JP4488768B2 - ハイドレートの生成方法及び生成装置 - Google Patents

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本発明は、例えばメタンガスや天然ガスなどのハイドレート形成物質を原料としてハイドレートを生成するハイドレート生成方法及び生成装置に関する。
ハイドレートは、水分子で構成されるクラスター内にガス状のハイドレート形成物質(例えばメタン、天然ガス、エタン、プロパン、二酸化炭素など)が包接された構造の水和物である。このハイドレートは、1m中に約165Nmもの天然ガスを包蔵することができるなど高いガス包蔵性を有するとともに、大きな生成熱・解離熱、生成・解離差圧、高い反応選択性等の性質を有するため、例えば天然ガスの輸送・貯蔵システムや蓄熱システム、アクチュエータ、混合ガスの分離・精製システムなどの多様な用途での利用が注目されており、現在盛んに研究されている。
ハイドレート形成物質がメタンであるメタンハイドレートを製造するには、メタンガスと水とをメタンハイドレート生成条件下で反応させる必要がある。図3はメタンハイドレートの平衡図であり、平衡曲線Sより高圧・低温側(図3において平衡曲線Sの上側)においてメタンハイドレートの生成が可能であることを示している。しかし、反応温度が0℃未満であるとハイドレートが生成される前に原料水が凍結して氷となってしまい、ハイドレート生成反応が固(氷)−気(メタンガス)接触反応となってしまうために生成速度が著しく低下して実用的でないという問題がある。従って、実用的には、ハイドレート生成条件は図3中斜線で示す領域(反応温度が0℃以上の領域)に限定されてしまい、例えば5.4MPaの圧力条件下では反応温度が0から8℃となる。
また、ハイドレート生成反応は発熱反応(約435kJ/kg)であるため、生成反応を持続させるためには生成熱を除熱する必要がある。しかし、上述した原料水の凍結を回避するために反応系を0℃未満の冷媒で冷却することができず、実用的には原料水温度が4℃程度となるように調整してハイドレート生成反応を行っていた。そのため、熱交換の温度差を実用上4℃程度しか確保することができず、冷媒と被冷却原料との温度差(ΔT)が小さいために伝熱面積の大きい熱交換器が必要となってしまい、設備構成が全体として大型なものとなってしまう問題があった。
特開2003−80056号公報(特許文献1)には、ガスを水和させてガスハイドレートを生成する生成容器について開示されている。この生成容器は水相を冷却する冷却手段を備えているが、生成容器表面積分の伝熱面積しか確保することができないためハイドレート生成熱を充分に除熱することができず、生成容器内をハイドレート生成条件(温度:2〜10℃、圧力:4MPa以上)に維持することが困難である。
特開2003−80056号公報
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その課題は、コンパクトな装置構成で簡易かつ効率的にハイドレートを生成することができるハイドレート生成方法及びこの方法に好適なハイドレート生成装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るハイドレート生成方法の発明は、原料水を冷却して氷を生成する氷生成工程と、ハイドレート生成温度領域内で前記氷の一部を融解させ、ハイドレート生成熱を前記氷の冷熱によって除去しながらハイドレートを生成するハイドレート生成工程とを順次繰り返すことを特徴とする。
ここで「氷の冷熱」とは、氷の温度上昇に関与する温度変化熱と氷の融解熱(潜熱)とを合わせた熱を意味するものであり、具体的には、氷の温度が−20℃、融点が0℃である場合を例に挙げると、−20℃から0℃まで氷の温度を上昇させるのに関与する温度変化熱と、融点において氷を水に状態変化させる融解熱とを合わせた熱である。
