JP3509534B2 - 光学装置 - Google Patents

光学装置

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JP3509534B2
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lenses
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ファクシミリや
イメージスキャナ、LEDプリンタなどに用いられる画
像読取りのための光学装置に関し、特に対象物の等倍像
を受光面に結像させる光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリやイメージスキャナ、LE
Dプリンタなどには、直線上の像を等倍率でセンサや感
光ドラム上に結像させる光学装置が用いられる。このよ
うな光学装置としては、屈折率分布を有する円柱透明体
からなるロッドレンズのアレイと、凸レンズのアレイと
を三層に重ね合わせたもの(例えば特公昭49−889
3号公報、特開昭57−104923号公報、特開昭5
7−66414号公報参照)や、厚い凸レンズのアレイ
を2層重ね合わせたもの(例えば特開昭54−8157
1号公報参照)などが知られている。
【0003】さらに、2列のシリンドリカルレンズアレ
イと2本のシリンドリカルレンズを用いたもの(例えば
特開平6−208081号公報参照)や、シリンドリカ
ルミラーとレンズとシリンドリカルレンズを用いたもの
も知られている(例えば、特開昭58−34419号公
報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ファクシミリやイメー
ジスキャナに用いられる画像読み取り用の光学装置にお
いては、省電力化のために光利用効率の高いこと、同時
に取り付け許容誤差を大きくするために画高の大きなこ
とが望まれる。しかしながら、従来のこのような光学装
置では、画高を大きくし像の明るさを稼ぐために、レン
ズの口径を大きくするか作動距離を短くするかしてF値
を下げようとすれば、レンズ周辺部を通る光の屈折角の
積算が大きくなり、そのため収差が大きくなり好ましく
ない。
【0005】この発明は、このような事情を考慮してな
されたもので、シリンドリカルレンズと一次元バイナリ
レンズとを組合せることにより、簡易で安価な構成で、
明るく大きな画高をもつ光学装置を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、対象物に対
して等倍の実像を受光面に結像させる結像光学系を備え
た光学装置において、第1および第2シリンドリカルレ
ンズと、複数のレンズからなる第1および第2レンズ列
を備え、第1および第2シリンドリカルレンズを各母線
が互いに平行になるように対向させ、第1および第2レ
ンズ列を第1および第2シリンドリカルレンズの間に互
いに対向するように前記母線方向に配列させ、対象物か
ら発散する光が第1シリンドリカルレンズ、第1レンズ
列、第2レンズ列および第2シリンドリカルレンズを経
て受光面に集光するように構成し、第1および第2レン
ズ列を構成する各レンズが、前記母線方向にのみ集光特
性を有する一次元バイナリレンズからなり、受光面上に
第1および第2シリンドリカルレンズによる実像と第1
および第2レンズ列による正立像とを互いに直交方向に
得ることを特徴とする光学装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】この発明の光学装置は、平行な母
線をもつ2個のシリンドリカルレンズを対に配設した内
側に、シリンドリカルレンズの母線方向のみに集光性を
もつ1組の一次元バイナリレンズ列を、前記母線方向に
並べて構成される。画像読取り装置に対しては、2個の
シリンドリカルレンズの母線が画像の主走査方向に対応
し、バイナリレンズ列はその母線方向に一列に配列され
る。
【0008】なお、シリンドリカルレンズは、いわゆる
円柱の一部や円柱面のみによって構成されるものでな
く、レンズとしての収差が少ない2次面あるいはそれ以
外の曲線によって底面の形が表わされるものを含むもの
とする。また、2個のシリンドリカルレンズは柱面を共
に内側向きに、あるいは外側向きに配設してもよく、と
もに同じ向きに配設されてもよい。
【0009】レンズアレイを用いた読取り装置では、ア
レイを構成する各レンズが正立等倍に結像することが連
