JP4430164B2 - 疎水性非凝集コロイドシリカの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、シリコーン組成物の充填物として有用な疎水性非凝集コロイドシリカの製造方法に関する。
本発明の方法には、珪素化合物と親水性非凝集コロイドシリカの接触を促進するための水混和性有機溶媒が量的に十分存在する条件下で4未満のpHにおいて、珪素化合物と平均粒子直径が4nmより大きい親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液との反応が含まれている。本発明の方法は、20〜250℃の範囲の温度で疎水性非凝集コロイドシリカを形成するのに十分な時間行われる。
【0002】
本発明の方法により製造した疎水性非凝集コロイドシリカは、フュームドシリカ、沈殿シリカおよびシリカゲルが有用である多くの用途で使用できる。しかし、本発明の方法により製造した疎水性非凝集コロイドシリカは、シリコーン接着剤、ゴムおよびシーラントを含むシリコーンゴム組成物と有機ゴムの強化および増量用充填物としてとくに有用である。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
ポリジオルガノシロキサン流体およびゴム単独の硬化により形成されるシリコーンゴムなどの硬化シリコーン組成物は、一般には、伸びおよび引っ張り強さが低いことはよく知られている。この種のシリコーン組成物の物理特性の改善には、フュームドシリカ、沈殿シリカおよびシリカゲルなどの凝集強化シリカ充填物を、硬化前に流体やゴムに添加することが含まれる。しかし、この種の凝集シリカには、通常、ヒドロキシル基が含まれており、これがシリカを親水性にする。この種の親水性シリカは、疎水性のポリジオルガノシロキサン・ポリマーを含むシリコーン組成物に混ぜ込むのが困難であり、さらに、シリカとこれらのポリマーとの反応が起こり、通常、「クレープ硬化」と呼ばれる現象を引き起こす。シリカ表面を疎水性にするためにオルガノシラン類やオルガノシロキサン類を用いて凝集強化シリカ充填物の表面を処理する方法については、過去に、多大の研究がなされてきた。このような表面処理により、シリコーン組成物がクレープ硬化する傾向を低減させ、また、硬化シリコーン組成物の物理特性を改善する。本発明は、コロイドシリカの凝集を引き起こすことなく、非凝集コロイドシリカを疎水性にする方法を提供する。
【0004】
【発明の効果】
本発明の方法でつくられた疎水性非凝集コロイドシリカは、形は球状で、粒子サイズは凝集シリカより小さいが、同等の強化する能力を与える。したがって、本発明の方法でつくられた疎水性非凝集コロイドシリカを用いると、例えば液状シリコーンゴム組成物のような低粘度の組成物が得られ、また、透明性のよい組成物が得られる。
【0005】
【従来の技術】
例えば、オルガノクロロシラン類、シロキサン類およびジシラザーン類を用いたフュームドシリカを疎水性にする方法は当該技術において周知である。たとえば、英国特許第1,110,331号には、アルキルハロシランを用いてフュームドシリカの水性懸濁液を疎水性にし、次いで水と混和しない有機液体中で凝集させる方法が記載されている。
【0006】
疎水性シリカゲルの製造方法は文献にも記載されている。米国特許第3,015,645号には、酸性触媒の存在下でシリカ・オルガノゲルとジメチルジクロロシランやトリメチルメトキシシランなどの有機珪素化合物を反応させて、疎水性シリカ・ヒドロゲルを形成して疎水性シリカ粉末を製造する方法が開示されている。水相にある疎水性シリカ・ヒドロゲルを水と混和しない有機溶媒と接触させて疎水性シリカ・ヒドロゲルを疎水性シリカ・オルガノゲルに変え、これが有機相に分離する。最近、米国特許第5,708,069号では、中性条件下で疎水性シリカゲルを製造する方法が開示されている。この発明の方法には2つのステップがあり、第1のステップではシリカ・ヒドロゲルの形成を促進するために、塩基を用いてシリカ・ヒドロゾルのpHを3〜7の範囲に調整する。第2ステップでは、シリカ・ヒドロゲルを触媒量の酸の存在下で有機珪素化合物と接触させ、このシリカ・ヒドロゲルを疎水性にする。好適な方法では、第3のステップでこの疎水性シリカ・ヒドロゲルを水と混和しない有機溶媒と接触させて、この疎水性シリカ・ヒドロゲルをオルガノゲルに転化し、このゲルを水相から分離させる。
