JP2014126751A - レンズアレイ光学系、画像形成装置、及び画像読取装置 - Google Patents

レンズアレイ光学系、画像形成装置、及び画像読取装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 温度変化等によりレンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系に変化が生じたとしても、光量ムラが変化し難いレンズアレイ光学系を提供すること。
【解決手段】 第1の方向に配列された複数のレンズ光学系102aを有するレンズアレイ光学系102であって、複数のレンズ光学系102aの夫々は、第1の方向とレンズ光学系の光軸方向とに平行な第1の断面内において、物体101の中間像106を形成する第1の光学系104と物体101の中間像106を再結像する第2の光学系105とを含み、複数のレンズ光学系102aの夫々において、光利用効率が90%になる物体高からの光束を、第1の光学系104に係る第1の開口面及び第2の光学系105に係る第2の開口面の少なくとも一方で制限し、かつ、光利用効率が10%になる物体高からの光束を、光利用効率が90%になる物体高からの光束を制限した開口面で制限する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、レンズアレイ光学系に関し、例えば画像形成装置や画像読取装置に用いられるレンズアレイ光学系に好適である。
昨今、小径レンズアレイで構成されたレンズアレイ光学系を用いた画像形成装置や画像読取装置が開発されている。この構成によれば、ポリゴンミラーにより感光体を走査する構成や、複数のレンズやミラーを用いて画像を読み取る構成等と比較して、装置の小型化や低コスト化を実現することができる。
しかし、レンズアレイ光学系には、像面(画像読取装置ではセンサ面を指し、画像形成装置では感光面を指す)上での結像光量のムラ(光量ムラ)が発生するという課題がある。光量ムラが発生すると、画像形成装置における形成画像や画像読取装置における読取画像にスジが生じてしまい、形成画像や読取画像の画質が低下してしまう。
ここで、このような課題を解決する技術が、特許文献1及び特許文献2において提案されている。特許文献1には、アレイ状光源の各発光素子の発光強度を変調することで、光量ムラを低減する構成が開示されている。また、特許文献2には、レンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系の配列ピッチを適正な範囲に設定することで、光量ムラを低減する構成が開示されている。
特開2006−218746号公報 特開2002−318348号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示の構成によって光量ムラを低減したとしても、温度変化等によってレンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系に変化(変形や屈折率変化)が生じた場合、再び像面上に光量ムラが発生してしまう。
そこで、本発明の目的は、温度変化等によりレンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系に変化が生じたとしても、光量ムラが変化し難いレンズアレイ光学系を提供することである。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としてのレンズアレイ光学系は、第1の方向に配列された複数のレンズ光学系を有し、前記複数のレンズ光学系の夫々は、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに平行な第1の断面内において、物体の中間像を形成する第1の光学系と該物体の中間像を再結像する第2の光学系とを含み、前記複数のレンズ光学系の夫々において、光利用効率が90%になる物体高からの光束を、前記第1の光学系に係る第1の開口面及び前記第2の光学系に係る第2の開口面の少なくとも一方で制限し、かつ、光利用効率が10%になる物体高からの光束を、前記光利用効率が90%になる物体高からの光束を制限した開口面で制限することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされる。
本発明によれば、温度変化等によりレンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系に変化が生じたとしても、光量ムラが変化し難いレンズアレイ光学系を提供することができる。
本実施形態に係る画像形成装置及び画像読取装置の概略図 実施例1に係るレンズアレイ光学系の要部概略図 実施例1に係るレンズ光学系の第1の断面図及び第2の断面図 実施例1及び比較例1に係るレンズ光学系の物体高と光利用効率比との関係図 比較例1(温度変化前)において生じる光量ムラを説明するための図 比較例1(温度変化後)において生じる光量ムラを説明するための図 比較例1に係るレンズ面における口径食を説明するための図 理想レンズ光学系の第1の断面図 比較例1に係る軸上開口面及び最外開口面を説明するための図 実施例1に係る軸上開口面及び最外開口面を説明するための図 実施例1(温度変化前)において生じる光量ムラを説明するための図 実施例1(温度変化後)において生じる光量ムラを説明するための図 実施例2に係るレンズアレイ光学系の要部概略図 実施例2に係るレンズ光学系の第1の断面図及び第2の断面図 実施例2に係るレンズ光学系の矩形開口面の例を示した図 実施例2に係る軸上開口面及び最外開口面を説明するための図 実施例2に係るレンズ光学系の物体高と光利用効率比との関係図 実施例2(温度変化前)において生じる光量ムラを説明するための図 実施例2(温度変化後)において生じる光量ムラを説明するための図 実施例3に係るレンズアレイ光学系の要部概略図 実施例3に係るレンズ光学系の第1の断面図及び第2の断面図 実施例3に係る軸上開口面及び最外開口面を説明するための図 実施例3に係るレンズ光学系の物体高と光利用効率比との関係図 実施例3(温度変化前)において生じる光量ムラを説明するための図 実施例3(温度変化後)において生じる光量ムラを説明するための図 比較例2において生じる光量ムラを説明するための図 実施例4において生じる光量ムラを説明するための図
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び(b)の夫々は、本実施形態に係る画像形成装置及び画像読取装置の概略図である(詳細は後述)。本実施形態において、カラー画像形成装置33の露光ユニット17〜20の内部、及び画像読取装置44の読取ユニット41の内部には、レンズアレイ光学系が配置されている。レンズアレイ光学系を用いることにより、各装置を小型化することができる。
本実施形態に係るレンズアレイ光学系は、図2(a)に示すように、第1の方向(Y方向)に配列された複数のレンズ光学系102aを有している。この複数のレンズ光学系102aの夫々は、第1の方向とレンズ光学系102aの光軸方向(X方向)とに平行な第1の断面(XY断面)内においては、物体を正立等倍結像する系(正立等倍結像系)である。
