JP4488324B2 - サーミスタ用の組成物およびその作製方法並びにその組成物を用いたサーミスタ - Google Patents

サーミスタ用の組成物およびその作製方法並びにその組成物を用いたサーミスタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚膜負特性サーミスタ、厚膜負特性サーミスタ用の組成物およびその作製方法に関し、例えば、絶縁基板上に印刷形成される厚膜負特性サーミスタ、厚膜負特性サーミスタ用の組成物およびその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
厚膜負特性サーミスタ(以下、NTCサーミスタと略記する)の組成物としては、例えば、サーミスタ特性を有するMn(マンガン)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)などの金属酸化物と、導電性物質としてのRuO2(酸化ルテニウム)と、ガラス粉末とを混合し、加熱焼成して作製されたNTCサーミスタ用組成物が知られている。
【0003】
ここで、NTCサーミスタの一例を図9に示す。NTCサーミスタ組成物は、絶縁基板101上に形成された第1の電極102上に重ねて印刷され、NTCサーミスタ膜103が形成される。
【0004】
さらに、この形成されたNTCサーミスタ膜103上に、第2の電極104を形成し、さらにその上に、ガラス膜105や外部被覆膜などを形成してサンドイッチ形状のNTCサーミスタ100が形成されている。
【0005】
このサンドイッチ形状NTCサーミスタ100は、同一平面上の電極間にNTCサーミスタ組成物を印刷したシート形状NTCサーミスタと比べて抵抗値を低くすることができる。
【0006】
NTCサーミスタ組成物のペーストの作製方法の一例を図10に示す。まず、サーミスタ特性を有する、例えば、酸化マンガン(Mn34)、酸化コバルト(Co34)、酸化鉄(Fe34)などの金属酸化物を所定の配合となるよう混合し、所定条件で加熱焼成することにより固相反応させて金属酸化物粉末を得る(ステップS201)。
【0007】
続いて、この粉末をボールミルを用いて粗粉砕してから(ステップS202)、次に、導電性物質としての酸化ルテニウム(RuO2)と、ガラス粉末とを添加し(ステップS203)、乳鉢を用いてこれらの材料を粉砕しながら均一になるよう混合する(ステップS204)。
【0008】
さらに、この粉砕・混合された材料の中に増粘剤や溶剤を添加して(ステップS205)、NTCサーミスタ組成物のペーストが得られる(ステップS206)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記サンドイッチ形状NTCサーミスタにおいては、次のような問題点がある。
【0010】
すなわち、サンドイッチ形状NTCサーミスタを作製する際、加熱焼成時に有機ビヒクル成分の熱分解によって、Co2ガスが発生する。また、NTCサーミスタ特性を有するMn、Co、Fe、Niなどの金属酸化物が電極材料として使用されるAgまたはAg・Pd合金などと酸化還元反応を起こし、O2ガスを発生する場合がある。
【0011】
これら発生したガスは、NTCサーミスタ膜103内に残留し、ピンホールやボイド(空孔)108を発生させた。ピンホールやボイド(空孔)108がNTCサーミスタ膜103内に発生すると、NTCサーミスタ膜103の有効面積が減少し、その電気特性は低下する。
【0012】
また、NTCサーミスタ膜103の内部に閉じこめられたガスは、焼成時にサーミスタ層内部にピンホールやボイド(空孔)を発生させ、NTCサーミスタ100を構成する第1の電極と第2の電極とが短絡して、サンドイッチ形状NTCサーミスタの機能を発揮できなくなる場合もある。
【0013】
図11に、上記作製法を用いて作製したサンドイッチ形状NTCサーミスタ100を切断し、そのNTCサーミスタ膜103と第2の電極104の界面部を、走査型電子顕微鏡で拡大して観測したときの断面部写真の一例を示す。
