JP4488542B2 - 疎水性ヒュームドシリカの製造法 - Google Patents

疎水性ヒュームドシリカの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ゴム組成物における補強用充てん剤として有用な疎水性ヒュームドシリカの製造法である。本法は、ヒュームドシリカの水性懸濁液と水相の有機ケイ素化合物とを触媒量の酸の共存下で接触させて該シリカを疎水性にさせて疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液を生成する第1の工程からなる。望ましい方法における第1の工程は、水混和性有機溶媒を共存させて、前記有機ケイ素での前記シリカの疎水性化を促進させる工程を含む。使用するヒュームドシリカは50m/g以上のBET表面積を有することが望ましい。本法の第2の工程において、疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液と、水非混和性有機溶媒とを溶媒/シリカの重量比が0.1/1以上の値で接触させて、水相から疎水性ヒュームドシリカを分離させる。望ましい工程において、回収された疎水性ヒュームドシリカは100m/g〜750m/gの範囲内の表面積を有する。
【0002】
【従来の技術】
本法によって製造された疎水性ヒュームドシリカは天然ゴム、熱絶縁および浮動装置における補強用および増量用充てん剤のような多くの用途で有用であるが、それらは特にシリコーンゴム組成物の補強充てん剤として有用である。ポリジオルガノシロキサン流体又はガムの加硫から生成したシリコーンゴムは一般に低い伸びおよび低い引張強さを有することは周知である。これらの性質を改善する手段の1つは、ヒュームドシリカのような補強シリカ充てん剤を硬化前にその流体又はガムに添加することを含む。しかしながら、ヒュームドシリカはポリジオルガノシロキサン流体又はガムと相互反応して一般に「クレープ硬化」と呼ぶ現象をもたらす傾向がある。これまでに、補強シリカ充てん剤をオルガノシラン又はオルガノシロキサンで処理してシリカの表面を疎水性にするという努力がかなり行われてきた。この表面処理によってこれら組成物のクレープ硬化の傾向は減少又は無くなると共に、硬化シリコーンゴムの物理的性質が改善された。しかしながら、ヒュームドシリカを疎水性にする既知の方法は、ヒュームドシリカのコストを著しく上げる、従って低コストのヒュームドシリカ処理法が必要である。
【0003】
米国特許第3,015,645号は、酸触媒の共存下でジメチルジクロロシラン又はトリメチルメトキシシランのような有機ケイ素化合物をシリカオルガノゲルと反応させて疎水性シリカヒドロゲルを生成することによる疎水性シリカ粉末の製造法を教示している。水相におけるその疎水性シリカヒドロゲルは、次に水−混和性有機溶媒と接触させて疎水性シリカヒドロゲルを疎水性シリカオルガノゲル(それは有機相に凝離する)に転化する。
【0004】
米国特許第4,072,796号は、鉱酸又は金属塩溶液てアルカリシリケート溶液を沈殿させることによって微細疎水性シリカおよびシリケートを調製し、次にオルガノハロシランで処理する方法を記載している。そのオルガノハロシランは前重縮合オルガノハロシラン又は前重縮合オルガノハロシランの混合体である。
【0005】
米国特許第5,009,874号は、シリコーンエラストマーの補強充てん剤として有用な疎水性沈降シリカの製造法を開示している。その第1の工程において、水性懸濁液における沈降シリカは有機ケイ素化合物で疎水性にされる。第2の工程において、水−非混和性有機溶媒を添加して水相から疎水性沈降シリカを分離する。その水−非混和性溶媒は、通常その工程にシリカの体積(L)/重量(Kg)比が1/5、望ましくは1.5/4.5で添加する。
【0006】
英国特許明細書第1,110,331号は、BET表面積が50m/gのヒュームドシリカの疎水性化および後続の懸濁液全重量を基準にして0.01〜1%の量の水−混和性有機液体における凝集を特許請求している。実施例において、この特許は、疎水性化シリカ300gからなる水性懸濁液に3mlのトルエンを添加(溶媒:シリカの比が0.01:1となる)している。この特許は、ヒュームドシリカの疎水性化を促進する極性有機溶媒の使用を示唆又は教示していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、疎水性ヒュームドシリカの製造法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の疎水性ヒュームドシリカの製造法は、
(A)ヒュームドシリカの水性懸濁液を、(1)触媒量の酸及び(2)次式
HbSiX4−a−b (1)、
SiO(4−n)/2 (2)及び