続性のある像を得るために必要である。しかし、この正
立の条件は、主走査方向にのみ成立すればよく、副走査
方向には正立像であっても倒立像であってもよい。
【0010】従って、この発明の光学装置を用いた画像
読取り装置においては、主走査方向と平行な母線をもつ
2本のシリンドリカルレンズによって、副走査方向には
正立又は倒立した等倍像を結像し、主走査方向にのみ集
光性をもつ一対の一次元バイナリレンズ列によって主走
査方向に正立等倍像を結像する。
【0011】一次元バイナリレンズとは、図13の
(c)に示すようなレンズである。図13(a)に示す
通常の屈折型シリンドリカルレンズからレンズで区切ら
れる体積部の集光効果に影響を及ぼさない、波長の整数
倍の光路差dを与える部分つまり等位相面を除いたもの
が図13の(b)に示す一次元のフレネルレンズであ
る。一次元バイナリレンズは図13(b)の一次元のフ
レネルレンズを階段状に近似したものである。従って、
一次元バイナリレンズはその高さdが波長の整数倍とな
るため、その波長を有する光に対して図13(a)に示
すシリンドリカルレンズと同等の集光特性を示すという
性質を有する。また、一次元バイナリレンズは、図13
の(c)に示すようにシリンドリカルレンズに比べてサ
イズが十分に小さくその形状の制御や焦点距離の短いレ
ンズの作製が容易である。
【0012】一次元バイナリレンズは、例えばアクリル
系紫外線硬化樹脂を用いた紫外線転写法や、ポリカーボ
ネート樹脂、アクリル樹脂又はPMMA樹脂を用いた射
出成形法や熱プレス法などにより製作される。一方、シ
リドリカルレンズは上記樹脂を用いて射出成形法や熱プ
レス法により製作される。従って、一次元バイナリレン
ズ列はシリンドリカルレンズと容易に一体成形すること
ができる。
【0013】鏡像等倍像を形成するために2本のシリン
ドリカルレンズの間に2列のシリンドリカルレンズアレ
イを設置した従来の光学装置においては、副走査方向に
光学素子の幅を広くとることで、より明るい像を結像さ
せることが可能である。
【0014】しかし、大きな画高を保ちつつ光学素子の
副走査方向の幅を広くしようとすると、その幅を広くす
るにしたがって、主走査方向と平行な母線をもつシリン
ドリカルレンズの、レンズ中央部を通過する光の光路長
とレンズ周辺部を通過する光の光路長の差が大きくな
る。すなわち収差が大きくなるため像のボケを生じるこ
とになる。この収差の補正をおこなうためには、シリン
ドリカルレンズアレイが副走査方向にも、焦点距離の変
化するレンズを用いることが必要となり、シリンドリカ
ルレンズをアレイ状に配置する際の副走査方向の位置合
わせについても精度が要求され、それだけ作製が困難に
なる。またレンズ自体の形状も複雑になりコストの上昇
につながる。
【0015】これに対して、この発明では一次元バイナ
リレンズを用い、そのレンズの焦点距離をレンズ中央か
らレンズ周辺部へ副走査方向に段階的あるいは連続的に
低下させることによりこの収差の補正が容易に可能とな
る。
【0016】また、この発明において前述のように、一
次元バイナリレンズはシリンドリカルレンズの裏面に一
体的に作製することができるので、一次元バイナリレン
ズ間の遮光部材を含めても、部品数を3点までに削減す
ることができる。このため、互いの部品を配設する際の
位置合わせも非常に容易となる。同時に、部品点数が少
なくなることは、異なる媒質間の境界面が減少すること
を意味する。これによって、境界面の反射が原因で生じ
る迷光の影響を低減することが可能となる。
【0017】さらに、赤色光、緑色光、青色光の波長に
応じた一次元バイナリレンズやカラーフィルタを用いる
ことにより、それぞれの波長を選択的に結像させること
が可能となる。第1および第2シリンドリカルレンズの
少なくとも一方のレンズ面を3つの部分に分割する、あ
るいはシリンドリカルレンズの裏面にプリズム面を設け
ることにより、3色の波長の各々により平行な3本のラ
イン上に結像させることも可能となる。
【0018】このように、カラー画像を三原色の各色ご
とに別々の受光面に結像させることにより、カラー画像
の3色同時読み取りが可能な光学系が実現できる。これ
により、1本のラインセンサで3色を時分割方式によっ
て読み取る場合に比べ、読み取りの高速化が可能とな
る。
【0019】
【実施例】この発明の光学装置について、イメージスキ
ャナの画像読取り装置に適用した実施例を図面を用いて
以下に説明する。なお、図面において、共通の構成要素
には同じ参照符号を付している。