そして、本実施形態に係るレンズアレイ光学系102は、複数のレンズ光学系102aの夫々に係る開口面(開口絞り面)が、物体高に応じて変化しない構成としている。これにより、温度変化等によって各レンズ光学系102aに変化(変形や屈折率変化等)が生じたとしても、光量ムラが変化し難くなるという効果を得ることができる。なお、本実施例においては、「物体高」は「第1の方向の物体高」のことを指すものとする。
以下、本実施形態に係るレンズアレイ光学系について、各実施例で詳細に説明する。
実施例1では、図1(a)に示したような画像形成装置における露光ユニット内に、レンズアレイ光学系を配置した場合を想定して説明する。図2(a)〜(c)は、本実施例に係るレンズアレイ光学系102の要部概要図である。図2(a)は第1の方向とレンズ光学系102aの光軸方向とに平行な第1の断面(XY断面)、図2(b)は第1の方向に垂直な第2の断面(ZX断面)、図2(c)はレンズ光学系102aの光軸方向からの正面図を示している。本実施例に係るレンズアレイ光学系102は、第1の方向において、レンズ光学系102aが0.57mmの配列周期(ピッチ)で複数配列されて構成されている。なお、これらの複数のレンズ光学系102aは、第1の方向とレンズ光学系102aの光軸方向とに垂直な第2の方向(Z方向)については一段配列されている。
露光ユニット内での各レンズ光学系102aは、第1の断面内及び第2の断面内において、光源101が有する複数の発光点の夫々を感光体の感光面103上に正立等倍結像する系(正立等倍結像系)である。すなわち、光源101の1つの発光点から出射してレンズアレイ光学系102を通過した光束は、感光面103上の一点に集光される。例えば、図2(a)に示すように、光源101の発光点Aからの光束は感光面103上の結像点A’に収束し、発光点Bからの光束は感光面103上の結像点B’に収束する。この構成により、光源101の発光状態に対応した露光が可能となる。
ここで、図2(a)に示したように、本実施例に係るレンズアレイ光学系102は、1つの発光点(物点)を少なくとも2つのレンズ光学系102aによって結像している。この構成によれば、1つの物点を1つのレンズ光学系102aにより結像する構成と比較して、結像に寄与する光束の数を増やすことができるため、光量ムラを低減できる効果を得ている。
なお、光源101における複数の発光点は、第1の方向に等間隔(数十μm)に配列されており、隣接するレンズ光学系102a同士の間隔(数百μm以上)に比べて十分小さいため、以下、各発光点は略連続的に存在するとみなす。ここで、光源101としては、第1の方向に等間隔に配列された複数の発光点の列を、第2の方向に複数配列することにより、複数の発光点を千鳥状に配列したものを用いてもよい。このような構成とすることで、第1の方向に隣接する発光点同士の間隔に余裕を持たせることができる。光源101を構成する発光点としては、例えばLEDや有機EL素子(有機発光素子)などを用いることができる。
ここで、レンズアレイ光学系102を構成するレンズ光学系102aについて詳細に説明する。
図3に示すように、1つのレンズ光学系102aは、同一の光軸上に配置された、第1の光学系(G1レンズ104)及び第2の光学系(G2レンズ105)を有している。ここで、光源(物体面)101の中間像を形成する光学系を第1の光学系とし、第1の光学系が中間像を形成する面を中間結像面106としている。また、中間結像面106に形成された中間像を感光面(像面)103に再結像する光学系を第2の光学系としている。本実施例では、第1の光学系と第2の光学系とが中間結像面106に対して対称となる構成であるため、夫々に対して同一の部材を使用することが可能となる。
本実施例では、第1の光学系はG1レンズ104のみで構成され、第2の光学系はG2レンズ105のみで構成されている。なお、レンズ光学系102aを3枚以上のレンズにより構成してもよい。言い換えれば、第1の光学系及び第2の光学系の少なくとも一方を2枚以上のレンズにより構成してもよい。ただ、各レンズ光学系102aを3枚以上のレンズにより構成する場合、部品点数が増加してしまうため、本実施例のように2枚のレンズによる構成とすることが好ましい。あるいは、本実施例に係るレンズアレイ光学系102を構成するレンズ光学系102aの夫々を、1枚のレンズにより構成してもよい。その場合にも、1枚のレンズを正立等倍結像系となるように構成し、物体面から中間結像面までを第1の光学系、中間結像面から像面までを第2の光学系とすることで、上述したような2枚以上のレンズを有する構成と同様に考えることができる。
また、G1レンズ104とG2レンズ105との間には遮光部材107が配置されている。遮光部材107は、第1の断面内において、夫々のレンズ光学系102aにおけるG1レンズ104を通過して、他のレンズ光学系102aのG2レンズ105に入射する光束(結像に寄与しない迷光)を遮光する役割を果たしている。
図2(c)に示したように、各レンズ光学系102aに係るG1レンズ104及びG2レンズ105の、レンズ面(入射面R1及び出射面R2)の夫々(G1R1面、G1R2面、G2R1面、G2R2面)は、回転対称な非球面で構成されている。この構成とすることで、レンズ成形用の型の加工を容易に行うことができる。なお、本実施例においては、G1レンズ104及びG2レンズ105に係る各開口面(レンズ面)を円形にしているため、開口面の成形をより容易に行うことができるという効果を得ている。
ここで、レンズ光学系102aの各レンズ面と光軸(X軸)との交点を原点とし、第1の方向において光軸と直交する軸をY軸、第2の方向において光軸と直交する軸をZ軸とすると、その非球面の形状は以下に示す非球面式(1)で表わされる。
Figure 2014126751
但し、Rは曲率半径、kは円錐定数、A2i(i=1,2,3・・・)は非球面係数である。
また、本実施例に係るレンズ光学系102aの諸特性値を表1に示す。
Figure 2014126751
なお、表1に示した中間結像倍率βとは、第1の断面内における第1の光学系の中間結像面106での近軸結像倍率のことである。本実施例では、各レンズ光学系102aの第1の断面内での中間結像倍率βを−0.51と設定しているが、第1の断面内においてレンズ光学系102aが正立等倍光学系となる範囲であれば、βは如何なる値も取り得る。
次に、本実施例に係るレンズアレイ光学系による効果を説明するために、比較例1として、各レンズ光学系が表2に示すような諸特性値を持つレンズアレイ光学系について考える。本実施例に係るレンズ光学系と比較例1に係るレンズ光学系との相違点は、第1の方向及び第2の方向におけるG1R1面及びG2R2面の有効径が異なる点のみである。なお、本実施例と同一または同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
Figure 2014126751
ここで、比較例1に係る1つのレンズ光学系において、光軸上における物体高(軸上物体高)からの光束に対する光利用効率を100%として正規化した時の、物体高毎の光利用効率の比を図4に示す。なお、光利用効率とは、物体面(光源101)から出射する光束の光量に対する、像面(感光面103)上に集光される光量の比のことであり、開口効率(光束の通過面積に略比例)とレンズ光学系の透過率との積算により算出されるものである。図4を見てわかるように、比較例1における光利用効率の比は、発光点位置が物体高0(軸上物体高)から離れた位置になる程小さくなっている。以下、像面上に結像する光量が略0となる物体高を最外物体高として説明する。この時、特許文献2と同様に、グラフのプロファイルが屈曲点を有している。