(R Si)NH (3)
(式中の各Rは炭素原子数が1〜12の炭化水素基から独立に選び;各R水素原子、塩素原子、ヒドロキシ基及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但しRは置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Rは塩素、ヒドロキシ基及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但し、R置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Xはハロゲン原子、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基及び炭素原子数が1〜12のアシルオキシ基からなる群から独立に選ぶ;a=1、2又は3;b=0又は1;a+b=1、2又は3である。但し、b=1のとき,a+b=2又は3である;nは2〜3の整数である)によって表されるオルガノシランから成る群から選んだ有機ケイ素化合物と接触させて疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液を生成させる工程;及び
(B) 工程(A)の疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液と、水非混和性有機溶媒とを溶媒/シリカの重量比が0.1/1以上の値で接触させることによって、水性懸濁液から疎水性ヒュームドシリカを分離する工程からなる。
【0009】
本法の工程(A)において、ヒュームドシリカの水性懸濁液は有機ケイ素化合物で疎水性化される。用語「ヒュームドシリカ」は、熱分解法によって調製された高表面積のシリカを意味する。この熱分解法は、電気アーク炉においてトリクロロシランおよびテトラクロロシランのようなハロシランの気相加水分解を含む。他の方法は、SiOの気化、Siの気化および酸化、及びケイ酸塩エステルのようなケイ素化合物の高温酸化および加水分解を含む。ハロシランの気相加水分解によって調製したヒュームドシリカが望ましい。
【0010】
本法に使用するヒュームドシリカのBET表面積は50〜1000m/g以上が望ましく、75〜1000m/gがさらに望ましい。ゴム組成物に補強充てん剤として使用する場合には、100〜750m/gの範囲内のBET表面積を有するヒュームドシリカが最適である。ヒュームドシリカは、本法の工程 (A)に水性懸濁液として添加するのが便利である。水性懸濁液のヒュームドシリカの濃度は臨界的ではなく、一般に5〜90重量%、望ましくは10〜50重量%、最適には、10〜30重量%濃度である。
【0011】
本法の工程(A)におけるヒュームドシリカの水性懸濁液は、触媒量の酸の共存下で式(1)、(2)および(3)によって記載される1種以上の有機ケイ素化合物と接触される。その酸触媒は、例えば、塩酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸およびリン酸のような鉱酸である。有機ケイ素化合物が、例えば、クロロシランの場合、触媒量の酸は、クロロシランの加水分解又はクロロシランとヒュームドシリカのヒドロキシル基との直接反応によって現場でも発生する。我々の工程(A)においては、有機ケイ素とヒュームドシリカとの反応をさせるのに十分な量の酸が存在することのみが必要である。その酸触媒は6以下、さらに望ましくは3以下のpHを与えることが望ましい。
【0012】
工程(A)を実施する温度は一般に20℃〜250℃の範囲内であり、30℃〜150℃の範囲内の温度が望ましい。工程(A)は極性有機溶媒又は水−非混和性有機溶媒の還流温度でも実施できる。工程(A)の間に、有機ケイ素化合物てヒュームドシリカの疎水性化を促進するのに十分な量の水−混和性有機溶媒を添加することが望ましい。
【0013】
本発明の望ましい実施態様の方法は、
(A)50m/g以上のBET表面積を有するヒュームドシリカ及び該ヒュームドシリカと有機ケイ素化合物との後続の反応を促進するために充分な量の水混和性有機溶媒の水性懸濁液を、(1)触媒量の酸及び(2)次式
【化4】
HbSiX4−a−b (1)、
【化5】
SiO(4−n)/2 (2)及び
【化6】
(R Si)NH (3)