この特徴によれば、氷生成工程とハイドレート生成工程とを順次繰り返すことで段階的に生成物中のハイドレート濃度を高めることができる。また、氷生成工程とハイドレート生成工程からなる1単位(1ステップ)あたりのハイドレート生成率が低くとも氷生成工程とハイドレート生成工程を繰り返すことでハイドレート生成率を向上させることができる。
また、氷生成工程において大きな温度差(ΔT)を用意して原料水を冷却することができるので、少ない伝熱面で効率的に氷を生成することができる。また、ハイドレート生成熱を氷の冷熱により除去しながらハイドレートを生成するので、ハイドレートを効率的に生成することができる。
また、本発明の第2の態様に係るハイドレート生成装置の発明は、原料水を冷却して氷を生成する氷生成部と、ハイドレート生成温度領域内で前記氷の一部を融解させて水とし、この水をハイドレート形成物質と反応させてハイドレートを生成するハイドレート生成部とからなるユニットが直列に複数設けられていることを特徴とする。
この特徴によれば、氷生成部とハイドレート生成部とからなるユニットが直列に複数設けられているため、後段側のユニットほど生成物中のハイドレート濃度を高めることができ、ユニットの数だけハイドレート生成率を向上させることができる。
また、大きな温度差(ΔT)を用意して原料水を冷却して氷を生成することができるので、伝熱面を小さくすることができ、氷生成部の構成をコンパクトにすることができる。また、ハイドレート生成部ではハイドレート生成温度領域内で氷の一部を溶解させて水とし、この水をハイドレート形成物質と反応させてハイドレートを生成するので、ハイドレート生成熱を氷の冷熱で除去しながらハイドレートを生成することができる。従って、装置構成を簡易かつコンパクトにすることができる。
また、本発明の第3の態様に係るハイドレート生成装置の発明は、前記第2の態様において、前記ハイドレート生成部は、ハイドレート生成反応を徐々に進行させながら前記氷を移送させる移送手段を備えていることを特徴とする。
この特徴によれば、ハイドレート生成部がハイドレート生成反応を徐々に進行させながら氷を移送させる移送手段を備えているので、反応を確実に進行させることができるとともに、反応の進行程度を容易に制御することができる。
本発明によれば、繰り返してハイドレートを生成することで段階的にハイドレート濃度を高めることができ、高濃度のハイドレート生成物を得ることができる。また、各ユニットを簡易な構成とすることができるので装置全体での構成をコンパクトにすることができる。
また、氷生成部では大きい温度差を用意して水を冷却することができるので、少ない伝熱面で効率的に氷を生成することができる。ハイドレート生成部では生成熱を効率的に除去しながらハイドレート生成反応を進行させることができるので、高効率なハイドレート生成が可能である。また、生成熱を効率的に除熱することができるので、伝熱面を用いることなくハイドレートを生成することができる。従って、装置構成をコンパクトにすることができる。
本発明に係るハイドレート生成方法は、原料水を冷却して氷を生成する氷生成工程と、ハイドレート生成温度領域内で前記氷の一部を融解させ、ハイドレート生成熱を前記氷の冷熱によって除去しながらハイドレートを生成するハイドレート生成工程とを順次繰り返すことを特徴とするものである。
本発明に用いられるハイドレート形成物質(原料ガス)としては、ハイドレートを形成するものであれば特に制限されるものではなく、例えばメタンガス、天然ガス、エタンガス、プロパンガス、二酸化炭素ガスなどを挙げることができる。
ハイドレート生成条件は、用いるハイドレート形成物質の種類、反応圧力、反応温度に応じて適宜調整することができ、例えばハイドレート形成物質がメタンガスである場合には図3中斜線で示すハイドレート生成領域に調整することができ、具体的には反応圧力が5.4MPaの場合には反応温度を0から8℃程度に制御する。なお、以下ではハイドレート形成物質としてメタンガスを使用し、5.4MPaの圧力条件下でメタンハイドレートを生成する場合を例に挙げて説明する。
