JP3355170B2 - 迷光を防止した小形レンズアレイ光学系 - Google Patents

迷光を防止した小形レンズアレイ光学系

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機 、ファク
シミリ、イメージスキャナ、デジタルプリンタなど原稿
読み取りに好適な正立実像の小型レンズアレイに関す
る。
【0002】
【従来の技術】正立実像を得るレンズアレイとしては、
屈折率分布型ロッドレンズアレイが用いられているが、
色収差の除去には難点があり、充分なカラー対応が可能
にはなっていない。また正立実像を得るために微小結像
レンズとルーフミラーを組み合わせた方法(特開平2─
308121号公報)やダハプリズムをレンズ間に挿入
する方法(特開平6─273692号公報)があるが、
ミラーの平面度やプリズム頂角の公差も厳しくせねばな
らず、複雑で部品点数も増加する。特開昭55─909
07号公報に記載されてる棒状レンズは、物体側の棒状
レンズにより結像された第1像を、これと対称に向かい
合わせにおかれた像側の棒状レンズにより再結像するも
ので、第1像に近接し、向かい合う両凸面はコンデンサ
の働きをし、周辺光量の保持には有利であるが、焦点近
傍の両凸面はゴミ、キズの防止が困難で目立ち易く、迷
光を防止するには、それぞれの棒状レンズの外周を遮光
筒で覆わねばならず、光軸合わせの精度も厳しくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は簡単な構成で
量産性に優れ、小型で物像間距離も短く、光学性能は勿
論、迷光防止も完璧で光軸合わせが容易な正立実像レン
ズアレイ光学系を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1に示すよ
うに物体側の平行平面基板の表面の直線状に等しい微小
凸集光曲面が等間隔に配され、像側の表面の直線上にも
等しい微小凸集光曲面が等間隔に配され、物体側および
像側の微小凸集光曲面はそれぞれ光軸を共有するレンズ
アレ板1により原稿である物体の像を結像倍率m1 に縮
小結像し、上記レンズアレイ板1を表裏逆向きにしたレ
ンズアレイ板2をレンズアレイ板1と光軸がそれぞれ一
致するように配し、結像倍率m2 =1/ m1 に拡大再結
像して等倍実像のレンズアレイを構成する光学系におい
て、レンズアレイ板1とレンズアレイ板2の間隔保持板
は微小凸集光曲面の有効径外を遮蔽する黒色微小穴空き
板とし、物体側より順に ri :球面の曲率半径または非球面の頂点曲率半径 di :光軸上の厚みまたは空気間隔 ni :材質の屈折率 とし (1)レンズアレイ板1において r3 :物体側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点
曲率半径 d3 :物体側凸集光曲面層の軸上厚み d4 :平行平面基板の軸上厚み d5 :像側凸集光曲面層の軸上厚み r6 :像側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点曲
率半径 d6 :レンズアレイ板1の像点距離 m1 :レンズアレイ板1の結像倍率 (2)レンズアレイ板2において −d7 :レンズアレイ板2の物体距離 r8 :物体側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点
曲率半径 d8 :物体側凸集光曲面層の軸上厚み d9 :平行平面基板の軸上厚み d10:像側凸集光曲面層の軸上厚み r11:像側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点曲
率半径 m2 :レンズアレイ板2の結像倍率 とするとき 0.85<r3/−r6 <2.5 0.85<−r11/ r8 <2.5 ・・・・・・(1) 0.25<−m1 <0.5 0.25 <1/ −m2 <0.5 ・・・・・・(2) 0.6 <d6/ (d3+d4 +d5 )<1.0 0.6 <d7/ (d8+d9 +d10)<1.0 ・・・・・・(3) なる諸条件を満足することを特徴とするものである。
【0005】微小凸集光曲面を等間隔で創成するには、
比較的軟らかい金属表面に所定の形状に形成された凸曲
面のポンチを等間隔に押圧した後、表面を硬化すれば精
度のよい金型が得られることが分かった。この金型に紫
外線硬化樹脂を滴下し透明基板を乗せ、基板面から紫外
線を照射すれば精度のよい微小凸集光曲面列が得られ
る。反対側の面にも前記間隔ピッチの等しい金型を用
い、表裏の微小凸集光曲面の光軸が合致する治具を用い