(式中の各Rは炭素原子数が1〜12の炭化水素基から独立に選び;各R水素原子、塩素原子、ヒドロキシ基及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但しRは置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Rは塩素、ヒドロキシ基及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但し、R置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Xはハロゲン原子、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基及び炭素原子数が1〜12のアシルオキシ基からなる群から独立に選ぶ;a=1、2又は3;b=0又は1;a+b=1、2又は3である。但し、b=1のとき,a+b=2又は3である;nは2〜3の整数である)によって表されるオルガノシランから成る群から選んだ有機ケイ素化合物と接触させて疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液を生成させる工程;及び
(B) 工程(A)の疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液と、水非混和性有機溶媒とを溶媒/シリカの重量比が0.1/1以上の値で接触させることによって、水性懸濁液から疎水性ヒュームドシリカを分離する工程からなる。
【0014】
水−混和性有機溶媒がヒュームドシリカからなる水性懸濁液の少なくとも10重量%からなる場合が望ましく、15〜50重量%からなる場合がさらに望ましく、20〜30重量%の場合が最適である。適当な水−混和性溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノールおよびテトラヒドロフランのようなアルコールを含む。本発明の方法に使用するのに望ましい水−混和性有機溶媒はイソプロパノールである。
【0015】
工程(A)の間に、界面活性剤を添加して有機ケイ素化合物とヒュームドシリカとの反応を促進することも望ましい。この界面活性剤は、我々の方法に添加される水混和性又は水−非混和性有機溶媒の共存又は不在で添加できる。適当な界面活性剤は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸のようなアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルおよび(MeSiO)MeSi(CH(OCHCHOMe(Meはメチルである)のようなノニオン界面活性剤;およびN−アルキルトリメチル塩化アンモニウムを含む。
【0016】
工程(A)において、ヒュームドシリカは式(1)、(2)又は(3)で記載される一種以上の有機ケイ素化合物と反応させる。式(1)における各Rは炭素原子数が1〜12の炭化水素基から独立に選び、飽和又は不飽和の一価の炭化水素にすることができ、また置換又は非置換の一価の炭化水素基にすることができる。Rは、例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシルおよびドデシルのようなアルキル基;クロロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピルおよび6−クロロヘキシルのような置換アルキル基;およびフエニル、ナフチルおよびトリルのようなアリール基によって表される。さらに、Rは炭素原子数が1〜12のオルガノ官能性炭化水素基にすることもできる。その官能価は、例えば、メルカプト、ジスルフィド、ポリスルフィド、アミノ、カルボン酸カルビノールエステル又はアミドである。好適なオルガノ官能性炭化水素基は、ジスルフィド又はポリスルフィド官能価を有するものである。
【0017】
式(1)における各Xは、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基および炭素原子数が1〜12のアシルオキシ基からなる群から独立に選ぶ。Xがハロゲンのとき、ハロゲンは塩素が望ましい。Xがアルコキシ基のときには、Xは、例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシである。Xがアシルオキシ基のときには、Xは、例えば、アセトキシである。各Xは、塩素原子およびメトキシ基からなる群から選ぶのが望ましい。
【0018】
式(2)における各Rは、水素原子または塩素原子およびヒドロキシ;又は炭素原子数が1〜12の炭化水素基からなる群から独立に選ぶ、但しR置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である。またRは前記Rと同一である。式(2)によって表されるオルガノシロキサンは、例えば、線状又は環状構造にすることができる。式(2)のオルガノシロキサンの粘度は限定されず、流体からガムの粘度に及ぶ。一般に、高分子量のオルガノシロキサンは、本法の酸性条件によって剥離して、それらをヒュームドシリカと反応させる。
【0019】
