JP4486857B2 - アゾ色素 - Google Patents

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Description

本発明は新規な含硫黄、含窒素複素環アゾ色素に関する。
従来から、アゾ色素は種々の可視光吸収を有することが多いために、色素として種々の分野で利用されてきた。例えば合成樹脂の着色、印刷インク、昇華型感熱転写材料用色素、インクジェット用インク、カラーフィルター用色素等、種々の分野で用いられるようになってきている。色素としてアゾ色素に要求される大きな性能に吸収スペクトルがある。色素の色相は、色素によって着色した物体の色目、風合い等に大きな影響を与え、視覚に与える効果が大きい。従って、古くから色素の吸収スペクトルに関する研究がなされている。総説としては非特許文献1に示されており詳細に説明されている。
近年、画像記録材料として、カラー画像が主流となり、色素の使用用途も多様化してきた。具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク等に盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子において、ディスプレイではLCDやPDPにおいて、カラー画像を記録、再現するためにカラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の着色剤(染料や顔料)が使用されている。しかし、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる、色相が良く堅牢な着色剤が無いのが現状であり、改善が強く望まれている。
一方、シアン系アゾ色素においては、ニトロ基を用いずに長波化がなせるとして、ベンゾイソチアゾールをアゾ部に用いた色素が知られている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、該特許に用いられているアゾ色素は耐熱性、及び耐光性が不十分で更なる改良が望まれている。また、各用途で使用する着色剤には、共通して、色再現上好ましい吸収特性を有すること、使用される環境条件化での堅牢性、モル吸光係数が大きいこと等が要求される。
従来から、5員或いは6員の複素環と縮合したイソチアゾールをアゾ成分とするアゾ染料は、特許文献3〜6に開示されているが、いずれも色相、堅牢性、分子吸光係数を満足させるものではなかった。また、非特許文献1には6員の複素環と縮合したイソチアゾールをアゾ成分とするアゾ染料の合成方法が記載されているが色相、分子吸光係数等を満足するものではなかった。
特表平11−500781号公報 特開2001−201834号公報 特開昭56−55455号公報 特開昭60−14243号公報 特開1999−125888号公報 特開2000−280630号公報 ダイズ・アンド・ピグメンツ(Dyes And Pigments)(1982年) 3巻 123〜131
本発明の目的は、良好な色相及び堅牢性を有し、高い分子吸光係数を有するする新規な構造のアゾ色素を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の含窒素複素環アゾ色素が、良好な色相を有し、かつ光および熱に対して良好な堅牢性を発揮することを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。前記課題は下記の手段によって達成される。
下記一般式(I)で表わされる色素。
Figure 0004486857
一般式(I)において、R、R、R及びRは、各々独立して水素原子、脂肪族基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又は脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基を表す。RとRおよび/またはRとRは結合し5または6員の芳香環あるいは非芳香環を形成しても良い。Xは炭素原子を表し、nは1である。
本発明のアゾ色素(アゾ染料)は色相に優れ、光、熱、湿度および環境中の活性ガスに対して充分な堅牢性を有する新規な色素であって、高い分子吸収係数を有する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書中における脂肪族とは、その脂肪族部位は直鎖または分岐鎖で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリールとは、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
Figure 0004486857
一般式(I)において、R、R、R及びRは、各々独立して水素原子、脂肪族基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又は脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基を表す。RとRおよび/またはRとRは結合し5または6員の芳香環あるいは非芳香環を形成しても良い。Xは炭素原子を表し、nは1である。
〜Rの脂肪族基としては、置換基を有していても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、総炭素数1〜15であることが好ましく、例えばメチル、エチル、ビニル、アリル、エチニル、イソプロペニル、2−エチルヘキシルであり、アリール基としては置換基を有していても良い総炭素数6〜16であることが好ましく、例えばフェニル、4−ニトロフェニル、2−ニトロフェニル、2−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−メトキシカルボニル−4−ニトロフェニルであり、アシル基としては、芳香族であっても脂肪族であっても良く総炭素数2〜15であることが好ましく、例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイルであり、脂肪族オキシカルボニル基としては、置換基を有していても良く飽和であっても不飽和であっても良く、総炭素数1〜16であることが好ましく、例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニルであり、アリールオキシカルボニル基としては、置換基を有していても良く総炭素数7〜17であることが好ましく、例えばフェノキシカルボニルであり、カルバモイル基としては、置換基を有していても良く総炭素数1〜12であることが好ましく、例えば、カルバモイル、ジメチルカルバモイルであり、脂肪族スルホニル基としては、置換基を有していても良く飽和であっても不飽和であっても良く、総炭素数1〜15であることが好ましく、例えばメタンスルホニル、ブタンスルホニル、メトキシエタンスルホニルであり、アリールスルホニル基としては、置換基を有していても良い総炭素数6〜16であることが好ましく、例えばフェニルスルホニル、4−tブチルフェニルスルホニル、4−トルエンスルホニル、2−トルエンスルホニルであり、スルファモイル基としては、置換基を有していても良く総炭素数0〜12であることが好ましく、例えば、スルファモイル、ジメチルスルファモイルを表わす。
アシルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜8であることが好ましく、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、クロロアセチルアミノ基などであり、アリールカルボニルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜10であることが好ましく、例えばベンゾイルアミノ基、3−メシルアミノベンゾイルアミノ基、2−メシルアミノベンゾイルアミノ基などであり、脂肪族オキシカルボニルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜6であることが好ましく、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、メトキシエトキシカルボニルアミノ基などであり、アリールオキシカルボニルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜10であることが好ましく、例えばフェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基などであり、カルバモイルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜8であることが好ましく、例えば、モノメチルアミノカルボニルアミノ基、ジメチルアミノカルボニルアミノ基、ビス−(2−メトキシエチル)アミノカルボニルアミノ基、モノエチルアミノカルボニルアミノ基、ジエチルアミノカルボニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニルアミノ基などであり、スルファモイルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数0〜8であることが好ましく、例えば、スルファモイルアミノ基、N−エチルスルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基、N,N−ジエチルスルファモイルアミノ基などであり、脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基としては、置換基を有していても良い総炭素数1〜8であることが好ましく、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基、クロルメタンスルホニルアミノ基、プロパンスルホニルアミノ基、ブタンスルホニルアミノ基、n−オクタンスルホニルアミノ基、n−ドデカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、3−メシルアミノベンゼンスルホニルアミノ基、4−メチルベンゼンスルホニルアミノ基を表す。
本発明の効果の点で、Rはハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基である場合が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、アシルアミノ基である場合がより好ましく、アシルアミノ基、ハロゲン原子である場合は更に好ましく、塩素原子、弗素原子である場合は最も好ましい。
本発明の効果の点で、Rはハロゲン原子、水素原子、脂肪族基である場合が好ましく、水素原子、ハロゲン原子である場合は更に好ましく、水素原子である場合は最も好ましい。
本発明の効果の点で、Rは水素原子、ハロゲン原子、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基である場合が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アシルアミノ基である場合がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子である場合は更に好ましく、水素原子である場合が最も好ましい。
本発明の効果の点でRはハロゲン原子、水素原子、アシルアミノ基である場合が好ましく、水素原子、アシルアミノ基である場合は更に好ましく、水素原子である場合は最も好ましい。
また、RとRが結合してベンゼン環、ラクタム環を形成することも好ましい。
本発明の効果の点でXは、炭素原子である
本発明の色素の合成は、ジアゾ成分アミノ体をジアゾ化後、フェノールカプラーとカップリングさせることによって行うことができる。
この方法自体は公知であり、例えば、特開2003−342139公報、特開2000−248188公報などの記載に従って行うことができる。
尚、本発明の色素の合成に用いるジアゾ成分アミノ体である化合物(A)は、市販の2−アミノニコチン酸から定法により合成できる下記化合物(D)を出発原料として、特開昭56−55455号公報に記載の方法に従って合成できる。
Figure 0004486857
以下に前記一般式(I)で表される色素(染料)の具体例を以下に示すが、本発明の色素は、下記の例に限定されるものではない。
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
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Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
Figure 0004486857
