以下、本発明の露光装置、画像形成装置、及び、読取装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
[実施の形態1]
図1は、本発明の露光装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。この画像形成装置100は、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーにより、画像データをもとに印字媒体P上に画像を形成する。この画像形成装置100は、例えば、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複合機、あるいは複数の機能を併せ持つ複合機である。また、後述では、カラー画像を提供するものとして説明しているが、モノクロ画像であってもよい。
画像形成装置100は、図1に示すように、未画像形成の印字媒体Pを収納する用紙カセット60を備える。この用紙カセット60に収納された印字媒体Pは、給紙ローラ61が回転するのに応じて繰り出され、さらに、この給紙ローラ61の下流に配設されている搬送ローラ62,63が回転するのに応じて、図示しないモータによって印刷速度に応じた回転速度で回転する転写ベルト81上へと所定のタイミングで搬送されて載置される。
また、画像形成装置100は、電子写真方式であり、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のそれぞれに対応する4つの画像形成部40C,40M,40Y,40Kをこの順序で印字媒体Pの給紙側から排紙側へと転写ベルト81に沿って並設している。画像形成部40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、図示しないモータや駆動を伝達するギヤ等によって回転駆動される転写ベルト81上に載置された印字媒体Pに対して、各色のトナーを用いた画像形成を行う。具体的には、画像形成部40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、静電潜像担持体としての感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kと、これら感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面を帯電させる帯電ローラ42C,42M,42Y,42Kと、図示しないインターフェース部を介して外部装置から受信した画像データに基づいて感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面に選択的に光を照射して露光し、静電潜像を形成させる露光装置3C,3M,3Y,3Kと、感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置5C,5M,5Y,5Kと、これら現像装置5C,5M,5Y,5Kのそれぞれに供給するトナーを収納するトナーカートリッジ51C,51M,51Y,51Kと、トナーによって静電潜像を可視化して得られたトナー像を印字媒体P上に転写する転写ローラ80C,80M,80Y,80Kと、印字媒体P上にトナーが転写されずに感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面に残存したトナーをクリーニングして回収するクリーニングブレード43C,43M,43Y,43Kとを有する。なお、感光体ドラム41C,41M,41Y,41K、帯電ローラ42C,42M,42Y,42K、転写ローラ80C,80M,80Y,80Kは、それぞれ、図示しないモータや駆動を伝達するギヤ等によって回転駆動されるように構成されている。また、露光装置3C,3M,3Y,3K、及び現像装置5C,5M,5Y,5K、並びに図示しないモータは、それぞれ、図示しない電源及び制御部が接続されている。
このような画像形成部40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、図示しない制御部の制御のもとに、図示しない電源によって所定の電圧が印加された帯電ローラ42C,42M,42Y,42Kによって感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面を一様電圧に帯電させた上で、感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれが回転するのにともない、その帯電された周面が露光装置3C,3M,3Y,3Kの近傍に到達すると、露光装置3C,3M,3Y,3Kによって画像変調された光を感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれに照射して静電潜像を形成する。そして、画像形成部40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、形成された静電潜像に現像装置5C,5M,5Y,5Kのそれぞれから供給される各色のトナーを付着させることにより、各色のトナー像を生成する。
これら画像形成部40C,40M,40Y,40Kのそれぞれによって現像された各色のトナー像は、図示しない制御部の制御のもとに、感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれが回転するのにともない、トナー像が生成された周面が転写ベルト81及び転写ベルト81を挟むように感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれと対向して配設された転写ローラ80C,80M,80Y,80Kのそれぞれの近傍に到達するとともに、印字媒体Pが転写ベルト81によって搬送されるのに応じて、転写ローラ80C,80M,80Y,80Kのそれぞれによって印字媒体P上に順次重ね合わされて転写される。このとき、転写ローラ80C,80M,80Y,80Kには、それぞれ、図示しない電源によって所定の電圧が印加される。
そして、画像形成部40C,40M,40Y,40Kは、それぞれ、転写が完了すると、図示しない制御部の制御のもとに、感光体ドラム41C,41M,41Y,41Kのそれぞれの周面に残存したトナーを、クリーニングブレード43C,43M,43Y,43Kによってクリーニングする。また、画像形成装置100は、図示しない制御部の制御のもとに、転写ベルト81の表面に残存したトナーを、クリーニングブレード82によってクリーニングする。画像形成装置100においては、このような構成からなる4つの画像形成部40C,40M,40Y,40Kにより、印字媒体P上に順次各色の画像形成を行い、カラー画像を形成する。そして、画像形成装置100においては、印字媒体Pを転写ベルト81に静電気的に吸着させた状態で、定着装置9へと搬送する。
さらに、画像形成装置100は、このような画像形成部40C,40M,40Y,40Kの下流に定着装置9を備える。この定着装置9は、例えば金属の中空ローラの外周に弾性部材を接着して構成される定着ローラと、この定着ローラとともに印字媒体Pを押圧する加圧ローラとを有する。加圧ローラは、定着ローラに対向して当接されるように配設され、印字媒体Pを挟み込むニップ部を形成する。また、定着ローラの内部には、図示しない電源によって発熱又は発光するヒータやハロゲンランプが埋設されている。定着装置9においては、図示しない制御部の制御のもとに、これらヒータに通電したりハロゲンランプを発光させたりすることによって定着ローラを加熱する。このような定着装置9は、定着ローラ及び加圧ローラを回転させてニップ部に印字媒体Pを通紙させ、印字媒体Pを加熱及び押圧することにより、印字媒体P上のトナーを溶融させ、トナー像を熱定着させる。画像形成装置100においては、このような定着装置9によって印字媒体P上に画像を定着させると、搬送ローラ64及び排出ローラ65の回転に応じて、印字媒体Pを搬送して外部へと排紙させ、排紙部7上に積載させる。
このような画像形成装置100には、通信可能に接続されている外部装置から印刷データを受信する図示しない外部インターフェースを有しており、この外部インターフェースから印刷データを受信し、画像形成装置100の全体の制御を行う制御部を有している。
このような画像形成装置100において、露光装置3C,3M,3Y,3Kは、それぞれ後述するように構成される。なお、画像形成装置100においては、上述したシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のそれぞれに対応する4つの画像形成部40C,40M,40Y,40Kが全て同じ構成であることから、以下では、例えば画像形成部40のように、各部に付す符号として、C,M,Y,Kを除いた番号を用いて説明するものとする。