【0020】第1実施例 図1〜図3を用いて第1実施例を説明する。これらの図
に示すように、シリンドリカルレンズ1とシリンドリカ
ルレンズ2は、各々表面が曲面で、裏面が平面からな
り、表面が互いに外側になるように、また裏面が互いに
対向し母線が主走査方向(x方向)に平行になるように
配置される。シリンドリカルレンズ1の裏面に一体的に
一次元バイナリレンズ3a〜3fが形成され、主走査方
向(x方向)に一列に配列されてバイナリレンズ列(ア
レイ)3を構成している。
【0021】同様にシリンドリカルレンズ2の裏面に一
体的に一次元バイナリレンズ4a〜4fが形成され、主
走査方向(x方向)に一列に配列されてバイナリレンズ
列(アレイ)4を構成している。一次元バイナリレンズ
3a〜3f,4a〜4fはいずれも主走査方向にのみ集
光特性を有し、シリンドリカルレンズ1,2は共に副走
査方向(y方向)にのみ集光特性を有する。
【0022】物体(原稿)面5が図示しない光源によっ
て照明されると、物体面5から発散する光はシリンドリ
カルレンズ1,バイナリレンズ列3,バイナリレンズ列
4およびシリンドリカルレンズ2を経て受光面6に集光
される。そして、受光面6には、図2に示すようにシリ
ンドリカルレンズ1,2によるy方向の倒立像が得ら
れ、図3に示すようにバイナリレンズ列3,4によるx
方向の正立像が得られる。
【0023】なお、バイナリレンズ列3,4を構成する
一次元バイナリレンズ3a〜3f,4a〜4fは、いず
れも焦点距離が物体面5から受光面6に至る光路長の変
化に合わせて副走査方向に連続的又は段階的に変化する
ように構成され、シリンドリカルレンズ1,2の周縁部
で生じる収差を補正している。
【0024】つまり、一次元バイナリレンズ3a〜3
f,4a〜4fの各々は、その中央で焦点距離が最も短
く副走査方向に両端へ行くほど焦点距離が長くなってい
る。
【0025】また、一次元バイナリレンズ3a〜3fの
各々から出射した光が対向する一次元バイナリレンズ4
a〜4fの各々にのみ入射するようにバイナリレンズ列
3と4との間にz方向に平行な遮光板7を挿入すること
が好ましい。これによってx方向に隣接するバイナリレ
ンズ間のクロストークを防ぐことができる。
【0026】また、遮光板7にはプラスチック板や金属
板が使用されるが、その表面での反射光の影響を低減さ
せるために、表面形状を種々に工夫してもよく、あるい
は表面を化学処理やサンドブラストのような方法によっ
て粗面化してもよい。
【0027】シリンドリカル1とバイナリレンズ列3、
シリンドリカルレンズ2とバイナリレンズ列4はそれぞ
れポリカーボネート、アクリル樹脂又はPMMA樹脂を
用いて射出成形法又は熱プレス法により一体成形され
る。なお、これらを一体成形でなく別々に製作した上
で、両者を接着してもよい。
【0028】第1実施例によれば、主走査方向に正立像
を得るためにバイナリレンズ列を使用しているので、
(1)物体面から受光面までの距離が短くなる、(2)
異なる集光特性を有する2つのレンズの一体成形が可能
となる、(3)一次元バイナリレンズの光学特性の調整
が簡単であるため収差の補正が容易になり、光路長の差
によって生じる像のボケが防止できる、という効果が得
られる。
【0029】第2実施例 図4〜図6を用いて第2実施例を説明する。これらの図
に示すようにシリンドリカルレンズ1とバイナリレンズ
列3との間に、赤色の光のみを透過させるカラーフィル
タ8と、緑色の光のみを透過させるカラーフィルタ9
と、青色の光のみを透過させるカラーフィルタ10が主
走査方向に互いに平行に設けられている。
【0030】そして、一次元バイナリレンズ3a〜3f
と4a〜4fは、カラーフィルタ8,9,10からの光
が透過する各領域に対応するように3つのセグメントに
分けて設けられ、各セグメントは、対応するカラーフィ
ルタからの光の波長に適応する波長特性を有する。つま
り一次元バイナリレンズ3a〜3f,4a〜4fは、そ
れぞれ赤、緑、青色用セグメントからなる。
【0031】また、各セグメントは、焦点距離が第1実
施例と同様に光の光路長に対応して副走査方向に変化す
るよう構成されている。その他の構成は、第1実施例と
同等である。また、シリンドリカルレンズ1と2は表面
が互いに対向する向きに配置されており、その間にバイ
ナリレンズ列3,4を挟む構成であってもよい。この場
合、バイナリレンズとシリンドリカルレンズが一体的に
成形できなくなるが、曲面が外側を向いている場合に比
べて、短焦点距離のシリンドリカルレンズ作製が容易に