式(3)の各Rは、塩素原子、ヒドロキシ基および炭素原子数が1〜12の炭化水素基からなる群から独立に選ぶ、但し、R置換基の少なくとも50%は炭化水素基である。Rが炭化水素基のときのRはRの場合の炭化水素基と同一にできる。Rがメチルのときが望ましい。
【0020】
有用な有機ケイ素化合物の例は、ジエチルクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、メチルフエニルクロロシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、トリメチルブトキシシラン、シムージフェニルテトラメチルジシロキサンン、トリビニルトリメトキシシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルシクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメトキシクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス{3−(トリエトキシシリル)プロピル}−テトラスルフィド、3〜20のジメチルシロキシ単位(望ましくは3〜7のジメチルシロキシ単位)からなるポリジメチルシクロシロキサン;および25℃で1〜1000mPa・sの範囲内の粘度を有するトリメチルシロキシ、ジメチルクロロシロキシ又はヒドロキシジメチルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサン重合体を含む。
【0021】
本法に添加される有機ケイ素化合物の量は、ヒュームドシリカを適切に疎水性化させてその用途に適当な疎水性ヒュームドシリカを提供するのに十分な量である。一般に、有機ケイ素化合物は、本法にヒュームドシリカにおけるSiO2単位当り少なくとも0.04オルガノシリル単位が存在するような量で添加される。本法に添加される有機ケイ素化合物の量の上限は、ヒュームドシリカのヒドロキシル基を飽和させるのに必要な量の過剰量が溶媒として作用するから臨界的ではない。
【0022】
工程(B)において、水−非混和性有機溶媒は溶媒/シリカの重量比が0.1/1以上の値で添加して、水性懸濁液から疎水性ヒュームドシリカを分離する。望ましい方法において、本法の工程(A)を行なった後で工程(B)を行なう。しかしながら、本法においては、水−非混和性有機溶媒は、工程(A)の有機ケイ素化合物の添加の前、又は同時に、或いは後に添加できる。これらの最初の2つの場合に、ヒュームドシリカの疎水性ヒュームドシリカの転化は相分離を伴って疎水性ヒュームドシリカは溶媒相中に分離する。
【0023】
本発明には、水と非混和性有機溶媒はいずれも使用できる。適当な水−非混和性有機溶媒は、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよびトリメチルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサン流体のような低分子量のシロキサンを含む。シロキサンを溶媒として使用する場合には、それは溶媒としておよびヒュームドシリカとの反応体として作用する。その上、適当な水−非混和性有機溶媒は、トルエンおよびキシレンンのような芳香族炭化水素;シクロヘキサンのようなシクロアルカン;ジエチルエーテルおよびジブチルエーテルのようなエーテル;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンおよびクロロベンゼンのようなハロ炭化水素溶媒;およびメチルイソブチルケトンのようなケトンを含む。
【0024】
本法に添加する水−非混和性有機溶媒の量は、溶媒:シリカの重量比を0.1:1以上にする、その値は0.1:1〜10:1が望ましく、1:1〜5:1が最適である。本法に添加する水−非混和性溶媒の上限は、溶媒コスト、溶媒の回収費又は廃棄経費および装置容量のような経済的観点のみによって限定される。しかしながら、溶媒/シリカの比が5:1以上の場合に、疎水性ヒュームドシリカの一部が乳化して疎水性ヒュームドシリカの完全回収を困難にする恐れがある。本法において、その溶媒/シリカの比は疎水性ヒュームドシリカのフロキュレーションが生じるような値が望ましい。用語「フロキュレーション」は、水−非混和性有機溶媒を取入れた被処理シリカ粒子の凝集が有機溶媒相に凝集体として懸濁してシリカ/溶媒相と水相間に明確な境界を作って乳化層を形成しない又は最小であることを意味する。一般に、かかるフロキュレーションは溶媒/シリカの比が望ましい1:1〜5:1の範囲内で得られる。
【0025】
水−非混和性有機溶媒はその疎水性ヒュームドシリカの除去を促進するために25℃以下の沸点を有することが望ましい。しかしながら、水−非混和性有機溶媒の沸点は、溶媒がろ過、遠心分離又は他の適当な手段によっても疎水性シリカから除去されるので臨界的ではない。