また、各発光点からの光束が複数のレンズ光学系を通過して像面上に集光される時の光利用効率の比を考慮すると、発光点位置毎の光利用効率の比は図5(a)に示すようになる。なお、ここでは、光源における各発光点は、第1の方向に略連続的に存在しているものとする。図5(a)を見てわかるように、光利用効率比の分布は、レンズ光学系の配列ピッチの間隔で頂点を成した山型になっており、各頂点(光学効率比100%)は各レンズ光学系の光軸上に対応している。
さらに、各発光点位置に対応した結像光量の比を図5(b)に示す。ここで、結像光量とは、各レンズ光学系の光利用効率を発光点位置毎に積算したものに比例しており、図5(b)では、各レンズ光学系の軸上発光点位置に対する結像光量を100%として正規化している。図5(b)より、発光点位置毎に結像光量のムラが生じていることがわかる。この結像光量のムラは、レンズアレイ光学系において、発光点位置に応じて光路が変化し、発光点位置毎の光利用効率が異なることに起因して発生する。
そこで、特許文献1の記載の構成と同様に、図5(b)に示した結像光量のムラに対して、各発光点の発光光量を電気的に補正する場合を考える。すなわち、発光点位置毎の発光光量の比(軸上発光点の発光光量を100%として正規化)が図5(c)に示すものとなるように、各発光点の発光光量を補正する。これにより、発光点位置毎の発光光量補正後の結像光量(補正光量)の比は図5(d)に示すようになり、結像光量のムラを低減させることができる。
しかし、温度変化等によって各レンズ光学系に変化(変形や屈折率変化等)が生じた場合、前述したように補正した結像光量にも変化が生じてしまう。例として、昇温による各レンズ光学系の曲率変化によって、光利用効率の分布が変動し、最外物体高が5%小さくなった場合を考える。この時の、発光点位置毎の光利用効率比、結像光量比、発光光量比、及び補正光量比の夫々を、図6(a)〜(d)に示す。図5(a)及び(b)と図6(a)及び(b)とを比較するとわかるように、昇温によって光利用効率及び結像光量が変化している。しかし、各発光点の発光光量は、昇温前の結像光量ムラより決定されるため、図5(c)及び図6(c)に示すように、昇温によって変化しない。そのため、図5(d)に示した昇温が生じる前の補正光量比に対して、図6(d)に示すように光量ムラが生じており、グラフのp−p値(peak to peak value)は、17%(p−p17%)となっている。
温度変化等によるレンズ光学系の変化は、基本的に、発光点位置−光利用効率(結像光量)グラフの分布の広がりとなって現れる。すなわち、図5(a)及び(b)と図6(a)及び(b)とを比較してわかるように、温度変化等により発生する光量ムラは、最外物体高近傍におけるグラフの重なり具合の変化に依存する。つまり、温度変化等により発生する光量ムラは、発光点位置−光利用効率グラフの最外物体高近傍の傾きに比例する。よって、この傾きが急なほど発生する光量ムラは大きくなるため、温度変化等によるレンズ光学系の変化に対して光量ムラを変化し難くするには、発光点位置−光利用効率グラフの、最外物体高近傍の傾きを緩やかにすればよい。
図4を見てわかるように、本比較例において、各レンズ光学系に対する物体高(発光点位置)−光利用効率グラフの傾きは、屈曲点が生じている物体高0.53mm以降で急になっている。この屈曲点近傍の物体高0.51mm、0.53mm、0.55mmからの光束の光路を図7に示す。物体高0.51mm及び0.53mmでは、G1レンズ104のG1R1面とG2レンズ105のG2R2面とが光束の口径食を生じている。しかし、物体高0.55mmでは、G1レンズ104のG1R2面とG2レンズ105のG2R1面とが光束の口径食を生じており、他の物体高とは異なるレンズ面が口径食を生じていることがわかる。
以上より、物体高(発光点位置)−光利用効率グラフの傾きが急になる原因は、レンズ光学系に係る口径食を生じる面、すなわち、光束を制限する開口面(開口絞り面)が、発光点位置に応じて変化するためであると考えられる。言い換えれば、発光点位置に応じて開口面が変化しないレンズ光学系を達成すれば、発光点位置−光利用効率グラフの傾きが急にならず、レンズ光学系の変化に対して光量ムラが変化し難くなるレンズアレイ光学系を達成されることになる。
本実施例に係るレンズ光学系においては、口径食は少なくとも2面の開口面により生じるので、開口面が2面より増加しないような構成にすればよい。このことを説明するために、一般的な正立等倍結像系を理想レンズ光学系として考えた時の、XY断面図を図8に示す。図8(a)及び(b)は、軸上物体高からの光束が理想レンズ光学系を通過する時の様子、及び、最外物体高からの光束が理想レンズ光学系を通過する時の様子の夫々を示している。なお、理想レンズ光学系は、有効径がD1である第1の理想レンズ110と、有効径がD2である第2の理想レンズ111と、の2つの凸レンズの夫々が、中間結像面112に対して対称となるように配置された構成である。ここでは、説明のため。有効径D1と有効径D2とを異ならせている。
図8(a)及び(b)より、口径食を決めるのは、第1の理想レンズ110及び第2の理想レンズ111の有効径であることがわかる。理想レンズ光学系において、「物体高に応じて口径食を生じる面が変化する」ということは、「物体高に応じて理想レンズの有効径が変化する」ということに相当する。つまり、口径食を生じる面が変化しないようにするためには、物体高に応じて第1の理想レンズ110及び第2の理想レンズ111の有効径が変化しない構成にすればよい。
軸上物体高に対応する有効径は、軸上物体高からの光束を制限する開口面によって決まる。すなわち、各物体高の光束を制限する面が、この開口面のまま変化しなければ、理想レンズの有効径は物体高に応じて変化しないことになる。つまり、理想レンズ光学系において、最外物体高に対応する有効径を決める面が、第1の理想レンズ110及び第2の理想レンズ111の夫々の開口面と等しくなる構成とすればよい。以下、軸上物体高からの光束を制限する面を軸上開口面とし、最外物体高からの光束を制限する面を最外開口面とする。
図9(a)及び(b)の夫々は、本比較例に係るレンズアレイ光学系102を構成するレンズ光学系102aのうちのある1つのレンズ光学系102aにおいて、軸上物体高及び最外物体高からの光束の夫々が通過する時の様子を示した図である。
図9(a)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の軸上開口面はG1R1面(入射面)、第2の光学系の軸上開口面はG2R2面(出射面)である。また、図9(b)より、XY断面内において、第1の光学系の最外開口面はG1R1面及びG1R2面であり、第2の光学系の最外開口面はG2R1面及びG2R2面である。一方、ZX断面内においては、第1の光学系の最外開口面はG1R1面のみ、第2の光学系の最外開口面はG2R2面のみである。