次に、本発明に係るハイドレート生成装置の実施形態について図1を参照しつつ説明する。本発明に係るハイドレート生成装置103は、所定の耐圧性を有し、全体として一体形成された円筒形状の容器9を有しており、この容器9の内部に氷生成部とハイドレート生成部とからなるユニットが鉛直方向に3個直列に設けられた構成となっている。より具体的には、水導入ノズル11側から排出ノズル23側に向けて順に、第1氷生成部10aと第1ハイドレート生成部20aとからなる第1ユニット30a、第2氷生成部10bと第2ハイドレート生成部20bとからなる第2ユニット30b、第3氷生成部10cと第3ハイドレート生成部20cとからなる第3ユニット30cが直列に設けられており、全体として氷生成部とハイドレート生成部とを交互に配設した構成となっている。また、ハイドレート生成装置103の全体は、図示しない圧力制御手段によってハイドレートが生成され得る圧力(本実施形態では5.4MPa)に調整されている。なお、各ユニット30a,30b,30cは同一の構成であるのでここでは第1ユニット30aを例に挙げて説明する。
第1ユニット30aは、原料水を冷却して氷を生成する第1氷生成部10aと、ハイドレート生成温度領域内で氷の一部を融解させて水とし、この水をハイドレート形成物質と反応させてハイドレートを生成する第1ハイドレート生成部20aとから構成されており、図1に示す如く第1氷生成部10aの下部に第1ハイドレート生成部20aが配設されている。
第1氷生成部10aには、原料水を冷却して氷を生成する冷却部12aと、生成した氷を掻き取る氷掻き取り手段としての板体14aが設けられている。冷却部12aは容器9の内面に沿って円筒形状に設けられており、この冷却部12aには冷媒冷却器51で所定温度(原料水の氷点以下の任意温度であり、本実施形態では−5から−50℃程度、好ましくは−20から−50℃程度である。)に冷却された冷媒が冷媒導入ノズル56aから導入され、冷媒排出ノズル57aを介して排出されるように構成されている。このように、冷却部12aにおける原料水と冷媒との温度差(ΔT)を大きくとることができるので少ない伝熱面積で原料水を凍結させて氷を生成することができ、装置構成をコンパクトにすることができる。具体的には、例えば冷媒の温度が−10℃である場合には、原料水と冷媒との温度差(ΔT)が4℃である場合と比し、伝熱面積を40%程度にまで低減させることができる。
また、板体14aは容器9の中心に配設された回転軸18に取り付けられており、駆動源19の駆動による回転軸18の回転駆動に伴い冷却部12aに生成した氷を掻き取るように構成されている。なお、冷媒を循環させる冷媒ライン59上の冷媒導入ノズル56aの前には調節弁53aが設けられており、原料水の量や冷媒温度などに応じて冷却部12aへの冷媒導入量を調整することができるようになっている。
第1ハイドレート生成部20aはハイドレートを生成する空間部を有しているとともに、移送手段の一例である撹拌羽根21aを備えている。この撹拌羽根21aは回転軸18に取り付けられており、氷を一時的に保持する保持面を有し、回転軸18の回転駆動に伴って回転してハイドレート生成反応を徐々に進行させながら氷等の固体状物を下部(第2ユニット30b)に向けて移送させるように構成されている。すなわち、撹拌羽根21aは、第1氷生成部10aから落下して第1ハイドレート生成部20aに導入された氷がハイドレート生成反応に関与する前に第2ユニット30bに導入されることを回避してハイドレート生成反応が充分に進行するように構成・制御されており、第1ハイドレート生成部20aの上部側から下部側に向けて徐々にハイドレート生成率が高まるようになっている。従って、撹拌羽根21aにより第1氷生成部10a側から下部(第2ユニット30b)側に向けて生成物中のハイドレート化率を高めることができるとともに、移送速度や反応時間などの反応条件を制御することで反応の進行程度を容易に制御することができる。
なお、移送手段はハイドレート生成部において充分なハイドレート生成反応を確保することができる構成のものであれば良く、例えばそれぞれ独立して回転軸18に取り付けられ、一時的に氷を保持する保持面を有し、段階的に下段の板体に移送させることで徐々に反応を進行させる構成のものや、回転軸18を中心として螺旋状に形成され、螺旋下部に向けて徐々に反応を進行させる構成のものなどを用いることができる。