【0014】
図11より、NTCサーミスタ膜103内には、30〜40μmの径を有するピンホールやボイド(空孔)108が多数存在していることがわかる。これらのピンホールやボイド(空孔)108は、上述のように、サンドイッチ形状NTCサーミスタ100作製時に、NTCサーミスタ膜103内部に閉じこめられたガスがピンホールやボイド(空孔)を発生させたものである。
【0015】
このような致命的な不具合が発生すると、作製したNTCサーミスタは使用できないため、作製時の製品収率が大幅に低下するという問題を生じる。
【0016】
また、NTCサーミスタの表面近傍部にこのピンホールやボイドが存在すると、NTCサーミスタ使用時にこのピンホールやボイドに水分が侵入し、NTCサーミスタの特性を低下させるなどの問題も生じる。
【0017】
この原因として、ステップS204の粉砕および混合において、NTCサーミスタ粉末とガラス粉末、導電物質との混合および分散が不十分であったり、各粉末の微粉化が不十分であったりすることが考えられる。
【0018】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、サーミスタの製造時において、サーミスタ膜内部の欠陥の発生を抑えることのできるサーミスタ用の組成物およびその作製方法並びにその組成物を用いたサーミスタを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のサーミスタ用の組成物は、以下の構成を有する。すなわち、サーミスタ特性を有する金属酸化物を少なくとも二種類混合し加熱焼成して得た第一の成分と、導電性物質である酸化ルテニウムと、絶縁物であるガラス成分とからなるサーミスタ用の組成物であって、20から50重量%の前記第一の成分の原料粉末と、1から20重量%の前記酸化ルテニウムの原料粉末と、30から60重量%の前記ガラス成分の原料粉末と、は平均粒径0.5μm〜1.2μmを有し、10μm以上の大きな粒子が除去されるように調製されている。
【0022】
また好ましくは、前記第一の成分の原料粉末と、前記酸化ルテニウムの原料粉末と、前記ガラス成分の原料粉末と、を混合した混合粉末を粉砕する粉砕手段によって、微細化および均一混合されている。
【0023】
また好ましくは、前記粉砕手段には、ボールミルなどの転動ミル、アトリッションミル、インパクトミル、のうちのすくなくとも1つを用いる。
【0024】
また好ましくは、前記第一の成分は、Mn、Co、Fe、Niそれぞれの酸化物を少なくとも二種類含む。
【0026】
上記目的を達成するために、本発明のサーミスタ用の組成物の作製方法は、以下の構成を有する。すなわち、サーミスタ特性を有する金属酸化物を少なくとも二種類混合し加熱焼成して得た第一の成分と、導電性物質である酸化ルテニウムと、絶縁物であるガラス成分とからなるサーミスタ用の組成物の作製方法であって、20から50重量%の前記第一の成分の原料粉末と、1から20重量%の前記酸化ルテニウムの原料粉末と、30から60重量%の前記ガラス成分の原料粉末と、が平均粒径0.5μm〜1.2μmを有し、10μm以上の大きな粒子が除去されるように調製する調製工程を有する。
【0028】
上記目的を達成するために、本発明のサーミスタは、以下の構成を有する。すなわち、所定サイズの絶縁基板の一方の面に形成された第一の電極と、請求項1から請求項の何れか1項に記載されたサーミスタ用の組成物を用いて、前記第一の電極に重畳するように形成された厚膜と、前記厚膜に重畳するように形成された第二の電極と、を有する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態であるNTCサーミスタ30およびNTCサーミスタ30を作製するとき用いるNTCサーミスタ組成物33の作製方法を詳細に説明する。
【0030】
なお、本実施の形態に記載されている組成物の組成比や混合比などは、一例であり、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、作製するNTCサーミスタの特性や仕様に応じて決定されるものである。
