JP4490598B2 - 表面検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検査物表面に存在する欠陥を光学的に検出して欠陥種類の判別を行う表面検査装置に関し、特に、表面に半透明膜を有してなる光透過性基板の基板表面に存在する欠陥種類の判別を行う表面検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程では、半導体ウェハ上に回路パターンを転写するとき、パターン原版としてフォトマスクが使用される。フォトマスクは、マスクブランクス上のフォトレジストを露光して作られる。フォトレジストは、マスクブランクスの表面上に電子線レジストをスピンコートし、電子線描画装置によってパターニングして作られる。このように、マスクブランクスは、フォトマスクの製作素材であり、通常、高精度に研磨された合成石英基板(ガラス基板)の表面上にスパッタリングでクロム膜をコーティングして作られる。マスクブランクスにおいて、クロム膜に微小なピンホールや異物(パーティクル)などの欠陥が存在すると、その欠陥が回路パターンの転写時に転写されて半導体デバイスの品質に影響を及ぼすため、表面検査装置を用いて欠陥有無の検査が行われる。
【0003】
これらの各種欠陥の効果的な検出方法として、従来の表面検査装置は、クロム膜の遮光性(可視光域での光透過率が0.1%以下)を利用して、欠陥の種類を判別する方法を用いている。すなわち、レーザビームとマスクブランクスとを異なる方向(例えば、X方向及びY方向)に相対的に移動させ、マスクブランクスの基板表面側(クロム膜側)に配置した後方受光器で異物からのレーザビームの散乱光(反射光)を検出し、該後方受光器でピンホールからのレーザビームの回折光(ガラス基板に反射して得られる反射光)を検出すると共に、マスクブランクスの基板表面とは反対側(ガラス基板側)に配置した前方受光器でピンホールからのレーザビームの回折光(ピンホールを透過して得られる透過光)を検出する。このように、後方受光器と前方受光器とで異物とピンホールの散乱光および回折光をそれぞれ検出し、後方受光器でのみ散乱光を検出した場合に、該散乱光の検出信号に基づき異物と判定し、後方受光器および前方受光器で回折光を検出した場合に、該回折光の検出信号に基づきピンホールと判定するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フォトマスクにあっては、今後、パターンの解像度を向上できる位相シフトマスクが主流となる傾向にあり、該位相シフトマスクの一例として、ハーフトーン位相マスクがある。このハーフトーン位相マスクは、ガラス基板の表面に従来のクロム膜に代えて透光性を有するハーフトーン膜がコーティングされており、マスク作成が容易であるという利点がある。ハーフトーン位相マスクの製作素材であるマスクブランクスのハーフトーン膜は、可視光域での光透過率が約10〜50%であり、クロム膜に比べて光透過率が格段に高い。このため、上記マスクブランクスを従来の表面検査装置を用いてハーフトーン膜に存在するピンホールや異物などの欠陥を判別しようとした場合、異物からのレーザビームの散乱光がハーフトーン膜を透過して前方受光器で検出されてしまう。その結果、前方受光器と後方受光器とで欠陥の種類に関係無くレーザビームの散乱光及び回折光を検出することとなり、ピンホールと異物の判別処理を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたものであり、表面に半透明膜を有してなる光透過性基板の表面検査にあたって欠陥種類を高精度に判別することのできる表面検査装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る表面検査装置は、表面に半透明膜を有してなる透光性基板の基板表面に光ビームを照射する照射手段と、前記基板表面側で該基板表面の欠陥に応じた前記光ビームの反射光を検出し、検出信号を出力する第1の検出手段と、前記基板表面とは反対側で該基板表面の欠陥に応じた前記光ビームの透過光を検出し、検出信号を出力する第2の検出手段と、前記第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルの相関関係を定義する基準関数を設定し、該基準関数を比較基準として該第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルを比較し、この比較結果に基づき前記基板表面に存在する欠陥が複数の種類の異なる欠陥のいずれかに該当するかを判別する判別手段とを具えたものである。