図2は、本発明の露光装置の断面図である。露光装置3は、図2のように、感光体ドラム41と対向され、所定の距離を置いて配置される。この露光装置3は、保持部材34によって保持されたレンズアレイ1と、保持部材34内の配線基板33上に形成され、複数の発光素子35を有する発光部としてのLED(Light Emitting Diode)アレイ30が備えられている。この配線基板33には、LEDアレイ30の発光素子35の発光を制御するドライバIC31が備えられ、ワイヤ32によって、LEDアレイ30とドライバIC31とが結線されている。
実施の形態1では、発光素子35を有するLEDアレイ30を例示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば有機EL(Electroluminescence)素子を光源にしてもよく、また、画像形成装置の露光装置として一般に用いられている半導体レーザを用いてもよく、さらには蛍光灯やハロゲンランプ等の光源に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置でもよい。
図3は、LEDアレイの発光素子の構成及び配置について示した図である。この発光素子35は、LEDアレイ30上に、所定の配列間隔EPで等間隔に所定の方向に複数配列され、電流を供給するための電極36が接続されている。そして、発光素子35は、発光素子35の配列方向に対して平行な方向に所定の長さEYを有し、発光素子35の配列方向に対して垂直な方向に所定の長さEXを有する矩形状である。この発光素子35の大きさ及び配列間隔EPは、露光装置の解像度に応じて適宜変更される。例えば、600dpiの露光装置の場合は長さEYが21μm、長さEXが21μm、配列間隔EPが42μmである。1200dpiの露光装置の場合は長さEYが10μm、長さEXが10μm、配列間隔EPが21μmである。2400dpiの露光装置の場合は長さEYが5μm、長さEXが5μm、配列間隔EPが10.6μmである。
このような露光装置3は、画像データに基づいて画像形成装置の制御部から露光装置3の制御信号が発信されると、ドライバIC31の制御信号により任意の光量で発光素子35が発光する。発光素子35からの光線は、後述で詳細に説明するレンズアレイ1に入射し、発光した発光素子35の結像像が感光体ドラム41上に結像する。
図4は、LEDアレイに備えられるレンズアレイの平面図であり、図5は、レンズアレイの斜視図である。このレンズアレイ1は、図4及び図5のように、第1、第2レンズ群としてのレンズ板11と、第1、第2レンズとしてのマイクロレンズ12と、遮断手段としての遮光部13とを有している。遮光部13は、光軸方向の長さtを有し、間隔PYで一方端面側に開口部が形成された2枚の櫛形部材13aと、厚さTbを有し、2枚の櫛形部材13aの間に配置された仕切り板13bにより構成される。この開口部は、図6のように、半径RAの円と、仕切り板の中央から半径RAの円の中心(以下、開口部の中心)までの長さをPAとした場合、その円の中心からPA−Tb/2の距離に配置された直線とからなる形状となっている。この2枚の櫛形部材13aは、仕切り板13bを介してそれぞれの開口部同士が向かい合うとともに、一方の櫛形部材13aの開口部の中心から仕切り板を13bを介して反対側の櫛形部材13aの開口部の中心までの間隔がPY/2となるように配置される。櫛形部材13aと仕切り板13bは、光源の光線を遮光する素材により形成される。
この遮光部13には、図5のように、開口部を塞ぐように2枚のレンズ板11が遮光部13を挟み込むように備えられる。すなわち、遮光部13の開口部を介して対応する2つのマイクロレンズ12によってレンズ対が形成される。このレンズ板11は、複数のマイクロレンズが2列の千鳥格子状に配列されるとともに、マイクロレンズ12の一部が近接マイクロレンズ12にオーバーラップして配置される。さらに、ぞれぞれの列におけるマイクロレンズ12同士が間隔PY、マイクロレンズ12の中心とレンズ板11の幅方向中心との間が距離PAとなるように配置される。
このレンズ板11に配置されるマイクロレンズ12は、下記式1で示される回転対称高次非球面からなる2つの曲面を有する。そして、このマイクロレンズ12の平面形状は、図7のように、半径RLを有する円と、その円の中心と近接するマイクロレンズ12の半径RLの円の中心までの長さPNとした場合、半径RLを有する円の中心からPN/2の距離に配置された2本の直線とから形成されるような形状となっている。
この関数z(r)は、マイクロレンズ12の光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の座標をrとした回転座標系を示し、マイクロレンズ12の各曲面の頂点を原点とし、レンズアレイ1の発光面から結像面に向かう方向の数で表す。Cは曲率半径、Aは非球面係数4次の係数、Bは非球面係数6次の係数を示す。本発明におけるマイクロレンズ12は、回転対称高次非球面を形成したものに限られず、球面を形成していてもよく、放物面、楕円面、双曲面等のコーニック面や光軸に垂直な各方面に非対称なトロイド面やシリンダ面を有していてもよく、公示の自由曲面を形成していてもよい。
図8は、図4におけるA−A断面図であり、図9は図4におけるB−B断面図である。上述で説明したマイクロレンズ12は、図8のように、遮光部13側の内側曲面12bの中心軸と、内側曲面12bと反対側の外側曲面12aの中心軸とが、レンズ板11の幅方向に長さECXだけずれている。すなわち、図8における上側のマイクロレンズ12の外側曲面12aの中心軸が、内側曲面12bの中心軸に対して左側に長さECXだけずれている。遮光部13を介して反対側のマイクロレンズ12も同様に、レンズ板11の幅方向に長さECXだけずれているが、そのずれの方向は図8における上側のマイクロレンズ12のずれの方向の反対側の右側となっている。
さらにマイクロレンズ12の内側曲面12bの中心軸と外側曲面12aの中心軸とは、図9のように、レンズ板11の長手方向においても長さECYだけずれている。このずれの方向は、上述したレンズ板11の幅方向のずれの方向と異なり、すなわち、それぞれのマイクロレンズ12の外側曲面12aの中心軸が、内側曲面12bの中心軸に対して左側となるように、共に同じ方向にずれている。このようなずれを有するマイクロレンズ12の偏心は、外側曲面12aの中心軸と内側曲面12bの中心軸との軸ずれの長さECであり、レンズ板11の長手方向のずれの長さECYと、幅方向のずれの長さECXとから、EC2=ECY2+ECX2によって求められる。
図10は、本発明における光学系の概略図である。上述のようなレンズアレイ1は、図2でも示したように、感光体ドラム41とLEDアレイ30との間に、所定の距離を有するように配置される。このとき、感光体ドラム41の表面が結像面であり、LEDアレイ30の表面が物体面(以下、実施の形態1において発光面と称する)となる。ここで、マイクロレンズ12の厚みをLTとし、マイクロレンズ12間の距離をLSとする。そして、発光面側のマイクロレンズ12の外側曲面12aと発光面(LEDアレイ30の表面)との距離をLOとし、結像面側のマイクロレンズ12の外側曲面12aと結像面(感光体ドラム41の表面)との距離をLIとする。そして、結像面と発光面との距離をTCとして定義する。なお、本発明において、このように中心軸がずれているマイクロレンズ12の光軸Sは、内側曲面12bの各面頂点と遮光部13の開口の中心とを結んだ線とする。
このようなレンズアレイ1を構成するレンズ板11は、例えばシクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)E48R)を使用し、射出成型によって複数のマイクロレンズ12を一体に形成することができる。例えば、マイクロレンズ12の配列間隔は、PY=1.2mm、PA=0.2mm、PN=0.721mmである。このレンズ板11には、複数のマイクロレンズ12が一体に形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく、マイクロレンズ12を個々に成型し、所定の配列間隔で固定したものであってもよい。