【0031】
また、NTCサーミスタ30の構造は、図9に示したNTCサーミスタ100と同じ構造であり、違いは、NTCサーミスタ組成物33が異なるためNTCサーミスタ膜34が異なる点のみである。
【0032】
従って、本発明のNTCサーミスタ組成物33を用いて作製されるNTCサーミスタ膜34を有するNTCサーミスタ30の構造を示す説明図およびそれを構成する共通する各部の説明は、ここでは省略し、以下は、NTCサーミスタ組成物33のみを説明するものとする。
【0033】
[NTCサーミスタ組成物ペーストの作製]
NTCサーミスタ組成物33のペースト作製方法について以下に説明するが、組成物の各成分の割合は、特に断らない限り重量百分率[wt%]を用いて記すことにする。
【0034】
NTCサーミスタ組成物33のペーストの作製方法の一例を図1に示す。
【0035】
まず、サーミスタ特性を有する例えば、酸化マンガン(Mn34)、酸化コバルト(Co34)、酸化鉄(Fe34)などの金属酸化物を、図2に示す、所定の配合となるよう混合し、所定条件で加熱焼成することにより固相反応させて金属酸化物粉末を得る。
【0036】
例えば、Mn34:Co34:Fe34=1:1:0.2となるよう配合し、粉砕混合後、焼成炉にて1000℃程度で、約2時間程度加熱焼成することにより、固相反応させる。
【0037】
なお、金属酸化物粉末の配合は、サーミスタ特性を有するMn、Co、Fe、Niなどの酸化物を、目的とする特性に応じて混合したものであればよく、金属酸化物は、41wt%に限ることはなく、20〜50wt%の範囲であればよい。
【0038】
また、各金属酸化物粉末の配合比率も上述のMn34:Co34:Fe34=1:1:0.2に限ることはなく、目的とする特性に応じて変更できるのはいうまでもない(ステップS10)。
【0039】
続いて、固相反応によって得られた金属酸化物粉末に、導電性物質としての酸化ルテニウム(RuO2)とガラス粉末として、例えば、ホウケイ酸鉛ガラス粉末を図2に示す配合となるように秤量し、添加する(ステップS12)。ここで、酸化ルテニウム(RuO2)は、4wt%に限ることはなく、1〜20wt%の範囲であればよく、ガラス粉末についても、55wt%に限ることはなく、30〜60wt%の範囲であればよい。
【0040】
続いて、ボールミルを用いて、この混合粉末を湿式粉砕する。ここで、粉砕媒体には、1〜10mm径(好ましくは、1〜5mm径)のジルコニア製ボールを用い、粉砕時間は、3〜72時間(好ましくは、6〜48時間)で粉砕する(ステップS14)。なお、前記粉砕では、湿式ボールミルによる粉砕を説明したが、同様の効果が得られる上記以外の転動ミル、アトリッションミル、振動ミルなどのインパクトミルを用いてもよい。
次に、粉砕された混合粉末の平均粒径および粒径分布を測定し(ステップS16)、混合粉末が所定の平均粒径を有すると判定されると(ステップS18)、次に、この混合粉末中に増粘剤と溶剤を添加する。
【0041】
すなわち、有機ビヒクルとして、例えば、5〜15wt%程度のエチルセルロースを含むブチルカルビトールと有機溶剤を、前記の混合物の35wt%程度となるように加えて、3本ロールなどで十分混合することによって(ステップS20)、NTCサーミスタ組成物33からなるNTCサーミスタ用ペーストにする(ステップS22)。
【0042】
[NTCサーミスタの作製]
次に、図9を参照して、NTCサーミスタ30の作製方法について説明する。なお、以下の説明で示す面積や厚さなどの値は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、作製する厚膜サーミスタの特性や仕様に応じて決定されるものである。
【0043】
まず、アルミナ基板などからなる絶縁基板101の一方の面に、例えば、AgまたはAg・Pd合金などの導体ペーストを印刷し、焼成して、所定サイズの第1の電極102を形成する。