いずれも例示した色素の多くは610〜660nmに吸収極大を有し、45000〜65000のモル吸光係数を有する色素であった。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例示化合物D−9の合成
例示化合物(D−9)は以下の方法で合成した。
Figure 0004486857
化合物(A)15.1g(0.1モル)をリン酸300mlに懸濁し、内温5℃以下に維持したまま亜硝酸ナトリウム8.3g(0.12モル)を徐々に添加し、30分間攪拌した。反応液に化合物(B)12.9g(0.1モル、東京化成(株)製)を酢酸100mlに溶解させ添加し、10℃で5時間攪拌した。反応液に水2リットルを加え1時間攪拌し、析出した結晶を濾過し、水で充分洗浄した。得られた結晶を乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。メタノール/水=1/1(混合比ml)400mlで晶析、濾過し、前記の混合溶媒100mlで洗浄、乾燥し、黒色結晶の本発明の例示化合物(D−9)を8.7g得た(収率29.9%)。 融点257〜258℃、 DMF中の吸収極大λmax620.3nm(ε47,200)、DMF/水=1/1(体積混合比)中でのpka値は5.94であった。この色素は、図1の吸収スペクトルを示し、色相が良好であった。また堅牢性は特開平12-280630号公報の実施例1に記載の試験によって、濃度低下や変色が観測されず安定であり、光もしくは熱に対する堅牢性が良好であった。
例示化合物D−10の合成
例示化合物(D−10)は以下の方法で合成した。
Figure 0004486857
化合物(A)15.1g(0.1モル)をリン酸300mlに懸濁し、内温5℃以下に維持したまま亜硝酸ナトリウム8.3g(0.12モル)を徐々に添加し、30分間攪拌した。反応液に化合物(C)20g(0.1モル)を酢酸150mlに溶解させ添加し、10℃で5時間攪拌した。反応液に水2リットルを加え1時間攪拌し、析出した結晶を濾過し、水で充分洗浄した。得られた結晶を乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。メタノール400mlで晶析、濾過し、メタノール100mlで洗浄、乾燥し、黒色結晶の本発明の例示化合物(D−10)を12g得た(収率33.1%)。
尚、上記合成で用いた化合物(C)は、市販の2,3−ジクロロニトロベンゼン(化合物(F)、Aldrich社製)から、下記スキームにしたがって、ニトロ基の隣の塩素原子を水酸基に変換した後、常法により還元、アシル化することによって合成した。
Figure 0004486857
色素の融点は258〜260℃、DMF中の吸収極大λmax636.6nm(ε55,000)、DMF/水=1/1(体積混合比)中でのpka値は4.1であった。この色素は、図2の吸収スペクトルを示し、色相が良好であった。また堅牢性は特開平12-280630号公報の実施例1に記載の試験によって、濃度低下や変色が観測されず安定であり、光もしくは熱に対する堅牢性が良好であった。
一般式(1)で表わされるアゾ色素の用途としては、CCD、CMOSなどの固体撮像素子や、LCD、PDP等ディスプレーに用いられるカラー画像を記録、再現するためのカラーフィルタ、あるいはこれらのカラーフィルタを作製するための硬化性組成物、カラー画像を形成するためのカラー画像記録材料、染色等が挙げられる。具体的には、カラーフィルターおよびこれらのカラーフィルタを作製するための硬化組成物、インクジェット方式記録材料、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペンがあり、好ましくはインクジェット方式記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インクへの使用が挙げられる。
本発明の色素は、その用途に適した溶解性、分散性などの物性を置換基を調整することによって最適化し使用する。また本発明の色素は、用いられる系に応じて溶解状態、乳化分散状態、固体分散状態でも使用することができる。
実施例1で合成された色素の吸収スペクトル(溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド)である。 実施例2で合成された色素の吸収スペクトル(溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド)である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表わされるアゾ色素。
    Figure 0004486857
    一般式(I)において、R、R、R及びRは、各々独立して水素原子、脂肪族基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又は脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基を表す。RとRおよび/またはRとRは結合し5または6員の芳香環あるいは非芳香環を形成しても良い。Xは炭素原子を表し、nは1である。
  2. 前記一般式(I)において、R がハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基、又はスルファモイルアミノ基であることを特徴とする請求項1記載のアゾ色素。
  3. 前記一般式(I)において、R が、ハロゲン原子、水素原子、又は脂肪族基であることを特徴とする請求項1又は2記載のアゾ色素。
  4. 前記一般式(I)において、R が水素原子、ハロゲン原子、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族もしくは芳香族スルホニルアミノ基、又はスルファモイルアミノ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアゾ色素。
  5. 前記一般式(I)において、R がハロゲン原子、水素原子、又はアシルアミノ基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアゾ色素。
  6. 前記一般式(I)において、R とR が結合してベンゼン環又はラクタム環を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアゾ色素。
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