また、レンズアレイ1を構成する遮光部13は、例えば、ポリカーボネートを使用し、樹脂成形によって成型することができる。この遮光部13は、例えば、光軸方向の長さをt=2.5mm、開口半径RA=0.45mm、仕切り板13bの厚みTb=0.2mmである。また、この遮光部13は樹脂成形に限らず、切削加工によって形成されたものであってもよい。また、光線を透過する材料の上に光源の光線を遮光する遮光部材により遮光パターンを形成してもよく、レンズ板11の一部に遮光部材により遮光パターンを形成していてもよい。また、レンズ板11の一部に粗面加工を施して、光線を遮光するようにしてもよく、さらには、レンズ板11の一部を切り落として遮光の一部が入射しないようしてもよい。
図11は、レンズアレイ1における光線の経路を示す図であり、本発明の露光装置の各部材のうち、発光素子と、複数のマイクロレンズの一部と、遮光部と、感光体ドラムのみを示した図である。レンズアレイ1のレンズ板11には、複数のマイクロレンズ12が、図11のように、発光素子35側にはマイクロレンズMLI1,MLI2,MLI3,MLI4・・・と並び、結像像側にはマイクロレンズMLO1,MLO2,MLO3,MLO4・・・と並んでいる。
まず、発光素子35から発光すると、その光線R1,R2,R3は、発光素子35に最も近いマイクロレンズMLI1に入射する。そして、マイクロレンズMLI1に入射した光線R1,R2,R3は、遮光部13の開口で、一度集光した後、再びマイクロレンズMLO1に入射し、結像像Iを感光体ドラム41に形成する。一方、発光素子35に最も近いマイクロレンズMLI1の隣に配置されたマイクロレンズMLI2に入射した光線R'は、遮光部13により遮光されるため、感光体ドラム41に結像像I'は形成されない。
このようにして、発光素子35から出射した光線は、レンズアレイにより、正立等倍像として、感光体ドラム41に結像し、発光素子35の露光像が形成される。一方、露光像に寄与しない、所謂迷光は、遮光部13により遮光されるため、発光素子35の露光像は鮮明となる。
ここで、本発明の露光装置により形成される露光像の光量分布を示す。この露光装置に使用したレンズアレイには、上述で説明した各パラメータが下記表1に示される長さ及び係数となっているものを使用した。
図12は、マイクロレンズの軸ずれ量ECが配列間隔EPの半分未満の場合の光量分布で、図13は、マイクロレンズの軸ずれ量ECが配列間隔EPの半分より大きい場合の光量分布である。なお、これは、発光素子35を1つおきに発光させた場合、すなわち発光している発光素子35の間隔が2EPであるときの露光像の光量分布である。
図12のように、レンズ板の軸ずれ量ECが発光素子35の配列間隔EPの半分未満である場合、発光素子35の露光像はコントラストが高い。一方、図13のように、レンズ板の軸ずれ量ECが発光素子35の配列間隔EPの半分より大きい場合、露光像の光量の最大値が減少し、光量分布の裾野が広がりが確認され、発光素子35の露光像はコントラストは低下する。
次に、結像像の解像度を示すMTF(Modulation Tran sfer Function;振幅伝達関数)の測定結果を示す。ここでMTFとは、露光装置の解像度を示し、露光装置中で点灯しているLEDアレイによる結像像の光量のコントラストを示す。100%が結像像のコントラストが最も大きく、露光装置としての解像度が高いことを示し、小さいほど光量のコントラストは小さく、露光装置としての解像度は低い。このMTF(%)は、結像像の光量の最大値をImax、隣り合う2つの結像像の間の光量の最小値をIminとしたときMTF=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)×100(%)のように定義される。
このMTFの測定は、露光装置3のレンズアレイ1の結像面側(感光体ドラム41側)端面から、上記表1中の距離LI(mm)離れた位置の結像像を顕微鏡デジタルカメラにより撮影し、撮影画像より発光素子35の結像像の光量分布を解析して、前記MTFを算出した。この測定では、軸ずれが発光素子35の配列方向と垂直方向にはなく、発光素子35の配列方向にのみ軸ずれしたマイクロレンズ12を有するレンズ板11を発光面側(LEDアレイ30側)にのみ使用し、発光面側(感光体ドラム41側)には軸ずれのないマイクロレンズ12からなるレンズ板11を使用したレンズアレイ1を実装して測定された。そして、軸ずれ量ECが様々な値を有するものを使用し、解像度別にMTFの測定を行った。図14はLEDアレイ30の解像度が600dpiの露光装置、図15はLEDアレイ30の解像度が1200dpiの露光装置、図16は、LEDアレイ30の解像度が2400dpiの露光装置を使用して、発光素子35を1つおきに発光して測定したものである。
図14のように、解像度600dpiの露光装置においては、EC≦21μmでMTFが80%以上の値となった。また、EC>21μm範囲でMTFの値の傾きが大きくなっている。これによりEC>21μmの範囲では、ECの変化に対するMTFの変化量が大きいことが考えられる。また、図15のように、解像度1200dpiの露光装置においては、EC≦10.6μmでMTFが80%以上の値となった。また、EC<10.6μmの範囲でMTFの値の傾きが大きくなっている。これによりEC>10.6μmの範囲では、ECの変化に対するMTFの変化量が大きいことが考えられる。さらに、図16のように、解像度2400dpiの露光装置においては、EC≦5.3μmでMTFが80%以上の値となった。また、EC>5.3μmの範囲でMTFの値の傾きが大きくなっている。これによりEC>6μmの範囲では、ECの変化に対するMTFの変化量が大きいことが考えられる。
具体的には、図14に示す解像度が600dpiの露光装置の場合、該図に示すように、軸ずれEC>21μmのとき、MTFが急に80%以下になる。ここで、600dpi(600 dots per inch)、及び、1inch=25400μmから、隣接する発光素子間の距離EPは、EP=25400/600=42μmである。また、MTFが80%以上でないと良好な画像が得られないことから、EC<21μm=42μm/2=EP/2が望ましい。従って、EC<EP/2とする。同様に、図15に示す解像度が1200dpiの露光装置の場合、該図に示すように、軸ずれEC>10.6μmのとき、MTFが急に80%以下になる。ここで、1200dpi、及び、1inch=25400μmから、隣接する発光素子間の距離EPは、EP=25400/1200≒21.2μmである。また、MTFが80%以上を考慮すると、EC<10.6μm=21.2μm/2=EP/2が望ましい。従って、EC<EP/2とする。同様に、図16に示す解像度が2400dpiの露光装置の場合、該図に示すように、軸ずれEC>5.3μmのとき、MTFが急に80%以下になる。ここで、2400dpi、及び、1inch=25400μmから、隣接する発光素子間の距離EPは、EP=25400/2400≒10.6μmである。また、MTFが80%以上を考慮すると、EC<5.3μm=10.6μm/2=EP/2が望ましい。従って、EC<EP/2とする。上述した通り、600dpi、1200dpi、及び2400dpiの3つの解像度に基づくデータから、一般化してEC<EP/2とすることができる。
次にカラーLEDプリンタを用いて実施例のレンズアレイを用いた画像形成装置の画像を評価した。画像形成装置の画像の評価は全画素のうち1つおきにドットを形成する画像を形成し、画像品質の良否を評価した。解像度600dpiの画像形成装置においては、軸ずれECが21μm以下のレンズ板を用いたレンズアレイで良好な画像が得られた。一方、軸ずれECが22μm以上のレンズ板を用いたレンズアレイで筋や濃淡むらが発生した。解像度1200dpiの画像形成装置においては、軸ずれECが11μm以下のレンズ板を用いたレンズアレイで良好な画像が得られた。一方、軸ずれECが12μm以上のレンズ板を用いたレンズアレイで筋や濃淡むらが発生した。解像度2400dpiの画像形成装置においては、軸ずれECが5μm以下のレンズ板を用いたレンズアレイで良好な画像が得られた。一方、軸ずれECが6μm以上のレンズ板を用いたレンズアレイで筋や濃淡むらが発生した。以上よりMTFの測定値が80%以上で、ECの値に対するMTFの変化が少ないとき、筋や濃淡むらのない良好な画像が得られることがわかった。
また、MTFの値が80%より小さいと良好な画像が得られない原因について述べる。本来、印刷画像でトナーが乗らない部分は、静電潜像において電位が十分に高くなけれぱならず、また、LEDヘッドで形成される像では暗くなけれぱならない。しかし、MTFの値が80%に満たないと、LEDヘッドで形成される像においては、暗くなければならない部分にも光線が入射し、また、静電潜像においては電位が十分に高くなければならない箇所の電位が下がる。このため、トナーが付着してしまうことに起因して、画像評価方法によって得られた印刷画像には筋や濃淡斑が発生する。従って、MTF=80%を閾値にする。