【0044】
続いて、第1の電極102の一部に重畳するように、前述したNTCサーミスタ組成物33のペーストを印刷し焼成して、所定サイズのNTCサーミスタ膜34を形成する。なお、焼成は、例えば、850℃程度で10分間程度行い、焼成後のNTCサーミスタ膜34の膜厚は、例えば、40μm程度にする。
【0045】
続いて、NTCサーミスタ膜34に一部に重畳するように、例えば、AgまたはAg・Pd合金などの導体ペーストを印刷し焼成して、所定サイズの第2の電極104を形成する。なお、第1の電極102と第2の電極104との対向面積は、例えば、0.25mm2程度にする。
【0046】
続いて、ガラス105を印刷し、焼成し、更に、外部被覆膜106を印刷することによりNTCサーミスタ30が得られる。
【0047】
[NTCサーミスタ組成物の粉砕による調製]
図3は、図1の粉砕処理(ステップS14)における粉砕時間と平均粒径との関係を示したものである。本実施形態のように、予め金属酸化物粉末と導電性物質とガラス粉末とを混合してからボールミルによる湿式粉砕を用い、粉砕時間あるいは粉砕媒体を変えることにより、均一に混合され、0.2μm〜数μmの平均粒径を有する微細な混合粉末を得ることができる。
【0048】
例えば、2mm径の粉砕ボールを使用した場合には、20時間程度の粉砕時間で、平均粒径が1μm以下の微細な混合粉末にすることができる。
【0049】
また、2mm径と5mm径の異なる粒径の粉砕ボールを使用して、48時間粉砕して得られる平均粒径1.2μmと0.5μmの混合粉末の粒径分布を、それぞれ図4(b)と(c)に示す。図4(a)は、粉砕前の平均粒径4.2μmの混合粉末の粒径分布である。
【0050】
図4の比較より、粉砕により混合粉末の粒径分布は、狭くなる。このことから、本実施形態の粉砕処理を行うことにより、混合粉末の粒径を0.2〜数μm程度の微細でしかも数10μmの大きな粒径を有する粉末を除去した、狭い粒径分布を有する混合粉末を作製できることがわかる。
【0051】
[NTCサーミスタ組成物混合粉末およびNTCサーミスタの諸特性]
図5および図6に、上記粉砕処理により作製した平均粒径1μm程度と平均粒径0.5μm程度の混合粉末を使用してNTCサーミスタ30用に作製した試料1および試料2の電気的特性の測定結果(シート抵抗値とB定数の代表値)および、試料の断面を切断研磨してピンホールやボイドの有無を走査電子顕微鏡で観察した結果を示す。
【0052】
図5より、上記粉砕処理をしない混合粉末を用いて作製した比較試料3からは、30〜40μm程度の大きなピンホールやボイドが多数見られるのに対し、平均粒径1μm程度あるいは平均粒径0.5μm程度まで粉砕した混合粉末を用いて作製した試料1または試料2からは、30〜40μm程度の大きなピンホールやボイドは全く発生しておらず、2〜4μm程度の微小のピンホールやボイドがごくわずかに見られる程度である。
【0053】
図6は、平均粒径0.5μm程度の混合粉末を使用した試料2の一例を示す切断面であり、図11と比較して大きなピンホールやボイドが全く見られず、ピンホールやボイドがほとんどない。
【0054】
これらのことから、本実施形態の粉砕処理を用いて作製した0.2〜数μm程度の平均粒径混合粉末を用いることにより、NTCサーミスタ中に発生するピンホールやボイドの生成を防ぐことができる。
【0055】
なお、本実施形態の粉砕処理によるピンホールやボイド低減効果は、平均粒径を細かくすることの他に、図4(b)(c)に示すように粒径分布を狭くした効果も挙げられる。
【0056】
比較試料3は、平均粒径が5μm程度だが、図4(a)に示すように、平均粒径が数10μm程度の大きな粒子がかなり混入しており、これらが大きなピンホールやボイドの発生を促進すると考えられる。
【0057】
本実施形態の粉砕処理効果は、湿式ボールミルによる粉砕によって、原料粉末を均一に混合・分散させるとともに、それらを微細化し、それらの平均粒径を小さくし、しかも粒径分布を狭くしたことにある。
【0058】
