JP4487341B2 - 軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法 - Google Patents
軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁のフーチング、ケーソンといった水中構造物を軽量骨材を用いた水中コンクリートで構築する際のコンクリート打設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
橋梁のフーチングやケーソン等を構築する際には、いわゆる水中コンクリートを使用することが多いが、構築箇所の地盤が軟弱である場合には、地盤改良工事を小規模に抑えるべく、フーチングやケーソンといった基礎構造をできるだけ軽量化することが望ましい。
【0003】
一方、コンクリートを軽量化するにあたっては、軽量骨材を使用するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、軽量骨材を用いて水中コンクリートを打設すると、コンクリート打設中に比重の小さな軽量骨材がフレッシュコンクリート内で上昇し、水よりも軽い場合には、フレッシュコンクリートから水中に飛び出して水中を浮上したり、その際にフレッシュコンクリートが水中に飛散し、周辺水域を汚濁するおそれがある。
【0005】
そのため、通常骨材を用いた水中コンクリートの使用を余儀なくされ、その結果、基礎構造の軽量化を図ることはほとんど不可能であるという問題を生じていた。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、軽量骨材の飛出し、ひいてはフレッシュコンクリートの水中飛散を防止可能な軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法は請求項1に記載したように、軽量骨材を用いた水中コンクリートをトレミー管等のコンクリート供給管を介して所定の打設領域に打設する際、網目材からなる板状体を前記水中コンクリートの天端近傍に配置するものである。
【0008】
また、本発明に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法は、前記板状体に浮力調整材を取り付けたものである。
【0009】
また、本発明に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法は、前記板状体の下面に前記水中コンクリートに埋め込まれるアンカーを突設したものである。
【0010】
本発明に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法においては、軽量骨材を用いた水中コンクリートをトレミー管等のコンクリート供給管を介して所定の打設領域に打設するにあたり、網目材からなる板状体を水中コンクリートの天端近傍に配置する。
【0011】
このようにすると、従来であれば、軽量骨材が、その軽さゆえにフレッシュコンクリートから飛び出して水中を浮上するような状況であっても、本発明においては、水中コンクリートの天端近傍に網目材からなる板状体を配置してあるため、フレッシュコンクリート内を上昇してきた軽量骨材は、周囲のモルタル成分から浮力を受けても網目材の下面で上昇が抑制されるため、水中コンクリートの天端から飛び出すおそれはない。
【0012】
トレミー管等のコンクリート供給管は、板状体に設けられた貫通孔に通すようにしてもよいし、打設領域を取り囲む型枠に設けられた貫通孔に通すようにしてもよい。
【0013】
網目材からなる板状体は、水中コンクリート内の軽量骨材が該水中コンクリートから水中へと飛び出すことがないように天端近傍に配置されるとともに、打設作業の進行に伴って水中コンクリートの天端が上昇する際、該天端から離隔することなくかつ水中コンクリート内に深くめり込むこともなく、水中コンクリートの天端近傍に配置された状態が維持される必要があるが、そのような機能を有する限り、どのような構造、形状とするかは任意である。
【0014】
なお、水中コンクリートの天端近傍に配置するとは、水中コンクリートの天端を覆うように該天端に載置される場合のほか、天端から若干下がった位置にて埋もれた状態で配置される場合も含むものとする。
【0015】
板状体を構成する網目材は、軽量骨材、特に粗骨材の最小寸法を考慮して適宜考慮すればよい。
【0016】
ここで、板状体に浮力調整材を取り付けるようにしたならば、浮力調整材の大きさや材質あるいは取付け位置等を適宜調整することによって、水中コンクリートの天端上昇の際、板状体全体を水中コンクリートの天端から離隔させずなおかつ水中コンクリート内に深くめり込ませることもなく、天端位置近傍に容易に保持することが可能となる。
【0017】
また、板状体の下面に前記水中コンクリートに埋め込まれるアンカーを突設したならば、該アンカーが水中コンクリートから付着力を受けるため、水中コンクリートの天端から板状体が離隔したり、傾いたりするのを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法をケーソンへの水中コンクリート打設に適用する場合について示した施工手順図、図2はそれに使用する板状体とその配置状況を示した斜視図である。
【0020】
まず、軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設に先だって、図1(a)に示すようにケーソン1を設置する。ケーソン1を設置するにあたっては、ケーソン1を現場に曳航するとともに、ケーソン設置箇所を予め平坦に掘削しておき、しかる後、ケーソン1内に注水することによって該ケーソンを海底2に沈設すればよい。
【0021】
次に、同図(b)に示すようにコンクリート供給管であるトレミー管3の下端を先行打設された水中コンクリート4に差し込んでおき、かかる状態でケーソン1内部を排水しつつトレミー管3を介してケーソン1内の打設領域に水中コンクリート4の打設を行うが、本実施形態に係る水中コンクリートの打設方法においては、このような水中コンクリート4を打設するにあたり、図2でよくわかるように網目材からなる板状体5を水中コンクリート4の天端近傍に配置するとともに、該網目材に形成された貫通孔23にトレミー管3を挿通しておく。
【0022】
板状体5を構成する網目材は、軽量骨材21のフレッシュコンクリート内での上昇が抑えられるよう、該軽量骨材、特に粗骨材の最小寸法を考慮し、図2(b)に示すように例えば5〜10mm程度の目開きに設定しておくのがよい。
【0023】
板状体5は、打設作業の進行に伴って水中コンクリート4の天端が上昇する際、該天端から離隔することなくかつ水中コンクリート4内に深く埋没することもなく、水中コンクリート4の天端近傍に保持された状態(図2(b))が維持されるように、重量や材質を適宜設定し、鉄筋やプラスチック系素材から適宜選択すればよい。