これによれば、第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルの相関関係を定義する基準関数を比較基準として、第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルを比較することにより、基板表面に存在する欠陥が複数の種類の異なる欠陥のいずれかに該当するかの判別を行うので、基板表面に存在する欠陥種類を高精度に判別することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る表面検査装置の一実施例を説明する。図1は表面検査装置の概要構成を示す斜視図、図2は同装置のハード構成を示すブロック図である。
図1において、表面検査装置Aは、透光性のガラス基板M1の表面に半透明膜であるハーフトーン膜(可視光域での光透過率が約10〜50%)M2をコーティングしてなるマスクブランクスMの表面検査に適用したものである。検査対象のマスクブランクスMには、基板表面側(ハーフトーン膜M2側)から投光装置1によってレーザビームが照射される。投光装置1は、例えば、光源としてアルゴンレーザ発振器1aを具備する。アルゴンレーザ発振器1aから出射したレーザビームLは、ミラー1bでビームエキスパンダ1cに導入され、該ビームエキスパンダ1cで適当なビーム径に拡大された後、ポリゴンミラー1d、スキャンレンズ1eおよびミラー1fなどを介してマスクブランクスMの基板表面上に照射されてスポット状に収束されると共に、該ポリゴンミラー1dの回転によってX方向に走査される。マスクブランクスMは、レーザビームLの走査方向に対応する両側面が図示しない一対のアーム(図示せず)によって保持され、該一対のアームによってレーザビームLの走査と同期してY方向にステップ移動される。
【0008】
マスクブランクスMの基板表面側には、マスクブランクスMから反射するレーザビームLの反射光を該マスクブランクスMの後方側(レーザビームLの照射側)で受光する一対の後方受光器2a及び2bが設けられている。後方受光器2a及び2bは、図3に示されるように、レーザビームLに対して20°〜70°の角度をもって配置されている。マスクブランクスMの基板表面とは反対側には、マスクブランクスMを透過するレーザビームLの透過光を該マスクブランクスMの前方側(レーザビームLの照射側とは反対側)で受光する一対の前方受光器3a及び3bが設けられている。前方受光器3a及び3bは、同図に示されるように、レーザビームLの照射方向に対して20°〜70°の角度をもって配置されている。図4(a)に示されるように、レーザビームLの走査中において、マスクブランクスMのハーフトーン膜M2に存在するピンホールHにレーザビームLが照射されると、その照射ビームは大半がピンホールHを通り、ガラス基板M1の開口露出面M11から周囲に広がる回折光となってガラス基板M1を透過するが、一部の照射ビームはガラス基板M1の開口露出面M11で反射してピンホールHの開口から周囲に広がる回折光L2となる。従って、ハーフトーン膜M2にピンホールHが存在する場合、マスクブランクスMの基板表面側の回折光L2の回折光量は基板表面とは反対側の回折光L1の回折光量よりも少なくなるので、マスクブランクスMの基板表面側の回折光L2の強度は大きくなり、マスクブランクスMの基板表面とは反対側の回折光L1の強度は小さくなる。これにより、図3に示されるように、マスクブランクスMの基板表面側の後方受光器2a及び2bが強度の小さい回折光L2を受光し、マスクブランクスMの基板表面とは反対側の前方受光器3a及び3bが強度の大きい回折光L1を受光する。一方、図4(b)に示されるように、マスクブランクスMのハーフトーン膜M2に存在する異物PにレーザビームLが照射されると、その照射ビームは特定の方向に強調されることのない無指向性のランダムな方向に散乱する散乱光となる。この散乱光のうち、マスクブランクスMの基板表面とは反対側に散乱する散乱光L1は、ハーフトーン膜M2を透過するので、散乱光量が減少して強度が小さくなるが、マスクブランクスMの基板表面側に散乱する散乱光L2は、ハーフトーン膜M2を透過しないので、散乱光量が減少することがなく、よって、その強度は散乱光L1の強度よりも大きくなる。従って、ハーフトーン膜M2に異物Pが存在する場合、図3に示されるように、マスクブランクスMの基板表面側の後方受光器2a及び2bが強度の大きい散乱光L3を受光し、マスクブランクスMの基板表面とは反対側の前方受光器3a及び3bが強度の小さい散乱光L4を受光する。
【0009】