なる。
【0032】物体面5が図示しない白色光源によって照
明されると、物体面5から発散してシリンドリカルレン
ズ1を経た光はカラーフィルタ8,9,10を透過し赤
色、緑色、青色の3種類の光に変換されそれぞれが一次
元バイナリレンズ3a〜3f,4a〜4fの対応する
赤、緑、青用セグメントを経た後、シリンドリカルレン
ズ2を経て受光面6に第1実施例と同様に結像する。
【0033】このようにして、物体面5からの光は三色
に分離され各色の光の波長に適したバイナリレンズの各
セグメントを経た後、シリンドリカルレンズ2により受
光面6に合成されるので、光学系の色収差を補償するこ
とができる。また、バイナリレンズの焦点距離を光路長
に合わせて設定しているので、像のボケが防止される。
【0034】第3実施例 図7〜図9を用いて第3実施例を説明する。この実施例
は、第2実施例のシリンドリカルレンズ2(図4)をシ
リンドリカルレンズ12に置換えしたもので、その他の
構成は第2実施例と同等である。シリンドリカルレンズ
12は、表面の曲面がカラーフィルタ8,9,10に対
応して副走査方向に分割された3つのセグメント12
a,12b,12cからなる。
【0035】物体面5が図示しない白色光源によって照
明されると、物体面5から発散した光はシリンドリカル
レンズ1に入射する。シリンドリカルレンズ1を出た光
のうち、カラーフィルタ8を透過した光は赤色に変換さ
れ、一次元バイナリレンズ3a〜3f,4a〜4fの赤
色用セグメントを透過しシリンドリカルレンズ12のセ
グメント12aを経て受光面6aに結像する。
【0036】同様にシリンドリカルレンズ1を出た光の
うちカラーフィルタ9,10を透過した光はそれぞれ緑
色、青色に変換され、一次元バイナリレンズ3a〜3
f,4a〜4fの緑色用および青色用セグメントをそれ
ぞれ透過し、シリンドリカルレンズ12のセグメント1
2b,12cを経て受光面6b,6cに結像する。つま
り、物体面5からの光は3つの色に分離され主走査方向
に平行な3つの受光面6a〜6cにそれぞれ結像され
る。
【0037】従って、受光面6a〜6cの各々に受光素
子を設ければ、3色の画像データを効率よく同時に読取
ることができる。また、一次元バイナリレンズの焦点距
離を光路長に合わせて設定しているので、像のボケが防
止される。
【0038】第4実施例 図10は第4実施例を示す斜視図である。この実施例
は、第3実施例のシリンドリカルレンズ1(図7)をシ
リンドリカルレンズ11で置換え、それに合わせてシリ
ンドリカルレンズ12の曲面形状を設計し直したもので
ある。その他の構成は第3実施例と同等である。シリン
ドリカルレンズ11は、シリンドリカルレンズ12と同
様に、カラーフィルタ8,9,10に対応して副走査方
向に分割された3つのセグメント11a,11b,11
cからなる。また、シリンドリカルレンズ11,12の
それぞれのセグメントは、対応するフィルタの波長の色
収差を補正するように曲面が設計されている。これによ
り、シリンドリカルレンズの副走査方向の色収差を補正
することができる。
【0039】物体面5が図示しない白色光源によって照
明されると、物体面5から発散した光はシリンドリカル
レンズ1に入射する。そして、セグメント11aに入射
した光は、カラーフィルタ8、バイナリレンズ3a〜3
f,4a〜4fの赤色用セグメント、およびセグメント
12aを経て受光面6aに結像される。
【0040】セグメント11bに入射した光は、カラー
フィルタ9、バイナリレンズ3a〜3f,4a〜4fの
緑色用セグメント、およびセグメント12bを経て受光
面6bに結像される。セグメント11cに入射した光
は、カラーフィルタ10、バイナリレンズ3a〜3f,
4a〜4fの青色用セグメント、セグメント12cを経
て受光面6cに結像される。
【0041】第5実施例 図11と図12を用いて第5実施例を説明する。これら
の図に示すように、シリンドリカルレンズ21は表面が
曲面で裏面が平面である。シリンドリカルレンズ22は
表面が曲面で、裏面が副走査方向に分離した3つの平面
22a,22b,22cからなるプリズム屈折面を備
え、平面22a,22b,22cのプリズム作用により
物体面5からの光が主走査方向に平行な3つの受光面6
a,6b,6cに分離して結像されるようになってい
る。
【0042】平面22a,22b,22cにはそれぞれ
赤色光、緑色光、青色光用のカラーフィルタ8,9,1
0が設けられている。シリンドリカルレンズ21と22