原料粉末の粒径を小さくし、しかもその粒径分布を所定の範囲内に揃え、原料粉末の中に存在する粉末の粒径が数10μm程度の大きな粗大粒子を除去すると、加熱焼成時に焼結し易くなる。また、原料粉末の粒径をそろえ、均一に混合することにより、局所的な焼結反応を抑え、試料全体が均一に焼結反応を行わせるようにすることができる。
【0059】
その結果、原料粉末の粒径が所定の平均粒径と所定粒径分布を有するように管理されておらず、焼結を阻害する粗大粒子を含んでいた混合粉末を用いることによって、焼結阻害などに起因して生じていたピンホールやボイドの発生を抑制することができる。
【0060】
従って、粉砕によって作製した混合粉末が、粒径0.2〜10μm程度であっても、粒径分布をこの範囲に抑え、粒径が数10μm程度の大きな粒子を除去できれば、本実施形態と同様の効果を生むのはいうまでもない。
【0061】
次に、試料1および試料2のシート抵抗値は、1kΩ、B定数は、3200Kが得られ、比較試料3と同等以上の特性が得られている。
【0062】
従って、粉砕処理した混合粉末を用いて作製されたNTCサーミスタ組成物33用のペーストを用いて、NTCサーミスタ30を作製することにより、NTCサーミスタ膜34中にピンホールやボイドが発生しないため、これらに起因する第1の電極102および第2の電極104のショートによる製品歩留りの低下や、ボイド内への水分侵入による寿命劣化を防止することができる。
【0063】
さらに、比較試料3とほぼ同等のシート抵抗値やB定数が得られる試料1または試料2に使用されたNTCサーミスタ組成物33用のペーストは、設計変更を必要とせずに、従来のNTCサーミスタ用ペーストに置き換えることができる。
【0064】
[NTCサーミスタの信頼性試験]
試料1と試料2の信頼性試験結果を図7と図8に示す。
【0065】
図7は、所定温度に設定されたはんだ油浴中に各試料を10秒間浸積してから大気中にだす処理を3回繰り返してから、各測定温度で抵抗Rを測定し、処理前の抵抗R0と比較したときの抵抗変化率ΔR(=(R−R0)/R0×100)(%)を示したものである。
【0066】
本実施形態の混合粉末を使用した試料1および試料2は、比較試料3に比べ抵抗変化率ΔRが小さく、NTCサーミスタ中にピンホールやボイドが無くなることにより、NTCサーミスタの耐熱性が向上したことがわかる。
【0067】
また、図8は、120℃、2気圧の条件下で各試料に5mWの電力を24時間印可する加速試験を行った時の抵抗変化率ΔRを示したものである。
【0068】
試料1および試料2では、抵抗変化率は、0.3%と非常に小さくそのばらつきも小さいが、比較試料3では、抵抗変化率は、1.1%と大きく、そのばらつきも非常に大きい。
【0069】
このことから、本実施形態の混合粉末を使用した試料1および試料2は、従来の比較試料3に比べ、加速試験条件下でも抵抗変化率ΔRが小さく、NTCサーミスタ中にピンホールやボイドが無くなることにより、耐久性が向上したことがわかる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、厚膜負特性サーミスタ用の組成物を作製する際に、原料粉末を粉砕し、所定粒径を有し、均一に混合された粉末を調製し、この原料粉末を用いて厚膜負特性サーミスタ用の組成物を作製し、この組成物を用いて厚膜負特性サーミスタを作製することにより、ピンホールやボイドの発生を抑えることができる。
【0071】
また、作製された厚膜負特性サーミスタの電気的特性は、従来と同等以上の性能を示す。この厚膜負特性サーミスタ用の組成物を用い作製された厚膜負特性サーミスタによって、次の効果を得ることができる。
【0072】
(a)厚膜負特性サーミスタ焼成時に発生するピンホールやボイドを低減することにより、ピンホールやボイドに起因する電極間のショートを防ぎ、製品歩留りを向上する。また、ボイド等内部への水分侵入による寿命劣化を防止できる。
【0073】