【0026】
工程(B)において、水−非混和性有機溶媒は本法に添加して、水性懸濁液からの疎水性ヒュームドシリカの分離をする、その疎水性ヒュームドシリカは溶媒相で回収されて、必要ならば、さらに処理することなく使用できる。また、疎水性ヒュームドシリカは洗浄して汚染物質を低減できる。疎水性ヒュームドシリカは溶媒から回収して、乾燥し、さらに加熱のような方法によって処理することもできる。
【0027】
実施例1
ヒュームドシリカをヘキサメチルジシロキサンで疎水性化した。500mlのフラスコにヒュームドシリカ(カボット社製の商品名Cabot MS75D,表面積が275m/g)20g、蒸留水200g及びイソプロパノール90gを添加して懸濁液を生成した。この懸濁液にFeCl0.5g、濃塩酸1g及びヘキサエチルジシロキサン50gの定撹拌をしながら添加した。その懸濁液を定撹拌しながら30分間還流した。冷却後、その懸濁液をトルエン400mlと水600mlを含有する別の漏斗に移した。撹拌時に、その漏斗の内容物はシリカ/溶媒相からなる透明な上相と下部水性相を形成した。その後、その上相と下相間のエマルションとして300mlの蒸留水を捕獲した。シリカ/溶媒相を回収して蒸留水の100mlアリコート(分取)で3回洗浄した。残留水は、共沸蒸留によって除去濾過によって疎水性ヒュームドシリカを単離した。残留溶媒は、130℃で24時間加熱することによって疎水性ヒュームドシリカから除去した。乾燥した疎水性ヒュームドシリカは、Perkin Elmer社のCHN元素分析装置(商品名Perkin Elmer2400型)を使用したCHN分析によって2.95重量%の炭素から成ることが測定された。
【0028】
実施例2
ヒュームドシリカをジメチルジクロロシランで疎水性化した。100mlのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)25g、蒸留水281g及びイソプロパノール90gを添加して懸濁液を生成した。この混合物にジメチルジクロロシラン11gを定攪拌をしながら3分かけて添加した。その懸濁液を定攪拌しながら30分間還流した。冷却後、トルエン300mlをそのフラスコに添加して、フラスコの内容物を攪拌して疎水性ヒュームドシリカをトルエン相内に移した。そのトルエン相を回収して蒸留水の300mlアリコートで3回洗浄した。穏やかに混合してエマルション相の形成を回避した。残留水は共沸蒸留によって除去し濾過によって疎水性ヒュームドシリカをトルエンから分離した。残留溶媒は、130℃で24時間加熱することによって疎水性ヒュームドシリカから除去した。乾燥した疎水性ヒュームドシリカは、前記CHN分析によって5.37重量%の炭素からなることが測定された。
【0029】
実施例3
ヒュームドシリカをヘキサメチルジシロキサンで疎水性化した。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)180g、蒸留水が803g、濃塩酸179g、イソプロパノール316g及びヘキサメチルジシロキサン150gを添加した。得られた懸濁液を1時間還流した。その懸濁液を冷却後、トルエンをその懸濁液にゆっくり添加した。その懸濁液のコンシスタンシーは、添加トルエンの関数として目視観察された。154gのトルエン添加後、懸濁液の粘度はかなり低下した。合計174gのトルエンを添加した後、懸濁液は凝集し始めて、懸濁水性相にドウ状のクランプを形成した。合計188gのトルエンの添加後、著しいクランピング(凝集)が見られた。合計205gのトルエンの添加後、クランプは消失し始め、水性相の表面に均一相を形成した。さらに溶媒の添加はシリカ/溶媒のスラリー粘度を下げて、疎水性ヒュームドシリカの均一懸濁液を生成した。
【0030】
実施例4
ヒュームドシリカをジメチルジクロロシランで疎水性化した。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)180g、蒸留水821g、濃塩酸200g、イソプロパノール336g及びヘキサメチルジシロキサン350gを添加して懸濁液を生成した。その懸濁液を加熱して攪拌しながら還流した。懸濁液の還流の際に、粘度が上昇し始め、ヒュームドシリカの疎水性化の際にシリカのフロキュレーションが過剰のヘキサメチルジシロキサンに生じ始めた。冷却後、その混合体は水相から分離した有機相の2相に分離させた。次にその有機相に1.5Lの蒸留水を添加して攪拌を30分間継続した。その有機相を重炭酸ナトリウム1.5gを含有する蒸留水1.5Lで洗浄し、次に蒸留水1.5Lアリコートで3回洗浄した。これらの洗浄工程中、疎水性ヒュームドシリカ凝集体にさらに242gのヘキサメチルジシロキサンを添加して軟らかいコンシスタンシーを維持した。凝集した疎水性ヒュームドシリカは、室温での蒸発によってヘキサメチルジシロキサンから分離した。疎水性ヒュームドシリカは130℃で24時間炉内で乾燥した。乾燥した疎水性ヒュームドシリカは、前記CHN分析によって1.64重量%の炭素からなることが測定された。