【0007】
米国特許第5,009,874号では、シリコーン・エラストマーの強化充填物として有用な疎水性沈殿シリカの製造方法の特許を請求している。まず最初に、水性懸濁液中の沈殿シリカを有機珪素化合物を用いて疎水性にする。次いで、水と混和しない有機溶媒を添加して水相から疎水性沈殿シリカを分離させる。
【0008】
Castaing らは”Europhysics Letters”36 (2) 153-8, 1996, において、表面にポリジメチルシロキサンを吸着させたコロイドシリカを混ぜ込むことにより優れた物理特性を有するシリコーン・エラストマーが得られることを報告している。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、疎水性非凝集コロイドシリカを製造する好都合な方法である。本発明の方法は、下記化学式(1)
1 abSiX4-a-b (1)
で表わされるオルガノシラン類および下記化学式(2)
1 nSiO(4-n)/2 (2)
で表わされるオルガノシロキサン類からなる群から選択した珪素化合物と、平均粒子直径が4nmより大きい親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液とを反応させることを含む。上記式中、各R1 は、独立して炭素原子数1〜12個の炭化水素基または有機官能基を含む炭素原子数1〜12個の炭化水素基から選択され、各Xは、独立してハロゲン原子または1〜12個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択され、aは0、1,2または3であり、bは0または1であり、a+bは1、2または3である。ただし、b=1の場合は、a+bは2または3である。nは2または3の整数である。また、本発明の方法は珪素化合物と親水性非凝集コロイドシリカの接触を促進するために、十分な量の水と混和性の有機溶媒の存在下、pH4未満にて、20〜250℃の温度範囲、および疎水性非凝集コロイドシリカを形成するのに十分な時間反応が行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する親水性コロイドシリカは、非凝集性で、平均粒子直径が4nmより大きく、本質的には球状の粒子である。「非凝集性」とは、発明者らはコロイドシリカが水性懸濁液において大部分が不連続な球状粒子として存在することを意味する。コロイドシリカの平均粒子直径は、4〜150nmの範囲にあるのが好適である。平均粒子直径は5〜100nmの範囲にあればより一層好適である。
【0011】
本発明の方法では、親水性非凝集コロイドシリカが水性懸濁液として加えられる。水性懸濁液におけるコロイドシリカの濃度は厳密に定める必要はなく、広範囲に変えることができる。本発明の方法において珪素化合物の混合と分散を促進するために、一般には、コロイドシリカは水性懸濁液の1〜50重量%含まれることが好適である。コロイドシリカは水性懸濁液の5〜20重量%含まれればより好適である。
【0012】
好適なプロセスにおいて、本発明の方法で有用な親水性非凝集コロイドシリカは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニアなどの化合物を添加してコロイドシリカの水性懸濁液をアルカリ性にするなどの方法により、凝集してゲルを形成しないように安定化されている。コロイドシリカは、ホルムアミド、エチルアミン、モルフォリンまたはエタノールアミンなどのような短鎖アミンを添加して凝集しないように安定化させることもできる。
【0013】
本発明の方法で反応させる親水性非凝集コロイドシリカは、シリカ粒子の表面にヒドロキシル基があるので「親水性」であり、したがって、一般には、非極性有機溶媒やポリジオルガノシロキサンなどのような疎水性物質とは親和性がない。
【0014】
この親水性非凝集コロイドシリカの製造方法はとくに重要ではなく、一般には、当該技術においては周知の方法である。たとえば、珪酸ナトリウムの混合物を酸性にし、続いて前述のような方法で水性懸濁液において本質的には球状の親水性非凝集コロイドシリカを得てシリカ粒子を安定化すればシリカ・ヒドロゾルをつくることができる。