は表面が互いに対向し母線が主走査方向に平行になるよ
うに配置される。
【0043】シリンドリカルレンズ21と22との間
に、透明基板27の両面にそれぞれ形成されたバイナリ
レンズ列23,25と透明基板28の両面にそれぞれ形
成されたバイナリレンズ列26,28とが設置される。
バイナリレンズ列23,25,26,28の各々は主走
査方向にのみ集光特性を有する複数の一次元バイナリレ
ンズからなり主走査方向に一列に配列される。バイナリ
レンズ列25と26との間には、前述の実施例と同様に
遮光板7が挿入される。
【0044】シリンドリカルレンズ21と23は受光面
6a,6b,6cにy方向の倒立像を結像し、バイナリ
レンズ列23,24は受光面6a,6b,6cにx方向
の正立像を結像する。バイナリレンズ列25,26は遮
光板7によって遮光される光を減じて結像に寄与する光
量を増大させるための中間レンズとして設けられてい
る。
【0045】バイナリレンズ列23,25,26,28
を構成する一次元バイナリレンズは、前述の実施例と同
様に、いずれも焦点距離が物体面5から受光面6a,6
b,6cに至る光路長の変化に合わせて副走査方向に連
続的に又は段階的に変化するように構成されている。
【0046】物体面5が図示しない光源によって照明さ
れると、物体面5から発散する光はシリンドリカルレン
ズ21、バイナリレンズ列23,25,26,24、シ
リンドリカルレンズ22、カラーフィルタ8,9,10
を経て、赤色光は受光面6aに、緑色光は受光面6b
に、青色光は受光面6cにそれぞれ結像する。
【0047】従って、受光面6a〜6cに受光素子を設
ければ、3色の画像データを同時に読取ることができ
る。また、バイナリレンズの焦点距離を光路長に合わせ
て設定しているので、像のボケが防止される。
【0048】第2〜5実施例においてカラーフィルタ
8,9,10は一方のシリンドリカルレンズのみに設け
ているが、他方のシリンドリカルレンズに設けてよく、
また両方に設けて色の分離性能をさらに向上させてもよ
い。
【0049】第2〜5実施例において、物体面5を光源
で照明し、受光面6(又は6a,6b,6c)の像を受
光センサで受光するとき、一次元バイナリレンズの各波
長(各色)に対応するセグメントの面積を、各波長にお
ける(1)結像光学系の光利用効率の比、(2)照明光
源の光量比、(3)受光センサの感度比の積の逆数に一
致させれば、受光センサから得られる信号強度を各波長
に対して均一化することができる。
【0050】
【発明の効果】この発明によれば、正立等倍像を形成す
るための光学素子が、一次元バイナリレンズを用いるこ
とにより、その正立等倍像に直交する実像を得るための
光学素子と一体的に作製することができるので、部品点
数削減による装置の簡素化が可能となる。
【0051】さらに、一次元バイナリレンズを用いるこ
とで、一つの平面内に少しずつ異なる焦点距離を持った
レンズを作製することができ、それによって収差補正さ
れた大きな開口が得られるため、像のボケが少なくかつ
明るい像を形成する光学装置を提供することが可能とな
る。
【0052】また、3原色の光のそれぞれの波長に適し
た一次元バイナリレンズとカラーフィルタおよび3つの
異なる領域に分割されたシリンドリカルレンズを用いる
ことで、色分離性に優れかつ3色同時読み取りによる高
速読み取りの可能な、カラー鏡像等倍像を形成する光学
装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示す斜視図である。
【図2】第1実施例を示す側面図である。
【図3】第1実施例を示す平面図である。
【図4】第2実施例を示す斜視図である。
【図5】第2実施例を示す側面図である。
【図6】第2実施例を示す平面図である。
【図7】第3実施例を示す斜視図である。
【図8】第3実施例を示す側面図である。
【図9】第3実施例を示す平面図である。
【図10】第4実施例を示す斜視図である。
【図11】第5実施例を示す側面図である。
【図12】第5実施例を示す平面図である。
【図13】各種レンズの形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シリンドリカルレンズ 2 シリンドリカルレンズ 3 バイナリレンズ列 4 バイナリレンズ列 5 物体面 6 受光面 7 遮光板