て金型上に紫外線硬化樹脂を滴下し、片面の完成してい
る透明基板を乗せ、基板側から紫外線を照射すればレン
ズアレイ板を作ることができる。
【0006】また物体側凸集光曲面層の材質の屈折率n
2 、基板の材質の屈折率n3 、像側の凸集光曲面層の材
質の屈折率n4 が等しく、その材質がプラスチックの場
合は射出成形法で、材質がガラスの場合はプレス成形法
により一体成形できることも本発明の大きな特長であ
る。本発明のさらなる大きな特徴は屈折率分布型ロッド
レンズアレイや前述の棒状レンズの場合で迷光防止には
個のレンズの外周を遮光筒で覆わねばならず、ピッチと
光軸合わせの精度保持には厳しさが要求されるのに対
し、本発明の場合はレンズアレイ板1および2は数値制
御加工機で正確なピッチで押圧するため、ピッチ精度に
問題が起きず、光軸の合致も精度よくできる。迷光防止
にはレンズアレイ板1と2の間に所定の長さの穴空き間
隔保持板を用いれば完璧とすることができる。
【0007】次に条件式(1)はレンズアレイ板1の物
体側と像側の曲率半径または非球面の頂点曲率半径の
比、すなわちr3 / −r6 およびレンズアレイ板2の像
側と物体側の曲率半径または非球面の頂点曲率半径の比
−r11/ r8 の範囲を定め、迷光防止の間隔保持板の長
さを有効とするためである。下限をこえるときはレンズ
アレイ板1の像側およびレンズアレイ板2の物体側の屈
折力が弱く、間隔保持板の長さ(d6 +d7 )を長くす
るには第1結像倍率−m1 および第2の再結像倍率−m
2 を大きくする必要が生じ、周辺光量の減少と迷光の完
全防止が困難となる。上限をこえるときはレンズアレイ
板1の像側およびレンズアレイ板2の物体側の屈折力が
強く得られ、−m1 および−m2 を小さくしても間隔保
持板の長さ(d6 +d7 )が長くとれ、迷光防止は充分
となるが、レンズアレイ板1の物体側の屈折力およびレ
ンズアレイ板2の像側の屈折力が弱く球面収差およびコ
マ収差が悪くなる。
【0008】条件式(2)はレンズアレイ板1における
第1像の結像倍率−m1 とレンズアレイ板2における再
結像倍率−m2 の範囲を定めるものである。下限をこえ
るときは第1像が小さくなり、周辺光量は多くとれる
が、間隔保持板の長さ(d6 +d 7 )が短くなる。上限
をこえるときは第1像が大きくなり、周辺光量が減少
し、迷光防止も困難になる。
【0009】条件式(3)は光学系の小型化を定めるも
のである。間隔保持板(d6 +d7 )は条件式(1)と
(2)の双方を満足する条件で定まるが、この条件下で
よりコンパクト化を図るにはレンズアレイ板1および2
の全長を短縮する必要がある。下限をこえるときはレン
ズアレイ板1および2の長さが長く、製造は容易となる
が各レンズアレイ板でケラレを生じ、周辺光量が減少す
る。上限をこえるときは全長の短縮には有利であるが、
製造も難しく、強度的にも弱くなる。
【0010】請求項2に規定するように微小凸集光曲面
は球面でも勿論可能である。周縁に行くほど曲率の弱く
なる非球面を採用するときは、球面収差、コマ収差およ
び非点収差を良好にできるので口径の増大と性能の向上
に効果がある。
【0011】請求項3に規定するように平行平面の透明
基板の表、裏面に微小凸集光曲面を付着する方法は均一
で精度のよいレンズアレイを容易に量産することができ
る画期的な方法であるが、材質がプラスチックの場合は
射出成形法より、材質がガラスの場合はプレス成形法に
よる一体成形を行えば基板も不要で、部品点数の簡略化
によるコスト低減が可能となる。
【0012】請求項1記載の迷光を防止した小型レンズ
アレイ光学系は、レンズアレイをより明るくするため
に、図3aに示すように千鳥型の2列配置のアレイに
し、さらにコンタクトガラスをプリズムとして用いるこ
とを要件としている。千鳥型の2列配置のアレイにすれ
ば、明るさも2倍になり有利である。この場合受光素子
も2列にすれば性能上の問題は起こらないが、受光素子
が1列の場合は軸外像を受光するためMTFの低下は免
れえない。本発明は図3bのように原稿押えの棒状のコ
ンタクトガラスの像側の中央稜線部を頂点とし、頂角の
ゆるいプリズム状とすることにより、2列のアレイによ
る像を1列に合致結像させることが可能でその光路を図
3cに示す。MTFの低下なく明るさを増大させるもの
である。プリズムによる非点収差も頂角が約164°と
ゆるいため、影響も少ない。
【0013】請求項4に規定する迷光を防止した小型レ
ンズアレイ光学系は、請求項1,2または3記載の前記
レンズアレイ板1に対してレンズアレイ板2の光学諸元
は同一であるか、または、前記レンズアレイ板1に対し