【0015】
本発明の方法では、親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液を、上記化学式(1)及び(2)で表される1種以上の有機珪素化合物と反応させ、コロイドシリカを疎水性にすることができる。化学式(1)及び(2)において、各R1は独立して炭素原子数1〜12個の炭化水素基または有機官能基を含む炭素原子数1〜12個の炭化水素基から選択する。R1 は飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。R1 は置換炭化水素基でも非置換炭化水素基でもよい。R1 は、たとえば、メチル、エチル、t-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシルおよびドデシルなどのアルキル基;ビニル、アリル(allyl)およびヘキセニルなどのアルケニル基;クロロメチル、3,3,3-トリフロロプロピルおよび6ークロロヘキシルなどの置換アルキル基;およびフェニル、ナフチルおよびトリルなどのアリール(aryl)基である。R1 は1〜12個の炭素原子を有する有機官能基を含む炭化水素基でもよい。ここで、有機官能基には、たとえば、メルカプト、ジサルファイド、ポリサルファイド、アミノ、カルボン酸、カルビノール、エステルまたはアミドがある。好適な有機官能基を含む炭化水素基は、ジサルファイドまたはポリサルファイドを有するものである。
【0016】
化学式(1)において、各Xは独立して1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基またはハロゲン原子から選択する。Xがハロゲンである場合は、ハロゲンは塩素であることが好ましい。Xがアルコキシ基である場合は、Xは、たとえば、メトキシ、エトキシおよびプロポキシである。各Xは塩素原子またはメトキシ基から選択するのが好ましい。
【0017】
化学式(2)で表わされるオルガノシロキサン類の粘度は限界はなく、低い方は流体から高い方はゴム状のものまでの範囲である。普通、高分子量のオルガノシロキサン類は本発明の方法の酸性条件により解裂し、これらのシロキサン類と親水性非凝集コロイドシリカが反応が可能となる。
【0018】
本発明の方法では、有機珪素化合物は、化学式(1)または(2)で表わされる単独の化合物または化学式(1)、(2)で表わされる2種以上の有機珪素化合物の混合物として使用することもできる。
【0019】
有用な有機珪素化合物の例には、ジエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルメチルジクロロシラン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルジクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよびビス{3-(トリエトキシシリル)プロピル}テトラサルファイドがある。疎水性非凝集コロイドシリカをシリコーンゴムの充填物として使用する場合は、有機珪素化合物は、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ビニルメチルジクロロシランおよびビニルジメチルクロロシランからなる群から選択するのが好ましい。
【0020】
本発明の方法で添加する有機珪素化合物の量は、親水性非凝集コロイドシリカをその用途に適うように十分疎水性にできればよい。通常、有機珪素化合物は、親水性非凝集コロイドシリカの表面積の平方ナノメータあたり0.1オルガノシリル・ユニット以上あるような量が加えられる。有機珪素化合物は、親水性非凝集コロイドシリカ上で反応に利用できるヒドロキシル基に対して、オルガノシリル・ユニットが過剰になるように加えるのが好ましい。この方法では珪素結合したヒドロキシル基と反応するのに必要な量を超えた分は溶媒として作用するので、本発明の方法で添加する有機珪素化合物の量の上限は厳密なものではない。
【0021】