後方受光器2a及び2bは、レーザビームLの走査中において、ピンホールHからの回折光L2若しくは異物Pからの散乱光L3(以下、回折光L2および散乱光L3を反射光L2,L3と記載する。)を受光すると、その反射光L2,L3を図2に示される光ファイバー4a及び4bを介してフォトマルチプライヤ5に出力する。フォトマルチプライヤ5では、上記反射光L2,L3を光電変換して、該反射光L2,L3の受光レベル(輝度レベル)に応じた検出信号(輝度レベルに応じた電流値)iFをデータ処理回路8に出力する。前方受光器3a及び3bは、レーザビームLの走査中において、ピンホールHからの回折光L1若しくは異物Pからの散乱光L4(以下、回折光L1および散乱光L4を透過光L1,L4と記載する。)を受光すると、その透過光L1,L4を図2に示される光ファイバー6a及び6bを介してフォトマルチプライヤ7に出力する。フォトマルチプライヤ7では、上記透過光L1,L4を光電変換して、該透過光L1,L4の受光レベル(輝度レベル)に応じた検出信号(輝度レベルに応じた電流値)iBをデータ処理回路8に出力する。
【0010】
図5を参照して、データ処理回路8でのピンホールと異物との判別処理を説明する。データ処理回路8は、図示しないインタフェイス8a、MPU8b及びメモリ8cなどを含んで構成されている。データ処理回路8では、MPU8bがメモリ8cに格納されているプログラムを実行し、各フォトマルチプライヤ5及び7から得られるそれぞれの検出信号iF及びiBをインタフェイス8aで信号処理して、該各検出信号iF及びiBの検出レベルに応じた所定の検出データ(電圧データ)vF及びvBに変換した後、その検出データvF及びvBを取り込んで(ステップS1)、次のステップS2に進む。
【0011】
ステップS2では、MPU8bが図6に示される欠陥判定テーブルTを用いてピンホールと異物とを判別する判別処理を行う。上述したように、前方受光によるピンホールの透過光の検出レベルは、後方受光による該ピンホールの反射光の検出レベルよりも大きく、また、後方受光による異物の反射光の検出レベルは、前方受光による該異物の透過光の検出レベルよりも小さい。ところが、後方受光による異物の反射光の検出レベルと後方受光によるピンホールの反射光の検出レベルとを比較した場合、ピンホールの反射光の検出レベルに比べて異物の反射光の検出レベルが大きくなるという傾向がある。また、前方受光による異物の透過光の検出レベルと前方受光によるピンホールの透過光の検出レベルとを比較した場合、異物の透過光の検出レベルに比べてピンホールの透過光の検出レベルが大きくなるという傾向がある。従って、後方受光の検出データvBに対する前方受光の検出データvFの割合(比率)からピンホールと異物とをある程度判別することができる。MPU8bでは、上記透過光の検出レベルと反射光の検出レベルとの相関関係を定義する基準関数を設定した欠陥判定テーブルTを用いてピンホールと異物とを判別する。欠陥判定テーブルTにおいて、横軸(X軸)は前方受光の検出レベルに、縦軸(Y軸)は後方受光の検出レベルにそれぞれ対応しており、基準関数として、例えば、一次関数の弁別線Sが設定されている。弁別線Sは、一般式
y=ax
で表される。ここに、「a」は傾きである。この傾きaは次のような方法を用いて求められる。すなわち、異物評価用のマスクブランクスのハーフトーン膜に大きさの異なる複数種類の標準粒子を付着させ、この標準粒子について前方受光の透過光による検出データと後方受光による反射光の検出データとを得て、後方受光の検出データに対する前方受光の検出データの割合(比率)から求めたものである。なお、傾きaは、同図に示される破線の傾き(=1)よりも小さいが、これは異物サイズが大きくなるに従って後方受光による反射光に比べ前方受光による透過光の割合が大きくなっていくためである。MPU8bは、弁別線Sを比較基準として、後方受光の検出データvBおよび前方受光の検出データvFのそれぞれの検出レベルを比較し、各検出データvB及びvFが弁別線Sの下領域となる場合にピンホールと判定し(ステップS3)し、該各検出データvF及びvBが弁別線Sの上領域となる場合に異物と判定する(ステップS4)。
【0012】
ステップS5では、ステップS3及びS4で判定したピンホール及び異物のサイズと位置の判定処理を行う。MPU8bは、メモリ8cに格納されている欠陥サイズ判定プログラムを実行し、上記検出データvF及びvBの検出レベルに基づいてピンホール及び異物のサイズを判定する。また、MPU8bは、メモリ8cに格納されている欠陥位置判定プログラムを実行し、図2に示される同期信号発生回路9からレーザビームLの走査とマスクブランスクスMの移動に同期して供給される同期信号に基づきピンホール及び異物の位置を判定して、ステップS6に進む。