この結果及び露光装置の解像度と発光素子の配列間隔の関係より、良好な光学特性が得られる露光装置3のマイクロレンズ12の軸ずれ量ECと発光素子35の配列間隔EPとの間には、EC<EP/2の関係があることがわかる。
このように、発光面側(LEDアレイ30側)マイクロレンズ12の中心軸と結像面側(感光体ドラム41側)の中心軸とのずれの量、すなわち、軸ずれ量ECと、露光装置3の発光素子35の配列間隔EPとの関係が、EC<EP/2となることで、従来軸ずれのあるレンズを使用して発生していた解像度低下を防ぐことができる。そして、この露光装置を備える画像形成装置100は、画像データのとおりに印字媒体P上に画像が形成でき、印字媒体P上画像の筋や濃度むらなどの品質低下を防止することができる。
また、本発明の露光装置及び画像形成装置では、軸ずれ量ECの小さい高い精度のマイクロレンズ12を必要としないため、複数のマイクロレンズ12が一体に形成されたレンズ群としてのレンズ板11であっても、樹脂形成されたものであってよい。すなわち、複数のマイクロレンズ12が一体形成されたレンズ板11を使用しても、良好な画像が得られる。また、同様に、樹脂形成されたマイクロレンズ12を使用しても良好な画像が得られる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、原稿を読み取る読取装置について説明する。この読取装置には、実施の形態1で説明した画像形成装置の露光装置に搭載されるレンズアレイを使用される。
図17は、本発明の読取装置の断面図である。読取装置101は、図17のように、保持部材114によって保持され、実施例1と同様の構成であるレンズアレイ1と、保持部材114内の配線基板112上に形成され、受光した結像像を電気信号に変換する受光素子111と、保持部材114と保持部材114と原稿が載置される原稿台115との間に配置され、読み取る原稿に光線を照射する光源113とにより構成される。また、受光素子111は、配線基板112上に、間隔RPをもって直線状に配列される。
この配列間隔RPは、読取装置の解像度に応じて適宜変更される。例えば、600dpiの露光装置の場合は配列間隔RPが42μmである。1200dpiの露光装置の場合は配列間隔RPが21μmである。2400dpiの配列間隔RPが10.6μmである。
図18は、本発明における光学系の概略図である。レンズアレイ1は、実施の形態1と同様であるが、受光素子111と原稿台115上の原稿との間に、所定の距離を有するように配置される。このとき、受光素子111の表面が結像面であり、読み取る原稿の表面が物体面となる。ここで、マイクロレンズ12の厚みをLTとし、マイクロレンズ12間の距離をLSとする。そして、発光面側のマイクロレンズ12の外側曲面12aと物体面(原稿の表面)との距離をLOとし、結像面側のマイクロレンズ12の外側曲面12aと結像面(受光素子111の表面)との距離をLIとする。そして、結像面と物体面との距離をTCとして定義する。なお、本発明において、このように中心軸がずれているマイクロレンズ12の光軸Sは、内側曲面12bの各面頂点と遮光部13の開口の中心とを結んだ線とする。
このような読取装置は、まず、光源113より照射された光線は、原稿台115の上面に配置された図示しない原稿の表面で反射する。レンズアレイ1は、原稿からの反射光の一部より、受光素子111の表面に結像像を形成する。受光素子111は、結像像を電気信号に変換する。原稿の結像像の電気信号から図示しない画像処理装置により画像データが生成される。
このような読取装置に対して、解像度別にマイクロレンズ12の軸ずれ量ECが異なるレンズアレイ1を使用して実際に原稿の読み取り、画像データを形成した。なお、この原稿の読み取りに関しては、各解像度における全ドットのうち、1つおきにドットを形成した画像を用いた。すなわち、解像度600dpiの場合は、84μm毎にドットを形成した画像を印刷媒体P上に形成した原稿を用い、解像度1200dpiの場合は、42μm毎にドットを形成した画像を印刷媒体P上に形成した原稿を用い、解像度2400dpiの場合は、21μm毎にドットを形成した画像を印刷媒体P上に形成した原稿を用いた。
まず、解像度600dpiの読み取り装置においては、軸ずれECが21μmより小さいマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用することにより、原稿と同様の良好な画像データが得られた。一方、軸ずれECが22μm以上のマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用した場合、本来1つおきであるはずのドットが繋がって読み取られたり、読み取られなかったドットが発生した。また、解像度1200dpiの読み取り装置においては、軸ずれECが11μmより小さいマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用することにより、原稿と同様の良好な画像データが得られた。一方、軸ずれECが11μm以上のマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用した場合、本来1つおきであるはずのドットが繋がって読み取られたり、読み取られなかったドットが発生した。さらに、解像度2400dpiの読取装置においては、軸ずれECが5μmより小さいマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用することにより、原稿と同様の良好な画像データが得られた。一方、軸ずれECが5μm以上のマイクロレンズ12を用いたレンズアレイ1を使用した場合、本来1つおきであるはずのドットが繋がって読み取られたり、読み取られなかったドットが発生した。
この結果から、良好な光学特性が得られる読取装置101のマイクロレンズ12の軸ずれ量ECと受光素子111の配列間隔RPとの間には、EC<RP/2の関係があることがわかる。
このように、物体面側(原稿面側)マイクロレンズ12の中心軸と結像面側(受光素子111側)の中心軸とのずれの量、すなわち、軸ずれ量ECと、読取装置101の受光素子111の配列間隔EPとの関係が、EC<RP/2となることで、原稿と同一の画像データを得ることができる。
また、本発明の読取装置では、軸ずれ量ECの小さい高い精度のマイクロレンズ12を必要としないため、複数のマイクロレンズ12が一体に形成されたレンズ群としてのレンズ板11であっても、樹脂形成されたものであってよい。すなわち、複数のマイクロレンズ12が一体形成されたレンズ板11を使用しても、原稿と同一の画像を得ることができる。また、同様に、樹脂形成されたマイクロレンズ12を使用しても原稿と同一の画像を得ることができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、画像形成装置の露光装置に搭載されるレンズアレイの構成、動作、光学特性等について説明する。
まず、レンズアレイの構成に係る概要について、図19乃至図22を参照しながら具体的に説明する。図19にレンズアレイの平面図を示す。また、図20に遮光部23の平面図を示す。また、図21に図19におけるC−C断面図を示す。また、図22にレンズアレイの遮光部23の開口の形状を示す。レンズアレイは、レンズ集合体としてのレンズ板21と遮光部23から形成される。また、レンズアレイは、光軸が一致するように配置された2枚のマイクロレンズ22からなるレンズ群を光軸に対して垂直方向に2列に配置した構成となっている。また、遮光部23に対向しているレンズ板21の一方の面に複数の第2の面22bが形成され、他方の面に第1の面22aが形成され、それぞれの面の頂点が一致するように配置されることによりマイクロレンズ22を構成している。また、レンズ板21には、マイクロレンズ22が間隔PYで配置され、さらにマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向に間隔PXで2列に配列される。本実施の形態3においては、PX<PYとなっている。マイクロレンズ22は半径RL、隣接するマイクロレンズ22間の間隔はPNで、一部が隣接するマイクロレンズ22にオーバーラップするように配置される。レンズ板21は発光部の光線を透過する素材により構成される。