本発明の方法では、珪素化合物と親水性非凝集コロイドシリカの接触を促進するために十分な量の水混和性の有機溶媒の存在が必要である。一般的に、水混和性の有機溶媒は混合物中に存在する成分の総容積の10〜50容量%である。水混和性の有機溶媒は混合物中に存在する成分の総容積の少なくとも20容量%以上であることが好ましい。水混和性の有機溶媒が混合物中に存在する成分の総容積の25〜35容量%であれば一層好適である。適切な水混和性の有機溶媒には、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびテトラヒドロフランなどのアルコール類がある。好適な水混和性の有機溶媒はイソプロパノールである。
【0022】
親水性非凝集コロイドシリカと有機珪素化合物の接触をさらに促進するために、必要に応じて、本発明の方法に界面活性剤を添加することができる。非凝集コロイドシリカが凝集やゲル化を起こさなければ、いかなるアニオン性または非イオン性界面活性剤でも水性懸濁液に添加することができる。界面活性剤は、デオデシルベンゼンースルホン酸などのアニオン性界面活性剤またはポリオキシエチレン(23)−ラウリルエーテルや下記化学式の化合物
(Me3SiO)2MeSi(CH2)3(OCH2CH2)7OMe
(式中、Meはメチルを意味する)などの非イオン性界面活性剤である。
【0023】
本発明の方法の反応は、pH4未満、好適にはpH0〜pH3.5の範囲で行われる。本発明の方法で有用な親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液は、通常、pH9〜11の範囲のpHにおいて凝集に対して最も安定であり、したがって、普通は使用するまでこのpH領域に維持される。したがって、本発明の方法では、一般には、親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液のpHを、酸を用いて所望のpHに調節する必要がある。酸は、この方法では、触媒として作用し、親水性非凝集コロイドシリカと有機珪素化合物との反応を促進する。この酸は、塩酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸およびリン酸などの鉱酸である。有機珪素化合物が、たとえば、クロロシランである場合は、必要な酸の一部または全部はクロロシランの加水分解または親水性非凝集コロイドシリカのヒドロキシルとクロロシランとの直接の反応により、その場で発生させることができる。
【0024】
本発明の方法の反応が行われる温度は厳密に規定する必要はなく、20〜250℃の範囲にあればよい。一般には、この反応は30〜150℃の範囲で行うのが好ましい。
【0025】
本発明の方法では、反応が行われるpHは、非凝集コロイドシリカの凝集に対する安定性が低下するpHである。したがって、非凝集コロイドシリカが凝集をほとんど起こさずに反応条件下に置かれる時間の長さは、コロイドシリカのサイズや安定化方法、珪素化合物、および反応が行われるpHや温度などの要因に左右される。この接触時間の長さは、親水性非凝集コロイドシリカの疎水性化がコロイドシリカの凝集をほとんど起こさずにその意図する目的を達成できるほど十分行われるかぎり、この明細書では無制限である。普通、接触時間は0.25〜4時間であればよく、0.5〜2時間であれば好適である。
【0026】
接触期間の終了後、塩基を加えて混合物のpHを、得られた親水性非凝集コロイドシリカが懸濁液中で安定であるpHまで上げるか、または、親水性非凝集コロイドシリカを水相から沈殿させて反応を終わらせる。この方法で用いた親水性非凝集コロイドシリカのサイズおよび反応が行われる条件に依存して、特許請求された親水性非凝集コロイドシリカ生成物は水相から自然に分離する。しかし通常は、親水性非凝集コロイドシリカを水相から分離させるのに十分な量の、水と混和しない有機溶媒を添加することが望ましい。水と混和しない有機溶媒であれば、このような分離を起こすのに使用できる。水と混和しない適切な有機溶媒には、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよびトリメチルシロキシ基で末端ブロックしたポリジメチルシロキサン流体などの低分子量シロキサン類がある。その他の有用な水と混和しない有機溶媒には、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタンやヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒;シクロヘキサンなどのシクロアルカン類;ジエチルエーテルやジブチルエーテルなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンおよびクロロベンゼンなどのハロ炭化水素溶媒;およびメチルイソブチルケトンなどのケトン類がある。