このように、本比較例においては、XY断面内において、第1の光学系及び第2の光学系の夫々の軸上開口面と最外開口面とが異なっている。従って、このことが原因で、図4に示したグラフのプロファイルが屈曲点を有していると考えられる。
そこで、本実施例においては、レンズアレイ光学系102を構成するレンズ光学系102aの各レンズ面自体を開口面とし、夫々の有効径を適切に設計することにより、開口面が物体高に応じて変化しない構成としている。具体的には、表1に示したように、G1R1面の有効径がG1R2面の有効径よりも小さく、かつG2R2面の有効径がG2R1面の有効径よりも小さくなるように、各レンズ光学系102aを構成している。これにより、光束を制限する面がG1R1面(第1の開口面)及びG2R2面(第2の開口面)のみとなるため、レンズ光学系102aに係る開口面を全物体高において一定とすることができる。
図10(a)及び(b)の夫々は、本実施例に係るレンズアレイ光学系102を構成するレンズ光学系102aのうちのある1つのレンズ光学系102aにおいて、軸上物体高及び最外物体高からの光束の夫々が通過する時の様子を示した図である。図10(a)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の軸上開口面はG1R1面(入射面)、第2の光学系の軸上開口面はG2R2面(出射面)である。また、図10(b)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の最外開口面はG1R1面、第2の光学系の最外開口面はG2R2面である。
前述したように、軸上物体高からの光束を制限する開口面と、最外物体高からの光束を制限する開口面とが等しい場合は、その他の物体高からの光束を制限する開口面も等しくなる。すなわち、本実施例に係るレンズ光学系102aは、第1の光学系及び第2の光学系の両方において、軸上開口面と最外開口面とが等しいため、物体高に応じて口径食を生じる面が変化しない構成となっている。また、本実施例に係るレンズ光学系102aにおいては、第1の光学系のG1R1面と第2の光学系のG2R2面との、夫々のレンズ面自体を開口面としたことにより、別途開口絞りを設ける必要が無いため、部品点数を少なくすることができる。
なお、本実施例においては、第1の光学系の第1の開口面が、第1の光学系の物体面に最も近いレンズ面(G1R1面)となっているため、物体側のFnoを極力大きくすることができ、光利用効率を向上させている。ここで、本実施例では、第1の光学系と第2の光学系とが中間結像面106に対して対称な形状であるため、第2の光学系の第2の開口面は、第2の光学系の像面に最も近いレンズ面(G2R2面)となる。すなわち、本実施例では、第1の開口面及び第2の開口面の夫々を中間結像面106から最も遠い面として設定することにより、より光利用効率を向上させている。
ここで、比較例1と同様に、本実施例に係る1つのレンズ光学系における物体高毎の光利用効率の比を図4に示す。図4を見てわかるように、本実施例に係るグラフのプロファイルは屈曲点を有しておらず、比較例1と比較してグラフの傾きが緩やかになっている。さらに、比較例1と同様に、本実施例における、発光点位置毎の光利用効率比、結像光量比、発光光量比、及び補正光量比の夫々を、図11(a)〜(d)(昇温前)及び図12(a)〜(d)(昇温後)に示す。本実施例においても、昇温によるレンズ光学系の変化により、図11(d)に示した昇温が生じる前の補正光量比に対して、図12(d)に示すようにp−p5%の光量ムラが発生しているが、比較例1(p−p17%)と比較して大幅に小さい値である。
なお、本実施例においては、物体高(発光点位置)−光利用効率グラフが屈曲点を持たず全物体高でなだらかなプロファイルとなるようにレンズアレイ光学系を構成したが、厳密には全物体高でプロファイルがなだらかである必要はない。具体的には、光利用効率が10%〜90%となる物体高の範囲(物体高の有効範囲)内においてグラフのプロファイルが屈曲点を持たない構成であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。すなわち、本実施例に係るレンズアレイ光学系は、光利用効率が90%〜100%及び0%〜10%となる物体高の範囲において、物体高(発光点位置)−光利用効率グラフのプロファイルが屈曲点を有する構成であってもよい。
以上より、物体高の有効範囲内において、各レンズ光学系に係る開口面が物体高に応じて変化しないようにレンズアレイ光学系を構成すれば、本発明の効果を十分に得ることが可能になる。具体的には、光利用効率が90%になる物体高からの光束を、第1及び第2の開口面の夫々により制限し、かつ、光利用効率が10%になる物体高からの光束を、第1及び第2の開口面の少なくとも一方で制限するように、各レンズ光学系を設計すればよい。これにより、光利用効率が10%〜90%となる物体高の有効範囲内において、開口面を一定にすることができる。
本実施例では、各レンズ光学系において、軸上物体高からの光束を第1及び第2の開口面で制限し、かつ、最外物体高からの光束を第1及び第2の開口面で制限している。すなわち、光利用効率が0%〜100%となる物体高の範囲内において、各レンズ光学系に係る開口面が物体高に応じて変化しないように構成しているため、物体高の有効範囲内においても開口面は一定となる。
以上、本実施例に係るレンズアレイ光学系は、各レンズ光学系に係る開口面が物体高に応じて変化しない構成である。この構成により、温度変化等によって各レンズ光学系に変化(変形や屈折率変化)が生じたとしても、光量ムラが変化し難くなるという効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と同一または同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
実施例2では、図1(b)に示したような画像読取装置における読取ユニット内に、レンズアレイ光学系を配置した場合を想定して説明する。図13(a)〜(c)は、本実施例に係るレンズアレイ光学系202の要部概要図であり、図13(a)は第1の断面(XY断面)、図13(b)は第2の断面(ZX断面)、図13(c)はX方向からの正面図を示している。本実施例に係るレンズアレイ光学系202は、第1の方向(Y方向)において、レンズ光学系202aが0.65mmの配列周期(ピッチ)で複数配列されたものが、第2の方向に(Z方向)に1.5mmのピッチで2段配列されて構成されている。このように、第2の方向においてもレンズ光学系202aを複数配列することで、各レンズ光学系202aの第2の方向の有効径を極端に大きくしなくても、光利用効率を向上させることができる。なお、簡単のため図13(a)では第2の方向における下列のレンズ光学系202aを省略している。
読取ユニット内での各レンズ光学系202aは、第1の断面内及び第2の断面内において、原稿面201をセンサ部のセンサ面203上に正立等倍結像する系(正立等倍結像系)である。すなわち、不図示の照明部によって照明された原稿面201から出射した光束は、レンズアレイ光学系202を通過してセンサ面203上の一点に集光される。例えば、図13(a)に示すように、原稿面201上の原稿位置Cからの光束はセンサ面203上の結像点C’に収束し、原稿面201上の原稿位置Dからの光束はセンサ面203上の結像点D’に収束する。この構成により、原稿面201に対応した読み取りが可能となる。なお、本実施例においては、透過部材である原稿台200の上に原稿が配置されており、この原稿台200を介して原稿面201が照射される構成となっている。