また、第1ハイドレート生成部20aには、必要に応じて外部からの熱の侵入を防ぎ内部を常にハイドレート生成温度領域(本実施形態では0から8℃程度)に保持する保冷手段(図示せず)を設けることができる。この保冷手段は第1ハイドレート生成部20aを氷点以下に冷却する機能を有するものではなく、第1ハイドレート生成部20aをハイドレート生成温度領域内に保冷し得る機能を有するものであればよく、例えば第1ハイドレート生成部20aの周囲を覆う保冷器や撹拌羽根21a内を流通する保冷剤などを用いることができる。このように第1ハイドレート生成部20aを積極的に冷却する必要がないので、例えば大きな伝熱面を有する冷却器などを設ける必要がなく、装置構成を簡易かつコンパクトなものにすることができる。
第1ハイドレート生成部20aには、ガス冷却器61で所定温度(ハイドレート生成温度であり、本実施形態では0から8℃程度、好ましくは0から3℃程度、最も好ましくは0から2℃程度である。)に冷却されたメタンガスがガス導入ノズル66aから導入され、攪拌羽根21aの隙間を流通して徐々に流下し、反応に関与しなかったメタンガスがガス排出ノズル67aを介して排出されるように構成されている。ガス導入ノズル66aから導入されたメタンガスは、第1ハイドレート生成部20aを通過する際にハイドレート生成熱を吸収してある程度昇温するが、ガス排出ノズル67aから排出される時点においてハイドレート生成温度領域内に保たれるように制御されており、具体的には、ガスライン69上に設けられた調節弁63aによるガス量の調整、ガス冷却器61によるガス温度の調整などによって制御される。
また、後述するように装置後段側(装置下部側)のユニットほど1ユニットあたりのハイドレート生成量が少なくなるので、装置後段側のユニットほどハイドレート生成部への原料ガス導入量を低減させることができる。なお、各ユニット30a,30b,30cにおける、各板体14a,14b,14c及び各撹拌羽根21a,21b,21cは同一の回転軸18に取り付けられているので、単一の回転軸18で制御することができ、高圧に制御される装置構成を簡易なものにすることができる。
次に、本実施形態に係るハイドレート生成装置103の作用について説明する。
水導入ノズル11から容器9内に導入された原料水は、第1ユニット30aから順に第2ユニット30b、第3ユニット30cへと移送しながら段階的にハイドレート濃度が高められ、最終的には排出ノズル23から排出される。以下、水導入ノズル11から排出ノズル23に至る作用を詳細に説明する。
水導入ノズル11から容器9内に導入された原料水は、第1ユニット30aの第1氷生成部10aに導入にされる。そして、冷却部12aの内表面を薄膜状に流下する間に冷却されて氷となる。生成した氷は板体14aにより順次掻き取られ、微細な粉末状(例えば、粒径が数μmから数百μm程度)となって第1ハイドレート生成部20aに落下する。このように、第1氷生成部10aでは原料水から連続的に氷を生成し、この氷を連続的に第1ハイドレート生成部20aに供給する。
第1ハイドレート生成部20aへの氷の供給量は、反応条件などに応じて適宜調整することができ、例えば第1ハイドレート生成部20a内で氷やハイドレートなどの固体状物を徐々に流下させることができ、かつ原料ガスの流通を妨げることがない程度として、第1ハイドレート生成部20aでの固体状物の充填率が30から50%程度となるように制御することができる。
この第1ハイドレート生成部20aでは、ハイドレート生成温度領域内で氷の一部を融解させて水とし、この水をメタンガスと反応させてメタンハイドレートを生成する。また、第1ハイドレート生成部20aは、メタンハイドレートの生成熱と氷の冷熱とメタンガスが持ち込む顕熱によって内部温度が常にハイドレート生成温度領域に保持されている。