【0027】
本発明の方法で使用される水と混和しない有機溶媒の量は、親水性非凝集コロイドシリカを水相から分離するのに十分な量であればいかなる量でもよい。通常、溶媒とシリカの重量比は0.1:1〜10:1範囲にあれば好ましい。溶媒とシリカの重量比は1:1〜5:1範囲にあればより好ましい。この方法で使用される水と混和しない有機溶媒量の上限は、溶媒コスト、溶媒を回収するのかそれとも廃棄するかなどの経済的要因および装置の能力によってのみ制限される。
【0028】
水と混和しない有機溶媒の沸点は、親水性非凝集コロイドシリカからの分離を容易にするために250℃未満であることが好ましい。しかし、親水性非凝集コロイドシリカからの溶媒の分離は、濾過、遠心分離または噴霧乾燥のような他の方法でもできるので、水と混和しない有機溶媒の沸点はそれほど重要ではない。
【0029】
本発明の方法により製造した親水性非凝集コロイドシリカは、シリコーン接着剤、シリコーン・エラストマーおよびシリコーン・シーラントなどのようなシリコーン組成物における強化および増量充填物としてとくに有用である。親水性非凝集コロイドシリカは、従来、フュームドシリカや沈殿シリカなどのシリカ充填物が使用されたシリコーン組成物において使用することができる。本発明の親水性非凝集コロイドシリカをシリコーン組成物の強化充填物として用いる場合は、そのシリカと反応した1種以上の珪素化合物が、一つ以上の不飽和脂肪族置換基を含み、それにより親水性非凝集コロイドシリカに有機官能基を付与することが望ましい。この有機官能基は、引き続きシリコーン組成物の他の成分と反応して強化効果を向上させる。このような不飽和脂肪族置換基には、ビニル、アリルおよびヘキセニルなどのアルケニル基がある。
【0030】
【実施例】
実施例1
775mlの濃塩酸、225mlの脱イオン水、1Lのイソプロパノールおよび178mlのヘキサメチルジシロキサンを5Lのフラスコに入れた。固形分15重量%の親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液(イリノイ州シカゴ、Nalco Chemical Co.、Nalco 1115、平均粒子直径4nm)1.2Lを蒸留水で容積2Lまで希釈し、45〜60分の時間をかけて5Lフラスコに少しずつ加えた。得られた混合物をさらに、15〜30分攪拌した。次いで、300mlのトルエンをフラスコに入れて、得られた疎水性コロイドシリカを水相からトルエン相に分離させた。フラスコから水相を除去し、1.5Lのトルエンを追加して加え、トルエン相を2〜3時間加熱還流させ、残りの水を除去した。次いで、1.6mlのビニルジメチルクロロシランをトルエン相に加え、得られた混合物を15分間加熱還流させた。この混合物を冷却し、脱イオン水で洗浄し、再度、2〜3時間加熱還流させ残りの水を除去した。
【0031】
得られた疎水性コロイドシリカの粒子サイズと凝集状態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。疎水性コロイドシリカの表面処理物質の量を、シリカ試料を温浸して表面処理物質を除去し、得られた温浸液をフレームイオン化検出器付きのガス・クロマトグラフィ(GC-FID)により分析した。GC-FID分析の結果を表1に示す。疎水性コロイドシリカをTEMにより観察して、一次粒子のサイズは4〜5nmであることが判明し、さらに、これらの粒子は適度に凝集しているように見えた。
【0032】
【表1】
Figure 0004430164
【0033】
実施例2