また、遮光部23は発光部の光線を遮光する素材により形成される。この様な遮光部23は、ポリカーボネートを用いて射出成型により成型した。遮光部23には絞りとしての開口部23aが形成されている。開口部23aの配列間隔はマイクロレンズ22の配列間隔に一致して間隔PYで形成され、さらに、マイクロレンズ22の配列方向と垂直方向に間隔PXで2列に形成される。また、開口部23aの円筒形部分の軸がマイクロレンズ22の光軸と一致するように配置される。開口部23aは半径がRAの円筒形部分の軸より(PX-TB)/2の位置で軸に平行な平面で仕切られた形状となっている。
次に、レンズアレイの構成及び動作について、図23を参照しながら具体的に説明する。図23にレンズアレイにおける光線の経路を示す。
レンズアレイの構成について説明する。図23は、レンズアレイの断面をマイクロレンズ22の配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した断面であり、図面の左右方向はマイクロレンズ22の配列と平行な方向である。レンズアレイの物体面からLOの位置には、第1のマイクロレンズ22-1が配置される。さらに、第2のマイクロレンズ22-2が第1のマイクロレンズ22-1と光軸が一致するように対向して、距離LSを隔てて配置される。また、レンズアレイの結像面は第2のマイクロレンズ22-2から光軸方向にLI隔てた位置である。この様な第1のマイクロレンズ22-1は、厚みがLT1、焦点距離がF1であり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を光軸方向に距離LI1離れた面に形成する。また、第2のマイクロレンズ22-2は焦点距離がF2であり、距離LO2の位置にある物体の像を、光軸方向にLI2隔てた位置に形成する。なお、レンズアレイの物体面から第1のマイクロレンズ22-1までの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2の間隔LSは、LS=LI1十LO2で設定される。
また、第2のマイクロレンズ22-2からレンズアレイの結像面までの距離LIは、LI2と等しく設定される。また、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2を同じ構成のレンズとすることができる。第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2は、ともに厚みがLT1、焦点距離がF1であり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を、光軸方向に距離LIl離れた面に形成するときに、レンズアレイの物体面から第1のマイクロレンズ22-1までの距離LOは距離LOIと等しく設定される。また、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2の間隔LSは、LS=2×LI1に設定される。また、第1のマイクロレンズ22-1の物体面側の曲面と同じ形状の面が第2のマイクロレンズ22-2の結像面側の曲面となるように対向して配置される。なお、第2のマイクロレンズ22-2からレンズアレイの結像面までの距離LIは、LOIと等しく設定され、LI=LOである。また、第2のマイクロレンズ22-2は、焦点距離がF2は、第1のマイクロレンズ22-1の焦点距離F1と等しく、F2=Flに設定される。なお、マイクロレンズ22の各曲面は前述した式1で表される回転対称の高次非球面で構成することにより、球面収差を補正して高い解像度を得ることができる。
レンズアレイの動作について説明する。物体90aとしてのLEDアレイ70の光線は第1のマイクロレンズ22-1に入射し、第1のマイクロレンズ22-1によって光軸方向にLIl隔てた位置にある中間像面MIP上に、中間像90bが形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22-2により中問像90bの像である結像90cが形成される。なお、結像90cは物体90aの正立等倍像になる。また、中間像90bは物体90aの倒立縮小像であり、結像90cは中間像90bの第2のマイクロレンズ22-2による倒立拡大像である。また、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2との間では物体面上の各点からの光線の主光線が平行となる、いわゆるテレセントリックになっている。上述した光学配置により、レンズアレイはLEDアレイ70の正立等倍像を形成する。なお、LEDアレイ70からの光線のうち、結像に寄与しない光線は迷光として遮光部23により遮断される。
また、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2を同じ構成のレンズとした場合もレンズアレイはLEDアレイ70の正立等倍像を形成する。物体90aとしてのLEDアレイ70の光線は第1のマイクロレンズ22-1に入射し、第1のマイクロレンズ22-1によって光軸方向にLI1隔てた位置の中間像面MIP上に中間像90bが形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22-2によって中間像90bの像である結像90cが形成される。なお、結像90cは物体90aの正立等倍像になる。また、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2との間ではテレセントリックになっている。上述した光学配置により、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2を同じ構成のレンズとした場合においても、レンズアレイはLEDアレイ70の正立等倍像を形成する。
次に、レンズアレイに形成されたマイクロレンズ22の光学特性について、図24を参照しながら説明する。図24はレンズアレイの断面をマイクロレンズ22の配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した断面図でありレンズアレイにおける光線の経路を示す。
図24に示す左右方向はマイクロレンズ22の配列と平行な方向である。第1のマイクロレンズ22-1の焦点距離はF1である。具体的には、第1のマイクロレンズ22-1の第1主平面H1-1から第1焦点面FP1-1までの距離がF1である。また、物体面までの距離はS0である。また、第2のマイクロレンズ22-2の焦点距離はF2である。具体的には、第2のマイクロレンズ22-2の第2主平面H2-2から第2焦点面FP2-2までの距離がF2である。また、物体面までの距離はSIである。ここで、距離S0と距離LOの差は、第1のマイクロレンズ22-1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例する。同様に、距離SIと焦点距離LIの差は、第2のマイクロレンズ22-2の結像面側の曲面の曲率半径と反比例する。なお、本実施の形態4に係るレンズアレイにおいては、マイクロレンズ22の各曲面の曲率半径はともに十分に大きいことから、距離S0と距離LOの差、及び、SIとLIの差はともに無視できる。従って、SO≒LO、且つ、SI≒LIとなる。さらに、第1のマイクロレンズ22-1と第2のマイクロレンズ22-2との間では、物体面上の各点からの光線の主光線が光軸と平行であり、特に遮光部23の内壁の直近を通る光線の周辺光線は遮光部23によって遮断され、且つ、光線と物体面と第1のマイクロレンズ22-1の第1主平面と第1のマイクロレンズ22-1光軸AXIの作る図形の相似関係とから、第1のマイクロレンズ22-1の視野半径RVは式2で示される。
次に、マイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について、図25及び図26を参照しながら具体的に説明する。図25にレンズアレイに一体形成されたマイクロレンズ22を2列に配列した場合の光学配置に係る模式図を、図26にレンズアレイに一体形成されたマイクロレンズ22を複数列の直線に配列した場合の光学配置に係る模式図を示す。
図25は、レンズアレイに一体形成されたマイクロレンズ22を2列に配列した場合の光学配置に係る模式図であり、マイクロレンズ22を2列に配列した場合において、全てのLEDアレイ70が1つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、且つ、全てのLEDアレイ70の結像が感光体ドラム41に形成される視野半径RVが最も小さい条件を示している。すなわち、レンズアレイが動作するマイクロレンズ22の視野半径RVが最も小さい条件である。なお、マイクロレンズ22の光軸と物体面の交点を22mとし、マイクロレンズ22の視野を22nとする。また、この条件における視野半径RVは、マイクロレンズ22配列方向の間隔をPY、及び、マイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔をPXとすると、式3で表される。