ここで、第1ハイドレート生成部20aでのメタンハイドレート生成過程について図2を参照しつつ説明する。
まず、第1氷生成部10aから第1ハイドレート生成部20aに氷2〔図2(A)〕が導入される。図2(A)に示す氷は、ハイドレート生成熱やメタンガス顕熱などを冷熱として吸収して温度が上昇し、ハイドレート生成温度領域内で一部(表面)が融解して水が生成され、図2(B)に示す如く氷2の表面が水3で濡れた状態が構成される。このように本発明では、氷2の一部をハイドレート生成温度領域内で融解させるものの氷水スラリーが構成される程度にまで氷融解を進行させるものではなく、図2(B)に示すように、氷2を核とし、その表面が水3で濡れる程度までの氷融解を生じさせるものである。
氷2の表面水3は雰囲気ガスであるメタンガスと反応してメタンハイドレート4を生成させ、図2(C)に示す如く氷2の表面にハイドレート4が形成された状態が構成される。このように本発明では、主として、氷2の一部融解に由来する水3とメタンガス(ハイドレート形成物質)とを反応させてハイドレートを生成させるものである。そして、メタンハイドレートが生成される際に生じる生成熱が氷の温度を上昇させる温度変化熱および融解熱として利用されることで氷の温度上昇・融解が促進される。換言すれば、ハイドレートの生成熱を氷の冷熱によって除去しながらハイドレート生成反応を進行させるものである。
そして、氷2の表面に形成されたメタンハイドレート4が分離し、図2(D)に示す如く初期〔図2(A)〕と比してメタンハイドレート生成分だけ小さくなった氷2が構成される。以下同様に、メタンハイドレート生成温度領域内での氷の一部融解による水の生成、その水を原料としたメタンハイドレートの生成が繰り返されることにより、最終的には氷の全部又は一部をメタンハイドレートに変換させることができる。なお、必要に応じてハイドレート生成反応を開始させる段階に反応開始剤としての水をハイドレート生成部に導入することができる。
図1に戻り、第1ハイドレート生成部20aでは、上部(上流)側から下部(下流)側に向けてハイドレート生成反応を徐々に進行させることができる。また、反応の制御が容易であり、所望の濃度のハイドレートを生成することが可能である。なお、第1ハイドレート生成部20aでの反応時間は、反応条件や生成物のハイドレート濃度などに応じて適宜調整することが可能であり、例えば10分から200分程度とすることができる。
そして、第1ユニット30aで生成したメタンハイドレートと未反応水との混合物(第1生成物)は、第2ユニット30bに導入される。第2ユニット30bの第2氷生成部10bでは第1生成物中の未反応水が冷却されて氷が生成され、ハイドレートと氷の混合物となる。この混合物は第2ハイドレート生成部20bに導入されて、上述したようにメタンハイドレート生成温度領域内での氷(未反応水に由来するもの)の一部融解による水の生成、その水を原料としたメタンハイドレートの生成が繰り返されてメタンハイドレートが生成される。すなわち、第2ユニット30bでは、第1ハイドレート生成部20aで生成したハイドレートに第2ハイドレート生成部20bで生成したハイドレートが加えられることで生成物中のハイドレート濃度が高められる。
さらに、第2ユニット30bで生成したメタンハイドレートと未反応水との混合物(第2生成物)は第3ユニット30cに導入され、前記第2ユニット30bと同様にしてメタンハイドレートが生成される。すなわち、第3ユニット30cでは、第1ハイドレート生成部20aと第2ハイドレート生成部20bで生成したハイドレートに、第3ハイドレート生成部20cで生成したハイドレートが加えられることで生成物中のハイドレート濃度がより一層高められるものである。
そして、第3ユニット30cを通過した生成物は、装置底部の排出ノズル23を介して装置外部に排出され、貯蔵条件や使用条件などに応じてペレット形状への加工処理や自己保存効果発現処理、大気圧への減圧処理などの後処理が適宜施される。