さらに、レンズアレイ光学系202を構成するレンズ光学系202aについて詳細に説明する。
図14に示すように、本実施例に係る各レンズ光学系202aは、実施例1と同様に、同一の光軸上に配置された第1の光学系(G1レンズ204)及び第2の光学系(G2レンズ205)と、遮光部材207とを有している。ここで、原稿面201の中間像を形成する光学系を第1の光学系とし、第1の光学系が中間像を形成する面を中間結像面206としている。また、中間結像面206に形成された中間像をセンサ面203に再結像する光学系を第2の光学系としている。
ここで、14(c)に示したように、本実施例に係る第1の光学系及び第2の光学系の夫々の開口面(レンズ面)の形状は矩形となっている。これにより、各レンズ光学系202a同士の隙間を極力少なくして、図に示すような千鳥状に配置することができる。これにより、レンズアレイ光学系202全体の光利用効率を向上させることができる。なお、ここでの矩形とは略矩形のことを示しており、矩形を構成する各辺のうちの少なくとも1辺を曲線にしたものや、各頂点をなくして略円形状又は略楕円形状にしたようなもの等を含んでいる。具体的には、例えば、図15(a)に示す半円形状を含むトラック形状、図15(b)に示す円形状を直線で切り取った円二辺取り形状、図15(c)に示す角が円弧となった丸角矩形形状、などを採用することができる。
さらに、レンズアレイ光学系202を構成する各レンズ光学系202aにおいて、G1レンズ204及びG2レンズ205の、レンズ面の夫々(G1R1面、G1R2面、G2R1面、G2R2面)は、アナモフィックな非球面で構成されている。これにより、結像性能を向上させている。レンズ光学系202aにおいて、第2の断面内での画角の変化は第1の断面内での画角の変化に対して小さいため、設計上、第2の断面内での結像性能の方が確保しやすい。よって、G1レンズ204及びG2レンズ205の夫々のレンズ面を、第1の方向における有効径よりも第2の方向における有効径の方が大きい構成とすることで、結像性能及び光利用効率の両立を実現することができる。この時、G1レンズ204とG2レンズ205とで各レンズ面の有効径を等しくすることより、レンズ成形時に応力ひずみが生じにくくなり、レンズ加工を容易にすることができる。
ここで、レンズ光学系202aの各レンズ面と光軸(X軸)との交点を原点とし、第1の方向において光軸と直交する軸をY軸、第2の方向において光軸と直交する軸をZ軸とすると、その非球面の形状は以下に示す非球面式(2)で表わされる。
Figure 2014126751
但し、R,Rは曲率半径、k,kは円錐定数、B,C(i=1,2,3・・・)は非球面係数である。
また、本実施例に係るレンズ光学系202aの諸特性値を表3に示す。
Figure 2014126751
本実施例においては、レンズアレイ光学系202を構成するレンズ光学系202aのパワーやレンズ径などを適切に設計することにより、各レンズ面自体を開口面とし、物体高に応じて口径食を生じる開口面が物体高に応じて変化しない構成としている。これにより、光束を制限する面がG1R2面(第1の開口面)及びG2R1面(第2の開口面)のみとなるため、レンズ光学系202aに係る開口面を全物体高において一定とすることができる。
なお、本実施例においては、第1の光学系に係る原稿面201(物体面)から最も遠いレンズ面(G1R2面)を第1の開口面としている。ここで、本実施例では、第1の光学系と第2の光学系とが中間結像面206に対して対称な形状であるため、第2の光学系の第2の開口面は、第2の光学系の像面から最も遠いレンズ面(G2R1面)となる。すなわち、本実施例では、第1の開口面及び第2の開口面の夫々を中間結像面206に最も近い面として設定することにより、レンズ面を開口面として形成しやすい構成となっている。
図16(a)及び(b)の夫々は、本実施例に係るレンズアレイ光学系202を構成するレンズ光学系202aのうちのある1つのレンズ光学系202aにおいて、軸上物体高及び最外物体高からの光束の夫々が通過する時の様子を示した図である。なお、本実施例においては、物体(光源)と各レンズ光学系202aの光軸とが、第2の方向に離間している構成であるため、軸上物体高からの光束と光軸上の光束とが異なる。
図16(a)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の軸上開口面はG1R2面(出射面)、第2の光学系の軸上開口面はG2R1面(入射面)である。また、図16(b)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の最外開口面はG1R2面、第2の光学系の最外開口面はG2R1面である。このように、本実施例に係るレンズ光学系202aは、第1の光学系及び第2の光学系の両方において、軸上開口面と最外開口面とが等しいため、物体高に応じて口径食を生じる面が変化しない構成となっている。
ここで、比較例1と同様に、本実施例に係る1つのレンズ光学系における物体高毎の光利用効率の比を図17に示す。図17を見てわかるように、本実施例に係るグラフのプロファイルは屈曲点を有しておらず、傾きが急になることなく緩やかなままである。また、本実施例における、温度変化前の原稿位置毎の光利用効率比、結像光量比、受光光量比、及び補正光量比の夫々を、図18(a)〜(d)に示す。図18(b)より、本実施例のように画像読取装置に組み込まれたレンズアレイ光学系においても、原稿面上の原稿位置に応じて、センサ面での結像光量のムラが生じていることがわかる。
この結像光量のムラは、レンズアレイ光学系において、原稿位置に応じて光路が変化し、原稿位置毎に光利用効率が異なることに起因して発生する。画像読取装置においては、図18(b)に示すような結像光量のムラに対して、センサ部の受光感度を電気的に補正することで、センサ面に入射する光束の受光光量を均一にすることができる。具体的には、各原稿位置に対応するセンサ面上の位置の各受光感度の比を図18(c)に示すように設定することで、センサ部の受光感度補正後の結像光量(補正光量)の比は図18(d)に示すようになり、結像光量のムラを低減させることができる。
さらに、実施例1と同様に、昇温による各レンズ光学系の曲率変化によって、各レンズ光学系の光利用効率の分布が変動し、最外物体高が5%小さくなった場合を考える。この時の、本実施例における、原稿位置毎の光利用効率比、結像光量比、受光光量比、及び補正光量比の夫々は、図19(a)〜(d)に示すようになる。本実施例においても、昇温によるレンズ光学系の変化により、図18(d)に示した昇温が生じる前の補正光量比に対して、図19(d)に示すようにp−p2%の光量ムラが発生しているが、比較例1(p−p17%)と比較して大幅に小さい値である。さらに、本実施例では、レンズ光学系を2段配列してレンズアレイ光学系を構成としたことで、結像に寄与する光束の数を増やすことができるため、実施例1(p−p5%)よりも光量ムラの発生を抑えることができている。