平均粒子直径20nmの親水性非凝集コロイドシリカ(Nalco Chemical Co.、Nalco 1050)および平均粒子直径35nmの親水性非凝集コロイドシリカ(Nalco Chemical Co.、Nalco TX9468)を用いて、実施例1の処理方法を繰り返し行った。用いたビニルジメチルクロロシランの量を変えて行い、その量とともに処理したコロイドシリカのGC-FID分析の結果を表2に示す。得られた疎水性コロイドシリカのTEM分析により、粒子は不連続で凝集していないことが判明した。本発明の方法で用いた親水性非凝集コロイドシリカと得られた疎水性非凝集コロイドシリカとの粒子サイズを比較するために、代表的TEM写真を画像解析ソフトウエアを用いて走査した。この分析の結果を表3に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0004430164
【0035】
【表3】
Figure 0004430164
【0036】
実施例3
200mlの濃塩酸、57mlの脱イオン水、250mlのイソプロパノールを5Lのフラスコに入れた。別のフラスコで、平均粒子直径20nmの親水性非凝集コロイドシリカ水性懸濁液(Nalco 1050)90gを、蒸留水で総容積800mlへ希釈した。希釈したコロイドシリカ懸濁液を、最初の5Lフラスコに攪拌しながら加えた。次いで、種々の容積比のトリメチルクロロシランとビニルジメチルクロロシランからなる90mlのクロロシラン混合物をこのフラスコに少しずつ加えた。各試験で用いた2つのクロロシラン類の容積比を表4に示す。得られた混合物を激しく攪拌しながら、70℃に加熱した。混合物の温度が70℃に到達した後、加熱を停止し、混合物の温度が室温に下がるまで攪拌を続けた。この時点で、疎水性非凝集コロイドシリカが水相から沈殿した。水相を静かに移し、沈殿したシリカを250mlの脱イオン水で洗浄して残留HClを除去した。沈殿したシリカを375mlのトルエンに懸濁させ、得られた懸濁液を加熱して残留水を除去した。疎水性コロイドシリカの試料を実施例1で述べたGC-FIDにより分析した。この分析の結果を表4に示す。疎水性コロイドシリカをTEMで観察して、このシリカが球状の不連続な粒子であり、凝集していないことが判明した。
【0037】
【表4】
Figure 0004430164
【0038】
実施例4
平均粒子直径20nmの疎水性非凝集コロイドシリカを実施例3で述べた方法により調製した。実施例3と同様に、トリメチルクロロシランとビニルジメチルクロロシランの重量比を変えた。GC-FIDにより定量した疎水性コロイドシリカ上に存在するビニルの重量%を表5に示す。非凝集コロイドシリカが白金硬化シリコーンゴム組成物を強化する能力を、通常のシリコーンゴム組成物にこのコロイドシリカを60重量%添加して求めた。疎水性非凝集コロイドシリカを含む白金硬化シリコーンゴム組成物の硬化した試料を、金型で150℃にて20分硬化させ、次いで177℃で1時間後硬化させることによって調製した。この硬化組成物の物理特性は、ショアAジュロメータ(Duro.)は ASTM 2240 により、引き裂き(ダイB)は ASTM 625 により、そして引っ張り、伸び、およびモジュラスは ASTM 412 により、それぞれ測定した。物理特性テストの結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
Figure 0004430164

Claims (1)

  1. 下記化学式(1)
    1 abSiX4-a-b (1)
    で表わされるオルガノシラン類、および下記化学式(2)
    1 nSiO(4-n)/2 (2)
    で表わされるオルガノシロキサン類からなる群から選択された珪素化合物[式中、各R1 は独立して炭素原子数1〜12個の炭化水素基または有機官能基を含む炭素原子数1〜12個の炭化水素基から選択され、各Xは独立してハロゲン原子または1〜12個の炭素原子を含むアルコキシ基から選択され、aは0、1、2または3であり、bは0または1であり、a+bは1、2または3であり(ただし、b=1の場合はa+bは2または3である)、そしてnは2または3である]と、平均粒子直径が4nmより大きい親水性非凝集コロイドシリカの水性懸濁液とを、該珪素化合物と親水性非凝集コロイドシリカの接触を促進するために十分な量の、水と混和性の有機溶媒の存在下、pH4未満のpHにおいて、20〜250℃の範囲の温度で、疎水性非凝集コロイドシリカを形成するのに十分な時間、反応させることを含む疎水性非凝集コロイドシリカの製造方法。
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