以上説明したように本発明に係るハイドレート生成装置においては、ユニットを複数直列配置して氷生成工程とハイドレート生成工程とを順次繰り返すことにより、ハイドレート濃度を段階的に高めることができ、高濃度のハイドレートを回収することができる。
また、各氷生成部では大きい温度差を設けて水を冷却することができるので、少ない伝熱面で氷を効率的に生成することができる。また、各ハイドレート生成部では、ハイドレートの生成に伴う生成熱が氷の冷熱として消費され、生じた水が原料ガスと反応してハイドレートを生成するとともに生成熱を生じさせ、さらにこの生成熱が氷の冷熱として消費されるという具合に、ハイドレート生成熱を氷の冷熱によって除去しながら反応を進行させることができ、ハイドレート生成反応を確実に進行させることができる。従って、全体の装置構成を簡易かつコンパクトにすることが可能である。
なお、各氷生成部で生成される氷の温度を調整することで氷の温度変化熱を制御することができるので、各ハイドレート生成部に持ち込まれる氷の冷熱を適宜調整することができる。さらに、各ハイドレート生成部での反応時間、反応温度、反応圧力などの反応条件の制御および原料ガスの導入温度や導入量の制御によって、装置全体でのハイドレート生成率を適宜調整することが可能である。
次に、原料水1kgからメタンハイドレートを生成する場合を例に挙げてハイドレート生成方法およびハイドレート生成に係る模式的な熱収支について説明する。なお、ここでは図1に示したハイドレート生成装置103に対応させ、氷生成工程とハイドレート生成工程とを3回繰り返した場合について説明する。
<第1ステップ>
第1ステップでは、まず氷点以下の任意温度(例えば図3中のc点)で原料水1kgを冷却して氷1kgを生成する。この氷1kgは、氷の比熱(kJ/kg℃)と、氷点と任意温度との温度差(ΔT:℃)と、質量(1kg)との積に相当する温度変化熱量(kJ)、及び、融解熱量〔335kJ(80kcal)〕を合わせた熱量を冷熱として有している。なお、ここでは説明の便宜上、氷の冷熱として融解熱のみを有する場合(すなわち温度変化熱を有さない場合)について説明する。
メタンハイドレートは水分子とメタン分子から構成されており、その構成比率は水:0.866、メタン:0.134である。また、メタンハイドレートの生成反応は発熱反応であり、その生成熱量は435kJ/kg(104kcal/kg)である。従って、メタンハイドレートを生成するには前記生成熱を除熱することが必要となる。
ここで、氷1kgの融解熱量(335kJ)は、メタンハイドレートを1kg生成する際の生成熱量(435kJ)の77%に相当する。すなわち、第1ステップにおいて、ハイドレート生成熱を氷の融解熱により除去しながらハイドレートを生成することでメタンハイドレート0.77kgを生成することができる。メタンハイドレート0.77kg中の水分量は上記構成比率より0.667kgであるから、第1ステップにおける原料水1kg中、0.333kgがハイドレートを生成せずに未反応水として残留していることとなる。従って、第1ステップにおける生成物(第1生成物)は、0.77kgのメタンハイドレートと、0.333kgの未反応水の混合物であり、この混合物中のメタンハイドレート濃度は69.8%である。なお、メタンハイドレート0.77kg中のメタン量は上記構成比率より0.103kgである。
<第2ステップ>
第2ステップでは氷点以下の任意温度で第1生成物を冷却して原料水(未反応水)から氷を生成し、メタンハイドレート0.77kgと氷0.333kgの混合物とする。そして、ハイドレート生成熱(435kJ/kg)を氷0.333kgの融解熱(111kJ)により除去しながらハイドレートを生成することで、メタンハイドレートを0.256kg生成することができる。メタンハイドレート0.256kg中の水分量は上記構成比率より0.221kgであるから、第2ステップにおける原料水0.333kg中、0.112kgがハイドレートを生成せずに未反応水として残留していることとなる。従って、第2ステップにおける生成物(第2生成物)は、1.026kg(0.77kg+0.256kg)のメタンハイドレートと、0.112kgの未反応水の混合物であり、この混合物中のメタンハイドレート濃度は90.2%である。