以上、本実施例に係るレンズアレイ光学系は、各レンズ光学系に係る開口面が物体高に応じて変化しない構成である。この構成により、温度変化等によって各レンズ光学系に変化(変形や屈折率変化)が生じたとしても、光量ムラが変化し難くなるという効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、実施例1と同一または同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
実施例3においても、実施例1と同様に、図1(a)に示したような画像形成装置における露光ユニット内に、レンズアレイ光学系を配置した場合を想定して説明する。図20(a)〜(c)は、本実施例に係るレンズアレイ光学系302の要部概要図であり、図20(a)は第1の断面(XY断面)、図20(b)は第2の断面(ZX断面)、図20(c)はX方向からの正面図を示している。本実施例に係るレンズアレイ光学系302は、第1の方向(Y方向)において、レンズ光学系302aが0.30mmの配列ピッチで複数配列されて構成されている。また、第2の方向に(Z方向)については1段配列されている。
図21に示すように、1つのレンズ光学系302aは、同一の光軸上に配置された、第1の光学系(G1レンズ304)、第2の光学系(G2レンズ305)、及び遮光部材307を有している。各レンズ光学系302aは、XY断面内においては、光源101が有する複数の発光点の夫々を感光体の感光面103上に正立等倍結像する系(正立等倍結像系)である。しかし、実施例1とは異なり、ZX断面内においては光源101が有する複数の発光点の夫々を感光体の感光面103上に倒立等倍結像する系(倒立等倍結像系)である。これにより、正立等倍結像系と比較して、結像性能を向上させている。また、ZX断面内において、G1レンズ304とG2レンズ305とは、中間結像面306に対して非対称な形状である。
ここで、図20(c)に示したように、本実施例に係る第1の光学系及び第2の光学系の夫々の開口面(レンズ面)の形状は楕円形状となっている。これにより、画角を制限して結像性能を向上しつつ、開口を大きくして光利用効率を向上させることができる。なお、レンズアレイ光学系302を構成する各レンズ光学系302aのレンズ面(G1R1面、G1R2面、G2R1面、G2R2面)はアナモフィックな非球面で構成されており、その非球面の形状は実施例2と同様に非球面式(2)で表わされる。本実施例に係るレンズ光学系302aの諸特性値を表4に示す。
Figure 2014126751
本実施例においても、レンズアレイ光学系302を構成するレンズ光学系302aのパワーやレンズ径などを適切に設計することにより、各レンズ面自体を開口面とし、物体高に応じて口径食を生じる開口面が物体高に応じて変化しない構成としている。これにより、光束を制限する面がG1R2面(第1の開口面)及びG2R1面(第2の開口面)のみとなるため、レンズ光学系202aに係る開口面を全物体高において一定とすることができる。
図22(a)及び(b)の夫々は、本実施例に係るレンズアレイ光学系302を構成するレンズ光学系302aのうちのある1つのレンズ光学系302aにおいて、軸上物体高及び最外物体高からの光束の夫々が通過する時の様子を示した図である。図22(a)より、XY断面内において、第1の光学系の軸上開口面はG1R2面(出射面)、第2の光学系の軸上開口面はG2R1面(入射面)である。なお、本実施例に係る開口面(G1R2面及びG2R1面)は共に楕円形状であるため、図からはわかりづらいかもしれないが、ZX断面内においても、第1の光学系の軸上開口面はG1R2面、第2の光学系の軸上開口面はG2R1面となっている。また、図22(b)より、XY断面内及びZX断面内の両方において、第1の光学系の最外開口面はG1R2面、第2の光学系の最外開口面はG2R1面である。
このように、本実施例に係るレンズ光学系302aは、第1の光学系及び第2の光学系の両方において、軸上開口面と最外開口面とが等しいため、物体高に応じて口径食を生じる面が変化しない構成となっている。
ここで、比較例1と同様に、本実施例に係る1つのレンズ光学系における物体高毎の光利用効率の比を図23に示す。図23を見てわかるように、本実施例に係るグラフのプロファイルは屈曲点を有しておらず、比較例1と比較してグラフの傾きが緩やかになっている。また、本実施例における、発光点位置毎の光利用効率比、結像光量比、発光光量比、及び補正光量比の夫々を、図24(a)〜(d)(昇温前)及び図25(a)〜(d)(昇温後)に示す。本実施例においても、昇温によるレンズ光学系の変化により、図24(d)に示した昇温が生じる前の補正光量比に対して、図25(d)に示すようにp−p5%の光量ムラが発生しているが、比較例1(p−p17%)と比較して大幅に小さい値である。
以上、本実施例に係るレンズアレイ光学系は、各レンズ光学系に係る開口面が物体高に応じて変化しない構成である。この構成により、温度変化等によって各レンズ光学系に変化(変形や屈折率変化)が生じたとしても、光量ムラが変化し難くなるという効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例4について説明する。なお、実施例1と同一または同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。本実施例と実施例1とで異なる点は、レンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系の第1の方向の配列ピッチのみである。
前述したように、光量ムラは最外物体高近傍におけるグラフの重なり具合の変化に依存して発生するため、各レンズ光学系の配列ピッチを変化させることにより、光量ムラを低減させることができる。ここで、上述した比較例1に係るレンズアレイ光学系を構成する各レンズ光学系の第1の方向の配列ピッチを0.59mmとした構成を比較例2とし、比較例2における発光点位置毎の光利用効率の比を図26(a)に示す。図26(a)を見るとわかるように、配列ピッチを調整することにより、最外物体高近傍におけるグラフの重なりが適切に補正されていることがわかる。
しかし、比較例2における発光点位置毎の結像光量の比を図26(b)に示すとわかるように、レンズ光学系の配列ピッチを調整したにもかかわらず、光量ムラがp−p25.0%発生していることがわかる。これは、前述したように、グラフに屈曲点が生じている場合、そのプロファイルに応じて光量ムラの低減効果にばらつきが生じるためである。よって、この方法では光量ムラの低減効果が高いレンズ光学系を安定して設計製造することができない。
そこで、本実施例おいては、実施例1と同様に開口面が物体高に応じて変化しない構成とした上で、各レンズ光学系に対する最外物体高が、各レンズ光学系の配列ピッチと略等しくなるように、レンズアレイ光学系を設計している。具体的には、光束を制限する面がG1R1面(第1の開口面)及びG2R2面(第2の開口面)のみとなるように各レンズ面の有効径を設計した上で、各レンズ光学系の配列ピッチを0.62mmとしている。これにより、図27(a)に示すように、本実施例に係る発光点位置−光利用効率グラフは、屈曲点を有さず、かつ最外物体高近傍の重なりが良好に補正されたプロファイルとなっている。そして、本実施例における発光点位置毎の結像光量の比は図27(b)に示すようになり、光量ムラがp−p8.2%生じているが、比較例2に対して光量ムラを低減できていることがわかる。