【0013】
ステップS6では、ステップS5で判定したピンホール及び異物のサイズと位置の表示処理を行う。MPU8bは、メモリ8cに格納されている欠陥表示プログラムを実行し、ピンホールと異物のサイズ及び位置を表示するための表示指令信号をインタフェイス8aを介して図2に示される液晶ディスプレイやCRTなどの表示装置10に出力する。これによって、表示装置10には、ピンホール及び異物のサイズと位置が表示される。
【0014】
本例に示す表面検査装置において、欠陥判定テーブルTに設定される弁別線Sは一次関数に限られるものでなく、一次関数以外にも曲線を含む関数を弁別線として適宜設定してよい。また、マスクブランクスMに照射されるレーザビームはこれに限られるものでなく、このレーザビームに代えて、白色光や紫外線照射光を用いてもよい。また、前方受光器及び後方受光器は、2対以上用いてもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る表面検査装置によれば、第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルの相関関係を定義する基準関数を比較基準として、第1および第2の検出手段のそれぞれの検出信号のレベルを比較するようにしたので、基板表面に存在する欠陥が複数の種類の異なる欠陥のいずれかに該当するかの判別を行うことができ、よって、基板表面に存在する欠陥種類を高精度に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る表面検査装置の一実施例を示す概要構成図。
【図2】 同装置のハード構成を示すブロック図。
【図3】 前方受光器による透過光の受光状態及び後方受光器による反射光の受光状態を示す説明図。
【図4】 前方受光器による透過光及び後方受光器による反射光の強度原理を説明する説明図。
【図5】 データ処理回路でのピンホールと異物との判別処理を示すフロー図。
【図6】 データ処理回路の欠陥判定テーブルの説明図。
【符号の説明】
1 投光装置
2a,2b 後方受光器
3a,3b 前方受光器
4a,4b、6a,6b 光ファイバー
5,7 フォトマルチプライヤ
8 データ処理回路
9 同期信号発生器
10 表示装置
M マスクブランクス
M1 ガラス基板
M2 ハーフトーン膜
L レーザビーム
Claims (5)
- 表面に半透明膜を有してなる透光性基板の基板表面に半透明膜側から光ビームを照射する照射手段と、
前記基板表面側で該基板表面の欠陥に応じた前記光ビームの反射光を検出し、検出信号を出力する前記光ビームに対して20°〜70°の角度に設けられた複数の後方受光器と、
前記基板表面とは反対側で該基板表面の欠陥に応じた前記光ビームの透過光を検出し、検出信号を出力する前記光ビームの照射方向に対して20°〜70°の角度に設けられた複数の前方受光器と、
前記複数の後方受光器および複数の前方受光器のそれぞれの検出信号のレベルの相関関係を定義する基準関数を設定し、該基準関数を比較基準として該複数の後方受光器および複数の前方受光器のそれぞれの検出信号のレベルを比較し、この比較結果に基づき前記基板表面に存在する欠陥が半透明膜のピンホールであるか、異物であるかを判別する判別手段とを具えた表面検査装置。 - 前記透光性基板はハーフトーン位相マスクブランクスであることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
- 前記ハーフトーン位相マスクブランクスのハーフトーン膜の可視光透過率は約10%から50%であることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
- 前記複数の後方受光器および複数の前方受光器は、それぞれ光ファイバーを介して、フォトマルへ接続されていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
- 複数の後方受光器および複数の前方受光器はそれぞれ一対をなしていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
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JP2002296197A (ja) | 2002-10-09 |
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