(b)従来と同等以上のシート抵抗値やB定数が得られるので、大きな設計変更を必要とせずに、従来の厚膜負特性サーミスタ用ペーストに置き換えられる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のサーミスタ用の組成物およびその作製方法を用いることにより、サーミスタの製造時において、サーミスタ膜内部の欠陥の発生を抑えることのできるサーミスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーミスタ用の組成物の作製方法を示すフローチャートである。
【図2】サーミスタ用の組成物の各成分の組成を示す図である。
【図3】粉砕時間と平均粒径の関係を示す図である。
【図4】粉砕前後の粒径分布の変化を示す図である。
【図5】サーミスタ用の組成物およびサーミスタの諸特性を示す図である。
【図6】試料2の切断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】信頼性試験であるフローはんだ試験結果を示す図である。
【図8】信頼性試験である加速試験結果を示す図である。
【図9】厚膜負特性サーミスタの切断面図である。
【図10】サーミスタ組成物の作製方法を示すフローチャートである。
【図11】比較試料3の切断面の走査電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
30 NTCサーミスタ
101 絶縁基板
102 第1の電極
103 NTCサーミスタ組成物
104 第2の電極
105 ガラス
106 外部被覆膜
108 ボイド又はピンホール

Claims (6)

  1. サーミスタ特性を有する金属酸化物を少なくとも二種類混合し加熱焼成して得た第一の成分と、導電性物質である酸化ルテニウムと、絶縁物であるガラス成分とからなるサーミスタ用の組成物であって、
    20から50重量%の前記第一の成分の原料粉末と、
    1から20重量%の前記酸化ルテニウムの原料粉末と、
    30から60重量%の前記ガラス成分の原料粉末と、
    は平均粒径0.5μm〜1.2μmを有し、10μm以上の大きな粒子が除去されるように調製されていることを特徴とする組成物。
  2. 前記第一の成分の原料粉末と、前記酸化ルテニウムの原料粉末と、前記ガラス成分の原料粉末と、を混合した混合粉末を粉砕する粉砕手段によって、微細化および均一混合されていることを特徴とする請求項1に記載の用組成物。
  3. 前記粉砕手段には、ボールミルなどの転動ミル、アトリッションミル、インパクトミル、のうちのすくなくとも1つを用いることを特徴とする請求項2に記載のサーミスタ用の組成物。
  4. 前記第一の成分は、Mn、Co、Fe、Niそれぞれの酸化物を少なくとも二種類含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の組成物。
  5. サーミスタ特性を有する金属酸化物を少なくとも二種類混合し加熱焼成して得た第一の成分と、導電性物質である酸化ルテニウムと、絶縁物であるガラス成分とからなるサーミスタ用の組成物の作製方法であって、
    20から50重量%の前記第一の成分の原料粉末と、
    1から20重量%の前記酸化ルテニウムの原料粉末と、
    30から60重量%の前記ガラス成分の原料粉末と、
    が平均粒径0.5μm〜1.2μmを有し、10μm以上の大きな粒子が除去されるように調製する調製工程を有することを特徴とするサーミスタ用の組成物の作製方法。
  6. 所定サイズの絶縁基板の一方の面に形成された第一の電極と、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載されたサーミスタ用の組成物を用いて、前記第一の電極に重畳するように形成された厚膜と、
    前記厚膜に重畳するように形成された第二の電極と、
    を有することを特徴とするサーミスタ。
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