てレンズアレイ板2の光学諸元は異なるものであるも
の、の組み合わせとすることができる。請求項1で規定
したようにレンズアレイ板1の結像倍率−m1 とレンズ
アレイ板2の再結像倍率−m2 はm2 =1/m1 の関係
を保てば等倍実像となる。したがって条件式(1)およ
び(2)を満足していればレンズアレイ板1とレンズア
レイ板2は全く同一ではなくも正立等倍実像を得られ
るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明による迷光を防止した
小型レンズアレイの実施例1から7までを第1表から第
7表に示す。図2の物体である原稿は厚さd1 の原稿押
さえのコンタクトガラスに密着しており、空気間隔を隔
てて透明基板の物体側および像側に夫々凸集光曲面を密
着したレンズアレイ板1が配され、物体の第1像を倍率
1 にて縮小結像する。その第1像を第2の物体位置と
し、前述と逆配置のレンズアレイ板2より倍率m2
(1/ m1 )で拡大再結像する。総合結像倍率はM=m
1 ×m2 である。物体側より順次平面または球面の曲率
半径または非球面の頂点曲率半径をri ,軸上の厚みま
たは空気間隔をdi ,材質のe線に対する屈折率 をn
i ,アッベ数をVi とし 非球面の形状の式は X:非球面上の点のレンズ面頂点における接平面からの
距離 h:光軸からの高さ C:非球面頂点の曲率(C=1/r) K:円錐定数 A2i:非球面係数 とするとき
【数1】 で表される。なお各実施例において結像倍率M=m1 ×
2 ,全系の焦点距離f,有効FナンバーEFN0,物体
高y,再結像の像高y’,物像間距離も示す。
【数2】
【表1】
【数3】
【表2】
【数4】
【表3】
【数5】
【表4】
【数6】
【表5】
【数7】
【表6】
【数8】
【表7】
【0015】本発明の迷光を防止した小型レンズアレン
イの各実施例の収差曲線およびMTF曲線を図4乃至図
10に示す。この曲線から分かるように球面収差、非点
収差およびコマ収差がよく補正されており、倍率の色収
差が0であることも優れた特徴に挙げられる。白色光M
TFも400DPIの周波数で広い深度と高いMTF値
を示しており、実施例7においては受光素子はR、G、
B、の三色、1200DPIに対応した各波長の高いM
TF値を示している。
【0016】本発明のレンズアレイ板1とレンズアレイ
板2の間の間隔保持兼遮光板が迷光防止に有効であるこ
との1例を実施例1を代表して図11(a、b、c)に
示す。aはレンズが一組のときの光路図、 bは両側に
各9個のレンズが並んでいるときの光路図で隣接のレン
ズからの光も総て所定像位置に結像しており、迷光が全
くないことがわかる。cは間隔保持板の遮光効果がない
ときの迷光の状態を示す。以上図示のa、b、cによ
り、本発明の間隔保持兼遮光板が迷光を完璧に防止して
いることが分かる。実施例2乃至7についても同様の結
果が得られている。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明は並行平面の
透明基板上に等間隔に配置されたレンズアレイ板1とレ
ンズアレイ板2は夫々レンズの外周を遮光筒で覆う必要
はないため、レンズピッチと同軸度の精度も良好であ
り、間隔保持兼遮光板のみにより迷光を完璧に防止でき
るため、高い光学性能を得ることができた。400DP
Iに対するMTFは高く、深度も大きくとれており、よ
り高い要求の1200DPIにも充分対応可能で迷光を
防止した小型レンズアレイが得られた。2列配置のアレ
イにおいて2列のアレイの像を1列に合成できることも
本発明の大きな特徴である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の迷光を防止した小型アレンズアレイの
断面図である。
【図2】本発明の光学系を示す図である。
【図3a】本発明のアレイを2列にした平面図である。
【図3b】本発明のアレイを2列にしたときの原稿押へ
板の像側をプリズム状にした図である。
【図3c】図3bにおける光路図である。
【図4】実施例1の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図5】実施例2の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図6】実施例3の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図7】実施例4の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図8】実施例5の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図9】実施例6の収差曲線およびMTF/DEF曲線