【0031】
実施例5
ヒュームドシリカをオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)で疎水性化し、水−非混和性有機溶媒として作用するヘキサメチルジシロキサンで凝集させた。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)180g、蒸留水820g、濃塩酸180g、イソプロパノール333g及びオクタメチルシクロテトラシロキサン50gを添加して懸濁液を生成した。その懸濁液を加熱して攪拌しながら30分間還流した。冷却後、その懸濁液にヘキサメチルジシロキサン700mlを添加して疎水性ヒュームドシリカを凝集させた。デカンテ−ションによって水性相を除去した。次にその有機相に1.5Lの蒸留水を添加して攪拌を30分間継続した。その有機相を重炭酸ナトリウム1.5gを含有する蒸留水1.5Lで洗浄し、次に蒸留水1.5Lアリコートで3回洗浄した。凝集した疎水性ヒュームドシリカは、室温での蒸発によってヘキサメチルジシロキサンから分離した。疎水性ヒュームドシリカは130℃で24時間炉内で乾燥した、そして前記CHN分析によって測定した炭素の重量%を表1に示した。この操作を25、90及び130gのオクタメチルシクロテトラシロキサンで反復した、使用した試薬量及び凝集溶媒量も表1示した。CHN分析で測定した乾燥した疎水性ヒュームドシリカの炭素の重量%も表1に示した。
【0032】
【表1】
オクタメチルシクロテトラシロキサンでのヒュームドシリカの処理
Figure 0004488542
【0033】
実施例6
ヒュームドシリカをジメチルジクロロシランで疎水性化し、種々の水−非混和性有機溶媒で凝集させた。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)180g、蒸留水1000g、及びイソプロパノール333gを添加して懸濁液を生成した。その懸濁液を30分間還流した。この懸濁液を室温に冷却後、ヘキサメチルジシロキサンを添加して疎水性ヒュームドシリカを凝集させた。デカンテ−ションによって水性相を除去して、有機相を30分間攪拌することによって1.5Lの蒸留水で洗浄した。その有機相を重炭酸ナトリウム1.5gを含有する蒸留水1.5Lで中和し、次に蒸留水1.5Lアリコートで3回洗浄した。その洗浄工程中、さらにヘキサメチルジシロキサンを添加して軟らかい凝集体コンシスタンシ−を維持した。次に凝集した疎水性ヒュームドシリカは、室温での蒸発によってヘキサメチルジシロキサンから分離した。疎水性ヒュームドシリカは130℃で24時間炉内で乾燥した、そして前記CHN分析によって測定した炭素の重量%を表2に示した。この操作を表2に示したジメチルシクロロシランの量で反復した、そして試薬の量及び凝集溶媒量も表2に示した。CHN分析で測定した炭素の重量%も表2に示した。
【0034】
【表2】
ジメチルジクロロシランでのヒュームドシリカの処理
Figure 0004488542
【0035】
実施例7
ヒュームドシリカをヘキセニルジメチルクロロシランとジメチルジクロロシランとの混合物で疎水性化した。100mlのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)25g、蒸留水289g、及びイソプロパノール90gを添加して懸濁液を生成した。この懸濁液にジメチルジクロロシラン8gとヘキセニルジメチルクロロシラン2gとの混合物を3分かけて滴下した。撹拌しながらその懸濁液を加熱して30分間還流して冷却した。次に冷却した懸濁液にシクロヘキサンを添加して疎水性ヒュームドシリカを凝集させた。76gのシクロヘキサンの添加後、0.5mmの平均粒度をもつ凝集体を得た。さらに76gのシクロヘキサンの添加後、凝集体は2mmの平均粒度を有した。後続のシクロヘキサンの添加により凝集体のマスクラビングが生じた。さらに90gのシクロヘキサンの添加後、デカンテーションによって水性相を除去して、凝集体を含有する有機相を500mlの蒸留水で洗浄した。0.5gの重炭酸ナトリウムを含有する500mlの蒸留水で洗浄した。次にその凝集体を蒸留水500mlのアリコートで2回洗浄して、空気乾燥した。その後、疎水性ヒュームドシリカからなる空気乾燥した凝集体は、130℃で24時間炉内で乾燥した、乾燥した疎水性ヒュームドシリカは前記CHN分析によって3.83重量%の炭素からなることが測定された。
【0036】
実施例8
