはない
×:外観悪し
レーザーマーキング条件としては、以下のとおりである。
レーザーマーキング装置:キーエンス(株)製レーザーマーカー MD−V9900
レーザーの種類:YVO4レーザー(波長1064nm)
照射方式:XYZ3軸同時スキャニング方式(CW(連続発振)、Qスイッチ周波数1~400kHz)
マーキング部のパワー:13W
スキャンスピード:1500mm/s
輝度計を用いて、レーザー照射前のフィルムの非着色部分とレーザー照射後の着色部分のコントラスト比の評価を行った。具体的には、電通産業製フラットイルミネーター:HF−SL−A48LCFにサンプルを置き、さらに、コニカミノルタセンシング社製:CS−200を用い、測定視野角1°、サンプルと輝度計との距離を500mmとし、輝度値(cd/m2)を測定した。なお、相対輝度(%)を下記式より求めた。
相対輝度=(レーザー未照射部分の測定値)÷(レーザー照射部分の測定値)×100 得られた相対輝度の値から下記基準で評価した。
◎:200を超える(強い着色)
○:120〜200(着色している)
△:102〜120(薄い着色)
×:102未満(ほとんど着色していない)
得られたレーザー照射後のポリエステルフィルムについて、色差計を用いて、レーザー照射前のフィルムの非着色部分とレーザー照射後の着色部分のL*a*b*色差の評価を行った。具体的には、JIS Z 8729に従い、コニカミノルタ製色彩色差計CR−410(サンプル径50mm)を用いて、レーザー照射部分と非照射部分のL*a*b*色差値を測定した。このとき、光源はC/D65で、背面を白色とし、反射法にて測定を行った。測定回数は3回行い、平均値を採用した。その後、ΔL*(照射部分のL*値−非照射部分L*値)、Δa*(照射部分のa*値−非照射部分a*値)、Δb*(照射部分のb*値−非照射部分b*値)をそれぞれ求め、ΔE値を算出し、評価した。
なお、ΔE値を下記式より求めた。
ΔE={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
得られたΔEの値から下記基準で評価した。
◎:6.0を超える(強い着色)
○:2.0〜6.0(着色している)
△:0.5〜2.0(薄い着色)
×:0.5未満(ほとんど着色していない)
レーザー照射後のポリエステルフィルムについて、目視による強度の判断を下記基準にしたがって行った。
△:着色している
×:着色していない
平均粒径4.5μmの無定型シリカ粒子を9.0%含有する、固有粘度0.71のポリエチレンテレフタレートチップとレーザーマーキング顔料である銅、モリブデンの複合酸化物(CuO・xMoO3:東罐マテリアル・テクノロジ株式会社)を99.87:0.13の割合で混合した混合原料を表層原料とし、平均粒径2.5μmの無定型シリカ粒子を600ppm含有する、固有粘度0.71のポリエチレンテレフタレートチップを中間層原料として、表層の混合原料と中間層のポリエステルを1:4の割合で2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚さ50μm(表層5μm、中間層40μm)のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、白色のポリエステルフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、YVO4レーザー(キーエンス株式会社:MD−V9900)光照射(1064nm)を行い、カラーチェンジ性能を評価したところ、灰色着色状態への変化は良好なものであった。得られたフィルムの相対輝度は、210%、ΔEは、7.4(L*=83.60,a*=1.78,b*=1.94)であった。
原料とCuO・xMoO3の比をそれぞれ98.80:1.20の割合で混合した混合原料を表層の原料として用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、白色のポリエステルフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でレーザー照射を行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、灰色着色状態への変化は良好なものであった。得られたフィルムの相対輝度は、170%、ΔEは、6.54(L*=83.80,a*=1.79,b*=1.64)であった。
原料とCuO・xMoO3の比をそれぞれ98.00:2.00の割合で混合した混合原料を表層の原料として用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、黄色の外観の悪いポリエステルフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でレーザー照射を行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、灰色着色状態への変化は顕著であった。得られたフィルムの相対輝度は、190%未満であり、ΔEは、6.92(L*=83.61,a*=1.68,b*=1.71)であった。
原料とCuO・xMoO3の比をそれぞれ99.90:0.10の割合で混合した混合原料を中間層の原料として用いて、ポリエステルフィルムを得るということ以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、白色のポリエステルフィルムであった。そのポリエステルフィルムについて、実施例1と同様の方法でレーザー照射を行い、カラーチェンジ(着色)性能を評価したところ、灰色着色状態への変化は確認できなかった。得られたフィルムの相対輝度は、<100.1%、ΔEは、0.01(L*=88.82,a*=2.14,b*=−1.85)であった。
無定型シリカ粒子の粒径、含有量がもたらすポリエステルフィルムの外観について、比較検討を行った。平均粒径4.5μmの無定型シリカ粒子を2.5重量%含むポリエステルチップを用いたということ以外、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは表面粗度が欠ける結果となった。
平均粒径4.5μmの無定型シリカ粒子を35重量%含むポリエステルチップを用いたということ以外、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムは、外観において凝集物由来の斑があり、また、破断などの生産性の低下が顕著であった。
平均粒径2.5μmの無定型シリカ粒子を含むポリエステルチップを用いたということ以外、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムは表面粗度が欠ける結果となった。
平均粒径12μmの無定型シリカ粒子を含むポリエステルチップを用いたということ以外、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
凝集物由来の破断などで、ポリエステルフィルムを得ることが難しかった。
Claims (1)
- 表面粗度(Ra)が0.10〜1.00μmの範囲のフィルム表面を構成するポリエチレンテレフタレート層が平均粒径3〜10μmの粒子を3〜10重量%含有する多層構成の二軸延伸ポリエステルフィルムであって、当該フィルムの表層中にレーザー光によって着色する銅・モリブデン複合酸化物を0.025〜0.25重量%含有することを特徴とするポリエステルフィルム。
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