である。
【図10】実施例7の収差曲線およびMTF曲線であ
る。
【図11a】本発明の迷光を防止した小型レンズアレイ
のレンズが1組のときの迷光検討の光路図である。
【図11b】発明の迷光を防止した小型レンズアレイの
両側にレンズが9ヶ並んでいるときの光路図である。
【図11c】本発明の迷光を防止した小型レンズアレイ
の間隔保持板の遮光効果がないときの迷光の状態を示す
図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行平面の透明基板に微小凸集光曲面が
    等間隔2列に配置したレンズアレイ板1、レンズアレイ
    板2と、前記レンズアレイ板1とレンズアレイ板2の間
    隔保持板と、像側の中央稜線部を頂点とし、頂角のゆる
    いプリズム状とすることにより2列のアレイの像を一致
    させる棒状の原稿押さえとを含む小型レンズアレイ光学
    系であって、 前記レンズアレイ板1は、平行平面透明基板の表面の直
    線上に等しい微小凸集光曲面が等間隔に配され、表裏の
    微小凸集光曲面はそれぞれ光軸を共有するレンズアレイ
    板1により原稿である物体の像を倍率m 1 に縮小結像
    し、 前記レンズアレイ板2は、前記レンズアレイ板1を表裏
    逆向きにしたレンズアレイで、前記レンズアレイ板1と
    光軸がそれぞれ一致するように配し、倍率m 2 =1/m 1
    に拡大再結像して等倍実像のレンズアレイを構成する
    光学系とし、 レンズアレイ板1とレンズアレイ板2の間隔保持板は、
    微小凸集光曲面の有効径外を遮光する黒色微小穴空き板
    とし、 物体側より順に ri :球面の曲率半径または非球面の頂点曲率半径 di :光軸上の厚みまたは空気間隔 ni :材質の屈折率 とし、 (1)レンズアレイ板1において r3 :物体側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点
    曲率半径 d3 :物体側凸集光曲面層の軸上厚み d4 :平行平面基板の軸上厚み d5 :像側凸集光曲面層の軸上厚み r6 :像側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点曲
    率半径 d6 :レンズアレイ板1の像点距離 m1 :レンズアレイ板1の結像倍率 (2)レンズアレイ板2において −d7 :レンズアレイ板2の物体距離 r8 :物体側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂
    点曲率半径 d8 :物体側凸集光曲面層の軸上厚み d9 :平行平面基板の軸上厚み d10 :像側凸集光曲面層の軸上厚み r11 :像側凸集光曲面の曲率半径または非球面の頂点
    曲率半径 m2 :レンズアレイ板2の結像倍率 とするとき 0.85<r3 /−r6 <2.5 0.85<−r11/ r8 <2.5 ・・・・・(1) 0.25<−m1 <0.5 0.25<1/ −m2 <0.5 ・・・・・・・(2) 0.6 <d6 /(d3 +d4 +d5)<1.0 0.6 <d7 /(d8 +d9 +d10)<1.0 ・・・・・・・(3) なる諸条件を満足するように構成した迷光を防止した小
    型レンズアレイ光学系
  2. 【請求項2】 請求項1記載の微小凸集光曲面は球面ま
    たは周縁に行くほど曲率の小さくなる非球面であること
    を特徴とする迷光を防止した小型レンズアレイ光学系
  3. 【請求項3】 請求項1および2記載のレンズアレイ板
    1およびレンズアレイ板2は、 平行平面の透明基板の表、裏面に微小凸集光曲面を有す
    るプラスチックレンズを付着して形成するか、 プラスチック射出成形によるか、または、 ガラス素材をプレス成形により一体成形したものの何れ
    かである 迷光を防止した小型レンズアレイ光学系
  4. 【請求項4】 前記レンズアレイ板1に対してレンズア
    レイ板2の光学諸元は同一であるか、または、前記レン
    ズアレイ板1に対してレンズアレイ板2の光学諸元は異
    なるものであるもの、の組み合わせである請求項1,2
    または3記載の迷光を防止した小型レンズアレイ光学
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