また、式2及び式3から、マイクロレンズ22の焦点距離をF1、レンズアレイとレンズアレイの物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部23の開口部23aの内壁との距離の最大値をRAとすると、レンズアレイの動作条件として式4が得られる。
図26は、レンズアレイに一体形成されたマイクロレンズ22を複数列の直線に配列した場合の光学配置に係る模式図であり、且つ、LED素子をアレイに配列したLEDアレイ70とマイクロレンズ22の光軸の位置関係を物体面上に示したものである。また、図26は、全てのLEDアレイ70が1つ以上で、最も外側の列のマイクロレンズ22の視野に含まれる視野半径RVが最も小さい条件を示している。なお、この条件における視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向と垂直でマイクロレンズ22の光軸と垂直な方向におけるLEDアレイ70と最も外側の列のマイクロレンズ22の光軸との距離をXO、及び、マイクロレンズ22配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔をPXとすると、式5で表される。
また、式2及び式5から、マイクロレンズ22の焦点距離をF1、レンズアレイとレンズアレイの物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部23の開口部23aの内壁との距離の最大値をRAとすると、レンズアレイの動作条件として式6が得られる。なお、マイクロレンズ22を1列の直線に配列した場合のレンズアレイが動作する条件は、式6においてXO=0とした場合である。
次に、本実施形態のレンズアレイに係る光学特性の検証結果について、図27を参照しながら説明する。図27にレンズアレイの評価に係る全画素のうち1つおきにドットを形成した画像の模式図を示す。
本実施形態のレンズアレイを実装したLEDヘッドについて、結像像の解像度を示すMTF(Modulation Transfer Function;振幅伝達関数)を測定した結果、80%以上の値を示した。MTFは、露光装置の解像度を示し、露光装置中で点灯しているLEDアレイ70による結像像の光量のコントラストを示す。100%が結像像のコントラストが最も大きく、露光装置としての解像度が高いことを示し、小さいほどLEDアレイ70による結像像の光量のコントラストは小さく、露光装置としての解像度は低い。このMTF(%)は、結像像の光量の最大値をImax、隣り合う2つの結像像の間の光量の最小値をIminとしたとき、MTF=(ImAXImin)/(Imax+Imin)×100(%)と定義される。このMTFの測定においては、LEDヘッドのレンズアレイの感光体ドラム41側である結像面側端面から、距離LI(mm)離れた位置の露光像を顕徽鏡デジタルカメラにより撮影し、撮影画像よりLEDアレイ70の結像の光量分布を解析して、MTFを算出した。また、MTFの測定においては、LEDアレイ70の配列間隔がPD=0.0423mmであるLEDヘッドを用いた。また、LEDヘッドの解像度は600dpiである。従って、1インチすなわち約25.4mm当たり600個のLEDアレイ70が配列されている。また、LEDヘッドにレンズアレイを実装したLEDアレイ70を1つおきに発光して測定した。次に、カラーLEDプリンタを用いて実施例のレンズアレイを用いた面像形成装置の画像を評価したところ、筋や濃淡斑のない良好な画像が得られた。なお、画像形成装置の画像の評価は、印字領域全面に図27に示す全画素のうち1つおきにドットを形成する画像を形成することにより、画像品質の良否を評価した。なお、D1は印字ドットであり、D2は非印字ドットである。
なお、上述した実施の形態3においては、マイクロレンズ22を回転対称の高次非球面として説明したが、これに限定されることは無く、球面、アナモフイック非球面、放物面、楕円面、双曲面、及びコーニック面等から成る曲面で形成しても良い。また、レンズ板21は型に形成された形状を樹脂に転写して形成したが、樹脂を型に用いても良く、又は、切削加工により形成しても良い。さらに、レンズ板21の材料には樹脂を用いているが、ガラスを用いても良い。また、遮光部23の材質にはポリカーボネートを用いたが、その他の材料を用いても良い。また、遮光部23は射出成型により成型したが、その他の成型及び成形法を用いても良い。また、発光部としてLED素子を複数配置したLEDアレイ70を用いたが、例えば有機ELを発光部にしても良く、半導体レーザーを用いても良く、又は、蛍光灯やハロゲンランプ等の発光部に液晶素子で構成されたシャッターを併用した露光装置を構成しても良い。
以上、本実施の形態3によれば、レンズアレイがマイクロレンズ配列方向に長くても、全てのマイクロレンズ22を精度良く成型することができた。また、本実施形態のレンズアレイを用いた露光装置により、十分なコントラストの結像像を得ることができた。さらに、本実施形態のレンズアレイを用いた画像形成装置により、筋や濃淡斑の無い良好な印刷画像を得ることができた。
[実施の形態4]
実施の形態4では、実施の形態3で説明した画像形成装置の露光装置に搭載されるレンズアレイに係る製造方法について説明する。
なお、本発明のレンズ板21の製造に係る理解を容易にするために、まず従来のレンズ板19に係る型及び製造方法について説明し、次に本発明に係るレンズ板21に係る型及び製造方法等について説明する。まず、従来のレンズ板19に係る型について、図28乃至図30を参照しながら具体的に説明する。
図28は従来のレンズアレイに係るレンズ板19の製造に用いる従来型700の構成図である。なお、図28は複数の可動側曲面701の配列方向に平行な平面に係る断面図であり、可動側曲面701の配列方向が図面左右方向となっている。また、図29は従来型700に樹脂800を注入している過程に係る模式図である。また、図30は従来型700に樹脂800を注入し終えた状態に係る模式図である。従来型700は、上型703、下型704、及びゲート707から構成される。また、従来型700は、後述する本実施の形態4の型600と比較して、レンズ板19の成型に係る樹脂800の注入口である後述するゲート707の個数が異なる。以下、従来型700を構成する各構成部材について説明する。
従来型700に係る上型703は、レンズ板19から先に離型する可動側の型である。上型703と下型704が対向する面であって上型703に形成された可動側曲面701には、第2の面の形状に対応した曲面が形成されており、レンズ板に第2の面形状を転写する。なお、可動側曲面701は、第2の面の配列に対応するように、可動側曲面701に垂直で、互いに平行な2列の略直線に配置されている。また、従来型700に係る下型704は、レンズ板19から後に離型する固定側の型である。下型704と上型703が対向する面であって下型704に形成された固定側曲面702には、第1の面の形状に対応した曲面が形成されており、レンズ板19に第1の面形状を転写する。なお、固定側曲面702は、第1の面の配列に対応するように、固定側曲面702に垂直で、互いに平行な2列の略直線に配置されている。また、従来型700に係るゲート707は、樹脂800の注入口であり、複数の可動側曲面701の配列方向両端部に形成される。
次に、従来型700を用いてレンズ板19を成型する製造工程について、図28乃至図30を参照しながら具体的に説明する。
図28に示すように、従来型700の上型703及び下型704に囲まれた空間に、昇温されて軟化した樹脂800が、ゲート707を通して注入される。図29に示すフローフロント800aは、従来型700の上型703及び下型704に囲まれた空間に挿入された樹脂800の先端部であって、空気との境界面である。なお、樹脂800が従来型700に係る上型703の両端部に形成されたゲート707からに注入されるとともに、ゲート707付近から従来型700の可動側曲面701の配列方向における中央部に向かい、フローフロント800aが移動する。ここで、図30に示した様に、樹脂800が従来型700の上型703と下型704に囲まれた空間に十分注入されると、可動側曲面701の配列方向における中央部付近において、可動側曲面701の配列方向両方向より移動した2つのフローフロント800aが衝突する。さらに、配列方向両方向からフローフロント800aが衝突した後、ゲート707から可動側曲面701の配列方向における中央部に向い、樹脂800に応力が発生する。