<第3ステップ>
第3ステップでは氷点以下の任意温度で第2生成物を冷却して原料水(未反応水)から氷を生成し、メタンハイドレート1.026kgと氷0.112kgの混合物とする。そして、ハイドレート生成熱(435kJ/kg)を氷0.112kgの融解熱(37.5kJ)により除去しながらハイドレートを生成することで、メタンハイドレートを0.086kg生成することができる。メタンハイドレート0.086kg中の水分量は上記構成比率より0.074kgであるから、第3ステップにおける原料水0.112kg中、0.038kgがハイドレートを生成せずに未反応水として残留していることとなる。従って、第3ステップにおける生成物(第3生成物)は、1.112kg(0.77kg+0.256kg+0.086kg)のメタンハイドレートと、0.038kgの未反応水の混合物であり、この混合物中のメタンハイドレート濃度は96.7%である。
このように、この例では氷生成工程とハイドレート生成工程とを順次繰り返すことでメタンハイドレート濃度を69.8%(第1ステップ)から段階的に90.2%(第2ステップ)、96.7%(第3ステップ)と向上させることができ、高い濃度のハイドレート生成物を生成することが可能であることがわかる。すなわち、本発明では氷生成工程とハイドレート生成工程とを複数回繰り返すことでステップを経るごとに段階的にハイドレート生成反応を進行させることができ、後段側ほどハイドレート濃度を高めることができる。また、繰り返し数や各ステップでの反応条件を制御することで所望の濃度のハイドレートを生成することが可能である。
本発明は、メタンハイドレートや天然ガスハイドレートなどのハイドレートを生成するハイドレート生成方法および生成装置として利用可能である。
本発明に係るハイドレート生成装置を示す図面である。
ハイドレートの生成過程の説明に供する図面である。
メタンハイドレートの平衡図である。
符号の説明
2 氷
3 水
4 ハイドレート
9 容器
10a,10b,10c 氷生成部
11 水導入ノズル
12a,12b,12c 冷却部
18 回転軸
20a,20b,20c ハイドレート生成部
23 排出ノズル
30a,30b,30c ユニット
51 冷媒冷却器
61 ガス冷却器
103 ハイドレート生成装置

Claims (3)

  1. 原料水を冷却して氷を生成する氷生成工程と、
    前記氷生成工程において生成した氷を導入し、ハイドレート生成温度領域内で前記氷の一部を融解させて水とし、この水をハイドレート形成物質と反応させてハイドレートを生成するとともに、ハイドレート生成熱を前記氷の冷熱によって除去するハイドレート生成工程と、を行った後、
    先に行ったハイドレート生成工程における前記水の内のハイドレート生成に至らなかった未反応水を前記原料水として用いて次の氷生成工程を行い、前記氷生成工程と前記ハイドレート生成工程とを順次繰り返すことを特徴とする、ハイドレート生成方法。
  2. を冷却して氷を生成する氷生成部と、
    前記氷生成部において生成した氷が導入され、ハイドレート生成温度領域内で前記氷の一部を融解させて水とし、この水をハイドレート形成物質と反応させてハイドレートを生成するハイドレート生成部とからなるユニットを複数有し、
    前記複数のユニットは、氷生成部に原料水が導入される1つのユニットを第1のユニットとして直列に設けられているとともに先のユニットのハイドレート生成部において生成したハイドレートと前記水の内のハイドレート生成に至らなかった未反応水との混合物が、次のユニットの氷生成部に導入されるように構成されていることを特徴とする、ハイドレート生成装置。
  3. 請求項2において、前記ハイドレート生成部は、ハイドレート生成反応を徐々に進行させながら前記氷を移送させる移送手段を備えていることを特徴とする、ハイドレート生成装置。
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