【0024】
板状体5の下面には図2(b)でわかるように、水中コンクリート4に埋め込まれるアンカー22を多数突設してあり、水中コンクリート4から受ける付着力によって水中コンクリート4の天端から板状体5が離隔したり傾いたりするのを防止するようになっている。
【0025】
かかる板状体5は、ケーソン1内に打設された水中コンクリート4の天端全体に配置されるよう、ケーソン1の内側寸法とほぼ同等か若しくは若干小さめに形成しておくのがよい。なお、一体的に構成する必要はなく、多数のセグメントを平面的に連結することで全体を構成するようにしてもよい。
【0026】
このように水中コンクリート4の天端近傍に板状体5を配置した状態でトレミー管3によるコンクリート打設を行うと(図3)、従来であれば、軽量骨材がその軽さゆえにフレッシュコンクリートから飛び出して水中を浮上するような状況であっても、本実施形態においては、水中コンクリート4の天端近傍に網目材からなる板状体5を配置してあるため、フレッシュコンクリートである水中コンクリート4内を上昇してきた軽量骨材、特に粗骨材である軽量骨材21は図3に示すように、周囲のモルタル成分から浮力を受けても板状体5の下面で上昇が抑えられる格好となり、水中コンクリート4の天端から水中へと飛び出すおそれがなくなる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、水中コンクリート4の天端近傍に網目材からなる板状体5を配置した状態でトレミー管3によるコンクリート打設を行うようにしたので、フレッシュコンクリートである水中コンクリート4内を上昇してきた軽量骨材21が水中コンクリート4の天端から水中へと飛び出すおそれがなくなる。
【0028】
したがって、軽量骨材21の飛び出しやそれに伴うフレッシュコンクリートの水中飛散、ひいては周辺水域の汚濁を未然に防止することが可能となるとともに、その結果として、軽量骨材を用いた水中コンクリートで基礎構造の軽量化を図ることも可能となる。また、軽量骨材21の飛び出し、換言すれば骨材分離が防止されることにより、水中コンクリートの品質を向上させ、均質で密実なコンクリートを施工することも可能となる。
【0029】
また、本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、板状体5の裏面に水中コンクリート4に埋め込まれるアンカー22を突設したので、該アンカーが水中コンクリート4から受ける付着力によって、水中コンクリート4の天端から板状体5が離隔したり、傾いたりするのを防止することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、板状体5がその自重によって水中コンクリート4を押さえて締め固める役目も果たす。
【0031】
本実施形態では、コンクリート供給管としてトレミー管3を用いるようにしたが、これに代えて図4に示すように、ケーソン1の型枠としての側壁に形成された貫通孔32にコンクリート配管31を接続し、図示しないコンクリートポンプから圧送されてきた水中コンクリートを該コンクリート配管を介してケーソン1内に打設するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図5に示すように板状体5に浮力調整材41を取り付けるようにしてもよい。
【0033】
かかる構成においては、浮力調整材41の大きさや材質あるいは取付け位置等を適宜調整することによって、水中コンクリート4の天端上昇の際、板状体5全体を水中コンクリート4の天端から離隔させずなおかつ水中コンクリート4内に深くめり込ませることもなく、天端位置近傍に保持することが可能となる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、フレッシュコンクリートである水中コンクリート内を上昇してきた軽量骨材が水中コンクリートの天端から水中へと飛び出すおそれがなくなる。したがって、軽量骨材の飛び出しやそれに伴うフレッシュコンクリートの水中飛散、ひいては周辺水域の汚濁を未然に防止することが可能となるとともに、その結果として、軽量骨材を用いた水中コンクリートで基礎構造の軽量化を図ることも可能となる。
【0035】
また、請求項2に係る本発明の軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、水中コンクリートの天端上昇の際、板状体全体を水中コンクリートの天端から離隔させずなおかつ水中コンクリート内に深くめり込ませることもなく、天端位置近傍に保持することができるという効果も奏する。
【0036】
また、請求項3に係る本発明の軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法によれば、水中コンクリートの天端から板状体が離隔したり、傾いたりするのを防止することができるという効果も奏する。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法にしたがってケーソンへの水中コンクリート打設を行う様子を示した施工手順図。
【図2】本実施形態に係る打設方法で用いる板状体の図であり、(a)は配置状況を示した斜視図、(b)は断面図。
【図3】本実施形態に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法における作用を示した断面図。
【図4】変形例に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法の断面図。
【図5】別の変形例に係る軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法の断面図。
【符号の説明】
3 トレミー管(コンクリート供給管)
4 水中コンクリート
5 板状体
21 軽量骨材
22 アンカー
31 コンクリート配管(コンクリート供給管)
41 浮力調整材
Claims (3)
- 軽量骨材を用いた水中コンクリートをトレミー管等のコンクリート供給管を介して所定の打設領域に打設する際、網目材からなる板状体を前記水中コンクリートの天端近傍に配置することを特徴とする軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法。
- 前記板状体に浮力調整材を取り付けた請求項1記載の軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法。
- 前記板状体の下面に前記水中コンクリートに埋め込まれるアンカーを突設した請求項1記載の軽量骨材を用いた水中コンクリートの打設方法。
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