このように各レンズ光学系に対する最外物体高近傍における物体高−光利用効率グラフ同士を略一致させることにより、良好に光量ムラを低減することができる。なお、最外物体高と配列ピッチとは厳密に一致する必要はなく、最外物体高が配列ピッチの整数倍である場合や、配列ピッチの±10%程度ずれている場合も、光量ムラを低減する効果を得ることができる。以上より、下記の条件式(3)を満足するように各レンズ光学系の配列ピッチpと最外物体高Lとを設計することにより、良好に光量ムラを低減する効果を得ることができる。但し、nは正の整数である。
(n−0.1)×p≦L≦(n+0.1)×p (3)
[画像形成装置]
図1(a)は本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置33の要部概略図(ZX断面図)である。カラー画像形成装置33は、上述の各実施例に示したいずれかのレンズアレイ光学系を有する光学装置(露光ユニット)を4個備え、夫々が並行して感光ドラム(感光体)の受光面(感光面)を露光するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。カラー画像形成装置33は、各実施例に示したいずれかの構成を有する露光ユニット17,18,19,20と、像担持体としての感光ドラム21,22,23,24と、現像器25,26,27,28と、搬送ベルト34と、定着器37とを備えている。ここで、露光ユニット17,18,19,20の夫々は、レンズアレイ光学系の第2の方向が感光ドラム21,22,23,24の回転方向である副走査方向(Z方向)に一致するように配置されている。
図1(a)において、カラー画像形成装置33には、パーソナルコンピュータ等の外部機器35からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力される。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ36によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の画像信号(ドットデータ)に変換され、夫々対応する露光ユニット17,18,19,20に入力される。なお、プリンタコントローラ36は、信号の変換だけでなく、カラー画像形成装置33における各部の制御を行っている。
そして、露光ユニット17,18,19,20の夫々からは、各色の画像信号に応じて変調された露光光29,30,31,32が出射する。露光光29,30,31,32の夫々により、不図示の帯電ローラにより帯電させられた感光ドラム21,22,23,24の各感光面が露光されることで、各感光面上に静電潜像が形成される。その後、感光ドラム21,22,23,24の感光面上に形成された各色の静電潜像は、現像器25,26,27,28の夫々によって各色のトナー像として現像される。そして、各色のトナー像が不図示の転写器によって被転写材に多重転写された後、定着器37によって定着されることにより、1枚のフルカラー画像を形成している。
[画像読取装置]
図1(b)は、本実施形態に係る画像読取装置44の要部概略図(ZX断面図)である。画像読取装置44は、透過部材から成る原稿台43の上面に配置された原稿40を、読取ユニット41により読み取る構成である。原稿台43はフレーム42により支持されており、原稿台43の上面は原稿40の原稿面と一致している。
ここで、読取ユニット41は、原稿台43を介して原稿40を照明する照明部と、上述の各実施例に示したいずれかのレンズアレイ光学系と、レンズアレイ光学系により集光された原稿40からの反射光を受光する受光部と、を有している。読取ユニット41は、不図示の駆動部によりX方向(副走査方向)に移動可能な構成であるため、原稿40とレンズアレイ光学系との相対位置を副走査方向に変更することができる。この構成により、読取ユニット41は、原稿40の原稿面を副走査方向に順次読み取ることができ、原稿40の原稿面の全域の画像データを取得することができる。
この時、原稿台43の上面、すなわち原稿40の原稿面は、レンズアレイ光学系の物体面に配置されており、受光部の受光面(センサ面)は、レンズアレイ光学系の像面に配置されている。また、レンズアレイ光学系は、第2の方向が副走査方向に一致するように配置されている。受光部としては、例えばCCDセンサやCMOSセンサ等により構成されるラインセンサを用いることができる。なお、画像読取装置44は、照明部により照明された原稿40からの透過光を受光部によって受光する構成としてもよい。また、照明部としては、光源を含むものに限らず、外部からの光を原稿40に導光するような構成を採用しても良い。
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
例えば、上述した各実施例においては、第1の光学系及び第2の光学系の夫々のレンズ面自体を開口面としているが、本発明はこれに限らず、各光学系において別途設けた開口絞りにより開口面を形成してもよい。この際、レンズ面と開口絞りとの組み合わせにより、光束を制限する構成としてもよい。
実施例1及び2に係るレンズ光学系は、夫々の中間結像面に対して対称な形状となっているが、実施例3のように中間結像面に対して非対称な形状となるように構成してもよい。また、各実施例に係るレンズ光学系は、第1の断面内において物体を正立等倍結像系であるが、本発明の効果が得られる範囲であるならば厳密に等倍としなくてもよい。一方、第2の断面内においては、各レンズ光学系を拡大系としたり、収差の補正や敏感度の低減のために各レンズ光学系の倍率を変動させたりしてもよい。よって、実施例2に係る各レンズ光学系は、倒立等倍結像系でなくてもよく、第2の断面内において倒立結像系であればよい。
なお、上述した各実施例においては、軸上物体高(又は光利用効率が90%になる物体高)からの光束を、第1の光学系の第1の開口面及び第2の光学系の第2の開口面の双方によって制限している。さらに、最外物体高(又は光利用効率が10%になる物体高)からの光束も、第1の光学系の第1の開口面及び第2の光学系の第2の開口面の双方によって制限している。
しかし、本発明はこれに限らず、軸上物体高(又は光利用効率が90%になる物体高)からの光束を、第1の開口面又は第2の開口面のいずれか一方のみで制限する構成としてもよい。例えば、軸上物体高からの光束を第1の開口面のみで制限する場合は、最外物体高からの光束も第1の開口面で制限するように構成すればよい。同様に、軸上物体高からの光束を第2の開口面のみで制限する場合は、最外物体高からの光束も第2の開口面で制限するように構成すればよい。なお、本実施形態に係るレンズアレイ光学系においては、軸上物体高からの光束を第1の開口面のみで制限する場合に、最外物体高からの光束を第2の開口面で制限するような構成にはならない。
よって、光利用効率が90%になる物体高からの光束を第1の開口面及び第2の開口面の少なくとも一方で制限し、かつ、光利用効率が10%になる物体高からの光束を光利用効率が90%になる物体高からの光束を制限した開口面で制限するように構成すればよい。この構成により、開口面が物体高に応じて変化しないように構成することができ、本発明の効果を得ることができる。