上述したフローフロント800aに係る作用により、成型後のレンズ板19に係るマイクロレンズ22の配列方向中央部付近に、2つ以上のフローフロント800aが型内部で合流して衝突する箇所に発生する糸状の細い線状痕であるウェルドライン800bが形成される。ウェルドライン800bが発生した箇所は、機械的な特性、特に衝撃強度の特性が大幅に低下すると伴に、光学特性が劣化する。具体的には、ウェルドライン800bが発生した箇所の樹脂800は分子の配向が変わるため、屈折率が変わる。例えば屈折率が高くなると、透過率が低下し、且つ、レンズの焦点距離が短くなる。従って、ウェルドライン800bが発生した箇所のレンズの焦点距離と、その他のレンズの焦点距離に差異が発生する。また、ウェルドライン800bが発生した箇所の樹脂800には内部応力が発生するため、第1の面及び第2の面に係る非球面から形成されるレンズ形状精度が劣化する。レンズの形状精度が劣化すると、球面収差が十分に補正されない。
次に、本発明に係る実施の形態4のレンズアレイに係る型及び製造方法等について説明する。具体的には、まず、本実施の形態4のレンズアレイに係るレンズ板21の製造に用いる型600について説明する。次に、型600を用いてレンズ板21を成型する製造工程について説明する。更に、成型後のレンズ11について説明する。
まず、本実施の形態4のレンズアレイに係るレンズ板21の製造に用いる型600について、図31及び図32を参照しながら具体的に説明する。図31及び図32ともに、本実施の形態4のレンズアレイに係るレンズ板21の製造に用いる型600の構成図である。
図31に示した型600には後述するレンズの寸法精度に係る記号を付加している。また、図32に示した型600には後述するレンズ製造に係るゲート607を記載している。なお、図31及び図32ともに、複数の可動側曲面601の配列方向に平行な平面に係る断面図であり、可動側曲面601の配列方向が図面左右方向となっている。型600は、上型603、下型604、及びゲート607から構成される。また、型600は、前述した従来型700と比較して、レンズ板21成型に係る樹脂800の注入口である後述するゲート607が1個のみである。以下、型600を構成する各構成部材について説明する。
型600に係る上型603は、レンズ板21から先に離型する可動側の型である。上型603と下型604が対向する面であって上型603に形成された可動側曲面601には、第2の面22bの形状に対応した曲面が形成されており、レンズ板21に第2の面22b形状を転写する。なお、可動側曲面601は、第2の面22bの配列に対応するように、可動側曲面601に垂直で、互いに平行な2列の略直線に配置されている。また、型600に係る下型604は、レンズ板21から後に離型する固定側の型である。下型604と上型603が対向する面であって下型604に形成された固定側曲面602には、第1の面22aの形状に対応した曲面が形成されており、レンズ板21に第1の面22a形状を転写する。なお、固定側曲面602は、第1の面22aの配列に対応するように、固定側曲面602に垂直で、互いに平行な2列の略直線に配置されている。また、型600に係るゲート607は、樹脂800の注入口であり、複数の可動側曲面601の配列方向両端部の一方の面にのみ形成される。
また、図31に示す可動側曲面601の配列方向端部での間隔PCMが、固定側曲面602の配列方向端部での間隔PCFとは異なる間隔で形成され、具体的には間隔PCMが間隔PCFより大きく形成されている。また、一方の配列方向端部の可動側曲面601から他方の配列方向端部の可動側曲面601までの距離PEMが、一方の配列方向端部の固定側曲面602から他方の配列方向端部の固定側曲面602までの距離PEFとは異なるように形成され、具体的には距離PEMが距離PEFより大きくなるように形成されている。なお、PEFは例えば300mmで、PEMとPEFの差分は例えば0.03mmである。上述した型600は、上型603と下型604とが組み合わされた時に、可動側曲面601と固定側曲面602に囲まれた空間を形成する。当該空間に、軟化された樹脂800がゲート607を通して注入されることにより、レンズ板21が成型される。
次に、型600を用いてレンズ板21を成型する製造工程について、図33乃至図35を参照しながら具体的に説明する。図33は型600の上型603と下型604とが組み合わされた空間に軟化された樹脂800が充填されている状態を示す模式図である。また、図34は型600の上型603が下型604から離型した状態を示す模式図である。また、図35は成型後のレンズ板21を示す構成図である。
図33に示すように、型600の上型603と下型604に囲まれた空間に、昇温されて軟化した樹脂800が注入される。次に、図34に示すように、レンズ板21から先に離型する可動側の型である上型603がレンズ板21から離れる方向へ移動する。従って、レンズ板21の一方の面である図面に示した上側の面が外気に触れることにより、レンズ板21の一方の面の温度が低下してレンズ11が収縮する。しかし、レンズ板21の他の面は下型604と接していることから、レンズ板21の図面に示した上側の面と比較して温度が低下せず、レンズ板21の図面に示した上側の面ほどにはレンズ板21が収縮しない。次に、図35に示すように、レンズ板21は下型604から離型される。従って、レンズ板21の全体が外気に触れることにより、レンズ板21の温度が低下してレンズ板21は全体的に収縮する。上述した製造方法により従来の型であれば、レンズ板21は図35に示す下側の面と比較して上側の面が長く外気に触れることから、温度の低下が上面の面と下面の面で異なる。従って、レンズ板21の収縮率が上面の面と下面の面で一致しない。具体的には、図35に示す下側の面と比較して上側の面が収縮量が大きいことから、第2の面22bの形成される位置が第1の面22aの形成される位置に比べ、マイクロレンズ22の配列方向中央部に大きく移動してしまう。
しかし、本発明に係る型600においては、上型603に形成された可動側曲面601の配列間隔が固定側曲面602の配列間隔より一定量大きく形成されていることから、レンズ板21の収縮が飽和した後に、第2の面22bの形成される位置と第1の面22aの形成される位置とが光軸上で一致する。なお、上型603に形成された可動側曲面601の配列間隔と固定側曲面602の配列間隔の差分等は、実験により導出することができる。具体的には、図35に示すような成型品の寸法は、1列当たりのレンズ個数が272個の場合において、レンズ板第1の面端部レンズ-端部レンズ間隔PEM1=325.2mm、レンズ板第2の面端部レンズ-端部レンズ間隔PEF1=325.2mm、レンズ板エッジ-エッジ距離FRY1=333mm、レンズ板第1の面レンズピッチPCM1=1.2mm、及びレンズ板第2の面レンズピッチPCF1=1.2mmとなる。しかし、製品を成型する金型寸法と製品寸法を同一にしても、例えば樹脂800の伸縮率等の射出成形における成形条件に起因して、所望の製品寸法を得ることはできない。そこで、所定の成形条件で試作を行うことにより樹脂800の収縮率を得た。すなわち、樹脂800の収縮率を考慮した金型の各寸法には、金型可動側端部レンズ-端部レンズ間隔PEM=326.8585mm、金型固定側端部レンズ-端部レンス間隔PEF=326.826mm、金型エッジ-エッジ距離FRY=334.665mm、金型可動側レンズピッチPCM=1.20612mm、及び金型固定側レンズピッチPCF=1.206mmを用いた。
また、レンズ表裏の収縮率の差異に起因した光学性能への影響は無視できる。なお、レンズ板21の両端間に係る1列当たりのレンズの個数をN=272とすると、PCM=PCF+0.03/(N-1)からPCM=PCF+0.00012となる。また、端部レンズは、LEDの光線が入射してドット像の形成に作用する一番端のレンズであり、中央レンズは、一方の端部レンズから他方の端部レンズまでの距離をPEMとしたときに、一方の端部レンズからPEM/2の位置にあるレンズである。
次に、成型後のレンズ11について、図36を参照しながら具体的に説明する。図36はレンズ板21を示す斜視図である。