フロントページの続き (72)発明者 上田 知史 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (72)発明者 安部 文隆 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−208083(JP,A) 特開 平9−171101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/18

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物に対して等倍の実像を受光面に結
    像させる結像光学系を備えた光学装置において、第1お
    よび第2シリンドリカルレンズと、複数のレンズからな
    る第1および第2レンズ列を備え、第1および第2シリ
    ンドリカルレンズを各母線が互いに平行になるように対
    向させ、第1および第2レンズ列を第1および第2シリ
    ンドリカルレンズの間に互いに対向するように前記母線
    方向に配列させ、対象物から発散する光が第1シリンド
    リカルレンズ、第1レンズ列、第2レンズ列および第2
    シリンドリカルレンズを経て受光面に集光するように構
    成し、第1および第2レンズ列を構成する各レンズが、
    前記母線方向にのみ集光特性を有する一次元バイナリレ
    ンズからなり、一次元バイナリレンズは焦点距離が第1
    および第2シリンドリカルレンズの集光特性を示す方向
    に徐々に変化し、光路長が長くなるほどその焦点距離も
    長くなるレンズであり、受光面上に第1および第2シリ
    ンドリカルレンズによる実像と第1および第2レンズ列
    による正立像とを互いに直交方向に得ることを特徴とす
    る光学装置。
  2. 【請求項2】 第1および第2シリンドリカルレンズ
    は、表面が曲面で裏面が平面からなるレンズであり、表
    面が互いに外側になるように配置され、各裏面にそれぞ
    れ第1および第2レンズ列が一体的に設けられてなる請
    求項1に記載の光学装置。
  3. 【請求項3】 三原色の光をそれぞれ透過させる3種類
    のカラーフィルタをさらに備え、その3種類のカラーフ
    ィルタは対象物からの光を第1および第2シリンドリカ
    ルレンズが集光特性を示す方向に各色に分離し、各バイ
    ナリレンズは3種類のカラーフィルタからの光をそれぞ
    れ透過させるように3つのセグメントに分割され、3つ
    のセグメントは対応するカラーフィルタからの光の波長
    に適合した波長特性をそれぞれ有することを特徴とする
    請求項1又は2に記載の光学装置。
  4. 【請求項4】 対象物を照明する光源と、結像される像
    を検出する受光用センサとをさらに備え、分割された各
    セグメントの面積が、各波長における、結像光学系の光
    利用効率の比、照明光源の光量比、および受光用センサ
    の感度比の積の逆数に基づいて決定されることを特徴と
    する請求項記載の光学装置。
  5. 【請求項5】 第1および第2シリンドリカルレンズの
    少なくとも一方は、集光特性を有する方向に3つの領域
    に分割され、各領域の曲面形状が三原色の光の波長に対
    して最適化されてなる請求項又はに記載の光学装
    置。
  6. 【請求項6】 第1および第2シリンドリカルレンズの
    少なくとも一方は、光の三原色の各波長にそれぞれ対応
    するように集光特性を有する方向に3つの領域に分割さ
    れ、対象物の同一部分が受光面上に色毎に分離して結像
    されることを特徴とする請求項のいずれかに記載
    の光学装置。
  7. 【請求項7】 3つの領域に分割されたシリンドリカル
    レンズは、その表面の曲面形状が各領域毎に異なること
    を特徴とする請求項記載の光学装置。
  8. 【請求項8】 3つの領域に分割されたシリンドリカル
    レンズは、第2シリンドリカルレンズであって表面が曲
    面からなり、裏面は各領域毎に受光面となす角が異なる
    平面からなるプリズム屈折面を構成することを特徴とす
    る請求項記載の光学装置。
  9. 【請求項9】 第1シリンドリカルレンズは表面が曲面
    で裏面が平面からなるレンズであり、第1レンズ列が第
    1シリンドリカルレンズの裏面に前記カラーフィルタと
    共に接着されてなる請求項のいずれかに記載の光
    学装置。
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