また、各実施例に係るレンズアレイ光学系を、第1の光学系と第2の光学系との開口面の第1の方向における有効径が互いに異なる構成としてもよい。このような構成においては、軸上物体高からの光束を制限する面が、第1及び第2の光学系のいずれか一方の開口面のみとなる物体高の範囲が生じる場合がある。しかし、このような場合においても、開口面が物体高に応じて変化しないように構成することで、本発明の効果を得ることができる。
さらに、実施例2においては、第1の光学系及び第2の光学系の少なくとも一方のレンズ面を、第1の方向における有効径よりも第2の方向における有効径の方が大きい構成としても、上述した効果を得ることができる。
また、画像読取装置44を前述した外部機器35として、カラー画像形成装置33に接続することにより、カラーデジタル複写機を構成してもよい。
101 光源(物体面)
102 レンズアレイ光学系
102a レンズ光学系
103 感光面(像面)
104 第1の光学系
105 第2の光学系
106 中間結像面

Claims (17)

  1. 第1の方向に配列された複数のレンズ光学系を有するレンズアレイ光学系であって、
    前記複数のレンズ光学系の夫々は、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに平行な第1の断面内において、物体の中間像を形成する第1の光学系と該物体の中間像を再結像する第2の光学系とを含み、
    前記複数のレンズ光学系の夫々において、光利用効率が90%になる物体高からの光束を、前記第1の光学系に係る第1の開口面及び前記第2の光学系に係る第2の開口面の少なくとも一方で制限し、かつ、光利用効率が10%になる物体高からの光束を、前記光利用効率が90%になる物体高からの光束を制限した開口面で制限することを特徴とするレンズアレイ光学系。
  2. 前記数のレンズ光学系の夫々において、最外物体高からの光束を、前記光利用効率が90%になる物体高からの光束を制限した開口面で制限することを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ光学系。
  3. 前記数のレンズ光学系の夫々において、軸上物体高からの光束を前記第1及び第2の開口面の少なくとも一方で制限し、かつ、最外物体高からの光束を前記軸上物体高からの光束を制限した開口面で制限することを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ光学系。
  4. 前記第1の方向における前記複数のレンズ光学系の配列ピッチをp、前記最外物体高をL、正の整数をn、とする時、
    (n−0.1)×p≦L≦(n+0.1)×p
    なる条件を満足することを特徴とする請求項2又は3に記載のレンズアレイ光学系。
  5. 前記第1の及び第2の開口面の少なくとも一方の形状は、矩形であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  6. 前記複数のレンズ光学系の夫々は、前記第1の方向に垂直な第2の断面内において、前記物体を倒立結像することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  7. 前記第1の開口面は、前記第1の光学系の物体面から最も遠い面であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  8. 前記第1及び第2の開口面の少なくとも一方は、前記第1の方向における有効径よりも、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに垂直な第2の方向における有効径の方が大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  9. 前記第1の方向における前記第1の開口面の有効径と、前記第1の方向における前記第2の開口面の有効径とが等しいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  10. 前記複数のレンズ光学系の夫々は、アナモフィックな非球面であるレンズ面を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  11. 前記複数のレンズ光学系は、前記第1の方向と、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに垂直な第2の方向と、に配列されており、
    前記複数のレンズ光学系は、前記第1の方向と前記第2の方向とに平行な面内において千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  12. 前記第1の光学系と前記第2の光学系とは、前記レンズ光学系が有する中間結像面に対して対称な形状であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  13. 1つの物点を少なくとも2つのレンズ光学系によって結像することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  14. 前記第1の開口面は前記第1の光学系のレンズ面であり、かつ、前記第2の開口面は前記第2の光学系のレンズ面であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  15. 前記第1の光学系は第1の開口絞りを有し、かつ、前記第2の光学系は第2の開口絞りを有しており、
    前記第1の開口面は前記第1の開口絞りにより形成され、かつ、前記第2の開口面は前記第2の開口絞りにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系と、前記レンズアレイ光学系の物体面に配置された複数の発光点を有する光源と、該光源から出射した複数の光束により前記レンズアレイ光学系の像面に配置された感光体の感光面上に前記レンズアレイ光学系が形成する静電潜像を、トナー像として現像する現像器と、該現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、該転写されたトナー像を該被転写材に定着させる定着器と、を備えており、
    前記レンズアレイ光学系は、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに垂直な第2の方向が、前記感光体の回転方向となるように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載のレンズアレイ光学系と、原稿を照射する照明手段と、前記レンズアレイ光学系の像面に配置され、前記レンズアレイ光学系により集光された該原稿からの光束を受光する受光部と、前記レンズアレイ光学系と該原稿との相対位置を、前記第1の方向と前記レンズ光学系の光軸方向とに垂直な第2の方向に変更する駆動部と、を有することを特徴とする画像読取装置。
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