板状部から形成されるレンズ板21の片面にはマイクロレンズ22が一体に形成されており、且つ、マイクロレンズ22の配列方向両端部の一方にはゲート痕11aが有る。この様なゲート痕11aは、レンズアレイ製造工程において、レンズ板21を成型して冷却し型600からレンズ板21を離型した後に、レンズ板21から突出して残留したゲートを刃物又はレーザによりゲートカットした痕である。なお、レンズ板21は、日本ゼオン株式会社製で商品名がZEONEX(ゼオネックス)E48Rであるシクロオレフィン系光学樹脂を用いて、射出成形機により成型した。型600にはゲートを1個しか設けていないことから、2つ以上のフローフロント800aが型内部で合流する箇所に発生する糸状の細い線状痕であるウェルドライン800bは発生せず、レンズ板21上にマイクロレンズ22を精度良く一体形成することができた。従って、全てのマイクロレンズ22に係る屈折率及びレンズ形状を均一に形成することができた。なお、射出成型には一般射出成型法を用いたが、射出圧縮成形法等も実施可能である。
以上、第4の実施形態によれば、レンズアレイに係る製造方法において、ウェルドライン800bが発生しないことから、レンズアレイがマイクロレンズ配列方向に長くても、全てのマイクロレンズ22を精度良く成型することができた。
[実施の形態5]
実施の形態5では、原稿Qを読み取る読取装置について説明する。この読取装置には、実施の形態3で説明した画像形成装置の露光装置に搭載されるレンズアレイが使用される。
読取装置500は、原稿Qに印刷された印刷画像を読み取り電子データを生成するスキャナである。図37に読取装置500の構成図を示し、図38に読取ヘッド400の構成図を示す。読取装置500は、読取ヘッド400、及び、読取ヘッド400を動作させる構成部材から構成される。以下、まず読取ヘッド400を動作させる構成部材について説明し、次に読取ヘッド400について説明する。まず、読取装置500に係る読取ヘッド400を動作させる構成部材について、図37を参照しながら具体的に説明する。読取ヘッド400を動作させる構成部材は、光源501、原稿台502、レール503、滑車504、駆動ベルト505、モータ506、伝達ベルト507から構成される。以下、読取装置500を構成する各構成部材について説明する。光源501は、原稿Qに照明光を照射する照明光源であり、当該照明光により原稿Q表面で反射した反射光が読取ヘッド400に入射するように、読取ヘッド400近傍に配設されている。この様な光源501には、例えば希ガス蛍光ランプを用いることができる。なお、照射光源はランプに限定されるものではなく、例えば白色LED(LIght Emitting Diode)及び半導体レーザ等を用いても良い。また、原稿台502は、電子データを生成する原稿Qを載置するための載置台であり、読取ヘッド400の上部に配設されている。具体的には、原稿台502は、光源501から照射された照明光を透過させた後、原稿台502に載置された原稿Qから反射した反射光を透過させ、当該反射光が読取ヘッド400に入射するように配置されている。この様な原稿台502は、可視光領域の光を十分に透過させるガラス等から形成される。なお、原稿台502はガラスに限定されるものではなく、例えば原稿Qの読み取りに必要な可視光領域の光を透過させる屈折率を有し、且つ、光源501に含まれる紫外線や光源501から放射される熱等に起因して劣化を生じない耐熱耐光性を有したプラスチック等を用いても良い。
読取装置500に係る読取ヘッド400を動作させる構成部材であるレール503は、読取ヘッド400を搭載して走査するため読取ヘッド400の下部に配設されたレール部材である。具体的には、レール503は、複数のレール支持台503Aと接続した後述する駆動ベルト505を駆動させることにより、原稿Qに印字された印刷画像を読取ヘッド400により読み取らせるためのレール部材である。また、滑車504は、一対の滑車504A及び滑車504Bから構成され、無端状に形成された後述する駆動ベルト505の両端にそれぞれ設けられ、駆動ベルト505に一定の張力を与えている。なお、滑車504A及び滑車504Bは、高摩擦抵抗から成る部材で形成され、滑車504Aを後述するモータ506により回転させることにより、駆動ベルト505を従動して駆動させる。また、駆動ベルト505は、読取ヘッド400を搭載したレール503と接続したレール503を走査するための搬送手段であり、無端状のベルトから形成される。また、モータ506は、滑車504Aに隣接して配設され、伝達ベルト507を介して滑車504Aと接続されている。この様なモータ506は、図示せぬ制御部からの制御に基づいて回動することにより、滑車504Aを従動して回転させる。
次に、読取装置500に係る読取ヘッド400の構成部材について、図37及び図38を参照しながら具体的に説明する。読取ヘッド400は、読取装置500の内部に設けられ、原稿Qに印刷された印刷画像を読み取る。この様な読取ヘッド400は、ミラー402、一対のマイクロレンズ22及びマイクロレンズ22間に挿入された遮光部23から成るレンズアレイ、及びラインセンサ401から成る。以下、読取ヘッド400を構成する各構成部材について説明する。ミラー402は、光源501の照明光により原稿Q表面で反射して原稿台502を透過した反射光の光軸を、例えば軸外し角度90°となる角度に折り曲げてマイクロレンズ22に入射させる反射部材である。この様なミラー402は、ガラス、金属、又は耐熱性プラスチック等の材質で平面形状から成る基材に、反射膜としてアルミニウム等を蒸着することにより形成される。但し、可視光領域において十分な反射率を有する基材であれば反射膜を蒸着する必要は無い。なお、ミラー402の形状は平面形状に限定されるものではなく、例えば軸外し角に伴い発生した非点収差を補正するためにトロイダル形状としても良い。
読取装置500に係る読取ヘッド400の構成部材である一対のマイクロレンズ22及びマイクロレンズ22間に挿入された遮光部23から成るレンズアレイは、光源501の照明光により原稿Qから発生する反射光を後述するラインセンサ401上に結像する。なお、レンズアレイは本実施の形態3及び形態4で述べたレンズアレイと同一である。また、ラインセンサ401は、レンズアレイに係る結像面となる位置に配設されるセンサである。ラインセンサ401には、等間隔PRで直線に配置された例えばCCDから成る複数の受光素子を用いる。なお、ラインセンサ401の解像度が600dpiであることから、受光素子が1インチすなわち約25.4mm当たり600個配置されている。従って、受光素子の間隔PRは0.0423mmである。この様なラインセンサ401は、結像された原稿Q表面からの反射光を電気信号に変換することにより、原稿Qに印刷された印刷画像を読み取り電子データを生成する。
次に、読取装置500の内部に設けられた読取ヘッド400に係る光学系について具体的に説明する。図39に読取ヘッド400に係る光学系の概略図を示す。光源501による照明光により原稿Q表面で反射した反射光は、物体面である原稿Q表面から距離LOの位置に配設されたコリメータレンズの作用を有するレンズ厚LTのマイクロレンズ22に入射して平行光に形成される。当該平行光は、距離LSの遮光部23内で迷光が十分に除去される。迷光が十分に除去された平行光は、対面同一に配置されたコンデンサーレンズの作用を有するレンズ厚LTのマイクロレンズ22により、距離LIの位置にある結像面に配設されたラインセンサ401上に集光される。また、全長TCは、前述した距離LO、レンズ厚LT、距離LS、レンズ厚LT、距離LIの総和である。なお、一対のマイクロレンズを、コリメータレンズ及びコンデンサーレンズとして対面同一に配置していることから、光学倍率は1倍である。また、図示せぬミラー402は動距離LO内に配設されている。マイクロレンズ22は非球面レンズであり、且つ、遮光部23により十分に迷光が除去されることから、原稿Q上の物体面から反射した反射光は十分に収差が抑制された状態でラインセンサ401上の結像面に集光され結像する。
次に、読取装置500の動作について説明する。本発明に係る実施の形態5の読取装置500により、図27を参照しながら前述したドットの間隔PD=0.0423mm及びラインセンサ401に係る解像度が600dpiの条件において、原稿Qから印刷データを読み取り電子データを生成したところ、読み取り誤差等が発生せず、原稿Qと同一の良好な電子データが得られた。
なお、上述した実施の形態5においては、読取装置500を、原稿Qに印刷された印刷画像を電子データに変換するスキャナとして説明したが、読取装置500を、光学的信号を電気的信号に変換するセンサ又はスイッチ、光学的信号を電気的信号に変換するセンサ又はスイッチを用いた入出力装置、生態認証装置、通信装置、及び寸法測定器にも適用可能である。
以上、本実施の形態5によれば、読取装置500により原稿Qから印刷データを読み取り電子データを生成した結果、読み取り誤差等が発生せず、原稿Qと同一の良好な電子データすなわち画像データを得ることができた。