ヒュームドシリカを塩素末端封鎖ポリジメチルシロキサン・オリゴマーで疎水性化した。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)180g、蒸留水1000g、及びイソプロパノール333gを添加して懸濁液を生成した。この懸濁液に平均重合度12を有する塩素末端封鎖ポリジメチルシロキサン75gを添加した。その懸濁度を60℃に加熱して、さらに108gの塩素末端封鎖ポリジメチルシロキサンを添加した。その懸濁液を75℃の15分間加熱して、冷却した。その懸濁液にヘキサメチルジシロキサン474gを添加して疎水性化ヒュームドシリカを凝集させた。水性相を除去して、疎水性ヒュームドシリカを凝集体を含有する溶媒相を1500g蒸留水で2回洗浄した。疎水性ヒュームドシリカを含有するその溶媒相を空気乾燥させて、疎水性ヒュームドシリカを150℃の炉内で24時間炉内で乾燥した。
【0037】
実施例9
ヒュームドシリカを水混和性溶媒の不在下でジメチルジクロロシランと接触させた。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)150g及び水1500gを添加して懸濁液を生成した。その懸濁液を70℃に加熱して、60gのジメチルジクロロシランを攪拌しながら10分間かけて添加した。その懸濁液を室温に冷却してその懸濁液にトルエン500gをゆっくり添加した。ヒュームドシリカの凝集は観察されなかった。その懸濁液を空気乾燥した。乾燥したヒュームドシリカは前記CHN分析て4.1重量%の炭素からなることが測定された。
【0038】
実施例10
ヒュームドシリカをメチルトリクロロシランとヘキサメチルジシラザンで疎水性化した。5Lのフラスコにヒュームドシリカ(Cabot MS75D)110g、水610g、及びイソプロパノール204gを添加して懸濁液を生成した。次にこの懸濁液にメチルトリクロロシラン118gを3分かけて滴下した。撹拌しながらその懸濁液を加熱して30分間還流して冷却した。冷却した懸濁液にヘキサン360gを添加してシリカの部分凝集をさせた。シリカの完全凝集は30gのヘキサメチルジシラザンとさらに40gのシクロヘキサンの添加によって得られた。シクロヘキサンの第2の添加に続いて、デカンテーションによって水性相を除去して、凝集体を含有する有機相を500mlの蒸留水で洗浄し、0.5gの重炭酸ナトリウムを含有する500mlの蒸留水で洗浄した。次にその凝集体を蒸留水500mlのアリコートで2回洗浄して、空気乾燥した。その後、疎水性ヒュームドシリカからなる空気乾燥した凝集体は、130℃で24時間炉内で乾燥した、乾燥した疎水性ヒュームドシリカは前記CHN分析によって6.09重量%の炭素からなることが測定された。

Claims (2)

  1. 下記の工程(A)及び(B)からなることを特徴とする疎水性ヒュームドシリカの製造法:
    (A) ヒュームドシリカの水性懸濁液を、(1)触媒量の酸及び(2)次式
    SiX4−a−b (1)、
    SiO(4−n)/2 (2)及び
    (R Si)NH (3)
    (式中の各Rは炭素原子数が1〜12の炭化水素基から独立に選び;各R水素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但しRは置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Rは塩素、ヒドロキシ基及び炭素原子数が1〜12の炭化水素基から成る群から独立に選ぶ、但し、R置換基の少なくとも50モル%は炭化水素基である;各Xはハロゲン原子、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基及び炭素原子数が1〜12のアシルオキシ基からなる群から独立に選ぶ;a=1、2又は3;b=0又は1;a+b=1、2又は3である。但し、b=1のとき,a+b=2又は3である;nは2〜3の整数である)によって表されるオルガノシランから成る群から選んだ有機ケイ素化合物と接触させて疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液を生成させる工程;及び
    (B) 工程(A)の疎水性ヒュームドシリカの水性懸濁液と、水非混和性有機溶媒とを溶媒/シリカの重量比が0.1/1以上の値で接触させることによって、水性懸濁液から疎水性ヒュームドシリカを分離する工程。
  2. 工程(A)の水性懸濁液が、さらにヒュームドシリカと有機ケイ素化合物との後続の反応を促進するのに十分な量の水混和性有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1記載の方法。
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